STA
2015,5,30(SAT) STA企画 LIBERATION36
内地では、遅めの梅雨が到来とのこと。ここ北海道は今が最高に居心地の良い季節。この日も快晴で爽やかです。
ファイターズもノリノリに首位を突っ走って絶好調!
何もかもが爽やかで気持ちいい。長い雪国での生活を毎年過ごしているだけに、今時期は最も開放感に浸れるのですよね。
さて、去年の1月以来のヴィニーズ・バーでのSTAライブイベントです。
オーナーのクボタ君はバリバリの現役ドラマーとしても有名ですが、彼が敬愛してやまない売れっ子セッション・ドラマー、ヴィニー・カリウタにちなんで店名を決めたそうです(カリウタはスティングやジェフ・ベックで拝見したけど、柔軟なスティック捌きで痒い所に手が届くようなつぼを得たプレイスタイルが人気の秘密。そんなところが重宝されていて信頼度も高いんだなあ・・・・としみじみ思いました)。
5バンドが出演しますが、全てジャンル違い、バラエティに富んだ音楽性に溢れていて開演の時が待ちきれません。
この場所は札幌においても相当に古い建物で、上の階はボウリング場。
よって駐車場も共用なので、まずはライブホールに入ってからの最初の作業は車で来た人の名前、車種、ナンバーを専用用紙に記載届けすること。
オーナーは黙々とタブレット片手にミキサー卓とステージを行ったりきたりしながら音響チェック中。
今はこういう文明の利器を使ってやるんだねえ・・・勉強になります。
午後3時にマサが現場入りすると、もうすでに1バンドが入り口に全員待機しているではありませんか!?
超テクニカル集団AXIAの面々が「時間厳守がうちのモットーです!」と頼もしい一言。
オーナー、スタッフ、顔なじみの皆さんと挨拶&打ち合わせを早々に済ませて早速リハーサルの開始です。
もちろん唯一フルメンバーが揃っているAXIAがリハトップ。
続々と現れるタイバンの人達、しかしなかなか全員が揃わず、時間が余り気味に。
ヴィニーズは今までも十分に機材は一流だったのですが、この度ドラム以外アンプ、モニターなどを一新。
さらなるグレードアップを図りました。その使い慣れていないギターアンプの音出しをしたいというノブのリクエストにより珍しくSTAがフルメンバーではありませんがここでリハーサル。
STAは最近もっぱら4人がリードボーカルを振り分け担当しているので一人1曲づつセレクトして軽く演奏。
ノブもマーシャルアンプのコツをすぐに把握した御様子。
たっぷりとリハーサルを済ませたSTA,ここで終りにしようか・・・といういところでカツが現れたのでダメ押しに1曲追加で「本番よろしくお願いいします!!」
こんなに長時間リハーサルを行ったのは初です。けっこうエネルギーを消耗したのではないだろうか?
午後5時の時点でトップのバンドがリハーサルを行いそこで音出しストップ。午後5時半、開場と共に待ちくたびれた観客が会場の席をドンドンと埋めていってくれます。
実は当初6バンドが出演する予定だったのですが、数日前に突然のアクシデントに見舞われた伊達のバンドDOWN UP BEATがやむなくキャンセルするという事態に。入念なるリハーサルを重ねていただけに
本人達はこの日を指折り待ち焦がれていてとても残念がっていましたが、古くからの仲間なのでまたすぐにでもタイバン実現する日も近い事でしょう。シン&ミキもそこのゲストメンバーなので札幌から通っていたのです。
しかし遠く伊達からメンバーのクッシー&ヨシダ氏がかけつけてくれるとのこと。律儀な連中ですよ。
ライブが始まる前にはオーナー好みのBGMが店内に大音量で流れています。物凄いへヴィーなリフなのでマサがおもわず「クボタ君、これってメタリカ??」と尋ねると「いいえ、ベビー・メタルです!」「おおお!」
ここからはB型同士、ベビーメタルの話題で一気に話の花が咲き誇りました。絶対に今年はベビーメタルがくるよ~~!ってか。
毎回STAライブイベントには素晴らしいバンド達が集結してくれますが、今回はそれらを数段上回るほど1,2を争う内容てんこ盛りですよ。
