チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

ついに訪れることができた梅里雪山③---やっと神々しく輝くカワクボが現れた!

2011年04月02日 | 梅里雪山

 3月15日、車で、メコン河の急峻な谷沿いの道にヒヤヒヤしながら、西当(シータン)の村へ。そこから、馬を2頭連れて、梅里雪山に最も近い山奥の村・雨崩(ユイポン)に向けて歩きはじめる。この道は、1990年11月、井上たちの第2次登山隊が辿った道だ。

 この季節には珍しい雪のため、途中で馬を返し、昼頃、標高3750mのナゾヤ峠に着いた。峠の周囲には、タルチョや祈祷の旗(ラテ)で、カラフルに飾られている。峠から少し尾根を上がったところに、梅里雪山の絶好の展望台があると聞いていたが、この日も天気が悪く、山はほとんど見えない。

 (ナゾヤ峠(3750m)を越えて、ユイポンの村に向かう)

 峠から、サルオガセがいっぱいからみついた森を下っていくと、1時間少しで雨崩(ユイポン)の村に着いた。標高3220m、戸数28戸ほどの小さな村だが、梅里雪山の内院に位置し、チベットでも有名な聖地の一つで、巡礼に訪れる人たちも多い。(帰る途中には、ラサから巡礼に来たお婆さんたちにも会った。)

                (梅里雪山の内院に位置するユイポンの村。(写真は17日撮影))

 井上たちの第2次登山隊は、この村の人たちにベースキャンプまでの荷上げを頼んでいる。ちょうど泊まった宿の主人も、荷上げに参加したという。

 その日の夜のことだ。深夜、外に出て、一瞬、息を呑んだ。いつのまにか雲が無くなり、メツモ(6054m)の、天を裂くような鋭いピークが、月明かりに輝いていた。日本を出て5日目、初めて見る梅里雪山のピークの一つだ。あまりの神々しさに、寒さも忘れて、しばらく茫然と立ちつくした。

 翌日、まだ暗いうちから、Fさんと2人で、峠に向かって登り始めた。メツモの鋭鋒、そして村の背後に堂々とそびえるソンジュベーシュ(6000m)。ワクワクとするような光景が続く。そして尾根を回り込んで振り返ると、ついに、梅里雪山の主峰・カワクボが、その特徴ある姿を現した。

 峠から少し尾根を上がり、祈祷の旗で飾られた絶好の展望台に着いた。今日は、雲一つない快晴。メツモからカワクボにかけての梅里雪山のパノラマに、もう言葉もない。

 井上たちの第2次登山隊が辿ったルートも一望のもとに見渡せた。

    (ここからは、井上らの第2次登山隊が辿ったルートがよく見渡せる。) 

 ユイポンの上村から谷に入り、小さな丘を越えた夏の放牧地に作られたベースキャンプ(3500m)、そこから急傾斜の小氷河を登った雪原がキャンプ1(4500m)だ。そして、ユイポン氷河を登りつめたコルに第2キャンプ、その先のミンヨン氷河の源頭の雪原にキャンプ3(5100m)が作られた。その先にキャンプ4を設け、12月28日には、第1次アタック隊が、ピークまで270mまで達したが、天候が急変し、やむなく下降。いったんキャンプ3に全員が終結し、1月4日の再アタックに備えているところを、1日午後から降り出した大雪のため、3日深夜に大雪崩がキャンプ3を襲ったのだ。

 そんなことを考えながら山を見ていると、Fさんが、「どうですか? 20年ぶりにこの山に来られて。」と聞いてきた。突然、涙があふれて止まらなくなってしまう。日本を発つ前、井上の奥さんに電話をした。彼女は、「ありがとうございます。どうか井上に会ってやってきてください。」と言ってくれた。そうなのだ、今、確かに井上に会っているような気がしたのだ。

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