【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

新聞うずみ火

2023-09-25 17:50:09 | 転載・政治社会と思想報道
新聞うずみ火 最新号

2023年9月号(NO.215)



1面~3面
関東大震災100年「藤岡事件」 群馬・埼玉県境での虐殺(栗原佳子)

1923年9月の関東大震災虐殺から100年。「朝鮮人が襲来する」「井戸に毒を入れた」などの流言飛語は、地震被害が甚大だった東京や横浜のみならず、避難民が流入した近県にも拡大した。埼玉県は保護・検束した朝鮮人を県外へ移送する方針を取ったが、群馬県境近くで自警団に襲われ虐殺される事件が相次ぐ。惨事は対岸にも波及。群馬県の藤岡警察署では、17人の朝鮮人が虐殺される「藤岡事件」が起きた。都心から約100㌔。旧中山道の県境で何があったのか。

墓地の入り口近くに高さ2㍍近くある石碑がそびえている。群馬県藤岡市の成道寺。「藤岡事件」で虐殺された犠牲者の慰霊碑だ。
 
「裏には17人のお名前も刻まれているんですよ」
 
案内してくれた秋山博さんは「藤岡事件を語り継ぐ市民の会」の事務局長。「市民の会」は地元住民で事件を継承しようと2017年に結成された。
 
慰霊碑には新しい仏花が供えてあった。8月12日。お盆だからだろうか。成道寺には17人の位牌もあり、歴代住職が供養しているという。墓地の向かいに寺があり、横は市営駐車場。藤岡警察署はここにあった。
 
1923年9月1日午前11時58分、相模湾を震源とするマグニチュード7・9の大地震が発生した。その夜、県内からは東京方面の空が夕焼けのように赤く見え、藤岡周辺では「秩父の武甲山が爆発した」とも噂された。前橋市は震度4。県内では負傷者9人、倒壊家屋49棟、半壊8棟。鉄道、通信などに被害が出た。
……  

4面~5面
カジノ隠れ蓑に万博誘致 夢洲地盤に懸念増す(矢野宏)

2025年大阪・関西万博の開幕まであと600日を切ったが、準備の遅れやかさむ経費などから延期や撤退を求める意見が出るなど、ますます混迷を深めている。資材高騰や人手不足もさることながら、根本問題は会場となる大阪湾の人工島・夢洲(大阪市此花区)の軟弱地盤だ。大阪府・市は8月17日夜、カジノを含む統合型リゾート(IR)の住民説明会を市内で開いたが、万博後の開業に不安が募るばかりだ。 
(矢野宏)

IRは万博会場でもある夢洲で、2029年秋から冬頃の開業予定。事業者の米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスが中核株主、関西地元企業20社を少数株主として出資する「大阪IR株式会社」が担い、国際会議場やホテル、劇場など幅広い施設を整備する。年間来訪者は2000万人(7割が国内客)。年間売上高は5200億円を見込み、うち8割の4200億円をカジノで稼ぐ計画だ。
 
IRをめぐっては、今年4月に政府が府市の区域整備計画を認定したものの1000点満点中657・9点と合格点(600点)すれすれ。開業に向けて7項目の付帯条件がついた。
 
その一つに「地域との双方向の対話の場を設け、懸念の払拭を図る」ことが求められたため、認定後初めての住民説明会が行われた。
 
府市IR推進局の担当者が事業計画やギャンブル依存症対策の検討状況などを1時間にわたって説明したが、認定前の計画案のコピーを読み上げただけ。質疑応答では住民から「国から与えられた七つの課題にどう向き合うか示されていない」との厳しい意見が出された。
 
参加者の関心事は「夢洲の地盤沈下対策費を誰が払うのか」。市は事業者からの求めに応じ、液状化や土壌汚染対策費として788億円の負担を決めたが、その中に地盤沈下対策費は入っていない。だが、この日配られた資料には「大阪府・市が実施する対策」として「地盤沈下対策(50年後の地盤高でも想定以上の津波や高潮に対応)」と明記されていた。
 
担当者は「市が使用した埋め立て材が原因で想定以上に沈下した場合を除いて市が費用負担を行わないことを前提としている」と、これまでの主張を繰り返したが、NPO法人「AMネット」事務局長の武田かおりさんが三つの疑問を投げかけた。
……

6面~7面
広島原爆が奪った「未来」 動員学徒7200人被爆死(矢野宏)

78回目の「原爆の日」を迎えた広島は8月6日、平和記念公園一帯で慰霊祭や平和を願う行事が行われた。原爆ドームの南東にある「動員学徒慰霊塔」前でも追悼式が営まれ、勤労奉仕に動員されて命を落とした生徒たちを悼んだ。戦禍に倒れた動員学徒は約1万人。その7割が原爆で命を奪われた少年少女たちだった。         (矢野宏)
 
戦争の激化に伴う労働力不足を補うため、政府は1944年8月に「学徒勤労令」を発令し、中学生以上の学徒らに軍需工場などでの勤労奉仕を強制した。翌45年3月には「決戦教育措置要綱」を閣議決定。当時の国民学校(現小学校)を除くすべての学校が4月1日から休校となり、生徒たちは連日、軍需産業や食糧増産に駆り出される。
 
被爆当日、広島市では12、13歳の生徒9111人が空襲の延焼を防ぐため家屋を取り壊す「建物疎開」に動員されていた。14~17歳の1万4143人も軍需工場などで働いており、合わせて7196人が原爆の犠牲になった。
 
毎年8月6日には、動員学徒慰霊塔の前で「広島県動員学徒等犠牲者の会」主催の追悼式が営まれている。
 
元会長の寺前妙子さん(旧姓中前、93)=安佐南区=は当時15歳で進徳高等女学校(現進徳女子高校)の3年生。下中町(現中区袋町)の広島中央電話局に動員され被爆した。爆心地から550㍍しか離れていなかった。
 
寺前さんらが電話交換の仕事を終え、交代するため2階の廊下に整列した時だった。
 
「窓から青空を眺めていた時、キラキラと光り輝いて落ちてくるものが見えました。ずんずんと大きくなりながら落ちてくるので、友達に『あれは何やろ』と問いかけようとした瞬間、『ピカッ』と炸裂したのです。真っ白な世界に変わったかと思うと、『ドーン』という大音響が鳴り響き、真っ暗闇になりました」
 
天井のコンクリートが崩れ落ち、寺前さんは交換機などの下敷きになった。
 
あちこちから同級生のうめき声が聞こえた。担任の脇田千代子教諭(享年22)から「学徒は学徒らしく、しっかり頑張るのよ」と励まされ、寺前さんはがれきから懸命にはい出た。この時、左目を失い、頬やあごも飛び散ったガラス片で大きく裂けていた。
……

8面~9面
大川原化工機 冤罪事件 現職警官「捏造ですね」(粟野仁雄)

2020年3月に不正輸出容疑で社長ら3人が逮捕されながら、異例の起訴取り消しとなった大川原化工機(横浜市)の冤罪事件。無罪を主張する大川原正明社長と島田順司元取締役の勾留は11カ月続いた。勾留中に胃がんが悪化し、相嶋静夫元顧問は死去した。起訴取り消しで21年秋、同社長や相嶋氏の遺族らは「違法な逮捕や長期勾留などで甚大な損害を受けた」と東京都(警視庁)と国(東京地検)に総額5億6500万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。この裁判で、現職警察官から前代未聞の「爆弾告白」があった。まず、その場面から。
 
6月30日、東京地裁。原告側の請求で警視庁公安部の4人が証人尋問された。法廷の終盤を再現する。質問は原告代理人の高田剛弁護士。
 
−−−−本件は、公安部が事件をでっちあげたと言われても否めないのでは?
浜崎賢太警部補「まあ、捏造ですね」
 
−−−−客観的な証拠は全て押収し、1年以上の任意取調で役職員から幅広く供述を得ている以上、口裏合わせは考えられないのだから、逮捕勾留の必要もなかったのでは?
浜崎警部補「そう思います」
 