早々と客席はビッシリ。賑やかに会話も弾み、開演の時を今か今かと待ちわびています。
通常の入場料を支払うとミュージシャンも観客も手首に赤い紙ベルトを巻きます。追加料金で飲み放題の青紙ベルト。これが目印。紙だと思ってなめてかかると、こいつが物凄く頑丈でびっくり。そうとうに力を入れないと引きちぎる事は無理。
いつものようにマサのアナウンスに導かれて、トップバッターの登場です(熱き紹介を絶賛してくれたよ)。
この日1番の若手、結成5年目を迎える「BEAST VALCO JAM」というイカシタ名前を持つバンド。なんとベーシストは女性ルイチャン、かっこいいなあ。遠めに見ていてずっと使用楽器はイバニーズと思っていたのに楽屋で見てみてビックリ!なんとグレコGOBベースじゃん!!70年代の名器がコンディションバッチリで鎮座しています。聞くところによるとお父さんのおさがりなんだってさ。恵まれた環境で羨ましいネエ。
彼らは若いのに渋いジャンルが大好きで、その中には嬉しいことにシカゴも含まれています。
ミユキ嬢の紹介でこのたびタイバンが実現、挨拶代わりに事前に動画を送ってもらいましたが、インパクトある演奏力、オリジナリティに圧倒されました。それは本物を目前で直視した時にも、予想をはるかに上回るパワーに唸っちゃいましたね。オープニングの「MELODY」から快調に飛ばしまくります。
4人編成から繰り出されるサウンドは倍の人数に匹敵するほどの厚み。フォーメーションもお見事の一語に尽きます。
「LADY WOMAN」は1ST CD SINGLEに収録されているとのこと。ドッシリとタメの効いたドラミングはボンゾからの影響力大で思わずニンマリ。
「SHAKE」と進むにつれて益々ヒートアップ。長身で長髪のVOはカリスマ性十分。マイクスタンドを高く振りかざしてフロントに挑みかかってきて時にはムーディーにブルースハープも吹きこなします。
彼等はこの木、金、土と札幌市内でライブ三昧の日々。ヴィニーズが5月最終日とのことで力の入り具合も半端ではありません。
「CAN NOW LIGHTING」も1ST SINGLE収録曲。ギタリストは腰をグッと低く落としてトリッキーでエモーショナルなソロを披露。使用ギターはフェンダー・ジャガー。楽器店にレスポールを買いにいったら何故かこのギターに一目ぼれして購入したという運命の1本。まったくタイプの違うギターなのにね(笑)。マサの予想的中でやっぱりキース・リチャーズの影響大だそう。
とにかくこのバンドは4人が4人ともキャラが違っていて、それが一歩間違えばバラバラ感否めないものを(そういうのがほとんど・・・)見事に良い方向へがっぷり四つにブレンドされているというのが奇跡的です。
「LOVERS」も含めて全曲が彼ら入魂のブルースロック・オリジナル・ソング。
ラストナンバー「君の名前」であっという間にライブ終了。VOはしっかりと自分達のフェイスブック売り込みもMCに盛り込んでいましたよ。
彼らはあの歴史あるジャスマックプラザでのイベント「ブルース収穫祭」にも出演したという実績もある期待のニューカマー。
ライブ後はマサとメンバー達とで、チャック・べりー、BBキング、レイ・チャールズ、ジェームス・ブラウン、ストーンズなどを観にいった話で沸いたんだけど彼等って一体年齢いくつなんだよう!!??ジェネレーションギャップもなく初対面で自然にうち溶け合えるのがロックの醍醐味。
セカンド・アクトは4人編成「AXIA」
札幌が誇る超テクニカル集団でして、日本フュージョン界のトップバンド、CASIOPEAを完コピでプレイしてくれます。もう目が釘付け。
「SET SAIL」一挙手一投足、次々に繰り出される神技に一時たりとも目が離せません。
本家カシオペアは「カシオペア・サード」として復活、順調に活動していますが、そこのキーボードは女性、そしてAXIAも女性なのですよ。しかも男顔負けのハイテクニックの持ち主。あれ!?よくよく見てみれば先月の桃太郎ライブでもご一緒したクロス・ノイズ(ジャズ)の姫様ではないですかああ??!
