【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

【広原盛明氏の言説にまなぶ】 櫻井 智志

2019-01-27 20:10:33 | 転載
Ⅰ:転載
枝野代表の狙いは何か、統一地方選と参院選を控えて野党共闘はどうなる(1)
2019年参院選に向けた連合・立憲民主党・国民民主党の政策協定の内実、統一地方選と参院選を控えて野党共闘はどうなる(2)
参院選京都選挙区の候補者擁立をめぐる立憲民主党と国民民主党の暗闘、統一地方選と参院選を控えて野党共闘はどうなる(3)
参院選京都選挙区、立憲民主党・国民民主党は「共倒れ」するか、統一地方選と参院選を控えて野党共闘はどうなる(4)
Ⅱ: 私見
(五回でシリーズ構成、私見は(5)を拝読してからまとめる予定です。)



【広原盛明氏の言説にまなぶ】Ⅰ:転載
枝野代表の狙いは何か、統一地方選と参院選を控えて野党共闘はどうなる
(1)
2019-01-19
12:33

 今年4月の統一地方選と夏の参院選を真近に控えているというのに、野党共闘がいっこうに進まない。近く野党間の話し合いが持たれるというが、同床異夢もいいところだから誰もすんなりと話がまとまるなどとは思っていないだろう。このままでいくと安倍政権の存続に手を貸すと皆が分かっていながら、ズルズルと時間だけが流れていくのではないか。野党共闘が進まない原因ははっきりしている。それは、最大野党の立憲民主党の思惑がそこにないからだ。

 今年に入ってからの各紙の論調も悲観的だ。とりわけ、読売・産経・日経などの与党系メディアは意識的に「野党共闘悲観論」を流している。また、その方が現実の姿に近いだけに妙にリアル感がある。一方、共産党は「本気の共闘」を必死で呼びかけているが、真面目な主張でありながら宙に浮いた感じが拭えない。共闘は相手のある話だけに、相手がその気にならなければ実現不可能だからだ。

 「一寸先は闇」の政治の世界のことだから軽々な予測は慎まなければならないが、野党共闘が進まない現状(原因)を分析することは重要だ。正確な現状分析がなければ選挙戦術を立てることはできないし、イケイケドンドンの精神論だけでは有権者の心を掴むこともできない。野党共闘の重要性を訴えるにしても、それを実現できる条件や可能性に関する的確な分析が伴わない限り、誰もが疑心暗鬼になり信用してくれない。黙って付いていくのは「死の行軍」も厭わない信者集団だけだ。

 現時点で求められるのは、野党共闘のカギとなる立憲民主党とりわけ枝野代表の行動分析である。しかし、この点に関しては各紙とも表立った評価を避けているように見える。枝野代表もその「あいまい状況」に便乗してキチンとした態度表明をしていない。だから、ますます彼が「何を考えているのか」がわからなくなるし、真面目に野党共闘を考えようとする世論も盛り上がらない。

 おそらく枝野代表の狙いもそこにあるのではないか。表向きは野党共闘に期待を持たせながらこのまま「あいまい姿勢」を続け、選挙前の土壇場になって「この指とまれ」の方針を打ち出す算段なのだろう。つまり、枝野代表の念頭には当面「安倍政権打倒」などの政治目標はなく、参院選を通して立憲民主党の政治基盤を確立することが全てだということだ。

だから、枝野代表の基本戦略は、
(1)自らの行動の制約になるような野党間の政策協定は結ばないで「フリーハンド」の立場を維持する、
(2)候補一本化に際しては相手の譲歩は迫るが、ギブアンドテイクの交渉はしない(自らは譲歩しない)、
(3)立憲民主党の党勢拡大が実現し、政治基盤が確立した段階で次の政権構想を考える――と言うことになる。
 隔靴搔痒の野党論評の中で、比較的明確な視点を打ち出しているのが今年1月5日付の読売新聞だ。「枝野氏『脱リベラル』、左派連携『限界』、無党派に照準」と題する当該記事の中には、幾つかの注目すべき指摘が含まれている。

