【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

【色平哲郎氏からのご紹介】

2023-05-29 21:24:30 | 転載・政治社会と思想報道
【色平哲郎氏からのご紹介】

農業実習すると、英語と世界史の偏差値が15ポイントずつ、上がる学院





>教食員組合の集まりで、「政治活動が禁止されていますが、(自分が)投票に行っても大丈夫でしょうか?」という質問があったと聞き、びっくりしました。

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内務省文部局→陸軍文部局→GHQ文部局→自民党文部局→経産省文部局
(文科省のニックネーム、その変遷)

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「感想文」、、あれ、苦痛だったなぁ、批評が許されない、、クリティークのない学問なんてねぇ、、

「偉人伝」さらに苦痛だった、、「偉人であるか否か」は他人に決めてもらうものでなく、自分で読んでから、決めるべきものでしょうよね、、
ヴィジョン(=自らの座標軸)を他人から強要されたくはない!

語られることばが生きているのでしょう、文面になっているものは死んだことばでしょう

社会の現状、将来に向けた展望について、教師・生徒の分け隔てなく「生きたことば」で語り合う、そんな「生きたことば」による「生きた教育」とは、教科書のような書物からでなく、対話や討論を通じて人びとが互いに触発しながら学んでいくことを意味する

「教師が教壇に立って一方的に教科書に沿った授業をするのは『死の教育』だ」
(N・F・S・グルントヴィー)


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権威主義国家では、決定がなされると反対意見は沈黙する。
しかし民主主義社会では、あらゆる決定が相対的で、正しいことがらへの接近にすぎず、それゆえに、討議は止むことがない。

(デンマークの)Hal Koch「生活形式の民主主義」


民主主義は、完成されるべきシステムでも教理でもない。
それは自分のものにすべきひとつの生活様式だ。


ハル・コック「生活形式の民主主義」


勝ち負けを決めるのに、さまざまな武器を用いることができる。
古代ギリシャでは、剣や槍で戦った。
近代の権力相互の戦争は、戦車や飛行機で戦った。
いなか町では、噂や中傷で戦われる。
「教区評議会」での戦いは、投票によっておこなわれる。
しかし投票は、平和的だが、民主主義ではない。
民主主義の本質は、投票によって規定されるのではなく、対話や協議、相互の
尊敬と理解、そしてここから生まれる全体利益に対する感覚によって規定される。

ハル・コック「生活形式の民主主義」

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農業実習すると、英語と世界史の偏差値が15ポイントずつ、上がる学院

荒川朋子[著]『共に生きる「知」を求めて ――アジア学院の窓から』

評者:色平哲郎



朋子さん! 

今年2023年は朋子さんが校長を務めるアジア学院創立50周年ですね。
誠におめでとうございます。
そして、貴著〈共に生きる「知」を求めて〉の出版、うれしいことです。
一読、すばらしい。
周囲の高校生や医学生、看護学生に勧めたいと存じます。

私たちが家族で学院を訪ねたのは30年ほど前のこと。
西那須野駅から歩いて参りましたことを覚えております。
高見敏弘先生がお元気でした。

高校生や(医学部)浪人生向けに講演する際など、学院での農業実習を勧めるようにしております。
「実利的に申し上げれば、英語と世界史の偏差値が15ポイントずつ、上がります」
などと申し上げるのは、学院理念に照したなら、通俗的にすぎることでしょうか。 

ですが、実際に、学院の皆さんと一緒に農作業で汗を流し、
食卓を囲んだ経験のある生徒さん、学生さんからは
「おもしろかった」「たのしかった」
「いのちをいただいているんだ、ということを自覚させていただいた」
といった感想が寄せられます。 

こういった現場体験とともに、文字通り世界中の若者と英語で語りあうことを通じ、
世界の、地球上の現状や闇を理解しつつ、しかも英語と世界史の偏差値が上がるのであれば、
それはそれですばらしいことでありましょう。
「東京のICU(国際基督教大学)のリベラル・アーツが体験できる場なんだよ」
と申し上げております。

学院の先駆性は「ともに生きる」という理念を、理屈を超え、
日々実践されている点にありましょう。 

私の勤務する佐久総合病院は、別名「サケ騒動病院」と呼ばれるほど、
(地域住民としての)農民たちとの交流を大事にしております。
現在は「病院の形」をとってはおりますが、78年前、敗戦直後の設立時には
「ユニオン」であって、「農民とともに」をモットーに、この間、
地域に根ざした保健医療福祉介護の実践に取り組んで参りました。 

だいぶ以前から貴アジア学院と交流をもちたいものだと考えておりました。
そして念願かなって、当院の研修医たちに通ってもらうことが叶いました。
学院での農業研修後、彼らはフィリピンのレイテ島を訪問し、
短期間ですが保健実習をしています。

医師(石)頭になりがちな臨床医に、若いうちにこそ「世界」と「世間」を知っていただき、
「広い視野」と「低い視点」を大事にした診療を続けていただきたいと願うからです。

プライマリー・ヘルス・ケアということばがあります。
住民が医療機関のオーナーシップを保ちながら、プロフェッションたる技術者と
「ともに」地域づくりにとりくむという発想で、1978年のアルマアタ宣言に体現されています。

プライマリー・ケアということばと似ていますが、「方向性」が真逆となります。
PHCでは住民が主体で、技術者とともにとりくむ。
PCでは医療技術者が主体で、住民は客体です。

学院での日々の実践から、この地球の矛盾や悲しみ、驚きや喜びを英語で共有できる、
弱い人、貧しい人、苦しんでいる人、小さくされている人へのケアに関心をもつ、
そんな若者たちが育っていくことを期待します。 

ホモ・サピエンスというより、ホモ・クーランスとよばれる人間観を体現した
各国の若者たちに、今後の「地球の健康」(プラネタリー・ヘルス)
が託されることを期待しております。 

「ちがい」と「まちがい」を尊重できる、そんな寛容な貴学院の
「創立100周年式典」に、2073年、ぜひ参加させてくださいネ。


(いろひら・てつろう=JA長野厚生連佐久総合病院内科医師)

(新書判・二四〇頁・一三二〇円・ヨベル)


