一昨日(11月28日・木)の夜、京都での講演から帰沖したのだが、産経新聞WEBニュースが、「防衛局が6月28日の安和桟橋の死傷事故以来、停止している本部塩川港からの土砂搬出を再開する」と報じた。
本部塩川港は県管理の港であり、港湾施設用地使用(ベルトコンベアやタイヤ洗浄装置)には県の許可が必要である。
この許可は月単位に出されているが、6月28日の安和桟橋の死傷事故を受けて、県は「事故原因の究明と今後の安全対策を講じるまでは設備使用を中止すること」という許可条件を付した(下に添付)。そのため、8月22日から安和桟橋からの土砂搬出を始めたが、本部塩川港は事故後5ケ月を過ぎた今も使用することができない状態が続いている。
昨日(29日)の朝、本部塩川港を管理している沖縄県北部土木事務所に、「許可条件について、県も同意したのか?」と問い合わせた。担当者は、「報道のことは知っているが、許可条件はまだ満たされていない。現状では使用できない」と明言した。
ところが午後、沖縄防衛局の部長が県庁を訪れ、「準備が整い次第、本部塩川港での作業を再開する」という文書を出した。時期は明言していないというが、報道では「早ければ週明けにも再開」とされており、月曜日にでも始まる可能性がある。
<本部塩川港の港湾施設用地使用許可の許可条件>
防衛局の通知に対して、デニー知事は、「県警の捜査終結で事故原因が明らかにならなければ対応の根拠が乏しい」(24.11.30 琉球新報)、「『現場の安全をつくれる環境にあるのか』と疑問視した」(24.11.30 タイムス)というが、まだ事故原因が究明されておらず、上記の許可条件は満たされていない。
今朝の各紙は、塩川港の作業再開を大きく報じているが、防衛局の塩川港使用にあたっては、上記のような許可条件があることに触れた報道はない。このままでは、防衛局は、塩川港にダンプで土砂を持ち込んでも、ベルトコンベアやタイヤ洗浄装置は使用できない。ベルトコンベアを使わずに直接、土砂・石材を積込んでも、作業終了後、ダンプトラックがタイヤ洗浄装置を使用せずに出ていくことは国道を汚濁させ、粉じんを拡散させるために許されない。
もし、来週、防衛局がこれらのベルトコンベアやタイヤ洗浄装置の使用を強行した場合、知事はただちに許可条件違反ということで許可そのものを取消さなければならない。
安和桟橋でも大勢の警備員がネットフェンスで国道の歩道を封鎖すという強引な方法でダンプ搬送を再開させたが、塩川港でも、大量の機動隊、警備員らを動員して強行しようとしているのだろう。
沖縄県の毅然とした対応が問われている。
(2024.11.30 琉球新報)