【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

新聞うずみ火 最新号

2023-11-30 17:11:57 | 転載・政治社会と思想報道
2023年12月号(NO.218)
1面~3面
島全体が訓練場 徳之島 基地なき島も有事拠点(栗原佳子)
昨年末の安全保障関連3文書の改定からまもなく1年。南西諸島の防衛体制の強化が打ち出されるなか、部隊が配備された島々ではさらなる増強が進められている。空港や港を有事に利用する態勢づくりも進む。そんな中、自衛隊関連施設はないが、なし崩し的に大規模な日米共同訓練の場とされているのが鹿児島県の徳之島だ。              
 
島最北端の徳之島町手々(てて)海浜公園。11月15日午後、静かなビーチに突然、重低音が響き、見る見るオスプレイの機影が近づいてきた。砂浜の枯草や小石などがびゅんびゅん飛び散る。150㍍は離れているが、ものすごい風圧だ。
 
オスプレイは緑地に着陸。すぐに機体の後部ハッチが開き、バラバラっと約15人の隊員が小銃を抱えて飛び出してきた。島しょ防衛を担うという触れ込みで創設された「日本版海兵隊」水陸機動団だ。彼らがビーチで戦闘態勢を取ったのが、遠目にもわかる。ほどなくオスプレイは離陸。戦闘態勢を解いた隊員たちを乗せ、カーキ色のトラックが走り去っていった。あっという間の出来事だった。
 
徳之島は、11月10日から20日まで全国で展開された陸上、海上、航空の自衛隊統合演習の重要な舞台になった。総勢で900人。海岸など島内15カ所以上が訓練場として使われた。日時などは事前に告知されるが、この訓練は公表されていなかった。
 
「本気の訓練だから隠したいんでしょう」と、同行した奄美市の男性がいう。「この公園を使う法的根拠はありません。監視の目がないと思って、やりたい放題ですよ」

世界自然遺産にも指定された徳之島。風光明媚な海浜公園はバーベキューやキャンプ、海水浴もできる人気スポットだ。しかし訓練は、手々集落の住民さえ知らされていなかった。爆音で仰天し、何事かと公園に駆け付けた住民は、自衛官に立ち入りを禁じられたという。
 
オスプレイが着陸した緑地は茶色く変色していた。焦げていたのだ。遮蔽板も敷いていなかった。
 
この統合演習には自衛隊3万人超、米軍1万人超が参加した。1979年から始まった演習に、一昨年から米軍も参加している。
 
徳之島は昨年11月の日米共同統合演習「キーンソード23」で大規模な訓練場になった。日米のオスプレイが訓練するのは国内で初めてだった。
……

4面~5面
混迷続く大阪万博 「投資無駄に」最悪の判断(矢野宏)
開幕まで500日に迫った「2025年大阪・関西万博」。海外パビリオンの建設遅れや会場整備費の上振れなどの山積するなか、メキシコとエストニアが参加を辞退した。他国からもコスト高に不安の声が上がっており、辞退が続く可能性は否めない。大阪市議会で万博・カジノ問題を追及してきた前市議の川嶋広稔さんが11月3日、大阪市内で開かれた「うずみ火講座」で講演。大型プロジェクトが陥りやすい罠に触れ、「効果が得られないなら中止か変更しかない。これまでの投資が無駄になるという判断は最悪だ」と訴えた。

「本当に建設が間に合うのか」。日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長(清水建設会長)が6月22日の記者会見で懸念を示したことで、建設準備の遅れが一気に表面化した。しかも、宮本会長は2022年9月には「2025年日本国際博覧会協会」(博覧会協会)に対し、開幕に間に合わなくなると伝えていたという。
 
「大阪府の吉村洋文知事は博覧会協会の副会長でありながら日建連からの懸念を『聞いていない。耳に入ったのは今年5月だ』と発言したが、統一地方選が終わったあと。無責任すぎないか」と川嶋さんは指摘する。選挙では「万博誘致に成功したのは維新の功績だ」と大々的に宣伝しながら、ここにきての責任転嫁。川嶋さんは「万博は成功したら維新の手柄、失敗したら自民の責任になる」と警鐘を鳴らしてきた。
 
大阪・関西万博は25年4月13日から半年間、大阪湾の人工島「夢洲」(大阪市此花区)を会場に開催される。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。期間中の来場者は2820万人、経済効果2兆円と試算している。
 
万博には150超の国・地域が参加予定。そのうち、メキシコを含む56カ国が当初、自前でパビリオンを建設する「タイプA」を希望していた。「万博の華」と言われるが、建築資材や人件費の高騰で、国内の建設業者が決定したのは半数程度。博覧会協会はプレハブなどの建物を整備し、参加国が外装や内装を行う簡易な「タイプX」を提案したが、移行を決めたのは現時点でブラジルとアンゴラだけ。着工期限は12月~24年1月に迫っており、博覧会協会は複数の国がタイプAを断念すると見込み、25カ国分のタイプXを先行発注した。「撤退ドミノ」を食い止めるための苦肉の策だ。
……

6面~7面
リニア新幹線用地買収 住宅突っ切る高架橋(阿久沢悦子)
リニア中央新幹線の工事現場を歩く随時連載。今回は山梨県の甲府盆地を横切る予定のリニア高架橋の用地買収をめぐり何が起きているかを、甲府地裁での証人尋問から検証する。
「リニアの高架で、自宅の土地が三角形に切り取られるんですよ」
 
最初にそう聞いたのは2年前、リニア高架橋が通る予定の南アルプス市を訪ねた時のことだった。何を意味しているのか、すぐにはつかみかねた。
 
10月24日、甲府地裁であったリニア工事差し止め請求訴訟の口頭弁論で、原告側の書面に掲載された様々な地図を見て、得心がいった。リニア中央新幹線は南アルプス市の住宅地を斜めに突っ切る。高架橋は高さが防音フード込みで約30〜35㍍、幅21・6㍍。JR東海は高架橋の直下の土地「だけ」を買収しようとしている。高架橋ベルトは、現に人が住んでいる用地を分断したり、三角形に切り取ったりしていた。
 
この日は原告や補助参加人8人の証人審問があった。
 
原告の一人、秋山美紀さん(51)は2012年、南アルプス市の一戸建てを購入し、夫、娘と移り住んだ。東側に富士山を望む、日当たりや風通しのいい家だ。3年後、JR東海の住民説明会でリニアのルートが自宅の真上を通ると知った。職員はラジカセからリニアの走行音を流し、「騒音はこのぐらいでそんなにうるさくないです」と説明した。「いくらでもボリュームが調節できるじゃないか」と住民たちは失笑した。JR東海の環境アセスメントでは、防音フード付きの場合、営業運転時の騒音はガイドウエイ中心からの距離25㍍で65デシベルと予測されている。日本の住宅地における環境基準の「夜間40デシベル以下、昼間50デシベル以下」を大きく上回る。
 
秋山さん宅には、その後2、3回、職員が土地の買収交渉に訪れた。敷地の南東にあたる1辺3㍍の三角形の土地だけを売って欲しい、と打診された。ルートは母屋から2㍍しか離れていないが、建物にかかってはいない。
……

8面~9面
宝塚歌劇団の記者会見 開き直る閉鎖社会(粟野仁雄)
「清く、正しく、美しく」のタカラヅカが激震だ。高校から阪急宝塚線沿線に暮らし、『ベルサイユのばら』が大人気だった学生時代は石橋駅で毎朝「押し屋」のアルバイトをしていた。阪神・淡路大震災では、壊れた施設で若き天海祐希さんの稽古も取材、雑誌のグラビアで大スター轟悠さんを取材したこともある。ファンとは言えないが親近感はあった。ところが今回は愕然とする事態だったようだ。
 
中学時代から見ていたヅカガールは電車内では背筋をピシッと伸ばして微動だにせず、ホームでは電車にお辞儀をする。異様な光景でもあった。 

それなら害はないが、9月に宝塚市のマンションで自殺した25歳の宙(そら)組団員Aさんに関して過酷な超過労働とともに先輩団員から陰湿ないじめが続いていたことに対して、加害団員からの謝罪と補償を遺族が求めていることを、代理人の川人博弁護士が発表していた。  
 
この問題は早くから「週刊文春」がスクープとして報じていたが、何が真相なのか。
 
11月14日に宝塚ホテルで開かれる劇団の記者会見に出向こうと劇団広報に電話した。朝からテレビでも「今日の夕方に会見」と報じているのに当日の午後になっても劇団広報の男性は「調整中で日にちも何も決まっていません」と繰り返した。阪急電鉄の広報に聞くと女性が出て「劇団に聞いてください。こちらではわかりません」。会見には参加できたが、司会は阪急電鉄の女性広報部長だった。
 
会見で説明したのは、劇団の木場健之理事長、村上浩爾専務理事ら3人。会見内容は多く報じられているが、要は外部弁護士による聞き取り調査の発表。「ハラスメントやいじめは確認できなかった」と完全否定した。その一方で超過労働は認めて謝罪し、木場氏が辞任することを明かした。
 
会見が始まって1時間以上して週刊文春の記者が「ご遺族の代理人が『いじめがなかったことなど納得できない』と言っています」と尋ねた。文春の記者は、配られた資料をいち早く遺族弁護人に送ったのか。木場理事長は驚いた様子で「答えられません」とした。
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10面~11面
関東大震災100年 横浜の朝鮮人虐殺 巡査告げた「武装せよ」(栗原佳子)
1923年9月1日午前11時48分に発生したマグニチュード7・9の大地震は、震源に近い神奈川県全域に未曽有の被害をもたらした。建物倒壊、火災、土砂崩れ、津波ーー。特に横浜は壊滅状態で、陸の孤島と化した。そこで起きた朝鮮人虐殺は東京以上に大規模だったとされる。しかし、詳しい実態はいまも分からない。「関東大震災時朝鮮人虐殺の事実を知り追悼する神奈川実行委員会(以下、神奈川実行委)」の山本すみ子さんと今本陽子さんの案内で虐殺現場の跡地をフィールドワークした。

JR横浜駅から徒歩10分。住宅街の急な坂道を上りきると、視界が開けた。10月28日、神奈川区高島町の高島山公園。ヒロシマ講座(竹内良夫さん主宰)の連続フィールドワーク「虐殺100年の現在地~歩いて考える関東大震災」の横浜編はここからスタートした。戒厳令下、神奈川の司令部が置かれた場所でもある。
 
「今夜、此方面へ不逞鮮人が三百名襲来することになって居るそうである」「十六歳以上六十歳以下の男子は武装して警戒して下さい」
 
2日午後、巡査が住民や避難者に告げた言葉を教師の八木熊次郎さんが日記に書き留めていた。八木さんは市街地から避難。同じく2日に避難した黒河内巌さんは同日の日記に「朝鮮人が飲用水井戸へ毒を打ち込みたりとて鮮人と見たら皆打殺せと極端なる達しあり」とつづった。
 
「神奈川区は大虐殺地域だったのです」と山本さん。横浜中心部は大火に見舞われ、神奈川区を管轄した神奈川署以外の警察署は全焼した。虐殺は火災エリア周辺で発生。避難地が虐殺の現場と化し、この高島山周辺でも虐殺が繰り広げられた。
 
留学生らでつくる在日本関東地方罹災同胞慰問班調査班が被災地を回った。犠牲者数6661人、うち神奈川県が3999人を占めた。しかし、司法省調査では神奈川県2人、横浜市内はゼロとされた。
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12面~13面
ウクライナ最新報告 負傷兵の病院も標的(西谷文和)
ポーランド、ワルシャワ西駅のバスセンターから夜行バスでキーウへ。キーウには正午に着く。昼のバスに乗ってしまうとキーウ着が深夜、ウクライナには夜間外出令が出ているのでバス停で野宿する羽目になる。なので夜行バスで行く。乗客のほとんどが女性と子ども。18歳以上、60歳以下のウクライナ男性は原則として国に残らねばならないので、ポーランドに脱出できるのは原則、女性と子どもと老人だ。
 10月5日正午、キーウ着。通訳のダニエルと再会。下町のアパートにチェックインして取材開始。まずはキーウ郊外のイルピン陸軍病院へ。実はダニエルの父親は赤紙で軍隊に取られ、東部の激戦地バフムトで戦闘中、撃たれて背中に重傷を負っている。50代でも前線に出向くのだ。以来、父親は自宅でふさぎ込み、仕事もせず酒を飲む毎日。おそらくPTSDになっている。父親と一緒に戦っていた友人兵士がイルピンの病院に入院していて、インタビューに応じてくれるという。さっそくバスでイルピンに向かう。
 
イルピン川に架かる橋が修復工事中。2022年2月24日、北のベラルーシからロシア軍が侵攻。キーウ郊外のブチャを占領した時、「ウクライナ領土防衛隊」が自然発生的に結成され、ボランティア兵士たちがイルピンに集結。北(ブチャ側)のロシア軍と南(イルピン側)の領土防衛隊の間で壮絶な銃撃戦が始まり、人々はこの川を越えてキーウに逃げた。あれから1年8カ月。まだ戦争は終わらない。突然バスがストップし、ここからは徒歩。アスファルトの道がここで途切れているのだ。この先は舗装が剥がされた地道になっている。原因はロシア軍の戦車。戦争初日に大量の戦車がこの街にやってきて、その重量で道路が傷だらけになり、普通車は通行不能になった。戦争は何もかも壊していくものなんだなーと、改めて実感。道路も破壊されているが、両サイドのマンションもトータルに破壊されている。22年3月、ロシア軍が撤退するまでの約1カ月、ここで激しい銃撃戦になり、逃げ遅れた人々が虐殺された。ミサイルや戦車砲が雨あられのように撃ち込まれた。ブチャのマンションはすでに修復されていたが、イルピンのマンションもようやく復旧工事が始まった。もうすぐ厳しい冬がやってくる。住居の確保は喫緊の課題だ。
 