あの時にはもう一人の女性サックスプレイヤーとお揃いのアダルティーなロングドレスでしたが、今回はキラキラミニでバッチリと腰を振りながらリズムをとって軽快に鍵盤を操っています。彼女の加入でグッとイメージが一新されたそうですよ。
「MISTY LADY」ではリーダーのクル氏が(MCも兼任)的確なギター・プレイで牽引。使用ギターはもちろんDUBクッシーと同じカシオペアのリーダー野呂一生ヤマハモデルというコダワリ。
応援団長のアベサンも最前列で一生懸命に声援を送っています。
「MAGNETIC VIBRATION」はカシオペアのオリジナル・ベーシスト桜井哲夫氏の作品。これをAXIAのベーシスト、アミノ氏が是非にと熱望。
ラテンフレーバー溢れる曲調、リズムのアタック感が一種独特でなかなかに面白いテイストを発揮しているところが印象的。このへんのマニアックな選曲もうなずけますね。
アクセントにあわせてフロント3人が両足を左右にステップ踏んでいきなりブレイクの連続、これは見応え十分、演出効果も兼ねています。
そしてアミノ氏がおもむろに前方に出てきて手拍子を要求しながらのチョッパー・ソロ。これを見るのも楽しみのひとつ。大きな見せ場ですね。
この日はTUNEの5弦を使用。他にも多弦ベースは所持しているとのこと。この辺もマサとベーシスト対談で語り合いました。(話題はフレットレス、12弦の特注へイマー、アーム付まで)
アミノ氏はマサのスペクターにも興味津々で「EMGアクティブPU?パッシブとアクティブの切り替え可能?」と色々質問、「いい音してますねえ」とお褒めの言葉まで頂戴して、即座にフェイスブック友達申請しあいました。
ルイス・ジョンソン他界のことは是非とも意見を伺いたかったのですが、意外や意外あまり聞いたことがないそうで、ますますアミノ氏のルーツが知りたくなりました。
「EVERY MOMENT」でのクル氏によるクールなコード・カッティングも目をひきますが、キャリアの長いカシオペアの数多いレパートリーの中でも難易度強だそうです。
ここでひときわ大きな拍手を浴びながらのメンバー紹介。 AXIAのリズム隊は修行僧のごとくとにかく練習の虫だそうで、それはあのステージングを見ればうなづけます。
クロージング・ナンバーはカシオペアのファーストに収録されている「BLACK JOKE」
姫様が右手を頭上高く掲げてソロを弾くお姿には神々しさまで備わっていまする。
間髪入れずにアンコールの声があちこちからかかってきたので、もっともなじみ深い音楽通なら誰もが知っている名曲「ASAYAKE」へ。
これやられれば全員納得ですね。クル氏のクールなライトハンド奏法での余裕は貫録ですなあ。
STAは小樽北運河、クラップスホールなど、今までにもAXIAとは同じステージに立っていますが、タイバンとしてお招きしたのは初(こちらもミユキ嬢のツテ)。
今後も互いに切磋琢磨しながら精進していきたいですね。
本来、この日の目玉の一つとして札幌と伊達のカシオペアコピーバンド同士によるバトルが注目されていたのですが(それを目的に来店された方もいたほど)近い将来こちらも実現させたいと思います。
順番を真ん中に陣取ったバンドは「テヘテロ」です。このバンド名は「くすっと笑う、てへっ・・・」からきているそうです。
日本が誇る王道のロックバンド、ジギーのカバーを全6曲プレイしてくれました。
本来4人組だったのが、キーボードのカワイ子ちゃん、ウサミサ加入で5人編成に。
勤務先からの飛び込みライブということで慌しい出だしとなりましたが、そこは彼らのフレンドリーなキャラクターで和みの空気に変身させてしまいました。
ヴォーカルの「たたんた」は金髪ロングヘアーに模様替えしてのライブ。一瞬誰だったのかわかないほどの変わり様(森重ソックリ)。
「ドント・ストップ・ビリーヴィン」から勢いよく疾走。ベースのハヤシ氏は「酔っ払っていない・・」とつぶやきモード。マサはてっきりシラフだから良い演奏ができるという意味に解釈していたら、それは逆で酔っ払ったほうがライブ感を掴めるのだそうです。
「ここはアウェーかい?ずいぶんと静かだなあ・・・」とVOが観客をあおる、あおる。「俺は今日、市街地の輪厚経由で来たんだよ」と、どのような交通網で会場入りしたのかを丁寧に説明。
「ウィスキー・ロックンロール・ウーマン」の頃になると、テヘテロ・ワールド全開で、すぐにドラムが合図してリッチー・ヴァレンスのラバンバをはじめるのです(すぐにストップするけどね)。
これは最後までキッカケさえあれば、何度もやり続けていましたねえ(時には予告無しの時もあったけど)。
「トーキョー・シティ・ナイト」に進むとギターの魔界あんこも巻き込んでモノマネは飛び出すわ、STAノブと職場が同じハヤシ氏は「今日のライブのために嘘ついて仕事から帰ってきた!」と危ない発言が飛び出すわ、ワヤです。これがロックンロールだあ!!