 第1は、記事の元になった枝野代表の記者会見が1月4日の伊勢神宮参拝時に行われたものであるということだ。安倍首相以下自民党首脳部は、例年仕事始めの1月4日に伊勢神宮参拝を恒例としているが(今年も参拝した)、枝野代表もそれに倣って参拝したという。おまけに蓮舫副代表、福山幹事長などの幹部も同行しており、立憲民主党は1月4日、枝野代表らの伊勢神宮参拝をツイッターの党公式アカウントで報告している。党としての「公式参拝」であることは明らかだ。
だが、このツイッターは党支持者から激しい批判を浴びた。参拝を批判する投稿が瞬く間に千通余りに達し、「支持層に背中を向ける行為、伊勢神宮なんか行かずに(沖縄県名護市)辺野古に行くべき」「自分たちが保守であることを強調したいようだが、それが支持拡大に貢献するとは思わない」「政教分離はどうする?内閣総理大臣になったら参拝する?」などの批判が渦巻いたという(産経1月18日)。福山幹事長は1月15日の記者会見で「個人としての資格で参拝した。党代表の行動、活動を(公式ツイッターで)お知らせしたということだ」と釈明したが、これなどは自民党閣僚が靖国神社参拝時に使う口実にそっくりで、体質までが自民党に似てきたとさらに火に油を注ぐ結果になった。

 第2は、記事の重点が、枝野代表の政治信条が「保守本流」にあることの確認に置かれていることだ。このため、同紙は枝野代表の「自分は保守本流」とのこれまでの言明を紹介し、それを裏付ける行為として、自民党元閣僚を含む衆院会派「無所属の会」議員を立憲民主党に迎え入れた今回の決定を挙げている。また、枝野代表が「リベラル」と称されがちな党の色を薄めようと情報発信を強化していることを指摘し、その一つが今回の伊勢神宮参拝だったことに言及している。

 第3は、枝野代表のこのような行動の背景にあるものとして、立憲民主党の選挙情勢分析の基礎に「左派連携限界説」があることを指摘している点である。枝野代表をはじめ立憲民主党幹部の間では、夏の参院選においては「無党派層への浸透が不可欠」であり、「リベラル系の支持だけでは万年野党にとどまる。ウイングを広げたい」との考えがあるのだという。これだと国民民主党と何ら変わらないが、問題は結党時に掲げた政策とズレが生じることだ。「そもそも立民は、『寄り合い所帯』と評された民主党や民進党とは対照的に、主張を先鋭化させることで強固な支持を取り付けてきた経緯がある。党内には『ぶれたと受け止められれば支持は離れる』(幹部)と懸念する声もある」との内部事情があるからである。

 紙面では明言していないが、読売新聞の論調は日経新聞などと同じく、連合が推進する立憲民主党と国民民主党の連携であり、それに伴う従来政策の修正(変更)であろう。①原発ゼロ、②消費税反対、③米軍普天間飛行場の辺野古移設反対といった従来の政策を維持するのか、それとも修正して別の政策を掲げるのか「はっきりしろ」と迫っているわけだ。

 ここからは私見だが、立憲民主党が従来の政策を修正すれば、有権者からは「国民への裏切り」として激しいバッシングを受けることは確実だろう。といって、ゆくゆくは「保守本流政権の樹立」を目指す枝野代表らが、その足手まといになるような政策協定を共産党らと結ぶがはずがない。そこで当面の選挙戦術として浮上するのが「あいまい路線」の継続だ。いわば「リベラル政党」との建前を当面維持しながら、政策協定抜きの野党共闘を進め、結果として次のステージへ駒を進めるというシナリオである。果たしてこんな見え透いた田舎芝居が通用するか、今後の推移を見守りたい。

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2019年参院選に向けた連合・立憲民主党・国民民主党の政策協定の内実、統一地方選と参院選を控えて野党共闘はどうなる
(2)
2019-01-21 05:45

 連合は昨年10月10日、立憲民主党、国民民主党と2019年参院選に向けた連携の覚書を交わし、11月30日には両党それぞれと同内容の政策協定を締結した。朝日新聞(2018年10月12日)によれば、覚書の要点は以下のようなものだ。