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私は「大日本帝国」の体制下にあって小国デンマークの意義を先駆的に 論じた内村鑑三の講演「デンマルク国の話」(一九一一年)ついて言及せずにはおれない、、、この講演内容はたしかに歴史家によって伝聞と創作の所産であり、史実とは異なる日本的なデンマーク受容の現象と批判されている、、、
内村はデンマークの小国化の教訓を、第一に国の興亡は戦争ではなく、民衆の平素 の修養、すなわち啓蒙と陶冶形成に依存すること、第二に天然の自然は無限のエネルギーと生 産力を擁していること、第三に、国の力は軍事力や経済力によって測られるのではなく、「信仰」の 力に依拠すると主張していることである。第三点目の「信仰」をあえて広い意味で、普遍的視野に 立つ「哲学」と考えることにしよう。すると、これらの諸点はいずれも小国主義の基本諸要素に的確 な表現を与えていると思えるのである。なるほど内村は「グルントヴィ」の名をあげていない。彼は 無教会派であり、そもそもグルントヴィを知らなかった可能性がある。だが、先の三点はいずれもグ ルントヴィから読み取れる基本思想である。たとえば一点目についていえば、本書の「デンマーク への祝賀」などでグルントヴィは拡張主義や侵略主義を排し、デンマークと同様に他の諸民属の 存在の権利も承認し、小国デンマークに満足することを明言している。この意味で、国は一九世 紀に「陸の六分の一を占める英国」であるべきではなく、さらに日本がかつての帝国ドイツから学 んだような侵略的軍国主義であってはならなかった。第二次大戦後の脈絡でいえば、旧ソヴィエト 型国家社会主義でも、アメリカ型新自由主義でもあってはならない。むしろ内村はデンマークに、 多種多様な大国覇権主義を克服しうる小国型発展モデルを直観していたのである。

二点目に、デンマークはチェルノブイリ原発事故以前の一九八五年に議会で原子力発電不採 用の決断を行い、周知のように再生可能エネルギーの開発に国をあげて力を注いできた、、、
最後に、「哲学」としてはすでに長々と述べてきたので、ここではグルントヴィ哲学が小国型国民 国家形成を支え、さらに社会経済や社会保障制度、先駆的自然エネルギー開発など現代的な社 会的ヒューマニズムを具体化することによって、その人類史的意義が認知されはじめていると再確 認することでよしとしよう。このようにグルントヴィ哲学は、一方で独自の知的・政治的文化と社会制 度とによって一国の安定的な生活保持へ経路を照らし出したし、他方で遅ればせであるが、その 普遍的な「人間性」(Menneskelighed)への貢献が評価されつつある。「デンマルク国」とはこの ような質をもつ小国哲学の結晶、作品と考えることができるのである。

http://www.is.nagoya-u.ac.jp/dep-ss/koike/doc//koike4.pdf   
グルントヴィのホイスコーレ構想が拓いたもの ――知的改革と政治・「社会」形成
小池直人


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若月の提唱した農村医科大学は医科大学(医学部)ではありません
あえていうなら公衆衛生大学院(SPH)でしょう
若月の主著「農村医学」も、医学書ではありません
現代の言い方なら、コミュニティ(ヘルス)ケア

若月はプライマリー・ヘルス・ケアの先駆者であり、プライマリー・ケアの先駆者であり、
ヒューマン(ヘルス)ケアの先駆者であって
プラネタリー(ヘルス)ケア「地球の健康」SDGsの先駆者でもありました
この意味で「地球の健康」は医学ではなく、醫(技術・ケア・祈りの三位一体)です

以下、つい今しがた、知人とやりとり:

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・ケアを学ぶことは、決していわゆる「ケアワーカー」の専門的な知識や技術を身につけることではありません。
ケアは私たちが人間として生きていくために与えられた可能性であり、時代を超えて引き継がれてきた「文化」です。
高度な科学文明のもとで複雑に絡み、悩み多き現代の日常を生き抜いていくために、 今や私たちの誰もが「ケア」の視点を備え、人と世界のあり方を見つめなおしていく必要があるように思われます。

・その通りです!「医学部」がこの観点を欠くことを自覚すべき、と本郷公衆衛生大学院で話しております

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多くの人が意外かと思う(ヘレン)ケラーの主張と人生:
・ベストセラー作家や政治・障碍者団体の活動家として活躍し、88歳で亡くなるまで自ら生計を立てていた
・優生論者であり、知的障害や難聴の子供を殺す事に賛成していた。
・社会主義活動家となった。
・ショービズネスに入り、ヴォードヴィルのスターになった。
・サリバン先生や家族に婚約者からも、仕事からも引き離され、盲目団体の資金稼ぎのスポークスマンにならされた。

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文化運動は、医療と地域を、あるいは病院と地域を結び付けるキーである。
地域医療では、病院と住民との直接の対話が必要だが、
その機会を地域での文化活動が与えてくれる。
文化活動が「人間が人間らしく生きるための営み・生き方」を言うのであれば、
医療・保健・福祉の中に文化活動が含まれていなければならない。
医療と文化とは切っても切り離せない関係にある。
病院は医療運動体であると同時に、文化運動体でなければならないと言えよう。

松島松翠(佐久病院名誉院長)


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【転載】あの理化学研究所で97人雇い止め 10年ルール適用前に 降格、給与減、チーム解散も「こんな理不尽なことが」

2023-05-26 17:18:47 | 転載・政治社会と思想報道
東京新聞こちら特報部
あの理化学研究所で97人雇い止め 10年ルール適用前に 降格、給与減、チーム解散も「こんな理不尽なことが」
2023年5月26日 12時00分


写真:雇い止めを巡り、理化学研究所本部前でストライキを行う職員ら=3月、埼玉県和光市で(共同)

 懸念は現実化した。契約期間が10年を超える有期雇用の研究者や非常勤講師が、無期雇用転換の権利を得る「10年ルール」。その適用が4月から始まる前の3月末に、予想された通り、研究者らの雇い止めが多数発生している。雇用の継続を求め、提訴した研究者らは少なくない。大学側の方針の一貫性のなさに、振り回される事例も。労働者のためのルールのはずが、一体誰を守っているのか。(木原育子、中沢佳子)

