そして満を持して舞台に上ったのは、札幌から小樽は2度目の登場となる彦ちゃん率いる「BLUECLOUD」
この男がまたまたやってくれました。
ワーカホリックの彦ちゃんがいるといないとでは、ライブイベントの雰囲気が全然違う。
そのくらいに有名なる名物男だ。
一体全体、彼はいくつのバンドを持っているんだい?
いやいや、考えるのはもうよそう。
そんな詮索は野暮ってなあもんだ。
だって、それを解説しはじめたら、それだけであっという間にここのスペースが埋まっちゃうもんね。
マサと彼とはもう16年ほどの付き合いになるんだねえ。
月日の経つのは早いものだ。
双方ともにSTA、TAKE・OFF(チューリップのカバーバンド)を結成したばかりで、スタジオリハでしゅっちゅう顔を合わせていた。
そして夢を語り合って切磋琢磨し合った仲。
酸いも甘いもかみ分けた盟友同志だ。
マサはほとんどSTA中心の活動だったのに比べて、彦は膨大なる多方面のジャンルに着手。
自主企画ライブなどを行いつつも、長年交流を重ねているのですよ。
だからこそ、そこから培った人脈も驚愕に値する。
バンド、音楽、ライブに対する取り組み方こそ違えど刺激を与えあっている。
良い相乗効果を発揮しているのではないでしょうか。
去年、遂に神秘のヴェールを脱いだ彦ちゃん率いる紫のコピーバンド「蝦夷紫」
あれは各方面に十分な衝撃を与えてくれた。
その後も相変わらず色々なニュープロジェクトを結成しているようなことは、本人の口からとか、噂、SNSで時々伝わってきていた(今後もレディシンガーをフューチャーしたジャパメタを披露する予定。そのためのリハに今月から取り組むようだよ。
一時たりとも歩みを止めようとはしない)。
で、今回のバンドだ。
初めて見たのが今年2月27日(日)の小樽雪明りの路だった。
成長した姿を早くも見れるだけに期待一杯だよ。
本イベントの目玉の一つ。
結果かい?・・・・もちろん想像以上に熱いパフォーマンスを繰り広げてくれた。
いやはやなんとも大した連中だ。
感服しちゃった。
このバンド名を聞いて即、ピンとくる人は相当のロック通。
伝説のジャパニーズ・ロック・トライアングル、ジョニー・ルイス&チャ―が世界を視野においた時点で改名したバンド名ピンク・クラウドにオマージュを捧げての命名。(ピンククラウドもプログレのカリスマ、ピンクフロイドにひっかけているんだろうね・・・・で、彦ちゃんは海や空のような青が大好きだからこのバンド名。
ギターにとどまらず車までブルーに統一という徹底ぶり)
日本一のギターヒーロー、チャーのファンは一般人以外に業界内でも多い。
まさに生きるカリスマだけど、現在だって現役バリバリだよ。
本家本元だけに、若いもんになんて負けてなんかいられないさ。
いつまでもギター小僧達のお手本となっていてほしいね。(ついこの間もZEPP札幌にライブで来ていたね)
マサとは数年前から知り合いの「虎の穴」(旭川のトリオ編成によるチャーのカバーバンド)が道内では有名なベテランだ。
でもねえ、マサがずっと可愛がっているイケメンのマルチミュージシャン、テッちゃんも実はマサのわがままなリクエストに応えてくれて、急ごしらえのピンク・クラウド・トリオ編成によるカバーバンドを単発結成してSTA企画「リブレーション」に出演してくれたのだ。
忘れもしない、あれは2014年1月25日の土曜日で、会場は今はなきヴィニーズバーだった。
ベースには懐かしの青木くん。
彼はひどい風邪をひいていてぶっつけ本番だったのだ。
でも強烈なサウンドを繰り広げてくれた。
バンド名は「レッド・クラウド」
そして今回は彦ちゃんの「ブルークラウド」だよ。(彦ちゃんとテッちゃんも知り合い)
皆、リスペクトし過ぎだ((´∀`*))!!