「アイム・ゲッティング・ブルー」に入る前にもドラムのジョルがラバンバのドラミングをハードに打ちまくりで大爆笑。
8年前に結成したというこのバンドは息もぴったりで阿吽の呼吸でやりとりする。ハヤシ氏がMCをバトンタッチしてもギターの魔界あんこが通訳。でも全てが丸く収まるのです、不思議と。
「シング・マイ・ソング」ではマイクの音切れトラブルに見舞われましたが、クボタ君の的確なマイクチェンジにて事無きを得ました。
締めくくりはやっぱりこれしかないでしょう。これをやらなかったら許されません「グロリア」
メンバー紹介も絡めて、客との掛け合いを繰り広げて賑やかなうちにライブも終了となりました。
トリ前はSTAを人数ではるかに凌ぐ驚愕の11人によるソウルフル大所帯バンド「MY SOUL電気楽団」
略して「味噌田楽」このユニークなバンド名はBS担当のナカジーが命名したそう。ステージ狭し(本当に)とズラッと並んだ図は、もうそれだけで圧巻。オーナーのクボタ君は一人で音響セッティングをするのでへヴィーだっただろうなあ。
このバンドは以前から噂に聞いていたんだけど、そのお姿を目の当たりにしたのが今年の3月小樽ゴールドストーンでのタイバンでした。いやはやなんとも、強烈に焼きついているのはディーヴァ・ヒロリンによるウルトラハイパーヴォイスにつきます。その存在感は右に出るもの無し。唯一無二。チラッと覗いた足元も魅力的。
一度彼女のステージを見た者ならば誰もが同意見でしょう。4人がブラス隊なのですが(今回はTP不在)アルトサックスがSTAのミユキ嬢。彼女からもヒロリンのメガトンヴォイスのことは聞いていましたが、やっぱり本物を是非とも体験して欲しいものです。
ギターはお馴染みのヒコが担当。彼は何でも弾きこなすんだね。器用というか、心底バンド活動を愛している生粋のミュージシャンです。バリトン・サックスはSTAとは打ち上げ仲間でもあるナカジーだあ。
ただ、今回は女性コーラス隊二人が新たな顔ぶれ。
その名も「ワイルド・パピーズ」だそうです。初々しいネエ。
ステージ中央に君臨するヒロリン女王様渾身のパフォーマンスが光るアレサ・フランクリン「THINK」で幕開けです。
小樽で観た時よりも数段レベルアップしているのが、瞬間で伝わってきました。だってハンドマイクをグッと遠ざけても十分にボーカルがビシビシと轟いてきたよ。
リーダーでもあるヒロリンは1曲、1曲の選曲も丁寧にあらゆる角度から愛情こめて考察、組み立ててゆきます。そして必ずメンバー全員の意見も反映させて民主的に最終決定を下すという念の入りよう。だからコミュニケーションも良くとれています。
もうひとつの課題でもあったMCも考えぬいてきたなあ、努力の片鱗を見落としはしなかったよ!(心優しきヒロリンはホーンセクションのスタミナを考慮して知恵を絞りました)
そこからアニー・レノックス在籍のユーリズミックス「WOULD LIE TO YOU?」
常連客のアベさんもサイリウムやウチワ持参で一時たりとも休まずに踊りまくっています。
ヒロリンもMC頑張っています。
ブラス隊4人組にも正式名称があるそうで、見た目そのままに「メタボーズ」。
痩せたら強制的に解雇通告というシビアなポジションらしいです!!