イルピン陸軍病院へ。周囲のビルは爆撃で破壊されている。傷ついた兵士が集まるこの病院は、いまもロシア軍の標的になっている。軍事機密満載の病院、ビデオカメラを回すのは厳禁。手足を失った兵士、破壊されたビル。撮影したいが我慢せざるを得ない。ダニエルの父親の友人、ブジャクさんをお見舞いするという形で、許可を得る。病院内部には、まだ当時の塹壕があり、病棟の壁には多数の銃痕。案内板には穴が空いている。
 
松葉杖のブジャクさん(41)が病棟から出てきた。病院の中に森があって、森の中の木陰、病棟が写り込まない形で撮影開始。ブジャクさんは、東部の激戦地バフムト近郊のクリシュフカの前線で戦っていた。相手はチェチェン紛争でロシア側に立って虐殺を繰り返してきたアハマド将軍率いる民間軍事会社。ワグネルのチェチェン版だ。クリシュフカで4カ月戦った。7月末、いつものように前線で戦っていた時のこと。塹壕にロケット弾が飛び込んだ。
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14面~15面
ヤマケンのどないなっとんねん 傷とホコリの議員たち(山本健治)
岸田内閣の閣僚や政務三役、自民党幹部の不祥事、問題言動などアホらしくて書く気もしなくなっていたのだが、まだ出てきそうである。
 
テレビで訳知り顔に解説しているコメンテーターたちの中には「議員たちの身体検査を十分にしていれば問題も出てこないのに首相の周辺がダメなのだ」というようなことを言っている者もいたが、問題は身体検査ではない。いまや「叩けばホコリが出てくるやつ」や「スネに傷持つやつ」が議員になっているから内閣改造や党人事のたびに問題言動や疑惑が暴露されるのだ。
 
現在の政府、首相や閣僚たちは資質も資格も見識もない、どうしようもない連中ばかりになって、完全に統治能力を失ってしまったのである。こんな情けない首相と内閣、与党内に次の首相を狙う人物がいたり、野党がしっかりしていれば、とっくの昔に退場させられ、新たな首相、内閣が生まれているはずである。
 
だが、そんな人物が与党にはいないし、しっかりした野党も存在しないのが、情けない現状である。次を狙っているとウワサされている自民党茂木幹事長は「明智光秀になりたくない」などと言っているが、そう言うのなら明智光秀でないやり方で天下を取ればいい。こんな言い方しかできない人物の下に人は集まらない。いつまでたっても首相にはなれないし、誰も首相にしたいとは思わない。
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16面~17面
フクシマ後の原子力 世界の反発恐れ棄権(高橋宏)
イスラエルとイスラム組織ハマスとの軍事衝突が激しさを増している。圧倒的な軍事力を駆使して、イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃を強め、その標的は難民キャンプや病院にまで及んでいる。11月14日現在で双方の死者は1万2千人を超え、そのうちの1万1千人余りはパレスチナ側であり、ガザ地区当局によれば5千人弱の子どもたちが犠牲になった。すっかり目立たなくなっているが、ロシアとウクライナの戦闘も続いており、日を追うごとに犠牲者は増え続けている。
 
イスラエルとハマスとの戦争の最中、5日にとんでもない発言が飛び出した。イスラエルの極右政党「ユダヤの力」に所属する閣僚が、ラジオ番組でガザ地区への核兵器の使用について「可能性の一つだ」と肯定する発言をしたのだ。ネタニヤフ首相はすぐに否定し、閣議への出席停止を決めたが、罷免するには至っていない。ネタニヤフ首相はハマスに対し「根絶やしにする」と公言しており、核兵器を使用しない保証はない。
 
ロシアも、7月にメドベージェフ前大統領が、ウクライナの反転攻勢が成功した場合に「核兵器を使用せざるを得なくなる」とソーシャルメディアに投稿して世界に衝撃を与えた。ロシアの核戦略の基本原則では、通常兵器による攻撃であってもロシアの国家的存続が真に脅かされたならば、核での反撃が認められている。メドベージェフ氏は、これに基づいて核兵器使用に言及したと考えられる。
 
どちらも、極端な考えを持つ人間の荒唐無稽な発言と、片付けるわけにはいかない。かつて広島、長崎に原爆を投下した際、アメリカの大義名分は「戦争を終結させるため」であったことを思い返してほしい。少なくともイスラエルやロシアは、抑止力という名目を踏み越え、核兵器を脅しと戦争終結の手段にしようとしている。
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18面
三池炭鉱爆発事故60年 高次脳障害支援法を(矢野宏)
死者458人を出し、戦後最悪の炭鉱災害となった福岡県大牟田市の三井三池炭鉱三川坑(みかわこう)炭じん爆発事故から60年。839人が一酸化炭素中毒となり、記憶障害などの「高次脳機能障害」に今も苦しんでいる。惨事を語り継ぐ集会「原点はここにあった 高次脳機能障害と現代社会」(三池炭鉱炭じん爆発から60年イベント実行委主催)が11月10日、大阪市阿倍野区の区民センターで開かれ、全国に70万人いると言われる高次脳機能障害患者を支援する法律の制定を呼びかけた。(矢野宏)
 
事故は1963年11月9日に発生。坑内で脱線した炭車から出た火花が巻き上がった炭じん(石炭の粉末)に引火、大爆発を起こした。一酸化炭素が充満し、命を取り留めた労働者の多くが高次脳機能障害を負った。一酸化炭素中毒で脳が低酸素状態に陥り、長い闘病生活を強いられた。目に見えない障害のため、「仮病」「なまけ病」などと言われて孤立。家族に暴力を振るう人もいた。
 
事故から3年後、国が労災法の適用を打ち切ったため、患者家族らは救済のための特別立法を求めて国会に請願。67年7月には75人の妻たちが地下350㍍の灼熱の坑底に6日間144時間座り込み、世論を動かし法案成立に向けて大きな力となった。
 
72年には患者と家族が三井鉱山に損害賠償を求めて提訴。93年の福岡地裁判決で、効率化を優先させて炭じんの清掃員を削減させた会社の過失責任が認められたが、三井三池炭鉱は97年に閉山した。
 
集会は3部構成。1部では、実行委代表で、坑内で救助に当たった元三池炭鉱労組役員の立山寿幸さん(88)=堺市=が「爆発で橋などが吹き飛び、15人ほどの遺体が散乱していた。キャップランプが上を向いたり、下を向いたりして埋まっていた」と振り返った。事故翌日には犠牲者の収容が本格化し、立山さんは次々と運ばれてくる遺体をトラックからおろす作業に当たったという。
……

19面
大阪市の木を切る改革 予算不足垣間見え(矢野宏)
大阪市があいまいな選定基準で公園樹などを伐採しているのではないか。「大阪市の街路樹撤去を考える会」(渡辺美里代表)が樹木医に鑑定を依頼した結果、伐採・撤去の対象の中には健全な樹木が含まれていることが判明した。市の緑化課に問いただすと、答えは二転三転した。
 
大阪市は「公園樹・街路樹の安全対策事業」(2018~24年度)を進めるため、伐採する木を選ぶようコンサルタント会社に委託し、2021年3月に報告書を受け取った。樹木医の診断をもとに樹木の状態に応じて、a「保存」、b「剪定または保存」、c「剪定または保存(落枝などの危険性)」、d「要経過観察」、e「要注意樹木」、f「伐採(台風などで倒木の危険性)」、g「伐採(倒木の危険性)」の7段階で判定していた。
 
例えば、扇町公園で今年度中に伐採予定のケヤキは軽い方から2番目の「b」判定。考える会が独自に鑑定を依頼した一般社団法人「地域緑花技術普及協会」代表理事で樹木医で農学博士の細野哲央さんも9月の現地調査で、「活力・樹形とも非常に良好」「安全・安心に支障をきたす事情は見当たらない」と鑑定している。 渡辺さんらが11月2日、市緑化課と面談したところ、課長は「コンサルがいかなる判定をしていても、3年前の樹木医の診断で『異常』が指摘されていれば、それが軽いものであってもリスクが少しでもあるので伐採する方針だ」と明言した。
……

20面
読者近況(矢野宏)
青島記者が開高健賞

【東京】毎日新聞記者の青島顕さんの「MOCT(モスト)『ソ連』を伝えたモスクワ放送の日本人」が「第21回開高健ノンフィクション賞」に選ばれ、11月17日に東京・内幸町の帝国ホテルで贈呈式が行われた。
 モストとは、ロシア語で「架け橋」のこと。第二次世界大戦中の1942年に旧ソ連で日本向けのラジオ放送を開始したモスクワ放送が舞台。戦後の東西冷戦下で、モスクワ放送から流れる日本語放送を担った日本人がいた。目的はソ連の状況や社会主義の理想を伝えるプロパガンダか、架け橋を築くことだったのか。日本人スタッフの人間模様を丹念な取材で描いた。(矢野)

朗読劇「東義久の世界」

【京都】女優の遠藤久仁子さんが主宰する「二人だけの劇場セザンヌ」が12月23、24日と2024年1月27、28日、作家の東義久さんの作品「童話屋でござる」を取り上げ、語りと朗読劇として公演する。
 劇団を40年間続けて1400回以上の公演を重ねてきた遠藤さん。昨年は、炭鉱の「女坑夫」を描いた一人芝居を筑豊各地で公演した。「41周年の新たな取り組みとして、京の作家、東さんの作品を取り上げ、久しぶりに京都の物語の世界を楽しんでいただきたい」と語っている。
 開演時間は12月23日(土)と1月27日(土)午後1時~と3時~、12月24日(日)と1月28日(日)午後3時~。
 会場は京都市南区東九条北烏丸町のセザンヌアトリエ(南図書館向かい)入場料は一般1500円、学生1000円、小中高校生500円。
 問い合わせは、劇場セザンヌ(075・205・1733 FAX075・672・3426)まで。  (矢野)

師走の「あみだ池寄席」

【大阪】噺家の露の吉次さんが会主をつとめる「第66回あみだ池寄席」が12月10日(日)午後2時~西区堀江の和光寺本堂で開かれる。
 師匠の二代目露の五郎兵衛さんから引き継ぎ、年4回開催。2023年の締めくくりは、吉次さんが「兵庫船」「厩火事」の2席を披露するほか、露の端さんと林家染吉さんがゲスト出演する。
 和光寺へは地下鉄千日前線「西長堀駅」⑤出口から東へ徒歩2分。前売り1500円(当日2000円)。
 問い合わせは吉次さん(06・6491・3554)まで。          (矢野)

沖縄DVD上映会

【大阪】「はごろも九条の会」世話人代表の池田憲彦さんから「DVD上映会のご案内」ハガキが届いた。
 「沖縄返還時に日米間で交わされた多くのやり取りを見ながら、今に至る沖縄問題を考えてみたいと思います」
・日時 12月16日(土)午後1時~3時
・場所 高石市の羽衣公民館(パンセ羽衣3階)
・交通 JR東羽衣駅、南海羽衣駅から西へ徒歩5分
・入場無料
 池田さん(090・3873・3210)まで。(矢野)

21面
経済ニュースの裏側 金融緩和の功罪(羽世田鉱四郎)
マネーの氾濫 マネーが増えすぎると、モノ・サービスとの均衡が崩れ、本来のあるべき価格より高くなります。それがインフレです。通貨自体の価値も下落します。2013年から始まったアベノミクスは、金融緩和によるインフレ誘導でした。その後遺症は、今も大きな影響を及ぼし続けています。
 
通貨の下落(円安) 円と主要通貨ドルを比較すると、年間平均では、12年が1㌦=79円でしたが、22年は131円、直近では150円に。1ユーロも、12年が102円、22年は138円となり、直近では160円です。場当たりの経済政策を続ける政府は、補正予算案で、国債(借金)の追加発行を行い、今年度の新規の国債発行は44兆円余りの見通しです。23年6月末の国債残高は1240兆円。中央銀行(日銀)が半分を保有します。参考までに、世界の主要国の政府債務残高をご紹介します。GDP対比です。米国121%、フランス111%、ドイツ66%。日本は260%で、経済不安が懸念されるギリシャ(178%)やイタリア(144%)を上回る水準です。
 
好調な法人業績 一方、法人の決算は極めて好調です。国税庁の資料によれば、22年度決算での全国の法人申告所得は前年比7%増で、2年連続の増収増益です。また23年9月決算の上場企業では、3期連続で、純利益が過去最高の見通し。総合商社では、昨年度の営業利益が軒並み1兆円を超え、過去最高の利益を計上しました。資源高に加え、予想を上回る円安が、利益を押し上げた形です。
……

