【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

世紀末の様相を呈す中東の実態を究める【報道特集2023.10.28】

2023-10-31 19:26:33 | 報道と思想
特集Ⅰ 『ガザの惨状』

 尊敬する市民運動家は、こう書いている。
【「イスラエル対ハマスの衝突」ではありません。イスラエルによるガザ抹殺が進行中なのです。それでも沈黙する政党、イスラエル擁護プロパガンダを流すメディアは何なのか。】と。

 去年韓国でもハロウインデーに狭い路地でかなりの死傷者が出た。渋谷の警戒も同じ危惧をいだいてのことだろう。ただ子どもでなく若者たち。抑圧した日常の鬱積した日々の不満もあると推測される。若者たちに自治能力を陶冶していない。小中高までの人間らしさの教育がなされていないと思う。
 私は「パレスチナ」と「イスラエル」の対立と思っていた。だがパレスチナは、強硬派の勢力が「ハマス」として別の位置に移動した。ハマスの戦闘ぶりを見ると誤解するが、パレスチナの多くはハマスとは別であり、温厚な民族である。犠牲者はこどもたちと老人と母親たち女性。

 イスラエルの首相ネタニヤフは、ハマスを絶滅する破壊性で事態に臨んでいるようだ。停戦を呼びかける2つの法案。アメリカ主体の呼びかけも、ロシア主体の呼びかけも共に否定された。日本がどちらにも棄権など独自の立場はまだましだ。戦後日本の国民は、ずっと平和に前向きだった。
 イスラエルはハマスの国境に高い塀を築いている。ハマスの攻撃性を悪用し、ばねにして空爆と地上攻撃と民族皆殺しの作戦。ジェノサイド。アメリカ軍がしかけたベトナム戦争を思い出す。アメリカにはまだ抑止力があるが、核兵器を保有し、政治的に老獪なイスラエルのネタニヤフ首相の極右ぶりは恐ろしい。



特集Ⅱ 「水中考古学」

 湖底の宿場町をあきらかにする「水中考古学」。はじめて知った。湖底には昔の様子や歴史が残るという。夢がある。ただ水中水底のようすを知るには、気圧や視界による制限もあるが、科学技術が進むにしたがって新たな発見が続々出てくるのだろう。
「桧原湖」
街道の真ん中を通る水路の新発見。水中考古学とは、困難さを伴うが歴史の開拓の有効な手立てでもあるのだ
。。

【孫崎享のつぶやき】2023-10-28 07:08

2023-10-29 10:11:11 | 転載・政治社会と思想報道
「日本の研究は、もはや世界トップクラスではない」科学誌『ネイチャー』。2019年から21年質の高い科学論文数の順位:13位(中、米、独、伊、印、豪、加、仏、韓、スペイン、イラン、日の順)過去20年間大学部門の研究支出米、独80%、韓国4倍、中国10倍。日本の支出10%増


日本の研究はもはや世界クラスではない - その理由は次のとおりJapanese research is no longer world class ― here’s why(GOOGLE翻訳)
強力な労働力にもかかわらず、日本の研究は質の指標を低下させ続けている(Nature)10月25日に英語で発表された日本の文部科学省(MEXT)の報告書によると、世界最大級の研究コミュニティを有するにもかかわらず、世界クラスの研究に対する日本の貢献は低下し続けている。

東京の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)科学技術予測・指標センター所長であり、2023年版日本の科学技術指標報告書の著者の一人でもある伊神正行氏は、次のように述べている。日本が世界的な地位を向上させるために検討できるいくつかの分野を強調する。 「現在の日本の研究環境は理想とは程遠く、持続不可能です。研究環境を整えなければなりません」と彼は言う。

報告書によると、日本は研究者数の合計で中国、米国に次いで世界第3位。しかし、この労働力は 20 年前と同じレベルの影響力の高い研究を生み出していない。最も多く引用された論文の上位10%に入る日本の研究論文の世界シェアは6%から2%に低下、国際的地位の低下に対する日本の懸念が高まっている。
2019年から21年にかけて、日本の科学論文数は五位(中国、米国、印度、ドイツに次ぐ)であるが、質的発表になると13位(中、米、独、伊、印、豪、加、仏、韓、スペイン、イランの順)

伊神氏は、質の高い研究成果の点で、世界の他の国々が日本を追い越していると説明。 「日本の研究者の生産性が低下したわけではありません。しかし、他の国の研究環境は過去数十年で大幅に改善されました」と彼は言う。

時間とお金

減少の一部は資金調達に起因する可能性があると井神氏は言う。 2023年の報告書によると、過去20年間で大学部門の研究支出は米国とドイツで約80%、フランスで40%増加し、韓国では4倍、中国では10倍以上に増加。対照的に、日本の支出は10%増加。
しかし、たとえ研究者がより多くの資金を受け取ったとしても、日本の科学者は実際の研究に費やす時間が少ないため、影響力の高い研究を生み出すのは依然として難しいかもしれない、と井神氏は言う。文部科学省の2020年の分析によると、大学の研究者が科学に費やした時間の割合は、2002年から2018年の間に47%から33%に減少した。
「大学の研究者は、教育、業界とのコラボレーション、コミュニティとの関わりにおいて多様な役割を担うことがますます期待されています。医学では、病院の収益を維持するために、若手研究者が臨床業務に多くの時間を費やしています」と井神氏は言う。 「大学がさまざまな形で社会に貢献するメリットはありますが、研究に使える時間は限られてしまいます。」

この報告書の調査結果は、仕事の不満の顕著な要因として研究時間の不足を指摘した、若手研究者を対象とした以前の調査結果を裏付けるものである。調査を実施したグループの一員である日本の豊橋技術科学大学の土木技師、小野遥氏は、回答者は管理業務があまりにも面倒だと感じていたと語る。
「外国人の研究室メンバーのためのビザの書類作成から、学生が期限までに家賃を支払っていないという家主からの電話対応まで、あらゆることはすべて研究主任の責任です」と彼女は言う。

研究環境の変革


より献身的な研究時間を確保するために、日本学術会議の若手研究者の代表を務める東京大学の計算生物学者岩崎渉氏は、スタッフだけでなく民間部門とのコラボレーションを促進するためのビジネス専門知識を備えている事務スタッフや検査技師などのサポートスタッフの増員を望んでいる。。現在、日本の大学の研究者20人当たり技術者は1人となっており、2023年の報告書ではこの数字は他国に比べて著しく低い。

サポートスタッフの存在もまた、日本で普及している階層的な検査モデルから離れる傾向を強めるだろうと小野氏は付け加えた。従来の研究室構造では、上級教員が研究の方向性とリソースを制御でき、若手教員が補助的な役割を果たすことがよくあった。例えば、日本の新たな大学寄附基金の受領者に選ばれた東北大学は、より多くの若手研究者を主任研究者として任命することを約束した。しかし、サポートスタッフがいないと、突然の自主性が若手研究者にとって逆効果になる可能性がある。小野氏は、自分が主任研究者に任命されたとき、研究室を運営する経験がまったくなかったところから、専門家のサポートを受けずに学生たちに自分の指示を頼りにしながら、自分自身の研究目標を達成する必要があるようになったと語る。その経験を彼女は次のように語っている。圧倒的です。」 「それに伴う不安は、長期的で大きな影響を与える研究を試みるには建設的ではありませんでした」と彼女は言う。

伊神氏は、研究室のメンバーが年功序列の増加に苦労しているのを見ると、若い科学者が研究分野でのキャリアを追求するのを遠ざけている可能性があると言う。彼によると、
博士課程の学生の数は過去 20 年間で 21% 減少したという。学部生や修士課程の学生よりも多くの研究経験を持つ、より多くの博士課程の学生を研究室に引き付けることは、日本にとってより大きな影響力を持つ研究を促進するために極めて重要である、と彼は言う。
「日本の研究環境は過去に比べて進歩しておらず、大学が研究者に臨時の職を提供することが増えているため、学術界でのキャリアの見通しは悪化するばかりです」と彼は言う。


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【孫崎享のつぶやき】2023-10-27 07:31

2023-10-27 20:04:24 | 転載・政治社会と思想報道
ガザの問題で、重要なのは、アラブ諸勢力がガザ以外で軍事行動をするか否か。最重要はレバノンのヒズボラ。ここではハマスとヒズボラの連携促進。ヨルダン川西岸に大量の武器密輸するイラン。他にシリア。無人機の導入で武器の搬入が拡大。イランなど支援。