◆「研究者使い捨てを容認する社会は許されない」


 10年ルールの影響で97人が契約を切られた—。日本を代表する研究機関「理化学研究所」(埼玉県和光市)の労働組合が18日、3月末に雇い止めになった有期雇用の研究者らについて、調査結果を発表した。
 労組によると、10年ルールの対象になる研究者らは203人いた。うち半数近い97人が雇い止めになった。106人は「理事長特例」などで雇用継続となったが、地位が降格された研究者もいた。
 このほか、研究チームのリーダーの雇い止めでチームが解散するなどしたため、87人が離職し、先の97人と合わせると計184人の雇用が消えた。
 労組の金井保之委員長は「研究者を使い捨てにしても容認される社会は許されない」と憤る。

◆発端は労働契約法の改正だった


 問題の発端は、2013年4月に施行された改正労働契約法だ。有期雇用の期間が5年を超えた労働者は、無期雇用への転換を求められるルールができた。長期間のプロジェクトも多い研究者は、特例で期間は10年超とされた。このルールの適用開始が施行10年後の今年4月のため、直前の大量雇い止めが懸念されていた。
 それを暗示するかのように、理研は16年、起算日を13年にして「10年を超える契約はしない」と職業規則を変更した。労組の求めで、昨年9月末にこの上限を撤回したものの、雇い止めは止まらなかった。

◆「研究が失敗しているならともかく…

 「こんな理不尽なことがまかり通るなんて…」。そう憤慨するのは60代の男性研究者だ。
理研の任期付き研究者が受け取った契約書。「2023年4月1日以降の雇用契約は締結しない」と書かれている(共同)


 昨年3月中旬、「23年4月1日以降の雇用契約は締結しない」との趣旨が書かれた契約書がメールで届いた。当時、がんの早期発見に関する研究のチームリーダーだったが、有期雇用の契約が通算10年を超えることを理由に雇い止めを告げられた。
 「研究が失敗しているならともかく、うまくいっていたのに…」。文部科学省に中長期計画が承認され、24年度までの科学研究費補助金も得たばかり。基礎研究を終えて企業らと実用化に向けた応用研究を始めようとした矢先だった。
 「合理的な理由がなく、雇い止めは不当だ」と昨夏、理研を相手取り提訴。すると、「理事長特例」で2年間だけ研究の継続が認められた。
 ただ、男性はチームリーダーではなくなり、一介の研究員と「事実上の降格」。給与も減り、チームメンバーもバラバラになった。「野球チームが解散し、監督1人残った状態。こんなことをしていて、日本の研究がよくなるはずがない」と憤る。
 今年2月には、30代と40代の有期雇用の技師が同様に理研を提訴した。2人は提訴後の3月末に雇い止めになった。2人は同じ研究に携わり、チームリーダーからは「やめろ」と言われ続けていた。
 前出の金井委員長は「パワハラ問題まで雇い止めで覆い隠されてしまい、まずい状況だ」と語る。
 一方、理研広報室は「こちら特報部」の取材に、「訴訟については引き続き真摯しんしに対応していく」とした上で、「外部に転出された方についても、必要に応じて、共同研究契約や研究課題の委嘱を行っている」などとコメントした。

◆「10年ルール」対象は1万2000人超 見通しあるのは半数足らず

 10年ルールの対象者は全体で何人いるのか。文部科学省は昨年9月、全国の大学や国立研究開発法人を調査した。回答のあった681機関で計1万2137人。このうち、無期転換が見込まれるのは44.7%、無期転換の契約を結ぶ予定のある人は3.9%で、先々の見通しがあるのは半分に届かない。
 これに先立つ昨年5月、文科省は国立大学など機関別に、今年3月末で雇い止めになる恐れがある数を参院内閣委員会に提出した。大学別で最多は東京大の346人だった。
 ただ、4番目に多い126人だった大阪大では、この人数にカウントされずに、3月末で雇い止めになった非常勤講師たちがいる。

◆大阪大では非常勤講師も雇い止め

無期契約への転換を求める非常勤講師らに提訴された大阪大(共同)

 「阪大は非常勤講師を個人事業主扱いし、業務委託の契約を結んでいた。労働契約ではないとして、数字に入れなかった。実態より少なく見せかけたいからでは」と、3月末まで阪大外国語学部の非常勤講師を務め、雇い止めにあった新屋敷健さん(62)。同学部だけでも雇い止め対象の非常勤講師は70〜80人いたといい、先の126人と合わせれば、少なくとも200人前後に増えるという。
 新屋敷さんら非常勤講師だった4人は無期転換すべきだとして阪大を提訴した。原告の1人、浦木貴和さん(57)は「1年ごとに契約更新をし、10年働いた段階で無期への転換を申し出たが、拒まれた。10年ルールと関係なく、大学の内規だという言い分だった。理屈が通らない」と憤る。
 原告の1人で、元非常勤講師の50代男性は「非常勤講師は横のつながりが希薄で立場が弱い」と、強く権利を主張しづらい土壌を嘆く。
 雇い止めが出ると後任を新たに公募することになり、手間やコストも無駄にかさむ。「研究者、学生、教育の質に大きなマイナス。大学も目先のコストカット程度のメリットしかない」
 非常勤講師との関係が委託契約で「労働契約」でないなら10年ルールにとらわれる必要はないはずだが、新屋敷さんは「非常勤講師は10年ルールの対象外だが、有期雇用の他の職員とそろえたというのが大学側の理屈だ」と語る。

 ただ、阪大は22年度から、非常勤講師についても労働契約に変えている。阪大人事課の担当者は「教育の質を保証するためと、非常勤講師の労働法制上の適切な保護のため」と説明するが、どこかすっきりしない。提訴には「雇い止めとは考えていないが、係争中なのでコメントできない」と語る。

