7月16日、辺野古の埋立て承認の経過を検証してきた第3者委員会が、翁長知事に埋立承認の経過には法的に4つの瑕疵があるという報告書を提出した。埋立の必要性、公有水面埋立法の4条1項1号、2号、3号の承認にいたる要件、これらの全てに法律的な瑕疵があったというものだ。この報告を受けて、いよいよ翁長知事が埋立て承認の取消に踏み切るという期待が高まっている。
ただ、気になったのは、昨日の記者会見で翁長知事の発言だ。翁長知事は次のように発言した(沖縄タイムス 7.16 WEB版)。
・「報告書については顧問弁護士の意見を聞くなど、内容についてしっかりと精査した上で、今後、埋立承認の取消を含めてどのように対応することが効果的なのか、慎重に検討していきたいと考えています。」
今まで翁長知事は、第3者委員会から提言されれば埋立承認を取消すと明言していたはずだ(2015.5.26 沖縄タイムス等)。それが昨日、第3者委員会から瑕疵があったという報告を受けたにもかかわらず、知事は「取消を含めて」というようなあいまいないい方に後退してしまったのは納得できない。この表現では、知事は「取消以外に効果的な方法が見つかれば、取消をしない」と言っていることになる。
また、知事は第3者委員会からの報告書の全文を県民に公開していない。昨日公開されたのは、A4でわずか2枚だけの要約版にすぎない(末尾に添付)。この点について知事は次のように述べている。
・「この報告書は私たちも精査していない。---数字に間違いはないだろうかとか、何か誤解をして、その内容等に事実関係がどうだろうか、ということも一番簡単な検証という意味ではそういうこともあるでしょうし、うちも顧問弁護士がいますから、そういったことに精通した方にも見ていただき、そういったことを除去して、除去するものがあるかどうかは別ですけど、そういったことも考えながら、検証してからしっかりとやる。」
第3者委員会の報告はただちに、そしてそのまま公開されなければならない。この知事の発言は、報告書の内容に問題があれば、その部分に手を加えるということになってしまう。
また記者団からは、先月から始まった菅官房長官との話し合いの場との関係について、「対話が続く以上は取消の判断を下さないのか」等の質問が集中した。知事は次のように答えている。
・「官房長官の談話を聞いていても相手があることなので、なかなか政府の方の細かい話も今まで聞いたことがございませんので、そういった意味ではこれから対話も基本的にやるこになってますので、期間とかそういうものは別ですけども、そういったことを見ながら私たちの主張もしっかりとやっていきたいと思っています。」
もう少しすっきりとした知事のコメントを聞きたかった。一抹の不安は残るが、まさか知事が埋立承認の取消を決断しないことはありえないだろう。今後、防衛局への聴聞手続等があり、知事が埋立承認に踏み切れるのは早くても8月中旬頃になるようだ。
しかし、最終判断を全て知事にまかせ、県民はただ知事の判断を待つということではいけない。知事に対して、県民は一刻も早い承認取消を望んでいるということを伝えていくことが必要だろう。
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<17日の大浦湾>
防衛局の作業員らが台風でからみついたフロートの片づけ作業を続けていた。海保のゴムボートも4~5隻ほどが出ていた。