シュワブ基地ゲート前では、連日、県民の座り込みを機動隊が強制排除し、工事車両を基地内に入れている。時々、数台の生コンミキサー車がやってくるが、県民の抗議や機動隊の規制のため、国道に長く停まったままのことが多い。生コンは積んでから90分ほどの間に打設しなければならないので、防衛局もヒヤヒヤとしているだろう。
(県民の抗議で停まったままの生コン車。写真はTさん)
現在、入っているミキサー車は、埋立本体工事のための生コンではなく、ほとんどが隊舎新設工事等の関連工事のものと思われる。しかし、今後、埋立本体工事の護岸工事が始まれば、被覆ブロックや消波ブロック製作や躯体工等のためにとてつもなく大量の生コンが必要となる。
ところが、今のような状況では、大量の生コンミキサー車を基地に入れることはできない。そこで 防衛局は、シュワブ基地内に生コンプラントを設置するよう計画変更をしたのだ。以下、この問題についての経過と問題点をまとめよう。
(琉球新報 2015.12.26)
1.不可解な沖縄県の対応
この生コンプラント設置の問題について、まず気になるのは沖縄県の不可解な対応である。
防衛局は昨年10月、生コンプラント設置について沖縄県に建築基準法に基づく確認申請が必要かどうか照会を行なった。生コン製造能力が90㎥/hという巨大なプラントである。しかし県の建築指導課は、「土木工事のために一時的に使用するもの」として、「確認申請の必要なし」と回答した。その後、防衛局は、昨年10月末、予定地の面積が4600㎡もあることから、北部保健所に赤土等流出防止条例に基づく知事宛の事業行為通知書を提出した。11月4日、北部保健所は、防衛局に対して「協議は不要」とする確認済通知書を送付した。これらの手続きにより、防衛局は法的には生コンプラントの設置が出来ることとなった。
県は、「基準に合致していれば認めざるを得ない」として確認申請や、赤土等流出防止条例の申請を認めた(昨年12月25日、県民会議の申し入れに対する環境保全課長の回答)。しかし、今回の生コンプラント設置は、辺野古新基地建設工事を進めるためのものであり、「あらゆる方法を駆使して新基地建設を止める」という知事の基本方針からすれば、もう少し違った対応が必要であったと思われる。新基地建設事業は10年間も続く事業である。「一時的」なものと見なさず、確認申請の手続きを行わせることも検討すべきだったのではないか。また、生コン製造過程における排水処理システムのチェックの必要もあったのではないか。さらに、赤土等流出防止条例の事業行為通知書は、新基地建設事業関連として知事公室と協議するのではなく、担当部署だけで処理されてしまった。12月25日の県への申し入れで、環境保全課長は「今後は知事公室と協議する」と約束したが、今後の関連事業については、全て新基地建設をいかにして阻止するかという観点から対応しなければならない。
「
(赤土等流出防止条例に基づく事業行為通知書に記載された生コンプラント)
町田公室長は昨年6月の県議会で、辺野古埋立を阻止する知事権限の3事例の一つとして赤土等流出防止条例をあげた。しかし、県は、昨年1月16日にも、陸上作業ヤード整備のための赤土等流出防止条例に基づく事業行為通知に対して確認済通知書を出してしまっている。県は今からでも、確認済通知書を出した陸上作業ヤードと生コンプラント設置箇所への立入り調査を行うべきであろう(県は、北部訓練場のヘリパッド工事では、再三、赤土等流出防止条例に基づく立入り調査を行っている)。
また、県は、防衛局が確認申請の必要があるかどうかを照会に来た際、図面等の関係資料を受領している。ところが、この資料の公文書公開請求を行なったところ、「文書不存在」と回答してきた。「協議のための書類にすぎず、正式に受領したものではない」から、いわゆる「公文書」ではないというのだ。これも全く理解できない対応だ。
生コンプラントの設置箇所
2.防衛局の動き
シュワブ基地内に生コンプラントを設置することは昨年、突然、浮上してきた計画である。防衛局は、昨年1月、「シュワブ(H26)厚生施設新設建築工事」を約21億円で国場建設に発注したが、その後、同工事の中に生コンプラント造成を変更契約で紛れ込ませた。工事名だけ見ていても、その中に生コンプラント造成が含まれているとは誰も気がつかない。以下がその生コンプラントの特記仕様書である。
また現在、下記のように、生コンプラントの運営業務が入札にかけられている。開札予定日は本年3月14日。それまでに生コンプラントを造成し、3月中旬からプラントを稼働させようとしているのだ。
業 務 名 |
シュワブ(H27)プラント運営業務 【※名護防衛事務所発注】 |
履行場所 |
キャンプ・シュワブ内 |
掲載日 |
2016/1/25 |
受付期限 |
2016/3/8 |
開札予定日 |
2016/3/14 |
種別 等級 |
「物品の製造」 A、B又はC |
業務概要 |
本業務は、レディーミクストコンクリート製造プラントの安定的な運営及び生産されるレディーミクストコンクリートの品質確保を目的とする運営業務を行うものである。 |