(1)立憲民主党、国民民主党、連合は、次期参院選の重要性を踏まえ、与党を利することがないよう、各選挙区における野党間の事前調整の必要性を共有する。それを前提に、連合は両党と政策協定を締結する。
(2)両党は、可能な限り早い段階から候補者擁立について連合・地方連合との話し合いの場を持つ。
(3)1人区では、与野党の1対1の構図を確立すべく、候補者擁立の段階から1人に絞り込む調整が必要との認識を共有。
(4)1人区、複数区ともに、両党いずれかの候補者に絞り込まれた場合には、両党それぞれによう推薦・支援を含め、連合の組織力を最大限発揮しうる環境を構築する。

 問題は政策協定の中身だが、連合のホームページにはその内容が掲載されている。誤解を招かないように、前書きを除いて主要部分を再掲しよう。
タイトルは「『つづく社会』『つづけたい社会』の構築に向けて~その実現を目指し、あらゆる政治・政策資源を発揮~」というもので、主文は次の3点及び確認事項から構成されている。

〇我々は、すべての人へのディーセントワークの実現、持続的で健全な経済成長、負担の分かち合いと社会の分断を生まない再配分、そして、多様な価値観を認め支え合い、誰一人として取り残さない活力にあふれる共生社会を基本理念に据える。
〇その上で、年齢や性別、障がいの有無にかかわらず、誰もが安心して働き・暮らすことのできる社会保障制度の再構築に全力を挙げるとともに、負担を将来世代に付け回さず、公平・公正に分かち合うための責任ある財政の確立をめざす。
〇本政策協定の意義を踏まえつつ、個別課題の具体化については、立憲民主党(国民民主党)と連合とで十分かつ緊密な協議を行う。

以上の内容に立憲民主党(国民民主党)が合意することを確認し、連合は第25回参議院選挙において立憲民主党(国民民主党)を支援する。なお、与党を利さないため、各選挙区における野党間の事前調整の必要性を共有し、各支援団体の組織力を最大限結集し得る環境を連携・協力し構築する。

 読めば一見してわかるように、この政策協定は美しい言葉で理想社会の姿を謳い上げているものの、それを実現するための政策の中身にはほとんど触れていない。そこには国政の基本である憲法、原発、安全保障などに関する態度表明もなければ、安倍政権に対する批判もない。この程度の内容を「政策協定」というのであれば、自公両党が選挙時に「住みよいまちづくりを進めます」「暮らしやすい地域社会を実現します」「みなさんとともに頑張ります」と連呼する(空虚な)内容と何ら変わることがない。

 要するに、この政策協定では主文も前書き程度の意味づけしかなく、言いたいことは、確認事項の「次期参院選において連合は立憲民主党と国民民主党を支援する」「両党は各選挙区での事前調整を行い選挙協力する」と言うことに尽きているのである。いわば政策抜きの「選挙支援協定」であり、政策抜きの「事前調整協定」というわけだ。

 それもそのはず、この「政策協定」を主導したのが他ならぬ神津連合会長なのである。神津氏と言えば、前原氏とともに野党第一党を解体した「A級戦犯」であるはずだが、そんな人物があたかも何事もなかったかのように(口を拭って)今度は分裂させた両党の選挙協力に乗り出すのだから、呆れてものが言えない。彼の辞書には「道義」や「信義」といった言葉がどこにも見つからないのだろう。

 加えて、神津連合会長の上を行くのが「超A級戦犯」の前原氏だ。前原氏は代表の座にありながら野党第一党の民進党を解体するという前代未聞の行動に出たが、結局、保守第2党の結成に失敗し、志半ばで地元京都へ戻ってきた。しかし「転んでもただは起きぬ」前原氏のこと、今度は国民民主党京都府連の結成大会を開いて新会長に収まり、「もう一度、京都から現実的な政策を掲げる政党が競う二大政党制をつくるため、原点に戻り頑張りたい」と述べたという(京都新聞2018年8月20日)。

