今日(9月29日・木)は朝から名護へ。本部町島ぐるみ会議の本部塩川港の管理問題に関する沖縄県北部土木事務所交渉に参加した。
我々の質問書と、北部土木が事前に出した文書回答の全文を末尾に掲載するので見てほしい。今日の交渉でも、北部土木の姿勢は変わらなかった。これだけ多くの問題がありながら、何故、県の港湾を特定の業者に優先的に使用させるのか、全く納得がいかない。
デニー知事は今回の知事選で、「辺野古新基地は造らせない」と繰り返し、県民は知事のその姿勢を支持してデニー知事を圧勝させた。しかし、北部土木は、昨年4月から、本部塩川港で辺野古埋立土砂搬送を加速させるベルトコンベア設置許可を出し続けている。本部町島ぐるみ会議は、毎月、北部土木に許可撤回を求めて交渉を続けているが、北部土木の姿勢は変わらない。
2017年、防衛局は国頭の奥港から辺野古への石材を搬送しようとした。県は港湾使用許可を出してしまったのだが、当時の翁長知事は、奥の区民や県民の強い反対の声を受け止め、防衛局に奥港の使用を止めるよう求めた。その結果、防衛局はたった1日、奥港を使用しただけで、それ以後は使用できなくなってしまった。
我々は、本部塩川港の使用許可についても、デニー知事の毅然とした姿勢を求めている。
北部土木事務所への質問(2022.8)と北部土木の文書回答
本部町島ぐるみ会議
1.6月21日付、本部町島ぐるみ会議の要請書について 本部町島ぐるみ会議は、6月21日、「塩川港における離島航路向け運搬車への配慮について」という要請書を提出し、次の2点について要請した。 ① 離島航路への運搬がある時間帯は、その業務を優先し、辺野古航路への運搬は停止すること。 ② 「一日160台のトラック搬入」という地域住民との約束を守り、すぐに実行すること。
この質問について、北部土木事務所は8月2日、次のように文書で回答した。 ① 現在、離島向けの利用者、辺野古向けの利用者の双方とも港湾管理者からの許可に基づき作業を行っている状況である。港湾管理者として利用者に優先順位をつけることはできないと考えている。 ② 沖縄防衛局に対し申入れをおこなっているところである。
1-1.北部土木事務所は前回の意見交換(6月21日)で、「離島向けの業者の聞き取りを行ったが、特に不便があるということではなかった」と答えたが、我々が追求すると、「話は聞いたので検討します」、「次回、もう少し詳細に答えられるようにします」と約束した。その結果が上記①の文書回答というのは納得できない。 その後、離島向け業者の聞き取り調査は行ったのか? その結果、業者はやはり「不便ではない」と答えたのか? 港湾管理者が港湾の使用実態にあわせて使用方法を調整することは、「優先順位」をつけることではなく、港湾の適正な管理のための当然の行為である。現在のように、特定の業者に広大な港湾用地を長期間にわたって独占的に使用させることこそ不平等な取扱いである。 離島向けと辺野古向けの作業車両の調整を図るべきではないか? |
<北部土木文書回答>
1-1.離島向けの利用者、辺野古向けの利用者の双方とも港湾管理者からの許可に基づき作業を行っている状況である。 港湾管理者として利用者に優先順位をつけることはできないと考えている。
1-2.「1日160台のトラック」という地元住民との約束を遵守させることという②の質問に対して、「沖縄防衛局に対し申入れをおこなっている」と回答したが、それまでの説明では、「昨年12月に文書を出した後、本年5月10日、30日に面談をして申し入れた」とのことであった。 5月30日以後、防衛局に申入れを行ったか? 防衛局は、県の再三の申入れにもかかわらず、全く従う姿勢を見せていないが、今後、どのように対処するのか?
