【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

【色平哲郎氏のご紹介】3月25日、板門店の共同警備区域(JSA)の非武装化が42年ぶりに実現

2021-03-31 21:09:37 | 転載
伊勢崎教授は冒頭に、25日に韓国と北朝鮮、国連軍司令部の3者が進めていた板門店の共同警備区域(JSA)の非武装化が42年ぶりに実現したことを紹介。一方で、現在休戦中の朝鮮戦争に対応するために、日本と国連との間には今も「朝鮮国連軍地位協定」があり、在日米軍司令部のある横田基地に「朝鮮国連軍後方司令部」が存在することを指摘し、「もし北朝鮮が開戦しても、わが国には開戦の決定権もない。勝手に決められて、自動的に交戦国になってしまう。そんな国は世界中で日本以外に存在しない」と警告した。さらに、アメリカが持つ125の地位協定の中で「日本ほど主権度の低い国はない」として、国際人道法の視点や、他国の事例と比較しながらその異常性を列挙。日米地位協定を正常化する必要性を強調した。

https://bit.ly/3fr3SII

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朝鮮国連軍(正確には多国籍軍)は、アメリカ軍 を中心に18か国の軍隊から構成され、、、

国連軍地位協定にもとづき、 在日アメリカ軍基地のうち、座間、横須賀、佐世保、 横田、嘉手納、普天間、ホワイトビーチの各基地は アメリカ軍基地であると同時に、国連軍基地でもあ るのだ。 朝鮮国連軍の存在は日本にとって二つの点で影 響があるとみなされてきた。

第一に、国連軍として 行動する在日アメリカ軍の朝鮮半島への直接戦闘 行動は、日米安保条約における「事前協議制度」の 対象外になるとされてきたことである。在日アメリ カ軍の直接戦闘行動は、安保改定時の1960年1 月に日米両政府間で取り決められた「岸=ハーター 交換公文」にもとづき、核兵器の持ち込みと同様、 日本政府との事前協議の対象となる。しかし、この 時日米両政府間で合意され、長らくその存在が伏せ られてきた「朝鮮議事録」(外務省の調査でその存 在が確認されたのは2010年)は、在日アメリカ 軍の行動がアメリカ軍としてではなく、国連軍とし ての行動であれば、これを日本政府との事前協議に かける必要はないとしていた。

第二に、在日国連軍基地の使用は、アメリカ軍以 外にも開かれているということである。国連軍地位 協定にもとづき、在日国連軍基地は上記の11か国 の軍隊が使用することができることになっている。 休戦協定が破れて朝鮮戦争が再開された場合には、 これら諸国の来援兵力の受け皿となる。ちなみに事 前協議は日米安保条約に付随する制度であり、アメ リカ軍以外の在日国連軍には適用されないが、朝鮮 戦争が再開された場合におけるアメリカ軍以外の 在日国連軍の役割は「国連軍地位協定についての合 意された公式議事録」に定められているように兵站 支援に限られ、直接戦闘行動はそもそも想定されて いない。

https://bit.ly/3u42f7Z


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「自由であるためには、すべての人が非常に大きなものを要求されます。自由には責任が伴います。成長する気のない人や、自分の役割を果たす気のない人は、そう考えただけでぞっとするでしょう。」

エレノア・ルーズベルト(国連のアメリカ合衆国代表)

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1945年にフランクリン・ルーズベルトが亡くなった後、後任のハリー・トルーマン大統領は、1946年にエレノアを国連の米国代表に指名しました。エレノアは人権委員会の委員長として、世界人権宣言の作成を推進しました。同宣言を国連総会に提出した際に、エレノアは次のような言葉を添えました。

「私たちは今、国際連合の命運と人類の命運に関わる重大な出来事の出発点に立っています。恐らくこの宣言は、あらゆる国の人々にとっての国際的なマグナ・カルタ(大憲章)となるでしょう。」

トルーマン大統領は、エレノアの生涯にわたる人道上の功績を称えて「世界のファースト・レディー」と呼びました。エレノアは、この宣言に定められた権利が承認され、実施されるようになるために、その生涯の最後に至るまで働き続けました。エレノアの言葉とその業績は、数多くの国の憲法やさらに進歩した国際法の体系に反映されており、世界中の人々の権利を保護する力となって今なお受け継がれているのです。

「あなた自身が本当に正しいと感じることをするのです ― なぜなら、いずれにせよあなたは批判されるでしょうから。何かをすれば非難され、何かをしなければ非難されるのです。」 エレノア・ルーズベルト

https://bit.ly/31BlLME

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キュロス大王の円筒(紀元前 539年)

キュロス大王が定めた人権の法令は、焼き粘土の円柱にアッカド語で刻まれました。

キュロス大王は、紀元前539年にバビロンの奴隷を解放した、ペルシャで最初の王です。


紀元前539年、古代ペルシャの最初の王、キュロス大王の軍団がバビロンの都市を占領しました。しかし、キュロスが次に取った措置は、人類にとって大きな前進となるものだったのです。キュロスは奴隷を解放し、すべての人民には自分の宗教を選ぶ権利があると宣言し、さまざまな民族を平等に扱うことを決めました。これら
の宣言は、くさび形文字で粘土板の円柱に記録されました。

現在では「キュロス大王の円柱」として知られているこの古文書は、今でも世界最初の人権憲章として認められています。これは国際連合の6つの公式言語に翻訳されており、世界人権宣言に挙げられている最初の4つの権利は、この古文書の条項に沿ったものです。

人権の普及

人権という概念は、バビロンからすぐにインドやギリシャに伝わり、最終的にはローマにまで広がりました。ローマで生まれたのが「自然法」という概念です。これは、人々が一定の不文律に従って生きる傾向があるという観察から生まれました。そのため、ローマの法律は、物事の自然なあり方から論理的に導き出された考えに基づいていました。

マグナ・カルタ(1215年)、権利請願(1628年)、アメリカ合衆国憲法(1787年)、フランス人間と市民の権利の宣言(1789年)、アメリカ合衆国権利章典(1791年)といった個人の権利を主張する文書は、現代の人権に関するさまざまな文書の先駆けとなったものです。

https://www.humanrights.jp/what-are-human-rights/brief-history/


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入学式も卒業式もムダ。3月4月すべての儀式が日本人を不幸にする

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とにかく、こうした一連のバカバカしさというのは、日本の学校や職場が「メンバーシップ」型、あるいは「ネバネバした共同体」としてのカルチャーを引きずっているからです。そして、そのことが、生産性の低下、幸福度の低下、そして国際競争力の喪失を招いています。結果的にその集団全体を不幸にしているわけです。

まず教育です。学校は常に「入試で基礎スキルを足切り」して行き、下の学校の最大の目標は「上の学校の入試(もしくは就職試験)に受かるため」という位置づけが、まずオワコンです。そうではなくて、高校なら高校の履修内容で、その成績を評価することで大学に行けるし、大学はしっかり学んで、その成果により学位が出る、その学位の質で就職が決まる、世界の常識はそうなっています。

その結果として、金融工学を学んだ学生、バイオを学んだ学生、税務会計を学んだ学生はそのスキルを評価されて、専門職としての雇用を得ます。そして、大学で学んだことが即戦力になるべきです。

また、そのような専門性の上に職歴が乗っかれば、労働市場で競争力が出ますから、仕事のレベルアップを狙って転職し、そこで給与も良い条件を退き出すことができます。その全体において、個人は採用する企業と対等であり、社畜として転勤に甘んじたり、単身赴任したりということもありません。

そして、そうした方法の方が、全体が成長し、個人や家族の満足度や幸福度は上がり、上がらないまでも理不尽な屈折はなく、そして社会も企業も国も産業も、変化しながら持続することができます。

日本の場合は、終身雇用の非専門職によるネバネバした共同体が、企業の意思決定勢力であり同時に守旧派勢力として君臨しており、その貴族的であり同時に奴隷的でもある特権階級に入るための「受験競争」があるという制度が長く続いてきました。

その特徴を象徴するものが、この3月から4月に共同体を出たり入ったりする際の儀式であり、その一連の儀式のナンセンスが、この共同体システムの崩壊を示しているわけです。にもかかわらず、実は崩壊しているにも関わらずそのゾンビのような実態に気づくことなく、相変わらず訓示をしたり、辞令交付をしたり、コロナ禍の下でも歓送迎会を深夜までやったりしているわけです。

とにかく、この年度替わりの忙しさの中に、とりわけ卒業、入学、入社といった共同体がらみの出入りの儀式の中に、本当に人を感動させるコンテンツが入っているのか、その儀式の意味合いが本当に経済や社会を発展させるものなのか、コロナ禍ということも併せて考えてみる時期だと思うのです。

https://bit.ly/3ft1MrK


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原子力規制委員会はこのほど、東京電力柏崎刈羽原子力発電所に対してレッドカードを突きつけました。

「原子力規制委員会は24日の定例会で、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)のテロ対策設備の不備が長期間続いていた問題に法令違反があったとして、東電に原子炉等規制法に基づき、同原発内の核燃料の移動を禁じる是正措置命令を出す方針を決めた。事実上、同原発を運転禁止状態にする。今後、東電に弁明の機会を与えた後に正式決定する。(中略)

テロ対策設備の不備は、規制委の2月下旬の検査で判明。20年3月~21年2月、侵入検知装置が16カ所で故障し、うち10カ所は代わりの対応も不十分で、侵入を検知できない状態が30日間を超えて続いていた。規制委は、セキュリティー上『最も深刻な事態』とし、追加検査などが終わるまでは、東電が優先して再稼働を目指す7号機について、原子炉起動に関する審査をストップする方針を示している」(3月24日付東京新聞)

https://bit.ly/39tgdYW


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経営の方向性を巡って創業家の潮田洋一郎氏と対立してCEOを解任されたのが2018年10月末。その後、2019年6月の株主総会を経てCEOに復帰してから、組織の在り方を変えてきました。階層を減らすなど組織の構造をシンプルにしてきたほか、40歳以上の社員を対象に希望退職プログラムも実施しました。これまで瀬戸さんは、人員構成などLIXILが抱える組織の課題をたびたび指摘してきましたが、解決のめどは立ってきましたか。

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よく「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」と言いますが、インクルージョンが目的で、ダイバーシティは手段ですよね。組織が多様性を持つことで、誰もが「自分は組織の一員だからがんばろう」という気持ちになるのがD&Iです。その中で特に大切なのが、人口の半分を占める女性がもっと管理職になって、経営に参加できるようにすることだと考えています。

はっきり言って、何のために女性がもっと経営に参加しなければならないのかというと、「もうけるため」です、、、

商品を開発、デザインして、作って売るという意思決定の中心にいるのはほとんどが男性です。社内で商品やサービスの会議をしていて、「女性の視点を入れよう」と言っても、その場に女性がいないことも多い。それでいいのでしょうか。

今、LIXILの管理職で女性は5.9%しかいません。この状況を変えていくには、かなりいろいろなことをしていかなければなりません。

https://bit.ly/3u6yxyZ


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群馬大学大学院医学系研究科 総合外科学講座 肝胆膵外科 調 憲 教授  


祖父は日本が朝鮮を統治していた時代に朝鮮の医師や学生、そして患者さんに人間として真摯に向かいあい、その教育に力を尽くしたのであろうと思います。そうでなくては京城帝国大学の祖父のことを80年以上の歳月を経て韓国の皆さんが記憶しているわけがありません。時代は変わり、現在の日本と韓国の関係は必ずしも良好とは言えません。祖父の死後30年近くの年月が経ってしまいましたが、そのような中でも祖父が京城帝国大学に奉職してから80年を経ても祖父のことが伝えられていることに深く感動し、またそのことを誇りに思いました。

そして、相手がどのような立場の人でも、外科医として、大学の教育職についている者として、私はもう一度襟を正して診療と教育に力を尽くさねばならないと感じています。

https://bit.ly/3ubp6ye
坂の上の雲の先に【祖父 調 来助のこと】


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聖書はもういらない

なんとなく言いたいことは予想できるが、ちょっと気になる。

「人間を幸せにするのは神様ではありません。人間を幸せにできるのは人間です。」(本文より)

様々な固定観念から解き放たれたときに、新たに見えてくる世界

その起源から現在に至るまで長らく世界中に影響を与え続けている聖書。キリスト教の歴史をひもときながら、聖書がどのように人の心をとらえ、支配してきたのか、その過程と構造の解明を試みる書。
真の魂の救済とはどういうものか。喪失の悲劇から人間の弱さを理解したときに、人生はより豊かな広がりを見せる――。

目次
まえがき
第一部 聖書の支配
     キリスト教の影響力
     聖書の誕生
     イエスの教え
     パウロの福音
     排他的な愛
     エンドレスの感謝
     神のみこころ
     クリスチャンとノンクリスチャン
     刷り込み
     ある牧師の死
     珠玉の「愛の章」
     フィルターをかけられる
     愛とは
     ヨブの試練
     安息日
     閉鎖的な教会
     韓国の教会
     インターネット時代の聖書
     三位一体とは
     カトリックとプロテスタント
     キリスト教会の反ユダヤ主義
     十字軍
     異端審問
     魔女狩り
     免罪符と宗教改革
     人権思想の誕生
第二部 マインドコントロールが解けた
     罪意識からの解放
     事実は小説より奇なり
     教会ごっこ
     固定観念
     バランス
     神に人生を委ねるとは
     喜びの消えた人生
     人間の愛とキリストの愛
     喜びこそ、生きる力
第三部 事実は小説より奇なり
第四部 喪失
あとがき

■著者紹介
野原 花子(のはら はなこ)
1958年生まれ、四国出身。
幼い時から、クリスチャンの母親の影響で地元のプロテスタント教会で信仰教育を受け、聖書的価値観から離れて生きることは生涯ないであろうと考え、高校3年時に洗礼を受ける。結婚後、12年間韓国で暮らす。その後、帰国、関東へ移る。

https://bit.ly/31vrp39


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令和3年3月28日   統 合 幕 僚 監 部
各国参謀長等による共同声明について

統合幕僚長山崎幸二陸将は、令和3年3月28日(日)(日本時間)、ミャンマーで生起している事態に対す
る平和的な解決を求めて、以下の共同声明を発出することと致しました。

(声明仮訳)
ミャンマーにおける同国軍による暴力行為を非難する各国参謀長等による共同声明以下は、オーストラリア連邦、カナダ、ドイツ連邦共和国、ギリシャ共和国、イタリア共和国、日本国、デンマーク王国、オランダ王国、ニュージーランド、大韓民国、イギリス及びアメリカ合衆国の参謀長等による共同声明である。参謀長等として、我々はミャンマー国軍と関連する治安機関による非武装の民間人に対する軍事力の行使を非難する。およそプロフェッショナルな軍隊は、行動の国際基準に従うべきであり、自らの国民
を害するのではなく保護する責任を有する。我々はミャンマー国軍が暴力を止め、その行動によって失ったミャンマーの人々に対する敬意と信頼を回復するために努力することを強く求める。


