沖縄南部地区の遺骨混りの土砂を辺野古埋立に使用することは人道上、許されないという声が高まっているが、国が設計変更申請を代執行で承認したことにより、強行される可能性が出てきた。
南部地区の土砂は、東ルートは中城湾港、西ルートは那覇周辺の港までダンプトラックで陸上搬送され、そこから、大浦湾まで海上搬送される。防衛省交渉等で「『那覇周辺の港』とは具体的に何処か?」と質問を繰りかえしたが、防衛省は、「まだ、実際の土砂調達地は決まっていない」として、港の名前を明らかにしていない。
それでも、南部地区から「那覇周辺の港」まで土砂を陸上搬送するのだから、那覇市の中心部を土砂を満載したダンプトラックが走りまわることとなる。沖縄県も、設計変更申請の審査で、防衛局に対して「搬出港付近で生活環境の悪化が懸念される。どのように対応するのか?」と質問したが、防衛局は、「南部地区から土砂が調達される場合は、採石業者において粉じん対策や道路清掃、運搬時間の調整が適切に行われるものと考えています」という回答だった。すなわち、ダンプトラックによる生活環境の悪化は、業者が対応すべきであって、防衛局は責任を持たないとしているのだ。
そこで問題となるのが、「那覇周辺の港」とはいったい何処かということである。那覇港には、南から、「那覇埠頭」、「泊埠頭」、「新港埠頭」、「浦添埠頭」があるが、大量の土砂の搬送となると、国立劇場おきなわ西側の浦添埠頭(西洲埠頭)しかないだろう。
2014年の那覇空港滑走路増設埋立事業の「土砂に関する図書」を見ても、浦添埠頭横に土砂の仮置き場が作られ、小船溜から土砂が搬送されたようだ。先日も現地を確認したが、今も土砂搬送のガット船等が停泊している。エプロンに隣接して空き地もあり、ここから土砂が搬送される可能性はきわめて高いと思われる。
南部地区から、大量のダンプトラックが、いつも渋滞している那覇市の中心部を通ることとなる。「運搬時間の調整」等で問題が解決するはずはない。
南部地区からの土砂調達は、遺骨の問題もあるが、この面からも認められない。
浦添市の西洲埠頭
那覇空港滑走路増設埋立事業の「土砂に関する図書」。浦添市の西洲埠頭に土砂の仮置き場が造られ、土砂が海上搬送された。