◆「研究を担う人を軽く扱い、コストと見ている」


 指導する立場の文科省の様子はどうか。同省は4月以降の状況を調査しているが、大学や研究機関ごとの結果は公表しないという。担当者は「雇用管理は各法人に適切にやっていただくよう、呼びかけている。今後の対応は、調査結果を踏まえて検討する」と答えるにとどめ、大学や研究機関任せの構えだ。
 研究者のキャリア問題に詳しい「科学・政策と社会研究室」の榎木英介代表理事は「研究や教育を担う人を軽く扱い、『コスト』と見ている」と理研や阪大の姿勢を批判。文科省の手ぬるさも指摘する。「大学の統制を進める半面、踏み込みたくないことは『大学の自治』を言い訳にする。ダブルスタンダードだ」
 基盤的資金となる運営費交付金や経常費補助金は削られ、研究者自ら獲得する「競争的資金」が増している。榎木さんは、それが雇い止めの根にあるとし、「政府として研究費の配分やあり方を見直すべきだ」と訴える。
 榎木さんは警鐘を鳴らす。「人を大切にしない業界に人材は集まらない。博士課程に進む人は減り、海外での活動を視野に入れる研究者もいる。高度人材が不足していけば、さまざまな分野や業界に影響が出るだろう」

◆デスクメモ

 阪大の元非常勤講師らは在勤時、半年〜1年の休みを大学側から打診されたという。6カ月以上の空白があれば、制度上、通算の契約期間がリセットされる。10年ルールを避けるためか。何とも小手先の対応だ。半年休めば数十万円以上の収入を失う。真に労働者側に立った話ではない。(北


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【孫崎享のつぶやき】2023-05-26 07:09

2023-05-26 14:06:02 | 転載・政治社会と思想報道
青灯社原稿;考える視点:レーガンのゴルバチョフへの問い「地球が火星人の侵攻を受けたら、ソ連とアメリカはどう対応するか」、このエピソード、スミソニアン・マガジンが2015年に繰り返す。何故?今日のウクライナ戦争のそもそものスタートは2014年。



レーガンのゴルバチョフへの問い「地球が火星人の侵攻を受けたら、ソ連とアメリカはどう対応するか

2009年4月24日クリスチャン・サイエンスモニター紙は「レーガンとゴルバチョフはUFOと戦うことに合意(Reagan and Gorbachev agreed to fight UFOs)」という記事を掲載し、その中でゴルバチョフの次の言葉を紹介している。

「(ジュネーブ会談の際、二人のリーダーが会談の場所から席を外し近くの小屋に向かって歩いた。その時)レーガンが、突然、自分に“米国が宇宙からの誰かに突然攻撃されたら貴方はどうするか。貴方は私を助けるか”と問うたので、自分(ゴルバチョフ)は“(自分が助けることに)何の疑問もない”と答えた。そしてレーガンは“われわれも(そう)するよ”と述べた。」

素晴らしい会話と思う。対立はある。しかし対立よりもっと重要な問題で協力しあうことを確認しあったのだ。それは「平和を維持する事、互いに核兵器を使わない事」であったのであろう。レーガンは大統領として名優であったが、どこかに脚本家がいた。

この問いは2015年になっても繰り返されている。スミソニアン・マガジンが「レーガンとゴルバチョフが宇宙人の攻撃の時には冷戦を一時中断に合意」(Reagan and Gorbachev Agreed to Pause the Cold War in Case of an Alien Invasion Reagan and Gorbachev Agreed to Pause the Cold War in Case of an Alien Invasionと報じた。

宇宙人との闘いでなくてもよい。戦争をするよりは協力することの価値は必ず存在する。
今から顧みると、2015年スミソニアン・マガジンがこれを報じたのは意義がある。2014年ウクライナで「マイダン革命」が起こる。これを契機にウクライナの中立的な政権が、反露、親西欧路線を出し、米国政府が支援した。今日のウクライナ戦争の源流ともいえる。

2014年キッシンジャーは下記の警告をしている。

・ウクライナは西側に参加するか東側に参加するかの決戦場とされてきた。

・ウクライナが生き残り繫栄するとすれば、いずれかに対峙し、いずれかのサイドにつく前哨になるべきではない。それは両者のブリッジとして機能すべきである。

・ロシアにとってウクライナは決して単なる外国ではない。ロシアの歴史はキエフ大公国(Kievan-Rus)で始まる。ロシアの宗教はそこから拡大。ウクライナは何世紀もロシアの一部。ソルゼニーツェン等もウクライナは、露の歴史、そして露の一部とみなしている。

・ウクライナ人は複雑な歴史を持ち、多国語的構成を持つ国に住む。西部は1939年にソ連に組み入れられた。
西部は大部分カトリックで東部はロシア正教。西部は大部分ウクライナ語を話し、東部は大部分ロシア語。ウクライナの一方が他方を支配しようとすると内乱か分裂になる。

・ウクライナは独立し23年である。それ以前は14世紀から何らかの外国支配。ウクライナ人が妥協の技術、更には歴史的視野を学んでこなかったとしても驚きではない。

・ロシアは自分を孤立化する事なしに軍事的解決を課すことはできない。

・ウクライナは経済、及び政治的同盟を選ぶ権利を持つべきだ。だがウクライナはNATOに参加すべきではない。

スミソニアン・マガジンが「レーガンとゴルバチョフが宇宙人の攻撃の時には冷戦を一時中断に合意」の記事は偶然、2009年の史実を思い出して書いたのではないだろう。
筆者は今日の「ウクライナ戦争」のきな臭さをキッシンジャーと同じくかぎ取っていたのだ。その時期に「米ロの協調が重要でないですか」を間接的に主張する論文となっている。


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色平哲郎氏からのご紹介

2023-05-24 17:14:58 | 転載・政治社会と思想報道
【色平哲郎氏からのご紹介】 2023年05月24日 07:02


だいぶ以前、加藤周一さんと宇沢教授の話題に
教授の仇敵の話にも
以下、昨日、親しい全国紙記者とやりとり


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> ・・・
> 予想以上に地方経済は深刻です。


拝復、病因は明らかです

来月6月のNHK「100分de名著」は「ショック・ドクトリン」

ぜひ、600円、今週金曜に発売となるテキストをご高覧ください

いろひら拝


> ありがとうございます。了解です。
> NHKがショック・ドクトリンですか。
> ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』は読みました。
> 資本主義が行き着く先がこのような醜悪な施策なのだと感じたことを覚えています。
> テキスト、買ってみます。


