シカゴ 13からの12インチシングル「ストリート プレイヤー」
これは今で言えばマキシCDみたいなものかな?(ちょっと違うか・・・)。
元々、この12インチシングルなるレコード盤は業界向けにレコード会社がラジオ局などへ配布していた非売品が発端と私は聞いています。
1970年代後半から頻繁に出回りだし、マニアの間では争奪戦が繰り広げられたとか(今もね)。
なんたってレコード店には売っていないのですから。
内容はと言いますと、単純なジャケットに12インチ盤を封入。ちょっとしたプロモーション・コピーなどの用紙が添付されていたりもします(これ、あくまでも大体そういった感じのものがほとんどということで受け取ってください。なかには力の入った丁寧な作品も稀にあったようです。もちろん通常の7インチのほうが圧倒的に配布される数は12インチに比べて多いです)
時には盤の片面にだけ1曲、売り出したい曲が入っていて、B面には未収録、もしくはA&B両面に同一曲が入っていたりとかします。
絶対的にプレス枚数は少数、しかも一瞬で在庫はなくなってしまうわけです(あくまでも宣伝材料ですから)。
時にはインタビューやメッセージなども入っていたりとかね。
ところが70年代に、あのディスコ・ブーム到来。
レコード業界はそれ用に12インチを商品化する方向に動き出します。
長く踊れるように曲を長尺に編集。イントロ、ボーカル、コーラス、ソロ、エンディングをね。時には強引なくらいのツギハギやら、オリジナル音源にはないテイクをプラスしたり、とっかえひっかえエフェクター効果をどぎついくらいに加味してみたり。
もちろん、ビートを強調するために低音を効かせて、リズムパートのアタック音をフューチャー、グルーブをより演出。
レコード店でも12インチのコーナーを設け、新宿の世界的にも有名なレコード店街には12インチ専門店まで出現しました。
EP、LPよりもこの12インチシングルの方が音質は最高と言われています。12インチに少ない収録時間なんだから当たり前ですよね。
で、ちょっと話題性のあるシングルならば7インチと12インチが発売されるのが普通という販売網が確立。
あまり12インチとしては「???」というようなものまでも、話題性に便乗して発売される始末。
でもこの12インチは、けっこうレアな音源が含まれていることが多いのです。
それまでは、たいていメインの曲がA面に1曲。B面にはアルバムから2曲という感じだったのが、未発表曲、別テイク、ライブ音源、ときにはデモ音源などとコレクター泣かせなものまでが出現。一部の国でしか入手できない、なんていう場合は本当に泣いちゃいます。
今でもCD化されていない、12インチのみでしか聞けない曲が一杯ありますよ。
その後80年代になりCDの出現で、アナログレコードは過去のソフトとなってしまいました。
しかし今でもクラブではDJ達がターン・テーブルでのりのりにレコードを回し続けていますよ。
さて、シカゴも12インチレコードを多数発売していますが、残念な事に日本盤は1枚も発売されませんでした。
写真は、初の12インチで「ストリート・プレイヤー」(アメリカ盤)
スペシャル・バージョンです。
プロデュースはあのビリー・ジョエルをスーパー・スターにした故フィル・ラモーン。
シカゴ最大の問題作としてファンの間で物議を醸したアルバム「13」のトップを飾る曲です。この頃、数多くのバンド達がディスコサウンドを意識した曲を発表したりして話題を振りまいていましたが、シカゴも同様に「ディスコに走った」と言われたものです。
1979年12月発売。
ジャケットはなしで、レーベル面に「ディスコ・シングル」とバンド名よりも大きく書かれています。
ドラマーのダニー・セラフィンと弟分バンドのマデュラ、そしてこの時にはチャカ・カーン&ルーファスのメンバーとして大活躍していたデヴィッド・ホーク・ウォリンスキーとの共作。
同時期にルーファスでもこの曲を発表、アルバム・タイトルも「ストリート・プレイヤー」でした。
これは現在でも桁違いの高値で取引されています(値段はドンドンと高騰)。
また、クラブ系のミュージシャン達が、こぞってこの曲をサンプリングしてレコーディング。
その世界ではもっとも有名なシカゴの曲として重宝されているのです。
シカゴは何度も来日していますが、2012年の来日公演で遂にこの曲を日本初披露(EDIT
していましたが)、私も目撃した一人です。
ベース&ボーカル担当ジェイソンシェフの張り切りようは相当なものでしたね。現在のツアーでもセット・リストに組み込まれています。
ちなみにこの12インチシングルはあらゆるタイプが存在していますよ^_^。
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