重苦しい話が続く毎日だったが、4月6日(木)の新聞には、久しぶりの嬉しいニュースが載った。
辺野古新基地建設事業が強行されているすぐ南側、名護市久志の沿岸で、ジュゴンの糞が発見されたというのだ。マリンレジャー中の市民が発見し、沖縄県がDNA鑑定したところ、ジュゴンと確認されたという(沖縄県の2022年度の「ジュゴン保護対策事業」)。そして、伊良部島でも糞が見つかり、古宇利島や屋我地島、伊是名島周辺の海藻藻場でも、過去最多となる11ヵ所の食み跡が確認された。
よくぞ広い海で、しかも数日でつぶれてしまう糞が見つかったものだと思う。以前、防衛局の環境等監視委員会の委員らが、「ジュゴンは絶滅した」という論文を発表したことがあるが、ジュゴンは、「私たちは未だ生きているよ!」と、精一杯の声を上げているのかもしれない。
ともかく、防衛局のジュゴン調査の杜撰さがますます明らかになってきた。知事が、辺野古・設計変更申請を不承認とした理由の一つは、工事がジュゴンに与える影響について適切な情報収集をしていないというものだった。ところが、先日の設計変更申請不承認の取消裁決に対する県の抗告訴訟の高裁判決は、「(監視調査によって)ジュゴンの存在が確認されていないからといって、直ちにその実効性に疑義が生じたとまでは言い難い」として、県を敗訴させてしまった。
久志のジュゴンの糞は昨年7月7日に採取されたものだという。DNA鑑定が何時、行われたかは明らかではないが、県は、できれば高裁判決までに、辺野古の近くでジュゴンの糞が見つかったということだけでも先行して発表するべきだっただろう。
防衛局は今回の事態を受け、直ちに辺野古の工事を中止し、徹底的なジュゴンの調査を実施するべきである。
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<参考>
防衛局に公文書公開請求を行い、開示されたジュゴンの映像(2009.2 嘉陽沖)。
(2023.4.6 沖縄タイムス)