 前原氏は、自らを党分裂の「戦犯」と反省しつつ会長に就いた意義を強調し、野党共闘についてはこうもいったと言う。「私と(立民幹事長の)福山哲郎さん(参院京都選挙区)がもう一度手を握り、京都から非自民非共産の野党結集を図りたい」。同席した玉木共同代表も「選挙と国会対応は(立民と)一枚岩でやっていくため最大限努力する」と訴えた(同上)。こんなこともあって神津連合会長が両党の手打ちに乗り出したのであろうが、その後の京都は参院京都選挙区の候補者擁立をめぐって修羅場状態が続いている。

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参院選京都選挙区の候補者擁立をめぐる立憲民主党と国民民主党の暗闘、統一地方選と参院選を控えて野党共闘はどうなる
(3)
2019-01-23   05:09

 連合が立憲民主党(立民)と国民民主党(国民)に対して、次期参院選に向けた連携の覚書を交わすための折衝を続けていたちょうどその頃、毎日新聞(京都版)は10月24日、「国民 前原氏秘書擁立へ、参院選 立民との調整決裂」と立民・国民両党の決裂をすっぱ抜き、国民候補の擁立を伝えた。国民京都府連は10月23日、松下政経塾出身の前原氏秘書・斎藤氏(会社員、33歳)の擁立を決定し、24日に党本部が公認決定した。

 同紙によれば、国民京都府連幹部は「今月(10月)上旬に府連として候補者を決定した後も(立民と)調整を続けたが折り合えなかった」と説明し、別の幹部は「単独候補を擁立するなら選挙まで時間がないので決定した。今後も一本化に向けた話し合い自体は続けたい」とも話している。国民京都府連はその後10月26日に候補者擁立を公式発表し、連合京都もこの日に開いた地方委員会で国民候補の推薦を報告した。連合京都は7月以降、立民・国民両党に候補者一本化を求めてきたが、10月の期日までに候補者を決定したのは国民だけだったので、国民新人を唯一の推薦候補に決めたというのである。

 連合京都会長は地方委員会の席上、国民候補の推薦について「5年前、共産党に渡してしまった議席を奪還するためにも、連合京都は一本化でないといけない」と強調し、現時点では国民候補を唯一の推薦候補として戦う方針に理解を求めた。神津連合会長も出席し、「野党が力を合わせる姿とともに候補者擁立が進まないと、国民には一強政治打破への実感がわかない」と挨拶し、「参院選まで8カ月しかなく、京都の決断は極めて大事」と激励した(京都新聞2018年10月27日)。

 これに対して、委員会に来賓として出席していた立民京都府連会長の福山幹事長は、「大変残念な結果になったと言わざるを得ない。立憲は京都の野党第一党であり、国民に選択肢を示すのが政党の責務。なんとか選挙区の候補を擁立したい」と反発した。立民は京都選挙区での候補者擁立を進めるとともに、連合京都に対しては立民と国民民主党の双方に推薦を求めてきたからだ(同上)。

 察するに、神津連合会長は中央レベルで立民・国民の連携工作を進めてはいるが、立民側の煮え切らない状況を打開するため、京都で国民単独候補の推薦に踏み切ったのであろう。だが、その意向は立民に通じなかった。福山幹事長は11月18日の立憲民主党京都府連の設立大会で、「立憲は昨年衆院選の京都で共産党を上回る比例票を得た。選択肢を示さないのはあり得ない。年末までに候補者を発表したい」と独自候補を擁立する考えを強調したのである(京都新聞2018年11月19日)。

 そしてそれから1カ月近く経った12月12日、立憲民主党は次期参院選京都選挙区においてLGBT支援活動に取り組む増原氏(女性、40歳)の擁立を決め、福山幹事長が増原氏と同行の上、連合京都に対して推薦を求めた。16日には枝野代表の同席のもとに公式発表するとした(朝日新聞2018年12月13日)。

 12月16日に京都入りした枝野代表は記者会見を開き、野党各党との連携のあり方などについて改めて立憲民主党の態度を表明した。以下はその要旨である(京都新聞12月18日)。

