【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

新潟県泉田知事立候補取りやめへの評論転載と私見

2016-08-31 19:36:21 | 政治・文化・社会評論
新潟県泉田知事立候補取りやめへの評論転載と私見

            櫻井 智志


 あきらかに強い圧力が泉田知事にあったろう。それは時には、殺害テロルを予感させるほどのものだったことが発言の「消されたり、自殺したり。でも、僕は自殺しませんから。遺書が残っていても、自殺ではない。もし僕が自殺なんてことになったら、絶対に違うので調べてください」にうかがえる。
 つぎのようなよびけかけが全国の市民から自発的に出ている。
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T.Sさん
15時間前
今日中に、新潟県庁に電話をかけて、泉田知事に激励と出馬要請をしよう!
義を重んじる新潟県民。
約束は守る。義は通すと、言っていた立候補すれば、だいぶん世論は傾く。
死中の生を生み出そう!
知事に近い人が居たら、即話をしてください。
今、逆転の発想で、「腹をくくって、義を通す」っていうと、だいぶん県民は泉田知事に傾くって!
民進党の方針が出るまでに、決めて下さいって。



新潟県庁の電話番号
http://www.pref.niigata.lg.jp/kanzai/1286485282186.html
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市民団体、政党など泉田支援のよびかけを全国から意思表示しよう。






【孫崎享のつぶやき】

【新潟 泉田知事 立候補取りやめの考え明らかに。この動きをみて思い出した言葉がある。泉田知事自身の言葉だ。「僕は自殺しませんから。遺書が残っていても、自殺ではない」】

2016-08-31 06:185



 立候補を予定していた泉田知事が立候補を取りやめた。東電は柏崎原発を再稼働しようとしている。そして次の知事選挙には再稼働支持の長岡市長が立候補を予定している。この流れをみて、ふと思い出した言葉がある。それは泉田知事自身の言葉である。

「僕は自殺しませんから。遺書が残っていても、自殺ではない」 

出典:2013年09月27日「原発の裏に金融マフィア!新潟県泉田知事「僕は自殺しませんから。遺書が残っていても、自殺ではない」http://ameblo.jp/sekainosyoutai/entry-11622876369.html

「柏崎原発の再稼働を巡って東電と対立を深めている新潟県の泉田知事ですが、彼がIWJのインタビューに対して興味深い発言をしていた。

泉田知事「安全協定を破って安全審査申請をしたいと東電は言ってきた。2007年の時は一体化するから大丈夫と言っていたのに、現在は離れていても大丈夫と言ってきている。配管がはずれれば生の放射能が拡散すると」

泉田知事「福島事故の本質は、津波でも電源喪失でもない。これはきっかけでしかない。冷却機能の喪失ということ。常時冷やしておかないと2時間でメルトダウンを起こす。原因が津波だろうと地震だろうとテロだろうと同じ」

泉田知事「止める、冷やす、閉じ込めるが本質。放射能を大量にばら撒いたのは2号機。その理由は格納容器が壊れたから。中の圧力が高まったため、水が入らなかった。だからベント、排気をするということ」

泉田知事「規制委員会が作った規制基準。これは原発の性能基準になっている。いざ、事故が起きた時に対応する仕組みがない。規制委員会の田中委員長は『最低限の基準』と言っている。東電に聞くと『経営問題』だと」

泉田知事「廣瀬社長は汚染水問題で『3.11の教訓を学べなかった』と言った。そのような会社を信用できますかということ。アメリカのスペースシャトル墜落事故は、組織面もルールも変えて対策をとって了解を得たと」

泉田知事「事故調もいろいろあるが、一番客観的だった国会事故調の報告も、その後国会で引き継いでいない。原子力規制委員会設置法4条2項に関係行政機関の長に対し、原子力利用における安全の確保に関する事項について勧告し、とある。規制委員会には勧告する権限がある。メルトダウンについて、誰が嘘を言ったのかを東電は説明する必要がある。誰かが指示した。それを確定するべき」

泉田知事「誰も責任を取らない、真実を言わない、罪にならない。日本の制度自体を見直し、刑事罰を課すことも必要ではないか。福島では何があったのか、検証し、総括して改善しなければ、私たち人類の危機」

泉田知事「中越地震を経験して、歴史に恥じない決定をしたいという経緯がある」

岩上「経営では東電は赤字転落必死なので柏崎刈羽を動かすと言ってますが」

泉田知事「でもこれは破綻処理の原因にもなりうる。あとは免震重要棟。2007年の時はホットラインがつながらなかった」

泉田知事「『知事、もういいんじゃないですか』と言われたが、ここで黙ったら人類に対する裏切りだと思った。免震重要棟を作ってもらって、結果的に新潟だけにあるのはおかしいということで、福島にも3.11の半年前にできた」

泉田知事「安全対策をする重要な根拠は、日本のプラントを海外に輸出したときに、日本が責任を取らなければならないことになる。使用済み核燃料もどうするのか、後世にツケが残る。目の前のことが心配なら破綻処理すればいい」

岩上「原子力行政のあり方は戦争と似ている」

泉田知事「その通り。アメリカは被弾することを考えて、それを考慮した戦略をたてたが、日本は全く考えていなかった。日本の意思決定の問題」

岩上「54基の原発が標的になるかもしれないと委員会でとりあげられたこともあったが、『そんなことも考えなきゃいけないの』となって、そのまま消えてしまった」

泉田知事「思考停止してるんですね」

岩上「ヤマザクラ作戦でも、統合エアシーバトルでも、原発が標的となって被弾することを全く想定されていない」

泉田知事「もともと原発は原子力潜水艦を大きくしたようなもの。3.11で米軍は初期段階が大事だと分かっていた」

泉田知事「なぜその手を借りなかったのか。民間事業者による対応も日本はしていなかった。原発の意思決定をする人が原発のことを知らないのは困ると。武藤さんがトップだったけど副社長だった」

泉田知事「社長と連絡が取れない中で5000億飛ばすけど海水を入れる指示があなたにできましたか?と武藤さんに聞いたら、『できません』という回答だった」

泉田知事「秘密だから原因説明しなくていいということにはならない。スペースシャトル計画で爆発事故は原因究明された。軍事機密だから言えませんということにはならない」

泉田知事「なぜ事故が起きたのか、これを追求するのは規制委員会のはず。委員の中に地方行政を分かっている人が一人もいない。アメリカのNRCでは海軍が入っていて原子力対策について非常に強固なものになっている」

泉田知事「原発はアメリカの世界戦略。結果として原子力の平和利用が始まったが、核兵器転用の副産物だった。処理も日本が負わされている。日本が主権国家として意思決定をできているか、疑わしい」

泉田知事「事故の責任を現場に押し付けている。ソ連崩壊の原因はチェルノブイリ事故だったと。核戦争をやればその後の放射能の処理をどうするのかということを想起させた。被害は全て住民にきてしまうことを考えた上で議論すべき」