1:  レバノンのヒズボラ

・25日 ロイター] - レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマス、同イスラム聖戦の指導者が会談した。ヒズボラが25日明らかにした。「ガザとパレスチナにおけるレジスタンス(抵抗運動)の真の勝利を実現し残忍な侵略を阻止するために、国際的な立場と抵抗の枢軸の当事者が何をすべきかについて評価が行われた」と明かした。調整を継続することで合意したという。声明によるとヒズボラのナスララ師、ハマスのサレフ・アル・アルリ氏、イスラム聖戦のジヤド・アル・ナハラ氏が参加した。会議がいつ行われたかは明らかにされていない。
・イラン外務大臣は10月13日にレバノンから演説し、イスラエルによるガザ封鎖が続けば第二戦線が起こる「あらゆる可能性」があると述べた(economist)

2: 西岸のパレスチナ人:パレスチナ人 銃撃で応戦


  (イスラエル軍は25日、ヨルダン川西岸で夜間急襲作戦を 実施した際にパレスチナ人グループから銃撃、ドローン(無人機)で攻撃)
・ヨルダン川西岸に大量の武器密輸するイラン
 イランが最近、ヨルダン川西岸をより重視し、同地の一部グループに武器を供給しようとしている。とりわけ、イランのより直接的なパートナーであるイスラム聖戦に供給している」 
 ヨルダン政府高官によれば、同国に持ち込まれるイラン製の密輸兵器の中には、米国製クレイモア対人地雷をまねた地雷、M4風のアサルトライフル、TNT火薬などの爆発物、拳銃などが含まれる。無人機は、密輸にも便利に使われている

3:シリア:ロケット弾でイスラエル攻撃

(イスラエル軍は25日、隣国シリアからロケット弾が撃ち込まれた報復として、シリアの軍施設を空爆したと発表)

4:イエーメン


 イエメンを拠点に活動するイスラム教シーア派武装組織フーシの脅威もある。米CNNはイエメン沿岸付近で米軍の駆逐艦が19日にドローン(無人機)とミサイルを迎撃した際、当初の見方より長時間にわたり大規模な対応を迫られていたと伝えた。9時間のうちに巡航ミサイル4発とドローン15機を撃ち落としたといい、本格的な攻撃だったことを示唆した。

5:・サウジ かつては米・イスラエル・サウジ同盟、祭事皇太子関連で米・サウジ関係悪化→アラブ社会の動向


6:他地域への拡大

ロイター;プーチン大統領は25日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの衝突が中東域外にも広がる可能性があると警告

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東京新聞<こちら特報部>2023年10月20日 12時00分

2023-10-23 11:00:30 | 転載・政治社会と思想報道
日本とイスラエルの「近さ」に潜む危うさ アメリカへの追従で失われる中東外交の「資産」


 緊迫するパレスチナ情勢。同国のイスラム組織ハマスとイスラエルのさらなる軍事衝突が危惧される中、改めて考えたいのが日本とイスラエルの距離感だ。第2次安倍政権以来、両国は防衛技術の連携などで急接近してきた。ただ、密接ぶりには危うさも潜むという。過度な肩入れや沈黙は何をもたらしうるのか。(安藤恭子、山田祐一郎)

◆バイデン大統領が強調する「親イスラエル」
 パレスチナ自治区ガザの病院爆発の衝撃が広がる中、イスラエルを訪れたバイデン米大統領。18日、ネタニヤフ首相と会談し「イスラエルの自衛に必要なものを確保しなければならず、われわれは提供する」と改めて支援を表明した。
 会談後の演説でも、反イスラエル勢力の介入を念頭に「私のメッセージは1週間前と変わらない。やめろ」とけん制した。
 同じ日の国連安全保障理事会。イスラエル軍とハマスの大規模戦闘の一時停止を要請する決議案が否決された。常任理事国の米国が拒否権を行使したためだ。イスラエルの自衛権に言及していないことへの「失望」をその理由とした。
バイデン米大統領(右)と抱擁を交わすイスラエルのネタニヤフ首相=18日、イスラエル中部テルアビブ(AP)


 鮮明となった米国の親イスラエルの姿勢。ハマスの攻撃開始後、米国と歩調を合わせるような発言は日本政府関係者からも目立つ。
 11日にイスラエル駐日大使と会談した岡野正敬外務事務次官は「残虐な無差別攻撃は正当化できない」と表明。松野博一官房長官も12日、ハマスによる「テロ」と断定し、イスラエルとの連帯を印象づけた。
 同志社大の役重善洋嘱託研究員(パレスチナ問題)は「ハマスの攻撃のインパクトが大きく、日本は米国の圧力になびいた。イランにも配慮することでバランスを取った中東外交の資産を損なっている」とみる。

◆日本とイスラエルの接近はいつから?
 米国の同盟国でもあるイスラエル。日本は第2次安倍晋三政権以降、イスラエルと急接近した。
 政権発足翌年の2013年、イスラエルが導入予定の主力戦闘機F35の共同開発参加を表明。14年に同国のネタニヤフ首相が来日すると、15年には安倍氏が日本の首相として9年ぶりにイスラエルを公式訪問し「真の友人として関係強化に努める」と宣言した。

イスラエル企業などのテロ対策装備品の見本市「ISDEF JAPAN」=2018年8月、川崎市中原区で

 その後もイスラエルが得意な軍需・セキュリティー産業で交流を深め、22年の防衛相会談では防衛技術開発の協力推進で一致した。
 今年3月に幕張メッセ(千葉市)で開かれた武器見本市には、同国の兵器メーカーが多数出展した。
 「武器取引反対ネットワーク」の杉原浩司代表は「前回19年はイスラエルから3社だったのが、今回は14社に拡大した。防衛費拡大や防衛装備移転三原則の見直しの流れの中でイスラエルの軍事企業が日本に売り込みに来ている」と語る。「防衛協力の覚書を締結するなど以前と比べ、イスラエルとの経済的、軍事的つながりが強まっている」

◆「独自外交などできない」「対米追従が明確に」

 では、岸田政権の対イスラエルなどの外交はどう見たらいいのか。政治ジャーナリストの野上忠興氏は「米国の手のひらの上。内政もがたがたなのに、安全保障や貿易交渉でしっぺ返しをくらうのを恐れて、米国の意に沿わない独自外交などできない」と嘆く。
 日本は米国が描く国際的枠組みの中でイスラエルとの関係を深め、米国産兵器を大量購入してきた。「安倍政権から岩盤の保守支持層も引き継いで、身動きがとれない状況。複雑かつ切迫した国際情勢に日本の存在感を示せず、対米追従姿勢がより明確になった」

◆「イスラエルの安定」→「中東の安定」
 ここ最近の米国の外交姿勢はどう捉えるべきか。
21年に発足したバイデン政権は中東の安定化を図ろうと、アラブの盟主とされるサウジアラビアとイスラエルの関係正常化を仲介してきたとされる。
 慶応大の田中浩一郎教授(中東安全保障)は米側の意図と余波をこう語る。
 「イスラエルを取り巻く環境を安定させる先に、中東の安定があるという考え方。むしろパレスチナ問題が放置された中、関係正常化を嫌うハマスが、今回の攻撃を起こす一因となったのではないか」

イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃を止めるよう訴える人たち=18日、名古屋・栄で

 ハマスの攻撃は目に余る。今月7日にはイスラエルへ3000発以上のロケット弾が打ち込まれた。野外音楽フェスティバル会場も標的になり、260人以上が犠牲に。民間人らがハマスに拉致され人質となった。
 これに対しイスラエルはガザへの電気や水道を遮断し、完全封鎖した上で無差別爆撃を実施、さらに大規模な地上侵攻を予告した。

◆国際人道法違反でもイスラエル支持でいいのか
 この局面でも、手放しでイスラエル支持に傾いていいものか。日本を含めた国際社会が歯止めをかけない場合、何が起こりうるか。
 東京外国語大の黒木英充教授(中東研究)は「国連機関が運営する学校は以前からイスラエルの爆撃で狙われ、避難した住民らが犠牲となった」と述べた上、今回の報復が現実のものとなれば、さらなる甚大な犠牲を生むと警鐘を鳴らす。
 「今回、イスラエルの『自衛』として封鎖したガザへの無差別爆撃がなされ、まさに地上侵攻が行われようとしているが、ガザの完全封鎖は既に国際人道法違反の批判が出ている。明らかな不条理がある。にもかかわらず、米国をはじめとした西側諸国がイスラエル支持を表明している」