(1)京都選挙区での候補者擁立について。「京都には福山幹事長(参院議員)、
山本衆院5区支部長(衆院比例北陸信越)がいて全国の中でも足場が強く、最良の候補者も決まった。これで勝てなければ他の選挙区では厳しい。確実に取りにいく」
(2)国民民進党と戦うことについて。「別々の道を歩んで、別々の党である以上、複数区では野党が切磋琢磨しないと自民党一強を変えられない。どこにあっても複数区では立てていく」
(3)政権獲得に向け、他党との連携や合流の在り方について。「大事なことはぶれないこと。有権者は『政党の離合集散』を『選挙目当てで理念政策を曲げること』だと受け止めている。昨年の(旧民進党が旧希望の党に合流した)課程で学んだ。従って、他党との合流や合併、再編にはくみしない」
(4)二大政党制下での政権交代可能な大きな塊について。「小選挙区制が二大政党化を促すといわれたが、制度導入後の政権はすべて連立政権だ。立憲単独政権は望ましいが、それよりも各党の違いを国民に示しつつ、連携する時は連携したい」
(5)参院選1人区で野党統一候補の擁立を呼び掛けている共産党を連立政権に含めることについて。「安倍政権に対する中間評価として一騎打ち構図をつくるため、1人区では野党の一致を目指しているが、政権を共有することとは全く違う次元の話だ。(連立に向けては)現段階で予断を持って話すべきではない。ただ、わが党は理念政策の筋は曲げない。自衛隊は合憲で日米安保は堅持、(象徴天皇制を定める)憲法1条もこのままでよいと思っている」
(6)政権交代の時期について。「民主党政権時代、多くの議員が初めて政権運営を経験し、どんどん慣れていく過程を見てきた。再び経験のない者が一からやると混乱する。だから、あの時に政権中枢を担っていたメンバーが最前線で仕事をしている間に政権をとらないといけない」

 このインタビューでは、枝野代表の野党共闘に関する意見およびその背景にある政権構想についての考え方がよく出ている。この調子では立民と国民の候補者一本化はありえず、自民党及び共産党の現職と対決する激戦となるが、その行方についても考えてみたい。(つづく)

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参院選京都選挙区、立憲民主党・国民民主党は「共倒れ」するか、統一地方選と参院選を控えて野党共闘はどうなる
(4)

2019-01-25    03:54

 参院選京都選挙区の立憲民主党と国民民主党の候補者が並立する中で、国民民主党関係者や連合京都はもとより、メディアの間でも両党候補の「共倒れ」の可能性が囁かれている。連合京都会長は昨年10月に国民候補の推薦を機関決定しているにもかかわらず、1月11日に開いた新春旗開きでは「立憲、国民には候補者一本化の協議を改めて要請したい」と異例の呼びかけを行った(各紙、2019年1月12日)。

 過去3回(2010年、13年、16年)の参院選京都選挙区の党派別得票率の推移を見ると、自民28%、37%、40%、民主43%、19%、37%、共産17%、21%、20%となり、自民・共産が組織票によって比較的安定した得票率を維持しているのに対して、民主の得票率はその時の政治情勢による変動幅がかなり大きい。民主は無党派層などの浮動票に頼る割合が大きく、このためその時々の政治情勢の影響を大きく受けるのである。
 前原氏も福山氏もこのことはよく承知しており、無党派層の支持をどう獲得するかが選挙戦のカギになると考えている。だがこの点、前原氏の歩はいささか(というよりは非常に)悪い。野党第一党を解党に導いた記憶は有権者の間でいまだ薄れていないし、国民民主党の世論支持率も著しく低い。前原氏自身も(表向きは)民主党解体の「戦犯」であることは認めざるを得ない十字架を背負っており、無党派層の浮動票頼みだけでは勝てないことは十分に承知している。だからこそ、「共犯」関係にある神津連合会長の後押しで、連合京都の組織力にすがるほかないのである。

 これに対して、福山氏は強気一方だ。彼が主導して発掘したレズビアンを公言する女性候補を、社会の多様性を重視する党の象徴的な候補と位置づけ、無党派層からの大量得票を見込む。立憲民主党の世論支持率が高いことも選挙戦を戦う上での有利な条件であり、京都選挙区が立憲民主党の「必勝区」となっていることからも、選挙戦においては幹部多数の応援も期待できる――というわけだ。