だからもちろん全曲チャーはじめ、JL&C,ピンククラウド珠玉のナンバーを盛大に取り上げています。
このバンドの曲は全然真新しいことはやっていないのですが、往年の古き良きロックが一番輝いていた時代の再現に努めてくれた貴重な存在でした・・・と私は解釈しているのですが。
編成は・・・・・ドラマーのサイジ君(コーラスも兼任。白いマスクと共にヘッドセットマイクを装着)、そしてサングラスはじめ全身が黒ずくめの職人チャッピー君がベースを担当。靴、パンツ、シャツ、アームレストが黒(チューンのブラックパーツ5弦。ナチュラルボディカラーでローズ指板。コーラスも兼任。黙々とフィンガーピッキングのプレイスタイルで貫き通す)
紅一点のキーボードにはハルちゃん。(ローランド06を使用。スタンドもキーボードも可愛い白一色で統一。)
そして、テクニカルなギタリスト・彦ちゃんによる4人衆。
ブルーは彦ちゃんのイメージ&ラッキーカラーらしいよ。
チャー同様にこだわりのムスタングギター(当然水色のボディカラー。ローズ指板。10年ほど前に入手したフェンダージャパンのチャーモデル。チューニングが狂いやすいのが課題らしい・・・・)
このバンドのために自らレースセンサー・ピックアップなどを交換してあちこちをお手入れしてパワーアップ。
スコアブックなんかも入手して、その都度フェイスブックにアップしていた。
そうそう、普段は眼鏡をしているのにチャーはしていないということで彦ちゃんも眼鏡なし。
これ、けっこうSNSに公開されていた写真から話題になっていた。
眼鏡なしでライブに臨む彦ちゃんの姿は初めて。これだけでもそうとうに貴重。
実は眼鏡なしでもピッキングには別段支障はないとのこと。
彼らからのメッセージが届いていますよ。
「チャーのピンククラウドを真似てブルークラウドのバンド名にしました!」
公開サウンドチェック時にはチャーのソロ代表曲とJL&Cの曲を演奏。
それでは前置きがそうとうに長くなってしまったから、そろそろライブレポートに突入しましょうかい。
「自分はチャーの大ファンです。今日は念願が叶いました。
やるからには徹底して取り組んでいきますよ。つまりギター&ボーカルを担当します!!大丈夫じゃあないけど、一応大丈夫です((´∀`*))」
そうなのだ。
彦ちゃんのコーラスは聞いたことがあるんだけど、本格的なボーカルはこのバンドで初めて聞いた。
これがなかなかにイカシテいる。
ビックリするくらいにね。
なりきりの度合いが凄まじすぎる。
チャーってギタリストとしての腕前ばかりにスポットが当たり気味だけど、実はボーカルも上手い。
いきなりハイトーンになるところが手強い。
これはとんでもないことになりそうな予感だ。
実力派のJL&C初期はヒッピー風ルックスだったのですが、やはりジミヘン影響大の「フィンガー」(アルバム・トライスクルに収録)がいきなりオープニングで飛び出しました。
オリジナル音源同様にアームダウンから「ギュイーン!!・・・・」
ズンズンチャチャ・・・・♪
のっけからテンションマックス状態。
最初から最後まで7TH#9で貫き通す頑固さ。
ここでは三位一体となったかっこいい独創的すぎるユニゾン・リフが延々と続くのですが「好きこそ物の上手なれ」とは昔の人はいいことを言いました。
すでにノリノリ。
ノイジーでラウドなギターに絡みつくリズム隊。
彦ちゃんはステージの前にまでせり出し、腰を落とし気味に大股開きで疾走感みなぎるソロ弾きまくり。
フィンガーボード上を素速く滑らかに、指が縦横無尽に駆け巡る。
この日の出演バンド中、一番ハードでヘヴィーなオオトリバンド.Jに負けないくらいの音壁が構築された瞬間だ。
エンディングでは何やら苦笑い・・・・。
サイケ・ムードを盛り込みながらもがっちりとフィニッシュ。(チャーは後方にギターを思いっきり放り投げていたねえ~~!)
「はい、どうもありがとうございます。1曲目から暴れまくったせいなのか早くも疲れました。」
何をご謙遜。
中々堂に入った存在感を示す。
皆、そう思っているはず。
やるじゃんかあ!!
