なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

家族構成

2018年03月20日 | 仕事
って結構重要だな、と思うのは。どうも、小学生くらいの子供(特に男の子)が複数いるご家庭では、なんとなく「しつけ」の問題が起こりにくい、というか、飼い主(主にお母さんの立場の人)がキリキリしない傾向が大きいことに気付いたから。

 親御さんはこの時期ってつくづく忙しいと思うんですよ。仕事だ学校行事だ、ヘタをするとご自身の親の介護問題まででてきててんてこ舞い、となりそうなんだけど。で、家にいるガキんちょはとにかく悪さをする、というか、コラ~~っとわめきたくなるような事をしょっちゅうしでかしている、らしい。そうなると、犬の「悪さ」がそれにまぎれて見えにくくなっちゃうらしいんです。犬のしつけなんて、実はそんな程度のものなんでしょうね。で、親御さんがキリキリしないと、犬も呑気に、子供といっしょに暴れている。で、エネルギーを適切に発散できているらしいので、生き生き育つ、みたいなのだ。

 これが、家族の人数が少ないというか、例えば「子供がわり」や「孫がわり」みたいな感じで犬を飼いだすと、行き詰ってきちゃう。ずうっと犬から目が離れないせいなのか、イタズラばかりするんですけど、どうしたら・・、ってなっちゃう。

 それから、これもありがちなのだが「子供がわり」として飼い始めた途端に、ホントの子供が降ってきた、というケース。犬も初めて、子供も初めて飼います、ということになると、お母さんの立場の人が爆発してしまう。余計な事を言ってくる親戚がいると、さらに面倒が増える。「犬と一緒に置いとくと、病気がうつる」とかさ。普通に飼ってて、そんな事起こるわけないだろう。でも、そういう余計なひと言のせいで、庭に追い出されちゃう犬は多い。不安になってしまうのだよね。そういう親戚に言いたいのは、「口出さずに金を出せ」ってことですけど。人んちにムダなちょっかいを出す人が多すぎます。

 あと、実はかなり重要なのが「お父さん」の立場の人。一番困るのは、お父さんが「体罰肯定」しちゃってる場合。犬なんかにえばったってしょうがないでしょうと思うのだが、こういう人はえばりたがるんだよね。で、普段家にいないくせして気分でいきなり体罰やら怒鳴り声でもって自分の「思う通り」にしようとする。犬は、こういう人物にはヘイコラしやすい。から、父親の前ではいい子にするし、懐く。これがまずいのだ。そういう犬は、家族の他のメンバーに対して強圧的に振舞う癖がつくことが多い。父親のマネをするわけです。普段犬と接しているのは父親ではないから、その人たちの手に負えない犬が出来上がってしまうわけで、これは大変まずい。体罰は百害あって一利なしなのだが、犬については、結局そういう事。

 お父さんという立場の人は、そうでなければ、とにかく面倒事を避けようとする人が多い。診察室でお母さんは大奮闘中なのに、お父さんは待合室でウロウロ、といケース、多いです。しょうがないので、呼ぶ。ちょっとお手伝いをお願いしまーす!と言われて、渋々やってくる方が多いんですよねえ。病院に付き添ってきて下さるだけでも、ある意味上出来かもしれない。まず絶対に来ない、という人もいるから。年配者に多い、かな。

 なぜなんだろうと不思議だったのだが、ああそういう事か、と分かってきたんです。男の方は、自信がない、のだ。力でもってギュウとやった途端にバッタリ、となってしまうんじゃないか、とか、力加減がよく分からないし、持ち方もよく分からないし。咬まれるのも厭だし、そんなのを例えば会社でああこう言われるのも厭、とかあるのかな?面倒事にはなるべく関わらないで、文句だけ言ってるのが一番楽ですからねえ。あとは、普段あまり「頼られる」ことがない、という「慣れ不足」もあるかなあ?これは女の人側の責任が大きいでしょう。男の人なんか、うまーく転がしてほめちぎっとけばOK、という感じがするんだが。

 こういうのを見ていると、お互いに「コミュ障」っぽいと感じる。何年も一緒に暮らしてて関わる方法も確立できないってのはヘン。家族の構成メンバーでいる意味ないですよ。

 ので、当院では、否応なく関わっていただくことにしている。動物に関わるには愛情なんかいらない、というのが方針で、コツだけが重要。コツが分かれば、ちょっとぐらいぎゅうぎゅうやったってそうそうバッタリとはいかない。男の方にきちっと関わってもらう事で安定する犬は多い。男の人の方が、対応に1本筋が通ることが多いからでしょう。

 で、一番家族間で安定している犬の立場は「下から2番目」。うまいですよねえ、この立場。一人だけえばれる「子分」を見つけて、後は言う事聞く、というのがよくあるパターンなのだが、これだと問題も起きづらいようです。
コメント
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