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学生証を本名に変えるのに1年 
 在日コリアン学生が直面した壁
 駒沢大学を3月下旬に卒業した在日コリアンの兪在浩(ユ・ジェホ)さんは学生証などに記載される氏名を通称の日本名から本名に変更しようとした際、約1年かかりました。
毎日新聞2021年3月27日

 駒沢大学を3月下旬に卒業した在日コリアンの兪在浩(ユ・ジェホ)さん(23)が、学生証などに記載される氏名を通称の日本名から本名に変更しようとした際、「通称名の中途変更を認めない」とする書類に署名していたことを理由に拒まれた。兪さんは大学側と交渉し、約1年後に本名に変更できたが、「ここまで時間と労力がかかること自体、在日朝鮮人としての尊厳を踏みにじられているように感じた」と訴える。
【後藤由耶/写真映像報道センター、塩田彩/統合デジタル取材センター】

 「中途変更は認めない」という書類に署名したが……

 兪さんは2016年4月に入学した。日本名で入学関係書類を提出したところ、本名と異なることに気づいた大学の教務部から「通称名使用願」を出すよう促され、署名・押印して提出した。21年度の入学生向けの「手引」には「外国籍の方で、住民票に記載されている通称名の使用を希望する場合は、入学後に通称名使用の届け出が必要」と記されている。「使用願」にはこう書かれていた。
 <在学中は一貫して通称名を使用することとし、中途において変更することは認めない>
 <通称名を使用することによって本人に不利益が生じたとしても、本学は一切その責を負わない>
 兪さんは高校まで日本の学校に通い、日本名で暮らしてきたが、友人に本名を明かしにくく、もどかしい思いをしたこともあり、大学では本名で生活しようと思っていた。ただ、日本名に抵抗があったわけではなく、「書類上だけなら構わない」と考えたという。
 だが、ゼミの自己紹介などで本名を名乗り、友人からも本名で呼ばれる中で、自分を表すのは本名だと実感するようになった。在日コリアンの学生団体に所属し、日本による朝鮮半島の植民地支配や在日コリアンの歴史を学んだ。「朝鮮人として誇りを持って生きたい」。そんな思いが芽生え、持ち歩く学生証に日本名が記載されていることを苦痛に感じるようになった。

本名に戻すための書類で「おわび」

 17年5月、兪さんは教務部の窓口に「学生証の記載を本名に変えたい」と申し出たが、職員から「使用願」を理由に変更はできないと告げられた。大学の学生向け相談窓口にも相談したが、民族問題には対応できないと言われたという。
 諦められず、同年7月、ゼミの担当教授や朝鮮語の授業を担当する在日コリアンの教授に相談。教授らが仲介する形で10月に副学長と面談した。その結果、大学側は兪さんに「本名使用願」を出すよう求めた。「ひな型」として示された書類の最後には、こう書かれていた。
 <『通称名使用願』提出時においては『中途において変更することは認めない。』という条項を承諾していたにもかかわらず、2年後にこうしたお願いをすることについては深くお詫(わ)び申し上げます>
 兪さんは18年3月、この「ひな型」に自身と父親の署名・押印をした上で提出。大学は翌4月、学生証など書類上の本名使用を認めた。本名に変えたいと申し出てから11カ月かかったことになる。
 兪さんは「名前の選択一つでここまでしなくてはならないこと自体が、在日朝鮮人としての尊厳を踏みにじられているように思います」と語る。また、「本名使用願」の「おわび」の一文についてはこう振り返る。「早く変えたいと思って署名してしまったけれど、今はすごく屈辱的に感じます」

通称名使用をスムーズにやめられる大学も

 学生の通称使用に届け出を必要とするケースは他大学でもある。外国籍だけでなく、性別違和を抱えていたり結婚で姓が変わったりした学生を対象にする大学もある。
 例えば九州大学では「大学が作成する複数の書類で通称名を使用するため、事務の混乱が起きないよう書類提出を求めている」(学生支援課)という。ただ、九州大では「中止届」を出すことで通称名使用をやめることが可能だ。学生支援課は「学生が通称使用をやめたいと思ったときに、スムーズにやめられるよう設けてい
る」と説明する。東京都立大など他の複数の大学にも同様の制度がある。
 駒沢大によれば、駒沢大に中止届はなく、通称名使用願を出した学生については「原則として在学中の変更は認めていない」(教務部学籍係)という。

ルーツ誇れる生き方尊重を

 龍谷大の寺川史朗教授(憲法学)は「自分のアイデンティティーを決定づける名前を自分で決めることは自己決定権として憲法で保障されている」と指摘し、今回の駒沢大の対応についてはこう批判する。「事務手続きの混乱を避けるために一定のルールを設けることは否定しませんが、『在学中の変更は認めない』という運用は学生の自己決定権を阻害しかねず、見直すべきです」
 在日コリアンの通称名に詳しい大阪市立大の伊地知紀子教授(社会学)は「戦後も日本社会での差別は根本的に改善されておらず、在日コリアンは創氏改名が続いているかのように日本名を使わざるを得ない現状がある」と話す。
 朝鮮人に日本風の氏名を名乗らせた創氏改名は、日本の植民地支配下の朝鮮半島で1940年に施行された。伊地知教授は「おわび」を盛り込んだ書類提出を駒沢大が提案したことを厳しく批判する。「植民地支配をした加害者側が被害者に『私が悪かった』と言わせているのと同じ。人権侵害であり、言語道断です」

「適切な対応をとらせていただいている」

 在日コリアンの本名使用に関しては、大府教育委員会が「本人のアイデンティティーの確立にかかわる」として「児童・生徒が自らの誇りと自覚を高め、本名を使用できるよう指導に努めること」とする生徒指導指針を掲げている。伊地知教授は「在日コリアン学生が自らのルーツを誇れる生き方をしようと選択したとき、その選択を尊重することが教育機関の使命」とも語る。
 寺川教授や伊地知教授が指摘するような憲法や人権上の問題についてどう考えているのか、責任者の見解を示すよう駒沢大広報課に取材を申し込んだが、「学校法人駒澤大学としては、諸事情を勘案しながら適切な対応をとらせていただいております」という回答のみがメールで送られてきた。

記事にも実名を出すことを決心

 兪さんは当初、匿名を条件に今回の取材に応じた。ネット上での中傷や攻撃を懸念したからだが、取材を受ける中で「自分が獲得した本名をきちんと出したい」と思い直し、実名を出すことを決心した。兪さんは23日に卒業した。卒業証書は本名で受け取る。今後は在日コリアン学生の支援に携わるという。「自分のように、
自分が何者かを知りたい同胞学生は多いと思う。ルーツを共に学び、朝鮮人として自信を持って生きることが
できるように支えたい」と語った。


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べてるの家、早坂潔さんからの手紙

ミスターべてる、こと早坂潔(はやさか・きよし)さん
@北海道浦河町から葉書が届きました 

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前略お元気ですか
今回の行事どうもありがとうございます
風の人、土のひと、どうもありがとうございます
関さん今度えを書きましょう
伝えてください
色平さんも身体に気つけてください
人生いろいろな事があるけど今、生きている事が、かんしゃです
本当にありがとう
べてるの家・販売部長 早坂潔

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「べてる語録」
べてるに染まれば商売繁盛   偏見差別大歓迎
場の力を信じる   昇る人生から降りる人生へ
弱さを絆に   三度の飯よりミーティング
公私混同大歓迎   苦労を取り戻す
病気に助けられる   安心してサボれる職場づくり
それで順調   幻聴から「幻聴さん」へ
弱さの情報公開   自分でつけよう自分の病気
リハビリテーションからコミュニケーション   そのまんまがいいみたい
べてるの家の無責任体制   利益のないところを大切に
やすらぎへのお手伝い   勝手に直すな自分の病気
べてるに来れば病気がでる   幻聴鑑定団「いい病気してますねぇ」
手を動かすより口を動かせ   過疎も捨てたもんじゃない
友だちの出来る病気、分裂病   冷たい風がふいてきたら暖かくして返そう
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「浦河べてるの家」とは、精神障害をかかえた人たちの有限会社・社会福祉法人の名称。北海道浦河町で、共同作業所・共同住居・通所授産施設などを運営しており、事業に参加している人たちの総数は100人を超える。


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第7回ヘルシー・ソサエティ賞・受賞スピーチ
(2011年3月2日@帝国ホテル)

ご紹介いただき、ありがとうございます
私の病院は、「協同組合」が運営しています
農民が、自ら出資して病院を建てた、ということは、「農民が医師を雇っている」ということです
若月俊一院長の「予防は治療に勝る」という実践でも有名です

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家族5人で10年間暮らした南相木村に、国道も鉄道もありません
村民のうち65歳以上が、なんと40%
そして今、日本の農山村につづき、日本の「都市の高齢化」が進行中です
ケアのあり方、ひとりぐらしの激増、住まいや交通手段、街づくりなど、問題が噴出します
このような事態、多文化共生を目指すグローバル社会で、歴史上初めて
しかも最大速度、最大規模での高齢化となって、世界の注目の的です
図らずも、「地球人類の近未来」を垣間見る、そんな村での生活となりました
お隣の韓国・台湾を加え、「大東亜共栄圏」ならぬ「大東亜共”老”圏」、
という笑えないお話もございます

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ここで、詩を読みます
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
ぶよぶよのからだにたくさんきこみ
意欲もなく体力もなくいつもブツブツ不満を言っている
毎日塾に追われ、テレビに吸い付いて遊ばず、朝からあくびをし
集会があれば貧血をおこし、あらゆることを自分のためだけ考えて
あれっ、私のことになってしまった、、、

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村で働いて、周囲の方々が「心持ち」である、一方、
都会育ちの自分が、心貧しい人間だ、と感じました
「おたがいさま、おかげさまで」あるいはまた、「金持ちより、心持ち」
「すきなひとと、すきなところで、くらしつづけたい」
おだやかな山村に、毎年、百数十人の医学生・看護学生が実習に来ました
村人もまた、孫のような若者たちに、よろこんで、「おしん」の時代の
苦労ばなし、「雨ニモマケズ」の体験を語っていました

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最後に申し上げます
日本の宝、「国民皆保険」は、今年、誕生50年の節目
選挙では、全政党が、「皆保険堅持」を訴えています

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財政赤字、国保の未納・滞納、そして「無保険者」の増加
そんな内なる危機に加え、外からは、「経済連携協定」や
医療ツーリズムなど「市場原理主義」の圧力
内外2つの大波で、皆保険が崩壊の危機に瀕していること、とても心配です

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一部の人々の「ぬけがけ」が貴重な制度資本を崩壊させます
世界の人々があこがれるジャパン・ブランド「皆保険」、ぜひ、持続可能な
制度設計につき、 皆さま、よろしくご高配くださいますよう
南相木村のみなさま、角道さま、そして厚生連・佐久病院の仲間たち、
ありがとうございました

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【広原盛明のつれづれ日記】 2021-03-30

2021-03-30 18:38:41 | 転載
【広原盛明のつれづれ日記】
2021-03-30
新型コロナ再拡大で東京五輪はどうなる? 総選挙はどうなる? 菅内閣と野党共闘の行方(27)、改憲派「3分の2」時代を迎えて(その252)





 2021年3月30日、各紙朝刊は、全国で新型コロナ再拡大の傾向が鮮明になりつつあると報じた。今年1月8日から始まった緊急事態宣言が、大阪府、兵庫県、京都府で2月28日に解除されたのに引き続き、3月21日には首都圏など全国で全面解除になった。全国の感染者数(1週間平均)は3月9日の679人まで減少したが、それ以降は再び増加に転じ、3月28日時点では1713人に達している。注目されるのは、感染者数が34都府県で前週よりも増加しているように、これまで緊急事態宣言の対象地域だった大都市部だけでなく、地方でも急増していることだ。なかでも、直近1週間(3月22日~28日)の10万人あたりの新規感染者数は、宮城県38人、沖縄県31人と大阪府20人、東京都18人を大きく上回っている。



 大阪府の吉村知事は、これまで感染防止対策よりも経済活動を重視する姿勢で知られる。今回の緊急事態宣言に関しても「前倒し解除」に最も積極的だったのが吉村知事であり、兵庫県、京都府の両知事が(情けないことに)それに引っ張られる形で解除した。ところが、新規感染者数の前週比は、大阪府2.11、兵庫県1.62と急上昇し、このままでは「倍々ゲーム」のように感染者数が急増する事態に直面することになったのである。一方、これまで感染者が少なかった東北や四国でも急速な増加がみられる。宮城県では、村井知事が2月23日から「GoToイート」キャンペーンを再開したことをきっかけに、感染者数(1週間平均)は3月28日時点で134人へと爆発的に増加した。その影響はお隣の山形県にも波及し、3月に入ってからの感染者数累計は320人を超えている。



 「マッチポンプ」という言葉がある。マッチポンプとは、自らマッチで火をつけておいて、それを自らポンプで水を掛けて消すと言う意味で、偽善的な自作自演の手法や行為のことを指している。菅政権も「GoToトラベル」キャンペーンの推進で新型コロナ感染の火を着け(マッチ)、それが手に負えなくなると今度は緊急事態宣言を発出して水を掛ける(ポンプ)という行為を繰り返してきた。だが、問題は大元の火が消えていないことだ。火が完全に消えるまで水を掛けないで緊急事態宣言を解除するものだから、解除した瞬間から燻っていた火元が再び燃え上がり、リバウンドが広がることになる。吉村知事や村井知事などは、菅政権の手法を小出しに繰り返しているというわけだ。



こうなると、新型コロナウイルスワクチンに期待するほかないが、この点でも菅政権は決定的に出遅れている。厚生労働省のまとめによると、3月23日時点での接種実績は全国で僅か69万9千回。政府が先行接種する医療従事者は約485万人、続く65歳以上の高齢者は約3600万人、基礎疾患のある人は約820万人、高齢者施設などの職員は約200万人というのだから、接種予定者5100万人のうち1.4%しか接種が行われていないことになる。ワクチン接種は2回行われることになっているので、接種は国民の間で僅か0.7%しか行き渡っていないことになる。政府は6月末までにこれらの接種を終え、夏以降から16歳以上の成人を対象に接種を始めるというが、ワクチン供給が世界的に逼迫している中で、果たして予定通り進むかどうか疑わしい。