22面
会えてよかった 久高政治さん⑦ 米国資料で事件の真相明らかに(上田康平)
桜澤論文には、立法院特別委は当
初から被災者を支援していたが、米
軍からの補償が進まない中、被災者、
支援団体は運動を展開し、本土への
訴えも開始、補償問題は解決した、
とあり、私も事件の全体像を知った。
 あとは米国公文書館資料である。
 「資料集 石川・宮森の惨劇
  米国公文書館文書に見る
  ジェット機墜落事件」の発刊
 2016年、久高さんはこの資料集の監修・翻訳にあたる方に米国での資料収集の協力を依頼、渡米準備に入る。墜落事件60周年の19年に資料集として公開するつもりであった。
 ところが16年12月、手に入れたか
った米国公文書館のUSCAR(米
国民政府)関係文書をすでに持って
いた方から寄贈していただくことが
できた。監修者の方がミカン箱一箱
分、全部、翻訳してと依頼されたと
資料集解題に書いておられますねと
言うとプリントしたら2000枚に
なったのだという。17年2月のこと
だった。4月から持ち込まれた資料
 の検討が始まり、12名
 の方で翻訳。空軍の事
 故報告書と合わせて墜
 落事件60周年の19年6
 月、資料集は発刊され
 た。
……

23面
日本映画興亡史 千本組異聞⑥ マキノに影響与えた浅草(三谷俊之)
笹野末三郎が上京したのは22歳の時だった。最初に身を置いたのは、浅草・千束町に一家を構える演歌師の元締めのテキヤ飯島一家系列の親分で、「民謡と俗謡社」を興した倉持忠助だった。柏木隆法が『千本組始末記』で述べているように「当時の浅草はまさにヤクザの文化が華ひらいた時代」でもあった。もともと浅草は芝居や映画などでおなじみの新門辰五郎の縄張り。浅草寺境内一帯のヤクザやテキヤは、新門一家に場代を払っていた。ただ明治を過ぎ、大正に移行してくると他のヤクザやテキヤが力を持ってくる。
 
ヤクザとテキヤだけではない。当時の浅草は浅草12階と呼ばれた凌雲閣がそびえ、日本一の繁華街だった。そして、浅草オペラの全盛期でもあった。大正5(1916)年にアメリカでダンスを学んだ高木徳子が浅草六区の活動写真館「キネマ倶楽部」で10日間にわたって、アメリカ流のオペレッタを昼夜連続公演し、大人気を博したのを嚆矢とする。
 
その後、作曲家の佐々紅華や興行師の根岸吉之助らが「歌劇団」を起こして一大ブームをつくった。「浅草オペラ」は大衆的で、若者のものだった。その熱狂的なファンは「ペラゴロ」と呼ばれた。
 
文士劇を売りものにする特異なオペラ団『常磐楽劇団』には、虚無主義者でアナキストの辻潤たちも舞台に立った。客席や楽屋には大杉栄や谷崎潤一郎がいた。この館を中心に今東光やサトウハチロー、若き宮沢賢治、小林秀雄、今日出海、東郷青児、川端康成らが集った。大杉は伊藤野枝とともに、浅草12階下を闊歩していた。
……

24面
坂崎優子がつぶやく エコでないトイレ自動機能
今年、トイレをリフォームしました。新型コロナも収束していない上に、これからもいろいろな感染症が流行するだろうと、手を触れずにふたが開いて水も流せる、オート機能のあるものを選びました。
 
リフォームを終え使い始めると、気になるところが出てきました。まずはふたの開閉。初期設定ではふたが開いたまま水が流れるようになっていて、ここは閉めてから流れてほしい。選んだ機種は変更が可能でしたが、メーカーによってはふたを閉めてから流すことができないものもあるようです。今回はそこまでチェックしていなかったので、あとからできないとわかってがっかりする可能性もありました。欲しい機能は、商品を選ぶ前に明確にしておく必要があります。
 
そして今回私が最も気になったのは、水の流し方です。「大」と「小」を判断していないことがわかったからです。ふと「どのくらい正確かな」とレバーの動く方向を毎回見てみると、ほとんど「大」の水が流れていたのです。これでは節水タイプに変えた意味がありません。
 
そこでどういう判断をしているのかを調べてみました。うちの機種は、座っている時間が30秒以内ならば「小」、それ以上なら「大」で流します。実際計ってみましたが、いつものペースで使用すると30秒をオーバーします。毎回「大」で流すはずです。この設定もメーカーによって異なり、50秒のところもありました。
……

25面~29面
読者からのお手紙&メール(文責・矢野宏)
コロナで巣ごもり
体力気力失いそう

奈良県大和郡山市 吉松郁美
 うずみ火事務所に顔を出さないまま、今年も残るところ50日余りとなりました。大阪にも3年間行けていません。体力も気力も失われてしまいそうで心細いですが、「私の灯台 新聞うずみ火」を励みに毎日を過ごしています。
 釜ヶ崎フィールドワークに参加したかったです。西成警察署に毎年、「労働者の詩集」をいただきに行っていました。男物の衣服を段ボールで送ったり、カンパしたり、三角公園での炊き出しを手伝ったり、ちょこちょことかかわっていましたが、コロナがはやってからはまったく何もやっていません。
 以前、歌手の加藤登紀子さんが三角公園で歌ったこともありましたが、ずっと前の話でしょうね。水野阿修羅さんの案内で回れば、もっと釜ヶ崎のことを知ることができたのに残念です。
 空襲証言DVDの制作にわずかですが、お役立てください。忘年会の記事もうらやましく読みました。
 (お手紙にはたくさんの切手が同封されていました。ありがとうございます。まずは吉松さんに礼状を)

進まぬ少子化対策
首相はいつ応える

  埼玉県狭山市 根橋敬子
 少子化問題はなぜ、解決しないのか。岸田首相は「従来とは次元の異なる対策を実現する」と表明しながら何も進んでいない。
 子どもが欲しくても産むことができない人もいるだろう。初めから産まないと決めている人もいると思う。生活苦から産めない人々も少なくないだろう。男女平等というが、まだまだ男社会だ。その中でスキルを磨き、上を目指す中で、子育てができるだろうか。
 例えば、出産間近まで出社したとしても、出産すれば最低数カ月は職場復帰はできないだろう。その間も社会は動く。
 今は0歳から預かってくれる保育園も増えた。しかし順番待ちだ。会社に保育所を備えているところもわずかだができた。授乳もできるそうだ。だが心配なのは変わらない。熱が出たと言われれば帰宅せねばならない。仕事のストレスと育児のストレス。たまったものではない。男性で育児休暇を取っている人は数%だという。たまに1年とった人がいると、ニュースになるぐらいだ。
 離婚すれば慰謝料を払わぬ元夫も多い。私の周りにもそのために子供に当たる人が何人かいる。子供は無事に育つだろうか。
 多くの子供が貧困の中で、苦しい生活を強いられている。その上、さらに産めというのか。
 1年間7万円の減税だって?1カ月に、ではない。戦闘機や万博など、無駄なお金はジャンジャン使うのに。
 いつから日本はこんな心の貧しい国になったのか。岸田首相、答えをどうぞ。
 (円安と低成長でこの国の経済力は低下しています。実質賃金も減り続け、安い賃金に甘んじているのが実情です。こんな日本に誰がした?)

……

26面
車いすから思う事 「お願いします」私の変化(佐藤京子)
介助犬イムア君と出かける時、外出先での用足しを避けるため、一度促してから「介助犬(お仕事中です)」マントをつけて家を出る。散歩は60~90分ほどだが、行き先は特に決めない。20分ほど歩き、店舗に入る前にもう一度促す。トイレ用のシートを敷いて準備すると、イムア君が腰を落としてトイレをする。排せつ物をビニール袋に入れ、シートをたたんで車イスの下に片づけるのだが、手が足りない。片手にビニール袋を持ち、片手だけでシートたたむことは至難の業だ。イムア君は今、トイレのシートを拾って渡す練習している。これができるようになると、ずいぶん助かる。
 
いくら介助犬とはいえ、トイレを我慢できない。失敗を繰り返すと、犬自体がどこでしてもよいと錯覚してしまう。それだけは避けたい。最近、イムア君とはいい感じで「トイレする?」の声掛けに集中できるようになった。これまで、店内や電車・バスで失敗したことはない。この状態を維持していくことが大事だと思う。
 
行き先を決めずに歩いているが、最近はコーヒー店に立ち寄ることが増えた。ここでも、トイレをさせてから。近くに駅へ向かう通路があり、トイレをさせるのだが、人通りが絶えない。最近、よく「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけてくれる。通行のじゃまにならないかと心配していたが、声をかけてもらえるのはうれしい。そんな自分の変化に気づく。今までなら「お手伝いをしましょうか」と声をかけられても、「大丈夫です」と応えていた。他人に犬のトイレの準備を頼むのは気が引けたからだ。だが、最近は「ありがとうございます。お願いします」と応えるようになった。あれをしてこれをしてと頼むのは苦手だったが、声をかけてくれた人もドキドキしているだろうと思う、心のゆとりが出てきたようだ。
……

27面
絵本の扉「こんとあき」(遠田博美)
1986年生まれの娘に毎夜読んでいた絵本の中で、読んだ回数が一番多かったのが林明子さんの作品でした。『こんとあき』は娘が3歳の時に我が家にやってきました。
 
きつねのぬいぐるみの「こん」は、おばあちゃんに頼まれて赤ちゃんのお守りに砂丘町からやってきます。まだ赤ちゃんのいない籠の前にいるこんは退屈。次のページには、赤ちゃんの「あき」が眠っていて、あまりの可愛さにビックリしているこんがいる。あきが生まれて数年経った時、こんの腕がほころびてしまい、こんとあきは連れだって直してもらいに砂丘町のおばあちゃんの所へ。初めて電車に乗るあきを、こんは常にサポート。お腹が空いたらどうするのと不安げなあきに、こんは「だいじょうぶ」とお弁当を買いに行く。心配するあきにいつも「だいじょうぶ」と安心させるのです。
 
けれど、駅弁を買った帰りにドアにシッポを挟まれて一転ピンチに。車掌さんの機転で事なきを得て、砂丘町に到着。砂丘を越え、おばあちゃんの家までまた冒険が始まります。大きな犬に出会っても「だいじょうぶ。ぼくがついているからね」とあきを守る。犬にほえられても砂に埋められても、「だいじょうぶ。だいじょうぶ」と小さい声で安心させようと励ますのです。
 
最後はあきに背負われ砂丘を下りますが、小さい声で「だいじょうぶ。だいじょうぶ」と言い続けるこん。絵本の文字がどんどん小さくなり、読み手にこんの健気さを伝えます。ようやくおばあちゃんの家にたどり着き、綻びを直してもらったこん。その笑顔はとてもさわやかなです。
……

30面
うずみ火掲示板 豊中空襲記録映画 12月17日に上映会(矢野宏)
「豊中に平和と人権に関する資料館を求める会」事務局の山東健さん(78)が企画・監督を務めたドキュメンタリー映画「神崎川―豊中南部空襲6月7日の記録」(50分)がこのほど完成し、12月17日、豊中市立地域共生センターで上映会を行う。
 
太平洋戦争末期の1945年6~7月、豊中市は6回の空襲に見舞われ、計575人が犠牲になった。最も被害が大きかったのが6月7日の第3次大阪大空襲だった。来襲したB29は409機。初めて1㌧爆弾が投下されたあと、焼夷弾による爆撃、さらには138機の米戦闘機P51ムスタングによる機銃掃射も加わった。
 
実はこの日の攻撃目標は大阪陸軍造兵廠だった。現在の大阪ビジネスパーク、大阪城公園の東部と大阪環状線を挟んだ東側に広がる東洋一の軍需工場だ。だが、大阪の上空に梅雨前線が張り出し、豊中市や隣接する吹田市などを「誤爆」したものと見られている。
 
神崎川をはさみ大阪市淀川区に隣接した豊南地区は、当時は豊能郡小曽根村だった。農地が広がる中に軍需工場が立地しており、大きな被害を出した。
 
上映会は午後2時から。公開に先立ち、ドキュメンタリー「流言飛語百年」などを制作した毎日放送ディレクターの亘佐和子さんと「神崎川」の監修・語りをつとめた矢野との対談が予定されている。制作カンパ1000円。問い合わせは山東さん(090・3275・9521)まで。

30面
編集後記(矢野宏)
野球が大好きだった黒田清さんは、セリーグは阪神タイガース、パリーグでは阪急ブレーブス(現オリックス・バファローズ)の熱烈なファンだった。阪神が18年ぶりのリーグ優勝、オリックスがリーグ3連覇を達成し、今年の日本シリーズは59年ぶりの関西決戦としても盛り上がった。黒田さんが生きていたら、仕事に手がつかなかっただろう。▼この号がお手元に届く頃には大阪と神戸で優勝パレードも終わっているだろうが、姫路の谷野勉さんもお怒りのように、運営費を賄うクラウドファンディングも低調だ。21日時点で1万1600人以上から約9000万円が集まったが、目標額5億円の2割に満たない。▼低迷の理由は、パレードに絡めて大阪万博をPRするような姿勢が批判を招いたからだ。大阪府の吉村知事は、パレード開催を発表した記者会見で、万博のキャラクターとともに登場し、「万博を一緒に盛り上げたい」と強調。府が開催費用を集めるため、府教委を通じて教職員にクラウドファンディングの周知を要請したことも「寄付の強制だ」と反発を招いた。▼府市がパレード来場者の誘導などをする要員として職員計3000人にボランティアを募り、スタッフジャンパーを支給するのみ。一方、兵庫県と神戸市は休日勤務扱いとなることから、待遇差に不満が漏れる事態を招いている。▼府関係職員労働組合の小松康則委員長は「知事のトップダウンで職員の多くが長時間労働を強いられている。府には絶対評価で毎年約15%の職員を下位評価にする人事制度があり、ボランティア要請に『強制』と感じる職員は少なくない」と語っていた。ある川柳を思い出した。「黒田記者 存命ならば 何と書く」 (矢)