−−−−逮捕されるべきでない人が11カ月間も身柄拘束されることはあってはならないこと。捜査を担当した立場として、誰がどうしていれば、この事態を防ぐことができた?
浜崎警部補「幹部が捏造しても、その上に指導監督者が何人もいたわけだから、その責任を自覚していれば防げただろうし、警視庁の通報窓口に捜査員から通報があったら、警視総監が承認した事件であるが、その通報を真摯に受け止めていたら、ここまでひどくはならなかったと思います」
 
裁判官の質問に、浜崎警部補は「輸出自体には問題はなく、捜査員の個人的な欲でそうなった」と証言した。さらに裁判長が「捜査員の欲とは?」と尋ねると、「客観的事実がないのに、これだけの捜査をしたのは、捜査員がこうなりたいと思った、それ以外に考えられない」と答えた。
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10面~11面
ヤマケンのどないなっとんねん 不祥事叱れぬ岸田首相(山本健治)

岸田首相が2021年10月に就任して以来、ほとんど不支持が支持を上回ってきたことは周知の通りだが、直近の8月の時事通信調査では支持26・6%、不支持47・4%、政界でいう政権維持の危険水域に完全に入ってしまった。
 
自民党内に次を狙う人物がいて、野党がしっかりしていれば、とっくに退陣に追い込まれているはずだが、自民党内はかつて「三・角・大・中・福」などといった連中が争っていたことなど昔語り、もちろん派閥政治がいいと言うつもりはない。政策と実行を競って切磋琢磨することで熱気あふれる政治を進めてもらいたいからだが、現在の自民党は政権政党としての責任感も意気地もなく、自己顕示だけの小粒の背比べである。悲しいかな、野党はもっとひどい。自らは野党だと言うが誰もそう思っていない維新も、立民をぶち壊して野党第一党をめざすと息巻いていたが「第2自民」でいいと言うのだからどうしようもない。
 
先日の埼玉県知事選は史上最低の23・76%となったことが象徴するように有権者は選挙に期待しなくなっている。政党や政治家に完全な不信任を突きつけているのだが、それを理解していない。
 
岸田首相の支持率が低い理由は、やることなすこと的外れで口先だけ、何一つ問題解決しないからだが、それを上げようとメディア露出を増やすため本屋に出かけたり、講義を受けたり、ちょろちょろするから余計に低くなる。
 
最終的には止めたが、台風が接近しているというのに、安倍元首相追悼ゴルフに参加しようとしていた。
 
だから首相周辺や閣僚、自民党幹部が問題発言や事件を起こしても、叱ったり、責任を取らせたりできない。某週刊誌のネット版が伝えているが、拉致問題担当内閣官房参与が集会で拉致被害者横田めぐみさんの母早紀江さんが講演中、聞き捨てならないヤジを飛ばしたそうだが、伝えられるようヤジなら許されない。謝罪させると同時に即刻解任だが、何もしない。
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12面~13面
世界で平和を考える ウクライナ報告③(西谷文和)

今年5月、ウクライナに入った。首都キーウ近郊、世界に衝撃を与えた「虐殺の街ブチャ」と「侵略をはね返した街イルピン」を取材した後、少々危険だが東部、かつての首都で「ウクライナ第2の都市ハルキウ」に向かった。
 
5月11日早朝6時、キーウ発の夜行列車がハルキウ中央駅にすべり込む。旧ソ連の面影を残した駅舎に長くつながれた客車。おしゃれな店も派手な看板もなく、ただ旧式の列車と古い駅の佇まい。映画「ひまわり」のワンシーンが浮かぶ。恋人のマルチェロ・マストロヤンニを追いかけてきたソフィア・ローレン。運命の再会を果たすが、彼にはすでに妻がいた。恋人の制止を振り切り、泣き崩れながら列車に飛び乗り、またイタリアに帰っていくーーあの名場面である。何が言いたいかというと、それくらい遥かなる地まで来たなー、この駅は歴史あるなー、旧ソ連に近いので社会主義国風の街並みだなーということ。
 
ハルキウ中央駅を出てほとんど誰も通らない地下道を歩くと、驚いたことに地下鉄が通っていて、営業している。キーウ同様、いやハルキウはもっとひどい空爆にさらされたので、戦争初期はこの地下鉄がシェルターになった。地下鉄は無料だった(キーウは有料)。戦争で生活が破壊され、せめて交通機関は無料提供しようということのようだ。街の中心ユニバーシエット駅へ。地上に上がればそこは自由広場。ハルキウを象徴する場所だが、通行人はゼロ。マクドナルドがあるが、破壊されたままで営業していない。ここからロシア国境まで約100㌔。射程の短いミサイルでも十分届く。ハルキウは拠点都市だ。なので戦争初日からミサイルが雨あられのように飛んできた。誰もいない自由広場に戦争被害を展示するテントと441の文字。昨年2月24日から今日で441日目なのだ。
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14面~15面
フクシマ後の原子力 幣原の言葉に耳傾けよ(高橋宏)

戦後78回目の8月は、台風に翻弄された。6日の広島・平和記念式典こそ晴天の下で行われたが、9日の長崎・平和祈念式典は、台風6号の接近で会場を平和公園から屋内施設に変更し、規模を縮小して実施せざるを得なかった。屋内開催は、同様に台風の影響を受けた1963年以来60年ぶりのことだ。15日の敗戦の日に東京で開かれた政府主催の全国戦没者追悼式は、台風7号の影響で西日本を中心に10府県の遺族が欠席を余儀なくされた。
 
私は長崎で開催された原水爆禁止世界大会に出席する予定だったが、11日に福島県須賀川市での講演を控えていたため、戻れなくなる可能性を考え断念した。学生時代に訪れて以来、約40年ぶりの長崎訪問は断腸の思いであきらめた。
 
そして15日は、まさに台風の直撃を受けながら、テレビで敗戦の日をめぐるニュースを見守るしかなかった。相次ぐ台風の襲来は、戦前に向かって逆走しつつある日本社会に対する、自然界からの警告だったような気がしてならない。
 
今年の広島・長崎の平和宣言に共通していたのは、5月に開催されたG7広島サミットの「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン(以下、広島ビジョン)をある程度評価しつつ、「核抑止」を前提としていることへの批判であった。そして、昨年に引き続き政府に対し、「唯一の戦争被爆国」として核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加と、同条約に署名・批准することを訴えている。
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16面
終戦前日の京橋駅空襲 遺族ら犠牲者悼む(矢野宏)
終戦前日、米軍による最後の大阪大空襲で多くの乗客が犠牲
となった「京橋駅空襲」から78年になる8月14日、大阪市城東区のJR京橋駅前で慰霊祭が営まれ、遺族や市民ら約150人が犠牲者を悼んだ。   (矢野宏)

1945年8月14日、米軍のB29爆撃機145機が来襲。攻撃目標は「東洋一の軍需工場」と言われた大阪陸軍造兵廠。現在の大阪城公園や大阪ビジネスパーク一帯にあり、最盛期には工員のほかに動員学徒、女子挺身隊ら6万4000人が働いており、強制連行などにより集められた1300人以上の朝鮮人青年も含まれていたという。
 
米軍資料の「作戦任務要約」によると、攻撃したのはサイパン島に配置された第73航空団。午後1時16分から45分間に1㌧爆弾と500㌔爆弾合わせて約700㌧が投下され、〈成果は甚大。投下された843個の爆弾のうち、目標に650個の命中弾〉と報告されている。
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17面
模擬原爆 当時を語る(矢野宏)

大阪市東住吉区田辺に1発の「模擬原爆」が投下されて78年を迎えた7月26日、爆心地に近い恩楽寺で追悼式が開かれ、オンラインで参加した区内の児童・生徒を含め約120人が平和への誓いを新たにした。(矢野宏)

模擬原爆は、原爆投下の訓練用に製造された爆弾。長崎で使用されたプルトニウム原爆「ファットマン」とほぼ同じで、核物質ではなく通常爆薬4・5㌧が詰められていた。黄色やオレンジで塗られ、でっぷりした外形から「パンプキン」(かぼちゃ)と呼ばれていた。1945年7月20日から8月14日にかけて、全国30都市に49発が投下され、400人以上が犠牲になった。7月26日には同区田辺本町にあった料亭「金剛荘」が直撃を受け、7人が亡くなり、重軽傷者73人、485戸の家屋が倒壊した。
 
