8月20日から今日(23日)まで、家族の所用のため、高江にも行けず、このブログも更新できなかった。午後、やっと所用を終え、今から高江に向かうところだ。
(県道を埋め尽くした各地からの機動隊(7月23日、撮影G氏)。この写真は「Days Japan」の本年9月号に掲載された)
7月中旬、高江のヘリパッド工事を強行するために、全国から500名ほどの機動隊(警視庁、千葉県警、神奈川県警、福岡県警、愛知県警、大阪府警)が沖縄に派遣された。これらの他府県からの機動隊員は、抗議する県民に暴力的な規制を行い、まるで防衛局、工事会社のガードマンのような役割を続けている。
高江を支援する各地の市民らが、今回の沖縄県への警察派遣問題について公文書公開請求を行い、いくつかの事実が判明した。また国会議員さんらも文書を入手されている。私も、沖縄県公安委員会に公文書公開請求を行い10点ほどの文書の開示を受けた。これらの資料をもとに、今回の他府県からの警察官の派遣について、その問題点をまとめてみたい。
1.沖縄県公安委員会は、今回の援助要求にあたって委員会で協議はしていない。「持ちまわりで決定したので会議録はない」
各都道府県の警察本部は、政府の指示のもとに動くのではなく、各都道府県毎の公安委員会の管理下に置かれている。他府県の警察の派遣を求める場合は、警察法第60条により各都道府県公安委員会からの援助要求が必要となる。
ところが、今回の援助要求については、沖縄県公安委員会の会議は開かれておらず、担当者が起案用紙を各公安委員、県警本部長らに「持ちまわり」で決裁を行ったということが明らかになった。したがって、今回の援助要求について公安委員会の会議録も存在していない。
なお、沖縄県公安委員会からの他府県の警察への援助要求は昨年の辺野古の警備に関しても行われている。昨年の辺野古の援助要求については、一応、公安委員会の定例会に図られ会議録に記載されている。
・2015.10.16 東京都公安委員会への援助要求 10月15日の公安委員会定例会 で決定
・2015.12.17 東京都公安委員会への援助要求 12月17日の公安委員会定例会で決定
2.沖縄県公安委員会からの援助要求は、県警本部警備部警備第1課からのものと、同警備第2課からの2種類がある。
今回の沖縄県公安委員会からの援助要求は2種類ある。
①沖縄県警警備第2課が起案したもの(7月12日付)
東京都、千葉県、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の各公安委員会宛
②沖縄県警警備第1課が起案したもの(7月12日付)
東京都公安委員会宛
各地の市民や国会議員らが入手した文書は、上のうち①の警備第2課が起案したものだった。ところが今回、沖縄県公安委員会への公文書公開請求により、②の警備第1課が起案した援助要求もあることが判明した。いったいどう違うのか?
(警備2課の文書)
(警備1課の文書)
県警本部の情報公開の窓口の担当者は、警備第2課は「雑踏の事件、事故等を防止するための警備」等を担当し、警備第1課は「刑事事件の捜査」等を担当していると説明した。昨年の辺野古の警備に関する援助要求も全て警備第2課が所管したものだった。
今回、初めて刑事事件の捜査を担当する警備第1課が乗り出してきたのは何故だろうか?
3.沖縄県公安委員会の要請の前に、警察庁が各地の警察本部に指示を出している。派遣費用も「国庫支弁」
さらに本土の市民グループが行った公文書公開請求で次のような事実が判明した。沖縄県公安委員会の援助要求は、7月12日付で行われたが、その前日の7月11日、警察庁が警視庁と千葉県、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県警察本部に対して次のような通知を出している。沖縄県公安委員会が援助要求をする前に、警察庁は全ての準備を整えていたのだ。
「沖縄県公安委員会から関係都道府県公安委員会あて(沖縄県警察への特別派遣の)要請が行われる予定であるが、派遣期間及び派遣部隊(人員)については次のとおりであるから、派遣態勢に誤りなきを期されたい」
この事実は、今回の他府県からの機動隊の派遣が、形式的には沖縄県公安委員会からの要請という形を取りながらも、実際には全てのシナリオを警察庁が決定していることを示している。
また、大阪や神奈川のグループの調べにより、派遣費用は「国庫支弁」ということも明らかになっている。この点からも、今回の機動隊の沖縄派遣がまさに「国策」として行われていることは明らかである。
(ただし、沖縄県警察本部長の「沖縄県警察への特別派遣について」(7月12日)という文書では、派遣される他府県の機動隊の車両の「給油」や「高速券」、「車両故障等の修理費」等は、沖縄県警が負担すると明記されている)
4.派遣期間、人員等については、「犯罪を敢行しようとする勢力等がこれに応じた措置をとるなどにより警備実施等に支障を及ぼす恐れがある」から「一部不開示」とする
他府県で行われた公文書公開請求、そして私が行った沖縄県公安委員会に対する公文書公開請求では、「援助を必要とする期間及び人員」等については黒塗りにされ、「一部不開示」となっなっている。
沖縄県公安委員会は、部分開示決定通知書で、その理由を次のように説明している。
「(『援助を必要とする期間及び人員』については)犯罪の予防、鎮圧に関する手法、技術、体制等に関する情報であり、公にすることにより、警察の対処能力が明らかになり、犯罪を敢行しようとする勢力等がこれに応じた措置をとるなどにより警備実施等に支障を及ぼす恐れがあることから不開示とする(県条例第7条5号)」
高江のヘリパッド建設に抗議する県民を「犯罪を敢行しようとする勢力」と決めつけているのだから許されない。この「援助を必要とする期間及び人員」の不開示については、各地のグループも行政不服審査請求を行うだろう。
いずれにしろ、現在、高江で行われている機動隊のまるで戒厳令下のような過剰規制は凄まじい。沖縄県公安委員会は、ただちに援助要求を取り消し、他府県の機動隊の撤退を要求する。