31面
うもれ火日誌(矢野宏)
10月9日(月・祝)
 矢野 午後、大阪市西区の新阿波座公園から難波までの「あかんやろ!カジノ 女性パレード」を取材。力強い。
10月11日(水)
 栗原 午前、群馬県藤岡市の市歴史館で、文化財保護課が保管する関東大震災時の藤岡町の関連文書を閲覧、撮影。午後、群馬県庁へ。「群馬の森」追悼碑をめぐり再び県を提訴した市民団体の会見を取材。夕方、藤岡事件を語り継ぐ市民の会の会議を取材。
10月14日(土)
 午後、新聞うずみ火主催の釜ヶ崎フィールドワーク。長年、日雇い労働者として暮らしてきた水野阿修羅さんの案内で現地を回った後、新井信芳さんの居酒屋「グランマ号」で懇親会。
10月15日(日)
 矢野、栗原 午後、近鉄特急で名古屋へ。パレスチナ自治区ガザ地区について「パレスチナこどもキャンペーン」スタッフに話を聞く。夜、ガザ空爆反対を訴える街頭アピールを取材し帰阪。
10月18日(水)
 矢野、夕方、大阪市北区の扇町公園で「大阪市の街路樹撤去を考える会」の渡辺美里さん、谷卓生さんの案内で伐採対象の樹木を見て回る。渡辺さんらが依頼した樹木医が健全と鑑定した木まで対象になっており、選定基準のあいまいさが浮き彫りに。
10月19日(木)
 「水俣病被害者救済措置法」に基づく救済の対象外となった128人が国と熊本県、チッソに損害賠償を求めた訴訟で、国の救済策の見直しを迫った大阪地裁判決を不服として国などが控訴。矢野、栗原 午後、大阪府島本町に住む原告、前田芳枝さんに話を聞く。
10月20日(金)
 矢野、栗原 夕方、水俣病第2次近畿訴訟の原告、白川良子さんを取材した後、京都大へ。緊急学習会「ガザとは何か」で、パレスチナ問題に詳しい早稲田大教授、岡真理さんの話を聞く。
 午後、石田冨美枝さんが新聞折り込みチラシのセット作業に。
10月23日(月)
 午後、柳田充啓さんが35年物の梅干しを持参。新聞折り込みチラシのセット作業を手伝ってくれる。
10月24日(火)
 夕方、217号となる新聞うずみ火11月号が届く。長谷川伸治さん、工藤孝志さん、康乗真一さん、大村和子さん、樋口元義さん、多田一夫さんの手を借りて発送作業。郵便局の回収にぎりぎり……間に合わず。残りの新聞は翌日。
……

32面
うずみ火講座(矢野宏)
2024年のスタートを飾る「うずみ火講座」は1月27日(土)午後2時半~大阪市浪速区の市立難波市民学習センターで開催します。パレスチナ問題やアラブ文学が専門でパレスチナ自治区ガザへの渡航経験がある早稲田大教授の岡真理さんを講師に招き、パレスチナのガザで何が起きているのかなどについて解説してもらいます。
 
イスラム組織ハマスが10月7日、イスラエルを奇襲攻撃して以来、自衛を名目にしたイスラエルによる虐殺が繰り広げられています。ガザの犠牲者は1万2000人を超え、その半数が子どもです。岡さんはこう訴えています。
 
「今、起きていることは、暴力の連鎖でも憎しみの連鎖でもありません。テロリストに対する自衛の戦いでもありません。イスラエルが75年前に行ったパレスチナの民族浄化を完遂するためのジェノサイドです」
 
一日も早い停戦を祈りつつ、皆さんの参加をお待ちしています。資料代1000円、学生500円。
 
会場はJR難波駅直結、OCAT4階。地下鉄なんば駅から徒歩5分
32面
忘年会のお知らせ(矢野宏)
12月2日(土)午後5時とお伝えしましたが、午後6時からに変更します。新宿2丁目の中華料理店「隋園別館・新宿店」(都営線「新宿3丁目駅」⑤出口から徒歩3分)で開催します。二次会は「海森2号店」(03・3355・5183)で。
 翌3日(日)の埼玉読者会は正午に西武新宿線「新所沢駅」西口改札に集合。徒歩5分の「デルフィーノ新所沢」で(会費5000円)。会食後は本川越に移動し、喜多院などを散策する予定です。申し込みは根橋さん(090・9245・0531)まで。
 大阪忘年会は9日(土)午後6時~淀川区宮原の韓国料理店「セント」(地下鉄御堂筋線「東三国駅」から徒歩3分)で開催。会費は4500円。近くの店で二次会も予定しています。初めての方もご参加ください。


「九条の会」メールマガジン 2023 年 11 月 25 日 第404号

2023-11-26 17:20:06 | 転載・政治社会と思想報道
★九条の会 メールマガジン ★ 第404号 ★
★2023年11月25日発行★    「九条の会」mag@9jounokai.jp ★
★憲法9条、未来をひらく★    転送/登録歓迎 http://www.9-jo.jp/ ★



 第404号の主な内容 

■事務局より
◇サイトのトップページ上部から「メルマガ登録」を
■各地から
◇東松山九条の会(埼玉県東松山市)、◇憲法を守る加茂9条の会(宮城県仙
台市)、◇みやぎ憲法九条の会(宮城県)、◇東松山九条の会(埼玉県東松山
市)、◇えびな・九条の会(神奈川県海老名市)、◇九条の会足立連絡会(東京
都)、◇調布九条の会「憲法ひろば」(東京都調布市)
■活動報告
◇えびな・九条の会(神奈川県海老名市)
■編集後記 ガザがひどいことになっている。
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┃ ☆ 事務局より ☆                       ┃
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    おります。ここ【http://www.9-jo.jp/】からご自分で簡単に登録でき
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<詳細はこちらをクリックしてください>
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┃ ☆ 各地から 全国の草の根にはこんなに多彩な活動がある!☆   ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 催し案内や活動報告の掲載原稿を募集しています。本欄に掲載を希望する方
はmag@9jounokai.jp に投稿して下さい。掲載は原則として「九条の会」関係
の催しに限り、1行事1回掲載とします。このメルマガは毎月10日、25日
発行です。投稿される方は発行日の3日前までにお願い致します。原稿はチラ
シなどの添付ではなく、できるだけ掲載形式でデータを作ってお送りください。
編集に際して若干、手を加える場合があります。
 掲載の行事は、新型コロナ感染症の関係で中止になる場合があります。あら
かじめ主催者にご確認ください。               (編集部)
● 東松山九条の会(埼玉県東松山市)
ミニ映画会・武力で平和は守れない
 医師・中村哲 現地35年の軌跡「荒野に希望の灯をともす」DVD版上映会
日時:12月1日(金)14:00〜16:00
<詳細はこちらをクリックしてください>
http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS20231125.htm#b
● 憲法を守る加茂9条の会(宮城県仙台市)
憲法9条ってなにっしゃ Part57「ミサイル買うより税金減らして生活支援を」
〜憲法9条、13条、25条の実質化を目指して〜
日時:12月2日(土) 13:30〜15:30
<詳細はこちらをクリックしてください>
http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS20231125.htm#c
● みやぎ憲法九条の会(宮城県)
大軍拡・改憲 NO!「憲法9条を守り生かす」宮城のつどい2023
日時:12 月 3 日(日)13:00〜16:00(開場 12:00)
<詳細はこちらをクリックしてください>
http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS20231125.htm#d
● 東松山九条の会(埼玉県東松山市)
第19回東松山九条の会記念講演&総会
日時:12月3日(日)13:00〜
<詳細はこちらをクリックしてください>
http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS20231125.htm#e
● えびな・九条の会(神奈川県海老名市)
映画『医師中村哲の仕事・働くということ』上映会
    〜憲法9条の理念を体現した生き方に学ぶ 
12月8日(金)18:45〜20:00
<詳細はこちらをクリックしてください>
http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS20231125.htm#f
● 九条の会足立連絡会(東京都)
第8回不戦のつどい
日時:12月8日(金)18時30分〜20時30分  
<詳細はこちらをクリックしてください>
http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS20231125.htm#g
● 調布九条の会「憲法ひろば」(東京都調布市)
第196回(12月)例会
<九条の会年末大行動に呼応企画 調布「憲法ひろば」発足19年記念> 
 戦争への道 軍事大国化と明文改憲を許すな!
日時:12月10日(日)13:30〜
<詳細はこちらをクリックしてください>
http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS20231125.htm#h
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ☆ 活動報告 ☆                        ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
● えびな・九条の会(神奈川県海老名市)
ガザ連帯、平和への思いあふれる駅前行動に
<詳細はこちらをクリックしてください>
http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS20231125.htm#i
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ☆ 編集後記 ☆                        ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
● ガザがひどいことになっている。
 このために力を割きたい。(T)
<詳細はこちらをクリックしてください>
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転載【東京新聞】2023年11月24日 06時00分

2023-11-24 06:55:37 | 転載・政治社会と思想報道
「自衛隊の南西シフト」で「戦争の姿が見え始めた」 沖縄・鹿児島の人々が国会前で訴えた切実な思い


 沖縄も日本も戦場にさせるな―。政府が進める沖縄県名護市の辺野古(へのこ)新基地建設や自衛隊の南西シフトに反対する集会が23日、国会前で開かれた。同日に那覇市であった「県民平和大集会」に全国各地で連帯する行動で、沖縄、鹿児島両県の島民らも参加。「有事になれば基地のある島が狙われる」「戦争の準備は始まっている」と危機感を訴えた。(安藤恭子)

 自衛隊の南西シフト 九州南端から台湾へと連なる南西諸島で、自衛隊の体制を強化する日本政府の方針。中国の軍事的台頭を背景に2010年の「防衛計画の大綱」で部隊配備が明記された。16年の与那国島(沖縄県)の陸上自衛隊駐屯地をはじめ、19年の宮古島(同)、奄美大島(鹿児島県)、今年3月の石垣島(沖縄県)と開設が続き、ミサイル部隊などの新編・移駐が進められてきた。

◆「東京でも想像してみてください」

 「島では戦争の足音だけでなく戦争の姿も見え始めた。東京でも想像してみてください」。沖縄県宮古島市の清水早子さん(75)は国会正門前に立ち、聴衆に呼びかけた。

国会正門前で「沖縄を戦場にするな」と呼びかける人たち=23日、東京都千代田区で(安藤恭子撮影)

 陸上自衛隊と米海兵隊は10月、九州・沖縄で離島防衛を想定して戦闘射撃や負傷兵搬送を行う大規模訓練を展開。有事には先島諸島の住民ら約12万人を九州全域に避難させるとする国の想定があり、宮古島ではシェルター機能のある地下施設の整備も検討されている。清水さんは「12万人もどうやったら運べるのか。小さな島にいるからこそ、この国の行く末がよく見える」と危ぶんだ。

◆「武装すれば必ず敵をつくる」

 沖縄県石垣市で農業を営む上原正光さん(70)は、戦闘が続くパレスチナ自治区ガザと島の状況を「閉じ込められているのは同じ」と重ね合わせた。「武装すれば必ず敵をつくる。核シェルターなど役に立たない。島々の力だけでミサイル戦争は止められないから、反戦のために一緒に闘ってほしい」と訴えた。
 沖縄集会の運営委員によると、同日の集会・行動は横浜や大阪など11カ所で計画。国会前集会は、南西諸島で戦争になれば本土の米軍・自衛隊も参戦する恐れがあるとして開かれ、主催者発表で約2000人が参加した。実行委員会の野平晋作さん(59)は「沖縄と本土では、戦争への危機感の隔たりがあまりに大きい。共有できる機会となれば」と願った。

【関連記事】「これは本土の問題だ」…新宿で、横浜で、沖縄の「県民大会」主催者がマイクを握る真意
こちら特報部
2023年10月29日 12時00分
 沖縄を再び戦場にさせない—。日本政府が対中国を念頭に南西諸島の軍事力を高める「南西シフト」への危機感から、11月に沖縄県内で開かれる1万人規模の県民大会。主催団体を代表し、前南城市長の瑞慶覧長敏ずけらんちょうびんさん(65)が今月、米軍基地のある東京都や神奈川県を訪れて「これは本土の問題だ」と訴えた。平和の構築を巡る沖縄と本土の認識の隔たりは大きい。つながろうとする人々の姿を追った。(安藤恭子、西田直晃)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/286609