これで実況ツイートを終了します。(了)泉田知事の著書『知識国家論序説―新たな政策過程のパラダイム』はこちら→http://urx.nu/523z #iwakamiyasumi @iwakamiyasumi

泉田知事、インタビューのあと、「ここまで言ったら危ないかも」と呟いた。

「消されたり、自殺したり。でも、僕は自殺しませんから。遺書が残っていても、自殺ではない。もし僕が自殺なんてことになったら、絶対に違うので調べてください」と言われた。

A事実関係

1: 泉田知事 立候補取りやめの考え明らかに8月30日 19時50分NHKニュース

 ことし10月に行われる新潟県知事選挙に、4期目を目指して立候補することを表明していた泉田裕彦知事は、「地元新聞から県が出資する第三セクターの子会社をめぐって事実と異なる報道をされ、県民に正確な訴えを届けるのが難しいと判断した」などと述べ、立候補を取りやめる考えを明らかにしました。

 泉田知事は30日午後6時すぎから記者団の取材に応じ、地元新聞の「新潟日報」が県が出資する第三セクターの子会社をめぐって行った報道について、「事実と異なる報道の修正を求めてきたが、残念ながら訂正も説明もしてもらえなかった」と述べました。

 そのうえで、「県からの情報が出ていかない環境のなかで、県民の皆さんに正確な訴えを届けるのが難しいと判断した。県の職員にも大きな影響が生じるので、立候補を取り下げたい」と述べ、4期目を目指してすでに表明していた、ことし10月の新潟県知事選挙への立候補を取りやめることを明らかにしました。

 泉田知事は、新潟県加茂市出身の53歳。経済産業省の課長補佐や岐阜県の局長などを務め、平成16年の知事選挙で初当選し、当選直後に起きた新潟県中越地震の復興に向けて取り組んできました。また、東日本大震災のあと停止している東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働については、「福島第一原発の事故の検証なくしては運転再開の議論自体がありえない」として慎重な姿勢を示していました。泉田知事の立候補の取りやめによって、10月16日に投票が行われる新潟県知事選挙に立候補を予定しているのは長岡市の森民夫市長だけになります。

 知事選挙について、泉田知事は「本来、争点になるべきの原子力防災について真正面から向き合った議論をしてほしい。私が立候補しないほうが議論しやすくなると思った」と述べました。

2:新潟知事選に長岡市長出馬へ…原発前向き派支援 - BIGLOBEニュース

9月29日告示・10月16日投開票の新潟県知事選に向けて、全国市長会長の森民夫・長岡市長(67)は立候補する意向を固めた。 東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に前向きな一部の県議から支援を受ける。

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芝田進午『実践的唯物論への道 人類生存の哲学を求めて』を読む~人類生存の哲学の構築の礎~

2016-08-27 00:28:28 | 政治・文化・社会評論
芝田進午『実践的唯物論への道 人類生存の哲学を求めて』を読む~人類生存の哲学の構築の礎~

2013/3/13 櫻井 智志

(*この文章は以前書いたものである。思うところあって再掲した。)

 『実践的唯物論への道 人類生存の哲学を求めて』(青木書店)は、著者芝田進午氏をめぐり、三人の編者―平田哲男・三階徹・平川俊彦の諸氏が対談と聞き取りをもとに、一冊の本にまとめたものである。
 芝田氏が2001年3月に胆管がんで逝去されたのは、この著作をまとめている途上であった。それゆえこの対談集は、後半からは芝田氏自身が手をいれる作業が中途で断たれ、後半では芝田氏の構想がやや不十分なままで出版されざるを得なかった。それでも、極めて本質的な課題に触れているため、読み応えのある遺著となっている。
 冷戦は、軍備拡張競争を政策方針としたレーガンらアメリカ支配層のもと、軍事産業の畸形的発展により、国内社会に大きな歪みを生じさせたソ連の決定的ダメージにより、アメリカ一国覇権主義の圧勝で終焉した。この結果は、アメリカの繁栄というよりはその後の世界的停滞と紛争多発を招き、深刻な世界的政治・社会情勢となって今に至っている。

 ソ連邦共産党は解体し、国際共産主義運動は瓦解した。スターリンのみならず、レーニンやコミンテルンについての否定的論潮が出ている。最近日本共産党の元議長不破哲三氏は機関誌『前衛』誌上でスターリンとコミンテルンの批判的連載を執筆している。日本でもかつてのようなマルクス主義に対する知識人の信頼は縮小し、あるいは崩壊し て、既にマルクス主義社会科学は戦前の多くの進歩的知識人から集めた栄光とは縁遠い。なにをいまさら、芝田進午だ、という声もきく。マルクス主義は問題解決能力を喪失したという発言さえ出てくる時代となった。
 だが芝田氏の学問は、いつでも時代が解決を要する切実な問題を解明するために、自らが主体として問題との緊張関係に立ち、その矛盾を解決する実践的姿勢に立脚していた。金沢の商家に生まれ軍国主義少年として、陸軍幼年学校で十五歳の八月十五日を迎えた。四高から東大哲学科に進んだ芝田氏は、ドイツ古典哲学と社会科学方法論を深く学ぶ。出隆教授のゼミナールであった。
 芝田氏がいかに実践的唯物論を自らの学問的方法として形成し展開していったか。一人の若い知識人が戦後日本の激動に関わり続けた誠実な軌跡をたどることができる。芝田は五〇年勤続の共産党員であり、スターリニストの最たる者だ、という為にする非難を口にする人もいる。しかし、芝田氏は日本の正統派社会主義が陥りやすい傾向に、たえず理論家として少数派に立った。そのことにより日本共産党がまともな運動を推進する為に尽力した。日本共産党の官僚的な傾向や組織的問題に、全面的な反対の政治的立場はとらなかったけれど、痛烈にその誤謬を理論的に指摘し、その克服の展望さえ示した。たとえば、民主集中制についても社会主義の問題についても、民主集中制や社会主義擁護の側に立 ちつつ、それらが官僚集中制や帝国主義が存在する限りは、〈対立物の相互浸透〉によって歪められざるを得ない必然性をあきらかにし、克服の手立てを示した。
 そればかりではない。民主集中制を根拠として、中央指導部によって排除されたり除籍されたりした人物に対しても、温かい励ましや言葉かけを惜しまなかったことは、共産党から排除された人間に、共産党員が無視したりあいさつさえ交わさなかった中では際だっていた。そのような党員たちとは全く異質な対応を示した芝田氏には、自らの生活態度においても民主主義を貫いた根本がうかがわれる。
 一九五〇年代。日本の大衆社会的状況をどう把握すべきかという論争に加わった芝田氏は、労働の現代的形態として精神的労働の実態を分析し、そこから労働運動論を構築していった。著しい戦後技術革新は、朝鮮戦争以来の戦争特需で潤い、五〇年代から六〇年代と高度経済成長と資本の高度蓄積過程へと進んでいった。芝田氏は、この経済成長と技術革新の向こう側に、本質論として「科学=技術革命」を想定して、「科学=技術革命」が達成しうる潜在的可能性を積極的に擁護するばかりか、実体論や現状分析としては、高度管理情報社会の危険性や「地球破局」の危険性をも見通していた。
 例えば、生命科学に関する国家の研究が「自主・民主・公開」の原則から大きく逸脱して、国立予防衛生研究所(後に改名し国立感染症研究所)が東京都新宿区の住宅密集地で文教地区に強行に移転した。芝田氏を「生産力主義」と批判する学者は、実験差し止めに芝田氏が原告団長として裁判闘争に長年にわたり取り組み続けたことの理論的意義をどう説明しうるのか。
 芝田氏の科学方法論において、分析的悟性と弁証法的理性とを峻別し、その分析と総合の意味を強調したことは、つとに有名である。たとえば大工業理論についても、歴史的過渡期における機械制大工業の意義を過大評価し過ぎるという批判もある。改訂も構想していた『人間性と人格の理論』で、芝田氏は早くから自然史的過程と人類史的過程とを統一的に把握した。人類史的過程においても、人類は労働の技術的過程と組織的過程において人間として発達する契機を得たとする。労働の技術的過程と組織的過程の統一の概念は、芝田氏の哲学を把握するキイワードである。大工業と労働過程の本質的関連も、本質規定・歴史的分析・実体分析・現状分析による相違と関連の把握が欠落すると、ラッダイト 運動のように本質を見失った闘争形態に陥りやすい。
 このことは、すぐれた政治学者である加藤哲郎氏でさえ、自らのホームページにおいて社会主義の原理において労働からの転換を訴えている。人間発達の契機や言語や認識の形成とも絡めて考察していたことをふりかえると、労働概念の芝田氏の把握を批判するためには、もう少し丁寧な自然史的哲学的批判が必要である。