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【孫崎享のつぶやき】2023-05-23 09:499

2023-05-23 18:01:08 | 転載・政治社会と思想報道

ウクライナ戦争で米ホワイトハウスを含め、米国政権の様々な部局で、ロシア、ウクライナがいずれも軍事的に勝利し得ない事を前提に、今後どう展開させていくかを検討している。一つのパターンは朝鮮戦争の如く「凍結」。戦争の長期化。BATO拡大でなく支援の形。



ウクライナが「凍結された」紛争の仲間入りをする可能性があると米当局者が語るUkraine could join ranks of ‘frozen’ conflicts, U.S. officials sayウクライナはどのようにして次の韓国になれるのか.Politico05/18

米国当局者らは、ロシア・ウクライナ戦争が数年、おそらく数十年にわたる凍結紛争となり、朝鮮半島や南アジアなどでの同様の長期にわたる対立の仲間入りをする可能性が高まっていることを計画している。

長期的な「凍結」に向けてバイデン政権内で議論された選択肢には、ウクライナとロシアが越えないことに同意するが、公式の国境である必要はない潜在的な境界線をどこに設定するかが含まれている。この議論は暫定的なものではあるが、米国のさまざまな機関やホワイトハウスで行われてきた。
キエフもモスクワも敗北を認めるつもりはないようであることを考えると、これは最も現実的な長期的結果を証明する可能性のあるシナリオだ。また、今後のウクライナの反撃がロシアに致命的な打撃を与えることはないだろうという政権内での認識が高まる中、その可能性が高まっている。

戦闘は一時停止するが、どちらの側も勝利者と宣言されず、正式に戦争が終わったことにも合意しない、凍結した紛争は、米国やウクライナを支援する他の国々にとっても、長期的には政治的に好ましい結果となる可能性がある。それは軍事衝突の数が減少し、キエフを支援する費用も減少する可能性が高く、戦争に対する国民の関心が薄れることを意味するだろう。

バイデン政権のウクライナに関する議論に詳しいある米当局者は、「凍結したように見えても解凍されたように見えても、我々は長期的な計画を立てている」と語った。同当局者は、過去数カ月は「緊急かつ短期的なことばかりだった」が、そうした計画が政権の焦点になっていると述べた。
他の米当局者2人とバイデン前政権当局者1人は、戦闘の長期凍結が米国が準備を進めている可能性の1つであることを認めた。米国当局者らはまた、ワシントンとキエフとの長期的な安全保障関係や、ウクライナとNATO軍事同盟との関係についても検討している。

「『ああ、ウクライナ人はマリウポリ(市)とアゾフ海へのアクセスを持たなければならない』という考え方もある。ウクライナが将来にわたって安全である限り、線の配置にあまりこだわらない考え方もある。 」と元政権当局者は内部での会話を説明した。
こうした議論はまだ初期段階にあり、米当局者らは、戦争はかなり長期間続くだろうし、バイデン政権はウクライナにロシアを可能な限り領土から追い出すために必要な武器と支援を提供するつもりだと強調している。

それでも、特に一部の共和党員の間でキエフへの支持を減らすよう動揺していることを考えると、そのような計画を提案するだけでも、米国が自国の大義に継続的に取り組むことに対するウクライナ指導者の信頼を損なう可能性がある。

5人目の人物、ホワイトハウスを代表して発言したバイデン政権高官は、一連の緊急時対応計画が検討されているが、状況は流動的であり、唯一安全な予測はロシアがウクライナを征服しないことであると語った。インタビューを受けた他の人たちと同様、この当局者も機密問題について説明するために匿名を認められた。
多くの米国当局者はロシアとウクライナの紛争がどのように展開するかについて公に話すことを避けるが、統合参謀本部議長のマーク・ミリー大将は、紛争はどちらかの軍事的勝利ではなく、交渉で終わるだろうと繰り返し予測している。

また、最近のウクライナへの軍事援助パッケージの内容は、バイデン政権の長期戦略への移行を反映していると国防総省当局者は述べた。
米国の既存の備蓄から直接送られる装備品の量は過去数カ月間で着実に減少している一方、産業界から新しい武器を購入するための援助パッケージ(そのプロセスには数カ月から数年かかることもある)が増加している。

バイデン政権は最近、米国の既存備蓄から主に弾薬を中心に3億ドル相当の武器を移管する一方、産業界から防空などのより複雑な兵器を購入するために12億ドルを提供した。
現時点ではウクライナはロシアに対する反撃の準備を進めているが、その時期はまだ不透明だ。ウクライナのゼレンスキー大統領はここ数日、ウクライナが西側諸国からの武器をさらに必要としているため、反撃は遅れるだろうと示唆しつつ、「最初の重要な措置が間もなく取られるだろう」とも述べた。
米当局者らは反撃後も戦闘が続くと予想している。

ウクライナとロシアのパフォーマンスは、制空権からクレムリンの責任者に至るまで、時には制御不能な要因に依存している。
ポリティコの取材に応じた政権当局者の誰も、米国が数年に及ぶ戦争にどう対処するかについて具体的に述べたり、凍結した紛争の計画の正確な深さを説明したりしなかったが、その情報はほとんどが機密扱いだ。ある米当局者は、政権は常に長期と短期の両方の可能性を考慮して計画を立ててきたと強調した。
戦闘が長引けば長引くほど、ロシアとウクライナは、正式に戦争を終わらせないにしても、停戦や休戦、あるいは戦争を止めるための別の法的手段を交渉するよう国際的および国内的圧力を感じる可能性が高まる。

一部の米国当局者やアナリストは、大まかなモデルの1つは朝鮮戦争である可能性があると述べている。この紛争での活発な戦闘は 1953 年の休戦協定で終わったが、70 年が経過した現在でも、戦争は正式に終了したと宣言されていない。
バイデン政権の元高官は、ウクライナに関して「韓国流の停止は確かに政府内外の専門家やアナリストによって議論されてきたことだ」と語った。 「それはもっともらしい。なぜなら、双方とも新たな国境を認める必要はなく、合意しなければならない唯一のことは、定められた線に沿った射撃をやめるということだからだ」 (朝鮮休戦交渉は2年続いた。)
ロシア関連問題を担当した元米情報当局者は、バイデンの側近らは最近、ウクライナの長期的な安全保障について議論することに意欲を見せているようだと述べ、これも彼らが来るべきウクライナの反撃を十分に先のことまで考えている兆候だ、と語った。
ウクライナはNATOへの加盟を望んでおり、軍事同盟の事務総長は加盟国も最終的には加盟することに同意していると述べた。
バイデン政権高官は、米国当局者が将来の関係の性質についてウクライナ側と話し合っていることを認めた。同高官は「われわれは自国を守り、将来の攻撃を抑止できるウクライナを望んでいる」と述べ、米国はウクライナにその意志に反して交渉入りを迫るような圧力はかけないと強調した。
ウクライナのNATO加盟入札が行き詰まった場合、そのような保証は、NATOスタイルの第5条相互防衛協定から、ロシアに対する抑止力としてのウクライナとのイスラエル方式の武器協定まで多岐にわたる可能性がある。