【関連記事】フォークシンガー知念良吉さんが支える沖縄発の平和運動 23日に県民大会 歌を力に次世代へつなぐ
こちら特報部
2023年11月20日 12時00分
 沖縄から反戦を訴える市民運動「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」が23日に那覇市で開く県民大会では、平和を願うコンサートも予定されている。その音響設営を担い、自らも歌うフォークシンガーの知念良吉さん(71)はボランティアで携わる。沖縄の平和運動をどう若い世代につなげていけばよいのか。沖縄のイベントでは欠かせない音楽を通じて模索を続けている。(宮畑譲)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/291051


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【孫崎享のつぶやき】2023/11/22 08:08

2023-11-22 10:43:57 | 転載・政治社会と思想報道
最近のウクライナ情勢①戦場、南部で伊位なの意図する奪回ならず、東部で押され気味②ウクライナでゼレンスキーと軍との見解の違い露呈 ③米国のウクライナ支援、下院の混乱の中追加支援が決定できない④世界の関心ガザへ、支援弱体化、⑤欧州に支援疲れ


ウクライナ、反攻の成果乏しく 今冬は厳しい防戦に(日経)
2023年11月20日 17:14 [会員限定記事]

【ウィーン】ウクライナ軍の"領土奪回に向けた反攻が厳しさを増している。"最重視した"南部ではアゾフ海沿いまで奪回する目標を達成できず、東部では人海戦術を展開するロシア軍の攻勢に押され始めている。戦闘継続の頼みの綱である欧米の支援を巡っても不安が広がり"、今冬は現在の戦線を維持するための防戦を強いられそうだ。
ウクライナ軍は6月から始めた反攻の目標にロシア本土とクリミア半島の間にあるアゾフ海沿い.のザポロージェ州など南部領土の奪回を掲げた。
ウクライナ軍は前進したが、要塞化したロシア軍の防御ラインに阻まれ、アゾフ海から約100キロMno地点にしか到達できなかった。現在は同州で活発な攻勢はみられていない。

U軍のザルジニー総司令官は戦局が「膠着した状態にある」との認識を示した。

ゼレンスキー大統領は「今の状態は膠着ではない」と即座に否定し、大統領と軍の間で不協和音が生じているとの見方も浮上した。
東部ではロシア側の反勢が目立っている。アプデ.ーフカへの大攻勢。

"ウクライナが頼みとする欧米の軍事援助は細りつつある。"ゼレンスキー大統領は「"ガザで支援の供給は減っている。"援助がなければ我々は後退することになる」と危機感をあらわにした。

"米議会ではウクライナ支援に向けた緊急予算案が先送りされ、成立の見通しがたたない。"欧州連合のボレル外交安全保障上級代表は14日3月に合意したウクライナへの来春までの100万発の砲弾の供給は困難との見通しを示した。すでに提供されたのは30万発にとどまるという。
イタリア首相は9月ウクライナ情勢に"「皆とても疲れている。出口が必要と理解する時が来ている」と吐露した。"

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【色平哲郎氏からのご紹介】 2023年11月15日 17:50

2023-11-18 07:09:14 | 転載・政治社会と思想報道
【日経】下水サーベイランスの追加によるCOVID-19スクリーニング検査の経済効率の改善を解明 


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早大・神奈川県立保健福祉大など、下水サーベイランスの追加によるCOVID-19スクリーニング検査の経済効率の改善を解明 
日本経済新聞 2023年7月27日

【プレスリリース】発表日:2023年07月27日
下水サーベイランスの追加によるCOVID-19スクリーニング検査の経済効率の改善を解明

【発表のポイント】
● 個別施設における下水サーベイランスのメリットを、感染者数・死亡者数・医療費への影響を含めてシミュレーションで定量化し、経済効率指標の1つである投資回収率(ROI)(※1)を推定。
● 日本国内の長期介護施設においてCOVID-19のスクリーニング検査を実施する場合、1次スクリーニングの手法として、抗原検査よりも個別施設における下水サーベイランスを用いる方が、経済効率を改善し費用削減を実現する可能性が高いことをシミュレーションで提示。
● スクリーニング検査が費用削減を実現する(ROIが1以上になる)ために必要な条件として、検査費用の項目ごとに許容できる上限額(例:下水サンプル採取の人件費(20万円)、抗原検査(1740円))、長期介護施設が立地している地域の新規感染者数[人口 100万人当たり1日当たり]等を損益分岐点として提示。

早稲田大学人間科学学術院および神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科のユウ ヘイキョウ教授らの研究グループは、COVID-19の下水サーベイランス(下水中に存在するヒト由来のウイルスを検査・監視すること)の経済効率性を明らかにしました。

本研究成果は、米国疾病予防管理センター(CDC)が出版する『Emerging Infectious Diseases』(論文名:Economic Evaluation of Wastewater Surveillance Combined with Clinical COVID-19 Screening Tests, Japan))〈和訳:日本におけるCOVID-19の臨床スクリーニング検査と組み合わせた下水サーベイランスの経済
評価〉にて、2023年7月21日(金曜日)にオンラインで掲載されました。

(1) これまでの研究で分かっていたこと(科学史的・歴史的な背景など)

COVID-19を含む大規模な感染症に対し、人を対象とする臨床Polymerase Chain Reaction PCR検査と抗原検査は個人レベルの陽性者を検出するために不可欠ですが、これらの検査には検査回避行動や無症状者の検出率の低さ、そして流行ピーク時の高い検査需要が検査機関の受け入れ能力を上回るなど、さまざまな限界があります。その結果、臨床検査に基づく疫学調査では新規感染者数が過小評価される傾向があります。

このような臨床検査の限界に対し、下水サーベイランス(下水中に存在するヒト由来のウイルスを検査・監視すること)は、地域のCOVID-19のまん延状況の把握や、個別施設における感染者の有無の探知を可能とし、効果的・効率的な感染症対策につながることが期待されています(内閣官房のホームページ: https://corona.go.jp/surveillance)。特定の施設における感染者の有無と下水中ウイルス量に関連があることは、2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピック選手村でも実施された下水サーベイランスで実
証されました。( https://www.hokudai.ac.jp/news/2022/08/2020-3.html)

臨床スクリーニング検査に比べ、下水サーベイランスの経済効率が高い可能性は先行研究において示唆されてきましたが、我々が文献を検索した限り、下水サーベイランスの経済効率を本格的に評価した研究はこれまで発表されていませんでした。

*以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/659904/01_202307271550.pdf

https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP659904_X20C23A7000000/


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【孫崎享のつぶやき】2023/11/16 06:21

2023-11-18 05:58:02 | 転載・政治社会と思想報道
米中首脳会議。ブルムバーグ「バイデンと習、のるかそるかの会談で、経済、軍事の雪解けをうかがう、軍事的接触、輸出規制が最重要議題」、CNN「バイデン大統領は首脳会談で、両超大国間の緊張を経て、より安定した軌道に乗せて終えたいと望んでいる。


A-1:ブルムバーグ:バイデンと習、のるかそるかの会談で、経済、軍事の雪解けをうかがう、軍事的接触、輸出規制が最重要議題、米大統領、低迷する中国経済を支援したいと発言11月15日アジア太平洋経済協力会議のサミットに合わせバイデン米国大統領と中国の習近平主席が慎重に計画し待望されていた対話が水曜日、サンフランシスコ南方のフィローリ邸で開かれる。

経済競争や軍事的・外交的失策によってひどく緊張した関係を修復しようとするという、眩暈するような議題を含む。首脳らは、太平洋の空と海での衝突を回避することを期待して軍間通信の再開を求める米国の要請や、フェンタニルの製造・流通ネットワークを取り締まる中国の包括的な法執行の取り組みについて話し合う予定だ。両首脳はまた、人工知能、台湾の地位、ウクライナとイスラエルに関わる紛争についても話し合う予定だ。中国当局は米国への輸出規制、関税、投資制限の撤回を求める可能性が高い。この会談は、2022年11月にインドネシアのバリ島で行われた前回の会合とほぼ同じ形式で行われる予定である。バイデン氏と習氏は握手の挨拶の後、側近らとの会談に臨む予定だ。休憩の後、より多くのグループが追加の会談に集まり、会議の合計時間は数時間に及ぶことが予想される。

結論が出れば、バイデン氏は記者会見を開く一方、習氏はサンフランシスコに戻り、米政府幹部らと夕食を共にする予定だ。ホワイトハウスのカービー報道官は火曜日、米国と中国の当局者が数週間かけてこの行事の議題と構成について協議したと述べた。「ここで非常に生産的で率直で建設的な会話が行われることを期待しており、何週間もかけてテーブルが再び設定されました」とカービー氏は語った。.匿名を条件に会談に先立って記者団に説明したある米当局者は、習主席が中国国内で強固な権力を築いたことから、今回の会談は関係に変化をもたらす貴重な機会となり、賭けはこれ以上ないほど高いと語った。今年初めに中国を訪問したジャネット・イエレン財務長官は、到着時に空港で出迎えた。

中国経済


バイデン氏は会談に先立ち、成長が米国の知的財産を犠牲にしないことを条件に、低迷する中国経済を支援することが目標に含まれると述べた。「もし中国の平均的な国民がまともな給料の仕事に就くことができれば、それは彼らにとっても私たち全員にとっても利益となるのです」と彼は語った。 「しかし、中国に投資したければすべての企業秘密を引き渡さなければならないという立場への支持を維持し続けるつもりはない。」米国当局者は、習主席がこの問題を推進すると予想していたにもかかわらず、米国は関税制度の変更や中国企業に対する制裁を発表する予定はなかったと述べた。

習近平国家主席の訪米


中国の指導者は9回目のアメリカ訪問となる


中国の偵察気球の誤作動や当時の下院議長ナンシー・ペロシの台湾訪問をめぐる注目を集める衝突にも関わらず、習主席が関与に意欲を示している理由の一部は、経済的不安によって説明されるかもしれない。中国の不動産セクターの危機は、同国の経済がもはや米国を超える軌道に乗っておらず、パンデミック後の同国の回復を圧迫している。

以前:バイデン氏と習氏、対立と経済関係を乗り越えるためにAPECで会談

中央銀行のデータに基づいたブルームバーグの計算によると、外国による同国の株式と負債の保有は、2021年12月のピークから今年6月末までに約1兆3700億元(1880億ドル)、または17%減少した。それでも、米国と中国の間の二国間貿易は2022年にほぼ7,600億ドルに達し、物的および金融資産への投資額は1.8兆ドルに達した。

国内視聴者

米中専門家らは、両国が直面する課題に対する単純な答えはないが、バイデン氏と習氏がある程度の相互理解を再構築できることを期待していると述べている。「欠けている大きなものは信頼だ」とジョージタウン大学の地球規模問題に関する米中対話イニシアチブの上級研究員デニス・ワイルダー氏は言う。 「今日ほど米中の信頼関係の赤字が大きいのは見たことがない。」ピーターソン国際経済研究所の上級研究員メアリー・ラブリー氏によると、協力を示すことで習主席は中国企業に悪影響を与える一連の行動が終わりつあることを国内に知らせることができ、消費者や投資家の信頼感の低迷に苦しむ経済を支えられる可能性がある。それでも、両首脳は国内の聴衆、特に厳しい再選に直面しているバイデン氏のために慎重に行動しなければならない。

ブルームバーグ・ニュース/モーニング・コンサルトの今月の世論調査では、激戦州の有権者の46%が中国に関して共和党の最有力候補であるドナルド・トランプ元大統領を信頼していると答えたのに対し、バイデン氏は34%だった。

A-2
CNN:ジョー・バイデンが習近平とののるかそるかのの会談から得たいものWhat Joe Biden hopes to get from his high-stakes meeting with Xi Jinping


バイデン大統領は、水曜日に注目される中国の習近平国家主席との首脳会談で、数ヶ月にわたる両国の超大国間の緊張を経て、米中関係をより安定した軌道に乗せて終えたいと望んでいる。再選を目指して戦う準備を進め、中東と欧州で紛争が激化する中、バイデン氏は自身の監視下で新たな危機が爆発するのを阻止したいと考えている。同氏は、米国人だけでなく、習氏に直接、中国との関係改善がなぜすべての人の利益になるのかを証明しようとしている。会談に先立ち、米国当局者らは期待の管理に慎重で、首脳間の首脳会談後の通例のように、長い成果リストや共同首脳声明さえも期待していないと述べた。むしろ、会談の主な目的は、米当局者が公然の紛争につながる可能性があると懸念する種類の誤解や誤算を回避するために、主に軍を通じたコミュニケーション経路を回復することにあるようだ。バイデン氏はカリフォルニアへの出発に先立ち、対話のの成功は中国との「正常な軌道」に戻ることだと定義すると述べた。同氏は、それには「コミュニケーションをすること、危機が生じた場合に電話に出て互いに話すことができること、軍隊が互いに連絡を取り合っていることを確認できること」が含まれると述べた。昨年の大部分において、米国当局者らは今週のバイデン・習首脳会談に向けた基礎づくりに取り組んできた。両国間の外交ルートを再確立する目的で、サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官は中国の王毅外相と3回会談し、ブリンケン国務長官、ジャネット・イエレン財務長官、ジーナ・ライモンド商務長官、ジョン・ケリー米国気候公使も会談した。全員北京を訪れた。この提案は別の方向にも拡大されており、外相を含む中国の最高幹部らが米国を訪問し、米国側と会談した。

