チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

辺野古への土砂調達が噂される「魂魄の塔」横の熊野鉱山の施業案が開示された --- 米須地下ダムの管理者の承諾がないまま施業案を認可したのは鉱業法64条違反!

2021年02月01日 | 沖縄日記・辺野古

 糸満市・「魂魄の塔」の横で新たに認可された鉱山(熊野鉱山)で土砂採取が始まろうとしている。防衛局は辺野古新基地建設事業の設計概要変更申請で、南部地区から大量の土砂を調達することを明らかにした。このままでは、遺骨混りの土砂が軍事建設のために使われるとして、地元島ぐるみ会議や宗教者グループ等の反対運動が高まっている。2月14日には、オール沖縄会議もこの問題を考える集会を予定している。

 今日(2月1日)、沖縄総合事務局で、熊野鉱山の施業案の認可書が開示された。黒塗りの部分も多いが、採鉱の方法、掘削崖の法面傾斜、採掘跡地の処理、埋め戻し方法、災害防止策、鉱業法第64条に該当する物件、糸満市との公害防止協定書等が明かになった。

 多くの問題があるが、まず、鉱業法第64条に抵触する問題を指摘したい。施業案の認可に不備があり、このままでは、事業に着手してはならない。

 

<鉱業法64条の手続きの不備>

 鉱業法64条は、「道路、河川、灌漑排水施設、公園、墓地等の公共施設から50メートル以内の場所で鉱物を掘採するには、--- 管理庁の承諾を得なければならない」と定めている。

 施業案の認可書(P18)には、「採掘予定区域に隣接して農道、里道、慰霊の塔、及び墓地がある他は、該当する物件はない」として、関係者の同意書を添付している。 

 しかし米須地下ダムの止水壁の設置者(国)との協議は行っておらず、承諾書が付いていない。

 末尾の図を見てほしい。米須地下ダムは、国営造成施設管理体制整備促進事業で実施された。採掘予定地の北側の農道、西側のお墓への里道には米須地下ダムの止水壁が設置されている。この地下ダムは、米須地区の海岸近くの石灰岩地域に止水壁を設置して地下水を溜め、ポンプで汲み上げて一帯の農業用水とする重要な施設である。海岸に近いことから、海水の侵入を阻止する役割も担っている。糸満市の米須地区だけではなく、喜屋武、山城、真壁、大里、真栄平一帯の農業は、この地下ダムに支えられている。

 沖縄防衛局・環境資源課の担当者に問い合わせると、「施業案の認可にあたって地下ダムの止水壁についての協議がされていない。認可申請の段階で盛り込むべきだった」と不備を認めた。

 また、「地下ダムについて、承諾をとるように指導したい」とも言ったが、まず、施業案の認可にあたって地下ダムのことを無視していたことの責任が問われる。

 熊野鉱山については、自然公園法の届出を沖縄県が受理すれば、土砂採取が始まるのではないかと危惧されていたが、沖縄総合事務局は、この鉱業法64条の不備を是正するまでは、鉱山の開発に着手してはならないと指導しなければならない。

 

 

 

<付記>

 なお、糸満市との公害防止協定では、「道路(市道、農道、里道)沿いに採掘する場合は道路際から5mの保全距離を設け、安全角度を保って採掘すること」とされている。また、施業案では、「最終残壁については、高さ10m以内毎に幅2m以上の犬走を設け法面傾斜については70度以内で全体の平均傾斜は65度」と記載されている。

 このままでは、地下ダムの止水壁が設置されている農道、里道の5mの近さまで、70度という直に近い勾配で掘削される可能性がある。しかも、「10m以内毎に犬走を設ける」というのだから、掘削深さについては制限がないのだ。

 畑や道路の間際まで深く掘削された鉱山。このままでは熊野鉱山もこのような採掘がされてしまう。

 

 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« <再度のお知らせ>『資料集... | トップ | 残念な沖縄県の対応 --- 設計... »
最新の画像もっと見る

沖縄日記・辺野古」カテゴリの最新記事