当時の人々は、知る限りの大型爆弾ということで「1㌧爆弾」と呼んでいたが、愛知県春日井市の市民グループ「春日井の戦争を記録する会」が1991年に国立国会図書館にあった米軍資料から模擬原爆だったことを突き止めた。
 
追悼式は、慰霊碑がある恩楽寺の本堂で毎年開かれている。同区の龍野繁子さん(98)が当時の体験を語った。
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18面
関東大震災 大阪でも流言 「朝鮮人が火薬庫襲撃」(栗原佳子)

関東大震災直後、デマが流れたのは大阪も例外ではなかった。特に、旧陸軍火薬庫傍らの枚方町(現枚方市)禁野では「朝鮮人襲来」の風説が広がり、大地震13日後の9月12日には緊迫する事態に発展した。立命館大学コリア研究センター研究員(在日朝鮮人史)の塚﨑昌之さんは「流言飛語からの虐殺事件がこうした災害時、全国どこでも起きた可能性がある」と指摘する。(栗原佳子)

塚﨑さんによると、1923年9月6日付の「名古屋新聞」、鳥取県の「因伯時報」が「大阪にも不逞鮮人」などと伝えた。「9月4日夜、40余名の不逞鮮人が天六の天満橋電車交差点で不穏の記事を記載したビラを貼った」などというもので、7日付の山口県「馬関毎日新聞」も同様の内容を報じた。「大阪からの情報によって書かれた記事です。東京、横浜付近で大規模な朝鮮人虐殺が始まるのは3日。大阪にも避難民によって朝鮮人『暴動』の流言飛語がもたらされたのでしょう」
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19面
映画「福田村事件」 「普通の人」暴徒化描く(栗原佳子)

関東大震災から100年となる9月1日、千葉で起きた虐殺事件を題材にした映画「福田村事件」が全国公開される。香川県の行商人9人が自警団に虐殺された実話に基づく劇映画だ。いまなぜこの作品を問うのか。20年余り構想を温めてきた監督の森達也さんは「普通の善良な人が『集団』になると狂暴に振る舞う。100年前ではなく、今の時代に重ねてほしい」と話す。(栗原佳子)

事件は1923年9月6日に千葉県東葛飾郡福田村(現野田市)で起きた。関東地方で薬の行商をしていた香川県の男女15人が、利根川対岸の茨城県に渡ろうと船頭と交渉中、「言葉がおかしい」ととがめられたのが発端となり、福田村と隣の田中村(現柏市)の自警団に襲われた。香川県発行の鑑札などを示したが聞き入れられず、妊婦や幼児を含む9人が殺害された。一行は被差別部落の出身。偏見と差別の中、自立を目指し行商に活路を目指す人は少なくなかったという。
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20面
経済ニュースの裏側 老朽化原発(羽世田鉱四郎)

原子炉の老朽化 金属の腐食による応力腐食割れ、中性子の照射による金属の脆性破壊、高温の運転による金属硬化、熱や振動による金属疲労、配管のすり減り、コンクリートの劣化、電線・電気回路部品の劣化など、原因は様々です。2007年3月、膨大な数の事故・トラブルが明るみになりました。敦賀2号炉の再生熱交換機の熱疲労割れ、浜岡1号機の予熱除去系配管の水素爆発、原子炉上蓋、原子炉ノズル、加圧器ノズルのひび割れなど(日本弁護士連合会ほか)。
 
情報の隠ぺいは、今も続いています。深刻なのは原子炉の圧力容器。製造期にはマイナス温度ですが、中性子を浴びて脆化が進むと100度になります。また、大規模冷却材が喪失し、緊急に安全装置が働き、炉心に冷却水が入ると、逆に脆性破壊が生じるという皮肉な結果も。しかも中性子照射による金属脆化の予測は、極めて困難です。
 
廃炉の長期化 半世紀は放置したままになります。チェルノブイリ原発のように石棺化が必要です。放射線は人間が即死するレベルで、作業は困難。特に、中心の原子炉は、圧力容器が15~30㌢の鋼鉄ですが、長期間に中性子線を浴びており、鋼鉄そのものが放射能を出し続けます。従って、解体作業などはロボットなどの遠隔操作に。費用は1基あたり1千億円以上が見込まれ、解体しても、膨大な量の放射性廃棄物をどうするかなど、課題が山積しています。
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21面
会えてよかった 久高政治さん④(上田康平)

組合活動、28年
 1973年6月、浦添市役所に就職。当時、若い人たちが組合活動に参加して、青年部活動が盛んだった。
 10月の大会で、すぐ青年部の役員に。弁当出るよと言われて「やります」と。以来、定年までと3年臨時で通算28年、組合活動を続けた。その間、専従7年、委員長を10年つとめた。
 組合の反戦平和運動、基地反対運動で、米海兵隊による県道104号越え実弾砲撃演習阻止闘争「喜瀬武原(きせんばる)闘争」にも参加した。また金武湾反CTS(石油備蓄基地)闘争にも参加したという。
 2009年6月30日、米軍ジェット機事件50周年09年3月に定年。「定年したら、週3日、図書館に行って、のんびりと、と思っていた」。しかし50周年ということで、その頃、ジェット機事件のことが新聞でさかんに取り上げられていた。   
 50年後に始まった米軍ジェット機
  事件を語り継ぐ取り組みに加勢したいと取り組みが始まったのは事故当時、宮森小学校の2年生だった平良嘉男さんが校長として宮森小学校に赴任してきてから。米軍ジェ
 ット機事件展示資料館を設置し、内外に命と平和の尊さを発信しようと『命と平和の語り部・宮森630館設置委員会』を立ち上げた。
 そんな取り組みを新聞で知った久高さんは、「そんなに意気込んでいたわけではないが、組合、やってた。
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22面
日本映画興亡史 京都に日本初の撮影所(三谷俊之)

「荒虎」こと笹井三左衛門の事業は日清戦争後の好景気を背景に、材木だけではなく、砂利、薪炭、石材、建築資材など土木建築ブームに乗って拡大していった。1891(明治24)年9月に長男・静一が生まれ、千本組の誕生と同じ1901年2月に末三郎が生まれる。丸々太った元気な男の子だったという。柏木隆法の『千本組始末記』に、島原遊郭で次のような戯れ歌がうたわれていたことが記されている。
 
《すべってころんだよ/千本樓のかどで/ 末さんがおこさにゃ/おきやせぬ》
 
千本樓とは、三左衛門が事業として経営していた貸席を兼ねた料亭で、幼い末三郎はよくここに預けられていた。三左衛門には妾・梅田すゑがいて、1896年12月に男の子が生まれている。栄次郎と名付けられ養子入籍し、笹井家の二男となった。栄次郎は、後年の1937(昭和12)年、二枚目俳優として一世を風靡した長谷川一夫(当時は林長二郎)の顔切り事件に関連するのだが、それは後の話となる。
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23面
坂崎優子がつぶやく 増えるギャンブル依存症

神戸で開催されたギャンブル等依存症のセミナーに参加しました。精神科医の田中禎さんからは依存症の医学的メカニズムを、そして自らも依存症経験者で、「ギャンブル依存症問題を考える会」代表の田中紀子さんからは現状を、それぞれ聞きました。
 
今回の話で気になったのが、若い人からの相談が増加していることです。それだけ若い人が手を出しているということです。例えば競艇。これまで年配男性が好むギャンブルでしたが、オンライン投票ができるようになり、若者に人気が出ています。
 
もともとゲームの課金などオンラインでお金を使うことに慣れている年代です。提供側が若い人たちが使う決済方法を多数取り入れたこともあって、支払いのハードルが下がり、気軽にギャンブルに手を出している姿が想像できます。他のギャンブルも若い人へのアプローチを強化しています。
 
また、後払いができるようになったことで、手持ちの現金がなくても賭けられるので、賭け金も上がります。当然、あとから請求がきますから、その時にはどうにもならなくなり、闇金に手を出し闇バイトにつながっていきます。
 