3月25日から東京オリンピック聖火リレーがスタートした。私のように1964年東京オリンピックの華々しい聖火リレーを知っている者には、その淋しい光景に愕然とするほかない。テレビ報道などもその日だけで、その後はほとんど画面に登場しない。聖火リレーが今どこを走っているのか、どこまで来たのか、次はどこかなどもわからないし、国民の関心もそれどころではないのである。毎日毎日、新型コロナウイルスの感染状況に国民が気を奪われているような状況の下では、東京五輪に対する関心が日々薄れていくような気がする。



東京オリンピック2020は、2021年7月23日から8月8日まで開催されることになっている。パラリンピックは、8月24日から9月5日の予定だ。しかし、ワクチン接種が高齢者だけでも6月末に終わらず、7月にずれ込むようなことになると、オリンピック開催時までに果たして新型コロナ感染を抑え込めるかどうかが危うくなってくる。しかも、今後は変異ウイルスが主流になるというのだから、それまでにワクチン接種の対象にならない子供や若年層への感染が懸念される。



国際的にも懸念が広がっている。公益財団法人「新聞通信調査会」が3月20日に発表したところによると、新型コロナウイルス感染症が世界的に収束していない中での東京五輪・パラリンピック開催の是非を海外5カ国で尋ねた世論調査結果(2020年12月~2021年1月に面接か電話で調査、各国約千人ずつ回答)は、「中止すべきだ」「延期すべきだ」との回答の合計が全ての国で70%を超え、特にタイでは95.6%、韓国で94.7%に達した。このほか、中国は82.1%、米国は74.4%、フランスは70.6%の順だった(共同通信2021年3月21日)。



 こうしたなかで、立憲民主党の枝野代表は、党の役員会で「東京は完全に感染のリバウンドに入り、一足早く緊急事態宣言を解除した大阪は第4波と認めざるをえない。検査拡大や補償もなく国民にただお願いするだけでは、暮らしも経済もめちゃくちゃになってしまう。対策を変えない政府や地域は、やはり政治そのものを変えるしかなく、国会の内外で戦っていきたい」と述べた。また、安住国対委員長も菅内閣に対する不信任決議案の提出を検討する考えを重ねて示し、新型コロナウイルス感染の第4波を防げなかった場合を挙げ、「内閣総辞職に値する。そのために取り得る行動はちゅうちょなく取る」と記者団に述べた。安住氏は、ワクチン接種の遅れが生じても「政治責任を問う行動を取らなければならない」と強調した(各紙3月30日)。このような野党の動きに対して、自民党二階俊博幹事長は「不信任案なら解散」と早期解散をぶち上げ、3月29日の記者会見では、「私は解散権を持っていないが、野党が不信任案を出してきた場合、直ちに解散で立ち向かうべきだと菅首相に進言したい」と明言した(同上)。



自民党内からは「選挙は早い方がいい」「5月が菅政権のピークだ」の声も上がっているというが、5月頃にはゴールデンウイークの影響で新型コロナウイルスの第4波が猛威を振るっている可能性が高い。ワクチンの本格接種も始まっていない中で総選挙に踏み切れば、国民の批判は菅政権に集中する。また、東京五輪開催も危うくなる。さて、菅政権はどうする、立憲民主党はどうする―、次回はそこに焦点を当てて考えてみたい。(つづく)

hiroharablog 49分前

ひろしま・ミャンマー・コロナ~TBS報道特集2021.3.27~

2021-03-28 08:06:33 | マスコミ報道への私見
Ⅰ:ノーモア広島と広島県政界

オノ・ヨーコさんのことば 「今こそノーモアヒロシマ・ノーモアナガサキが重要な時はない」。 オノさんの言葉を広島参院選再選挙の候補者はどううけとめ議員に当選したらどう実践するのか。また候補を推薦支持する政党。団体はどう考えているのか。 世界はあなたたち私たちを見つめている。

Ⅱミャンマーの反軍事独裁闘争

民主主義や自由、独立を経済的裕福以上に大事だと力説するミャンマーの若者。アジアの香港、台湾、韓国、ミャンマー・・・最も遅れている日本の民度が鋭く世界史に問われている。 それは、オリンピックやコロナ問題でも底にあるものは共通だ。治安部隊の銃弾で倒れた若者。軍部クーデターに反旗をひるがえす。反クーデターのミャンマー市民抵抗はミャンマー反軍部・市民革命だろう。韓国光州のように。日本も1960年の日本は安保反対の国民的運動が起きた。アメリカ独立宣言や憲法で国民の抵抗権を謳っている。
ミャンマーの若者たちが、軍のクーデターと虐殺・弾圧に抗議して、きょう都内で抗議デモ。ミャンマー人の言葉「日本政府は軍と民主派とどっちつかず」。このような外国からの認識はいろんな課題にあいついで出ている。参院選広島選挙区から汚職で議員有罪がでても自民党は早々と候補をたて早々と県内各地を回っている。核兵器廃止基本法が世界の実施課題。野党のある候補はそのような危機意識もなく選挙手法は周囲が型通り進めているが。

Ⅲ:コロナ禍の森

外国人記者の鋭い指摘がいくつかの国から出ている。 「政府はコロナを政治的に利用し、つぎにパンデミックを利用している。」
鳥取県知事の話は具体的でなるほどと思う。 #これが知事、なんだろうなあ。




【色平哲郎氏のご紹介】第 5 次アーミテージ・ナイ報告書

2021-03-25 17:38:14 | 転載
写真:【東京新聞】トランプ大統領で安倍政権のアーミテージ報告書「完コピ」路線はどうなる?(原発推進・秘密保護法・武器輸出・安保法・TPP・日韓合意など)
投稿日:2017/01/21/ 11:23より

【アメリカ】第 5 次アーミテージ・ナイ報告書
国立国会図書館 調査及び立法考査局 海外立法情報課 西住 祐亮

*2020 年 12 月 7 日、アーミテージ元国務副長官とナイ元国防次官補を中心とする研究グルー プの「2020 年の日米同盟」と題する報告書が公表された。報告書は、日本側の近年のリーダ ーシップを高く評価した上で、3 項目から成る提言を示している。

1 概要

2020年12月7日、戦略国際問題研究所(CSIS)が、リチャード・アーミテージ(Richard Armitage)
元国務副長官とジョセフ・ナイ(Joseph Nye)元国防次官補(国際安全保障問題担当)を中心 とする研究グループの「2020 年の日米同盟:グローバルな課題に取り組む対等な同盟(U.S.- Japan Alliance in 2020: An Equal Alliance with a Global Agenda)」と題する報告書を公表した1。両 者による日米同盟についての報告書は「アーミテージ・ナイ報告書」という呼称で知られてお り2、この度は 5 回目の公表となった。

今回の報告書は、序論と結論を除くと、大きく 3 つの部分(提言)から構成されている。第 一は「安全保障同盟を発展させる(Advancing the Security Alliance)」、第二は「パートナーシ ップと連合を拡大する(Expanding Partnership and Coalitions)」、第三は「経済及び技術協力を 強化する(Strengthening Economic and Technology Cooperation)」である。

2 序論

日米同盟については、不確実性に満ちた時代の中で、「安定と継続をもたらす最も重要な存在の一つ」であると指摘した。また、日米同盟の重要性については、米国内で超党派の支持が あるとの見方を示し、分割政府3の状況下になっても、同盟を発展させることができるであろう とした。

日本側の姿勢については、急激に厳しさを増す安全保障環境と、米国の首尾一貫しないリー ダーシップによって、「主導的ではないにしても対等な役割」を日米同盟の中で担うようにな ってきていると評価した。また、こうした日本側の変化は、安倍晋三前首相によるところが大 きいとも指摘し、具体的には、憲法解釈変更による集団的自衛権の容認や、包括的・先進的 TPP 協定(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership: CPTPP)4を妥結に導 いたことなどを例示した。

加えて、日本のリーダーシップは、米国とインド太平洋地域の利益にも資するものであると指摘し、日本のリーダーシップ維持に向けて、菅義偉首相が努力することを支持するとした。 その他、日米同盟に対する支持が、日米両国民の間で依然として高いことなども紹介した。

3 「安全保障同盟を発展させる」

米国にとって日本が「不可欠かつ以前より対等な同盟国」になっただけでなく、「アイデア考案者(idea innovator)」にもなったと指摘し、具体的には、日本が「自由で開かれたインド 太平洋」構想5を考案したことなどを例示した。また、米国が日本に対して外圧を加えると指摘 された時代から状況は一変し
、日本のリーダーシップが目立つようになっているとも指摘した。

中国については、「日米同盟にとって最大の安全保障上の挑戦」であると指摘した。具体的 な提言としては、日米安全保障条約(第 5 条)の尖閣諸島への適用拡大を再確認することなど を提言した。また、中国が台湾への軍事的・政治的圧力を強めていることを念頭に、この問題 に関する米国の懸念を、日本が共有する重要性も指摘した。

北朝鮮については、「地域が抱える第二の懸案事項」であると指摘した。北朝鮮の非核化に ついては、短期的には非現実的であるが、長期的な目標であり続けるとした。また、情報・防 衛分野に関する日米韓協力を強化する重要性も指摘した。

防衛予算(国防予算)については、[増額が難しい]両国の国内的制約を踏まえ、日米間の 更なる調整が重要になるとした。共同技術開発や、同盟の効率化の必要性を指摘し、例として、 ミサイル防衛に関する重複投資の回避などを提言した。また、日本の防衛予算については、「国 内総生産(GDP)のたった 1%」で、中国の国防予算
に比べると「ごく僅かな額(fraction)」 であると指摘した。

その他、既存の「ファイブ・アイズ(Five Eyes)」6に日本を加え、「シックス・アイズ(Six Eyes)」の枠組みを目指すことや、在日米軍駐留経費負担について、米国ができるだけ早期に 日本と交渉をまとめることも提言した。

4 「パートナーシップと連合を拡大する」

米国と利益・価値を共有する諸連合のネットワークの中で、日米同盟が「中核(nucleus)」になるべきであるとした。

日米豪印戦略対話(Quadrilateral Strategic Dialogue: Quad)については、日本主導で有望な役割を担うようになったと評価する一方、他の地域機構と競合するのを回避するために、開かれ たもの(inclusive)にしなくてはならないとした。

日韓関係については、ネットワーク化された諸連合の構築を目指す上で、長引く日韓の緊張 (continuing tension)が、最大の障害になっているとした。他方、菅義偉政権発足後には、関係 改善に向けた漸進的進歩(incremental progress)も見られると指摘し、[2021 年夏に予定され る]東京五輪に向けた協力などを通して、日韓が関係改善に向けた新たな好機を活かすべきであるとした。

5 「経済及び技術協力を強化する」

経済及び技術協力を深化させることが、日米同盟にとって根本的に重要であるとした。貿易・技術に関するルールの存在が、インド太平洋地域でも南シナ海でも重要であると指摘し、この 分野に関して、日米は緊密に連携しているとした。また、新型コロナウイルスの世界的拡大は、 信頼できる安全な供給網が、日米にとって重要であることを立証したと指摘した。

CPTPP については、経済ルール作りの面で日本とともにリーダーシップを発揮するために、 米国は CPTPP に加入すべきであるとした。加入が国内政治的に難しいことを認める一方、米国 の繁栄と安全に対する、より大きなリスクを踏まえると、米国の加入は必須であると指摘した。 また、バイデン(Joe Biden)新政権が、CPTPP の加入に向けて、条件の変更を望むのは「理に かなう」と指摘する一方、こうした変更は現加盟国との交渉を通じて調整すべきで、何よりも 交渉に向けた米国の意欲を示すことが最初に必要であるとした。さらに、米国の CPTPP 加入が、 世界貿易機関(World Trade Organization: WTO)改革を目指す上でも有意義であるとした。

デジタル・ガバナンスについては、世界のインターネットが 3 つのレジーム(米国、中国、 EU)に分断されつつあるとの認識を示した上で、日米デジタル貿易協定(U.S.-Japan Digital Trade Accord. 2019年9月合意)等を土台に、ルールや規範を世界全体に広げる重要性を指摘した。 また、2019 年 6 月の G20 大阪サミットで、日本がリーダーシップを発揮して、デジタル・ガバ ナンスに関する合意を成立させたことも高く評価した。

人工知能(artificial intelligence: AI)や5Gネットワークを始めとする新技術については、日 米が連携して、この分野に関する国際ルールを、相互運用可能かつ開かれたものにする必要が あるとした。5G については、21 世紀の知識経済の中で鍵となる分野であるとした上で、日米 はこの分野での協力を優先すべきであると提言した。具体的には、日米両政府が、ファーウェ イ(華為)に代わる選択肢を作ろうとする民間企業の試みを促進すべきであるとした。また日 本が、開かれた無線アクセスネットワーク(Open Radio AccessNetwork: O-RAN)の開発を牽引 する存在であると指摘した上で、これが、垂直統合型の華為モデルに代わる選択肢になる可能 性があるとした。

インド太平洋地域のインフラ・開発支援については、日本のリーダーシップが見られるもう 一つの分野であるとした上で、新設された米国国際開発金融公社(U.S. International Development Finance Corporation: USDFC)が、日本の国際協力銀行やアジア開発銀行と連携して、地域のイ ンフラ需要に対応する必要性を指摘した。
また、韓国やオーストラリアといったその他の国々 と、この分野に関する調整を行うことも、日米の指導者には求められるとした。

さらに第 5 次報告書は、エネルギーと気候変動も、日米同盟にとって重要な分野になると指 摘した。具体的には、日本が石炭火力への投資を抑制する必要性や、原子力及び天然ガス分野 での協力を土台に、日米がクリーンエネルギーに関する協力を拡大する重要性を指摘した。

6 結論

日米同盟をより対等なものに発展させることが、地域及び全世界の課題を解決する上で重要になると確認し、価値の促進などの面では、既に日本がリードする側になっていると指摘した。 また、日本を「米国の利益・価値と最も調和する同盟国」であると形容した上で、多極化を進 める世界において、日米同盟は世界を牽引する立場にあるとした。


* 本稿におけるインターネット情報の最終アクセス日は、2021年1月8日である。[ ]内は筆者による補記。

1 “U.S.-Japan Alliance in 2020: An Equal Alliance with a Global Agenda,” Center for Strategic an
d International Studies, December 7, 2020.
<
https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/publication/201204_Armitage_Nye_US_Japan_All
iance_1.pdf
>

2 2018 年 10 月に公表された第 4 次報告書については、西住祐亮「第 4 次アーミテージ=ナイ報告書」『外国の立法』
No.278-1, 2019.1, pp.32-35. を参照。

3 大統領の政党、上院の多数党、下院の多数党が全て一致する状態を統一政府(unified government)と呼び、そうでない状態を分割政府(divided government)と呼ぶ。

4 日本のメディアでは「米国抜きのTPP」、「TPP11」といった呼称が一般的である。

5 構想の中身については、「自由で開かれたインド太平洋」外務省, 2020.8. を参照。

6 諜報活動分野での連携に関する協定であり、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5か国に よって構成される。

https://bit.ly/3ckUdBK  外国の立法 No.286-2(2021.2)

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【永岡浩一さんからの通信】J-WAVE JAM THE WORLD(2021/3/24) 安田菜津紀&小林実穂子

2021-03-24 23:59:01 | 転載
『テーマ』
J-WAVE JAM THE WORLD(2021/3/24) 安田菜津紀&小林実穂子 コロナ禍で求められる生活困窮者支援を語る、国が闇金になっている、生活保護は扶養紹介が祖父母、叔父叔母まで行くので受給者、家族も大変、人間は生産性のために生まれたのではなく皆生きる権利があることを説く、難民と入管のえげつない実態を知ってほしい


『記事』

 永岡です、J-WAVEのJAMTHE WORLD、グローバーさんのナビゲート、水曜日のニューススーパーバイザーはフォトジャーナリストの安田菜津紀さんでした。

 毎週水曜日恒例の文春オンライン、菅総理の底なしスキャンダル、ドラ息子に株などのネタが出ています、https://bunshun.jp/denshiban/articles/b409?utm_source=twitter.com&utm_medium=social&utm_campaign=socialLink

 この分だと菅総理本体までズブズブでしょう、これほど底なし沼スキャンダル政権は前代未聞のもの、この国は大丈夫ではないし、そしてコロナウイルスは再拡大、このままだと第4波は必至、どころか国家破綻に真っ逆さまです!



