チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

1月4日から、「魂魄の塔」横の熊野鉱山の開発が始まる!--- 沖縄県の3課を訪問、未だ残る多くの問題点 /// 「現時点では辺野古に使わない」とは、「いずれは使いたい」ということではないか!

2022年12月08日 | 沖縄・南部土砂問題//遺骨問題 

 糸満市の「魂魄の塔」横での鉱山開発問題がいよいよ重大な局面を迎えようとしている。

 具志堅隆松さんらのハンスト等の訴えによって県民の世論が高まり、県は昨年5月、自然公園法に基づき、「採掘前に遺骨の有無を確認する。県との協議を講じること」等の措置命令を出した。

 しかし業者は国の公害等調整委員会に措置命令の取下げを求める裁定を申請した。公害等調整委は3回の審理の後、双方に「和解」を提案。私たちは強く反対したが、県は昨年6月、この「和解」案を受諾してしまった。

 「和解」案の内容は、「工事の際に遺骨が発見されたときは、事業者は、その周辺半径5mの範囲で工事を2週間中止し、戦没者遺骨収集情報センター等による調査及び遺骨の収集を認める」等というものにすぎない。

 重機による掘採中に細片化した遺骨が見つかることなどあり得ない。また、遺骨が見つかったことを届けなくても何のペナルティもない。措置命令には法的拘束力があり、違反した場合は中止命令等を課すこともできたが、今回の「和解」案には拘束力はない。

 12月1日、この「和解」案に基づく新しい開発届が県に提出された。今後、県が形式審査し、問題がなければ12月1日に溯って受理されるという。自然公園法では、受理から30日経てば事業に着手できるので、来年1月初めには熊野鉱山の開発が始まってしまう。

 こうした事態を受けて、今日(8日・木)、ガマフヤー支援者の会は4名で、沖縄県の自然保護課、保護援護課、農業政策課を訪ね、詳細を確認した。

 3課と糸満市への問い合わせ等により、次のことが分かった。

1.熊野鉱山の事業実施期間は、当初は「約5年」だったが、今回の新しい開発届では「3年」となり、「来年1月4日に事業着手」とされている(これは後述の農地一時転用の制約から来たものであろう)。

 そのため、事業実施面積は当初計画よりも減少し、「和解案」にあった「遺骨調査が必要と考えられる場所」は事業予定個所から外されたという。

2.県への自然公園法に基づく開発届だけで事業に着手できるのではない。熊野鉱山の開発については、糸満市の風景づくり条例に基づく行為届出書、開発行為に関する指導要綱に基づく開発行為協議申請等の手続きも必要となる。糸満市に確認したところ、新しい開発届に伴うこれらの条例・要綱の手続きはまだ完了していない。

3.鉱山掘採に伴う土砂の搬出用道路がないため、業者は、北側の農道に続く農地を借地し、農地の一時転用申請を行っている。これは知事の許可が必要だが、農業政策課で確認したところ、糸満市の前述の手続きを終えるまでは、一時転用許可申請の審査には入れないという。

4.業者は従来から、「魂魄の塔」前の広場から有川中将の碑に続く里道を通って、重機や工事車両を入れていた。しかしこの広場は県の所有・管理地で、米須霊域の参拝者のためのものであり、鉱山の工事車両の通行は認められない。今日、保護援護課長もその点を再確認し、「この広場を工事車両が通行しているという市民からの連絡があれば、県としても厳重に注意する」と約束した。

5.鉱山に隣接するシーガーアブは、鉱山の掘採や土砂搬出道路造成により破壊されるおそれがある。ここでは、戦後、70体もの遺骨が見つかったこともあり、事業開始前に県、糸満市の総合調査や遺骨調査が必要となる。私たちは以前からこの問題を指摘してきたが、今日も保護援護課長は、「予算の優先順位が決まっておらず、何時、シーガーアブの遺骨調査ができるかは分からない」という回答に終始した。

 

 熊野鉱山開発問題についてはこの2年近く全力で取り組んできたが、いよいよ掘採が始まるということになり、残念でならない。

 

(注)なお、業者は、「現時点では辺野古新基地建設に使うことは予定していない」と述べたという(2022.12.3 沖縄タイムス)。設計変更申請が承認されていないので、南部地区の土砂は未だ、辺野古埋立に使えない。「現時点」というのは、「いずれは辺野古へも搬出したい」ということではないか。

 

 

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