それでもピョンピョン飛び跳ねたりステップふんだりとかなりの運動量をこなしていました。
ヒロリンの魂を揺さぶるようなアカペラ・ソロ(これ、ハイレベルなチャレンジだよ)からはじまるラテン調のクリスティーナ・アギレラの「SHOW ME HOW YOU BURLESQUE」がはじまってもヒロリンのセクシーかつエキゾティックな存在感は増すばかり。
そのストロングヴォイスだけでも腰を抜かされているのに、悩殺的な視線を会場中の殿方に投げかけて骨抜きにするんだからたまりませんよ。
この日、ヒロリンのコスチュームは情熱の赤を基調としていて、ミユキ嬢、そしてワイルド・パピーズもそれに追随。統一感を図っています。かなりの激論を戦わせて揃えたんだろうなあ(ダンスにメイク&ヘアースタイル、靴もね)。
それらをひっくるめて心底エンジョイしている様子がこちらにも伝わってきて微笑ましい。
さあ、後半戦はヒロリンのイメージにピッタリのナンバーでSALIAのヴァージョン・アニメソング「キューティー・ハニー」。
曲中ではヒロリンがメンバー紹介を絡ませてきます。
人数が多いのでスペース都合上、この日唯一雛壇上アンプ後方に陣取ったベースのワタナベ氏は職人技スラップチョップ・ソロを展開。
それに刺激を受けたのかヒコはギターをジミ・ヘンドリクスばりに歯でピッキング。連鎖作用でドンドンとヒートアップしていく中心に必ずオーラを放ち続けているのはヒロリンです。
ドラム・ソロからメタボーズが引き継いだのは「魔法使いサリー」のテーマソング(前回はキャンディーズだったね)
ドリームガールスからは「ONE NIGHT ONLY」
ナイス・セレクト。このバンドのムードにバッチリとはまっています。
えええ!!?もう最後の曲??トム・ジョーンズ奇跡の復活を遂げた「IF I ONLY KNEW(邦題:恋はメキメキ)」
あのイントロでの伝説的シャウト、その華奢なボディーの何処から出てくるの?と思わず誰もが尋ねたくなるほどヒロリンの喉は強靭です。
ああ、文章じゃあ上手く書き表せない歯痒さよ・・・・。
もちろんアンコールを求める声が自然とあちこちから聞こえてきましたが、完璧を目指すバンドゆえに断念、今度はもっともっと長く演奏してね。
トリを努めるのはライブ企画首謀バンド「THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITY(S・T・A)」
通算107回目のステージです。長い年月いろいろありました。思い起こせば早10年、紆余曲折血と汗と涙の数々・・・。
そしてこの日のリハでもしくじりましたが、なんと本番直前にマサのボーカル用トランスミッターケースのベルトに固定するフック部分がとうとう根元からブッツリと切れてしまったのです!すぐにガムテープぐるぐるに貼りめぐらせてガッチリと固定しておきました(写真でも腰部分に必死に収まっているところが確認できますよ。少し動きを考えようっと)。
まだ1年使用していないケースですが、もうこういう事態を予期して次のケースも確保してあります。そして観客の中には伊達からUFOドラマーのオオミヤ君、桃太郎のママさんと常連さん、アンクルキャッツのギタリスト・フクダ氏、ポコアポコのベーシスト昼寝ちゃんの顔が見えます。
ミユキ嬢は2バンド連続プレイという過酷さ。アルトからバリトンに持ち換えるからまだ救われたそうです。これが逆パターンだったら、やばかったらしいよ。
さあ、5バンドで全てが終りなので、タイムテーブルには十分余裕があります。
マサがメンバー全員とミキサーにアイコンタクトをとってケンへゴー・サインを送ります。
「大変長らくお待たせいたしました。THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITYの登場です。トリは味噌デンに負けないくらい極上のブラスロックで盛大に盛り上げていきたいと思います!」「WAAAHHH!!」
***SET LIST***
1、SOME LIKE IY HOT・・・THE POWER STATION
2、SPINNING WHEEL・・・BLOOD SWEAT&TEARS
3、~FREE FORM PIANO・・・SHIN
4、~DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS?(一体、現実を把握している者はいるだろうか?)・・・CHICAGO
5、~VEHICLE・・・IDES OF MARCH
6、SATURDAY IN THE PARK・・・CHICAGO
7、GET IT ON(黒い炎)・・・CHASE
8、25OR6TO4(長い夜)・・・CHICAGO
===ENCORE===
9、INTRODUCTION・・・CHICAGO
***MEMBER***
MASA・・・B VO CHO PER WHISTLING
KEN・・・DR VO CHO PER
SHIN・・・KB VO CHO
NOBU・・・G
TATSU・・・TP
JUN・・・AS VO
MIYUKI・・・BS
KATSU・・・TB
MIKI・・・VO CHO PER RECORDER NARRATION
STAは以前よく「ライブ開始直後は硬さがあるけど、中盤に差し掛かった時点でこなれてくると徐々に熱を帯びて最終的には爆発するね!」と言われたものです。
我々にはそういう意識はないのですが、第3者の意見は貴重ですよね。時にはなるほどねえと感心したり、ハッとさせられ目から鱗ですから。
ケンのファンキーバックビートが叩きだされると、後方の観客席から「おおお!」とどよめきが。どうやらその世代の人たちの歓喜の声のようですね。
STAイチ新しい曲ですが、それでも80年代前半のヒット曲。
シック&デュラン・デュラン&ロバート・パーマーらによるスーパー・プロジェクト、ザ・パワー・ステーション「サム・ライク・イット・ホット」
STAにしては異色のオープニング。
ノブの歯切れ良いカッティングに絡みつくようにマサの重低音ベースが唸りをあげます。
ジュンが感情こめての歌い出し。マサとジュンのアドリブ・サインも好調。
この曲は場数をこなしてきただけあって今年の2月初披露時と比較しても、かなり心地よくグルーブを醸しだしてきていて感触も手ごたえ十分に確立されつつあると自負しちゃいます。
ブラス隊も皆が体をくねらせたり、手を叩いたり、足を踏み鳴らしたりしています。
ノブのギターソロも序盤から鋭いフレーズ連発。
エンディングの3人アカペラによる突然のフィナーレはショッキングでしょうね。
マサの軽快なMCで掴みはオーケー「皆さん、改めましてTHE SAPPORO TRANSIT AUTHORITYです。
楽しんでいますかあ!?(YEAH)頑固一徹ブラスロック街道追求するべく日夜邁進しております。(ここでミユキへの声援が止まらず彼女と観客達のコール&レスポンスがしばらく続く)それではブラスロック御三家の一つ、BLOOD SWEAT&TEARSの代表作スピニング・ホィールをお届けしましょう!」
昔、ウィーク・エンダーのテーマソングに、この過激なブラスセクションを使用していたから、ご存知の方はしっかりと年齢がばれちゃうよん!
