なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

農工大工学部

2018年01月22日 | 仕事
へ。目的地は科学博物館。バカだったなあと思うのだが、学生の頃結構工部に行ったこともあったのに博物館にはとうとう行かなかった。農工大は工部も農部もかつては繊維が強かった、工部は合成繊維、農部は絹、ということで、常設展示は繊維系の機械だの、絹の解説だの。そういうのをきちんと見せてくれる博物館は少ない、見に行くべきじゃないかと常々思ってたんです。
 農工大は工部は東小金井・農部は府中と分かれているので、当時農部から工部に行くのに最初電車を使ったのだが、やたら時間がかかる、面倒になって、通学ママチャリで農部から工部まで、20分程度だったかなあ、通ってましたっけ。全く・・・・・。よーやるよ、と当時の自分に言いたい。

 さて、東小金井。学生当時、この駅はとんでもない田舎駅で、駅前はなんもないし、そもそも駅ビルどころか、ホームから階段を使う事もなく即改札を通れる、あたりがしょうもなかった。それがいつの間にか近未来みたいな駅になっちゃって、どうなってんだ?と通過するたびに思ってた。今回数十年ぶりに降りてみて、呆然。駅にコージーコーナーがあるし!駅前には商店街があるし!住宅地が延々広がってるし!!畑が全部家に化けちゃったのかなあ?工部は電車から見えるし、すぐ着くわいとタカをくくっていたのだが、結局google様にお世話になってしまった・・・。

 今回の目的、科学博物館だが、今企画展をやってる。内容が「馬と獣医学」。博物館で獣医学の展示なんて珍しいというか、初めてじゃないかな。ので、覗きに行ったのだ。

 うーん、少なくとも農工大の獣医学科は、軍馬育成のためにつくられた学科で、馬の臨床についてかつてはリードするような立場にあったことは間違いない、のだが。

 今となってはどうなんだろうか?進歩がないというか・・・・・。

 馬の飼い主として、馬の獣医師に対する疑問。問診を取られたことがない!!小動物臨床では問診絶対なんですけどねえ。従って、情報がほぼ0状況で適当な事を言ってる、ようにしか思えないんだ。だから信頼してもらえないんじゃないのかね?

 診療法のビデオが流れてて、1つ上の先輩が講師役でへえ~~と思ったんですが、跛行診断はその通りなんですけど、そもそも「速歩時に痛いほうの肢が着地するとき頭が上がる」というレベルの跛行(ちなみに、これは前肢跛行に限られた話。後肢跛行はまた別)は、すでにかなりまずいです。この前の段階でオーナーが気づいて連絡する、ようにオーナーの目を鍛えるほうがよくないですか?でね、レントゲンとかで分かることって実は少ない。骨しか分からないし。エコーだと、靭帯あたりまで分かるけど、分かったからといってやれることは「休馬」程度。そもそも、跛行なんぞ起きないような指導をするのが獣医の仕事じゃないかと思うんだけどな。

 そのためには、肢の状況だけじゃなく環境の視察(床敷の種類・厚み・掃除の回数等々)&運動状況(誰がどう乗ってるか、とか、その回数とか)&飼料&蹄鉄のフィットネス(蹄鉄なんか打たないのが正解なんだけどさ)とか、の問診を徹底的に行って、跛行が起きるメカニズムを解明しないと、跛行は繰り返される。そんな事、飼い主としてはやられた試しなし。

 それは例えば、鞍傷とかフレグモーネとかも同じで、起きないように指導するのが筋。鞍傷はそもそも鞍のフィッティングがダメだからなる。鞍は高いからクラブ側は鞍の変更とかは嫌がるが、じゃあどうするか、のアイディアも提供しなくちゃならない。フレグモーネは飼料に問題があるのではないかと疑っている。濃厚飼料をやらない、がっちり抗生剤投与をする(ちなみに、馬臨床でなぜか使われがちなセファロチンは水と同じ、効果ありません。あんな古くて抗菌範囲が狭いしょうもない薬を使うな)という基本をちゃんとしないと。起きちゃってからじゃあ遅い。

 その辺がビデオで全く解説されていないので、ダメだこりゃ、と思ったわけ。

 自分の馬については、馬の獣医があまりにあてにならないので、諦めて自分でどうにかしたんだけど。その結果、ちょっとの跛行がパッと分かるようになってしまったが。馬のセンセイ方は、カルテを取ってなさそうですもんね、従って、記録が残らないから、馬1頭1頭の歴史が読めない。診療技術が全く伸びないのはそこに理由がある。でもねえ、今なんか動画も撮り放題だし、記録だって音声&画像で残せる時代、スマホ一つで診療が成り立つのだ。それやらなくてどうするの?

 蹄鉄ありき、の解説もダメ。餌の解説もダメ。要するに、最新の世界の馬獣医状況が日本で最先端たるべきJRAやら大学に入ってないんだ。お粗末なありさま・・・・・・。というのを展示から読み取れて、がっかりしてしまった。これじゃあ、どうにもなりませんよ。

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