 枝野代表や福山幹事長からすれば、参院選京都選挙区での戦いは前原氏の牙城を切り崩す絶好の機会でもある。枝野代表はこの間、国民民主党から国会議員を引き抜くことで同党の弱体化を着実に推し進めてきているが、参院選京都選挙区では国民との連携を拒否して前原氏の影響力を一挙に削ぐ方針であることは間違いない。国民候補が惨敗すれば、前原氏の政治力は一気に低下し、次期衆院選での自らの議席確保も容易でなくなる。立憲民主党による国民民主党解体作戦の第一歩が、実は参院選京都選挙区での戦いの本質なのである。
 立憲民主党の女性候補の擁立は、共産党現職の女性候補にとっても侮れない強敵となる。性的少数者(LGBT)の代表として若い女性候補が登場するとなると、昨今の世論状況から見て選挙戦の流れが一挙に変わることも十分にあり得るからだ。それに共産現職は自民現職のように盤石の票田を持っているわけでもなく、2013年参院選の得票率は21%にすぎない。共産候補の議席は、維新候補が16%を得票することによって民主候補の得票率が19%に沈んだ結果、相対的に獲得したものにすぎない。いわば「漁夫の利」による勝利であり、真っ向勝負による当選でないことを十分考慮に入れておかなければならない。

 このような複雑極まる京都の政治情勢から考えると、「絵に描いたような野党共闘」あるいは「本気の野党共闘」が全国的に直ちに実現するとはおよそ考えにくい。地域によっては1人区で「政策協定付きの野党共闘」が成立することがあるかもしれないが、そんな事例はごく少数にとどまり、多くの選挙区で候補者一本化が実現したとしても、単なる棲み分けによる「名ばかり野党共闘」に落ち着く可能性が高い。次期参院選は「野党共闘」という名の政党間の駆け引きが主たる側面であり、本格的な野党共闘には程遠い。

 昨年12月25日付の朝日新聞の解説記事「『多弱』野党 進まぬ共闘」は、野党共闘の複雑な局面を分析していて面白い。この中で立憲幹部は「国民は来年の参院選までの政党。今後起こるのは弱肉強食だ」「まずは参院選で国民を解体し、政権との対決はその次の衆院選」だとする「立憲の2段階戦略」を展開している。枝野代表や福山幹事長の言動を見れば、この2段階戦略はあながち荒唐無稽な噂話とは思えない。

野党共闘の「フィクサー」といわれる小沢自由党代表の動きもまた複雑だ。ある時は「立憲、自由、社民3党による統一会派構想」を打診したかと思えば、次は踵を返して国民と「非共産、非立憲」の統一会派結成を画策する。また、橋下氏と前原氏の定期的な会食にも参加して橋下氏の政界復帰を促すなど、その行動は変転極まりない(同上)。小沢氏が政界から退場する時期はもうそこまでやってきている。

今後、参院選が近づけば近づくほどこのような動きが一段と激しくなるであろうが、好むと好まざるにかかわらず、最大野党である立憲民主党の「2段階戦略」に沿って事態が展開するように思える。そのシナリオはどのようなものか、推測を交えて考えてみたい。

(1)枝野代表の政権交代構想は、「安倍政権打倒」ではなく「ポスト安倍政権奪取」に向けられている以上、夏の参院選では「政権交代」のための野党共闘を構築する必要はなく、立憲民主党の党勢拡大に利するものであればよいと考えている。
(2)このため、政権交代を求めて野党間の本格的な政策協定を主張する共産党とは形式的な話し合いに止め、結果として候補者の一本化が実現すればよいと言うのが本心であろう。立憲民主党にとっては、前回の衆院選のように共産党が一方的に候補者を降ろして共産支持票が立憲民主党に流れる状況をつくるのが「最高の形」であるが、それが実現しなくても「リベラル政党」としてのイメージを維持しながら実質的な棲み分けができればよいのである。野党共闘は、立憲民主党が「リベラル政党」としての衣をまとうためのパフォーマンスである側面が大きい。
(3)次期参院選あるいは衆参同日選で立憲民主党が躍進すれば、国民民主党を始め自由党、維新の党などの第三勢力は自ずと消えていくものと考えられる。政界が「保守」「中道保守」「革新」の3潮流に再編され、立憲民主党が「リベラル政党」から「中道保守政党」へ衣替えする時がやってくる。その時から「保守(の一部)」と「中道保守」の連携を通して「保守本流政権」を構築するための政党再編が始まり、立憲民主党がその中核となる――これが枝野代表の抱く政権構想であろう。[つづく]