 安田さん、5年担当されたこの番組おしまい、来週が安田さん、JAMのニュースは最後、ニュース、大切なテーマを掘り下げる番組のラジオ、テレビで少なくなるのは問題で、安田さんラジオダイアログを開始、毎週水曜日、日時とラジオを取り上げられて、来週は伊藤詩織さんゲスト+安田さんは路上のラジオのような支援が必要で、支援をお願いします、とのことです(https://d4p.world/donate/ )。

 この番組では入管法を取り上げて、3月に名古屋のスリランカの女性が入管で亡くなり、歩けないほど衰弱して、度々嘔吐するのに病院に入管は連れて行かず、こういう事件は入管の内輪の調査で終えたらだめ、入管で難民が餓死しても入管は知らんぷり、2014年の牛久でカメルーン人難民が病気で大変なのに看視者は異常なし、この方は亡くなり裁判で係争中、苦しむ動画が裁判で公開されて、ネットでも公開、これは日本の問題であり、難民にヘイトスピーチもあるが「人権が踏みにじられていい人間はいない」+国の管理するところで人権侵害、しかし難民へのヘイト思想は止まらず、入管法はいい方向にすべきなのに真逆の方向で、難民を見殺しにしたら我々の人権もいずれなくなると警告されました。



 UPCLOSE、コロナ禍の中で解雇、雇い止めなど横行して、生活困窮者に対してどんな支援が必要か、一般社団法人のつくろい東京ファンド(https://tsukuroi.tokyo/ )の小林実穂子さんが出られました。先週火曜日、菅総理は困窮者支援策を出したものの、子育て世代に限らず追いつめられる人は無数いて、小林さんとのやり取り、菅総理の支援策について、子育て世帯への給付金、二人親の低所得者にも給付、社会福祉協議会でやっていた貸付を、緊急小口資金を6月まで延長、家を失う恐れのある人な家賃支援も6月まで延長、しかしひとり親世帯だけでなく二人親の世帯も大変、給付金は十分かについて、ないよりはマシで足りない、とりあえずガス抜きの菅政権のやり口。

 子育て世帯だけでなく、困窮者は無数いて、単身者など支援すべき、独身、子供のいない世帯も困っている、一律給付か論議されて給付されない、もらえない、まずは一律給付して、高額所得者は後で税金で返還させたらいい。そして中間層も仕事なし+家のローンなど大変=一律給付は必須、年末年始炊き出し、大人食堂を小林さんされて、女性、学生もならび、全家族の食事らもらうなど、貧困がえげつないものになった。安田さんも1月に大人食堂に行かれて、炊き出しは初めての方も多く、そして貸付もあっても、収入の減った人も無利子で借りられても、返さないとならず小林さん心配、困窮者は悲鳴、貸付金は6800億、リーマンショックの25倍!+申請者数は150万件=国民の1/100が借りてすでに大変、これだけの人数の殺到は生活保護への危機感、片山さつき氏らやマスメディアの生活保護バッシングで生活保護より貸し付けで、社協も大変、何とか生活保護をもらえるようにしている。

 安田さんも、生活保護への忌避感は大変、しかし政府の貸付の前にカードローンなどで大変な人は、闇金に行かざるを得ないと危惧されて、小林さん、貸付は返済免除になるのは月収<15万、非正規or不安定雇用の方に返済は無理、満額で返済は2万、15万の収入では返済は無理。安田さん、自助ではもうダメと説かれて、小林さん、国も菅総理が自助といい、炊き出しに並んだ人は生活保護は2割、自力ではどうにもならず、本人のせいではないのに借金が膨れ上がり「国が闇金だという人もいる」ほどで「自殺者激増を懸念」、バブル崩壊時に自殺が増えて理由は多重債務、今回も同じで社協の方も大変。

 生活に行き詰った人への支援のあり方、生活保護バッシングで避ける傾向があり、ツイッターのメッセージも殺到して、国が闇金に反応もあり、公助の意味を国は理解していないとの声もあり、小林さんたち困窮者にアンケートをされて、その結果、食べるに困り炊き出しに来た160人のうち生活保護利用はたった2割、受けない理由は35%が家族に知られたくない(扶養紹介)、ギリギリで踏ん張る、施設に行けず「生活保護のハードルが大変に高い」 

 扶養紹介で生活保護が利用できない人が多いもので、国には扶養紹介の中止の署名を求めて、生活保護は恥ずかしい+家族に知られたくない、親族のどこまで養えの問い合わせが行くのかは、生活保護の際に扶養義務者にまずさせろ、親族を先に頼れ、それも三親等、祖父母、叔父、叔母まで!そこまで扶養紹介だとあきらめるもの。安田さん、自治体の情報で扶養紹介で家族で足りた例はないと説かれて、小林さん、足立区議の方が調べて扶養紹介で足りたのは0.3%、都市部だとゼロも珍しくない、そんな無駄のために福祉事務所を苦労させるのはおかしい。扶養紹介をされた家族も、本人も傷ついて大変!そんな体験談は150件もあり、厚労省に提出した。安田さん、扶養紹介は誰も幸せにしないと説かれて、DVなどで家族と分かれて生活に困っていると説かれて、小林さん、家族を頼れたら誰も苦労しない+大人一人を支えられる家族はない、扶養紹介はみんなを不幸にする非合理システム。 

 リスナーより、生活保護忌避について、周囲の決めつけが問題と指摘があり、恥ずかしいと思う背景について、小林さん、日本の恥の文化は世界に独特なもの、しかし順風満帆な人はほとんどいないのに、それを恥ずかしいと思う文化、働かざるもの食うべからず、生産性など問題ある意識「人間は生産性のために生まれたのではない」、収入、国籍は無縁なのに日本だと役に立たないものは死ね+政治家の生活保護バッシングは物凄い害悪になり、安田さんも弱いものいじめの標的を作った政治家の問題を説かれて、さらに自治体の窓口の不備、中野区では役所のやるべきことを外部委託、横浜の水際作戦を問われて、小林さん、福祉事務所の窓口の不備は過去からずっとあり、20年前申請書を捨てられたこともあり、最近は追い返しのやり方がえげつない、当事者がやり取りを録音しないとダメ、録音されたのは氷山の一角。

 コロナで解雇、雇い止めがあり、安田さんの周囲で困っている人もいて、つくろいファンドは住まいのことも取り組まれて、コロナは災害、仕事をなくしたのは個人の責任ではなく、まずは生活保護を利用、借金を重ねる前に生活保護で生きるのを続けるべき。安田さん、生活保護は権利だと厚労省HPにあるがもっと発信すべきと説かれて、小林さん、厚労省がそんなことをしたことはなく、もっとひどくなる予兆かも知れず、しかし厚労省HPに乗せるだけではだめ、「自殺者を減らすのは国の仕事」、国民がこれほど自分を追い詰めた責任を政府は取るべき、マイナンバーの広報くらい生活保護を困ったら受けてほしいと、CMをテレビでするくらいしてほしい。

 困っている人は情報を自ら取れず、事態の長期化もあり、支援のあり方を根本的に問い直すべき、扶養紹介をなくす、施設入所もしなくていい、本人の希望でアパートにすぐにはいれるハウジングファーストが必須、そのためには公務員の数を増やさないといけないが「生活保護を政府はコロナ禍で考え直すべき」。

 つくろいファンドで様々な支援はあり、人間は生産性のために生まれてきたものではないと安田さん締めくくられました、来週の最終回はリスナーとジャム・ザ・ワールドを取り上げます。こういう困窮者支援のこまかいところこそ、テレビでやるべきです、以上、安田さん、小林さんのお話でした。


広島県民をなめるな

2021-03-23 22:10:11 | 転載
怒りの糾弾!
広島の「不正選挙」を許すな
1 官僚のモラル崩壊 
2 なぜ旧郵政省出身者ばかりだったのか
3 顧問・コンプライアンス室長の重要性
4 贈収賄罪は成り立つか
5 広島県民をなめるな
著者 弁護士・元東京地検特捜部検事 郷原信郎
聞き手・構成 中村友哉編集長
出典 『月刊日本』2021 4月号所収


―安倍政権に続き菅政権でも不祥事が頻発し、政治の信頼は地に堕ちています。どうすればこうした状況を変えることができますか。

郷原 とにかく菅政権を倒すしかありません。この政権は完全に腐りきっており、自浄作用が全く働いていません、だから常識では考えられないようなことが次々に起こるのです。

 特に私が腹立たしいのは、参議院広島選挙区の再選挙です。自民党は経産省課長補佐だった西田秀範氏を公認候補として擁立し、選対本部を発足させました。自民党県連が開いた会合には、国会議員や首長、地方議員など70人が集まったと報じられています。マスコミ関係者によると、ここには河井克行・案里夫妻から多額の現金を受けとった地方政治家が多数参加し、再選挙に向けてのろしを上げていたそうです。

 しかし、彼らは本来、選挙に関わる資格のない人たちです。彼らの多くは河井夫妻から現金を授受し、しかもそれが買収の金であったことを認めています。選挙買収事件では通常、
買収者と被買収者が同時に刑事処分されます。現金を配った案里氏が公選法違反によって有罪になったのだから、現金を受けとった彼らも本当ならば刑事処分されなければならないのです。

 公選法違反で起訴され、少なくとも罰金刑を受ければ、公民権が停止されます。公民権停止になれば、一定期間選挙権を失い、選挙運動に関われません。しかし、検察が本来行うべき被買収者の刑事処分に手をつけていないので、それを良いことに、彼らは堂々と選挙に
関わっているわけです。

 この選挙はもともと、案里氏の有罪が確定したことに伴って行われる「やり直しの選挙」だったはずです。その選挙に、案里氏の選挙で選挙違反を犯した人たちが関わるなど、いったい何を考えているのか。これではとても公正な選挙とは言えません。それこそ「不正選挙」です。選挙運動を行う資格のない者が選挙に関わっていること自体が「不正」ですし、そのような者が関われば、また「不正」が繰り返されるのは必至です。

 これほど広島県民をなめた話があるのでしょうか。いや、広島県民だけではなく、国民を馬鹿にしているとしか言いようがない。こんなやり方を許してよいのかと、私は怒りが抑えられません。

 こうした状況を変えるには、政権交代を実現する以外に方法はありません。それが難しいなら、石破茂氏のように安倍政権に批判だった自民党議員が自民党を割るしかない。それに
よって政治を一度リセットするしかない。私はそう考えています。<了>

「供託金は寄付で」 金権選挙の参院広島に立候補する市民運動家

2021-03-22 22:39:58 | 転載
田中龍作ジャーナル転載

さとうしゅういち候補予定者(無所属)=3月4日、広島市内 撮影:田中龍作=


 
 広島の市民運動家が供託金を寄付等で集めて、4月8日告示、25日投開票の参院再選挙に出馬する。供託金300万円は無事集まり、ポスター撮りも済ませた。
 さとうしゅういち・佐藤周一氏(無所属)=1975年、広島県福山市生まれ。広島県職員を経て介護士に。

 さとう氏が2011年に広島県庁を辞職した理由は、3期目をめざす河井案里県議(当時)に対抗するためだった。案里県議と同じ選挙区(広島市安佐南区)に立った。

 「案里議員の資金力と物量は当時から群を抜いていた」。さとう氏は振り返る。

 今回、さとう氏に寄付したのは、某野党の党員、会社経営者、非正規労働者・・・と幅広い。

 某野党の党員は「あなたの政策に共鳴する」と言って浄財を寄せてくれた。妥協の産物である野党共闘に納得が行かない党員が少なくないことを物語っている。

 会社経営者は「カネがないのに立候補して戦うことは尊い」。さとう氏出馬の背景を理解してくれたうえでの寄付だった。

 非正規労働者は「貧者の一灯です」と電話をくれた。

 さとう氏の政策は「脱原発」と「格差是正」が2本柱となっている。

 選挙事務所は河井夫妻の自宅(広島市安佐南区)にほど近い場所に設けた。

 案里元被告が1億5千万円で議席を買った金権選挙区に、さとう氏は浄財で立つ。

   ~終わり~

  ◇
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【色平哲郎氏のご紹介】「このまま処刑されていいのか?」

