うるさ型なマニアック・ロックファンがにんまりしそうなバンド「コロシアム」です。
先日、連休を利用してじっくりとこの長尺DVD(計203分)をイッキ見。
当時はブラスロックの枠にはめ込まれてもいたバンドではありますが、その音楽性はどちらかというと全然的外れ。
実質活動期間は1968年から1971年。
イギリスの伝説的ジャズ・プログレッシブ・バンド。
管楽器はサックスが1人在籍しておりますが、かなりの部分で吹きまくっております。
もともとクリームに刺激を受けたジョン・ハイズマン(DR)がジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ在籍時のメンバーを率いて結成したバンド。
クリームよりもさらに実験的で、シングルヒット性皆無のインプロヴィゼーション&変態的リズムワーク&変拍子が強烈。
当時流行したスーパー・バンドのハシリですね。
とにかく全員が馬鹿テク当たり前、個性が火花散っています。
メンバーチェンジを経て、黄金期のラインナップを迎えるも短命に終わりました。
やはり、若き天才集団は長続きしないようです。
その時の主な面子はDRジョン・ハイズマン(グレアム・ボンド・オーガニゼーション、テンペスト、コロシアムⅡ・・・ETC),VOクリス・ファーロー(アトミック・ルースター、ジミー・ペイジ・・・ETC),Gクレム・クレムソン(ハンブル・パイ、ストレンジ・ブリュー、ジャック・ブルース、ビリー・コブハム、デヴィッド・サンシャス、マンフレッド・マン、ボブ・ディラン、クリス・デ・バー、ジョン・アンダーソン、コージー・パウエル・・・ETC)、Bマーク・クラーク(ユーライア・ヒープ、テンペスト、レインボウ、マウンテン・・・ETC)・・・・
ジョンはジャズ、クリスはソウル(「ハンドバッグと正装」もレコーディングしています)、クレムはブルースと各自の異なる音楽性が奇跡的な化学反応を起こしたようなロックサウンドは今も後続のミュージシャン達に多大なる影響を及ぼし多くのフォロワーを生み出しています。
クレムがコロシアムの方向性に違和感を感じ始めた頃、ハンブル・パイからの誘いを受け、これを快諾して加入。コロシアムのリーダー、ジョンいわく「クレムに替わるコロシアムのギタリストはありえない」と何の未練もなく解散。
クレムはゲイリー・ムーアと並び、第2のジェフ・ベックと注目を集めていたギタリスト。
時は流れて、全盛期のメンバーによる奇跡の再結成が1994年実現。
メンバーがいうには「流行の再結成バンド連中は、とっくに全盛期を過ぎた昔の名前で出ています派か、テクニックが衰えて目も当てられない状態みたいなのがほとんどだけど、俺達はよりテクニックが向上しているし、いまだに成長段階にいる」とのこと。
それはこのDVDを見た瞬間に納得です。そこいらにゴロゴロしている若造バンドには絶対に真似のできないイブシ銀のかっこいいプレイ満載。衰え知らずの一挙手一投足に釘付けです。
ルックスも素晴らしいクリスの超官能的ギター(この人の大ファンという私の知人がコロシアムの来日公演を観にいっています)、故ディックはテナーを吹いていたかと思ったら脇に抱えているソプラノ・サックスまでをも同時に吹き込んで見せる大道芸奏法、ジョンも負けじとドラミングだけでもすさまじいのにスティックを巧みに手から口へと順々にくわえてパフォーマンス(よくあんなことをして叩けるものだ。さすが自分はロンドン1のドラマー!と豪語するだけのことはありますね)。
「ヴァレンタイン組曲」「ストーミー・マンディ・ブルース」もいかしていますが、私個人的には「想像されたウエスタンのテーマ」がドツボにはまりました。
これ、故ジャック・ブルースの作品で最初は彼のソロ「ソングス・フォー・ア・テイラー」(1969・8発売)に収録されていたのですが、そのレコーディングにはクリーム時代の盟友、ピート・ブラウンが作詞、故フェリックス・パパラルディがプロデュース、そしてジョンがドラムスを担当していました。マウンテンでもこの曲をレコーディング。
そして元々ジャック、ジンジャーと親交のあったジョンもコロシアムで取り上げています(そういえばこのDVD内で「サンシャイン・オブ・ユア・ラブ」のリフもちらっと弾いています)。クリスのボーカルはオリジナル・バージョンを凌駕するほどの熱きヴォイスを轟かせています。ちなみにコロシアムのキーボーディスト、グリーンスレイドも後の自身のバンド、その名もグリーンスレイドで同曲を吹き込んでいます。
そして、私も1975年に内田ロックンロール裕也氏が仕掛けた「第1回ワールド・ロック・フェスティヴァル・イースト・ランド」に来日出演したフェリックス・パパラルディが歌う「想像されたウエスタンのテーマ」を生で体験しちゃいました!!。
フェリックスが一生懸命観客にアピールしていた言葉が裕也氏の通訳を通じても全く理解してもらえず(裕也氏が「皆、聞いてくれ!」と一生懸命でした)に会場中がしらけムードになっていたのが鮮明に記憶されています。
でもバックを努めていたクリエーションの好演を気に入って意気投合したフェリックスはその後、彼らと共演アルバムを製作、ツアーも行っています。
話を戻して再結成コロシアムのライブDVD(114分収録)、会場は1994年ドイツはケルン・フライブルク音楽フェスティヴァル。
これだけでも垂涎モノなのに、もう1枚のDVDには「コロシアム・ヒストリー(89分収録)」が納められているのですよ!
結成、解散、再結成までを貴重な初期映像&ライブを織り混ぜながら、歴代メンバー&スタッフらのインタビューで克明に辿っていくという失禁寸前(!?)ドキュメント。
残念な事に最近、再びジョンが「コロシアム」の活動を封印してしまいましたが、とにかくこれを見ずして黄金のブリティッシュ・ロック史を語るなかれ!!