おいおい、ケンが4カウント打っている最中にもかかわらずステージで写真撮影しているメンバー若干1名発見。色々な意味でスリリングなバンドだなあ。
ここで2番手のリードボーカルとしてシンがフューチャーされます。ジャジーなピアノバッキングに渋くてよく通るボーカルがほどよくフィットしていてまさに大人のロック。
難易度強の構成には今でも手を焼いていますが、タツによるハイノートペットソロはご存知のとおり余裕綽々。
打って変わってエンディングではミキによるリコーダー・ソロがコミカルかつ可愛らしくて評判も上々。
「ミキティー!」と声援があちこちから(ステージ上でも)飛んできます。
しかしこのバンドの曲は変拍子、複雑なコード進行、そして変態チックな構成ばかりで微塵も気を許す暇がありません。
スキを見せたら、即座に足元をすくわれちゃいますからね。(プログレッシブ・ブラス・ロックバンドってニューロックの時代には沢山誕生したのです。)
常に命がけの真剣勝負。拍手に包まれる中、厳かなるシンのピアノソロ。これは最近復活した流れですが、やっぱりこの幻想的で次に又何がはじまるのか予想もつかない嵐の前の静けさのような緊迫感がクセになりそう。
ライブ中、最も静かな空間・・・・と思いきやケンによるドンズバなタイミングの4カウントにのってシカゴ「一体、現実を把握している者はいるだろうか?」が現れるのだからやっぱり面白いでしょ。1年半ぶりにめでたくSTAに復活した曲。
イントロだけでも変わったコードチェンジ、リズムもひねくれているし、アクセントも目まぐるしく移動、その中にピアノ&トランペットソロが盛り込まれています。歌に入る直前までよくもまあここまで凝りに凝ってくれものだ。
ちなみにロバート・ラムの記憶ではシカゴがはじめてレコーディングしたのがこの曲だそうです。STAのメンバー達でもいまだにこの長いタイトルを覚えていない者がいるようだ。
ほどよいポップ感覚に満ち溢れた初期代表作ですが、歌詞の内容はラブソングではなく、時間という人間が作り上げた固定観念に対する警鐘、当時のシカゴらしい哲学的で知性溢れる完璧なるブラスロック。マサやシンはずっとフェヴァリットソングですが最近ジュンもはまってきたようです。3番に挿入されるナレーションは何年も導入断念していたのですが、今回演奏するにあたってマサは真っ先にミキ嬢にそのパートを託したのでした。
女性のナレーションは初だから新鮮で別の表情をみせてくれますね。
リードボーカルは3人目マサにバトンタッチ。エンディングはSTA2度目のライブ体験でもあるカツがJパンコウばりにトロンボーンソロで彩りを添えてくれました(彼のスコア用クリアファイルはE,YAZAWA)。
もう1曲、ブラスロックとしてもディスコでも人気の高かった一発屋アイズ・オブ・マーチから「ヴィークル」(よくヴィーグルという人がいるけど駄目だよ。決して犬の歌ではありません。詩の内容はここでは言えないけど)
この曲はSTA初ライブからの十八番だったのですが、旭川の友人バンド、ヴィークルズが必ず演奏していたので遠慮して封印していたのです。
ところがそのヴィークルズが突然解散したとの知らせを受け、それならばこの曲は我々が継承していこう!と勝手に宣言して取り上げはじめたのですが、やっぱりこの曲はどこを切ってもグッとくるものがありますね。骨太なダンディズムをジュンがエモーショナルに歌いきりました(イントロでブラス隊が一人も吹かなかった時は思わずジュン&マサは目が点になりました。こんな突発事故は初めてだ。そこはそれで百戦錬磨の猛者たち、何事もなかったかのように淡々と演じきりました)。