2021-03-21 18:34:26 | 転載
かくして7万年前に文化的飛躍がなされた

前頭前野の突然変異をもつふたり以上の子どもたちは、互いに会話し合うなかで空間的前置詞や言語の再帰要素を発明した。これらの子どもたちは、再帰的な会話によって発達するメンタル統合能力を手に入れただろう。これにより、記憶にあるオブジェクトを組み合わせてまったく新しい何かを脳で想像できるようになった。
そしてまた、子孫に再帰構造のある言葉を教えたはずだ。
「7万年前にメンタル統合と再帰言語を取得したことで、本質的に行動が異なる新たな種が誕生しました。真に現代的行動をとる最初のホモサピエンスです」と、ヴィシェドスキーは結論づける。
「メンタル統合のプロセスで可能となった脳内で対象物の素早い並置ができる新たな能力は、“試作品”の想像を劇的に速め、それは技術進歩の急激な加速をもたらしたでしょう。どんな計画でも頭のなかでシミュレートする前例のない能力と、それらを仲間に伝達するという同じく前例のない能力を備えた人間は、一気に支配的な種になる準備が整ったのです」
このあとに何が起きたかは、歴史が証明している。人類は大型動物を狩る知恵をつけ、栄養上の大きな利点を得た。人口が指数関数的に増加すると、人類はアフリカの地から新たな居住地を求めて拡散し、地球上で最も住み心地のいい場所に住み着いた。これらの人々は、われわれ現生人類と非常によく似ていたはずだ。そして文化的な要素を備えた再帰言語と、「前頭前皮質遅延」の突然変異によって可能となったメンタル統合の素質を兼ね備えていたのだ。
ヴィシェドスキーのこの仮説は、ローマの伝説的な建設者である双子の兄弟ロムルスとレムスにちなんで、「ロムルスとレムス説」と名付けられた。伝説では、この兄弟は狼に育てられた。狼によるコミュニケーションは“動物的”なもので、多くの“単語”はあっても再帰構造はなかったはずである。よって獣の“親”は再帰言語を教えることはできず、ふたりが洗練された言葉を話すには再帰的な要素を発明しなくてはならなかっただろう。それはかつてのニカラグアの聴覚障害者たちを連想させるからだ。

https://bit.ly/3s5pT37

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中国残留孤児2世、3世らが1980年代に結成した不良集団「怒羅権ドラゴン」の創設期メンバーだった汪楠ワンナンさん(48)が回顧本「怒羅権と私」(彩図社)を出版した。貧困といじめを背景に犯罪に手を染めた後、更生するまでの半生をつづっている。本は交流を続ける受刑者に送る予定で「読書によって自分も変わった。一回失敗してもやり直せる社会を目指したい」と語る。

https://bit.ly/3r0sl9P

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主人公である阿Qは、家も金もなく無知ですが、傲慢でプライドが高いというバランスを欠いた人物です。殴られるなどひどい目に頻繁にあいますが、そのたびに都合のいい解釈をして、現実を直視しようとしません。やがてはその無知と浅はかさによって、流されるままに処刑されてしまいます。
『阿Q正伝』は私が中国で暮らしていた頃からの愛読書であり、なにより私はひそかに阿Qの惨めな姿に自分を重ねていました。
そして、石井先生は言いました。
「私の中にも阿Qはいます」
彼女のこの言葉に、私はとても感じ入るものがありました。阿Qとは人の愚かさや醜さの象徴であり、それが自分の一部であると認めることは心の強さが必要です。この人を信じられるのではないか、という思いが生まれ始めました。

「このまま処刑されていいのか?」


「出所後も怒羅権の仲間と交流する。それでも犯罪はしない」
なぜ元幹部は“半グレ”に戻らず更生の道を選んだのか?
『怒羅権と私 創設期メンバーの怒りと悲しみの半生』#6

https://bit.ly/391FIR3

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今、地域に必要なのは少なくとも後世に禍根を残すような「とんでもない大失敗」をしないことなのです。

https://bit.ly/2Qp66xT

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加藤陽子の近代史の扉
議会への暴力 権力簒奪へ「正当性」まとう
毎日新聞2021年3月20日

 例年の話だが、年明けからもう3カ月がたとうとすることにぼうぜんとなる。同じ思いの方も多いのではないか。この間を振り返って、二つのニュースに胸騒ぎを覚えたことを思い出した。ともに連邦議会(国会)議事堂に関係するニュースだった。
 一つめは、1月6日にトランプ米大統領(当時)支持派が、ホワイトハウス近くでの集会でなされた大統領演説の後、議事堂へ突入した一件。二つめは、2月1日にミャンマー国軍が、議会招集の直前にクーデターに訴え、首都ネピドーの議事堂周辺を封鎖、政治家らを拘束した一件だ。
 前者は大統領選でのバイデン氏勝利を不正だとし、後者も総選挙でのアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)圧勝を不正によるものと訴えた。選挙の不当を唱、実力行使を正当化した点に共通性がある。それにしても、片や言論の府である議事堂、片や暴動あるいはクーデター。一見、議会と暴力は縁遠く映る。
 だが歴史は、この二つの意外な縁の深さを教える。ナポレオン・ボナパルトによる1799年の「ブリュメール18日」のクーデターを挙げるまでもなく、権力の簒奪(さんだつ)者が合法性を装うのに、議会という場は実は打ってつけなのだ。ナポレオンらは、ジャコバン派が陰謀を企てているとして、元老会と五百人会議員をパリからサン・クルー城へと移した上で兵力を投入し、議会制圧に成功する。
 ここで、先の米国の例を見ておきたい。トランプ氏は1月6日の集会でこう演説した。不正があったと分かった時は、違うルールで(物事を)行うことが許される。さらに、非合法な大統領が生まれようとしているが、それは許されない、などと述べて人々が議事堂へ向かうよう扇動した。
 暴徒が議事堂に突入した日は、全州の大統領選挙結果が上下両院によって承認される日だった。ペンス副大統領(当時)の動向いかんによっては、ペンシルベニア州などの選挙結果の否認といった反対動議を契機に、議場の大混乱も起きかねなかった。そう考えると、不正があれば違うルールが適用される、との大統領の演説は、不敵な響きを持って迫ってくる。
 結果的に暴動は短時間で制圧され、トランプ派のもくろみは失敗に帰した。失敗の背景には、1月3日時点で存命の歴代国防長官10人が共同声明を発して、バイデン氏が勝利した選挙結果は受け入れるべきものであり、米軍は介入する立場にないと明言したこともあった。このように、暴力による政治的な転覆の成否は、より強大な軍事力の動向で決まることもある。

 日本での最大のクーデターといえば、1936年の2・26事件にとどめを刺す。2月26日未明、安藤輝三、栗原安秀といった青年将校らが率いた歩兵第1、第3連隊を主力とする1400人余の兵が反乱を起こした。斎藤実内大臣、高橋是清蔵相らを殺害し、鈴木貫太郎侍従長に重傷を負わせ、議事堂を含む永田町一帯を占拠した。

 NHKスペシャル「全貌二・二六事件」(2019年8月15日放送)によって新たに解明された事実をご紹介しよう。本来は直ちに反乱を鎮圧すべきだった陸軍上層部は、反乱を奇貨として暫定的な軍政府樹立をも選択肢とした。それを知った昭和天皇は、反乱軍鎮圧を海軍に頼ろうと決意し、第1艦隊を東京湾へ集結させたほか、横須賀鎮守府特別陸戦隊に出動を命じていた。終戦時の軍令部第1部長、富岡定俊の残した記録からは、天皇が「陸戦隊につき、指揮官は、部下を十分握り得る人物を選任せよ」とまで命じていた事実が浮かびあがる。反乱軍対鎮圧部隊という陸軍の相打ちどころか、海軍対陸軍の対峙(たいじ)までが覚悟されていた事実に震え上がる。

 芝浦沖に停泊した戦艦長門が反乱軍を威圧している姿を想像するのは、無計画で失敗必至なクーデターの過大評価ではないかと思われるかもしれない。だが、26日午後、宮中で開催された陸軍の非公式軍事参議官会議メンバーの大半が反乱軍に同情的で、反乱軍説得のための陸軍大臣告示中に「諸氏の行動は国体明徴の至情」に基づくものと認める、との一文が含まれていた事実はやはり重い。

 重要なのは、クーデターの渦中で軍人という種族が国民代表の議会人をどう見ていたか知ることだろう。皇道派だった陸軍省軍事調査部長の山下奉文は、先の宮中での会議の席上、2月20日の総選挙結果を話題にした。躍進した無産政党には、共産主義者からの転向組も多い。ソ連大使館も活発に暗躍するなか、無産政党と反乱軍が呼応すれば、市中騒動も不可避となるとして危機をあおっていた。

 ミャンマーの国軍記念日は1週間後の3月27日とか。次は何が起きるか。胸騒ぎどころではない。

(東大教授、第3土曜日掲載)

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カシュガルの駅では、2人の男性にウイグル語で話しかけられた。中国語で「私は日本人なんです」と返すと、2人は喜んで「日本から来たの? ほんとうに?」と聞いてくれた。

一言二言会話が進んだところで、10メートルほど先から警官が飛んできて2人を怒鳴りつけた。「身分証を出せ!」。

どこかに連れて行かれた後に戻ってきた2人は、私とは一切、目を合わせなかった。おそらく原因は私と会話したことなのだと思う。
また、モスクが一般住宅や店舗に改造されてしまった場所で、近くを通った高齢のウイグル族の男性に「この建物は古いのか。以前はモスクだったはずだが」と聞いた。「数百年はたつだろう。確かに以前はモスクだった」と自然に答えた後に男性は、ワンテンポ遅れて私が外国人であることに気がついたようだった。周囲を見回し、急に大きな声で「習(近平)主席は素晴らしい。われわれウイグル族の面倒をよく見てくれる」と叫んだ。

別のウイグル族男性は、屋内で会話を交わすうちに少しだけ本音を見せてくれた。「あんたが今この街で見ているものは本物だと思う、偽物だと思う?」と聞いてきた後に、「あんたは外国人記者だから全部わかっていると思うけど、本当に複雑なんだ」と言ってため息をついた。

「刑務所」は実在した。新疆で考えたウイグル問題

https://bit.ly/3r9rqUx

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「負け続きだ」。米軍筋は台湾や日本周辺有事を想定した紛争シミュレーションで、米軍が中国に敗北するケースが常態化しつつあると語る。
2025年時点の米中両軍の戦力比較によれば、西太平洋に展開する空母は米国の1隻に対して中国は3隻。多機能戦闘艦は米国12隻、中国108隻と予想される。紛争発生時にアラスカや米西海岸から部隊を増派しても、中国が軍事上の防衛線として設定する日本列島から台湾、フィリピンへ至る第1列島線到着まで2~3週間かかるため、地の利がある中国の数的優位を覆すのは困難だ。
インド太平洋軍のデービッドソン司令官は今月、上院軍事委員会の公聴会で、中国の軍拡が予想を上回るペースで進んでいるとして「通常戦力による米国の抑止力が崩壊しつつある」と警告。中国は当初、50年までに米国から覇権を奪うことを狙っていたが、「その目標を前倒しする可能性がある」と危機感を示した。
台湾に関しても、中国が今後6年間で武力行使を行う危険性が高まっていると強調。米政府は台湾問題における従来の「戦略的曖昧さ」を見直し、台湾との防衛協力を強化すべきだと訴えた。

米、崩れる軍事的均衡に焦り 中国、予想上回る軍拡ペース

https://bit.ly/2QfZ12q

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【コラム】宗教・民族から見た同時代世界

ミャンマー3度目のクーデターを遠望する  荒木 重雄

 3度目のクーデターで権力を奪ったミャンマー国軍と、抵抗する市民がせめぎあっている。日々の状況はメディアでも報じられているが、帰趨はいまだ不透明のままだ。このようなときには少し視野を広げて、歴史を俯瞰して見ることも、現状を理解・判断する一助になろう。
 そこで気がつくのが、ミャンマーの現代史には、通奏低音のように、民族や宗教とかかわる葛藤が存在することである。政治変動には必ずといってよいほど、きっかけになったり、原因であったり、名目であったり、背景であったりで、宗教や民族が顔を覗かせる。
 そのそもそもの事の始まりは・・・

 ミャンマーでは、イラワジ河流域の中央平野に多数派のビルマ族が住み、周囲の山岳・高原地帯に幾多の少数民族が住む。

 11世紀のパガン王朝以来、ビルマ族が仏教を王権の基盤とする社会を発展させてきたが、19世紀にこの地を植民地支配した英国は、お家芸の「分断支配」に則って、少数民族にキリスト教を布教し、キリスト教化した少数民族を植民地政府の官吏や警官として仏教徒ビルマ族の監視と弾圧に用いた。
 ここに、現在の状況につながるミャンマーの宗教的・民族的葛藤がはじまるのである。

 英国植民地支配に対する抵抗は、それゆえ、ビルマ族によって仏教護持をスローガンに行われることとなった。僧侶や仏教青年組織が運動の主体を担った。
 ビルマ族の不満に目をつけた日本の旧軍部は、海南島で軍事訓練を施した活動家を中心に亡命ビルマ人による軍を編成し、太平洋戦争開戦と同時に、日本軍とともにビルマに進攻させた。これが現在の国軍の発端であり、ビルマ側指揮官が、アウンサンスーチー氏の父、若きアウンサン将軍であった。
 日本の先兵として働く仏教徒ビルマ族の軍と、英国が組織したキリスト教徒やイスラム教徒の少数民族による軍との戦闘は、両民族の対立を決定的とした。

 1948年に独立したビルマでは、自治権や利権を巡って、武装組織を備えた各少数民族とビルマ族中心の中央政府との戦いが熾烈をきわめた。一時は、中央政府は僅かに首都ラングーンを守るのみにまでなった。一方、仏教界は政府に仏教の国教化を求め、政府は一旦、国教化を決定するが、非仏教徒からの激しい反発に遭って一夜にして覆す。
 このような混乱に乗じて決行されたのが、62年のネーウイン将軍によるクーデターである。長い軍事独裁政治のはじまりであった。

  ◆ 挫折した2度の民主化運動

 徹底した強権政治にも綻びが生じる。26年に及ぶ軍政下で溜まった鬱憤が、88年、ネーウインの引退表明を機に爆発し、大規模な民主化運動が起こった。だが、数千人の犠牲者を出した流血の弾圧で国軍が再び政権を掌握する。アウンサンスーチー氏が母国の政治に向き合う覚悟を決めたのはこのときであった。

 90年、軍政下で総選挙が行われたが、民主化勢力が勝利すると、軍は選挙の不正をあげつらって無効とし(今回のクーデターでも使われた口実)、逆に民主化勢力への弾圧を強化した。
 弾圧を逃れた活動家や政治家をかくまった少数民族地域への国軍の攻撃が激しさを増した。

 再び民主化運動が燃え上がったのは前回の運動から19年を経た2007年。燃料費の高騰がきっかけだったが、主導したのは若い僧侶たちだった。
 民衆の窮状を黙視することができずに立ち上がった僧たちのデモに、軍が威嚇発砲し、殴打、拘束する事件が起こった。僧侶が民衆の厚い信頼と尊敬を集める社会で、僧侶への暴行とは尋常のことではなく、事件の衝撃に促されて市民の間に「軍政打倒」の大きなうねりが盛り上がった。弾圧による死亡・行方不明が百人を超え、取材していたジャーナリスト長井健司氏が犠牲になったのもこのときであった。

