世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

Midnight Car Trouble

2019年12月18日 | 100の力
それは日付が変わろうとする

深夜に起こった。


時折小雨が降る

季節外れの温かさを伴った夜だった。


しかも、誕生日前夜。





カラオケ屋で行われた忘年パーティの帰り、

ボクたちは駐車場へと向かった。


車のキーを出そうと

おもむろにジャケットのポケットをまさぐった。

ない。


ジーンズのポケットも。

ない。


あれっ?

どこに入れたんだろう。


バッグの中もまさぐった。

バッグにしまった覚えはない。

当然ない。


どこかで失くした(落とした)のだと認識するまでに

そう時間はかからなかった。


スペアキーもない。


車の鍵だけでなく、

家の玄関の鍵を含め

5~6個、鍵束丸ごと失くしたのだ。




さー、

どうしよう。


とりあえずロードサービスだ。


えーと、

ロードサービスの電話番号は…?


スマホでググる。

ナントかフリーダイヤルを見つけ、

繋がった。


状況を説明する。


解錠は無料だが、

キーの作成は有料だという。


仕方がない、この際。

覚悟を決める。


待つ間

何処で落としたのだろうかと思いを巡らす。


とりあえず気休めに駐車場のゲートあたりを探してみるが、

無い。

無い、

無い、

ない。


雨も上がり、

ジャケットを脱ぐほどの異様な生暖かさが

救いだった。



待つこと30分ほどで、

鍵屋さんが来てくれた。


いとも簡単に解錠。


ドアは開いた。

ちょっとホッとする。


当然、車の中には落ちていない。


「15000円かかりますが、

鍵を作っていいでしょうか?」

鍵屋さんは気の毒そうに聞く。


この際お願いするしか手だてはない。


30分ほどかかるらしい。

鍵屋さんは道具を用意している。


ボクたちはもう一度料金ゲートあたりを

期待することなく探してみた。


そしたら、

彼女が、

暗がりの片隅に何かを発見。


「これじゃない?」

「あー、それだーツ!!」


同時に、

「待ったッ!!」

ボクは鍵屋さんに大声で叫んだ。


間一髪、

間に合った。


鍵束は15時間ほど雨に打たれながら

誰からも拾われもせずここで待っていたのだ。


そしてそれは

日付が変わって、

彼女からの嬉しい誕生日プレゼントだった。


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