「僕もね、メンバー達の迷惑を顧みずわがまま放題に好きなことをやらせてもらっています((´∀`*))半分くらいはさぼって弾いています」
バンドなんてそんなものさ・・・・。
「ちょっと何を歌っているのかわからないところも多々見受けられますが・・・・・((´∀`*))
チューニングタイムをください・・・ちょっと待っててね」
彦ちゃんとチャッピーくんがじっくりとペグを回しながら調整。
あれだけ派手にアーミングをぶちかましたら、そりゃあ音も狂うさ。
ジミヘン曰く「ライブはチューニングとの闘いだ!」
そうだろうなあ。
「オーケーです。無茶苦茶です。チャーがアイドル路線からJL&Cのロックに移行した時期に発表した曲をやります」
通受けしそうな、これまたテクニカル・ソング「ナチュラル・バイブレーション(限定のライブアルバム・フリー・スピリッツに収録」。
これもマサ&彦ちゃんのフェバリット・ソング。
理屈抜きに鳥肌物です。
タイトル&歌詞もユニークですが、延々と引っ張る変則的なユニゾンがやっぱり見せ場。
メインのフレーズは、な、な、なんと日本古来のお祭りや民謡のお囃子から拝借しているのは火を見るよりも明らか。
それが絶妙のタイミングでロック節に昇華されているんだから憎いばかり。
だからなのか、日本人の血が騒ぎ始めてて、どこからともなく自然と手拍子が沸き起こった。
踊らにゃあソンソン。
途中に差し込まれる合唱シーンでは、両手高々に掲げてオーディエンスを煽りまくる。
彦ちゃん益々嬉々としてチャ―になりきりのポーズ。
だってハット、ジャケット、シャツ、パンツ、靴を鮮やか過ぎるほどに白一色で統一しているんだから、そりゃあ気合の入り具合がうかがい知れるってなあもんさ。
またもや火を噴くギターソロ。
チャー本人はチューブスクリーマー、ブースター用のスタッフから借りたMAXONディレイ、それをツインリバーブとローランドJC-120に繋いでいた。
音の幅が圧倒的。
ルイズルイス加部(マーちゃん)のギターまがいなランニングベースも、恐ろしいまで常にウネリまくっていて最高。
MCも彦ちゃんの担当。
「はい、ありがとうございました。これまでの曲は知っている人は知っている、知らない人は知らないね(当たり前だのクラッカー!!((´∀`*))
これからもどん欲なまでにありとあらゆるものに挑んでいく所存です。何たって一度きりの人生ですから悔いの残らないようにね」
同感さ。
その意気込みは天晴。
「何かしゃべったほうがいいのかなあ・・・・?
ギターはペグを回せば音程の狂いを直せるけど、ボーカルは無理だもんなあ。
(と言いつつ、首横にあるはずもないペグを回す真似をする)
こんなコロナ禍の世の中ではありますが今日は予定どおりライブに出演できて良かったですよ。
え~と・・・・まだまだ続きますよ。
チャーではなく(ノ∀`)アチャーと言われないように気をつけなきゃあ・・・・(笑)
先月、そう言われちゃったもんね。
チャーは15歳の時からスタジオ・ミュージシャンとして食っていた天才。
アメリカに行ってメンバー探しをしてソロ・デビューアルバムを発表するも、クソも売れなくて嫌々ながらもアイドル路線にいっちゃうんだね。
時代はフォークブームだったんだから仕方ない。
でもファーストアルバムは本当に素晴らしい。」
3曲目はグッと雰囲気を変えてクリアなナチュラルトーンがどこまでも気持ちよく響き渡る「シャイニン・ユー・シャイニン・ディ(1976年リリースのデビューアルバム「チャー」に収録)
乾いたエフェクターがかかった都会風なギター・コード・カッティングが鳥肌立つほど癖になる。
初期の傑作ナンバーだ。
シングルカットもされていないのにね。
琴線震わされっぱなし。
こういうタイプの曲でもチャーのセンスはいかんなく発揮されるのだ。
当時のAORビッグヒット「ロウダウン(ボズ・スキャッグス)」にインスパイアされたそうだ。
チャ―流の解釈バージョン。
なるほど、そこかしこにそのテイストが見え隠れする。
でもしっかりとチャー風に料理されているところなんかは天才。
お洒落なフルートっぽいフレーズは、ハルちゃんが華麗に再現していたよ。
彦ちゃんとマサの意見が一致したJL&C最高傑作捨て曲なしライブLP「フリー・スピリット」最後にもこれは収録されているんだよ。
即席バンドだよ、と言う割には超難易度の曲ばかりを気合十分にセレクト。
「まさに今日のような天気の曲ですね。
慣れないことをやるとこんなにも滅茶苦茶に疲れるんだね。
緊張もしているし・・・・(そんな風には見えないけれども)
一歩でも1メートルでも憧れのチャーに近づきたい、というがもっかの夢であります。
このような立派な会場と皆さんから力をもらってね。
それでは次の曲は・・・・・
チャーがアイドルをやるしかなかったという不本意ながらもスマッシュヒットしたという・・・・・なんだっけ?