◆そしてあらわになる「世界の分断」
 世界を見渡すと、対立の構図が明確に浮かび上がってきている。
 バイデン大統領はガザでの病院爆発について「イスラエル軍によるものではなさそうだ」と早々に表明。かたやイスラム教徒が多い中東などでは、イスラエル軍による攻撃だったとして大規模なデモが起きた。7日以降の構図がより顕在化している。
 「これまでじわじわと広がってきた世界の分断があらわになった」
 先の黒木氏はそう述べ、「イスラエルに不条理がありながら支持する西側の姿勢は『二重基準』。多くの人が抱く危機感を日本政府は理解しているのか」と危惧を強める。
 「時間の経過とともに、日本は米国と歩調を合わせ、イスラエル寄りの対応が目立つようになってきた」と話すのは、日本エネルギー経済研究所理事の保坂修司氏だ。
 中東情勢を巡って対立構図が鮮明になる中、経済面で支障は生じうるのか。日本が原油の輸入の大部分を頼るサウジアラビアはイスラエルとの国交正常化交渉を凍結した。今後、どのような影響を及ぼすのか。

◆アメリカと同一視されれば日本も標的に

 「50年前の石油危機のように、アラブ諸国が原油供給を制限する可能性は低い」とみる。ただし「事態がエスカレートして、レバノンなどの周辺国に拡大する恐れはある。イスラエルを支援する米国と同一視されるようになると、テロを含め、怒りの矛先が日本に向きかねない」と危ぶむ。
 現段階で何より看過できないのが現地の状況だ。衝突が次の衝突を生む負の連鎖で犠牲になるのは民間人だ。日本政府はガザの一般市民に向け、総額1000万ドル(約14億9000万円)規模の人道支援を表明した。
 黒木氏は日本政府にさらなる対応を求める。「できることは限られているが、既に戦争犯罪が行われていることを国として指摘し、暴力の即時停止をしっかり表明する必要がある」

◆デスクメモ
 特報部へ最初に赴任したのが10年ほど前。この頃からイスラエルへの接近が目立ち「国際的に突出」「アラブ諸国は疑心暗鬼」と報じたのを覚えている。中立的とされてきた日本の中東外交は現在、どう見られるか。仲裁役を担えるか。果たすべき役割となすべき行動を改めて考えねば。(榊)


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日刊スポーツ紙転載

2023-10-21 21:17:24 | 転載と私見
「サンモニ」後任の膳場貴子、現在担当「報道特集」の来年4月以降は未定…TBS「今後検討」




TBSは20日、同局系報道番組「サンデーモーニング」(通称サンモニ、日曜午前8時)司会の関口宏(80)が来年3月末で勇退し、同年4月からフリーアナウンサー膳場貴子(48)が後任を務めると発表した。

同局は取材に対し、勇退の経緯を説明。「関口さんの80歳の節目なので、ご本人とTBSで『サンデーモーニング』の今後について意見交換をしていく中で、勇退が決定した」とコメントした。また後任の膳場は現在、同局系で「報道特集」(土曜午後5時半)キャスターを務めているが、来年4月以降の同番組については未定で「今後検討します」としている。

膳場は「視聴者の皆さまに大きな支持を頂いてきた歴史ある番組ですので、バトンを引き継ぐ責任の重さを感じています。『サンデーモーニング』の精神を大事にして、これからも信頼ある番組をお届けしていけるよう励んで参ります」とコメントした。膳場は現在キャスターの「報道特集」の他、06年3月のNHK退局後には同年9月から「筑紫哲也 NEWS23」「NEWS23」キャスターを16年まで務めていた。


同局は、司会交代後も「これまでの“レガシー”を継承し、新たな『サンデーモーニング』としてスタートします」と番組名を継続することを明言。関口はBS-TBSで新番組を担当することも明らかにした。

写真:©日刊スポーツ社


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関口宏、TBS「サンデーモーニング」24年3月末で勇退 後任は膳場貴子 36年にわたり司会
日刊スポーツ社転載


TBSは20日、同局系報道番組「サンデーモーニング」(通称サンモニ、日曜午前8時)司会の関口宏(80)が来年3月末で勇退し、同年4月からフリーアナウンサー膳場貴子(48)が後任を務めると発表した。

関口は87年の番組スタートから36年にわたり司会を務めてきた。局を通じ「まだまだ自分は元気だが、世代交代というのも大事。4月からはBS-TBSで新しいことにチャレンジするので期待してください。膳場さんならサンデーモーニングの良さをさらに発展されると期待しています」とコメントした。

膳場は「視聴者の皆さまに大きな支持を頂いてきた歴史ある番組ですので、バトンを引き継ぐ責任の重さを感じています。『サンデーモーニング』の精神を大事にして、これからも信頼ある番組をお届けしていけるよう励んで参ります」とコメントした。膳場は現在、同局系で「報道特集」(土曜午後5時半)キャスターを務めている他、06年3月のNHK退局後、同年9月から「筑紫哲也 NEWS23」「NEWS23」キャスターを16年まで務めていた。


同局は、司会交代後も「これまでの“レガシー”を継承し、新たな『サンデーモーニング』としてスタートします」と番組名を継続することを明言。関口はBS-TBSで新番組を担当することも明らかにした。
「サンモニ」は関口の司会で1週間のニュースを振り返る同局日曜の名物的存在。名物コーナー「週刊御意見番」では「御意見番」コメンテーターとして、元日本ハム監督の大沢啓二氏(10年死去)や、張本勲氏、上原浩治氏らが出演し、「あっぱれ!」「喝!」といった評論の決めぜりふも浸透した。

◆サンデーモーニング TBS系列で1987年10月から毎週日曜日に生放送の報道番組。関口宏が総合司会を務め、通称「サンモニ」。「関口宏のサンデーモーニング」に始まり、97年10月から「新サンデーモーニング」、99年4月から現行タイトル。日曜午前8時から2時間。名物コーナー「週刊 御意見番」では、故大沢啓二さん、張本勲氏らが「喝」「あっぱれ」で1週間で起こったスポーツの出来事を批評していく。張本氏は21年末で番組を卒業し、現在は元レッドソックスの上原浩治氏が出演。22年4月以降は月1度の出演となり、佐々木主浩、槙原寛己、岩村明憲らも出演している。他にも1テーマで世相を捉える「風をよむ」や専門家の「黒板解説」などのコーナーがある。主なサブキャスター(アシスタント)には、眼鏡がトレードマークの唐橋ユミ、セント・フォースの津島亜由子らが出演。主なコメンテーターは元毎日新聞主筆の岸井成格氏、国際政治学者の浅井信雄氏、政治学者の姜尚中氏、写真家の浅井慎平氏らがいる。


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【私見】:いま放送局は安倍政権以来放送局の免許とりあげ発言(総務相)以降ずっと自粛で厳しい状況にある。新聞社も1960年代に広告収入と購読費収入が逆転していらい新聞記事に企業の意見が介入することが増えてきた。
私はTBSやテレビ朝日の報道番組を多く見ているが、かつて日本テレビの「ドキュメンタリー」、テレビ東京が東京12チャンネルの頃に対談番組を見ていた。三派系全学連の秋山委員長と東大弁論部と部長の有賀氏らの対比的な2つの立場で討論するような番組がしばらく続いた。フジテレビはドラマ「若者たち」に見入っていた。NHKは「現代の映像」「新日本紀行」など秀逸。前者で統一協会と家出する若い女性を追い、淡々と事実を映外部像が表現していた。
TBSだから、という先入観ではない。ただ田英夫、古谷剛正、入江徳郎など「ニュースコープ」は印象的だった。
サンデーモーニングは、ずっと見てきた。娯楽的要素としてスポーツ面にも考えさせられるくふうがあった。別に左翼よりというわけでなく、関口宏氏が俳優から司会者として淡々とこなす柔軟さに好感度をもった。
膳場貴子氏は、筑紫哲也氏の後を受け「news23」をキャスターを務め、岸井成格氏とコンビでキャスターを務めた時も2人のコンビネーションがよかった。岸井氏とともに番組降板しても、岸井さんはサンデーモーニングのコメンターとして活躍。膳場さんは金平茂紀氏や日下部正樹氏らとキャスター。金平氏が引退し早稲田大学客員教授となられると、番組キャスターとして他のアナウンス室のキャスターと落ち着いた番組を継承。
外部の視聴者にはわからぬ会社の経営や外部からの働きかけなど種々の要素もあろう。膳場さんはこれまでも淡々と局面を乗り越えてきた。{報道特集」も村岡キャスターや上村キャスターらの若手中堅アナウンサーを日下部元キャスターや金平茂紀氏らが共に番組をフォローしてきた。
TBSの内部にあれこれ詮索するより、どのような局面でも放送現場を担う放送人に希望をもっている。