ギャンブルは若くに始めれば始めるほど、依存症になりやすいことがわかっています。依存症になれば自分の意思でやめることはできません。病気なので治療や支援が必要です。田中医師はギャンブルで借金をしたその時が、依存症に変わった瞬間だと話していました。
 
日本のギャンブル依存症者の割合は、他国に比べて多いといわれます。規制が緩く、日常にギャンブルが入り込んでいることも大きな要因です。また、近年はどのギャンブルもハイリスクハイリターンと射幸性が高まっていることも関係します。新型コロナの影響で、ストレスの発散にギャンブルを利用する人が増えたことは今後の心配要因です。
 
さらに問題なのがオンラインカジノ。日本では違法ですが、人気ユーチューバーが広告費を稼ぐために「オンラインカジノランキング」などといった企画を行い、誘導していると田中さん。無法地帯化しています。
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24面
読者からのお手紙&メール(文責・矢野宏)

汚染水の海洋放出
核燃再処理と連動

  奈良県橿原市 藤井雅樹
 
元京都大原子炉実験所助教の小出裕章先生の講演会が7月9日に奈良県生駒市であり、参加しました。
 
今問題になっている福島第一原発の敷地内にため込んでいる、東京電力がいうところの「処理水」の海洋放出について、「そのまま放出できないから処理水ではなく、れっきとした放射能汚染水だ」と語りました。そして、「130㌧の汚染水には国の基準の約10倍のトリチウムが含まれており、70%にはトリチウム以外の放射性核種が国の基準を超えて存在している。だから希釈して薄めて流そうとしている。しかし、トリチウム水は化学的には普通の水と全く同じ。決してトリチウムを取り除くことができないので、絶対に環境に流してはならない」と訴えました。
 
さらに、青森県六カ所村で建設が進む核燃料再処理工場が計画通りに運転されれば、1年間に800㌧の使用済み核燃料を科学的に処理してプルトニウムとウランを取り出し、それを40年間続けることになるそうです。小出さんは「捕捉できないトリチウムは全量環境に流す予定になっている。福島で海洋放出ができないということになれば、六カ所村の再処理工場を動かすことができなくなる。そのため、政府は何としても海洋放出しようとしている」と説明しました。
 
マスコミでは報道されない話で、きっと多くの人は「処理水だからそんなに危険ではないだろう」と思っているのではないでしょうか。
 
福島第一原発の汚染水の海洋放出が六カ所村の再処理工場と関係していることも初めて知りました。海水は蒸発して雨が降り循環していることを考えると、海だけでなく陸上にもすべての動植物にも影響してくるでしょう。我々人間も水を飲むわけですから無関係ではいられません。
 
(トリチウムが残る汚染水に大量に海水を混ぜて沖合1㌔に放出する計画ですが、福島第一原発事故で溶け落ちたデブリ880㌧を取り出せない限り、汚染水は止まりません。未来永劫、汚染水は垂れ流し続けるなど許されないことです)
……

25面
車イスから思う事 熱中症「空白の3日間」(佐藤京子)

猛暑が続く中、熱中症になってしまった。もともと、汗のかきかたが一般の人と比べて変わっている。たいていの人は全身に汗をかくのに、首から上だけが滝のように流れるのだ。
 
金曜日の昼、水分摂取が少ないかなと思っていた。看護師さんが訪問した際に水分やゼリー飲料を補給したらしい。というのも、よく覚えていないのだ。そのあと3回ほど様子を見に来てくれたらしい。そして、翌日も看護師さんは3回ほど来てくれたらしいが、記憶にない。
 
そもそも、玄関の鍵を開けたのは誰だろう。3日目の日曜日には外出することになっていたが、どうやってバスや電車に乗って往復したのだろうか。介助犬イムア君をハウスに入れたこともまったく覚えがない。後日、外出して訪ねた相手に電話で確認すると、「きちんといらして、おかしな雰囲気はありませんでしたよ」と言われ、何を心配しているの? と逆に心配されてしまった。
 
月曜日になると少しはっきりとしてきたので、「空白の3日間」の様子を少し教えてもらった。看護師さんは金曜日にどうやって訪問できたのか。「鍵は最初から開いていましたよ」との答え。それはそれで問題だが、鍵をかけたが、リモコンの電池が消耗して鍵がかかっていなかった……として納得するしかなかった。
 
熱中症を甘く見ていたようだ。冷房をつけていればいい、水をいつものように2リットルほど飲んでいるから大丈夫と思い込んでいた。頸髄を損傷してから20年近く、いろいろなトラブルを自分で解決するしかない、という過信が今回の「空白の3日間」を引き起こしたのだ。
……

27面
絵本の扉「た」(遠田博美)

210号の新聞うずみ火4月号で、絵本作家の田島(たしま)征三さんが描いた『おもいのたけ』を紹介しました。今回紹介するのは、その田島さんが昨年、出版した『た』です。
 
表紙はグイッと伸びた緑の葉っぱと、空には鳥や虫たちが飛んでおり、その中央には大きく「た」との一文字。子どもたちと読み合うと、必ず大きな声で読んでくれます。表紙を開くとオレンジ色の大きな太陽が描かれ、ページをめくるごとに「た」の付く言葉の数々が力強い絵とともに繰り広げられていきます。
 
「たがやす」「たねまく」「たちまち!!めがでた」「たいよう」「たくましくそだつ」……。
 
人々が種をまき、芽が出たことを喜び、太陽の恵みに感謝する。しかし、虫や鳥や獣が草を食べる。「たいへん」だと、人々は「たたかう」。秋になり、稲穂が「たわわにみのる」。里山は「たからのふうけい」に。収穫の時は村中で「たよる」「たすける」「たすけあう」。それが「たいせつ」だと訴える。
 
そして、「たくわえる」「たてまつる」「たたえあう」と続き、収穫を祝って村中で「たのしむ」。そして最後は「たべる」。
 
「た」から始まる言葉のみで、稲の育ちと農耕に携わる人々と自然の様子を表しています。描かれている絵は、田島さんが描き続けている勢いのあるタッチで、肉太で、まるで彼の魂の叫びのようです。
……

30面
栗原が「琉球弧軍事化」8月27日吹田で講演(矢野宏)  

「市民が主役!吹田の会」主催の講演会が8月27日午後2時半から大阪府吹田市山田4の「山田夢つながり未来館」4階会議室で、新聞うずみ火の栗原佳子記者が「琉球弧で進められている軍事化」について講演する。
 
九州南から台湾へと至る琉球弧(南西諸島)に陸上自衛隊配備と強化が進んでいる。与那国島や宮古島、奄美大島、石垣島で取材してきた栗原が自衛隊配備の流れや現地の声などを紹介する。
 
資料代500円。問い合わせは、吹田の会(090・5967・6760)まで。
30面
編集後記(矢野宏)

 「戦争は始めるより終わらせる方が難しい」。敗戦を翌日に控えた1945年8月14日、終戦前日の大阪大空襲で多くの乗客が犠牲になった「京橋駅空襲」。惨劇から78年になる今年も慰霊塔に手を合わせ、その思いを強くした。3年8カ月に及ぶ戦闘で、犠牲者が急増したのは戦争末期。連合国相手に勝敗はすでに決していたにもかかわらず、もっと早く戦争を終えることができなかったのか。▼避けられた空襲を政府自ら引き寄せた二つのターニングポイントがあったと言われている。一つは、44年夏のサイパン島陥落。日本までの距離は2500㌔。主要都市のほとんどがB29爆撃機の行動範囲内となり、焼け野原となった。▼二つ目は45年2月の近衛文麿元首相の上奏文。「敗戦はもはや必至。この上は一日も早く戦争を終結すべき」との意見を、昭和天皇は「もう一度、戦果をあげてからでなければ難しい」と受け入れなかった。戦果を求めた戦場は沖縄だった。歴史を語るのに「たら」「れば」は禁句とはいえ、この時、停戦すべく交渉を始めていれば空襲はもちろん、沖縄戦、原爆投下、中国残留孤児などの悲劇は回避されたはずだった。▼2025年大阪・関西万博の開幕まで600日を切ったが、建設工事は進んでいない。会場が夢洲だからこそ、資材を運ぶのもアクセス不足で軟弱地盤の難工事になっているため。しかも万博工事は間に合わないと違約金を請求される恐れもあるというからなおさらのこと。維新の松井一郎知事(当時)の思いで万博誘致を決め、会場を夢洲にしたのが原因。立ち止まることも引き返すこともせず、このまま突き進むのか。   (矢)