 僧侶のデモ参加は民衆を励ます(今回の抗議デモのテレビ映像でも柿色の僧衣姿の僧侶の一団が目についた)。88年の民主化運動でも僧侶は一翼を担った。このときは運動衰退の後でも、一部の僧たちが軍人やその家族から依頼される読経を拒否したり、布施や托鉢を受けることを拒否する「覆鉢行」で抵抗を示し続けた。

  ◆ ロヒンギャ問題に阻まれて

 2010年、軍政下で民主化勢力がボイコットした総選挙で国軍系政党が勝利したのを見届けた軍は、民政移管に重い腰を上げた。
 しかし、15年の選挙では、アウンサンスーチー氏率いる、民主化勢力を糾合した国民民主連盟(NLD)が圧勝し、ついに、半世紀に及んだ軍の政治支配に終止符が打たれることになった。
 国会議席の4分の1は「軍人枠」など、軍政下で仕組まれた縛りが足枷にはなろうとも、民主化は確実に進むだろう、と、期待された矢先、そこに起こったのがロヒンギャ問題であった。

 ロヒンギャとは、ベンガル地方が出自とされるイスラム教徒の少数民族である。中央政府に抗えるはずもない弱小少数民族のゆえでもあろう、ネーウイン時代から国籍剥奪などの迫害を受けてきたが、2010年代から、仏教徒住民のいじめに耐えきれず、大挙、老朽船で洋上に逃れ出て、遭難したり、他国に漂着したりで、国際社会の注目を集めてきた。とりわけ17年には国軍による残酷な掃討作戦を受けて居住地を焼き払われ、70万人余りがいまだ隣国バングラデシュに難民として逃れ出ている。

 国際社会がジェノサイドと非難する中で、国軍の政治関与を弱める憲法改正にも、少数民族武装勢力との和平にも国軍の協力が必要なアウンサンスーチー氏は、ジェノサイドを否定して国軍をかばったが、「行き過ぎた武力行使」の可能性は認めた。それが、今回の国軍によるクーデターの幾つか挙げられている原因のひとつ
ともいわれている。

  ◆ ミャンマーは「地政学的要衝」のみにあらず

 クーデター首謀者のミンアウンフライン国軍最高司令官は、意思決定機関「連邦行政評議会」に一部の少数民族幹部を加えたり、僧院を訪れて僧を敬う姿勢を示したりして、民意を得ようと試みている。だが、とりわけ目立つところのない軍人だった彼が、2007年の僧侶が正面に立ったデモの鎮圧や少数民族武力弾圧の指揮で頭角を現し、現在の地位にまで登り詰めたことは、ミャンマーの多くの人が知るところである。

 一方、米国のミャンマー・ウオッチャーの間では次のような説もある。
 現時点でクーデターを起こすことは国軍になんの利益もない。軍は議席の4分の1を確保し、内政の枢要を占める内務相も軍が握り、国軍の影響力は憲法上も盤石である。国軍傘下の企業群も民政移管と経済改革でむしろ潤っている。にもかかわらずクーデターの暴挙にでたのは、ミャンマーの軍政の指導者たちは制服を着た政治家ではなく、戦士だから、というのである。

 すなわち、国軍は、英国統治と日本の占領に抗して戦い、独立後の内戦も制した歴史を通じて培った、「ビルマ民族主義の守護者・象徴」としての正統性の矜持と、強固な結束の自負を持つ。ところが、88年の民主化運動以来、ビルマ民族の支持を集める新たな受け皿として国民民主連盟が台頭し、しかもそれを、国軍の創設者アウンサン将軍の娘であるスーチー氏が率いることで、国軍の正統性の絶対化に傷がつけられた。

 それが積年の国軍と国民民主連盟(2015年以降はその政権)との対立の底流をなしていたが、とくに昨年には、ロヒンギャ問題でアウンサンスーチー氏が国軍を国際社会でかばったことが、国軍幹部には耐えがたい屈辱と映り、さらに昨年11月の選挙で国民民主連盟が圧勝したうえ、こともあろうに身内の国軍兵士からも多くの票が国民民主連盟に流れたことが、国軍上層部の自負心を著しく損なうこととなり、その面目上の危機感が、国際社会での非難・孤立や世界経済から疎外のリスクも顧みぬクーデターの動機になったとするのである。

 ミャンマーは海外企業の投資市場として「最後のフロンティア」と呼ばれ、また、インド・中国・東南アジアを繋ぐ要衝にあるところから、中国と欧米諸国との角逐も背景に、地政学的な戦略上の観点から論じられることが多いが、まずは、この地に生きる人々の情念のマグマに思いを致すべきであろう。

 当面の情勢に触れれば、アウンサンスーチー氏の訴追や国民民主連盟の解体は国軍の意のままにできても、民政移管後の10年を経験した市民は以前ほど軍に従順ではない。路上デモを鎮圧されても、SNSで国際社会に訴えたり、不服従運動で軍の統治を妨げたりの抵抗は続こう。非常事態宣言の解除後に自らの意に沿う政権をつくることが国軍の思惑であっただろうが、国民が受け入れるとは考え難く、目論みは順調には進むまい。不安定な状況が当分は続くことが予想される。

 (元桜美林大学教授・『オルタ広場』編集委員)

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ウーマンラッシュアワー・村本大輔。2013年の「THE MANZAI」で優勝し、テレビに引っ張りだことなった。しかし、原発や沖縄の基地問題などを漫才のネタにし始めた2017年頃からテレビ出演が激減。2020年のテレビ出演はたった1本だった。  
彼はジャーナリストさながら福島や沖縄などに足を運び、生の声を聞いて回る。そして、“笑い”に変え続けた。何が心に響くのか?常にお笑いのネタを探し続ける彼に番組は密着。さらに村本がテレビから消えた理由を関係者に取材。見えてきたのは、テレビの制作現場に漂う空気、そして社会におけるお笑いの役割と可能性だ。
彼はなぜテレビから消えたのか?村本大輔という芸人を通して、テレビというメディアを見つめ直す。

村本大輔はなぜテレビから消えたのか?

https://bit.ly/2OJ2d6z

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キーワード 緊急事態を生きる--シュミットとノイマン=中森明夫

毎日新聞2021年3月17日「ニッポンへの発言」

 コロナ禍での2度目の春を迎える。再度の緊急事態宣言の発令と延長が繰り返された。国内でのワクチン接種は始まったが、いまだ終息は見えない。いったい、どうなるのだろうか?

 この間、出版された2冊の新書を読み、大いに啓発された。紹介したい。1冊目は、蔭山宏著『カール・シュミット』(中公新書)。ナチのイデオローグとも称されたドイツの政治思想家についての入門書である。<ナチスと例外状況の政治学>の副題がある。“例外状況”はシュミット思想の重要なワードだ。<主権者とは例外状況において決断をする者である>とは『政治神学』の冒頭の著名な一節だった。戦争やテロや大災害などの際、超法規的な決断を下す。天皇による終戦の“ご聖断”がこれにあたるかもしれない。

 さて、この“例外状況”を今回の“緊急事態宣言”と読み替えてみる。すると、いったい誰が決断を下しているのか? 本来は首相のはずだ。が、そうは見えない。1都3県の知事と首相との確執があり、そこに専門家会議がからむ。さらには世論がある。緊急事態宣言そのものの法規定が曖昧で、首相が明確な決断を下しているように見えない。国民の自粛頼みだ。つまり、この例外状況において決断を下す主権者が存在しない。延期された東京五輪をめぐる迷走にも、これは言える。中止を決断できる者はいないのだ。すべては“空気”が決めている。日本国民はみんな“空気”を読んでマスクをしている。太平洋戦争の末路を想起して、怖い。

 シュミットにはもう一つ、重要な“友敵理論”が存在する。『政治的なものの概念』によれば、人間は究極的に敵か味方(友)かに区別されるという。先のアメリカ大統領選挙を想起しよう。トランプの賛否をめぐり国が二分され、暴動騒ぎにまでなった。米国のみならず、現在の世界の“分断”状況を100年前にシュミットは予言している。

 今一冊は、高橋昌一郎著『フォン・ノイマンの哲学』(講談社現代新書)。ノイマンは20世紀初頭にハンガリーのブダペストに生まれ、幼い頃からその異常に優秀な頭脳が着目された。数学の天才少年として出発し、その後、業績は多岐にわたる。<数学における「集合論」と物理学における「量子論」の進展に大きく貢献し、過去に存在しなかった「コンピュータ」と「ゲーム理論」と「天気予報」を生み出した。彼の生み出した「プログラム内蔵方式」の「ノイマン型アーキテクチャー」がなければ、現代のあらゆるコンピュータ製品はもちろん、スマートフォンも存在しない>。さらに<彼が導いた「爆縮理論」がなければ、アメリカの原子爆弾完成はずっと遅れていたはずである。つまり、もしノイマンがいなければ、第二次大戦の結末には大きな変化があったに違いない>。当初、アメリカ空軍の原爆投下目標の筆頭に「皇居」があった。ノイマンが強硬に反対して、回避されたという。もし、彼がいなければ戦後の日本の形も大きく変わっていた!?

 本書の副題は<人間のフリをした悪魔>という。先の『カール・シュミット』では<二十世紀的現代とは人間的な自然を含めた自然一般を、技術によって限りなく支配しようとする「技術的精神」の時代である>とし、それは<時には「悪魔的」に見えるかもしれないが>と留保をつける。その意味でノイマンは「技術的精神」=悪魔(的)の申し子だ。苛烈な先制核攻撃主義者であり、ソ連への核攻撃を強く進言した。「科学的に可能だとわかっていることは、やり遂げなければならない。それがどんなに恐ろしいことだとしてもだ」とは彼の言である。

 シュミットはナチスの御用学者となり、ユダヤ系のノイマンはアメリカに亡命して反ナチスの戦争を戦った。立場は正反対だ。が、20世紀という戦争(=例外状況)の時代が、こんなデモーニッシュ(悪魔的)な知性を生んだのかもしれない。コロナ禍という世界的な例外状況が、21世紀の新しい知性を生み出すだろうか?(コラムニスト)=毎月第3水曜掲載

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国際社会は、日本はどう対応すべきでしょうか。

井本氏:国際社会がミャンマーの人々を「保護する責任(R2P、Responsibility to Protect )」はあると思います。国に人々を守る意思がないのですから。本来であれば、国際社会がPKO(国連平和維持活動)のような形を取って介入すべきでしょう。そうすれば少なくとも弾圧はなくなるでしょうし、対立する双方が対話する機会ができます。ただ国連などの介入は現状では望めません。国連安全保障理事会では中国やロシアが慎重な見方を崩さず、結局、議長声明しか出すことができませんでした。米国などは経済制裁を打ち出していますが、経済制裁で問題が解決した例を私は知りません。
ミャンマー国内では、「中国が国軍を支援している」との見方が強まっており、反中デモも行われています。ただ状況はもっと複雑だと思います。中国とべったりだったのは、むしろスー・チー政権でした。国軍は中国の影響力の増大には危機感を強めていたのです。中国は一部の少数民族武装勢力の後ろ盾にもなっていましたから。そこで国軍は近年、中国ではなくロシアから兵器を購入していました。しかもクーデターの数日前にはロシアの国防相がミン・アウン・フライン総司令官と会談しています。国軍は中国とロシア、そして中国の進出に神経をとがらせる隣国、インドとのバランスをうまく取りながら、難局を乗り越えていこうという腹では
ないかと思います。

抗議デモの死者180人 「このままではミャンマーはもっと悲惨に」

https://bit.ly/3lyVXKl

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「反省おばけ」の退治法=小国綾子  毎日新聞 2021/3/16 東京夕刊

 3月8日は「国際女性デー」。<怒れば「あの女、怖過ぎ」と言われ、泣けば「感情的」と言われ、頑張れば「女を捨ててる」と言われ、あきらめれば「だから女は」と切り捨てられる。「主張は分かるけど冷静で論理的でなきゃ」などとあしらわれるうち、「差別だ」と声を上げることにすら慎重になっていく……>。昨年のコラムで私は反省を込めてこう書いた。
 ジェンダーをテーマに書こうとすると今でも過度に慎重になる。世の中が変わらないのは自分が十分に声を上げてこなかったからじゃないか、と反省モードに陥ってしまう。いいかげん、この思考回路から脱出したい。だから私は、そいつに名前をつけた。「反省おばけ」。反省してもいい。でも反省したなら行動しなきゃ。
 “おばけ退治”をしないとね。そう思ったのは、今年の「国際女性デー」の夜、日本ラグビー協会理事の谷口真由美さんから、女性の数を一定割合まで増やす「クオータ制」の必要性について、こんな比喩を聞いたからだ。
 「10人でランチに行く時、9人が焼き肉を食べたいと言ったら、おすしが食べたいとは言い出せない。おすし派が2人でも遠慮してしまう。3人いてようやく『おすしが食べたい』と言える」。だから最低でも3割いなきゃ。クオータ制は必要、というわけ。
 ところが私は思った。食べたくもないものを食べようと思わない。「私なら一人でおすし屋に行くけどな」。その方が自由だもの。それから我に返った。ああ、私がやってきたのって、これか!
 就職した1990年の新聞業界ではどこに行っても「紅一点」と「女性初」がついて回った。私は「焼き肉」集団の中で「おすし」を主張するのをあっさりあきらめ、単独行を決め込んだ。組織でのキャリアアップなど望まず、生涯一記者を望んだ。あの時「おすし食べたい」と声を上げていれば、今ごろ若い世代の「ラン
チの選択肢」はもっと豊かだったのかも。
 昨年の「国際女性デー」は一人思い悩んで冒頭のような言葉を書いた。今年はネットメディアなどで同世代や若い世代と意見交換するうち、こんなコラムになった。一人メシもいいけど、時には焼き肉だ、おすしだと騒ぎながら誰かとランチ(=連帯)してみよう。
 もしかしたら、それが私の“おばけ退治”の第一歩、かな。(オピニオングループ)

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【色平哲郎氏のご紹介】政治家の発言撤回が許されるのは日本だけ

2021-03-20 14:25:03 | 転載
「必要があれば、ちゅうちょなくデモ隊に自動小銃を撃てと命じられた」

「事前に道路に引いた線より前にデモ隊が進んできたら、リーダー役の人物を狙って撃て」

https://bit.ly/3vKIHac

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「新疆、香港、台湾、サイバー攻撃、同盟国に対する経済的な威圧」
「単なる(中国)国内問題ではない。今日、この問題を提起するのが義務だと感じている」

「米国は自らのイメージを改め、自らの民主主義を世界中に推し進めるのをやめることが重要だ」
「米国内の多くの人が自国の民主主義をほとんど信頼していない」
「中国の社会システムを中傷してもどうにもならない」

https://bit.ly/3s6OpRz

冒頭発言まさかの1時間超 米中会談、非難応酬の大波乱

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政治家の発言撤回が許されるのは日本だけ

日本の状況でもう一つ気になるのは、社会的地位の高い人や公職に就いている人が、
間違ったことや不適切なことをいっても撤回すればそれで済んでいることです。
これは他の先進国ではあまり見られない現象です。