 遺著に、対談の相手を務めた三人の編者たちは、「実践的唯物論への道」と意図していた。しかし、芝田氏は、「人類生存の哲学」を主張していた。晩年の芝田氏が「実践的唯物論」という名称よりも、「人類生存の哲学」を重視したことについて、私はこう考える。かつての東ドイツに大学教授時代に留学した氏は、東欧社会主義の限界を見極めていた。氏は、アメリカ独立宣言に結集する民主主義人権思想に、社会主義再建の重要なカテゴリーを見いだしていた(大月書店国民文庫『人間の権利』参照)。その芝田氏が、マルクスやグラムシ、国内では片山潜や戸坂潤から再発見した実践的唯物論「だけ」にとどまらず、広く多くの思想と哲学、宗教にも目を向けて、核兵器とバイオサイドとによる人類 皆殺し瀬戸際の時代に、「人類生存の哲学」を遺著のタイトルにすることを病床から切実に願った。今日の社会的政治的現状のなかで芝田氏が切実に考えていた思索と情熱とがひしひしと感ぜられる。芝田氏のご逝去後に二〇一一年に大震災のために起きたチェルノブイリ発電所事故レベルの福島原発事故の発生は、まさに「人類生存」が日本から浸食されているいまこそいっそう重要なテーマとなっている。

隠然たる反動勢力労組集団「連合」は自民党の隠れバックボーンだ

2016-08-26 19:23:19 | 政治・文化・社会評論
隠然たる反動勢力労組集団「連合」は自民党の隠れバックボーンだ

                  櫻井 智志

 「連合」は、労働組合の全国的組織だ。
かつては、総評=社会党ブロックで、国会の三分の一を占めていた。それに対して、民社党(民主社会党)=同盟が右翼社民主義路線で、民間の金属労協などを経て、連合が労組のほとんどを吸収合併してきた。

 連合は、紆余曲折はあるが、最近の連合は、民主党を支持母体としているが、民主党の頭を超えて、財界=自民党と密接な提携を重ねて、いまでは民主党(現在の民進党)の野党共闘政策にも全く支持せずに、自民党を利している。

 今回の民進党の代表選でも、共産党とも共闘する野党共闘路線そのものを廃棄するよう、連合は強力に言い出した。そのような連合の右翼的介入を経て、民進党代表選は、連合のバックボーンを得て前原誠司氏が急速に加速してきた。


==(以下東京新聞転載)========


前原氏、野党共闘は「民進主導」 党代表選に正式出馬表明

2016年8月26日 17時36分


 民進党の前原誠司元外相(54)は26日、党本部で記者会見し、9月の党代表選について「出馬する決意をした」と述べ、正式に立候補表明した。共産党を含む野党共闘路線について「衆院選で考え方の違うところと組むのは野合だ。われわれがしっかり基本政策の旗を立て、協力できるところと協力する」と述べ、民進党が主導するとの考えを示した。
 憲法改正論議に関し「社会不安や閉塞感をどう取り除くかが最大の政治使命だ。憲法改正は最優先課題とは思っていない」と述べた。
(共同)
===転載終了===========

「この破滅の道で国民は地獄絵図に悲鳴をあげている」

2016-08-24 17:46:25 | 政治・文化・社会評論
「この破滅の道で国民は地獄絵図に悲鳴をあげている」

                    櫻井智志


【パッション】


「SMAPの解散だ、オリンピックの銀メダルだ」と国民が盛り上がっているまに、着々と戦争体制が進行している。
網タイツと伊達メガネで、まともに政治的想像力も知識もない安倍晋三氏の自分の愛玩するペットを防衛大臣に据えた。
「次の総理」とマスコミに言わせて、驚くべき急激な軍拡を一気に進めていく。
稲田朋美氏を防衛相に据えたのは、実はアメリカのジャパニーズ・ハンドラー。不破茂さんが防衛相なら、国民は身構えする。
稲田氏のような人物なら、背景の自衛隊制服組の「軍部指導部」の「イケイケどんどん」策もすうっと通っていくことを
計算している。
すでにあちこちで、国民は集団殺人にマンネリ化しつつある。最も保護の必要な障がい者を十九人も殺す。45人を殺傷するのに
たった45分間だ。川崎の河原で中学生が惨殺されたが、埼玉の東松山でも中学生が河原で殺された。密集ブールで9人の女性が
カミソリのような刃物で体や水着を切られた。
ゲームもアニメもファミコン以来のゲームも私は否定しない。
しかし、スーパーマリオを装って、任期外のオリンピックを国家の首相が場違いな、しかもオリンピック憲章違反の行動を行う。
そうやって人気とりをしながら、一方では沖縄県民への軍事的弾圧を、まさに軍事国家そのもののような強権発動ですすめている。
左翼か右翼かなんていうレベルの話ではない、

日本はこの破滅の道をまたもや再現している。
国民は、悲鳴をあげつつ、親は子を殺し子は親を殺し、子は同世代の知人を殺している。
まさにいま日本の国内で起きていることは地獄絵図そのものだ。