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<北部土木文書回答>
1-2. 6月に沖縄防衛局と面談し、申入れを行った。今後も、必要があれば申入れを行っていく考えである。
2.辺野古海上警備業務受注業者による金武湾港の違法使用問題について 2-1.いつまでも「事実確認中でありお答えできない」と回答拒否することは許されない 辺野古新基地建設事業の海上警備業務を担うセントラル警備保障が2017年以来、県が所管する金武湾港にプレハブやコンテナ等を無許可で設置したり、岸壁を無断使用していたことが昨年12月上旬、明かになった。きわめて悪質な県条例違反行為である。 北部土木事務所は昨年12月、「プレハブ・コンテナの設置、警備艇の陸上仮置き、岸壁使用は無許可で使用していることを確認した。それ以外については事実を確認し、その上で判断する」と文書回答したが、それ以後は、「事実確認中の案件であり、事実確認に支障がでることからお答えできません」と答弁を拒否するようになった。 しかし問題が明らかになってから9ケ月が経過したにもかかわらず、まだ「事実確認」が終っていないとはどういうことか? 港湾管理者としての責任を放棄したものである。 セントラル警備保障の金武湾港無許可使用に対して、条例に基づく罰則規定を適用するのか、また、その間の使用料の支払請求を行うのか、明らかにされたい。 |
<北部土木文書回答>
2-1. 現在、手続き中の案件であり、お答えすることはできません。
2-2.現在、セントラル警備保障が使用している港湾について 現在もセントラル警備保障は、辺野古新基地建設事業の海上警備業務にあたっているが、何処の港湾を使用しているのか? 同社に対して、県は港湾の使用許可を出しているのか? |
<北部土木文書回答>
2-2. 現在、どこの港を利用しているかは把握しておりません。
3.本部塩川港での港湾施設用地使用許可の内容について 3-1. プラフェンス、大型土嚢等の撤去について ベルトコンベア設置に係る港湾施設用地使用許可には、「安全対策」としてのプラフェンス設置、「環境対策」としての大型土嚢設置が含まれている。これらは作業がない日もそのまま設置されており、広い荷捌地に自由に入ることができない状態となっている。 3-1-1.プラフェンスは、港湾施設用地使用許可申請書では、「船舶接舷時のロープ受け渡し時、またダンプトラックの切り返し時等の安全対策のために設置する」とされている。これらの安全対策のためにプラフェンスを設置するというのであれば、作業を行っていない時は必要がない。 しかし北部土木は、6月3日、やはり「安全対策のために設置していると認識している」と文書回答した。作業のない時は、撤去させるのが当然ではないか? |
<北部土木文書回答>
3-1-1. 安全対策のために実施していると認識している。
3-1-2. 大型土嚢は「濁水の流入及び流出を防ぐために設置する」とされているが、この1年間の状況を見ると全くその役割を果たしておらず、プラフェンスを固定し、敷地内への立入を阻止するものでしかない。濁水対策のためだとしても、小型の土嚢で十分であり、大型土嚢を設置する意味はない。 北部土木は6月3日、「水の流入、流出を抑制する機能を求めており、大きさは求めていない」と文書回答したが、公共用地であるから、当然、必要以上に大きいものの設置は認められない。 大型土嚢はただちに撤去させるべきではないか? |
<北部土木文書回答>
3-1-2. 申請者が濁水対策として土嚢にて対策を行っている。対策では、水の流入、流出を抑制する機能を求めており、大きさは求めていない。
3-1-3. 8月10日から14日まで、お盆休みのために辺野古への海上搬送はなかった。それにもかかわらず、ベルトコンベア、プラフェンスや土嚢等を撤去させなかったのは何故か? |
<北部土木文書回答>
3-1-3. 使用許可期間の範囲内である。
3-2.岸壁エプロン部分の無許可使用について ガット船への積込みの際は、岸壁エプロン部分に鉄板を敷き、両側をプラフェンスで囲った上で、ベルトコンベアが岸壁部分に出して作業をしている。しかし、この岸壁部分(15.0m×84.6m=1,015.20㎡)の使用については使用許可を得ていない。 この問題に対して北部土木は6月3日、「本部町管理事務所からの岸壁使用許可にて利用しており、今回は、作業終了後、その都度片付けている」と文書回答した。しかし岸壁使用許可は、あくまでも1回毎の岸壁接岸許可であって、接岸回数毎の費用が徴収されている。エプロン部分に占用物を置く許可ではない。 現に北部土木は2019年当時、岸壁エプロン部分での鉄板敷設について港湾施設用地使用許可を出している。作業終了後、片付ければ使用許可が免除されるという規定は何処にあるのか? |
<北部土木文書回答>
3-2. 岸壁のエプロン部分は岸壁の一部であり、今回設置している土嚢やプラフェンスは岸壁使用許可の範囲内での設置であるとの認識である。