消防士?介護士??・・・親父ギャグのボケ。」
観客「何を言ってるんだか、わからないぞお!((´∀`*))」
「これって必要以上に受けるとダメなんだよね。
もちろん滑るというのは論外。
微妙に受けるのがいい。
合格かな??((´∀`*))
・・・・闘牛士!!」
歯切れのいい軽快でキャッチーなるギターによるコード・カッティングのイントロが響いた瞬間、ほろ苦くも甘酸っぱいトキメキを感じたあなたの気持ちが良くわかりますよ。
あれだけで、掴みはバッチリとオーケーさ。
ナルシストの彦ちゃんは嬉々としてプレイに専念しています。
ポーズも決まっている。
己の演じる姿に酔いしれているかのようだ。
羨ましいくらいに何でもこなせる技をフルに発揮できるんだから幸せな男。
バックのプレイヤーたちも的確に支えてながらも主役の彦ちゃんも延々と盛り立てているよ。
だから彦ちゃんも安心してギターとボーカルに没入できるのさ。
歌謡ロック最初の成功例でもあるチャーの記念碑的な曲をよく理解したうえでのセレクションなんだろうなあ。
本質は売れ線なんだけど、しっかりとかっこいいチャーのカラーは、微塵も損なわれることもなく主張しているところなんかはさすがだ。
「次回は消防士という曲を作って披露しようかなあ。
最後はお約束の彦ちゃんによる紹介で「これが最後の~♪・・・・っていう歌があったよね!?小林麻美さんの。
俺、ファンだったんだよなあ。
誰も知らない?ああ、これは関係のない話だよね。
それでは、チャーをやっているからにはこれをやらないと絶対に許されない、とまで言われた・・・・・煙たい曲です。いきますよ!YEAH!!」(チャ―もMCで言ってました)から抜群に映える「スモーキー(1976年リリースのデビューアルバム・チャーに収録)」でとどめを刺す。
チャ―名刺代わりの代表曲でもあり、そのスリリングなイントロひとつをとってもギター教則的ナンバー。
ギタリストならば、必ずコピーしたであろう超絶技巧のイントロ。
チャー自身も思い入れが強いだけあって、何度もレコーディングしている。
リズムだってファンキーで鋭いんだよ。
今聞いても、ちっとも古臭くない。
永遠に新鮮な轟きを放つんだろうなあ。
油断していたら、すぐにでももたついてしまうジャジャ馬のようなチューン。
ここいらも頑張ってブルー・クラウドは奮闘。
特にマーちゃんのベース奏法は特徴あるピックとスラップを多用してセンスみなぎるラインを形成。
独創的なボトムをキープしているのですが、チャッピーくんはそこをも忠実に応えていました。
チャッピー君のベースプレイはこれまで何度も観ていますが、この日の彼は群を抜いて光っていました。
はっきりいって今まで見た中でも出色の出来で後光を放っていた。
それまでニコヤカに淡々とおしとやかなプレイに徹していたハルコちゃんが男顔負けなキーボード・ソロを突き付けてきた。
惚れ惚れするほどにね。
難解な奏法に加えてボーカルも全曲担当していた(チャ―ってけっこうキー高い!)彦ちゃんの一撃。
しっかりソロの個所では、度々フロントにせり出してサービス。
見事なステージ・パフォーマンスね。
彦ちゃんがこよなく愛する日本が生んだ世界のギター・ヒーロー、チャ―はやっぱり才能が半端ではないですね。
余談ながらデビュー時のチャーは「ツイスト、原田真二とでロック御三家」と呼ばれていてメルヘンチックな歌謡曲ロック路線をひたすらに邁進していたんだよなあ・・・・・抵抗があっただろう。
ロックだけでは食えないジレンマ。
不本意だっただろうに、今となれば笑い話。
「お疲れ様!!」
彦ちゃんが全ての演奏を終えマイクに向かって「この後も素晴らしいバンド達が続々と登場。
派手に決めてくれますので楽しみにしてください!準備ができるまで皆で飲んで食べて踊って歌おう!」。
MCにも優しい人柄が垣間見えて好感度アップ。
ほとんどたいした練習もしていなくて、リハの回数もけっこう少ないのに、グルーブうねりまくり。
ライブを終えた彦君がチャッピーくんを連れてマサのところに来ました。
「尺が違うままに演奏していたさあ((´∀`*))」
大丈夫。
そんな細かいことなんて、あの勢いの中では消し飛んでいたよ。
チャ―に対するリスペクトがふんだんに溢れまくっていて、感動的なくらいだった。
チャレンジ精神旺盛なことは良いことさ。
皆も見習いたまえよ。
日寄った態度で頭でっかちな屁理屈ばかりたれている輩どもに、少しは彦ちゃんの爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいくらいだ。
その後もしばらくはお互い気恥ずかしくも懐かしいチャーの思い出話に華が咲きました。