今日(7月16日・金)、具志堅隆松さんと宗教者グループの熊野鉱山問題についての県交渉に同席した(7月5日に提出した質問書全文)。県は、自然保護課長、保護援護課長、遺骨収集情報センターが対応した。
今回、7月2日から始まった重機による土地の形質変更が問題となっているが、冒頭、自然保護課長は、「すぐに現場も確認したが、作業は掘削ではなく、重機による草刈が行われた。遺骨収集に影響があるかどうかは分からない状況だったので、業者に対して、自然公園法の措置命令に基づく中止というよりは、まずは作業をいったん中止してはどうかと話をした。業者はそれに応じて、今も作業は止まっている」と説明した。(しかし、7月3日のブログの写真を見てほしい。重機で土砂が削り取られており、とても「草刈」とは言えない。)
我々の質問書では、2つのシーガーアブの間の山林で伐採届が出され、土砂運搬のダンプ道路にされるが、ここは未開発の山林で遺骨が残っている可能性があると指摘していた。県は、「遺骨収集情報センターが7月13日に1時間程度、この土地の目視調査を行ったが、遺骨は確認できなかった。しかし、藪が茂っていて十分調査できなかったので、今後も調査をしたい」と回答した。
また、この山林の下には、2つのシーガーアブが地下で繋がっている可能性がある。その上で重機やダンプが走り回れば地下の壕は破壊されてしまう。具志堅さんがシーガーアブの内部の状況や、遺骨が見つかっていること、さらにこのアブは昔から地域の人たちが畏敬の念をもって接してきたことなどを説明した。私も3月22日の糸満市議会の決議、昨日の糸満市議らの要請等でも、シーガーアブの保存が要請されていると訴えた。こうした話の中で、保護援護課長も「シーガーアブの調査も検討します」と答えた。
しかし問題は、今回の伐採届は7月末までのもので、業者はそれまでに伐採・整地を終えるよう急ぐものと思われる。県が、周辺の遺骨調査・シーガーアブの調査の方針を示したのはいいが、それらの調査が終わるまでは業者に作業に入らないよう指示をしないと意味がない。この点については、いくら確認を求めても、「業者の方と相談します」としか答えなかった。
そもそも「遺骨の確認」「県との協議」という措置命令を出しているのだから、このまま伐採・整地作業に入れば、措置命令違反であることは明らかだ。しかし、この点についても、「その作業が措置命令の範囲に含まれるかどうかは整理が必要」としか答えなかった。
昨日のブログでも書いたように、土砂搬出ルートの農地の一時転用の手続きも始まっている(驚いたことに県は、土砂搬出ルートの農地の一時転用の手続きが始まったことを全く知らなかった。早ければ8月中に一時転用が許可され、ダンプが走り回るかもしれない)。そうなるともう、遺骨の収集どころではない。
県が毅然と対応しない限り、せっかく出した自然公園法に基づく措置命令は全く意味のないものになってしまうのだ。
(貴重な戦跡・シーガーアブが破壊されるおそれ(Nさん撮影))