マサのわがままでライブ2日前に急遽追加されたのがシカゴ初のミリオン「サタディ・イン・ザ・パーク」
まったくの予定外でしたが、この曲はすでに手馴れたものだし、誰が聞いても文句なしに絶賛していただけるでしょう。
「今日は何曜日?」「全国的に土曜日~~!!」「オーライ。じゃあ皆、この曲知っているかなあ??」
すかさずシンのシンコペーション・タッチのお馴染みピアノリフが平和を願うがごとく指先から紡ぎだされます。
この曲がはじまると必ず全員が手を叩いたり、踊ったりと自由気ままな一体感が訪れるのです。何故だろう・・・この光景は何度見ても唯一言シンプルに「ハッピー」と表現させていただきます。
4人目のボーカリストをマサが紹介します。ここまではコーラスとパーカッションを担当、全体のサウンド引き締め役を担ってきたミキティが満を持してスポットライトを全身に浴びるときがやってきました。
彼女の熱烈ファンもいてラブコールが早速聞こえてきます。「九州は福岡出身のミキを紹介しましょう!」「昼の12時にご飯を食べたけん、今物凄くお腹が空いとうと。皆、のりんしゃい!!」と博多弁でご挨拶。
「今、DOCOMOのCMでガンガン流れていてバンド内でも話題沸騰の曲、邦題は黒い炎!ゲット・イット・オン!!」
勢いよくケンの8カウントから、全員が一丸となってのリフ攻撃。
ドッと会場が沸きあがって最前列におしかける者も現れました。
ミキティは縦横無尽、曲にあわせて動き回り客一人一人を指差して猛アピールしながら歌いこみ。
時にはぶりっ子風、時にはヒステリックにね。シンのアヴァンギャルド・オルガンソロから火を噴く怒涛のエンディングになだれ込み、思いっきりじらしにじらしたケンの決めドラム。演奏しているこちらサイドもゾクッとして鳥肌が立っちゃうよ。
自主コンサートだから、ここいらでたっぷり時間をかけてメンバー紹介と洒落込みましょうか(マサはカミカミでしたが)。
ノブはハヤシ君から「紹介されたらギターソロ弾いてよ」と言われたのでワウワウペダルを踏んで自己主張。
ミユキの時にはステージ上の彼女と会場の仲間達とで、またまたコール&レスポンス(この勢いは手がつけられません・・・笑)
ミユキもスタミナあるねえ、感心、感心。
このメンバー紹介中ステージ後方に姿を現したのが、STAファミリーでもある前述の伊達からやってきたカシオペアカヴァーバンド「ダウン・アップ・ビート」ギタリスト、クッシーです。
AXIAクル君同様に愛器ヤマハの野呂一生モデルをスタンバイしてから舞台中央にマサから促され歩み寄ります。
皆、暖かい拍手を惜しみなく彼に贈ってくれたよ。全てが最高に素敵だ。
マサが画策したこの飛び入りゲストは、以前STAがよく行っていたもの。でもある時を境に「もう、スリルを感じない奴とは絶対にやらないぞ!」と封印したのです。でもこのタイミングで奇跡のセッションがどうしてもやりたくなってマサが持ちかけたら皆、大いに乗り気モード。
ただ札幌と伊達という距離もあり事前スタジオ合同練習は現実的に無理とのことで、マサがメールと電話で簡単に説明。
「イントロがこうこう、歌がああなってソロが適当にこうくる、エンディングはヨロシク!」てなアンバイ。
つまりステージ上でこれから一緒に演奏するというのに、初対面のメンバーがけっこういるわけです、OH MY GOD!!
