昨日、本部港を出た石材を積んだ台船が大浦湾に来るというので、16日（土）は午前６時、辺野古第２テントに集合した。抗議船は４隻、まだ暗いのでカヌーメンバーも船に乗ることになった。私はOさんと「ブルーの船」を担当。３名のカヌーメンバーを乗せ、辺野古漁港から真っ直ぐ航路標識沿いに外洋に出た。すぐに海保のボートが全速で追いかけてくる。大きなうねりの中を大浦湾の航路の沖合に向かい、そこで監視態勢に入った。
（大きなうねりの中、沖合に台船が見えてきた）
午前10時頃、沖合に石材を積んだ台船が見えた。４隻の抗議船は、それぞれ間隔をおいて配置についた。「ブルーの船」は、台船から見て右斜め前の位置に移動した。しかし、少し前に進んだところで２隻の海保のボートに前を塞がれてしまった。そして、保安官らが「ブルーの船」をがっしりと捕まえ動けない。
（海保が乗り込む寸前。前方左側に台船が見える）
その際、一人の保安官が、「何をしている！ バカ！」と叫んだ。皆、驚いて「謝れ！ 撤回しろ！」と抗議する。
ところが、我々の抗議に焦ったのか、３名の海保が突然、「ブルーの船」に乗りこんできた。船は大きく揺れ、「危ない！ キャー！」と悲鳴が上がった。「定員オーバーだ！ 降りろ！」と叫ぶが、海保は、操縦席のOさんを押さえにかかったため、船は更に大きく傾いていく。乗員のAさんはとうとう海に落ちてしまった。
「ブルーの船」の船内にも、船べりのほぼ近くまで水が入ってきた。もうこれは沈没だと覚悟したが、ともかく海保に「沈没するぞ！ 定員オーバーの海保はすぐボートに戻れ！」と叫んだ。さすがに海保もこれはやばいと思ったのか、２名がボートに戻り、船の沈み具合は少しましになった。箱メガネで懸命に水を汲み出し、なんとか沈没は免れた。
２年前には抗議船「ラブ子」が海保によって転覆させられたことがある（現在、国賠訴訟で係争中）。今日もまさに転覆寸前の事態だった。「ブルーの船」には定員一杯の５名が乗っているのに、そこに３名の海保が無理矢理乗りこんできたのだから言語道断だ。今日も、台船が来る前に海保に対して、「この船は定員一杯の５名が乗っている。定員オーバとなるから規制の際も海保は乗り込まないように」と注意していたばかりだ。全ての責任は海保にある。
海保の暴力的規制で海に落とされたAさんが撮影した映像（ユーチューブ）
海に落ちたAさんは、さすがに消耗した様子だったので心配したが、夕刻、電話すると落ち着きを取り戻していたので安心した。それでも、「死ぬかと思った。あんなに怖かったことはない」と言うから、やはり大変なショックだったに違いない。
私は、一眼レフカメラが水没して壊れてしまったが、ケガ人がなかったことだけが救いだ。海上保安庁には強く抗議したい。
＜追記＞
なお、12月17日の沖縄タイムスでは、第11管区海上保安本部は取材に対し、「『ばか』と発言した保安官には指導したことを明らかにし、『このようなことがないよう改めて指導していく』と説明した」という。「ばか」と発言したことを認めたのだが、今回の行為自体については、「再三の警告にもかかわらず、危険な行為をしていた、安全確保の観点から、一時的に定員を超えることもある。正当な行為だと認識している」と開き直っているという。
定員を無視して無理矢理乗り込み、船を沈没寸前にして一人を落水させたにもかかわらず、一体、何が「安全確保」なのか！
（注）海上衝突予防法第15条では、相手を右げん側に見る船が避航しなければならない。「ブルーの船」（下図の青い船）は台船（下図の赤い船）の右舷側だったのだから、台船が右転するか停止、減速する義務があった。これは全ての動力船が守らなければならない基本的な法令である。海保は、「ブルーの船」を拘束するのではなく、台船に注意しなければならなかった。
なお、今日は午前11時頃から、先日亡くなったSさん追悼の海上行動を行った。明日のブログでその報告をする。
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