米当局者らは、軍備管理や海洋問題など特にデリケートなテーマについて中国政府との実務者協議が確立されたと述べた。こうした取り組みに詳しい関係者らによると、ワシントンはここ数カ月、コミュニケーションラインを強化し、誤解を軽減するために協力する両国の知恵を中国側が受け入れ始めている兆候が見られているという。政府高官は「今こそハイレベル外交の時だ」と語った。 「激しい競争には、緊張を管理し、競争が紛争や対立に陥るのを防ぐための激しい外交が必要であり、要求されます。」

緊張が紛争に発展しないように努める

バイデン氏と習氏は副大統領時代に培った深くて温かい個人的な関係にもかかわらず、米中関係がここ数十年で最低レベルにまで悪化するのを監督してきた。昨年夏のナンシー・ペロシ下院議長(当時)の台湾訪問を受けて、中国は米国との軍事通信を遮断した。バイデン政権当局者らはそれ以来、海峡の復旧に取り組んできたが、今年初めにバイデンが撃墜を命じた中国の偵察気球に関わる緊迫した事件によってその努力は妨げられた。ある関係筋は、バイデン氏が習氏についでにこの問題を提起する可能性が高いと述べた。
バイデン氏が習主席と最後に直接会談したのは1年前のバリ島で、その目的は関係の「土台」を築くことだと米当局者らは説明した。会談は友好的なものであったが、重要な成果のリストは得られなかった。今年、当局者らは期待を設定することにさらに慎重になっており、米中関係は首脳間の首脳会談で長大な一連の「成果物」が生み出されたときとは単に異なる状況にあることを示唆している。関係が対立に陥らないようにすることが今の最大の目標となっている。

「米中関係のような複雑な関係を管理するには、指導者間の直接の関与に代わるものはなく、それが私たちがここでやろうとしていることです。米国と中国は競争している。バイデン大統領は、この競争が紛争に発展しないように、責任を持って管理しようとしている」とサリバン氏は語った。

対処すべきトピックの長いリスト

そこには、台湾周辺の軍事的緊張、中国の偽情報キャンペーン、人権侵害など、意見の優先や緊張が見られる主な分野のほか、麻薬密売と闘う取り組みなど協力の可能性がある分野も含まれていた。中国の核開発、経済問題、気候変動抑制に向けた解決も議題となった。台湾に関しては、両氏が大きな合意を結ぶ可能性はほとんどなかった。
バイデン氏は、自身の側近らが後になってこうした発言を頻繁に撤回しているにもかかわらず、中国の攻撃があった場合には米軍を用いて台湾を守ると様々な場面で確約してきた。そして米国当局者は、中国が島周辺の水域と上空で軍事演習を拡大するのを注意深く見守ってきた。台湾では1月に選挙が行われる予定で、その地位に対する敏感さが高まっている。政権高官らによると、バイデン氏は習氏に米国の立場について「明確」を示すと見込まれており、これは米国が台湾に対する中国の主権主張を認めるという既存の政策を繰り返す可能性が高いということだ。バイデン氏はサミット前夜、若者の失業率が急上昇し、不動産危機が投資家を恐怖に陥れている中国経済に明らかに言及し、中国は深刻な問題を抱えていると寄付者らに語った。

報告書によると、バイデン氏は火曜日、サンフランシスコで「習主席は世界における米国のリーダーシップの再確立がどのように定着しつつあるかを示すもう一つの例だ」と語った。 「彼らは本当に問題を抱えているんです、皆さん。」大統領はこれまで、カメラの外で募金活動を行って中国の経済力に疑問を呈し、中国の経済力を「時限爆弾」に例えたこともあり、中国政府の激怒を招いたことがある。習氏は今週のバイデン氏との首脳会談とは別に、米国のトップ幹部との夕食会の主役を務める予定で、中国への海外投資が減少する中、米国企業に求愛することに熱心で、民間部門が依然として中国を重視していることを米国政府に訴えたいとしている。

政治的な綱渡り

バイデン氏が水曜日の首脳会談の準備を進めていたため、共和党は習氏との会談を求める同氏の決定に疑問を呈した。共和党大統領候補指名を目指す元サウスカロライナ州知事ニッキー・ヘイリー氏は、バイデン氏が会談を「懇願した」と主張した。

中国に関する下院特別委員会の共和党議員らはバイデン氏に書簡を送り、米国人の不当拘禁やフェンタニルの製造など、習氏に異議を唱えなければならないと考える分野を詳しく述べた。バイデン氏と側近らは、バイデン氏との会談の政治的背景を痛感している。サリバン氏は、バイデン氏が「習近平氏と会談することで米国の利益を守り、また米国民の優先事項に進展をもたらすことができることを米国民に示す実践的な方法を探している」と語った。この目的のため、米当局者らはバイデン・習会談に先立ち、フェンタニルの製造に使用される原料化学物質の輸出を取り締まる中国との合意を最終調整していた。この協定はバイデン政権の優先事項であり、致死性の合成オピオイドを製造する原料物質を生産・輸出する企業を標的にすることになる。関係者らによると、目標はメキシコへの前駆物質の流入を大幅に制限することだという。また、バイデン政権にとって重要な国内政治的勝利となる可能性もあり、同政権は南部国境で進行中の危機が政権の重しとなっている中、フェンタニルなど致死性違法薬物の密売に取り組んでいる。

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【TBS報道特集】2023.11.11

2023-11-17 22:19:13 | 報道と思想
【報道特集が照らす現代社会】

1⃣

暑かった猛暑の夏秋がやっと終息。近畿地方で木枯らし1号、北海道札幌市で積雪。季節は変わる。

戦争と生命蹂躙の人間社会も変わることを願う。イスラエルの暴走は歴史的にみても酷いと感じる。

ビートルズの新曲「ナウ・アンド・ゼン」。画期的だ。
今までで最も好きなのは、「イエスタデイ」。
猛暑終え
街に静かな
たたずまい


2⃣ 統一協会

 報道ルポルタージュ番組。私がはじめて知ったのは、NHKの「現代の映像」などルポ番組。若者の熱心な信仰生活。統一協会の特集だった。次々にあきらかになってゆく統一協会の手口。信者から次々に二千万、千五百万と庶民からすれば膨大な金額を献金させ、破産させてゆく。宗教とは全く異質な実態。なぜこのような巨大な宗教―金品詐欺行為の組織網ができたのか。唖然とする。
 韓国の統一協会本部は、どのようにして教団を発展させていったのか。韓国と北朝鮮、日本、アメリカ。それらの国々にどんな関係があるのか。膳場キャスターの質問に、ジャーナリストのオ・ミョンオクさんは韓国に日本から信者が渡韓する信者が増えているそうだ。韓鶴子総裁は、危機意識をもってアメリカの組織とも協議している。新興宗教の組織とはやや異質な側面をもつ。村瀬キャスターが言われるように、統一協会は改善を自覚しているわけではない。今後のゆくえも定かではない。残念なことだ。



3⃣「散髪怖い」に寄り添う美容師

 考えてみれば、子どもにとって知らない人が毛髪をカットするはさみやナイフ類の金属をもっていれば、本能的に防衛意識が芽生えるのも自然なことかもしれぬ。子どもの心理をわきまえた美容師さんは、子どもたちにも親御さんにも信頼できることだろう。見ていて、この美容師さんは実に子どもの心理と子どもにどう手立てをとっていくか、深い洞察力と手立てをもっている。このような人物があちこちの学校にいれば、教育問題はずっと減ることだろう。NPO法人をつくり29都道府県に発展させ、自らも大学院でまなぶ。なぜこの特集があるのかわかり、番組の創意と企画力に頭がさがる。

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朝日新聞デジタル転載

2023-11-15 19:34:40 | 転載と私見
消えた「野党連合政権」、共産の活動方針案 立憲に配慮との見方も

図表:朝日新聞社🄫
 共産党は13、14両日に開いた第10回中央委員会総会(10中総)で、来年1月の党大会に諮る決議案を了承した。決議案は当面の党の活動方針を示すものだが、2017年以来掲げてきた「野党連合政権」の文言が消えた。次期衆院選に向け、進まない野党連携に配慮したとの見方がある。


 10中総初日の13日、あいさつに立った志位和夫委員長に続き、田村智子政策委員長が決議案を説明した。「共闘は確かな成果を上げてきた」と強調した一方、これまで目標に掲げてきた「野党連合政権」の樹立に触れることはなかった。衆院選では「党の躍進の実現を最優先の課題」とするとした。

この構想は15年9月、安全保障関連法の成立強行を受け、廃止をめざす共産が当時の民主党に「国民連合政府」を樹立するための選挙協力を持ちかけたことに端を発する。その後、「野党連合政権」と言い換えたが、野党共闘路線にかじを切った証しであり、共産の「悲願」だった。
■志位氏否定も「立憲の都合に……」

 志位氏は14日の10中総終了後の会見で、決議案から「野党連合政権」の文言が消えたことについて、「野党共闘が様々な困難や逆流に直面していることも事実」「今の状況では(他の野党と)政策合意ができていない」などと、その理由を説明した。志位氏は会見で否定したが、党内には共産との距離をめぐってジレンマに陥った立憲民主党を念頭に、「向こうの都合に合わせた」(共産関係者)と指摘する声もある。



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【私見】立憲民主党には優れた政治家も多い。けれども、政党としてみたときの今の立憲民主党に日本共産党は、過大な幻想を抱いていると想える。むしろ、れいわ新選組のオリジナリテイのほうがよほど国民は信頼するひともいる。また泉房穂氏の政治的実践、岸本聡子杉並区長、保坂尚人世田谷区長、実践を積み重ねる宇都宮健児氏。これらの市民的民主主義のうねりを把握すべきだ。その動きと日本共産党が軌を一にして立ちあがったときに、新たな視野がひらける。

英文【孫崎享のつぶやき】2023/11/08 16:06

2023-11-08 19:36:38 | 転載・政治社会と思想報道
China Daily「G7 backing sought for Gaza cease-fire、Japanese experts call for mechanism to ensure truce, well-being of civilians


China Daily「G7 backing sought for Gaza cease-fire、Japanese experts call for mechanism to ensure truce, well-being of civilians
Japanese scholars advised the Group of Seven member states to call for an immediate cease-fire in the ongoing Israel-Palestine conflict at the G7 Foreign Ministers' Meeting in Tokyo, although they have low expectations for the G7 members to find common ground on the issue.
The two-day Tokyo meeting, chaired by Japanese Foreign Minister Yoko Kamikawa, started on Tuesday.
It is the second G7 Foreign Ministers' Meeting in Japan this year, following the previous one in April in Karuizawa, Nagano prefecture. United States Secretary of State Antony Blinken, along with the foreign ministers of the United Kingdom, France, Germany, Italy and Canada, and a representative of the European Union, attended the meeting.
Participants are expected to exchange views on a range of topics, with the Israel-Palestine conflict as a key item on the agenda, Japanese public broadcaster NHK reported.
"G7 member states should call for an immediate humanitarian cease-fire in the current Israeli-Palestinian crisis," said Ukeru Magosaki, co-representative of the Association for Inheriting and Propagating the Murayama Statement, a Japanese civic group dedicated to upholding the 1995 Murayama Statement that admits Japan's wartime mistakes.
"However, until now, the US, the UK, Germany, France, Italy and Canada have emphasized solidarity with Israel against the Hamas attack. Nevertheless, the world overwhelmingly calls for a humanitarian cease-fire. Emphasizing solidarity with Israel by these countries could lead to G7 distancing itself from the world," said Magosaki.
On Monday, Zhang Jun, China's permanent representative to the United Nations, and Lana Nusseibeh, permanent representative of the United Arab Emirates to the UN, jointly delivered a statement on the situation in Gaza.
They said the UAE and China express grave concern at the continued attacks by Israel on civilian facilities in the Gaza Strip. They also called for an urgent humanitarian cease-fire.
Zhai Jun, special envoy of the Chinese government on the Middle East issue, met with US Ambassador to China Nicholas Burns on Tuesday. They exchanged views on the current Palestine-Israel conflict and the situation in the Middle East, among other issues.
A spokesperson for Japan's foreign ministry said it was expected that the G7 countries have different positions, Reuters reported.
Establishing system
Satoshi Tomisaka, a professor at the Institute of World Studies at Takushoku University in Tokyo, said a system should be established to ensure a temporary cease-fire and the basic well-being of the people in Gaza.
"In regard to the Israeli-Palestinian conflict, many conscientious people from around the world are deeply dismayed by Israel's inhumane bombings, targeting of hospitals, refugee camps, schools and even ambulance convoys. They are particularly saddened by the extensive loss of life in Gaza," said Kumiko Haba, professor emeritus at Aoyama Gakuin University in Tokyo.
More than 10,000 Palestinians, including over 4,000 children, have been killed in Gaza in the ongoing conflict, according to the Palestinian health ministry in Gaza.
Israeli forces retaliated against Hamas after the militant group launched a cross-border attack on Israel on Oct 7.
"While it would be desirable for the G7 to call for a halt to Israel's airstrikes and ground operations, it appears challenging, especially since the US is currently engaged in negotiations with Israel," said Haba, who is also president of the Asia-Pacific regional division of the International Studies Association.
"Japan, being reliant on energy resources such as oil and gas from the Middle East, should also take a more proactive stance in advocating for a cease-fire," Haba added.
"At present, there is little hope for a humanitarian cease-fire. However, if the fighting continues to escalate, the flames of war will spread throughout the Middle East, and if Iran joins the conflict, the threat of a world war cannot be denied," said Kazuyuki Hamada, an international political scientist and a former parliamentary vice-minister for foreign affairs of Japan.
"The most effective shortcut to avert a crisis would be for the US, Israel's largest backer, to offer Israel an early cease-fire and barter for funds and technology for energy development," he said.
During the meeting, the foreign ministers are also expected to exchange views on the situation in Ukraine and the Asia-Pacific region.
G7 support for Ukraine in its conflict with Russia will not be affected by the intensifying Middle East conflict, Japan said on Tuesday, as the group's foreign ministers prepared to hold virtual talks with Kyiv during the meeting, Reuters reported.
Tomisaka from Takushoku University said all parties should explore a "realistic cease-fire that both sides can accept within a multilateral framework"