【ロゴス】


http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016082490135936.html

防衛相、訓練開始表明 安保法 運用段階へ

2016年8月24日 13時59分


 稲田朋美防衛相は二十四日午前の記者会見で、昨年九月に成立した安全保障関連法に基づく自衛隊の新任務について、訓練を開始すると表明した。他国を武力で守る集団的自衛権行使も含め、同法に盛り込まれたすべての新任務が対象。可能なものから順次、訓練に着手する。当面は、南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に十一月に派遣される陸上自衛隊の交代部隊に「駆け付け警護」などの新任務を訓練させる。 (横山大輔)
 安保法は違憲の疑いが指摘され、廃止を求める世論も依然強い中、訓練を経て本格的な運用段階に移行する。稲田氏は「準備作業に一定のめどが立ったため、今後必要な訓練を行うことにした」と説明。「各種の事態に適切に対応できるよう万全を期す」と述べた。
 菅義偉(すがよしひで)官房長官も二十四日の会見で「隊員の安全確保に万全を尽くす」と強調。「(安保法は)憲法に合致する」とも話した。
 安保法は歴代内閣が憲法解釈で禁じてきた集団的自衛権の行使や、日本防衛のために活動中の米艦を護衛する「平時の米艦防護」などを可能にした。今年三月に施行されたが、安倍政権は、七月の参院選への影響などを考慮して、新たな任務についての訓練を見送ってきた。
 会見で稲田氏は日米間や多国間での共同訓練でも、安保法に基づく新任務を想定した訓練を行う考えを示した。日米間では十月以降に統合演習「キーン・ソード」、方面隊指揮所演習「ヤマサクラ」が予定されているため、新任務に適合するシナリオをそれらの訓練に取り入れるよう米側と調整を進める考え。
 訓練の具体的な内容は明らかになっていない。集団的自衛権行使については、米艦防護などを想定した訓練になる見通し。
 南スーダンPKOの交代部隊は、陸上自衛隊第九師団第五普通科連隊(青森市)主体の部隊。今月二十五日から訓練に入り、九月中旬以降に、武装勢力に襲われたPKO関係者らの防護に向かう「駆け付け警護」と、PKO参加各国との宿営地の共同防衛について訓練する。最終的にこれらの任務を付与するかどうかは、訓練状況や現地情勢を見極めて判断する。
(東京新聞)

SEALDsと孫崎享氏の認識

2016-08-16 18:18:50 | 政治・文化・社会評論
SEALDsと孫崎享氏の認識

              櫻井 智志

 今までにない学生・青年運動の高まりで、市民運動をリードしてきたSEALDsがきのう解散し、きょう八月十六日記者会見を開いた。戦争が終わり、全学連を組織して戦後民主化に重要な役割を果たした。それがいくつかの問題を生じたこともあった。若者の政治離れや社会常識からかけ離れている側面も、世間から批判されていた。しかし、SEALDsの青年達の行動は、戦後社会が封建性を克服し、市民社会論や大衆社会論の論議を克服した成長した現代の若者たちの見事な健闘ぶりだった。
 孫崎氏が今回の評論で提起された問題を解決するような主体形成は、とても重要な課題である。そして現代日本の若者たちは、ひとつの典型を実像として提出したことによって、中高年の国民がむしろ学ぶべき要素も多いことを示した。ありのままの日常性の次元で政治を考える姿に、私は全学連や全共闘の矛盾や問題を別のかたちで止揚した21世紀の若者像をみる。

 なお、孫崎氏が「ムサシ」など選挙開票作業に明確な疑問を提示している。議会制民主主義の根幹である選挙、投票、開票そのものにいかさまがあったとしたら、それはもはや議会は民意の反映を偽装したものに過ぎない、という重大問題である。民意の正確な反映によって政治の統治性が保障されてきた。そこにいかさまが介入するということは、国民主権の根幹を覆す暴挙であり、それは同時に「直接民主主義」の登場を必要としている。欧州で言えば、フランス革命やパリ五月革命、アジアで言えば韓国の「光州事態」、金大中大統領選出に至る民主化、ミャンマーの市民革命。日本にもこれらに似た市民の動きはあった。戦後まもなくの2.1ゼネストや1960年安保闘争、ベトナム反戦運動の高まり。安倍自公政権は、アメリカ軍産複合体が黒幕として、次々に戦後民主主義変革を足元から切り崩してきた。
 だが、統治に正統性がなければ、韓国の軍人朴大統領を政府高官が銃殺したようなケースも発生した。私はアメリカのジャパン・ハンドラーなどアメリカの軍産複合体のお墨付きをもらっていても、国内統治に失政続きで民心が安定しなければ、安倍晋三を切り捨て、別の政治家をたてることは、当然アメリカの彼らも想定内に入れていると予想する。



「参考資料」【孫崎享のつぶやき】

西側社会は政治的に機能不全。WSJヌーナン論評「同胞を見捨てる世界のエリート」「社会の頂点に立つ人々が底辺の人々から自らを切り離し、愛着も仲間意識を持たない事態が西側の権力の中枢全体に拡大。安倍政権そのものだ。

2016-08-16 07:433




A:事実関係


 8月15日WSJがペギー・ヌーナンの「同胞を見捨てる世界のエリート」の論文を掲載した。ペギー・ヌーナンはWSJ定期的寄稿者。レーガン元大統領のスピーチライターを務めた経歴を持つ主要論者。
 これに対して、なんと今次共和党予備選に出たジェブ・ブッシュが賛同のツイッターをしている。

A thoughtful, provocative piece by @Peggynoonannyc. It's an unfortunate reality, but I think she gets this right.


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【WSJヌーナン論評「同胞を見捨てる世界のエリート」】


・西側では今、社会の頂点に立つ人々と社会の底辺に生きる人々に距離が生まれている。社会が比較的安定していた時代には、こうした現象が起きることはなかった。
(メルケル首相のイツに80万人の移民・難民を受け入れると発表、その後100万人流入問題への言及は削除)


・さらに大きな問題は、社会の頂点に立つ人々が底辺で暮らす人々から自らを切り離し、愛着も仲間意識を持つこともほとんどないという事態が、いたる所で起きていることだ。こうした現象は、西側の権力の中枢全体に広がっている。

 問題の根本は、社会の頂点に立つ人々にある。彼らが同胞、すなわち政策決定の場にいない人々(自己中心的で善人を装う指導者に見捨てられたことを理解している人々)の生活から切り離され、関心すら失っていることだ。

・ウォール街では頂点に立つ人々はかつて、指導者としての資質を備えていたものだが、今では生きるだけで精一杯だ。最高経営責任者(CEO)は、短期的な思惑や株価、四半期決算に忙殺されていて、「米国」に積極的に関わらなければならないとは思っていない。最高経営責任者は、自分の仕事は世界規模で考えることであり株主の期待に応えることだと考えている。