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【色平哲郎氏からのご紹介】

2023-10-20 18:20:52 | 転載・政治社会と思想報道
明日20日(金)、京都大学にて開催予定の緊急学習会「ガザとは何か」


> みなさま、京都の岡です。
> 明日20日(金)、京都大学にて開催予定の緊急学習会「ガザとは何か」、
> IWJに中継していただくことになりましたので、お知らせいたします。
> https://x.com/iwakami_staff/status/1714931781261291641?s=46&t=uqBeHGyTPzy7Z77P
> --------------------------------------------
> □□□□□□□□□□□□□
>  緊急学習会 ガザとはなにか
> □□□□□□□□□□□□□
> ■講師 岡 真理 早稲田大学文学学術院教授  
> ■日時 2023年10月20日(金) 18:30~
> ■場所 京都大学吉田南キャンパス総合人間学部棟 地下1B05  
>     https://www.z.k.kyoto-u.ac.jp/facility-guide
>
> ■主催 緊急学習会 ガザとはなにか実行委員会


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色平哲郎氏からのご紹介

2023-10-17 14:35:51 | 転載・政治社会と思想報道
アメリカ、中国、欧州のはざまで閉塞する日本の活路



医薬品も、ワクチンや抗ウイルス剤がつくれず、厚労省は自動でPCR検査ができる「プール」方式さえ使えません。その結果、医薬品の貿易収支(2022年度)は4・6兆円の赤字です。目を覆いたくなるのは、日本の製薬企業がほとんど外資に乗っ取られつつあり、かつ研究所が次々と海外に移っていることです。

また、EV化が進んでいる中で、トヨタやホンダがテスラやBYDに非常に遅れを取っています。2026年にトヨタとホンダが電気自動車を販売するとき、それが空振りになると、自動車産業は決定的な危機を迎えます。

三菱ふそうと日野自動車の経営統合は、BYDのバスのEV化と自動運転に対抗しようとする意図ですが、これは三菱ふそうの親会社であるダイムラーから持ちかけられています。
一方、日野自動車の親会社であるトヨタは、まだFCEV(燃料電池自動車)で水素にこだわっている。本当の意味で技術の遅れを取り戻す気があるのか、(日本の)経常収支が赤字になる前に間に合うのか不安になります。

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要するに、安倍さんがなぜアベノミクスをやりたかったかというと、後年度負担を利用してアメリカ製兵器の爆買いをしたかったからです。なし崩し的に防衛費を増やして既成事実化してしまえば、事実上なんでもできてしまう。そこへ取ってつけたように、台湾有事や敵基地攻撃能力、防衛費はGDPの2%がNATOの常識であるといって、壁を突破せざるを得なくなるように仕向けたわけです。

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仮に43兆円の防衛予算が必要だとして、その財源はどうするのか。国債を出すわけにいかない。増税するのもいやだ。従来の予算を見直して、財政改革で引っ張り出しますといって出したお金が、元をたどると国債であったという話です。

余らせた基金の元をたどっていくと予備費で、その前は赤字国債であるというまやかしです。

マネーロンダリングで、結局は国債が防衛費に回っている。ある意味で国民を欺いて、見えなくしているわけです。赤字国債で防衛費を捻出するというと、「戦争と同じで問題ですよね」ということになります。増税は国民の負担になるのでいやだという話になるので、このようなごまかしを駆使するわけです。

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国債のマネーロンダリングというのは、まずは赤字国債を発行して、そのお金で予備費を膨らませて余らせるという手法です。2年ほど前に大きな問題になりました。要するに、財源は赤字国債ですが、それで予備費をたくさん積む。それは国会の審議を経ずに、政府の判断だけで使えるお金で、普通は災害が起きたときなどに当座のお金を用意しておくというものですが、日本の場合は毎年10兆円規模の予備費をつくってしまったということです。

東日本大震災の時、2012年の予備費でさえ2兆円です。重複もありますが、これが20年から22年度は毎年約10兆円で30兆円にも膨らんでいます。しかも、日経新聞などの報道では、新型コロナ対策の予備費12兆円のうち9割以上が使途不明で何に使ったのかわからないわけです。それを異常に膨らませてお金を余らせ、決算剰余金という形で防衛費を捻出しようとしています。

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いくつかのメディアが、予備費についてそれなりに検証しています。すでに財政規律は崩壊しているといわれていますが、会計検査院の2021年度の決算報告を見ると、新型コロナ18事業のうち、法律違反があるのが10事業、未執行が約18兆円です。約107兆円の予算(2021年度)全体で考えると、2割弱を使っていないのは異常です。
そういうものを予備費で設定しているのはおかしい。そのうち、実際に繰り越しが13兆円あり、不要で国庫に返納が4・7兆円あると会計検査院はいっているわけです。

これに加えて、2022年4月22日の日経新聞では、新型コロナ予備費12兆円のうち、9割以上がどのように使われたのか、具体的な使途が特定できないと書いてあります。つまり、まったくチェックがなかったということです。同年12月1日付けの日経新聞では、13ある特別会計が毎年平均で8000億円程度の余剰金を常に持っているとも書いてある。

さらに、2023年3月10日の東京新聞では、12省庁で176の基金があるうち27の基金がまったくの休眠状態で、この基金の残高が約13兆円弱、つまりお金がそこにたまり込んで、省庁が勝手に使っていると報じています。

へそくりですね。そうすると、へそくりを吐き出せという話になりますが、結局、それは防衛予算に貢ぐという形になっている。

なんの目的で基金をつくり、なんのために予備費があるのか、、、本来の財政チェックがまったく効いてないのが今の状態だということです。本当に、国家経営として大問題ですね。そういうことを許しているのも、ずるずると国債が発行できるような金融緩和が長く続いたからでしょう。いってみれば、アベノミクスがそういう仕組みをつくって、規律がない財政運営ができるようにしているということです。規律を締めつけるとズルができなくなってしまう。

アベノミクスで、なし崩し的な後年度負担で防衛費を増やしていって、ウクライナ戦争や台湾有事をあとづけの名目にし、臨時軍事費特別会計のようなやり方はいけないといいながら、形を変えて似たようなことをしています。このままでは、取り返しのつかない事態を招くと思います。

そういうことしていて、行き着く先はどこになるのか。

国内的なリスクと国際的なリスク、大きく分けて2つの終着点があると思います。維新のような新自由主義はまったく期待できないとして、このまま岸田・植田コンビがアベノ
ミクスを継承する大規模金融緩和の路線を進めたとき、はたしてどんな結末が待っているのか。破局、あるいは破綻への道筋を考えてみましょう。

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国債を発行して防衛費をどんどん積み増しているのに、日本がこれから取り組まなければならない問題はそこではなく、少子化であり国民生活を充実させること、かつ防災体制をつくることです。そこにお金が回っていないのは残念です。

ナオミ・クラインの話ではないですが、新型コロナという危機便乗型の「ショック・ドクトリン」のようなやり方です。予備費はもともと災害やその他の非常時に、国会のチェックがなくても緊急で使うことができるお金です。未曾有の被害をもたらした東日本大震災(2011年)のような非常事態のときでさえ、その翌年、2012年度の予備費は2兆円でした。

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歯止めなしのなし崩し的な防衛費拡大という方針の決め方が、今の日本を象徴していると思っています。一部の有識者会合が勝手に決めて、それで安保三文書を書き換えてしまう。先制攻撃とはなんなのか、どういう防衛力が必要なのか、どういう財源が必要なのかといったことについて、国会でまったくチェックしていません。ですから、防衛省のお抱えで都合のいいメンバーを集めて勝手に方針を決め、しかも財源はほとんどチェックがないままやっていく。本当に恐ろしいことだと思います。

たしかに、「防衛費は国債で出していません。せいぜい建設国債だけです」といいますが、予備費から充当しています。予備費とはなにかというと、国債で出しています。
結局、回り回って国債で防衛費を支えているのと同じです。