外国人が驚くのは、日本の政治家が平気で発言を取り消すことです。
少なくとも先進国では、撤回しなければならないような発言をした政治家は、即、政治生命を失います。
これは伝統的には、古代ギリシャの考え方からきています。
たとえ神々でも一度口にしたことは取り消せない、というのがギリシャ神話以来の考え方であり、伝統です。
それほどいったん口に出した言葉は「重い」のです。

出口治明 「自分の頭で考える日本の論点」 160p

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「残念ながら野党よりも週刊文春の調査能力のほうが相当先を行く」

https://bit.ly/3qZcB6Z

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プライマリー・ヘルス・ケア 地域医療の現場から日本の医療を問う
「世界」06年10月号掲載 連載浅野史郎の疾走対談第四回
                対談(浅野史郎/色平哲郎)

★キャバレーのボーイ時代に芽生えた医療への憧れ

浅野 実は、僕も医者になる可能性がありました。
色平 どうしてならなかったんですか。
浅野 父親が内科医でしたが、かなり早くから自分は医者にはならないと決めた。
親への反発もあったでしょうが、高校生ぐらいの時には生意気にも
「医者は一人や二人の命を救うけど、おれは何万人の命を救いたい」てなことを言っていたらしい。
色平さんが医者になろうと思ったきっかけは?
色平 最初は、医者にだけはなるまいと思っていました。
浅野 親御さんとか周りとか、医者の家系なんですか。
色平 いえ、新潟の百姓の一族です。
お医者どころか僕以外は大卒もいない家でしたので、
大学がどんなところかということが、まずわからないわけです。
体も丈夫だったので、病院がどんなところか行ったこともない(笑)。
浅野 大学も、最初は医学部じゃなかったんですね。
色平 東大の理科Ⅰ類です。
そのまま行くと化学の研究者になるはずでした。
自分のオタク的な感覚は案外それに向いているとは思ったんですが、
しかし自分にとって最も不得意な「コミュニケーション」の世界に関心がありました。
結局、何をしたらいいかわからなくなっちゃって、大学を中退し、家出してしまいます。
そのままキャバレーのボーイをやったりピアノを弾いたりして二〇代の前半を過ごしました。
浅野 ずいぶんズレたね! メインロードから(笑)。
色平 かなりずれました(笑)。
親も心配しちゃって。
それで真っ当な道に入ろうと、医大に入学したんです。
医学部はどんなところだかわからないし、いままで反発を持っていたけれども、
お医者さんになれば自分が細々と食っていくことぐらいはできるんじゃないかと。
浅野 化学者になるのは自分にとってあまり意味がないと思った一方で、医者ならやってもいいと思ったの?
色平 家出してキャバレーのボーイをやっていた頃に、僕は海外へ行きます。
キャバレーのおやじが在日朝鮮人で訳ありの人だったりして、日本ではないアジアというのを知りたくなった
んですね。
フィリピンや中国、タイなどいろいろなところに行きました。
その時、いろんな現実を見て、お医者さんというのは手応えのある仕事だろうと思ったんです。
本当はフィリピンの医学部に行けばよかったんだと思う。
でも、その時はまだそういう道が見えていなくて、日本の医学部に一たん入っちゃったんですね。
医学部に入って、時間があるので再びアジアを回っているうちに、途上国の島とか山とか
「医者がいないところ」で医療的なことにどう取り組むかという実にエキサイティングな経験をしました。
こういう取り組みをプライマリー・ヘルス・ケアというんです。
当時よくわかっていませんでしたが、日本の中でも手ごたえのある仕事に取り組めない
ものかなと考えはじめた時に出会ったのが、佐久総合病院でした。
先日、亡くなりましたが、この病院を開設した若月俊一という人間の生き方が、僕の憧れそのものでした。
それまで医者のいなかった村で病気と闘うというコンセプト。
五〇歳も先輩のこの人の生き方を、そばにいて感じることができたらそれで幸せだと思った。
浅野 医者のなり方としては珍しいんだけど、その一方で非常に真っ当に見えたりもする。
フィリピン体験というのは一つの運命だったわけだ。
結局、それはキャバレーで働いた経験から始まっているよね。
色平 その通りです。
まあ親不幸者です……(笑)。
浅野 医学部を卒業してすぐ佐久病院の門を叩いたの?
色平 ええ。
大学の先輩の医者で清水という人がいまして、佐久病院の創立者である若月の直弟子なんです。
清水ドクターは後に佐久病院の院長になる人ですが、その時、彼に言われたのは、
「君はどう思っているかわからないが、大学の医者の世界は君のような人間が務まる世界ではない。
佐久へ来い。」ということでした。
清水も京大の医学部卒ですが、京大だったら普通、全員が京大の医局へ入るわけですよ。
それが常識です。
入らなかったのは、その時は僕ともう一人しかいなかった。
清水が言うには、医局というのは徒弟制で面白くないところだ、と。
浅野 佐久病院に入ってハッピーだったでしょう。
色平 いえ、アンハッピーでした。
大きい組織には向かないようです。
浅野 佐久病院は総合病院で、大病院なんですね。
色平 はい。
医者が二〇〇人もいますし、一〇〇〇ベッドもある日本最大級の病院です。
そこで僕は変な研修医になってしまいます。
HIV感染のタイの人たちをサポートして、のちにタイ政府に表彰されちゃうんですが、
研修医のくせに何をやっているのかと佐久病院のいろいろな先生方に叩かれるわけです。
清水も心配して、とりあえず埼玉にある別の病院を紹介してくれました。
そこで数年間、修業します。

★野生の老人たちの村から見えてくること

浅野 その病院からまた戻ってきたわけですか。
色平 一〇年前の春に戻って隣村の診療所に二年勤務したあと、南相木村に移って八年半経ったところです。
浅野 そこは佐久病院ではないの?
色平 村の持っている診療所です。
佐久病院は農協の病院ですから、農業協同組合の専従職員である僕が、いまは村立の診療所に派遣されている
わけです。
浅野 なるほど。
ベッド数は?
色平 ベッドはないです。
一三〇〇人の村ですから、外来の患者さんもそんなに多くはないですね。
浅野 ドクターは何人ですか?
色平 僕一人。
だから僕が今日みたいによそへ来ている時は無医村になってしまいます。
早く帰らないと(笑)。
浅野 テリトリーは内科全般?
色平 内科と小児科とご老人のお看取り。
あとは整形外科もやりますけど、骨折していたら、僕はやらない。
診療分野は佐久病院と分け持っています。
その人のためを考えて佐久病院で診てもらったほうがいい場合は、佐久病院で診てもらいます。
いまは交通の便がいいですし、島ではなくて山ですので、二三キロ、車で走れば佐久病院の一〇〇〇ベッドが
ある。
そこまで連れて行って「じゃ、おばあちゃん、またね」とタクシー役も担っているわけです。
車のないおじいさん、おばあさんも多いですから。
浅野 えっ、運転手の役目もするわけ?(笑)
色平 もちろん。
したくてやっているわけじゃないけど。
浅野 そういう時は診療になるんですか。
色平 なりません。
みんなボランティアです。
暇に飽かせて、二四時間そういうことをやっているわけです。
浅野 診療しながら見えてくる村の現状があるでしょう。
色平 村の現状は、六五歳以上の高齢化率が四〇%ですから、
いま二〇%を越えた日本の半世紀先の姿ですね。
村社会の中に、日本の近未来の姿を垣間見ることができます。
とはいえ、この南相木村の人たちは「野生の老人たち」です。
江戸時代の立ち居振る舞いを残している人たち。
なにせ江戸時代からいまだに一回も合併していない村ですから。
だから一般的に日本の近未来の老人医療、高齢化社会と一口に言っても、それはちょっと予測がつかないんで
す。
浅野 そういうところで、やりにくさを感じませんか。
色平 フィリピンの山に行ったのと同じ、あるいは僕がフィリピン人だと言ってもいいかもしれない。
僕が外国人で、僕たちの家族だけ、よそ者ですね。
彼らは身内なんです。
母方まで含めて、すべてがつながった血縁社会です。
大切なのは彼らのプライドとこだわりを聞き取るということです。
そのプライドというのは、お金とか、お上に向いたものじゃない場合がある。
「おたがいさま」とか「おかげさまで」とか「もったいない」という言葉で言われるような価値観が、
スローガンとしてではなく本当に息づいているわけです。
そんなことを発信すると、学生たちも面白がって来ちゃう。
日本の医学生たちが、年間で百何十人も僕のところに来て、村のおじいさんとか
おばあさんのところで畑をやったり、藁細工をやったり、織物をやったりして帰る。
その時に、学生と老人の間で「日本の医療に、おらっちとしてはこういうふうに期待したいもんだ」とか
「こういうのは困るんだ」というような肉声でのコミュニケーションができるようになると、
僕が高校生の時にも医学生の時にも果たせなかった、庶民のニーズをあらかじめつかまえていく
医療というものを、フィリピンまで行かなくてもできるように思います。

★地域医療とプライマリー・ヘルス・ケア

浅野 僕は社会保障審議会の医療保険部会の委員だったのですが、
医療費の節減の話で必ず出されるのが長野県の例なんです。
南相木村だけではなくて、長野県全体として平均診療日数がとても短いとか、医療費が低いとか。
長野県のようにやれば、日本の医療費は必ず下がるはずだというわけです。
色平 信州の特徴は、医者もベッド数も多くないということです。
そして、医療費を下げよう、とかいうのでは全くなく、気遣いと見守りで
時には最期のお看取りまでやってしまうという意識が、結果として低医療費につながったようです。
このようなコモンセンスは、六〇年経て出来上がった風土だと僕は思います。
浅野 佐久病院が長野県の病院の全部じゃないということですが、長野県内にもアンチ佐久病院はありますか

色平 あります。
その強い勢力に対抗して、いかに地域に入り、医者が少ないところで
お金をかけずに地域の人たちの意識を向上させていくか。
これはプライマリー・ヘルス・ケア的ですね。
途上国の方法を、戦後すぐからやっていた。
浅野 アンチ佐久でありながら、同じ地域医療の徹底という部分で覇権を争っているという意味ですか。
色平 そうです。
向いている方向は全く同じ。
浅野 だったら素晴らしいじゃないですか。
そういうのをアンチとは言わないでしょう。
アンチというのは、たぶん路線の違いを言うので、佐久病院が地域医療でやっているのだったら、
うちは入院させてしっかり治すというのがアンチの考え方です。
むしろ、よきライバルと言ったほうがいい。
色平 ところで、若月は戦後まもなく、こんなことを言っています。
「農村医学が農民の健康向上に役立つためには、わが国においては農協の組織を通して具体化されることが最
もよい」。
これは、市町村自治体と結び付くことこそ本筋だと主張するグループは違う、と言っているわけですね。
浅野 僕も二年間だけですが、厚生省の課長時代に生活協同組合の担当になったことがあります。
それでわかるんですが、農協でも漁協でも生協でも
「一人は万人のために、万人は一人のために」というのが協同組合の思想ですよね。
若月氏もそれを言っているんじゃないか。
農協の構成員がつくった病院だという意味では、医療の供給者とその需要者は全く同じ人たちだという考えで
しょう。
雇い主は誰かといったら、農民がつくっている協同組合です。
自治体はそうじゃなくて、お上が雇い主ですよ。
色平 若月は昭和二〇年代前半は「農民のために」と言っていたのを、
昭和二〇年代後半から「農民とともに」とスローガンを変えました。
しかも若月のすごいところは、一九七〇年代後半にWHOがプライマリー・ヘルス・ケアというのを
提示してくる三〇年も昔から、同じことを言っていたことです。
「予防は治療に勝る」というのは若月の言葉ですが、「与えられる健康から獲得する健康へ」とも言っていま
す。

★医局制度が壊れればいいというものではない

浅野 佐久、南相木村も含めて、長野県は非常に高い医療水準ということですが、
色平さんからみて、いま行われている日本の医療改革はいかがですか。
色平 診療報酬の点数がいろいろ変わりましたが、
いままで佐久病院で無償でやっていたことが有償化するような方向に診療点数がついている部分があるんです

たとえば僕が患者さんを車で送り迎えしたり、保健婦さんと協力しながら
二四時間の見守りをやるというのは、当たり前のようにやってきたことです。
それが、看取りをやった場合に診療報酬がポンと一〇万円つくという形に今回なりました。
長野県では当たり前になっているそうした風土は、もともと政策的誘導によって形成されたものではないです
から、
広げられるかどうかは難しいのかもしれません。
在宅でちゃんと看るのがよろしいという方向に診療報酬をつけたということは、
病院からは出てもらう方向に舵をきったこと、つまり療養型病床を三八万床から一五万床に減らすという
六年間かけての計画と表裏一体になっているわけです。
でも、本当に実現できるかというと、「介護難民」が発生したりしてかなり大変だと思うんです。
浅野 ただ、やはり佐久病院は特殊ではないでしょうか。
色平さんたちが対価を求めずにまさにボランティアとして犠牲を払いながらやっていることについて、
日本中の医療従事者に同じようなパフォーマンスを期待することができるかどうかは疑問です。
医療従事者の意識や姿勢の問題として。
色平 それは医局に入っているか入っていないかの違いに尽きると思います。
佐久病院では医局に属していないのが原則ですから。
一方、僕たちの外の日本の医療界、つまり諏訪地方の一部と佐久を除いた外の世界は、
全部系列だった医局の中の世界です。
医局というのはいま急激に滅びつつありますが、強い人事権を持った教授のもとに凝集結束している、
一種のマフィア組織ですね。
その何とか一家が、おまえは島に行けとか山に行けとか言って実際に行かせる人事権を持っていた。
これがバラけたがゆえに、いま大変な事になってしまった。
佐久病院の持っているパワーというのはある種固有の文化で、容易に普遍化しきれませんが、
従来の多数派が保持してきた医局文化のほうが壊れ始めて、我々としては呆然としているわけです。
浅野 アンチテーゼとしてあったものが崩れていく。
色平 医者の九割方を押さえてきた医局という「白い巨塔」の結束力が、よきにつけ悪しきにつけなくなって