・シリコンバレーでは「国益」という概念が議論されることはあまりない。シリコンバレーの人々は国益をしのぐ、より抽象的で世界的な価値を支持している。彼らにとって重要なのは米国ではない。彼らに尋ねれば、重要なのは未来と答えるのではないだろうか。

・ビジネスの世界でも政治の世界でも、権力の座にある人々について思うのは、同じ国に住む人々を同胞だと思っていないことだ。同じ国に住んではいるが異質な存在で、わからないながらその気持ちを読み、管理する努力をしなければならないと考えている。

・実際、エリートたちは底辺の人々を恐れており、自国ではあれこれ工夫を凝らして自分たちの富や世俗的な成功をあまり知られないようにしている。

・富が分離を招いたとすれば、社会の頂点と底辺の間に距離を生んだのは権力だ。私の頭の中ではまだ整理がついていないが、指導者と導かれる人々の分裂に関連して何か大きな問題が起きようとしているのではないか。これはまさに現代の特徴の1つだが、それにしても奇妙なのは、国への帰属意識や責任を伴う絆を背負っているという認識、国民に愛着か、少なくともしかるべき尊敬の念を持つべきという考えをエリート層が捨ててしまった、あるいは捨てようとしていることである。

・社会の頂点に立つ人々の生活は何も変わらない。
 さまざまな文化を融合させ、毎日のように起きるいさかいを乗り越え、犯罪や過激主義、街で起きている恐ろしい出来事に対処するという難題を押し付けられたのは、ほとんど何も持たない人々――私は「保護されていない人々」と呼んでいる――である。

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B:コメント

・なぜこんな馬鹿なことが起こっているのか。

 政治システム、選挙システムが腐敗しているからでないか。極端な例は不正な選挙が確立している。多くの人は信じないが、舛添知事選出の選挙は不正選挙でないと説明がつかない。


 米国ではサンダースとヒラリーは接戦だった。
しかし、民主党全国大会に出席する代議員の総数は4049人で、指名に必要な過半数は2025人。党役員や上下両院議員で構成する「特別代議員」796人も含まれる。
極端なことを言えば、「特別代議員」をすべて手に入れた候補Aは対立候補Bと各州獲得数が1229対2024でも勝利する仕組みになっている。
ヒラリーが勝利した背景に「特別代議員」によりところが大きい。

 ブッシュ対ゴアの大統領選挙ではフロリダでの得票数計算で不正があったとみられている。
不正でなくとも、選挙前、大手マスコミを使用して誘導する。これは参議院選挙、今回の都知事選挙でも顕著であった。


・圧倒的多数を占める国民を騙すシステムが出来上がっている、ということだろう。

世界最良のむすこたちむすめたちSEALDsの皆さんへ

2016-08-15 23:03:00 | 政治・文化・社会評論
世界最良のむすこたちむすめたちSEALDsの皆さんへ


2016/08/15
           
                 櫻井智志




私たちは忘れない
青年期の激情がともすれば
革命的ロマンチシズムに陥ってきた日本の歴史で
あなたたちSEALDsは
時代閉塞の現代に
若者たちの可能性と理想とを
史上かつてなかった革命的リアリズムで
見事に時代にクロスして
平成市民選挙革命の達成者として
見事な足跡を残した


ありがとう
皆さんを私たちは誇りに思う
日本の若者たちは歴史を継承するに十二分な
素晴らしい存在だと

ありがとう
息子達よ娘たちよ

日本の未来は
絶望的だが
日本の市民は
困難な課題を開拓する若者たちによって
になわれていく


いのちのあるかぎり
私たちも
あなたたちと
ともに歩む


歴史の夜明けをめざし
絶望で絶えていったいのちのために



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《転載》

SEALDs
10時間前 ·
今日で戦後71年。SEALDsから、最後のメッセージです。
http://sealdspost.com/tobe/
2016年8月15日、戦後71年の節目をもって、SEALDsは解散します。
This Emergency Action is over. But the Unfinished Project Must Go On.
SEALDSPOST.COM

東京新聞が伝える「憲法九条は幣原首相提案」の画期的意義

2016-08-12 12:38:12 | 政治・文化・社会評論
東京新聞が伝える「憲法九条は幣原首相提案」の画期的意義

               櫻井 智志

「前説」
 今朝8月12日の東京新聞は、画期的な記事を一面トップと三面に掲載した。その記事は、戦後憲法はアメリカGHQの押しつけだとする憲法改憲派の論拠の大きなひとつとなっていた。端的に言えば、記事は「幣原総理が憲法第九条を提案したものだった」という画期的な史料である。この地道な発見は、今後の憲法論議に重要な影響を及ぼすことと考える。


「本論」①
「9条は幣原首相が提案」マッカーサー、書簡に明記 「押しつけ憲法」否定の新史料

2016年8月12日 07時03分  【東京新聞】


 日本国憲法の成立過程で、戦争の放棄をうたった九条は、幣原喜重郎(しではらきじゅうろう)首相(当時、以下同じ)が連合国軍総司令部(GHQ)側に提案したという学説を補強する新たな史料を堀尾輝久・東大名誉教授が見つけた。史料が事実なら、一部の改憲勢力が主張する「今の憲法は戦勝国の押しつけ」との根拠は弱まる。今秋から各党による憲法論議が始まった場合、制定過程が議論される可能性がある。 (安藤美由紀、北條香子)


 九条は、一九四六年一月二十四日に幣原首相とマッカーサーGHQ最高司令官が会談した結果生まれたとされるが、どちらが提案したかは両説がある。マッカーサーは米上院などで幣原首相の発案と証言しているが、「信用できない」とする識者もいる。


 堀尾氏は五七年に岸内閣の下で議論が始まった憲法調査会の高柳賢三会長が、憲法の成立過程を調査するため五八年に渡米し、マッカーサーと書簡を交わした事実に着目。高柳は「『九条は、幣原首相の先見の明と英知とステーツマンシップ(政治家の資質)を表徴する不朽の記念塔』といったマ元帥の言葉は正しい」と論文に書き残しており、幣原の発案と結論づけたとみられている。だが、書簡に具体的に何が書かれているかは知られていなかった。


 堀尾氏は国会図書館収蔵の憲法調査会関係資料を探索。今年一月に見つけた英文の書簡と調査会による和訳によると、高柳は五八年十二月十日付で、マッカーサーに宛てて「幣原首相は、新憲法起草の際に戦争と武力の保持を禁止する条文をいれるように提案しましたか。それとも貴下が憲法に入れるよう勧告されたのか」と手紙を送った。