ウクライナ、NATOへの迅速加盟を正式に申請

少なくとも、ウクライナ軍には特別な注意を払う必要がある、と一部の現および元米国当局者は言う。それには、たとえキエフが軍事同盟に参加していないとしても、ウクライナの武器や装備がNATO諸国のものと互換性があることを確認したり、共同訓練を実施したりすることが含まれる可能性がある。
アナリストや当局者らは、紛争の凍結が地政学的安定につながる、あるいは紛争地域で捕らえられた民間人の苦しみが軽減されると考えることに対して警告した。朝鮮半島とインド・パキスタンは、最初の戦闘が始まって以来数十年間に関係政府が下した決定の結果、現在、どちらも核の引火点となっている。
ウクライナ国防大臣顧問のユーリー・サック氏は、キエフが西側諸国に対し、より多くの武器やその他の援助物資を送るよう絶えず要請している理由の一つは、まさに終わりのない対決に陥るのではなく、戦争を早く終わらせたいからだ、と述べた。
たとえ活発な戦闘が止まったとしても、「私たちは日常的に核による脅迫が行われる世界に住み続けるだろう。私たちは毎日、世界的な食糧危機のリスクにさらされています。私たちは毎日、残虐行為と戦争犯罪の目撃者です。
米当局者らは、ロシア・ウクライナ戦争の行方を計画する際に、白か黒かで考えることを避けようとしていると強調している。結局のところ、この紛争は、活発な戦争と冷たい対立の間のどこかで終わる可能性がある。
ジェンセン氏は、キエフをより長期的に支援するということは、当面の武器需要を超えて考え、編隊全体に人員を配置し、訓練し、装備する計画を実行すること、そして関連する軍事ドクトリンを開発することを意味すると述べた。

このような状況で考慮すべき他の問題には、多国籍平和維持軍を導入する価値があるかどうかが含まれる。
活発な武力紛争が止まれば、米国や他のウクライナのパートナーに対するコストは時間の経過とともに減少する可能性が高い。 「毎日武器を消費していない国に武器を供与するほうがコストがかからない」とバイデン政権の元高官は語った。
元当局者は、ロシアがクリミアを占領し、ウクライナ東部の一部に混乱をもたらした2014年から2022年よ​​りも停戦が維持される確率が高いと推測した。なぜなら、「分離主義者」が支援するのとは対照的に、専門軍が双方に全面的に関与しているからである。

停戦やその他の停戦状態が長く続くと、戦争に対する国民の注目も薄れる可能性が高い。そうすれば、キエフ支援の取り組みを批判する西側諸国の首都に対する政治的圧力が緩和される可能性がある。しかしそれはまた、紛争を完全に解決しようとするこれらの資本からの圧力が弱まるということを意味する可能性もある
ウクライナ関連の議論に詳しい欧州当局者は「紛争と新たな攻撃の可能性はおそらく数十年は消えることはない」と述べた。

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【孫崎享のつぶやき】

2023-05-21 16:16:00 | 転載・政治社会と思想報道
ウクライナ問題理解の為に・東部2州の問題。多くの国民は露が領土拡大でウクライナに侵攻と思っている。この地に露人が7-8割居住。U「ウクライナ化」強引に進め、住民とU側と戦闘。2014年から双方1万4千人死亡。露人救う意味内蔵→ロ国民はプーチン支持。




安倍元首相が「プーチンの意図はNATOの拡大、それがウクライナに拡大するという事は絶対に許さない、東部二州の論理でいえば、かつてボスニア・ヘルツェゴビナやコソボが分離・独立した際には西側が擁護したではないか、その西側の論理をプーチンが使おうとしているではないかと思う。」と述べた東部二州の問題を見てみたい。この問題は相当複雑である。


『マスコミ市民』2022年5月号は羽場久美子(青山学院大学名誉教授、世界国際関係学会元副会長)著「ミンスク2の時点に戻り即時停戦を」を掲載しているので、そこから抜粋したい。

・2014年のマイダン革命以降、アメリカ政府やNATOの事務総長を含めて、ウクライナに対して強力な軍事的・政治的な援助をしていく姿勢があった。

・今回の問題は今年の2月に始まったことではなく、2014年から始まっていると捉えることができるのです。戦争に至る経緯について、メディアはもっと多角的、客観的に伝えていってほしいと思います。

・1991年にソ連が補遺介して以降、アメリカやNATOはいかにロシア及び社会主義国を弱体化させ、世界的な影響力をなくしてしまうかということに強い関心をもったのだといえます。

・オバマ政権の副大統領としてのバイデンは、マイダン革命が行われた2014年以降、ロシアの前哨線を押えるという立場で、ウクライナへの軍事支援やNATOの拡大について積極的に発言していきます。

・2014年のミンスク議定書は、ロシアとウクライナとドネツクとルガンスクという四者の取り決めたものですが、いわゆるミンスク合意と言われるものは、2015年の2月にドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領の仲介で成立した「ミンスク2」である。

・2回目のミンスク合意を破ったのはウクライナの方でした。マリウポリを拠点とする過激なネオナチの軍事組織をウクライナの警察や国防軍にいれたことで内戦が始まるのです。

・正規のウクライナ軍が東部の親ロシア武装組織と言われる人達に対して内戦を開始する一方、それと並行して過激派のアゾフ大隊のグループが虐殺を働き、双方で1万4千人の若者が亡くなりました。