31面
うもれ火日誌(矢野宏)

7月5日(水)
 矢野 昨年に続き、枚方市立楠葉中学校の平和学習。1年に大阪大空襲、2年に沖縄戦、3年に国際紛争について連続講演。帰り道に西成区の居酒屋「グランマ号」へ。
 栗原 午後、大阪高裁で琉球遺骨返還請求訴訟を傍聴。
7月6日(木)
 矢野 午後、大阪市住吉区の市立東安孫子中学校で1年生対象の平和学習。昨年は新聞うずみ火制作の証言DVD「語り継ぐ大阪大空襲」を見て後日に話したが、講演と一緒に視聴した方がいいと、DVD上映をはさんで2時間の講演に。
7月7日(金)
 矢野 夕方、西谷文和さんが主宰する「路上のラジオ」収録。沖縄県宜野湾市出身で米軍ヘリから部品が落下した保育園に娘が通っていた明(あきら)有希子さんに電話をつなぐ。
 栗原 千葉県柏市であった「福田村事件を語る会」取材。
……

32面
うずみ火講座(矢野宏)

次回のうずみ火講座は9月16日(土)午後2時~大阪市生野区勝山北3の区民センターで開講します。7月末に休刊した大阪の地方紙「大阪日日新聞」の元記者、木下功さんを講師に迎え、「迷走する夢洲イベント『万博とIR・カジノ』」と題して講演してもらいます。
 2000年に新日本海新聞社(本社・鳥取市)が買収し、朝刊紙となった大阪日日新聞に翌01年に入社した木下さんは、2度にわたる「大阪都構想」をめぐる住民投票、万博やIR・カジノの誘致を進めた維新政治を監視し、追及してきました。当日は、記者時代を振り返り、取材の裏話などを語ってもらいます。木下さんにとって退社後、初の講演です。
【日時】9月16日(土)午後2時~4時半
【会場】生野区民センター301号室(電話06・6716・3020)
【交通】JR環状線「桃谷駅」①出口から徒歩11分
【資料代】読者1000円(一般1200円)

 最盛期には2万人の日雇い労働者が暮らした大阪市西成区。現在はインバウンド向けのホテルが増えるなど大きな変化を遂げています。長年、現地で暮らしている水野阿修羅さんに案内してもらい、10月14日(土)に釜ヶ崎フィールドワークを行います。JR新今宮駅東口改札集合、その場からスタートします。
 一汗かいたあと、午後4時から読者の新井信芳さんが西成区内で経営する居酒屋「グランマ号」で懇親会を行います。懇親会からの参加もOKです。


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TBSテレビにおける報道番組の自主自立の具体的検証

2023-09-24 16:22:55 | 報道と思想
TBSテレビにおける報道番組の自主自立の具体的検証

Ⅰ:報道特集
Ⅱ:サンデーモーニング
Ⅲ:news23


第1章 報道特集 2023.9.23


❶日常と「報道特集」

「弁当食中毒」全国的な猛暑と海水の温度上昇などいくつかの要因が重なっているような気がします。

 おかしい。なぜ台湾の国政に自衛隊がおのおのとでかける必要があるのか。台湾の主権を侵害し、アメリカの忠実な世界戦略の忠実なしもべのなのか、ニッポン。

❷「不動産転売ビジネス」

厚労省もなかなか的確な判断と想える。反貧困ネットワークの瀬戸代表の発言が快く響く。

❸連携

膳場さんが以前受け持っていた番組「news23」が、紆余曲折をたどって25日から新稼働する。TBSで補いあい援助しあって仕事を営む姿がわかる。

❹コロナ後遺症

 コロナ禍の最中には考えられなかった後遺症の問題。なぜ後遺症が発生したのか。思うにコロナ治療薬が患者さんと合わないものだったろうか。いま再びコロナ感染症が増えている状況。詳細な疫学的調査をおこない感染症の治療対策が求められている。
 コロナ禍の症状がひとにより症状や重さ、時期の長短など明快に診断を下せない問題があることを専門家医が発言。コロナが原因か、コロナ禍の後遺症か。
記憶力が低下する「ブレインフォグ」などひとつひとつ地道に対応する国民的な取り組みが求められていると感じた。
 村瀬キャスターの質問に松野官房長官は言葉はスムースに応答した。ただ現実的にどのような全国のコロナ後遺症に医療政策を的確に実行するか、見えてこない。膳場キャスターが述べた「コロナ後遺症が労災と認可されたこと」を国民は広くわかちあってほしい。

❺「世界で加熱する宇宙開発」

 ドローンが登場したとき不気味な印象があった。戦争でドローンに兵器を搭載させ殺戮する情報。私ははっきり宇宙開発とは、ゴールに戦争勝利という空軍の軍事的拡張と考える。
 「おいつきおいこせ」は無謀だ。金儲け本位で他国と競争することはない。日本は日本の実態と国民の要望を進行させればよい。ひとつひとつをなぜなのかと吟味しつつ国民の合意を大事にして、アメリカからの同調圧力に安易に応ぜずに、日本外交をアジア圏の一国として進めていけばよいと思う。

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第2章 サンデーモーニング 2023.9.24

❶自民党

自民党杉田水脈議員の言動は、かつての稲田朋美防衛庁長官の言動を連想させる。しかし稲田氏はその後、自分の言葉で語りだし、安倍政権下の時と見違えるような言動を行い右派の山谷えり子議員と反発する場面も。自民党内にあっては女性議員も自分の言葉を失う様子を明確にみせた。

❷ロシア・ウクライナ・アメリカ

 ロシアがウクライナに侵攻した時世界はロシアから離れた。冷戦の終結で、新しい思考を世界に提出したゴルバチョフはエリツインにより失脚させられ、エリツインも元KGBのプーチンの登場で混乱をきたした。だがプーチンもアメリカの策略によって国境突破をして侵略を決めた。元喜劇俳優はチャップリンなみの演技力でスクリーンから世界各国の支持をとりつけた。だがバイデン大統領の支援をうけながら、バイデン自身が国内の支持を十分得てはいない。世界中から軍用機や軍事兵器軍事予算を無制限にとりつけたウクライナ大統領。先端核兵器である劣化ウラン弾の要求を出すに至って氏の軍事方針が平和実現からそれていることを明らかにしている。ウクライナ・ロシア戦争の背後に巨大軍事産業の意向がありバイデンはその代理人でしかない。アメリカと親密な岸田首相は信念もなくバイデンの代弁者でしかない。

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第3章 news23 2023.9.23

❶ジャニーズ事件


ジャニー喜多川氏の性加害によって、被害者は無論新社長の東山氏や所属タレントの就労の機会の可否など問題は大きく広がっている。私は木村拓哉氏の演技に好感をもっている。解散した嵐のメンバーの熱心さにも。いろんな側面から検討すること、全てなかったでなく悲劇を再現しないこと。

❷ミャンマーの政情

ミャンマーの民主化とクーデター。軍事政権はスパイや監視を抑圧の市民生活へ。私は1970年代前後の韓国を思い出す。韓国は軍部のクーデターで数度権力を握った。だが立ちあがった市民は光州市役所に市長以下たてこもり全滅。民主化とクーデターの反復。韓国は金大中大統領で市民革命を成就した。

❸近代人権思想と日本独自の課題

日本は明治以来欧米の民主主義に学ぶことで近代化をめざしてきた。だが欧米の国家は植民地主義や軍国主義を伴う未熟の民主主義だった。現代、東南アジアや第三世界の抵抗に「非暴力的抵抗」の思想が影響を与えている。

ミャンマーの民主化とクーデター。軍事政権はスパイや監視を抑圧の市民生活へ。私は1970年代前後の韓国を思い出す。韓国は軍部のクーデターで数度権力を握った。だが立ちあがった市民は光州市役所に市長以下たてこもり全滅。民主化とクーデターの反復。韓国は金大中大統領で市民革命を成就した。
 
アメリカのジーン・シャープ(1928~2018)はガンジーに学び戦略的非暴力闘争を提唱した。NHKEテレは「100分de名著」で中見真理奈良女子大名誉教授がわかりやすく解説した。マスメディアで目立たぬ場所で時代が模索している。欧米民主主義の限界を模索する動きがある。啓蒙少数派。

❹無題

9月25日から番組が大きく発展する。
小川彩佳キャスターが前のメンバーから継承し、山本恵里伽キャスター、喜入友浩フィールドキャスター、高橋敦子スポーツコメンテーターなどがチームワークを活性化してここまできた。
皆さん、ありがとう。おつかれさま!!!