 マッカーサーから十五日付で返信があり、「戦争を禁止する条項を憲法に入れるようにという提案は、幣原首相が行ったのです」と明記。「提案に驚きましたが、わたくしも心から賛成であると言うと、首相は、明らかに安どの表情を示され、わたくしを感動させました」と結んでいる。
 九条一項の戦争放棄は諸外国の憲法にもみられる。しかし、二項の戦力不保持と交戦権の否認は世界に類を見ない斬新な規定として評価されてきた。堀尾氏が見つけたマッカーサーから高柳に宛てた別の手紙では「本条は(中略)世界に対して精神的な指導力を与えようと意図したもの」とあり、堀尾氏は二項も含めて幣原の発案と推測する。
 改憲を目指す安倍晋三首相は「(今の憲法は)極めて短期間にGHQによって作られた」などと強調してきた。堀尾氏は「この書簡で、幣原発案を否定する理由はなくなった」と話す。



 <しではら・きじゅうろう> 1872~1951年。外交官から政界に転じ、大正から昭和初期にかけ外相を4度務めた。国際協調、軍縮路線で知られる。軍部独走を受けて政界を退いたが、終戦後の45年10月から半年余り首相に就き、現憲法の制定にかかわった。
(東京新聞)

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「本論」②
「9条提案は幣原首相」  史料発見の東大名誉教授・堀尾輝久さんに聞く
2016年8月12日 【東京新聞路】朝刊


 憲法9条は幣原喜重郎(しではらきじゅうろう)首相が提案したという学説を補強する新たな史料を見つけた堀尾輝久・東大名誉教授に、発見の意義などを聞いた。 (北條香子、安藤美由紀)

 -なぜ、書簡を探したのか。
 「安倍政権は、戦争放棄の条文化を発意したのはマッカーサーという見解をベースに改憲を訴えている。マッカーサー連合国軍総司令部(GHQ)最高司令官が高柳賢三・憲法調査会長の質問に文書で回答したのは知っていたが、何月何日に回答が来て、どういう文脈だったのか分かっておらず、往復書簡そのものを探し出そうと思った」

 -書簡発見の意義は。
 「マッカーサーは同じような証言を米上院や回想録でもしているが、質問に文書で明確に回答したこの書簡は、重みがある」

 -二項も、幣原の発案と考えていいのか。
 「一項だけでは(一九二八年に締結され戦争放棄を宣言した)パリ不戦条約そのもの。往復書簡の『九条は幣原首相の先見の明と英知』、幣原の帝国議会での『夢と考える人があるかもしれぬが、世界は早晩、戦争の惨禍に目を覚まし、後方から付いてくる』などの発言を考えると、二項も含めて幣原提案とみるのが正しいのではないか」

 -幣原がそうした提案をした社会的背景は。
 「日本にはもともと中江兆民、田中正造、内村鑑三らの平和思想があり、戦争中は治安維持法で押しつぶされていたが、終戦を機に表に出た。民衆も『もう戦争は嫌だ』と平和への願いを共有するようになっていた。国際的にも、パリ不戦条約に結実したように、戦争を違法なものと認識する思想運動が起きていた。そうした平和への大きなうねりが、先駆的な九条に結実したと考えていい」

 -今秋から国会の憲法審査会が動きだしそうだ。
 「『憲法は押しつけられた』という言い方もされてきたが、もはやそういう雰囲気で議論がなされるべきではない。世界に九条を広げる方向でこそ、検討しなければならない」


 <ほりお・てるひさ> 1933年生まれ。東大名誉教授、総合人間学会長。教育学、教育思想。東大教育学部長、日本教育学会長、日本教育法学会長などを歴任した。著書に「現代教育の思想と構造」「教育を拓く」など。


 <たかやなぎ・けんぞう> 1887~1967年。法学者。成蹊大学初代学長。専攻は英米法。22年に東大教授となり、東京裁判で日本側弁護団のリーダー格を務めたとされる。帝国議会貴族院議員として46年、憲法審議に関わった。57年に憲法調査会長に選ばれ、憲法の再検討に当たった。

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私見

 堀尾輝久氏は、東大教育学部教授を長く務めた。日本教育学会や日本教育法学会の会長も歴任された。その教育学は、外側の社会・政治的な条件よりも、むしろ発達論との関わりで教育を研究されてきた。東大法学部で学び、大学院から教育学研究室でまなんだと記憶している。教育科学研究会会長として、日本生活教育連盟の丸木正臣委員長と協同して、地域から教育改革を推進する1970年代からの地域から教育改革をめざす国民的教育運動の担い手のひとりだった。「総合人間学会長」を今も研究・指導されていることに、常に学問的な真理を探究する学徒としての真摯さを感じる。

 その堀尾氏が発見した史料であることは、史料の厳密性・信憑性を大きく高めている。もしもこの史料発掘が、在野の国民的運動に根づくこととなれば、憲法擁護の重要な価値として学問的にも社会運動にも良き影響を与えることとなろう。

日本国今上天皇の憲法・民主主義擁護の秀逸な見識と「逆臣たちの謀略」

2016-08-08 19:15:49 | 政治・文化・社会評論
日本国今上天皇の憲法・民主主義擁護の秀逸な見識と「逆臣たちの謀略」

2016/08/08
                      櫻井 智志



 明治以来の歴代の天皇のなかで、今上天皇は、もっともリベラルで民主主義をわきまえた天皇であると私は考えている。ずっと「天皇制」が、日本の民主化に対して「特権制度」として、「被差別問題」を創出する祭政一致の封建的制度であり、日本の戦前の軍国主義体制が、イタリアのファシズム、ドイツのナチズムとともに戦前日本の「天皇制」軍国主義と同質の侵略戦争国家の代表と、私は考えていた。


 けれど、現在の天皇ご夫妻の具体的行動、美智子皇后妃のインドで開かれた国際読書年へのメッセージを、小宮山量平先生を通じて知り、最初の自身への疑問となった。美智子皇后は、さらに「戦争中も戦争体制に抗い、未来をになう少年少女たちのために新潮社の小国民文学シリーズの編集は続けられ、そのために犠牲をも省みず編集者たちの努力は続けられました。」と述べたことを知った。それは山本有三と吉野源三郎らを示していることは間違いなかった。これらの事実から、私は天皇ご夫妻について具体的な事実によって判断する思考に転換を余儀なくさせられた。

 さらに皇室の立場で列席した保守色の強い大会での当時の森喜朗元総理の発言への対応を、怪訝な表情で聞いていた時の写真を月刊誌はグラビア写真と解説記事で紹介した。
 また、園遊会に列席した米長邦雄将棋棋士で東京都教育委員を任命されていた立場から、「もっと国民が国歌を熱心に歌うよう都政の教育に邁進してまいります」と天皇に話したとき。天皇は、「教育は広く都民全体の立場から対応することを臨んでいます」とくぎをさした。

 パラオなどオセアニア州の島国には、日本国憲法よりも徹底した、戦争放棄の憲法や、核兵器を保持しないことを憲法に明記した国家がある。それらの小国の島々にも、日本軍がアメリカ軍と激しい戦闘で現地住民に多大な被害を負わせたり、徴兵で駆り出された日本人兵士の多くの遺骨が雨風にさらされている。天皇ご夫妻は、心臓病や前立腺癌などと闘病しつつ、70代、80代でも慰問と謝罪の訪問を続けている。