メディアは、2022年度の税収が71兆円と過去最大になり、そこから決算剰余金が出ているとウソをついています。ノンアフェクタシオンの予算原則で個別の税は個別の支出項目と結びついていません。そもそもプライマリーバランスさえ達成されていないのに、決算剰余金など出るはずがないのです。22年度は予備費が11・76兆円もあり、予算を計上されながら使われなかった不要額も11・3兆円で過去最大になっています。決算剰余金2・6兆円がここから出ているのは明らかです。

インフレ下で139兆円(補正予算を含む)の巨額予算を組めば税収が増えるのは当然です。しかし、税収だけでは予算の半分しか財源を調達できません。決算剰余金は赤字国債のあとに出てくるものを前取りしているだけなので、結局、その中には赤字国債がかなり含まれています。ごまかしです。

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赤字国債を出してはいけないということは戦争の教訓で、これだけはきちんと守って健全財政にしようといっていましたが、自分のところで赤字国債をつくって、毎年のように「臨時だ」「一時的だ」ということをやりながら常態化し、それでも足りないので基金や予備費をつくってお金を調達することがまかり通っている。気がついてみれば、ハイパーインフレに近い状態に向かって突っ込んでいる。そういう方向に踏み込んできたということですね。

国会のチェックが利かないという意味では、外国為替特別会計もそうですし、それから財政投融資も同じです。そういうところにかなりお金をつぎ込んでいこうとしています。
これらを余らせて財源をつくり出す。国会のチェックが利かないお金で防衛費を増大させていくという路線は、国のあり方として非常に危ないと思います。

戦争もしていないのに、こんなに防衛費が必要なのかと思いますが、、、それだけではないのですね。そういう形で財政を歪めている。チェック不要のお金をどんどんつくって、それは経済的破局を食い止めたり、あるいは少子化や産業政策のためには使わない。いわば究極の国家的無駄遣いをしているということですから、まさに破局を加速しているとしかいいようがありません。

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防衛財源の内訳を見ると、43兆円という金額は突然、上から降ってきたわけです。このうちの、いわゆる中期防衛力整備計画の5年分を引いた残りに17兆円をどう
調達するかというのが、今回の防衛財源確保法案です。

その中身を見ると、防衛力強化資金が4・6兆円です。外国為替特別会計(外為特会)から3・1兆円出すといいますが、先ほどの話のように2022年度の貿易赤字が21・7兆円で、もし経常赤字となった時に、このような形で外為特会の無駄遣いをずっと続けて大丈夫ですか? という話です。

日本は黒字国なので大丈夫というときだったらまだしも、それが赤字国になるときに外為特会の目的外使用をして、自国の通貨を安定させるためのお金を浪費してしまっていいのかということですね。

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歳出から見ると、後年度負担があります。これは、武器を購入したとき、単年度では決算できないので、分割して支払うというものです。後年度負担は、実は安倍さんがやってきた政策です。2013年度の段階では3兆円程度でしたが、2022年度段階では6兆円近くになっています。GDP1%の防衛費が守れなくなってきたのはなぜかというと、後年度負担が膨らんで次々とツケが回ってくるからです。

防衛費の増大は安倍政権のコア政策の一つで、防衛費をじわじわと増やしていく。しかも、国会のチェックの利かないお金が背後にあり、なおかつ後年度負担でなし崩し的に
拡大していきます。

実はウクライナ戦争や台湾有事は、取ってつけたあとづけの理由であり、2013年からこの路線は決まっていました。これが、アベノミクスの正体です。

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わけのわからない偵察機やさまざまなクズのような兵器をたくさん買って、そのあとの財政が膨らむことがわかっていながら、そうなれば防衛費のGDP1%枠が自然に破れるといったことだったわけですね。

台湾有事もあとづけの話で、実際はすでにその前から武器などを買っています。アメリカがそこまで要求はしていなかったのに、喜んで2027年度には防衛費をGDP2%に増額すると決めて、バイデン大統領が大歓迎した。

しかも、ミサイルはアメリカがつくるはずだった計画を日本が肩代わりする。このようなことをしている財政状況ではないと思います。

少子化問題もあり、産業政策は立ち行かなくなっていますし、大学ファンドなどはお金儲けで研究費を出そうとしますが、だいたい破綻します。しかも、きちんとした公正なルールがありません。ですから、教育や福祉に使わなければならないお金が、すべて防衛費の年10兆円に消えていくわけです。

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一般の人にどういう分野に予算を充てるべきかアンケートしたことがありますが、上位に上がったのは子育て、教育、防災対策です。ですが、実際にやっているのは防衛費増額です。アンケートで防衛費を挙げた人はゼロだったのに、必要ではないと考えている分野に予算がついてしまった。それがきちんと議論されてないところが、最大の問題です。
しかも、これが後々、日本経済と財政に深刻な影響を及ぼすわけです。

結局、経済が行き詰まったときに軍事や戦争、ナショナリズムに突っ込み始めるのは危険な兆候で、これに歯止めをかけなければいけません。「なにかおかしい」と思って漠然とした危機感を持っている人はいますが、具体的にそれがどういうものなのかがつかめていないのです。

「新しい資本主義」とはとどのつまり「新しい戦前」なので、戦争の前になにが起きたかということをもう一度振り返ってみると、1936年に二・二六事件が起きて、テロの時代になります。1937年には日中戦争が始まるのを契機にして、臨時軍事費特別会計ができるわけです。臨時なので、戦争が終わる1945年まで一度も決算をせず、ずっと国債で財源を調達していくうちに負債が大きく膨らんで、第二次大戦が終わったあとにハイパーインフレ(物価が短期間で数倍になるなど急激にインフレになること。「悪いインフレ」)になってしまった。

非常時の劇薬だといっているのに、劇薬がいつの間にか日常化してきた。まさに、アベノミクスの金融不安もそうです。気がついたときにはやめられなくなって、最後は破綻への道が待っています。

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一見、それを防ぐような形で問題を組み立てながらも、事実上同じように歯止めが利かないような処置を予備費や基金を使ってやっているのが現在です。戦前の臨時軍事費特別会計と非常に状況が似てきているのを危惧しています。

予備費や基金は、マネーロンダリングの手法だと指摘されています。こういう事態は戦前も同じで、誰も気がつきません。いつの間にか歯止めが利かなくなっているので、引き返せないのです。今はそれに近い状態に入り込んできている。原発と同じですが防衛費も、赤字国債で防衛費を膨らませてはいけないという太平洋戦争の教訓を形式的に踏まえながら、迂回して国会のチェックがまったく利かない予備費や基金を大きく膨らませ、余らせている。ここから決算剰余金3・5兆円や歳出改革3兆円を捻出して、どんどん防衛費を増長させているのです。

「岸田自民で日本が瓦解する日 アメリカ、中国、欧州のはざまで閉塞する日本の活路」徳間書店より抜粋

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ブラジル・レアル、ロシア・ルーブル、インド・ルピー、中国・人民元、南アフリカ・ランド──。これら5通貨にはある共通点がある。これら新興5カ国はいずれも、国名の頭文字を冠した「BRICS」と呼ぶグループを形成する。そして、通貨単位の頭文字がいずれも「R」で始まっている(人民元の略称は「RMB」)。BRICSでは今、この「R5」で構成する新通貨の構想が議論されている、、、

6カ国が新規加盟


国内総生産(GDP)で米国を猛追する中国、人口世界一となるインド、資源大国のロシアなど、世界経済への影響力を年々強めるBRICSだが、今後はさらに大きくなりそうだ。今年のBRICSサミットでは、アルゼンチン、サウジアラビア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプト、エチオピアの6カ国が来年1月に加わることが決定した。

一大産油国のサウジとイランは長く中東の覇権を争い、16年以降は断交していたが、中国の仲介によって今年3月、外交関係を正常化。BRICSにも同時加盟を果たした。UAEも世界有数の産油国に名を連ねる。アルゼンチンはトウモロコシなど穀物の輸出大国。エジプトやエチオピアはアフリカ大陸の人口大国で、エチオピアにはアフリカ連合(AU)の本部がある。