・戦闘を中止することができないまま8年間も内戦が継続する状況が続きました。ロシアは2022年突然侵入したのではなく、戦争状況はすでにあったのです。

明石市長12年の泉房穂氏、著書2万部突破にも“毒舌”さく裂「口は悪いが、もっと売れると…」

2023-05-20 17:34:43 | 転載・政治社会と思想報道
明石市長12年の泉房穂氏、著書2万部突破にも“毒舌”さく裂「口は悪いが、もっと売れると…」


スポーツ報知• 1 時間前


著書「政治はケンカだ!」のサイン本お渡し会を行った前明石市長の泉房穂氏(カメラ・筒井政也)
© スポーツ報知/報知新聞社
 今年4月末で兵庫県明石市長を退任した泉房穂氏が20日、大阪・堂島のジュンク堂書店大阪本店で、著書「政治はケンカだ! 明石市長の12年」(聞き手・鮫島浩、講談社)のサイン本お渡し会に出席した。

 元テレビディレクター、弁護士で2003年に民主党から衆院議員になり、2011年から3期12年、明石市長として子ども施策などに尽力し、故郷を立て直した。17年の拡幅工事の土地買収交渉の担当者へのパワハラ発言など数々の問題も起こし“暴言王”の異名も取る。

 お渡し会前に取材に応じた泉氏は、政治への思いや未来をつづった本について「12年やってきて、市長の時には遠慮せざるを得なかったテーマを本音に近い形でメッセージ性を出せたかな。シンプルイズベストで、街や社会は変えることができる。私は結果を出した。政治は結果」と胸を張った。

 代表を務めていた「明石市民の会」は4月30日をもって解散。本書では政治家卒業を明かしているが、「政治は選挙で選ばれた人だけがすると思っていない。他の街の首長選挙にも関わる。明石でできたことは国でもできる。こんなひどい国のまま死にたくはない。何らかの役割は果たしたい」と培った手腕を生かしていく構えだ。

 退任して約3週間。「12年やって疲れたのは本音。ちょっとはゆっくりしたいが、オファーはいろいろある。映画で言えば監督、脚本家、主役の中では脚本、ストーリーを書くのが好き。日本の政治の大転換のシナリオを書きたい」と息巻いた。

 本書は5月1日に発売され、即3刷で2万部突破と単行本では異例の売れ行きだが「口は悪いが、もっと売れると思った。すごくショック。こんなん、売れているうちに入らない。村上春樹の本ぐらい置いてほしい。タレントの写真集を抜いてこそ政治が変わる。12年間の卒業論文、世の中の国会議員全員に買ってほしい」と、出版社側にも毒舌をさく裂した。

 市長時代は舌禍の反省を込めて、怒りを自己調節する「アンガーマネジメント」を学んだことも。「意味はあります。いい勉強になった。一番効いたのは『腹が立ったらトイレに立つ』。帰ってくる間にクールダウンする」と説明。「コンビニに行くとレジが遅くてイライラして『手伝ったろか!?』となるが、そう思わず一緒にクリアするつもりで見守る。コンビニでイラつくのは減りました」と笑って明かした。

【孫崎享のつぶやき】2023-05-20 06:56

2023-05-20 15:43:03 | 転載・政治社会と思想報道

ギャラップ社は2023年「米国の最大の敵国はどこか-%-」中国50、ロシア32、北朝鮮7、イラン2、アフガニスタン1、イラク1以下。ウクライナでロシアを敵に大々的武器支援。にもかかわらず、中国の脅威が露より大。世論自然にできるのでなく政権側の働きか



民主主義は民意に従ってと言われる。 しかし、新聞・テレビの報道機関を操作できれば、民意は作り出せる。

 次に示すのは、ギャラップ社の「世界における米国の位置(U.S. Position in the World)」である。
 如何に時々の米国外交・安全保障政策の重点と一致していることか。
 これは自然に世論が形成されているというよりは、政府側がマスコミを通じ世論を誘導していったとみるのが自然である。

  ギャラップ社は「世界における米国の位置(U.S. Position in the World)」という報告を発表している。その中に「アメリカの最大の敵国はどこか(What one country anywhere in the world do you consider to be the United States' greatest enemy)の問いがある。回答を%で見てみたい。

国名      2023 22   21  20 19  18  16  15 
中国       50  49   45  22 21  11  12  12
ロシア      32  32   26  23 32  19  15  18
北朝鮮       7   6    9  12 14  51  16  15
イラン       2   2    4  19  9   7  14   9
アフガニスタン   1   1    1   1  2   ー   4   3
イラク       ―   ―    2   7  2   2   5   8


 これら敵は米国政府が敵視している度合いとほぼ一致している。いかに操作が機能しているかを示している。
 2015年はいわゆる「悪の枢軸」のイラン、イラク、アフガニスタン、北朝鮮は合計で35%であったが、2023年には10%にしか過ぎない。
 中国は急速に増大している。2023年はまだウクライナでロシアが戦争を行っている時にもかかわらず、中国の脅威の方が大きい。この認識が米国のウクライナ支援にどう影響を与えていくか。

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【孫崎享のつぶやき】2023-05-15 07:496

2023-05-17 06:59:16 | 転載・政治社会と思想報道

中露を敵とする「新冷戦」の中、バイデン政権は安倍元首相と岸田首相をどう評価したか。ウクライナ戦争、中国包囲網、日韓関係を強化し、日米韓の対中包囲網。各々の項目で、安倍元首相と岸田首相はどう受け止められてきたか。意外な結果。




米国は主敵をイラン・イラク・北朝鮮などから、再度「ロシア」「中国」を敵とする「新冷戦」に。その時安倍元首相はどの様な位置づけになるか
 2001年9.11同時多発テロ発生後、米国は「テロとの戦い」を開始した。
 そして、2021年8月30日、米軍はアフガニスタンからの撤退を完了。8月31日、バイデン大統領は国民向けの演説で戦争終結を正式に宣言した。
 米国がイラン・イラク・北朝鮮などを主敵とする戦略はここでほぼ終結した。これに代わって「新冷戦」「第二冷戦」という言葉が使われる。対象はロシア、中国である。