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転載 朝日新聞社説

2023-09-23 19:11:53 | 転載・政治社会と思想報道
(社説)杉田水脈氏 もう議員の資格はない
2023年9月23日 5時00分朝日新聞



2020年1月の衆院本会議に出席する杉田水脈議員(中央)

 現職の国会議員が、公の機関から「人権侵犯」を認定されるとは、驚きあきれる。重く受け止めるなら、ただちに反省の弁を述べるのが当然なのに、それもしない。過去の謝罪が本心だったか疑わしく、もはや、議員を続ける資格はないと言うほかない。

 自民党の杉田水脈(みお)衆院議員の2016年のアイヌ民族に関するブログへの投稿が、人権侵犯にあたると、札幌法務局が認定し、人権を尊重するよう「啓発」を行ったことが明らかになった。

 国連の会議に日本から参加した人たちを「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」などと表現。当事者の女性が、救済を申し立てていた。

 杉田氏は、同性カップルを念頭に「『生産性』がない」と雑誌に寄稿したり、性暴力対策などを議論する党の会合で「女性はいくらでもウソをつける」と発言したり、人権感覚が疑われる言動を再三、繰り返してきた。

 昨年夏、岸田内閣の総務政務官に起用されると、国会などで厳しい批判を浴び、ブログへの書き込みについては、総務相の指示を受け、謝罪、撤回した。ただ、「私のつたない表現で差別したかのように伝わってしまった」と、差別とは認めていなかった。

 今回の法務局の事実認定と啓発をどう受け止めたのか、救済を申し立てていた人たちにどう向き合うのか。杉田氏の事務所は「ノーコメント」で、本人の口からは、いまだに何の説明もない。公職にある者としての最低限の務めを放棄している。

 4年前にできたアイヌ施策推進法は、アイヌの人々が誇りを持って暮らせる社会の実現をうたい、差別を禁じている。国会議員が自らその理念を踏みにじることは許されない。在日コリアンの人たちへの差別意識も看過できない。

 自民党の責任は極めて重い。人権意識に欠け、多様性の尊重という社会の流れにも逆行する信条の持ち主と知りながら、野党の落選議員だった杉田氏を引き入れ、衆院選の比例区名簿で優遇し、2度当選させた。ここに及んでなお誠実に対応しない杉田氏を守り続けるなら、人権侵犯に加担していると見られても仕方あるまい。

 インターネット上での誹謗(ひぼう)中傷が社会問題となるなか、政府は省庁を越えて対策に苦慮している。少数派を攻撃して平然としている与党議員を放置し続けるのか。いったんは杉田氏を政務官に起用した、岸田首相の人権感覚もまた問われている。


国連活動を終え、成果を振り返る玉城デニー知事

2023-09-23 15:39:55 | 転載・政治社会と思想報道
国連活動を終え、成果を振り返る玉城デニー知事=21日午後、スイス・ジュネーブの国連欧州本部
国連活動「大きな成果」 国際社会は常に辺野古問題に注目 知事、特別報告者招致へ意欲
2023年9月23日 5:00有料 沖縄タイムス転載


 
ジュネーブ22日=大野亨恭】国連人権理事会に出席するためスイス・ジュネーブの国連欧州本部を訪れていた玉城デニー知事は21日午後(日本時間同日深夜)、一連の活動を終えた。知事は国連内で取材に応じ「米軍基地に起因する人権問題を国際社会に訴えられたことは大変成果があった」と総括した。

(以下は有料記事のため不明)

失われる人権の守りて達を孤立させまい

2023-09-21 18:39:01 | 転載・政治社会と思想報道
仁藤夢乃 Yumeno Nito
@colabo_yumeno

代表/10代女性向けシェルターや住居、無料の #バスカフェ TsubomiCafe 脱性売買相談所
@key_together
運営/ 明治学院大学国際平和研究所研究員/著書http://bit.ly/2GhgLEw #性搾取社会を見つめる #シリーズキモいおじさん #私たちは買われた展



仁藤夢乃 Yumeno Nito@colabo_yumeno
Colaboの弁護団より声明が出されました。ぜひ多くの方にこの状況を知り、連帯していただきたいです。

》昨年の8月頃より、Colaboに対し、「暇空茜」と名乗る人物による膨大なデマ・誹謗中傷がインターネットに流れ、理事やスタッフが対応に追われる等Colaboに対する業務妨害が発生しました。
デマや誹謗中傷を信じた人々は誹謗中傷に加勢するだけではなく、シェルターを晒すとか、Colaboのバスを切り付けるといった物理的暴力も始めました。攻撃はそれにとどまらず、Colaboとその代表者仁藤夢乃氏に対する、殺害予告やレイプ予告、なりすまし注文なども大量になされたのです。Colabo弁護団が結成され、上記「暇空茜」に対する提訴がなされたのは、こうした状況を受けてのことでした。

ところが、Colaboを攻撃する人々は、女性への支援現場であるバスカフェへの襲撃という悪質な暴力に及んだほか、Colaboの支援者や代理人弁護士などにも、誹謗中傷や威嚇的な訴訟提起、レイプ予告などの脅迫、なりすまし注文などの嫌がらせを仕掛けてきました。こうした攻撃が止まない中、本年7月、本件原告が、上記「暇空茜」に関する提訴記者会見に言いがかりをつけ、さらに記者会見に臨席していただけのColabo理事なども、「心理的幇助」などというこじつけで被告に加え、訴訟提起してきたのが本件訴訟です。

今回の訴訟は、原告に対して何ら言動に及んでいない人まで被告にすることで威嚇効果を狙った訴訟であると同時に、裁判そのものを「お祭り」にしてさらにカンパを集めている状況すらうかがえるのであり、到底許すわけにはいきません。
このような一連の出来事に対して我々は憤りを覚え、当弁護団を結成するに至ったのです。

当弁護団は、ColaboやColabo支援者らに対する不当な攻撃を断固跳ね返すとともに、基本的人権を擁護し社会的正義を実現するという弁護士の職責を守るべく闘っていく所存です。
私たちは、基本的人権を擁護し社会的正義を実現するため、多くの弁護士、法学者、その他全ての人々に連帯を呼びかけるものであります。



Colabo*Tsubomi Cafe
@colabo_official
·
9月20日
【弁護団声明】Colabo関係者及びColabo弁護団に対する攻撃についての弁護団声明
https://colabo-official.net/seimei230920/

当弁護団は、ColaboやColabo支援者らに対する不当な攻撃を断固跳ね返すとともに、基本的人権を擁護し社会的正義を実現するという弁護士の職責を守るべく闘っていく所存で
す。

【沖縄タイムス社説】転載

2023-09-20 20:28:31 | 転載・政治社会と思想報道
[社説]玉城知事国連演説 平和の権利 世界に訴え
2023年9月20日 5:01


 米軍基地が集中し、平和が脅かされ、意思決定への平等な参加が阻害されている-。玉城デニー知事が18日(日本時間19日未明)、スイス・ジュネーブで開かれた国連の人権理事会で、沖縄を取り巻く基地問題の実情を訴えた。




 日本政府は選挙や県民投票で示された沖縄の民意を顧みず、国土の0・6%に過ぎない沖縄に在日米軍専用施設の7割を封じ込めている。日本政府に異議を唱えても米国に物申しても、らちが明かないからの国連である。国際社会に訴えざるを得なかった現状を日米両国の政府と国民は真剣に考えてほしい。