3-3.広大な敷地全てを港湾施設用地使用許可とすることの問題 北部土木は、「容易に移動できない固定物の設置は港湾施設用地として取り扱う」と主張するが、それならベルトコンベアや鋼製枡等、固定物の範囲に限るべきである。3014㎡もの広大な範囲を、従来の荷捌地使用許可から港湾施設用地使用許可に変更したため、使用料が大幅に軽減される結果となっている(今回の場合は年額で800万円もの軽減=県の損失となっている)。 この点について北部土木は、「一体的に使用しているから」と回答していが、ダンプトラックの転回・待機場所、警備員の待機用テント、関係者の車両駐車場等まで含めて港湾施設用地使用許可を出すのは認められない。少なくとも容易に移動できるものはその都度、撤去させるべきではないか? 北部土木は、2018年当時、那覇空港滑走路増設埋立事業で塩川港から石材の海上搬送にあたって4基のベルトコンベア設置を許可したが、その範囲は1824㎡にすぎなかった。今回は、2基のベルトコンベア設置にすぎないが、3014㎡もの許可を出してたのは何故か? |
<北部土木文書回答>
3-3. 必要最小限の面積を小堤工で囲った範囲に対して許可している。
4.港湾周辺の環境の著しい悪化(濁水流出と粉じん問題)、港湾施設の損傷 4-1. 降雨中の作業強行による濁水流出 4-1-1. ダンプトラックからの大量の濁水流出 我々は本年6月、北部土木に対して、ダンプトラックの荷台から大量の濁水が流れている写真を提供した(5月12日本部塩川港、5月31日安和桟橋、6月17日本部塩川港)。 北部土木は6月3日、この問題について、「事実確認を行っているところです」と文書回答したが、その後の事実確認の内容を説明されたい。 また、6月21日の話し合いの際には、「口頭で申入れを行っている」、「指導していく」と答えたが、この問題について北部土木が行った「申入れ」や「指導」の具体的な内容を説明されたい。 その後も、たとえば7月30日には塩川港に大量の汚濁水が流れ込んでいることが確認されている。 こうした汚濁水の流出を防ぐためには雨天の際の土砂搬送を中止させる他ないが、どのような方策が必要と考えているのか? 4-1-2. 5mm/時間を超える降雨予報が出された場合の作業中止指示について 北部土木所長は昨年6月、我々の追求により、「降雨時の作業中止の基準を設ける。本部町の気象台で5mm/時間を超える雨が予想される場合や観測された場合は作業を一時中断させる」と約束し、それ以後、業者の申請書にも記載させるようになった。 また、業者の申請書には、「石材等の積込みについては、降雨によりダンプトラックの荷台から濁水が流出する状況が見込まれる場合は、作業を一時中断する」ともされている。 しかし、提出した写真でも明らかなように、強い雨の中でも土砂運搬作業が強行されていることが多い。 今後は、北部土木の方で本部町の気象台の降雨予測を常にチェックし、5mm/時間を超える予報が出された場合、作業の中止を指示すること。 |
<北部土木文書回答>
4-1-1、4-1-2
申請書の記載内容のとおり対応するよう指導している。
4-1-3. 濁水処理プラントの稼働記録について 本部塩川港へのベルトコンベア設置は一昨年から申請されていたが、県は県民の抗議を受け、長く許可できなかった。昨年4月から許可を出したが、その理由は「濁水処理プラント設置等、濁水対策が講じられている」というものだった。 港湾施設用地使用許可書には、「使用許可範囲内から濁水処理水を排出する際には、浮遊物質量を測定し、記録を行うこと。港湾管理者が求める場合にはその記録を提示すること」という許可条件が付されている。しかし、4月25日、6月3日の回答では、濁水処理プラントの浮遊物質量の記録について、「現場で確認している」、「提示を求めているものであり、文書等はありません」というだけである。 今年5月以降、北部土木は濁水処理プラントの浮遊物質量の記録を何回、確認したか? どのような数値であったか? 本年5月以後の濁水処理プラントの浮遊物質量の記録を遡って提出させること、また今後は、定期的にその記録を提出させるよう求める。 |
<北部土木文書回答>
4-1-3. 複数回確認しています。
浮遊物質量の数値は一番高い値でも、10ppm以下であった。
許可条件のとおり記録の提示を求めるものであります。
4-2.本部塩川港、国道449号線の粉じん問題について 4-2-1. 高圧洗浄機の稼働状況について 本部塩川港や国道449号線では、粉じん問題が深刻な事態となっている。 ベルトコンベア設置については大気汚染防止法第18条1項に基づき、一般粉じん発生施設設置届出書が提出されているが、そこでは、「散水設備により散水が行われていること」等とされていた。しかし、昨年、本部塩川港のベルトコンベアから土砂が落ちる際、凄まじい粉じんが舞い上がっていることが問題となった。県の指導もあり、業者からは上記届出書の変更届が出され、土砂に散水するために高圧洗浄機を設置することとなった。 しかし、4月25日、6月3日の文書回答では、この高圧洗浄機の稼働状況について、 「北部保健所において適宜、確認を行っていると聞いている」というだけで、 北部土木としては実態を把握していないことが明かになった。高圧洗浄機の稼働状況を説明されたい。 「引き続き北部保健所と連携していきたい」と回答したが、北部保健所との連携の内容について具体的に説明されたい。 また、港湾施設用地使用許可申請書に高圧洗浄機の記載をさせないのは何故か? |