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〔今回はここまでで了〕写真は京都府立大学学長や2004年2月8日の京都市長選挙立候補の頃の写真です。



【日本歳時記2019・1・26】~TBS報道特集~  櫻井 智志

2019-01-26 22:56:04 | 政治・文化・社会評論



最近あまりに頻発する地震に、かりに「地震発生装置」のような技術が開発されることがないだろうか、と私は思う。むろん現実的には、日本列島全体が多くの断層があちこちにあることが明らかになってきた。原発廃棄の方向にむかった国際社会に比べ、日本の現在の政治に自然災害のように危うさをおぼえる。事故を起こした日本の原発製造産業に、諸外国は懸念をいだきとうとう安倍総理セ-ルスはことごとく頓挫。日立製作所会長の公的発言はホンネとして記憶される。

❷ 

「アベノミクスで景気はよくなり、GNPはここ数年間の最高値。労働者は豊かな暮らしだ。」安倍総理の発言は、相当出鱈目な数値に基づくものとわかった。韓国や欧米では国民が政権打倒でたちあがっている。いつから日本国民はこのような腐敗不正政に怒りも忘れたか。隣国の韓国では、圧政に立ち上がって軍隊によって殺されて壊滅的虐殺をみた光州市・・だが、「光州事態」が引き金となって韓国は市民革命を成し遂げた。

❸」

「不適切どころじゃないですね、」そう自民党厚生労働部会長の小泉信次郎氏は言う。あなたも自民党若手ホープとして、自民党政権を担っているのではないか。国民の火消し役を演じている暇があるのなら、厚労省の不正に堂々と立ち向かうべきだ。カメラに視線を向けているのを、国会に向き合うべきだろう。腐敗に激怒して、自民党を出ていって、無所属となり、軍縮政治家として「軍縮政治」信念を実行で貫いた宇都宮徳馬氏を見習うべきではあるまいか。



認知症老父の鉄道事故。鉄道死亡事故は莫大な損害費用をとられる、今回のJR東海の訴訟に、地裁や高裁の判決を覆した最高裁の遺族支払いを不要とした判決に敬意を抱く。「姥捨て山」伝説は古来から日本で伝承されてきた。認知症が進んでも人をねぎらう社会。温もりを私たちは忘れている。

番組を拝見していて、「認知症の方々を見守る総合社会計画」を作成し、具体化することを考えた。民間の福祉社会を検討する研究会も何冊も具体化している。できれば官民全体で福祉としての「姥捨て山対応」が求められている。

 【日本歳時記2019・1・19】~TBS報道特集~ 櫻井 智志

2019-01-20 08:03:02 | 政治・文化・社会評論
総論:安倍政治に立ち上がる市民連合と立憲野党の共闘

安倍政権のここ最近の行政は、国民に無力感を与え、ファシズムを一気に蔓延させたナチス・ヒットラーの手法を用いているのだろうか。片山さつき大臣や桜田義孝大臣が大臣の資質を強く疑われる問題であれほど連日国会を騒がせたのも、モリカケ問題からの視点ずらしのフェイクか?いずれ時間の経過で真相は暴露されるだろう。安倍政権は既に国政統治の正統性において「失格」であると言わざるを得まい。

神奈川県の市民連合と立憲主義の各野党が立ち上がった。「沖縄に続け!市民と野党はひとつ!神奈川の選挙を盛り上げよう!」の集いは、神奈川全県下から参加した人々で横浜市・関内ホール大ホールを埋め尽くした。どの野党も市民も燃えていた。講演の自由党幹事長参議院議員森ゆうこさんは厚生省の勤労不正統計と関連して、驚くべき実態を訴えた。政治の道義と倫理の自覚がなければ、長く続く官公庁も政権閣僚も腐敗する。知る権利と暴政にノーと意思表示する義務を、国民は自ら実行する時宜を迎えている。