 そして、このような天皇ご夫妻は、他の皇族の中でもきわめて稀有な平和主義志向のご夫婦であり、それに近いのは皇太子ご夫妻くらいしかいない。天皇家と関わりある宮内庁は、保守的な官庁に過ぎず、明治以来の「天皇制」の傾向とかけ離れてはいない。歴代の戦後内閣も、今上天皇ご夫妻の真意とはかけ離れている。

 ある反権力メディア(『日刊ゲンダイ』紙面・web)は、安倍政権が憲法改正どころか、憲法を廃止し、明治憲法を復古させようとしている、と主張している。考えるところあって、私はインターネットで検索しダウンロードして『日本国憲法改正草案 自由民主党 平成二十四年四月二十七日(決定)』を全文読んだ。

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 第一章 天皇
(天皇)
第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
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 驚愕の草案である。
国民主権を謳った現憲法と真っ向から対立する、天皇主権を明文化した明治憲法そのものへの回帰にほかならない。

  このような第二次安倍政権が、一気に実現をめざす危険な企てを天皇陛下自らが阻止するために、生前の天皇退位に思い及んだ。天皇の生前退位には、皇室典範の改定が必要である。皇室典範改定を進めるということは、憲法改悪の策動は、法治国家であるはずの日本国の法秩序体系下では、皇室典範改定よりも後にならざるを得ない。

 しかし、この指摘は、天皇陛下がきょう2016年8月8日にビデオとしてテレビ放映され、リオオリンピックとともに、全テレビ局から一日中流されていても、見事に煙幕を張られ、別の方向へと流される政府と宮内庁の段取りが綿密に貼り巡られされている。







参考資料:==================
【孫崎享のつぶやき】

《天皇の生前退位、天皇の意向伝えるうえで本件報道NHKがリード。天皇の意向を伝えようとする社会部、抑えようとする政治部の確執の中、NHKは「天皇陛下 お気持ちに退位の意向 強くにじむ」と報道》

2016-08-08 16:223


A-1:事実関係 天皇の発言


(1)NHKニュース「天皇陛下 お気持ちに退位の意向 強くにじむ」(抜粋)

・天皇陛下は8日、ビデオメッセージで国民にお気持ちを表し「次第に進む身体の衰えを考慮する時、象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」と語られました。そのうえで、「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じる」と述べられました。天皇陛下のお気持ちの表明は、生前退位の意向が強くにじむものとなりました。
・天皇陛下は、はじめに、天皇の立場上、今の皇室制度に具体的に触れることは控えるとしたうえで、「社会の高齢化が進む中、天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか、個人として、これまでに考えて来たことを話したい」と述べられました。
・続けて、「次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」と胸の内を語られました。
・天皇陛下は、ここまで語ったあと天皇の高齢化に伴う対応について言及し、公務を限りなく減らしていくことには無理があるという考えを示されました。
・また、天皇の行為を代行する摂政を置いても、天皇が十分に務めを果たせぬまま、生涯、天皇であり続けることに変わりはないとしたうえで、「天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます」と述べられました。
・そして最後に、「これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じる」と語り、「国民の理解を得られることを、切に願っています」と結ばれました。
・天皇陛下は、お言葉の中で、年をとるに従い象徴の務めを果たすことが難しくなるとする一方で、大きく公務を減らしたり代役を立てたりすることには否定的な考えを示されました。そのうえで、象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことを願われ、10分余りに及んだビデオメッセージは、天皇陛下の生前退位の意向が強くにじむものとなりました。



(2)朝日(ネット)「天皇陛下、お気持ち表明 ビデオメッセージ」(標題は内容避ける)
憲法上の立場から直接的な表現は避けながらも、将来的な退位の意向を強くにじませる内容となった。


(3)読売新聞「「象徴の務め困難に」天皇陛下、生前退位を示唆」

(4)毎日新聞「天皇陛下“象徴の勤め難しくなる”」

(5)産経新聞『天皇陛下が「生前退位」に強いご意向 「象徴の務め困難に」 摂政には否定的 ビデオメッセージに「お気持ち」込められ』

(6)東京新聞「象徴の務め 案じる」天皇陛下「生前退位」で思い



A-2: 事実関係 安倍首相の反応

 朝日「安倍首相「天皇陛下のご発言、重く受け止める」
読売「天皇陛下のお気持ち、首相「重く受け止める」
 毎日 安倍首相「重く受け止めている」
 産経「安倍首相「天皇陛下のご発言を重く受け止める」「陛下のご心労に思いを致し、しっかり考えていかねばならない」



B:若干のコメント

 政府は生前退位問題をできるだけ取り上げたくない方向でこれまで動いてきている。その一環が、現在の天皇陛下に限って退位を可能にする特別法を制定する案が、政府内で浮上してきた(7日読売)。

 天皇のあり様に手を付けようとすると女系問題等を抱えるため、安倍氏の支持基盤の右派への対応がむつかしくなる。


参考資料転載終了============



【2016東京都知事選総括資料~ 鳥越俊太郎氏は、二度出馬した宇都宮健児氏よりも 得票数、得票率をはるかに上回っていた~】

2016-08-06 16:28:37 | 政治・文化・社会評論
【2016東京都知事選総括資料~
鳥越俊太郎氏は、二度出馬した宇都宮健児氏よりも
得票数、得票率をはるかに上回っていた~】

2016/08/06

             「国民的統一戦線への探求」
              櫻井 智志・小鮒 智

立論:「鳥越俊太郎氏は、過去に二度の宇都宮健児氏よりも得票数、得票率をはるかに上回っていた」

典拠:ウィキペディア 
②「2012都知事選」①「2014都知事選」③「2016都知事選」

以下掲載

①------------------------------------------------------
「2014年2月9日東京都知事選挙」
有権者数: 10,685,343人
投票数 : 4,930,098人
投票率 46.14%
舛添要一 - 無所属 得票: 2,112,979票  43.40%
宇都宮健児 - 無所属得票:  982,594票  20.18%
細川護熙 - 無所属 得票:  956,063票  19.64%
田母神俊雄 - 無所属得票:  610,865票  12.55%
---------------------------------------------------------
②--------------------------------------------------------
「2012年12月16日東京都知事選挙」
有権者数:10,619,652人
投票数 : 6,447,744人
投票率 62.60%
猪瀬直樹  無所属 得票:   4,338,936票 ・65.27%
宇都宮健児 無所属 得票:    968,960票 ・14.58%   
松沢成文  無所属 得票:    621,278票 ・ 9.35%
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③------------------------------------------------------
「2016年7月31日東京都知事選挙」
有権者数:11,083,306人
投票者数: 6,620,407人
投票率 59.73%
小池百合子 無所属 得票:   2,912,628票  ・44.49%
増田寛也  無所属 得票:   1,793,453票  ・27.40%
鳥越俊太郎 無所属 得票:   1,346,103票  ・20.56%
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【「市民と野党共闘」連帯と民進党代表選】