どのような基準で6カ国の新規加盟が決まったのかは明らかではない。ただ、国際政治が専門の福富満久・一橋大学大学院教授は、6カ国が新たに加わったBRICSについて、「国際政治のルール設定や貿易の取り決め、紛争処理の介入まで含めて、先進国がこれまで『大国の論理』で主導してきた。拡大BRICSはその対抗軸として、国際社会のルール作りを進めるという意思が原動力になっている」と指摘する。

BRICSは米ゴールドマン・サックスが01年、リポートの中で高い成長性が見込める国としてブラジル、ロシア、インド、中国を総称して「BRICs」と呼んだのが始まりだ。外相会合などを持つ緩やかな集まりにすぎなかったが、09年に初のサミットを開催。10年には南アが加わって5カ国体制となり、BRICSと呼ばれるようになった。

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20231024/se1/00m/020/049000c

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精神医療の「闇」に迫る 日本経済新聞  2022年4月30日

日本で精神疾患により医療機関にかかっている患者は400万人を超える。だが現場でどんなことが行われているかはほとんど表に出ない。人権侵害とされるような行為であればなおさらだ。本書は3人の記者が丁寧な取材を重ね、精神医療の「深い闇」を浮き彫りしたルポルタージュである。

冒頭のエピソードからして衝撃的だ。4 年近く閉鎖病棟に入院させられていた42歳の女性。 この間子どもにも会えず、主治医は「社会的制裁だ」と言い放つ。「刑務所よりひどい」という言葉がうなずける。力ずくで自宅から連れだして病院に搬送する民間業者。薬漬けにさせられた末に、自死した若い男性......。

これが21世紀の光景かと、にわかには信じがたい事例が患者や家族の証言 を交え次々と明らかにされる。日本の現状が国際的に異常であることも浮き彫りにする。

医師の裁量で本人の意思に関係なく強制入院させられる「医療保護入院」制度の問題点を本書は指摘する。国や自治体も実態を認識しながら、放置あるいは利用してきた。
背景には精神医療に対する社会の無関心もあるのだろう。本書を読み、「このままでいい」と思う人はいないはずだ。我が事として考える契機になる一冊である。(東洋経済新報社・1760 円)

『ルポ・収容所列島』風間直樹・井艸恵美・辻麻梨子著

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「どうして中国にはこんなにカネがあるのか」。これは多くの人から受ける質問である。その答えはひとつではないが、最も大きな理由は、国家そのものの仕組みの違い、中でも土地に関する制度の違いにある。

中国の土地は事実上、すべて国家のものである。つまり国や地方政府は、いわば全土の大地主であり、その土地の「使用権」を売ることで莫大な利益を上げてきた。あらゆる権能を手にした「一党専政」の政府が自ら不動産デベロッパーになったのと同じで、儲からないはずがない。いわば無尽蔵のカネが湧いてくる「打ち出の小槌」を手にしたようなものだ。

その利益で中国政府は立派な高速道路や鉄道網などのインフラを造り、それらをテコにもう一段、経済を成長させ、さらなる土地の値上がりが実現する。そういうサイクルを実現し、成長してきたのが中国である。

しかし、広い中国とはいえ、土地は詰まるところ有限である。切り売りには必ず終わりが来る。過去20数年、全国各地で都市化は急速に進展し、政府が高い価値を付けて売れる土地はもうあまり残っていない。GDP押し上げの原動力になってきた「土地を中核にした、新たなおカネを生み出すサイクル」は消えつつある。

・・・

前述したように、土地の売却益に依存した成長は「1回限り」の有限のもので、いつかは終わる。これを前提に組み立てられた仕組みは、どこかで壊さなければならない。しかし、いわば「好きなだけおカネが生まれる仕組み」に慣れた者が、それを変えるのは苦しいことだ。おまけに不動産の世界には、どこでも権力と利権が深
く絡み合っている。

中国の「普通の人々」の感覚でいえば、政府の執政に対する信頼感はまだ高く、社会システムが崩壊するような状況にあるわけではない。しかし今後、これまでのような投資主導の粗放な量的拡大は不可能で、中国でもコツコツと努力して生産性を上げ、付加価値の高い商品やサービスを生み出して成長していくしか道はない。それは簡単なことではない。

2022年、中国の人口は革命後の混乱期以来、61年ぶりに減少に転じた。奇しくもその同じ年、地方政府の土地販売収益が大きく減少した。タイミングの一致は偶然にしても、中国をめぐる何か大きな動きがピークを超えたことを感じさせる。

https://wisdom.nec.com/ja/series/tanaka/2023092501/index.html
消滅する中国政府の「打ち出の小槌」 GDP拡大を支えた「土地財政」が終わる時

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ガザ・いま     石川逸子   2009年

ガザ いま 通学途上の子どもたちは 瓦礫の下敷きに
ガザ いま 窓ガラスを破られた暗いアパートで ひとびとは凍え
ガザ いま イスラーム大学の校舎は崩れ落ち 病院もねらわれ
ガザ いま 消防署が国連事務所が 難民キャンプの警察署が 爆撃され
ガザ いま 救急車も炎上し 野菜市場は空爆され 

ガザ そのひとたちはなにをした
 (先祖伝来の土地を追われ 逃れてきただけ)
ガザ そのひとたちはなにをした
 (入植者に四〇%の土地も奪われ ひしめき暮らしているだけ)
ガザ そのひとたちはなにをした
 (出口・入口をふさがれ 袋のネズミにされているだけ)
ガザ そのひとたちはなにをした
 (道路もおりおり封鎖され 仕事にも学校にも行けないだけ)

ガザ いま その地に イスラエル機は無差別爆撃をおこない
ガザ いま その地に イスラエル戦艦はたえまなく砲撃をくわえ
ガザ いま その地に イスラエル戦車はわがもの顔に進撃し
ガザ いま アメリカ議会は そのイスラエルを支持し

ガザ いま その地で 夜もひとびとは逃げまどい
ガザ いま その地で もがきながら息絶えた ひとびと
ガザ いま その地で 両腕をもがれた 子どもたち
ガザ いま その地で 葬列はたえまなく

ガザ ガザ ガザ・・
ガザ その地はいま 水も電気も絶えかけ 食糧も危うく
ガザ その地でいま ながれ ながれつづける 無辜の血
ガザ・・・ガザ・・

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「今回のハマスによるイスラエル攻撃において、イスラエルは過去半世紀で最大の打撃を受けた。インテリジェンス、軍事作戦、政治の三つの面でイスラエルは深刻な過ちを犯した。インテリジェンスに関してモサドを含む情報機関は、今回のハマスの攻撃に関する情報を全く入手できなかった。これは言い訳ができない深刻な失態である。イスラエル軍は、ハマスの攻撃を初動において鎮圧することが出来なかった。イスラエル軍の機動力が劣化していることを示す事例だ。政治的には、ネタニヤフ首相への権力集中と、同首相が宗教右派勢力に過剰に依存し、パレスチナとの緊張をイスラエルの安全保障上の脅威をもたらすところまで高めてしまった責任がある」

「イスラエル軍がハマスを軍事的に制圧する力を十分に持っていることについては疑いの余地がない。
この戦争にイスラエルが敗れることはないが、これだけの犠牲をもたらしたことについてインテリジェンス機関、軍、政治のそれぞれが責任を負わなくてはならない。
現時点で最も注意しなくてはならないのは北部国境地帯の動静である。レバノンのヒズボラが本格的な軍事攻勢を始めた場合、軍は二正面作戦を余儀なくされ、国民の犠牲が飛躍的に増える」

元モサド幹部の発言、テルアビブ時間10月8日11時40分、佐藤優氏による記載@AERA


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【孫崎享のつぶやき】2023-10-15 08:40

2023-10-16 15:55:24 | 転載・政治社会と思想報道
北京での発言:10月26日 『日中平和友好条約』発効45周年に際し、日中関係を考える、1:世界の潮流の中における日中関係。2日米関係と日中関係の相関性3:中国の台頭と、米国の政策、4;米国には軍事的に直接対峙するという選択肢はない等



講演:中国との対話:10月26日    30分、10月1日に発言原稿を提出
『日中平和友好条約』発効45周年に際し、日中関係を考える


1:世界の潮流の中における日中関係


(1)日中共同宣言と日中平和友好条約の意義<

1972年の日中共同宣言、及び1978年の『日中平和友好条約』は両国の発展と、東アジア地域の安定をもたらす貴重な礎である。この基礎の上に両国関係が発展すれば、東アジア地域は世界の中で最も繫栄し、平和な地域となっていたであろう。
だが今はそうではない。東アジアは緊張をはらむ地域となっている。こうした緊張は純粋な二国間計だけでは発生していない。今日の最大の超大国である米国の動向に大きく左右されている。