特集➀:厚労省不正統計の裏側 

あきらかになったのは、厚労省の不正統計だけ、ではない。防衛省の官報、文科省、経産省と、続出している。ここまで来ると、安倍総理の森友・加計事件の文書改竄が象徴的な原点とわかる。もはや安倍総理罷免の国民的規模の運動の時だろう。国民も舐められきったものだ。中国、イギリス、フランス、アメリカの反専制権力の国民運動に学ぶことが求められている。


特集②:依存症としてのインターネット・ゲーム障害対策は政府と国民の急務

ゲーム障害とは、ゲーム依存症でもある。パソコン普及に伴って、インターネット依存のすそ野は広がっている。言語中枢とは別に、刺激と反応の感情の高揚と脳内での異常が強まる。番組中で独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター」のネット依存外来の専門医の具体的で対策のわかりやすく的確なアドバイスをうかがい共感と納得をすることができた。文科省が推奨するパソコンによるメデイア・リテラシー教育について、多角的な視野からの弊害分析と対策具現化も急務であろう。パソコン教育を否定するわけではない。それ自体がインターネットゲームやスマホによる常時ゲーム熱中に波及しているなら、韓国政府が日本よりも早く社会的問題化したゲーム障害にいち早く対策を実行したことに、日本も学ぶべきだ。

また、パソコン画面への俊敏な反射神経の速度を競う「eスポーツ」という競技がスポーツとしてオリンピック書目の遡上に現実的な検討も進んでいる。スポーツなのか?私はゲーム障害と極めて接近していることに危惧を覚えるのだが・・

学校教育は、大脳の働きとしくみと教育活動について、臨床教育学や児童心理学と精神医学の境界領域として、もっと研究と実践導入とをめざすべきだ。「インターネット依存への医学的対応を実践中の韓国にまなべ」という趣旨の報道を見て、強く感じた。



【世相歳時記2018.1.12】~TBS『報道特集』視聴~ 櫻井 智志

2019-01-12 23:20:17 | 政治・文化・社会評論
Ⅰ:日本官僚制の隘路

15年間もの長期に、基幹調査の一環である厚労省の不正調査が続行。年金も労災認定も・・このくにのかたちはどうなっていくのか。なにが行政の基準となっているのか。既に日本国憲法の生きる権利と民主主義の理念はズタズタにされている。再建の前に事実をしっかりと認識していかねばならない。


Ⅱ:原発セールスの退廃

「岐路に立つ原発輸出」、この主語が、広島・長崎の被爆を体験し、福島第一原発事故の日本国だ。国際戦略と構えて悠然とイギリスで闊歩する安倍晋三首相の後ろを歩くメイ首相のまなざしの厳しさ。「フクシマ事故」を忘却し原発セールスに勤しむ「嗤われるセールスマン」とその国家ニッポン。

 経団連会長・日立製作所中西宏明会長(写真)の「もう限界ですから」。厳しい国際的経済事情。ビジネスのプロは、利潤ともに、ビジネス成立のリアリズムも堅持している。トルコの要人たちの言葉は情勢を鋭く指摘。「日本は安全対策が不十分」「第一に健康、第二に漁業、第三に経済」「トルコは黒海の真珠」。


Ⅲ:自由と生きる権利の現代的閉塞

香港や台湾などと中国政府との対立に横たわるもの。生産が発展すると市民の意識は成熟し自主と独立的な市民が成長する。個性的個人の増大は本来、社会主義をより発展させる。だが統治する政府がそれに見合う発達をしなければ、政府は専制政治に陥る。天安門事件以後も事態は更に複雑だ。

  「私たちは諦めない」「諦めなければ勝利の日が来る」、香港で自由を訴える人々の声は沖縄県民の声と似ている。社会主義国家圏が崩壊し覇権アメリカは国内で揺らぐ時代。資本主義・社会主義の対語以上に、民主主義の活性化機能の有無が、自由と生きる権利の実態と密接に関わってきた。