 歴史的にみると、1998年米国上院がNATOをポーランド、ハンガリー、チェコに拡大する決定を行い、これに対してジョージ・ケナンが「新冷戦の始まり」と述べているようだ。
米国が、ロシアと中国を対象に「新冷戦」に踏み込むと、当然米国の日本に対する対応も異なってくる。
実はそれは安倍元首相への扱いの変化となって現れる。
安倍元首相は、「長期政権には米国に従うことが必須」と確信していたと思う。安倍首相(当時)は就任から1年にあたる安倍晋三首相は就任から1年にあたる2013 年12 月26日強い思いで靖国神社を参拝した。これに対し、米国政府は「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに失望している」との声明を在日米大使館のウェブサイトに掲載する。以降安倍首相は靖国参拝は封印した。
トランプ氏が大統領選挙に勝利するや安倍首相は2016年11月18日一番乗りの「トランプ詣で」を行い、トランプ氏に、日本から持ち込んだ「本間ゴルフ」の最高級ドライバー(54万円)をプレゼントした。以降一貫してトランプ氏にすり寄る。

日本国民は、安倍首相は米国との関係に最も努力した首相と思っている。確かにトランプ大統領の時はそうだった。
だがバイデン政権になるや情勢はすっかり変わる。先ず2024年の大統領選挙を控えるバイデン大統領にとって政敵NO1はトランプ大統領だ。国際政治で見れば、ウクライナ戦争を行っている今、敵No1はプーチン大統領だ。そのプーチンと最も交流をした世界の政治家は安倍元首相である。さらに中国問題でも、2020年7月「戦略国際問題研究所」(CSIS)が米国務省の支援で7月下旬に作成した報告書で、今井首相補佐官が長年の親中派とされる二階幹事長と連携し、首相に中国への姿勢を融和的にするよう説得してきたと指摘した。米国は、今井首相補佐官や二階幹事長を動かしているのは安倍首相と思う。安倍首相が辞めたのは同年9月である。
また、米国は中国包囲網形成の上で、安全保障面で日米韓協力を推進しようとしているが、安倍政権の下で日韓関係は悪化した。

バイデン政権では、安倍首相は決して歓迎される人物ではなかった。

「新冷戦」の中、米国は岸田政権を重用

 仮に安倍元首相がバイデン政権に関係されなかったとして、バイデン政権から見て岸田首相はどう評価されるか。
 まずウクライナ問題を見てみよう。米国は最大限の武器援助でウクライナを支援している。安倍元首相は2022年5月英国エコノミストに「侵略前、彼らがウクライナを包囲していたとき、戦争を回避することは可能だったかもしれません。ゼレンスキーが、彼の国が NATO に加盟しないことを約束し、東部の 2州に高度な自治権を与えることができた」とゼレンスキーを批判的に評価している。一方岸田首相は2022年3月21日、ウクライナを訪問し、殺傷能力のない装備品を供与すると表明s、G7でのビデオ参加を呼びかけ、「勝利しゃもじ」を贈呈した。
安倍氏は表向き中国に厳しいことをいうが、具体策となると反中だけではない。例えば中国の一帯一路についても2019年3月25日の参院予算委員会で、対象国の財政健全性、プロジェクトの開放性、透明性、経済性の4条件を取り入れているのであれば、協力していこうということだ。アジアのインフラ需要に日本と中国が協力して応えていくことは両国の経済発展にとどまらず、アジアの人々の反映に大きく貢献をしていくことになる」と語っている。
岸田政権は対中輸出規制に積極的である。

 米国は中国に対し、日・韓・米で包囲網を強化しようとしているが、安倍政権では韓国との関係改善に極めて消極的であった。岸田政権では米国主導の下で、日韓相互首脳訪問を行うなど積極的である。

 こうした中、バイデン政権内で岸田政権の評価が高まってきている。これと呼応して、自民党、マスコミの岸田支援が強化されつつある。


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【孫崎享のつぶやき】2023-05-14 08:00

2023-05-14 12:06:57 | 転載・政治社会と思想報道

老後の生活。国民年金男女全体平均月額:5万6368円、厚生年金男女全体平均月額:14万3965円、65~69歳就業率、2011年36.2%、2021年には50.3%、生活費実収入:23万6576円支出25万5100円、65歳から先の世帯貯蓄・平均値:2376万円・中央値:1588万円



【老齢年金世代】65歳から先の「貯蓄・年金・生活費」みんなの平均はいくらか(LIMO)

1. 【老齢年金世代】65歳から先の世帯「みんなの貯蓄」平均は?

・平均値:2376万円
・中央値:1588万円
平均値は一部の大きい数値に引き上げられる傾向がありますので、より実態に近い
中央値を参考にされるとよいでしょう。

2.【老齢年金世代】老後は何歳まで働き続ける?

2022年9月に公表された総務省の資料によると、65~69歳の就業率は、2011年は36.2%でしたが、2021年には50.3%とまで上昇しています。

3.1 国民年金「みんなの年金月額」
男女全体平均月額:5万6368円
・男性平均月額:5万9013円
・女性平均月額:5万4346円

3.2 厚生年金「みんなの年金月額」
男女全体平均月額:14万3965円
・男性平均月額:16万3380円
・女性平均月額:10万4686円

4. 【老齢年金世代】65歳から先の世帯「みんなの生活費」平均は?

実収入:23万6576円(うち社会保障給付:21万6519円)
支出合計:25万5100円
・消費支出:22万4436円
・非消費支出:3万664円
不足分:1万8525円

この夫婦世帯のケースを見ると、ひと月の生活費(消費支出)は22万4436円、税金や社会保険料など(非消費支出)が3万664円です。
ちなみに、この支出の内訳にはいくつかの落とし穴があります。その1点目が「住居費」で、持ち家世帯を前提として1万円台と低く設定されています。賃貸住宅に住み続ける場合は、家賃との差額がここに上乗せされるわけですね。
また、老後の必要経費ともいえる「介護費用」も含まれていない点にも注意が必要でしょう。公的介護サービスを利用する場合でも自己負担額はかかりますし、有料老人ホームへ入所する場合は初期費用だけで数百万円、月々10万円以上の費用が必要となるケースは珍しくありません。
このモデルケースを見る限り、「公的年金だけで」老後の暮らしをカバーできる世帯は、決して多くはないことが推測できます。


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