B・B・キングのトレードマークといえば、言わずとしれたギブソンのES335シェイプの「ルシール」です。
長年弾き続けて15代目以上の歴史を持つ「ルシール」
「BBは歌い、ルシールも歌う」と言われたほどに、一心同体の相棒、愛器、恋女房ともいえるのでしょうね。
長年愛用し続けている中で、色々なアイディアやマイナーチェンジを盛り込んでその姿を変えてもきました。
基本ギブソンなのですが、第1号は小さめのアコースティックにディアモンド・ピックアップを1つ搭載。fホールではなくSホールが開けられていたシングルカッタウェイ。
その後はES-335やES-345シェイプにフィンガーボード・インレイ、テイルピースなどの変更も行っていますが、ホロウボディからソリッドボディに大幅チェンジ。
本人いわく「特別なギターにしたくてね(笑)」
実際、サウンドホールがあると簡単にフィードバックしてしまうそうです。(たしかに。私はこのソリッドギターMODELを持ったことがありますが、半端じゃあないくらいにズッシリと重たかったよ!!)
BBはセミホロウもソリッドボデイもサウンドに変化はない!ときっぱりと言い切っていますが、このくらい神の域に達している御大だとそういうものなのでしょうね。
あとはジャックの位置がそれまではボディトップにあったものをサイドに移動。
本人いわく「他の性能は文句なしだったんだけど、弾き方が悪いのか、引っ掛かりがあった」とのこと。ボディサイドに移ったことでこの問題も解消。
これで文句なし最高のお気に入りギターの完成。
ギター選びも伴侶選びも同じ事だそうで、世の中に数多く存在する中からめぐり合って選ぶのだからね!とは本人の弁。
以前に、何代目のルシールだったかは覚えていないそうですが、このギターを膝に置いたまま車に乗っていたら交通事故に巻き込まれたのだとか。しかしギターのおかげで脚が守られて無事だったという逸話もあります。
さあ、この「ルシール」という名称由来について。
通なブルースマンならば皆、ご存知だとおもいますが。
1949年、B・Bがアーカンソー州ツイスト・アーカンソーという100~150人ほど収容の小さなナイトクラブで演奏中のこと。
とても寒いところなので暖をとるためにダンスフロア中央には大きなゴミバケツを置き、中に灯油を入れて燃やし皆はその周りで踊っていたそうです。
ある日、2人の男が喧嘩をはじめて一人がその燃え盛るゴミバケツに転倒。店は大火事になりBBはじめ客たちは逃げ出したわけなんだけど、ふと気づいたら自分のギターを置き忘れていた。
慌てて燃え盛る炎の中にBBは飛び込んでギターを探しに戻り危うく死ぬところ。
次の朝になって知った事だけど、その男達の喧嘩の原因は店員の女の子をめぐる争いだったと判明。
BBとは無関係だったけど、その女の子の名前が「ルシール」
自分がそういう馬鹿な真似をしないように言い聞かせるために、ギターに「ルシール」と名づけたそうです。