 沖縄県知事の国連演説は、2015年の故翁長雄志前知事に続いて2回目となる。

 翁長氏は、米軍基地から派生する事件・事故や環境問題がいまだ県民生活に大きな影響を与えているとして「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と訴えた。

 翁長氏の演説から8年。「台湾有事」を念頭に軍拡が進む中での登壇である。玉城知事は、軍事力の増強は日本の周辺地域の緊張を高めることが懸念され、「沖縄県民の平和を希求する思いとは全く相いれない」と指摘。16年に国連総会で採択された「平和への権利」を具体化するよう、関係政府に外交努力の強化を要請した。

 時間にして1分半ほどだったが、沖縄の声をないがしろにする現状を告発し、基地問題を巡る不条理への理解と協力を求めた。多くの県民の声を代弁した重い訴えであった。

■    ■

 玉城知事の演説に日本政府代表部は即座に反論した。沖縄への米軍駐留は地政学的な理由で安全保障上の必要性があるとして「差別的な意図に基づくものではない」と主張。普天間の返還については「辺野古が唯一の解決策」とした。

 新基地を巡っては、森本敏元防衛相が「軍事的には沖縄でなくてもいいが政治的には沖縄が最適」との見解を示したり、知日派の重鎮ジョセフ・ナイ元米国防次官補が「中国の弾道ミサイルの発達で沖縄の米軍基地は脆弱(ぜいじゃく)になった」と基地分散化を説いたりし、沖縄の「地理的優位性」は既に説得力を失っている。

 普天間の返還合意から27年。辺野古の新基地建設には最低でもあと12年かかるとされ、その後の普天間返還は時期を見通せない。「辺野古が唯一」と繰り返すのは辺野古以外で解決を探ろうとしない政府の不作為である。

■    ■

 1960年12月、国連総会で、植民地主義の速やかな終結をうたう「植民地独立付与宣言」が採択された。琉球立法院は62年2月、同宣言を引用し、国連の加盟国が沖縄の復帰に尽力することを求める決議をした。

 復帰後、半世紀を経た今も、沖縄は広大な米軍基地を抱え、不条理に向き合い続けている。沖縄に基地負担を強いる差別の構図を訴える玉城知事と、「辺野古が唯一」一点張りの日本政府のどちらに正当性があるのか。世界の人々に沖縄の現状を知ってもらいたい。


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伊藤詩織さんを中傷、110万円の賠償確定 最高裁、漫画家はすみとしこさんの上告を棄却 2023年9月15日 17時08分

2023-09-19 07:31:37 | 転載・政治社会と思想報道
伊藤詩織さんを中傷、110万円の賠償確定 最高裁、漫画家はすみとしこさんの上告を棄却
2023年9月15日 17時08分東京新聞


写真 最高裁

 性暴力被害が虚偽だとするイラストなどをツイッター(現「X」)に投稿され名誉を傷つけられたとして、ジャーナリスト伊藤詩織さん(34)が漫画家はすみとしこさんに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は、はすみさんの上告を棄却する決定をした。14日付。名誉毀損きそんを認め、はすみさんに110万円の賠償を命じた二審の東京高裁判決が確定した。

 二審判決によると、はすみさんは2017年6月〜19年12月、伊藤さんと似た人物のイラストなどをツイッターに5件投稿し、「枕営業大失敗」といった文言を記載した。一審東京地裁判決と同様にうち4件が名誉毀損に当たると認定した上で、別の訴訟の判決で伊藤さんの性被害が認定された後も投稿していたことを考慮し、賠償額を一審の88万円から22万円増額した。

(太田理英子)

【報道特集2023.9.16】~時代を啓示する人間らしさ~

2023-09-16 22:48:03 | マスコミ報道への私見
【報道特集2023.9.16】~時代を啓示する人間らしさ~




❶走馬灯

北朝鮮金代表がロシア軍事態勢を視察。横浜でラーメン店長が刺殺された。両陛下が釧路湿原の生物刺殺。最初の三つのニュースを見ていて、現代という多角的な時代を的確な認識をもつことの難しさと必要性をキャスターの皆さんのご報告から学びたい。

❷東山さんと「バースD」

この番組の前の「バースD」。東山氏のナレーションを聴きなれてきた。私はジャニーズ事務所属ということで所属俳優。タレントを番組からおろすことに驚きと疑問を覚える。彼らは加害者でなく被害者側である。同調圧力の風に情けない想いがする。騒ぐべきはもっと数十年前からだった。

❸「統一協会」問題

 新文科大臣にインタビューする膳場キャスター。私は質問する語調と口調に考えさせられた。記者や野党政治家には詰問調や絶叫型の質問をする方々が多い。刑事が容疑者を詰問することと全く別次元。政府を追及するとは、激しい調子で恫喝することではない。第三者が聴いていて納得いく質問を。
 統一協会からの脅迫や暴力。そのやりかたや手口を画面で見ていて、日本の国会衆議院議長が、統一協会で演説した映像があって、広く報道されているのに、質問はすべて無視し、国会でも何の反応もない。衝撃的な退廃である。近代三権分立の議会制政治が崩壊してゆく.。

❹「特定妊婦」「求められる民間と行政の連携」

 母親の受けた受難と思い詰めた経緯。母性の保護と妊娠が大切にされていない世の中。「子どもには不幸にさせたくはない」という20代の母親。生まれた我が子への思いと愛情が深く子育てできない複雑な事情。励まし援助する人々もいるのだ
産みの親。育ての親。
世の中はすてたものでもない。
そう希望感を感じた。

 特定妊婦を支える民間の方々。福岡県では、子ども福祉課の皆さんが民間と提携しあって特定妊婦のかたがたの支えになっている。その様子が全国に広がってほしいと思った。取材した池田記者の話を聴いていて、キャスターの皆さんとの対話を聴き、世のなか捨てたもんじゃないぞ、という思いとなかなか大変な実態が横たわっていることを感じた。希望という言葉が新たに蘇ってきた。

❺ハプニングに宿る場合もあって

民間の大分空港に米軍機が緊急着陸。
飛行機にはその種類で飛行する高度が法的に定められている。今までの飛行機墜落事件の中に高度の混乱から衝突事故がなかったか?



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東京新聞社説

2023-09-16 08:50:23 | 転載・政治社会と思想報道
<社説>岸田改造内閣 何が狙いの布陣なのか
2023年9月14日 08時03分



 内閣改造と自民党役員人事では政権の骨格は維持され、新味に乏しい。岸田文雄首相が何を目指して、どんな政策に力を入れようとしている布陣なのかも伝わってこない。政権基盤を固めるための党内バランス重視の内向きな「定期異動」というほかない。
 岸田政権の発足から2年近く。経済政策が十分な効果を上げたとは言い難い。エネルギー価格の高騰と円安を背景にした物価上昇に賃上げが追いつかず、国民の暮らしは圧迫され続けている。
 首相は「新たな体制で思い切った経済対策をつくる」と強調したが、とりまとめの中心となる萩生田光一党政調会長、西村康稔経済産業相を続投させた。体制を維持したまま、これまでと異なる経済対策を打ち出せるというのか。
 トラブルが相次ぐマイナンバー制度を担う河野太郎デジタル相、放送法の解釈変更を巡る経緯を記した行政文書を「捏造(ねつぞう)」と言い放った高市早苗経済安全保障担当相も留任させた。混乱の責任を問わぬままでは、国民の批判に正面から向き合ったとは言えまい。
 唯一、首相の意思が読み取れるのは女性閣僚を前内閣の2人から過去最多に並ぶ5人に増やしたことだ。党人事でも選対委員長に小渕優子氏を起用した。女性の積極登用は評価したい。閣僚経験の豊富な上川陽子氏を外相に起用したことは、男女格差の大きさが指摘される日本の国際的なイメージの改善にもつながるだろう。
 ただ、小渕氏に加えて、初入閣した加藤鮎子こども政策担当相、自見英子地方創生担当相、土屋品子復興相の女性3閣僚はいずれも親が国会議員だった世襲議員だ。改造内閣全体でも世襲議員は初入閣11人のうち5人を占める。
 もちろん世襲だからといって直ちに能力を欠くとは言えないが、多様な人材が活躍する機会を狭めて、政治から活力を奪うことにならないか、危惧する。
 岸田首相は、防衛力の抜本的強化や原発新増設、マイナ保険証の実質義務化などの政策転換を国会での徹底した議論や国民の幅広い合意なく進めてきた。これらが国民の支持を得ていると言い難いことは内閣支持率の低迷が示す。
 政治への信頼を回復するには、小手先の人事ではなく、国民の声に誠実に耳を傾け、暮らしに寄り添う政策を着実に実現するほかはあるまい

