「魂魄の塔」横の熊野鉱山の開発について、業者が土砂搬出のための進入道路とするため、4筆の農地の一時転用申請の手続きを行ったことは23日のブログでも説明した。
今日(26日・月)、この問題等を審査する糸満市農業委員会の総会が開かれるというので、午前中、具志堅隆松さんと宗教者グループが連名で沖縄県に質問状を提出した(全文は末尾に添付)。
その後、糸満市農業委員会に行き、事務局長に県への質問書を渡して説明した。先週の話では、農業委員会として「許可相当」の意見書をつけて県に進達することになるだろうという話だった。しかし、夕刻、総会の結果を聞いたところ、「異論が相次ぎ、農業委員会としては、知事の判断にまかせるという意見をつけることになった」という。先日のブログにも書いたが、一時転用は3年以内に限られるが、鉱山の開発は8年間続くのだから、その整合性も問題になったという。
一時転用許可は最終的には知事の判断だが、通常は地元の農業委員会の意見が尊重されるという。今日の総会により、その判断は知事に任されることとなった。農業会議を経て、8月10日頃までに一時転用申請書は知事に進達される。今後は知事に対する要請行動を強めたい。
今日、具志堅隆松さんと宗教者グループは、自然保護課長と保護援護課長に、知事宛のシーガーアブの保存と周辺の遺骨収集に関する要請書も提出した。この内容については、後日、説明したい。
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沖縄県知事 玉城デニー様 2021年7月26日
糸満市・熊野鉱山の土砂・石材搬出道路造成のための農地一時転用手続きについての質問
遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」 代表 具志堅 隆松
島ぐるみ宗教者の会 谷 大二
「魂魄の塔」横の熊野鉱山開発問題については、遺骨混りの土砂を基地建設に使うことは人道上も許されないという県民の声が高まり、知事も、本年5月14日、自然公園法に基づく「措置命令」を出されました。今後、「措置命令」に基づく開発業者との協議が始まるものと思います。
そのような中で7月上旬、同鉱山の開発業者は糸満市農業委員会に、採掘予定地から北の農道に続く4筆の農地の一時転用申請書を提出しました。「進入道路」とされていますが、土砂・石材の搬出道路造成のためであると思われます。
この農地一時転用申請書は、糸満市農業員会総会での審議を経て8月上旬には知事に進達され、知事が許可・不許可の判断をされることになります。 申請書類そのものはまだ県に届いていないようですが、沖縄県農林水産部はすでに糸満市農業委員会との協議を始めておられることから、この問題について、以下のとおり質問します。
記
1.今回、一時転用申請書が出された農地は、農振法に基づき農用地区域に指定されている。農用地区域内にある農地の転用は原則として許可されない。ただ、「一時的な利用」として「3年以内の期間」であれば、例外的に転用を許可することができるとされている。
開発業者の計画書によると、今回の熊野鉱山の採掘は、1年間の採掘準備の後、5年間の採掘が行われ、その後の埋戻しや植栽等の期間を含めると総工程は7年3ケ月に及ぶ。それにもかかわらず、鉱山からの土砂・石材の搬出道路の農地について、「3年以内」の利用として一時転用を申請することは認められないのではないか?
2.開発業者は、今回の土砂・石材搬出道路の使用期間を3年以内とし、その後は、西側の農地を一時転用申請して搬出道路とする計画であるとも聞く。しかしその西側の農地も農用地区域に指定されており、農地法第3条に基づいて取得した農地であることから、農地以外の使用はできない。3年後に西側の農地の一時転用の手続きをするからということで、今回の農地をとりあえず3年以内の一時転用申請をすることなど認められるのか?
また、3年後に西側の農地の一時転用申請をするとしても、それだけでは合計6年間で、まだ鉱山開発の総工程の7年3ケ月にはならない。このような一時転用申請がそもそも認められるのか?
3.(略)
(以上)