(2)日米関係と日中関係の相関性

日本は米国と「同盟関係」にある。今日日本はこの枠内で動く。日中関係は日本や中国独自のイニシアティブで動くのではなく、米国の戦略の範囲内で動く。
 そして、「米国の中国への認識、関与の仕方が変わると、それは日中関係にも影響する」ことを十分に認識しておく必要がある。
 確かに、日本が独自に日中関係を構築出来た時代がある。ニクソン大統領がベトナムからの撤兵を考えた頃だ。ニクソン大統領は1969年7月「ニクソン・ドクトリン」を発表した。その骨子は、「侵略が問題となる場合には軍事・経済援助を与えるが,自衛の第一義的責任は脅威を受けた国が負う」というもの。つまり、「米国はアジア人のために血を流すのは止めた、お前らは適当に外交をやれ」ということであった。1970年代、日本と中国は各々の国益を調整することが出来た。1972年田中角栄首相が訪中し、日中国交正常化がなされ1972年 9月に日中共同声明が発表された。1978年8月12日に北京で、外相園田直と中国外相黄華の間で日中平和友好条約が署名された。米国の介入なしに、日中関係が築けた。
 ここで、日米関係の本質を見ておきたい。
 しばしば「日米同盟」という言葉が使用される。あたかも対等の関係のような印象がマスコミによって作られる。だが実態は異なる。「従属関係」「隷属関係」と述べた方が正確だ。
 こう言述べると、「言い過ぎではないか」との反論もあろう。米国の外交・安全保障分野で最も影響力のある学者にアチソン教授がいる。第一期クリントン政権の政策担当国防次官補で、ハーバード大学ケネディ行政大学院の初代院長である。彼が2020年「新しい勢力圏と大国間競争― 同盟関係の再編と中ロとの関係―」という重要な論文を発表する。ここで米ソが対立していた時からソ連の崩壊によって一極支配になった時をこう記している。
「全世界が事実上のアメリカ圏となった。強者(米国)は依然として自分たちの意志を弱者に押し付けた。世界の他の国々は主にアメリカの規則に従って行動することを強いられ、さもなければ壊滅的な制裁から完全な政権交代に至るまで、莫大な代償に直面することになった。」
 「米国の規則に従って行動することを強いられ、さもなければ壊滅的な制裁から完全な政権交代に至るまで、莫大な代償に直面することになった」のが日米関係であり、それが今、ますます強化されている。日本はこの範囲で今中国に対峙している。
 2000年以降を見てみよう。細川政権、福田政権、鳩山政権が米国の意向に沿わないということで潰された。この際重要なのは、米国が直接政権を潰すのではなく日本の政治家、官僚、検察、マスコミが一体として動く。米国の意向に全面的に従わなかったとして、政権末期、ないしは政権後米国との関係が緊張状態にあった政治家に、意外なことに、小泉、安倍(政権後―ウクライナ問題、北朝鮮問題、中国問題―)も含まれる。総理候補になりうる人では小沢一郎、野中広務、武村正義、金丸信氏らが含まれる。

(3)岸田首相と米国

岸田首相は過去の政治家の運命を十分に承知しているのであろう、完全に米国の意向を踏まえ政治を行っている。

3:中国の台頭と、米国の政策


 冷戦崩壊後、中国は経済力を強めた。CIAは世界最強の情報機関である。ここが世界情勢を開設する{World Fact Book}というサイトを持っている。ここで{真のGDP}というタイトルで各国のGDPを比較し、購買力平価ベースで米国21.1兆ドル、中国24.9兆ドルとしている。経済規模では今や中国が世界一である。
 文部科学省の科学技術・学術政策研究所は8月8日、各国の2019~21年の平均論文発表数などを分析した「科学技術指標2023」を公表したが、科学論文の数上位10%の論文数連キングは1位中国5万4405件、2位米国3万6208件となっている。これは中国が将来に向けての発展で米国よりより可能性が高いことを意味する。
 この中で米国の選択はどうなるか。協調の下、共に発展する道か、敵として対立するか。
 先に紹介したグレアム・アリソンは「トゥキディデスの罠」―従来NO1であった覇権国はNO1の坐をうかがう新興国が出てきた場合戦争になる可能性があるーを指摘しつつ。
「現在の軌道では、数十年以内に米中戦争が起こりうる可能性は、ただ“ある”というだけでなく、現在考えられているよりも非常に高い。過去500年の例をみると、戦争になる確率は50%以上だ」としている。
 こうした雰囲気は米国国民にも持たれている。 世論調査機関ギャラップ社は「世界における米国の位置という報告を発表し。その中に「アメリカの最大の敵国はどこかの問に対する米国民の回答を%で示している。
 中国50%、ロシア32%、北朝鮮7%、イラン2%。
 2023年はまだウクライナでロシアが戦争を行っている時にもかかわらず、中国の脅威の方が大きい。如何に今中国に対する敵愾心が強いかが判ろう。
 勿論米国にとって、経済的発展を遂げる中国と協調を図り利益を得ようという考え方、勢力は存在する。しかし、中国の脅威と対抗したいという勢力が今日極めて強力である。

4;米国には軍事的に直接対峙するという選択肢はない

 まず、米国は核戦争の選択は行わない。現在のウクライナ戦争においても、ウクライナを支援しつつ、ロシアを追い詰め、核戦争に通じる手段は排除している。
では通常戦ではどうなるか。台湾正面を見てみよう。
台湾海峡で米中が戦えばどうなるか。
「米国が勝つ」という考え方を、明確な論理で覆したのは、ランド研究所であり、二〇一五年、論評「アジアにおける米軍基地に対する中国の攻撃」を発表した。
「○中国は自国本土周辺で効果的な軍事行動を行う際には、全面的に米国に追いつく必要はない。
○特に着目すべきは、米空軍基地を攻撃することによって米国の空軍作戦を阻止、低下できる。
○中国は日本における米軍基地を攻撃しうる一二〇〇の短距離弾道ミサイルと中距離弾道ミサイル、巡航ミサイルを保有する。
○台湾のケースは嘉手納空軍基地への攻撃に焦点を当てた。台湾周辺を考慮した場合、嘉手納基地は燃料補給を必要としない距離での唯一の空軍基地である。
○ミサイル攻撃は米中の空軍優位性に重要な影響を与える。それは他戦闘分野にも影響を与える。
○米中の軍事バランス:台湾周辺
一九九六年   米軍圧倒的優位
二〇〇三年 米軍圧倒的優位
二〇一〇年 ほぼ均衡
二〇一七年 中国優位
ている。だが台湾に向けて飛び立つ米軍基地の滑走路を破壊すれば最早戦闘に参加できなくなる。中国が制空権を確保することになる。
アリソンは『フォーリン・アフェアーズ』誌2020年3月号で「台湾海峡有事を想定した、18のウォーゲームの全てでアメリカは破れている」と記述した。
ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、クリストフはニューヨーク・タイムズ紙で「如何に中国との戦争が始まるか(2019年9月4日))を発表し「中国は空母を攻撃能力など、軍事力を大幅に増強してきた。ペンタゴンが行なった、台湾海峡における米中の戦争ゲームで、米国は18戦中18敗したと聞いている」と記載した。
さらに、マストロ研究員は同じくフォーリン・アフェアーズ誌2021年7・8月号に「最近ランド研究所とペンタゴンとで行われたウォー・ゲーム(複数)で、台湾を巡る米中軍事衝突は米国が敗北するだろうということを示した」と記載した。

5:米国は反中同盟を画策、その中心が台湾問題

 米国の狙いは何か。
 台湾、日本と軍事紛争を起こさせ、中国が武力行使をしているとして、経済制裁を行い、中国の経済発展を阻止することにある。そして今、日米韓の三国同盟を作り、軍事的包囲網と、経済の結びつきを切り離そうとしている。
 そしてその核が台湾問題である。

5:台湾問題は米中、日中が過去の合意を順守すれば危機は生じない


  私達は過去、台湾問題に関し過去中国とどの様な約束をしてきたか。
 日中共同宣言(1972年)では、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」とした。
日中友好条約(1978年)では前文において「前記の共同声明に示された諸原則が厳格に遵守されるべきことを確認し」とし、さらに第一条「両締約国は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉」としている。
日本は台湾を独立国として扱ってはいない。日本の世論はしばしば「中国は国際約束を守らない」と批判するが、日中関係の基本的合意を破っているのは麻生氏の如く日本の方である。
 同様なことは米中間合意にも言える。
ここで台湾の人々の意思を見てみよう。