個人個人の原子化された若い医者たちが、自分の腕と才覚でもって自由市場の中で
生きていかざるを得ないように、この数年で変わってしまった。
そうすると、ブランドのある病院や、短期間で効率のいい研修ができる研修病院に行ったりするようになるわ
けです。
佐久病院でさえ、そういうブランドの一つになってしまうくらい、若い人たちの意識が急激に医局離れを起こ
している。
佐久病院に期待を寄せられても困るんです。
佐久病院は民間病院だから、赤字部門である研修医一年目、二年目なんて各一五人ずつ採用するので精いっぱ
いです。
これを五〇人でも八〇人でも採ってきたのが大学ですよ。
そこで診療と教育を効率的にちゃんとできるようにやっておいてくれたらよかったんだけれども。
浅野 医局制度の害悪が声高に言われているし、もちろん害悪はあるんだけれども、
だからといってそれが崩壊して、医者が原子化しちゃうのはもっと悪いかもしれない、と。
色平 最悪ですよ。
お先真っ暗です。
浅野 本来、医局の人事権だってそれ自体が悪いものじゃないわけですよね。
そういうものがきちんと使えるような医局になれば、それでいいわけでしょう。
言ってみれば佐久病院だって、大きな医局みたいなものじゃないですか。

★被保険者が主体の協同組合立の医療機関を

浅野 佐久病院は農協が主体の病院で、色平さんも農協の職員です。
いまはたまたま村にいるけれど、根っこは農協ですよね。
それが地域医療という面で、非常にいいパフォーマンスをしています。
まさに「予防に勝る治療なし」というような、地域全体として、病院にかからずに自宅で死ぬという医療。
その場合、個々の医師のパフォーマンスというのは結果であって、その原因になっている体制みたいなものが
あるんですね。
そうすると、日本全体の医療機関を協同組合立にしたほうがいいんじゃないか。
生協でもいいんですが。
色平 わかります。
協同組合、つまりコモンズですね。
僕は経済学者の宇沢弘文先生と時々ビールを飲むんですが、宇沢先生は「社会的共通資本」とおっしゃいます

最近の著書では「ソーシャル・オーバーヘッド・キャピタル」ではなくて「ソーシャル・コモン・キャピタル
」という言葉を据えておられます。
コモンですからみんなのものなんですよ。
しかもちょっと特殊な稀少財で、準公共財としての医療。
そう考えれば、その運営は医者が勝手にやることでもなければ財政当局が勝手にやることでもない。
被保険者が主権者として自分たちで選びとらないといけない。
やはり協同組合がいちばんいいんですよね、非営利の形としても。
そうなってくれたらいいという話で、宇沢先生と盛り上がるんですよ。
でも、そうなると医師会の存在や大学医局の存在をどう考えるか。
現状をどうやってそこへ落とし込んでいくのか、ソフトランディングしていくのかというのは、かなり大変な
ことです。
人の意識の問題だから、むしろ厚労省より文科省の領域です。
文科省の高等教育局医学教育課なりが舵を切って、二〇年ぐらいかかって
やっとそういう医者たちが出てくるか出てこないか、という問題でしょう。
浅野 なるほど。
大学は黙って優秀な医師だけを輩出しろ、そのあとの人事なんかには手を出すな、という話だ。
色平 たとえばアメリカ医師会と比べると、日本医師会はプロ集団として機能しきれていない。
日本の医師会は戦前は全員加入でしたが、いまは任意加入になっている。
戦前の弁護士会は任意加入だったけれども、いまは全員加入になっているからこそユニオンとして機能してい
る部分があるでしょう。
日本の医師が、プロとしてどうしたいのか、どうできるのかということを、
国民に対し「ぜひ、こうやらせてほしい」と提言し主張する機会がないんです。
そういう意味で医師のプロフェッショナリズムが日本にはない。
残念なことです。
他方で国民の側も、メディカル・リテラシーがないから医者に過剰に期待し過ぎたり、
妙に萎縮してビクビクしたり。
その間を揺れ動いています。
そしてメディアも司法もそれに影響されてしまうわけです。
医療の提供側が主導でつくりあげていた第一期が終わったと思ったら、
財務主導の第二期として、いまは医療費を絞り込めという方向になっています。
今後、第三期が来るかどうか。
第三期は被保険者が自分で払った保険料を使ってどのように運営すべきかという課題です。
分権化されたところで、自分たちの医療や保健や福祉を自分たちでつくっていくというモデルにソフトランデ
ィングできるかどうか。
難問ではありますが、皆さん自身の課題ですよ。

★医療の質を誰がどのように確保するか

浅野 医療過誤がいま問題になっていますが、日本の場合は医師免許を一回もらったら更新はないですね。
よっぽど変なことをして医療審議会で剥奪されない限り、腕が悪くても死ぬまでずっとやります。
運転免許さえ更新するのに、他人の命を預かる仕事に免許の更新もない。
あるいは不必要な手術が行われる事件も起こります。
医師の質を誰が保証し、どう守っていくかという問題ですが、日本はちょっとお寒い事情です。
たとえばアメリカなどでは国家が医師免許を出しているのではなくて、むしろ内科医学会とか
産婦人科学会など学会のレベルで相互管理しているわけですね。
それが本来あるべき姿ではないのか。
色平 一〇〇学会ほどを束ねたものが日本医学会で、医師会内にあります。
つまり日本医師会(JMA)こそ日本医療の大きなアンブレラですが、
現状は開業医たちの利益団体になってしまっている。
医師の約七割が勤務医であるというのに、勤務医の医師会加入率は約四割に過ぎません。
浅野 最近、僕はたまたまあるところから原稿を頼まれて、医師不足問題について書いたんですが、
いま絶対的な医師不足というより、地域によっての医師不足ですね。
都会ではある意味では余っている。
それから科目による医師不足。
産婦人科が少ないとか、小児科が足らないとか、麻酔科がいなくて手術ができないという問題。
前者の地域的な医師不足という時に、特に過疎地に行く医者が非常に少ない。
色平さんはいま、佐久病院に根っこを置いて、そこから色平さんのほかに医者がいない
村立診療所に派遣されているわけですが、もしそれが佐久病院から切られたとしたら躊躇がありますか。
色平 佐久病院が医局だとするなら、医局から派遣されて一〇年経っちゃったわけですね。
やはり佐久病院がバックにあることでとても助かっています。
患者にとっても利便性があるんです。
佐久病院にはかなりレベルの高い外科医たちがいますから、その人たちとマン・ツー・マンで相談できる。
そういう人間関係に基づいた安心のネットワークの一部を担うということでは、僕以上に村人が努力している

保健婦も努力しているし農協も頑張っている。
そういう自前の努力の中に医者がいて、僕は末端の医者として、
一次医療から二次医療や三次医療につなぐことが自由自在にできます。
浅野 つながるべき二次医療、三次医療の中核病院というのは、やはり必要なわけですね。
色平 だから僕はとても恵まれています。
都会は最悪ですよ。
都会の夜間なんか、何がどうなっているかわかりません。
我々医者だって、自分が都会で交通事故にあい、意識を失ったらどうなるか、すごく不安ですね。

★広い意味での診療行為とは?

浅野 過疎地で医師をやることの醍醐味、やり甲斐とは何ですか。
日々の経験から、過疎地での医師不足という現状に対して、色平さんは
「医者は過疎地に、もっと手を挙げてでも行くべきじゃないか」と言いたくなりませんか。
色平 僕らは一応プロとしての医者だから、目の前で診断がつかないと悩むんです。
僕は村ではヘボ医者、ヤブ医者たらざるを得ません。
だって、自分の手と五感しか頼るものがないでしょう。
ふだん接している村人ですから、この人はこういう人で、一〇のことを一〇〇言ってしまう人なのか、
一〇のことを一しか言わない人なのかを判断して対応するしかない。
技術的にはわからないことが多いんです。
不安ですから、夜間も休日も、電話をかけてみる。
ところが、おばあちゃんの耳が遠いからわからない。
じゃあ家に行っちゃおう、と。
さて、おばあちゃんの状態がよくないとします。
どうするか。
僕の診療所に入院施設がないからといって一泊放置するわけにはいきません、
経過観察ができないですから。
おばあちゃんの一族はみんな都会に出ている。
「よし、じゃ、おれが連れて行ってやる」ということで、僕の車で佐久病院に送って行き、
後輩に「頼む。一泊させてくれ。ちょっと経過を見といてくれ」と。
そして確率一〇%で緊急オペになるけれども、確率九〇%で翌日帰れるという、そういうむずかしい選択があ
るわけですよ。
浅野 いま色平さんが言ったこと自体がプライマリー・ヘルス・ケアということですね。
色平 そうなんです。
浅野 それはヤブでも何でもないと思う。
まさに患者さんの顔色を見て、その人が一のことを一〇言う人なのか、
一〇のことを一しか言わない人なのかということを含めたトータルな、広い意味での診断をするわけですから

色平 なかなか診断がつかないことを白状しているんです(笑)。
佐久病院に行けば、ほとんど診断がつきます。
夜中でもお腹や頭を開けられる病院ですから。
僕はできないことはやっぱりできない。
主権者たる国民の公僕たる公務員と同じように、僕は主権者たる農協組合員の雇われ人ですから、
しくじらないように常にビクビク細心の注意をしています。
浅野 それがプライマリー・ヘルス・ケアですよ。
今日は診療後にわざわざおいでいただき、ありがとうございました。


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国際社会は、日本はどう対応すべきでしょうか。

井本氏:国際社会がミャンマーの人々を「保護する責任(R2P、Responsibility to Protect )」はあると思い
ます。国に人々を守る意思がないのですから。本来であれば、国際社会がPKO(国連平和維持活動)のような形
を取って介入すべきでしょう。そうすれば少なくとも弾圧はなくなるでしょうし、対立する双方が対話する機
会ができます。ただ国連などの介入は現状では望めません。国連安全保障理事会では中国やロシアが慎重な見
方を崩さず、結局、議長声明しか出すことができませんでした。米国などは経済制裁を打ち出していますが、
経済制裁で問題が解決した例を私は知りません。
ミャンマー国内では、「中国が国軍を支援している」との見方が強まっており、反中デモも行われています。
ただ状況はもっと複雑だと思います。中国とべったりだったのは、むしろスー・チー政権でした。国軍は中国
の影響力の増大には危機感を強めていたのです。中国は一部の少数民族武装勢力の後ろ盾にもなっていました
から。そこで国軍は近年、中国ではなくロシアから兵器を購入していました。しかもクーデターの数日前には
ロシアの国防相がミン・アウン・フライン総司令官と会談しています。国軍は中国とロシア、そして中国の進
出に神経をとがらせる隣国、インドとのバランスをうまく取りながら、難局を乗り越えていこうという腹では
ないかと思います。

https://bit.ly/3cO83vo

抗議デモの死者180人 「このままではミャンマーはもっと悲惨に」

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人類はまだ若い、と答えるために 
 編集委員・福島申二

問い  茨木のり子

人類は
もうどうしようもない老いぼれでしょうか
それとも
まだとびきりの若さでしょうか
誰にも
答えられそうにない
問い
ものすべて始まりがあれば終りがある
わたしたちは
いまいったいどのあたり?

颯颯の
初夏の風よ

朝日新聞2021/3/14「日曜に想う」

 今年も桜が咲きはじめた。桜前線というのは計算上、時速2キロほどの歩みで北へ向かうそうだ。これから
の季節、桜だけでなくコブシもツツジも、スミレほどの小さき花も、様々な花前線が、さざ波のように列島を
通りすぎていく。

 まど・みちおさんに「春の訪れ」という詩がある。

 太陽がうたう…/小鳥たちが咲く…/花々が照らす…/と言えば少量の嘘(うそ)と/少量の真実を伝える
ことになるが/もともと百万言が死力を尽くしたとて/「春の訪れ」に届くわけのものでもない

 この人らしい自然への畏敬(いけい)を読みとることができる。しかし詩は後段で、自分が自然そのもので
ありながらそれを忘れている人間の「ことば」から、自然はもはや遠い存在なのだと、警句のような趣に転じ
る。ことばの誠実な職人であったご自身が、ひとりの現代人として感じたもどかしさだったかもしれない。

 まどさんが憂えた人間の営みの、驚くような肥大ぶりを示す数字が、先頃また一つ伝えられた。コンクリー
トやプラスチックなど地球上にある人工物の総重量が、同じ地球上の植物や動物などの総重量(生物量)を上
回ったと推算する論文をイスラエルの研究チームが発表した。

 20世紀初めには人工物量は生物量のわずか3%だったというから、この間の環境への負荷を思わずにはい
られない。

・・・

https://www.asahi.com/articles/DA3S14833053.html

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2021年参院選広島再選挙の本質と主な候補者たち

2021-03-20 00:01:36 | 政治・文化・社会評論
Ⅰ:参院選広島再選挙の本質

➊河合夫妻の汚職は、案里前国会議員の選挙無効と元法務相克行被告の議員辞職意向によって、大きな政治=社会問題となってきた。しかも県議だった案里氏を強引に国政に引き出したのは、安倍=菅=二階の自民党最高首脳部の1億5千万円という途方もない違法出費を伴う。

❷自民党内部の宏池会・岸田派の現役を落選させる結果となった。安倍前自民党総裁らは、いったいなにを考えて自民党分裂選挙を強行したのか?いま広島県は、再選挙が議会制政治の根幹に関わる政治的危機を克服できるかどうかを抱えている。

❸国際社会が核兵器禁止条約を2017年7月7日に国際連合総会で採択され、2021年1月22日に発効した現在の歴史的地点にたつ。峠三吉が「にんげんをかえせ」を書き「夏の花」を書いた原民喜は自死をとげた。広島に原爆を投下したのはアメリカ空軍であるが歴史的国際的課題となった。

❹野党が統一候補をたて選挙を闘うことは、今までの分裂選挙に比し大きな成果だ。だが汚職金権政治と闘い、核兵器禁止条約に強い思いを持ち、広島から発信する政治家を送り出す。秋葉忠利市長のような平和と市民政治に信念をもつ政治家を送り出す意志は野党にあるのか?!


Ⅱ:参院選広島再選挙の主な候補者たち

➀参院広島再選挙 フリーアナウンサーの宮口治子氏が無所属で出馬へ 立憲、野党共闘目指す
毎日新聞2021/3/14
宮口氏は立憲党本部を通じて共産、国民、れいわ新選組などに選挙協力を要請する。

②参院広島選挙区再選挙 自民候補者 地元出身の30代官僚軸に調整
2021年2月15日 11時12分NHK
県連会長の宮沢参議院議員らが14日に広島市内などで #経済産業省課長補佐の西田英範氏(39)と会談し、再選挙に立候補するよう要請

③山陽新聞
参院広島再選挙 佐藤氏立候補へ 4月25日投開票
新人で介護施設職員の佐藤周一氏(45)=広島市東区=が10日、無所属で立候補する意向を表明した。広島県庁で会見した佐藤氏は「政策不在の広島の政治の在り方を変えたい」と述べた。福山市出身、東京大卒。