2016-08-05 19:07:37 | 政治・文化・社会評論
【「市民と野党共闘」連帯と民進党代表選】

2016/08/05


          「国民的統一戦線への探求」
                 櫻井 智志



 民進党代表選に、リベラル派の長妻昭氏、保守派の前原誠司氏、細野豪志氏の出馬が予定されている。蓮舫氏は自ら出馬を表明している。孫崎氏が挙げている山尾志桜里政調会長は、前原派に属している。蓮舫氏は党内右派の野田佳彦派だが、岡田代表の信任があり、後継を託されている。
 テレビ朝日の報道番組「Jチャンネル」で、蓮舫氏は比較的融通無碍で、仕える上司に自分をあわせる傾向が見られる、と言われていた。
 また、ニュースでは「綱領や公約が異なる他党と政権をめざすことはしない」と発言し、共産党との共闘に一定の距離をとる考えのようだ。きのうのニュースでは、細野豪志氏と野党共闘で会談をしたと伝えられた。
 民進党支持者の27%はわかるが、共産党支持者の19%が極右の小池都知事候補に投票したことは驚いた。これは二度にわたって共産党が支援した宇都宮健児候補が候補を辞退させられたかたちとなったことへの同情心や、鳥越俊太郎候補の女性記事をマスコミが大きく取り上げ続けたことへの鳥越嫌悪感が、二割に近い共産党支持者を小池百合子候補へ投票させたと推測する。
 ここに「市民と野党共闘」の課題がある。市民連合は東京都知事選の総括文書を公開している。別の文書で転載したとおりである。
野党共闘は、日本共産党単独なら宇都宮健児氏を推薦しただろう。しかし、民進党は宇都宮氏を推薦しなかった。野党共闘の中で勢力の大きな民進党の動向を、共産党や社民党、生活の党は辛抱強く待ち続けた。民進党本部と民進党東京市部それぞれが参院選後の短期間に候補を擁立するために、必死に努力した。外側から見ると、ドタバタ右往左往の連続だった。このことが、都知事選に大きく影響した。

 民進党が共産党と一定の距離を置いたり、共産党のいる野党共闘を変えたいという政策の根本的変更を出すことは、今後あり得るかも知れない。ただ、野党共闘によって、民進党自体が全国的に、過去に喫した壊滅的敗北から大幅な議席増を果たしたことは、過去二回の参院選結果との比較のしかたによっては明らかにならない。一人区で前回二人しか当選しなかった野党候補が十一人の当選者を出したことに象徴的に表れている。
 私は野党共闘派だが、民進党が単独路線や共産党外しの野党共闘路線に転換しても、それをあれこれ言うつもりはない。民進党自身が自ら選択したならその結果でわかることだ。

 なお、女性党首と一口で言っても、かつての社会党土井たか子さん、二院クラブの市川房枝さんのような女性政治家なら支持する。海外で言えば、メルケル・ドイツ首相やミャンマーのア・ウン・サン・スーチーさんなどなら支持する。しかし、サッチャー英首相やアメリカのヒラリー・クリントンさんのような政治家を私は支持しない。日本の自民党で言えば小池百合子さん、高市早苗さん、稲田朋美さん、丸川珠代さんを支持しない。自民党でも野田聖子さんなら支持できる。
 つまり女性政治家、女性党首という判断基準ではなく、政治家としての「人間力」(?)、政治家としての言動が判断基準として吟味されるべきだ。

 政治情勢は、欧米も混迷している。日本はさらに危険な情勢が続いている。楽観も悲観も過大にせず、具体的課題を具体的に持続し続けることだ。参院選の健闘も、都知事選で130万以上も「都民に都政をとりもどす会」鳥越俊太郎氏に投票してくれた都民がいる。過去に宇都宮健児候補も90万以上の票を集めた。今回は投票率が高く合計票が異なるから、宇都宮氏の90万以上の得票は、今回ならもっと高い得票となろう。

 戦後政治史に新たに出現した「市民と野党共闘」連帯はそうとうの意義を果たしている。紆余曲折はあっても、蓄積した「連帯」の経験は鮮やかに刻まれている。それをより深め広げていくことが、客観的な課題として在る。どう具体化するかが、現実の困難な問題として提起されている。
 近づく衆院選でも、反安倍政権の国民的挑戦が期待される。沖縄県と福島県の県民の闘いを全国共通の目指すべきシンボルに、全国民の現代民主主義闘争が続く。「党争」でも「逃走」でもなく、求められているのは地道な闘いである。



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【参考資料】

《孫崎享氏 日本外交と政治の正体》
【有権者が求める「清潔さ」 民進党は女性新代表を選べるか】
2016年8月5日

蓮舫代表代行(左)と山尾政調会長/(C)【日刊ゲンダイ】



 東京都知事選が終わった。あらためて選挙を振り返ると、当選した小池百合子知事の「自民党にいじめられ、反逆する」という“芝居”にメディアが乗っかり、それに都民がだまされた──というのが実相だろう。小池知事は出馬会見で、都民の信頼を取り戻すと表明。都議会の冒頭解散など、3つの公約を挙げていたが、当選後は公約実現のための具体的な発言をしていない。一体、都議会の冒頭解散はどうなったのであろうか。当選が確実となった7月31日の投開票日の夜、小池知事は「都民の方々から選ばれた都議会の方々とも、しっかりと都民のための政策の実現のために、これからも連携をとらせていただきたい」(朝日新聞)と語った。要するに自民党と断固戦う――という図式は茶番劇だったわけだ。




 他方、野党連合の支持を得た鳥越俊太郎氏は惨敗だった。出口調査によると、民進党支持者の28%、共産党支持者の19%が小池知事に投票した。当然のことだが、都知事選が示したひとつの教訓は、与野党問わず、国民の支持を得られない候補者を擁立しても、結局は勝てないということである。舛添要一前知事の辞任問題で「政治とカネ」問題がクローズアップされた今回の選挙。選挙期間中、週刊文春と週刊新潮が鳥越氏の女性問題を取り上げ、この報道が鳥越票に影響したとみられることから、有権者が新知事に対して強く「清潔さ」を求めていた様子がうかがえる。今後、都知事選と同様に女性候補が有権者の支持を集める可能性は高く、国政の場においても当てはまる。



 例えば民進党では、岡田克也代表が9月末で代表の座を退き、次期党代表選に出馬しないことだろうことを表明。早速、新代表候補に蓮舫代表代行、山尾志桜里政調会長ら女性議員の名前が挙がっている。このうち、は強い支持を得ている。ツイッター・フォロワー数を見ると、8月上旬現在で、蓮舫氏は約39万人。小池百合子知事は約22万人だ。フォロワー数が多いことは発信力が強いことを示している。民進党は果たして女性党首を選べるであろうか。


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