6;台湾国民の意思

日中共同宣言や日中友好条約に言及するとしばしば、「では台湾の意思をどうするのだ」という問いがなされる。この点を見てみよう。
2022年台湾の国立政治大学選挙研究中心が実施した世論調査は次の通りである。
 「即時独立                4.6&
  即時統一                1.2%
  現状維持、後決定           28.7%
  現状維持、永遠に           28.5%
  現状維持、後統一へ           6.0%
  現状維持、後独立へ           4.9%
  無回答                 5.6%」
 上記の世論調査は、68.1%が少なくとも当面現状維持である。
 台湾が現状維持であれば、中国が武力行使を行う可能性は極めて低い。
 「台湾有事」と騒ぐ人々は「台湾有事」を避けようとする方ではなく、「台湾有事」作り出そうとする人々である。

6:対米従属から脱する時期

今日の日本外交は米国の支持に従うことにある。だが世界の流れを見ると、対米従属から脱する時期に来ている。先にCIAの「真のGDP」に言及したが、今一度この数字を利用して作成した表を見て戴きたい。
 G7・7か国       ・非G7上位7か国
  米国 21.1      中国      24.9
  日本  5.1      インド      9.3
  独   4.4      ロシア      4.1
  仏   3.0      インドネシア   3.2
  英   3.0      ブラジル     3.1 
  伊   2.5      メキシコ     2.4
  加   1.8      韓国       2.3
  小計 40.9      小計      49.3
 つまり、GDAは①中国が米国より大きい」だけではなくて、G7・7か国の合計が非G7上位7か国より少ないのである。
 こうした経済状況は先のG20首脳会議にも反映され、宣言では、G7が主張するロシアの名指し批判が避けられた。
 今世界は大きい潮流の変化を見せている。
日本外交は今転換すべき時にある。

7:日中双方は今、どう対応すべきか

 日中双方にとって、日中共同宣言、『日中平和友好条約』を基礎に発展をさせることが、日中両国、東アジア全体にプラスである。
 だが今の日本はそうではない。米国の指示のもと、対立を作る方向に動いている。
 今日の日本の政治状況、及び国民感情からしてこの流れを変えられない。
 では我々はどうすべきなのか。
 対立の機運は長期的に継続するものではない。中国が米国の優位に立つのは歴史的に最早阻止できる現象ではない。今はそれを阻止しようと米国が画策している時期である。そして阻止する手段として、東アジアでの武力紛争を望んでいる。
 如何に挑発を避け、長期的繁栄と安定への道の阻害を避けるかが我々に求められる英知である。日本においては、特に中国の脅威を煽る活動が展開されるものとみられる。
だからこそ、日中双方の識者が共同して①中国の発展には世界の平和が不可欠であり、その点を中国の指導者は十分に理解している、②日本が、日中共同宣言と日中平和友好条約を、そして米国が米中共同宣言を守れば台湾問題は生じない、③東アジアを不安定にしたいとする勢力が存在し、これに対抗する力を形成すべきである等について日本国内で適切な説明を行っていくことが求められている。


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【報道特集】2023.10.14

2023-10-15 05:41:49 | 報道と思想
(パソコン充電機能に不具合があり、前半にやや難がありました。後半は復旧していつもどおりです)

「報道特集」は平和危機の時代に冷静で事実に即した放送を行う貴重な番組である



❶ 中東危機の再開
イスラエルに取材されている村瀬キャスター。「暴力の連鎖が続く」現地。無事を祈る。ガザ市民への退避通告に国連は無理だと声明。ロシアは停戦をよびかけ、日本は自衛隊航空機を現地に。
#電源故障しばらく送信できずすみません。
イスラエル・ガザ両方とも被害者はいるし、爆撃に破滅的被害を受けている民衆は多い。だがガザに生きるための水、電力、食糧すべてを遮断。国連パレスチナ難民救済事業団はガザの生活と生命の保障を呼びかける。村瀬キャスターが取材してくれた映像と現地の実感は貴重だ。


❷ 細田衆院議長と統一協会

戦後史で、衆院議長がこれほど無責任で権力主義であることに、怒りを覚える。批判の言葉の前に「これが細田氏という政治家」だと印象がうごめく。自民党当該選挙の対策本部の苦難が伝わってくる。1960年代に岸信介が賀屋広宣らとはかり「国際勝共連合」「神霊統一協会」を創った。1967年頃にNHKはルポルタージュ番組で統一協会に参加する若い女性の様子を放送。故郷の街頭では勧誘の若者たちを見た。

❸ 大学生と授業料

都が都立大の授業料を負担すると小池知事が判断したことはよい。だが私立や国公立大学の国からの負担が進まない限り、若者の苦境は救われない。


❹ 〖報道特集〗の意義

ずっとメモをとり見ていた。日本の報道の灯台の役割に近い番組となっている。充電事故で中断してご迷惑をおかけしました。


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旧統一教会の解散命令請求へ 文科相が表明 献金被害巡り

2023-10-12 18:52:23 | 転載・政治社会と思想報道
旧統一教会の解散命令請求へ 文科相が表明 献金被害巡り
2023年10月12日 13時14分東京新聞転載




 盛山正仁文部科学相は12日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令を請求する方針を、同日開かれた宗教法人審議会で表明した。有識者や宗教家で構成する委員の意見を聞いた上で正式に決定し、13日にも東京地裁に請求する。昨年7月の安倍晋三元首相銃撃事件を機に、高額献金問題や多くの自民党議員との深い関係が浮き彫りになった旧統一教会の解散の是非が、司法の手に委ねられることになった。(榎本哲也)
宗教法人審議会で、旧統一教会に対する解散命令を請求する方針を表明する盛山文科相=東京・霞が関で


 盛山氏は審議会で「(約1年間にわたり)質問権の行使や、170名を超える被害者等へのヒアリングなどを通じ情報を収集し、詳細に内容を検討してきた。この結果を踏まえ、宗教法人法に基づく解散命令請求を行う考えだ」と述べた。
 宗教法人法は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」をした宗教法人に対し、文科省の請求などにより、裁判所が解散を命じられると定める。
 同省は、高額献金や霊感商法などの活動が、この条項に該当するとみて、1995年の同法改正で盛り込まれた「報告徴収・質問権」を初適用。昨年11月から計7回、質問権を行使し、資料提出や質問への回答を教団に要請。高額献金被害者への聞き取りも重ね、活動実態を調べてきた。
 1年近い調査の結果、教団が高額な献金集めなどを組織的に行ってきたことなどが裏付けられ、解散命令の3要件とされる、行為の「組織性、悪質性、継続性」があると判断。憲法が保障する「信教の自由」も考慮した上で、解散に相当すると判断した。

 今後、地裁の審理は、非公開で進められる見通し。政府側の提出する証拠や被害者の証言、教団側の主張などを検討していく。
 解散命令が確定すると、教団は宗教団体としての活動は継続できるが、宗教法人格を失い、固定資産税の非課税などの優遇措置が受けられなくなる。
 この条項に基づき解散が命じられたのは、オウム真理教と明覚寺(和歌山県)だけ。旧統一教会には、これら2件のような、教団幹部が重大な刑事事件で立件された事例はない。
 このため、旧統一教会側は、これまでの記者会見などで、民法の不法行為は法令違反に当たらず、2009年のコンプライアンス宣言以降は献金を巡るトラブルは「大幅に減少している」と主張。教団の活動は解散命令の要件に該当せず、これまでの質問権行使自体も違法と主張している。 
 宗教法人法81条は、(1)法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした(2)1年以上宗教活動をしていない(3)礼拝施設がなくなり、2年以上新たに備えていない(4)1年以上代表者がいない(5)設立や合併の認証から1年以上経過後、宗教団体の要件を欠いていると判明した―のいずれかに当たる宗教法人に対し、裁判所は解散を命令できると定めている。文部科学省によると、1995~2021年に計673の宗教法人が同省や都道府県の請求などを受けて解散を命じられた。解散命令を受けると、お布施やお守り販売の収益が非課税になるといった税制上の優遇が受けられなくなるが、任意の宗教団体として活動は続けられる。