転載【AERA dot.】(構成/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

2023-09-14 14:49:16 | 転載・政治社会と思想報道
望月衣塑子氏「岸田首相、大丈夫?」 小渕氏のみそぎも萩生田氏の旧統一教会の説明もまだ
吉崎洋夫 によるストーリー •
2 時間


望月衣塑子氏「岸田首相、大丈夫?」 小渕氏のみそぎも萩生田氏の旧統一教会の説明もまだ

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 9月13日、岸田文雄首相の内閣改造、自民党役員人事の顔ぶれが決まった。女性閣僚が過去最多タイの5人、初閣僚が11人と刷新感を出しながら、政権の中枢を担うポストは留任させ、支持率の回復と権力基盤の安定を狙ったと見られている。しかし、SNSでは早速、選対委員長に就いた小渕優子氏の起用に批判が噴出している。果たして今回の岸田首相の人事は吉と出るのか、凶と出るのか。東京新聞の望月衣塑子記者に聞いた。

*  *  *

――今回の人事の第一印象はどうか。

 女性を登用し、刷新感もあり、注目されていますが、インパクトはそこまでないと思います。

今回入閣した女性5人のうち加藤鮎子氏、自見英子氏、土屋品子氏は世襲政治家です。女性活躍を掲げながら、「世襲でないと閣僚になりにくい」という印象が出てしまうのは残念です。

――注目の抜擢は?

 外相に就く上川陽子氏は実力者だと聞いてます。首相になるためには、内政だけではなく、外交もできないといけないと言われています。選対委員長になった小渕優子氏が将来の首相候補として期待されている向きもありますが、上川氏のほうが一歩近づいたように思います。自民党内では対中強硬派の声が強まっていると言われてますが、それをいかに抑えて、中国との関係を正常化していくか、手腕が問われるところだと思います。

 また、世襲議員ですが、こども政策担当相の加藤氏がジャニーズ問題でどこまで踏み込むか注目しています。前任の小倉将信氏は元所属タレントからヒアリングは行わず、消極的な姿勢を見せていました。

望月衣塑子氏「岸田首相、大丈夫?」 小渕氏のみそぎも萩生田氏の旧統一教会の説明もまだ

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 省庁ではジャニーズタレントを広告に起用しているところもあります。政府として無関係とはいえないでしょう。今回の事件は国際的にも問題視されており、加藤氏がこどもの性被害問題に積極的に取り組むことができるか問われていると思います。

――岸田首相の人事の狙いはどこにあると思いますか。

 表向きは刷新感を出しながら、権力の中枢は派閥の会長や幹部が占めました。麻生派を率いる麻生太郎氏は副総裁に留任、茂木派トップの茂木敏充氏も幹事長留任が早々に決まりました。安倍派の幹部である松野博一官房長官、萩生田光一政調会長も留任となりました。これまでの政権の骨格は維持したかたちです。

関連するビデオ: 自民・選対委員長に小渕優子氏「心に反省を持ち」 女性閣僚5人“過去最多タイ” 第2次岸田再改造内閣 (日テレNEWS)
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自民・選対委員長に小渕優子氏「心に反省を持ち」 女性閣僚5人“過去最多タイ” 第2次岸田再改造内閣


 今回の人事で、国民の支持率を回復に向かわせながら、足元の党内の基盤を整えたことで、次期衆院選や来年の総裁選に臨んでいこうとしているのだと思います

――支持率は上がるのでしょうか。解散のタイミングはいつが考えられるのでしょうか。

 今回の人事で少し改善するとは思いますが、これまでの不人気を払しょくするほどではないでしょうね。これから出てくる経済対策でどのくらいインパクトを出せるかがポイントになってくると思います。

 解散については、最短では、臨時国会を召集して、冒頭解散というシナリオが考えられます。北朝鮮がミサイルを飛ばし、金正恩総書記とロシアのプーチン大統領が会談をするなど国際情勢が厳しい中だと政権の支持率が上がりやすい傾向があります。そうしたなかで、今回の人事と経済対策などで国民の支持を高め、そして解散というシナリオですね。

 臨時国会が始まってしまうと、支持率は下がるでしょう。原発処理水やマイナンバーカード、物価高対策など野党から厳しく追及される問題が山積しているからです。岸田首相としてはこのままズルズルとやって、任期満了で降ろされるというのは避けたいところでしょう。

――衆院選、総裁選を乗り越えると、宏池会で最も長く首相を務めた池田勇人氏の在職日数1575日が視野に入ってきます。岸田首相が池田氏と並ぶのは、26年1月と言われています。

 岸田首相は池田氏を「尊敬している」と述べていますし、目標にしているところはあるでしょう。岸田首相は「これがしたい」という政策が見えてこないので、そうなると池田氏の在職日数を超えることが目標となってくるかもしれませんね。

――岸田首相は改造後に「思い切った経済対策を実行する」と述べていました。期待は?

 支持率回復に向けて思い切った対策を出したいのでしょうが、これまでの政策を見ていると期待はしていません。「異次元の少子化対策」では、十分な対策を示し切ることができていませんでした。聞こえのいい言葉だけの政策に国民は飽き飽きしています。国民の生活は本当に疲弊しています。生活者に寄り添った政策を示せなければ、支持率は回復しないと思います。


――岸田首相の増税路線に対してSNSでは「増税メガネ」などと揶揄されています。今回の人事で、増税路線は変わらないでしょうか。

 増税路線は変わらないと思います。今回の人事では官房副長官の木原誠二氏の後任として、岸田派の村井英樹氏が就きました。村井氏は財務省の出身です。財務省にとって岸田・木原は「やりやすい」と言われており、財務省の意向に沿って増税路線の政策が行われてきましたが、同じ路線でいくということでしょう。

 先日、経団連が少子化対策などの社会保障制度の維持のための財源として消費税の増税が有力な選択肢の一つと提言していました。増税を進めたい政府を後押ししようとしているのだと見ています。岸田首相は、結局、国民を見た政策はしていません。国民の生活を助けるような「減税」という言葉は絶対に出てこないと思います。

――小渕氏、萩生田氏、木原氏は政治スキャンダル含みと言われています。

 いずれも支持率に影響すると思います。

 小渕氏は2014年に政治資金規正法違反が発覚した際、責任をとって議員辞職するべきでした。辞職して再選するといったプロセスを経て、みそぎを済ませるべきでした。事件から9年を経てもなお国民からの激しい批判を見ると、みそぎができたとはいえません。

 萩生田氏は旧統一教会と深い関係について記者会見を開くことなく、説明責任を十分に果たしていないと指摘されています。しかし、昨日(13日)の就任会見で「今後も不備があれば、求めに応じていきたい」と言いながらも、「説明不足だというご指摘は当たらない」とも答えていました。メディアも厳しく質問して、追及していかなければなりません。

 木原氏については、妻の元夫の死亡を巡る疑惑、愛人疑惑、違法デリヘル問題などで『週刊文春』の追及を受けていましたが、「留任するのでは」と見られていました。岸田首相は何とか留任させたいと考えていたようです。しかし、このような疑念のある人物を重用しようとするのには疑問があります。

 現在、党の幹事長代理に就任するという報道が出ていますが、呆れますね。国民の目に触れにくい幹事長代理というポジションに逃げさせて、スキャンダルは見て見ぬふりとなれば、国民の支持は得られないでしょうね。

「岸田首相、大丈夫かな」という印象です。


(構成/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)



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