でも強引なマサは気軽に言ってのけたさ。
「今何時くらいかな?夜も更けてきたからうってつけの曲、極上のミッドナイトソングで最後は派手に暴れてとどめを刺したいと思います!25OR6TO4!!」
ノブとクッシーによるツインギター炸裂。相性もスムーズでバッチリじゃん。もうお馴染みとなったこのコーナーではありますが、クッシーが加わった事で相乗効果を生みメンバー同士いつも以上にエキサイティングな現象が発生。
ジャンプし続ける者、パーカッションが壊れそうなくらいに振り続ける者、写真撮影に御執心な者(?!)ETC・・・。
マサは床に片膝ついたり、クッシーとがっぷり四つに組んだり、モニターに足乗せてみたり、片腕をグルグルと回転させたり、ダックウォークが飛び出したり、ベースのボディを股間に挟んだり、ネックを叩きつけたりと少しもジッとしていません(これじゃあトランスミッター、ケーブルや楽器が壊れるわけだよ)。
クッシーも「持てる技法を惜しげもなく指板にさらけ出して!」というマサからの要望にこたえるがごとく、アーミング、ライトハンド奏法、早弾き、トリッキーで珍しいプレイなどあらゆるテクニックを披露してくれました。それだけでも圧倒されるのに、ダメ押しとばかりに会場にまで降りてきて弾きつづけるのですからもう全員がお手上げですね。
するとその姿に触発されたのか、ノブがモニタースピーカーを乗り越えてやってきました。夢にまでみたツインギター・ソロバトル。火花散る攻防がここに完成。マサの構想を超越する出来栄え、あまりにも出来すぎです。後ろから見ていて「こいつら、けっこうやるじゃないか」とつぶやいたものです。
会場中が一体となってこのサウンドの塊に同化しています。(中には我を忘れてお口あんぐりの人も・・・)。
エンディングはマサがベースのネックを天井高く掲げて、そのまま最前列の客めがけて突き出しフィニッシュ。
おお!アンコールがかかりましたよ。「ありがとう!もっと大きな声で言ってくれないと聞こえないよ!!」
ノブはこのやりとり最中にはすでにギターでバッキングを刻んでいます。
この日の素晴らしい全ての事柄に感謝の気持ちを込めてメッセージを送りつつも、マサのカウントからシカゴ&ブラスロックのエッセンス100%凝縮ナンバー「イントロダクション」
これが聞けるとは夢にも思わなかった!という観客は狂喜乱舞。TB&TP&Gのリレー形式によるソロも痛快に通過。
初めて聞いた人はビックリだろうなあ。なんだ!?この緊張感漲るへヴィーロックは??って。ベルトーンによるエンディングもドラマティックに収まり、正真正銘これで全てが終了となりました。
マサからタイバン、オーナー&スタッフ、観客にお礼の言葉と拍手を贈って締めくくりました。
一人、まだやり足りないのかサックスを吹いている者がいて、AKB48の「へヴィーローテーション」がはじまっちゃたよん!!
STAメンバー全員が「いやあ、楽しかったよ!いい汗かいた!」と大満足。よくよく見てみると本当に皆汗ビッショリさ。
さて、ここからは同ホールが打ち上げ会場に様変わりします。
24人が参加。オーナーのご好意で格安料金にて美味しい料理&飲み放題なんだよ。
長い夜はまだはじまったばかり。
心地よい疲労感に満たされた体には水分補給、そしてご馳走に舌鼓を打つのさ。
宴もほどよく笑いに包まれながらお腹も満たされた頃、ビースト・バルコ・ジャムのメンバー達から「ブルース・セッションしましょう!」と持ちかけられました。
とてもレアな組み合わせでジャム開始。
ビースト・バルコ・ジャムからはトオル(G)&タカヨシ(VO),テヘペロからはジョル(DR),そしてSTA代表マサ(B)。
マサはスペアベースのハートフィールドを持ち出しました。ステージにおける10Mシールド使用はやっぱり足元にまとわりついてしまいますね。
ジュンからは「マサさんの、この姿は物凄く違和感ある。こういうのも弾くんだ!」と興味津々。
タカヨシはブルースハープも吹き出したのですが、これを見た味噌田楽のヒロリンが居ても立ってもいられなくなり、自前のブルースハープを手に合流。手ほどきを受けていました。セッション終了後も熱心にご教授賜っていました。
(けっこう、このライブレポートを読んでくれている人達がいるようで「まだ完成しないの?」とか「私のライブを詳細に書いてくれて嬉しいです」と連絡をいただいたりします。その言葉を糧に発奮、なんとか完成したよ!!)
SPECIAL THANKS TO・・・HITOMI&HIROLIN&HIKO&DOWN UP BEAT(MR,YOSHIDA&MR,KUSHIDA&MR,NARISAWA)&UFO(MR,OHMIYA)&MR,KUBITA&STUFF&HIRUNE-CHAN&NAKAJI&HIMESAMA&MR,AMIYA&MR,KURU&MR,BEHARU&MOMOTAROH&MR,ABE&COCA-COLA&MR,NISHIKATA&UNCLE CATS(MR,FUKUDA)!!