<北部土木文書回答>
4-2-1.高圧洗浄機は粉じんが発生する恐れがある場合に使用されることになっており、大気汚染防止法に基づき届出を受理した北部保健所において適宜確認を行っている。
4-2-2. 国道449号線の粉じん問題について --- 粉じん調査の実施を! 国道449号線の本部塩川、安和周辺には多くの鉱山(採石場)が集中し、採石現場から発生する粉じん、土砂を運搬するダンプトラックによる粉じんが立ち込め、周辺住民の生活環境、健康への影響も深刻である。 北部土木は、「県として国道449号線の粉じん調査を実施すべきではないか」という質問に対して、「国道449号線の粉じん調査についても引き続き北部保健所と連携していきたい」(4月28日)、「保健所等、関係部局と連携していきたい」(6月3日)と回答している。 「保健所と連携していきたい」とはどういう意味か、今までこの問題について、北部保健所と協議した内容を具体的に説明されたい。 県として、国道449号線の粉じん調査の必要があると考えているのか? |
<北部土木文書回答>
4-2-2. 北部保健所と情報共有を行っております。粉じん調査については、北部保健所と連携していきたいと考えております。
4-3.大量のダンプトラックによる港湾施設・国道の損傷 4-3-1. 港湾施設を損傷させる行為は港湾管理条例により罰則が課せられる 本部塩川港のベルトコンベア設置に伴う作業では、大型重機を鉄板もひかずに移動させて舗装面を傷つけたり、ダンプトラックの過度の通行による道路・施設損傷等が繰り返されている。 また、塩川港の臨港道路の損傷だけではなく、安和桟橋入口の国道の損傷等も相次いでいる。 その都度、補修工事をさせてきたが(8月13日には安和桟橋入口部分の補修工事が行われたが、この問題については、別途、質問文参照のこと)、傷んだので補修させればよいという問題ではない。港湾管理条例では、「港湾施設を損傷させる行為をしてはならない」と定めており、違反行為については、罰則を課すべきではないか? |
<北部土木文書回答>
4-3-1. 許可に基づき通常利用を行っているものであり、違反行為とはいえないものと考えています。
4-3-2. ダンプトラックの台数制限・交通量調査について これらの港湾施設、国道の破損は、土砂を満載した大型ダンプトラックの頻繁な走行によるものである。 本部塩川港の臨港道路は表層(密粒度アスコン):5cm、基層(粗粒度アスコン):5cmで施工されている。これは、計画交通量を1000台/日以下とした場合の舗装厚である。現状では、本部塩川港の臨港道路では、1000台/日を超える大型車両が走行している日も多い。ダンプトラックによる港内の混乱の現状を見ても、台数制限が必要になっていることは明らかである。 この点について所長は4月25日、「それに合わせて台数制限をするのか、考え方もいろいろあるが、今は何しますとすぐには返答できないが、多いことは確認したのでその後どういう方向でいくのかは今のところ即答できないので今後も調整させてください」と回答した。また、6月3日には、「交通量調査については引き続き検討していきたい」と文書回答し、6月21日の話し合いの中でも、「交通量調査については検討していきたい。いろいろな方法があるのでそれを含めて検討していきたい」と答弁している。 交通量調査を早急に実施すべきではないか? また、ダンプトラックの台数制限を行うべきでないか? |
<北部土木文書回答>
4-3-2. 交通量調査の手法について検討しているところです。
4-4.港湾施設の損傷、周辺の環境悪化が著しく、「港湾施設使用許可審査基準」に抵触することから、許可を取消すこと 沖縄県の「港湾施設使用許可に係る審査基準」は、次のように定めている。 (1) 港湾の開発、利用、保全及び維持管理上、支障となるおそれがないこと (2) 港湾施設等の能力に照らし適切であること ⑶ 港湾施設等が損傷又は汚損されるおそれがないこと ⑸ 環境を悪化させるおそれがないこと」 しかし、この間、土砂搬送のための大量のダンプトラックの走行や、ベルトコンベア稼働関連作業等による施設の損傷、環境の悪化が著しく、上記審査基準に抵触する状態となっている。 この問題について北部土木は、6月3日、「改善の指示に従わない場合や、使用許可時の条件に違反する場合においては、使用許可の取り消しについて検討していく」と文書回答したが、すでに使用許可の取り消しを検討すべき時期となっているのではないか? |
<北部土木文書回答>
4-4. 取り消しについては、個別具体の事案により判断するものと考えている。
改善の指示に従わない場合は、使用許可時の条件に違反する場合においては、使用許可の取り消しについて検討していくものと考えている。