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【色平哲郎氏からのご紹介】 2023年11月07日 05:36

2023-11-07 19:04:43 | 転載・政治社会と思想報道
【必読】〈社説〉パレスチナへの視座 屈従強いる状況変えるには



労働者たちは、パンよりも詩を必要とする。その生活が詩になることを必要としている。永遠からさしこむ光を必要としているのだ。ただ宗教だけが、この詩の源泉となることができる。宗教ではなく、革命こそが、民衆のアヘンである。この詩が奪われていることこそ、あらゆる形での道徳的退廃の理由だといっていい。

シモーヌ・ヴェイユ「重力と恩寵」ちくま学芸文庫



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・【必読】〈社説〉パレスチナへの視座 屈従強いる状況変えるには
信濃毎日新聞デジタル 2023.10.22

https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2023102200037

・信濃毎日新聞の社説は気骨を感じますね。
・まっとうな社説を載せる新聞社もあるのですね。シェアさせてください。
・信濃毎日新聞の定期購読できないのかな?
・素晴らしい社説なので、「読み上げアプリ」を使って録音・録画しました。
・読売,産経はもちろん、朝日、毎日さえ権力に迎合する今日(こんにち)、
東京新聞、京都新聞などのブロック紙、地方紙が頑張っています。信濃毎日もその一つです。

・信濃毎日新聞の社説。
上手くまとめている。
この紛争は、Zionism という欧州に起こった身勝手な政治運動のなれの果て。
パレスチナ人抑圧のアパルトヘイト、欧州ユダヤ系移民による民族浄化、ジェノサイド。英米仏帝国主義の残滓。
イスラエル国とは「ユダヤ人」を名乗る人々が約70年前にアラブ人たちから土地を強奪して、暴力で作った国民国家。国際社会から黙認されてきたならず者国家。英米帝国の中東支店。それだけのこと。民族紛争でも宗教紛争でもない。

・まともな歴史観を伝えるのメディアの仕事だ。
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〈社説〉パレスチナへの視座 屈従強いる状況変えるには
2023/10/22 信濃毎日新聞

 1948年のイスラエル建国から75年を経て、ナクバ(大災厄)が再びパレスチナの人々を襲うのを止めるすべはないのか。イスラエル軍がガザ地区に地上侵攻する構えを固めている。
 ガザに暮らすおよそ230万人の大半が、イスラエル建国に伴って故郷を追われた難民とその子孫だ。いまだ帰還はかなわず、イスラエルの占領の下で暴力にさらされ続ける不条理に言葉を失う。
 イスラム組織ハマスによる民間人の殺害や連行は、戦争犯罪として厳しく責任を問われるべき行為である。だからといって、イスラエルによる占領や抑圧が正当化されるわけではない。

 パレスチナの人々は、圧倒的な力で抵抗を押さえ込まれ、屈辱と貧困の中に置き去りにされてきた。その絶望的な状況が、急進化した武装闘争の背後にある。
 問題の根幹に目を向けずに、武力による報復に突き進めば、人々をさらに苦しい状況に追いやり、憎しみと怒りをかき立てるばかりだ。イスラエルの安全を確保することにもつながらない。
■既成事実の積み上げ
 ガザとヨルダン川西岸の占領は1967年以来、半世紀余に及ぶ。ガザは2007年から境界を封鎖され、人の出入りや物資の搬入が厳しく制限された上、大規模な爆撃や侵攻が繰り返されてきた。産業や生活の基盤が破壊され、住民は困窮にあえぐ。
 国連機関などの援助で、飢えることは免れても、働いて生計を立てることさえ難しい。若者の自殺や薬物への依存も深刻だ。占領や封鎖はそれ自体が人間と社会をむしばむ構造的な暴力である。
 西岸では入植地(ユダヤ人居住区)が虫食い状に拡大し、パレスチナの人々の家や土地が奪われてきた。入植地を囲う分離壁や、ユダヤ人専用の道路、至る所に設けられた検問所によって、生活圏はずたずたに切り裂かれている。
 入植者が集団でパレスチナの村を襲う事件も相次ぐ。家を壊し、車や果樹に火を放ち、村人への暴力が殺害に至ることさえある。それでも、犯人が特定できないなどとして捜査は打ち切られ、罪に問われることはまずない。
 土地や水源を強奪する入植地の建設をはじめ、占領地の人々の権利と尊厳を顧みない行為は、戦時国際法で禁じられている。国際人権団体や国連人権理事会の特別報告者は、パレスチナの人々を隔離して従属させるアパルトヘイト体制を批判してきた。
 にもかかわらず、イスラエルが責任を追及されることはなく、占領は半ば永続化している。既成事実の積み上げを黙認してきた国際社会の責任は重い。
■建国時の民族浄化
 パレスチナをめぐる問題は、宗教や民族の異なる人々が何世紀も前からこの地で争いを続けてきたということではない。ユダヤ人による建国運動が欧州で興ったのは19世紀末だ。
 帝政ロシア下で、ポグロムと呼ばれる苛烈な迫害が相次いだことが背景にある。20世紀に入って、中東での権益拡大をもくろむ英国の画策や、ナチス・ドイツによるユダヤ人の国外追放政策が、移住の動きを加速させた。
 土地なき民に、民なき土地を―。建国運動が掲げたスローガンと裏腹に、パレスチナは民なき土地ではなかった。建国の前後、住民を虐殺し、追い払う民族浄化が組織的に行われたことを、イスラエル出身の歴史家イラン・パペ氏は著書で実証している。
 ユダヤ人は欧州で長く差別と迫害を受け、その果てに起きたナチスによるホロコースト(大虐殺)では600万人が犠牲になっている。そのユダヤ人が新たな迫害の当事者となった歴史を、イスラエルは直視する必要がある。
■現実味帯びる併合
 占領地の人々が石を手にイスラエル兵に立ち向かったインティファーダ(民衆蜂起)を経て、1993年のオスロ合意は、ガザと西岸の自治に道を開いた。しかし、核心の問題である入植地の扱いや難民の帰還は棚上げされた。
 合意後、入植地の建設はむしろ加速し、93年に28万人ほどだった西岸への入植者は、2000年に40万人、現在は70万人に増えている。自治の土台は崩れ、イスラエルへの併合が現実味を帯びる。
 既成事実が積み重なり、解決は容易でない。だとしても、沈黙し、目を背けてしまえば、パレスチナの人々が屈従を強いられている状況を変えられない。
 ロシアによるウクライナの侵略や占領を非難する欧米各国が、ガザと西岸の占領を続けるイスラエルを支持するのは二重基準だ。パレスチナ問題に深く関わる歴史の当事者として、自らの姿勢を省みなければならない。
 国際社会は一刻も早く戦闘を止めるとともに、根幹にある占領や帰還の問題の解決に向けて行動を起こす必要がある。各国政府や国連を動かす国際世論を強めたい。同じ時代を生きる誰もが、その責任の一端を負っている。

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【プライマリ・ヘルス・ケアとは】
プライマリ・ケアなどといまさら英語など使うのはうしろめたいことで、私などは前から「第一線医学」という日本語を使っていた。けれども、残念ながらプライマリ・ケアは、アメリカから直輸入してきたという事情もあったし、他方、WHOからも、同じこの言葉が入ってきて、いわば国際用語に今日ではなってしまった。
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このプライマリという言葉の意味についてまず述べると、プライマリ・ケアは、正しくはプライマリ・ヘルス・ケアというべきだと思うが、どういうわけかわが国ではヘルスを略している。
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そもそも「プライマリ」とはどういう意味かというと、ずいぶんこれを複雑に解釈する人もあり、何が何だかわからないという声をよく聞くが、私は少し独断的かもしれないが、次のように二つに分けて理解している。まず第一に、アメリカ流の解釈によると、プライマリとは、セカンダリ・メディシンまたはターシャリ・メディシン、すなわち、第二次または第三次の医学に対するアンチテーゼと考えられる。
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従来の医学があまりにも専門分化しすぎて、総合性を失ってしまった。それをとり戻さねばならないとする反省がそこにあるわけである。つまり、従来はあまりに「病院の医学」であった。
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ところが、もう一つ数年前からWHOなどで、プライマリ・ヘルス・ケアということがさかんにいわれるようになった。これは前者の先進国での発想と違い、開発途上国の立場からのものである。この場合のプライマリの意味あいは、ニュアンスがだいぶ違う。砂漠あり、離島あり、山間へき地ありと開発途上国の国々では、そもそも、セカンダリ・メディシンなどはない。もちろん、ターシャリなどありようはずもない。こうした「無医村」的なところでは、プライマリの意味は、ベーシック、つまり基本的といおうか、あるいはエッセンシャル、つまり本質的とでもいおうか、そのような意味が強い。
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日本の農村医学では、この両方のプライマリ・ケアがそれぞれ必要だといえよう。あまりにもセカンダリ・メディシンの専門分野が進みすぎて困るという面もわが国にはあるし、また同時に、無医村的環境の不便もたくさん残っていて、まだまだ医療が農山村住民にゆきわたっていないという面もある。そして、この後者の面を特に重視するのが、私ども日本農村医学会の主張である。日本ではプライマリ・ヘルス・ケアを略して、単にプライマリ・ケアといっていることについては先にも述べたが、これはわが国がまだヘルスについて偏見をもっているせいではなかろうか。実は私は常々「農村医学はヒューマニズムの医学である」と主張してきているが、その精神の中には農村医学はヘルスの医学であって、単なるメディシンの医学ではないという考えがある。もちろん、メディカル的なものを含むが、さらに、予防も、リハビリテーションも、そして、福祉もこれからの医学のあり方だと思う。そういう立場からいうと、今日ヘルスという言葉を略すのはまずいといえよう。
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アメリカのプライマリ・ケアの内容が、Community & Family Practice として確立されたのは、1965年のことである。今度アメリカに行ってみると、医科大学をメディカル・カレッジと呼ぶところが少ない。新しい医科大学は、カレッジ・オブ・ヘルスサイエンスと呼ぶところが多くなっていた

メディシンでは狭い。
ヘルスという言葉を、幅広く使うようになっていた。
そしてどこに大学にも、内科、外科と匹敵するような新しい科ができていた。
それが Community & Family Medicine というデパートメントである。
そこには特別の卒後教育3年間のレジデンシーもある。
それを終ると American Board of Family Practice の試験があって、それに合格してはじめてファミリーフィジシャンの称号を得ることになる。
さて、アメリカのプライマリ・ヘルス・ケアの学問の内容を具体的に分析してみると、だいたい4つないし5つの特長が挙げられるかと思う。
まずその定義だが、アメリカではファーストコンタクトの技術ということに力を入れている。
すなわち、最初の住民との接触、いいかえると、それが病院でもあるいは病気を持たないひとでもが、第一線の医者のところへ行って相談をする、
カウンセリングを受ける。
この最初のコンタクトの医療の技術と理論をプライマリ・ヘルス・ケアと規定しているようである。
この特徴を4つほど挙げてみると、まずアクセシビリティということ。
つまり、誰が行っても、どんな健康上の問題でも、そこでアクセス、すなわち受け入れてくれる。
そんな問題は私の専門科ではないからだめだと断るようなことはしない。
これは住民にとっては最も大事なことである。
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その次は、コモン・ディジーズの処置。
コモン・ディジーズという言葉は普通の病気ということで、これが特に大切だということである。
いままで私どもはとかくむずかしい病気だけに注目する傾向があった。
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次に、continuity(継続性)の問題。
これは患者を継続的に見守ること。
そのときだけ適当に診ればいい、あとはどうなってもかまわない、そういう接し方ではいけないということである。
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第4番目は、プライマリ・ケアの基本的精神である包括性ということである。
単なる治療だけでなく、予防や早期発見も、さらにリハビリテーションも含める必要がある。
また、福祉の問題に対する理解も大切である。
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それから、チームの調整役というドクターの重要な役割がいわれている。
つまり、いままでのように、医者一人がなんでもかんでもやるというオールマイティ的な考え方ではだめで、プライマリ・ヘルス・ケアでは、何よりも他のヘルスワーカーとのチームワークが必要である。これについては抵抗を感じる医者があるかもしれないが、従来のように医者が独善的で、あぐらをかいていてはいけない。
患者の経過のことを真剣に考えるなら、皆で協力しなければならない。
保健婦とも、看護婦とも、そしてケースワーカーとも協力しなければいけない。
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プライマリとかセカンダリとかいうのは、そもそも医療システムを前提にしての考え方であって、医療の地域化ができていなければいえないことである。
私が好んで「第一線」、すなわちフロントラインという言葉を使っているのは、わが国には本来的にそのようなシステム化がない。
つまり、プライマリとセカンダリの機能分担がまだ十分に行われていないからなのである。
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さて、プライマリ・ヘルス・ケアには、もう一つの面がある。
すなわちWHOが別に、プライマリ・ヘルス・ケアということを、さかんにいいはじめるようになったことによる。
最初は1975年のWHOの執行理事会であった。
ところが1978年にプライマリ・ヘルス・ケアに関する第1回国際会議がソ連のアルマ・アタで開かれた。
これには日本から当時の厚生省の大谷藤郎審議官が出席されている。
あとで大谷先生のお話を承わると、その会議は非常におもしろくかつ有益だったようである。
私は先生から直接その模様をうかがったが、たいへん勉強になった。
それ以前1977年には、国連で第30回世界保健総会が開かれた。
いまや世界中の人びとが、社会的、経済的、生産的人間の健康を守るということが大きな問題になっていた。
働く人が喜んで労働ができるような人間的生活が、社会的にも経済的にも守られなければならぬ。
そのための健康レベルの確保が重要である。
特に、開発途上国の、アジアやアフリカ、ラテンアメリカ、そういう国々の離島や山間へき地に住んでいる人びとに今日的保健の技術が普及されなければならないという、いわば人権宣言みたいなことがそこで打ち出された。
こういう健康についての人権宣言の精神が、具体的にはプライマリ・ヘルス・ケアにむすびついていわれるようになったのではないであろうか。
まず、プライマリなことが人類の名においてなされねばならぬ、ということなのである。
アルマ・アタの会議での内容を紹介すると、要するに、開発途上国と先進国の保健問題についての格差をなくす必要がある。
いったいいま地球上には40億を越す人口があるが、現実にはその5分の4はまだ、プライマリ・ヘルス・ケアさえろくに受けていない状態ではないか。
逆にいえば、5分の1の人口が、非常に進んだ医療や保健の恩恵を享受している。
これは不公平すぎるのではないか。
そういう基本的な考えからWHOのプライマリ・ヘルス・ケアの要望が生まれたのである。
したがって、ここには人類愛的な、いわゆるヒューマニズムの精神があるわけである。
1978年のアルマ・アタ宣言には137カ国が参加しているが、WHOのマーラー事務局長の演説が非常に興味深い。
アルマ・アタ宣言では、「社会正義と地域開発」と、こういう根本的精神にのっとって、なによりも第一線の包括的な医療が必要である、といっている。
そこに大切な方法として、住民参加ということを強くいっている。
こういうWHOの国際会議などになると、政府のえらい方々が集まる。
それから、厚生省のお役人といっても特に上役の方々がそれぞれ各国の代表として出るわけであるから、どうしても国家的な、ガバメンタル(政府的)な立場からの話になる。
そこのところが、私どもの学会のような Non Governmental の組織とはニュアンスの違ったものになる。
私どもはどちらかというと、住民ないし農民の、つまり「下から」の立場でものをいうようになる。
だから、「住民参加」などという言葉は自明のこととして、特に言挙げしないような傾向があるといえよう。
それはそれとして、この「社会正義と地域開発」と結びつけて、人間の健康を論じようとする幅広い考え方はすばらしいではないか。
それを具体的に発展させて、医学の包括性や「第一線性」の重要性、さらに住民参加の問題まで出す。
私はやはりたいしたことだと思う。
ここに社会主義性を感じとって、イデオロギー的だなどというのは当たらないと思う。
これに三つのことがいわれている。

一つは、自決の精神。先ほど述べたように、ここでは開発途上国の立場がつらぬかれねばならない。よその国の力や援助に頼るだけでは本当の健康は守れないであろう。これは中国でもベトナムでも、同じ意見に相違ない。他国の、進んだ技術をただまねすればいいというものではない。その国にはその国の住民の保健のやり方があるはずである。
しばしば、先進国の援助や必要になるであろうが、ただそれに頼るだけではだめであろう。たとえ、経済的、技術的援助はしてもらおうとも、自分たちは自分たちで自主的にやるんだという精神は必要だと思う。そうでなければ住民の健康を守れない。保健には自決の精神が重要なのである。

次に、それにつながる問題だが、アプロープリエイト・ヘルス・テクノロジー(Appropriate Health Technology)、アプロープリエイトすなわち適切なとは、地域住民の実情に適切なということである。「適切な」健康に対するテクノロジー、すなわち技術ということである。その国やその地域の実情にあった技術でなければいけない。
なんでも外国のよいものをもってくればいいというものではないというのである。その国の資源の問題もあろう。また、その地域住民の慣習だって無視できないものがあるかもしれない。なんでも金のかかることがいいとは限らないし、なんでも機械を使えばいいとも限らない。
この考え方を、頭文字だけに略してAHTといっている。ただし、その基礎にはベイシック・ヒューマン・ニーズが満たされねばならない。ここにまたベイシックという言葉が出てくるが、健康(ヘルス)こそ人間の「基本的」なニーズだということである。これを略してBHN(Basic Human Needs)と呼んでいるようである。
これについては、マクナマラ世界銀行総裁がこういっている。「ナイロビ宣言」の中で「他国の援助をすることは大切だ。援助はする。
しかし、何よりもその国の住民のニーズを知って、それに従わなければならない」と。それをしないで、とかくハイウェイをつくったり、大きなビルディングを建てたりすることばかりに力を入れる傾向がありはしないか。住民生活に基本的なニーズ、例えば、福祉保健だとか教育だとか、そういう基本的なものに真っ先に金を使うべきだ。そうでなければ、いわゆる「南への援助」も意味のうすいものになるというのである。このBHNと先に述べたAHTとがしっかり組み合わさってヘルスの仕事がされねばならない。
この意味をつかむことが重大だとアルマ・アタ宣言では主張しているのである。(後略)
(若月俊一著作集第5巻掲載論文「プライマリ・ケアの精神と方法」1980)


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『医師の本棚』 ------- 色平 哲郎先生 (佐久総合病院 地域医療部 地域ケア科医師)

若い医療人にぜひ、読んでいただきたい本のご紹介ということですね。今回挙げさせていただくのは、私自身が著者と面識があり、その内容について直接お話をしたことがあるもの、から選ぶことにしました。
さて、1冊目、何と言ってもこの方をまず先に挙げないこと には、信州で医者はやっていけない(笑)。
若月俊一先生の最後の著書、「若月俊一の遺言 農村医療の原点」です。
いわずと知れた農村医学のバイブル。地域医療に携わる人にはぜひ読んでもらいたいですね。
次、実は、今回一番皆さんに推薦したいのはこの本です。コミックなんですが、くさか 里樹著「ヘルプマン!」(講談社)
テーマは介護。介護という深刻な話題をコミックにしてしまったところが面白い。コミックを読んで社会を知る。しかも介護は医療の枠外ではあろうが延長線上にある世界、
ですから、若い医療者にはぜひ、読んでおいてもらいたいですね。特に、(講談社)シリーズの第8巻がお薦めです!
認知症の老母を押しつけられた壮年期の男性が家族と共に介護に奮闘する。万策尽きて途方に暮れた末、介護ヘルパーを頼むのだが、現れたのはフィリピン人の女性ヘルパー。
楽天的で面倒見がよいが、反面、文化の違いから周囲との間に軋轢を生じてしまう。今後ますます”高貴”高齢者が増える日本の将来、当然のように予想される場面といえ
ましょう。フィリピンを通して我々日本人の家族、家庭を知る。これは本当にいい本ですよ~。
3冊目は加藤周一著作集 第23巻  現代日本私註 「羊の歌その後」
著者の加藤さんと軽井沢でお目にかかったときの印象は、優しい方だなあ、というものでした。前半生医師でもあった加藤さんが「みんなのものである医療を権威づけや金もうけに使ってはいけない」と常々語っていた姿を思い起こします。
日本の医療が今後どうなっていくのか、彼を手本にしながら見据えていきたいものです。彼は自衛隊の海外での武力行使に反対し、「9条の会」を設立した反戦の歴史家です。
その加藤周一さんが昨年08年12月5日に89歳で亡くなりました。
知識人の定義を、「仕事の社会への影響、歴史的な意味を問い始めることで知識人になる」と、サルトルを引用されていた方でした。
まさに知識人の鏡、心からご冥福をお祈りいたします。
文学、芸術から、社会、政治論にまで及ぶ幅広い見識を持つ戦後 日本を代表する知識人といえる彼の著作、1冊は読んでおきたいものです。
次、4冊目は、元東大経済学部長 神野直彦教授の「二兎を得る経済学」です。これは経済学というよりは財政学についての本です。
21世紀の医療者にとって、財政学はますます重要です。この本はとても分かりやすく経済・財政について書かれてあって、元気が出ますよ、お薦めです。
5冊目は洋書です。
David Werner著「Where There Is No Doctor」
プライマリー・ヘルス・ケア(プライマリー・ケアとは、まったく違いますよ!)の世界的な教科書です。
文字の読めない人であっても、イラストを見れば処方や治療法がわかるように書かれていて、「医師のいないところ」での実践医療のためのガイドブックとしてホントに世界中で利用されています。
これを中学生の教科書に使えば、英語を勉強することがもっと楽しくなるんじゃないでしょうか。
ちなみにこの本、医学生さん方に翻訳いただき私のH.P.に載せていますから、ぜひ、ご利用ください。
最後は山岡淳一郎著「後藤新平 日本の羅針盤となった男」です。 後藤新平も、前半生、医者だったんですよ。
明治初年、板垣退助が刺された時、一番に岐阜の演説会場に駆けつけたのは彼でした。明治の医者はこんなに面白い(何が面白いかは読まなければ分からないでしょうけど)。
簡単にいうと、近代日本が抱える矛盾を一身に背負った人物、それが後藤新平です。若い人に彼の生き方を読んでもらって、ぜひ、感想を伺いたいですね。
あの時代だからこそこんな天才的な豪傑が生まれるんでしょうけど、とにかくすごい人すごすぎる人です。現代の医療人も彼から学ぶことが多いはずですよ。
私は、後藤新平さんのお孫さんと親しくしておりますが、ご存知でしょうか、鶴見俊輔さんという方です。
まだまだ、たくさん紹介したい本はありますし、映画も見てほしいですね。
ぜひ、次の機会に紹介させてください。

JA長野厚生連・佐久総合病院医師 色平哲郎(いろひら・てつろう) 
1960年、横浜市生まれ。
東大理科一類を中退し、アジアなど世界を放浪後、京大医学部へ。
長野県南牧村野辺山へき地診療所長、南相木村診療所長を経て、現職。
著書に「大往生の条件」など。



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「若月俊一さんを悼む」 06年8月31日 朝日新聞

最初にお目にかかったのは佐久総合病院研修医の採用面接でした。大きな声で我々に質問し討議して、その場を仕切っていらっしゃいました。ある当直明けの早朝、院長室に呼ばれ、えらく怒鳴られました。なんであんなに叱られたのか、今はいい思い出となりました。研修修了の早春、大学に戻る私は送別の宴を開いていただき、ハッパをかけられました。家族5人で佐久地方の山中に暮らし、村の医療に取り組んで十年余。診療中、外科医時代の先生の思い出が語られます。明治・大正生まれの患者さんは、おなかの古い手術痕を誇らしげに披露されます。山の村のお年寄りを見送り、先生を見送る巡り合わせになりました。
「佐久病院の昭和」が終わりました。
先生が「農民とともに」「村で病気とたたかっていた」ころ、農村は部分的にしか医療保険に守られていませんでした。「医者どろぼう」という言葉も生きていたと伺います。
先生は全国民をカバーする皆保険制度を実現するため、必死に取り組まれました。その皆保険がいまや空洞化し、国内に格差が拡大しつつあります。
医者が「どろぼう」と呼ばれる時代に逆戻りしてしまわないよう、未来を闘いとらねばなりません。
「予防は治療に勝る。そう我々に教えてくれたのはドクター・ワカツキ」
敬意を込めたスピーチに驚いたのは、医学生でフィリピン・マニラに滞在していた時でした。先生が率いた農村でのプライマリーヘルスケア。
佐久病院のこの分野の実績は、世界保健機関(WHO)によるアルマアタ宣言(78年)に30年先行するパイオニアワークです。
78年、「サクのワカツキ」が世界医師会大会で演説してまいた種は、世界各国の保健活動に受け継がれました。
マニラ駐在のWHO医務官も注目し、今も途上国の若者の心に先生のメッセージを届ける金字塔になっています。
佐久では実現かなわなかった先生の「農村医科大学構想」。レイテ島にフィリピン大学医学部分校が設立され、先生の理念は結実しました。
10年ほど前、母校での講演をお願いした時、先生はおっしゃいました。
「東大は権威主義だ、におってくるぞ」
果たしてお話しいただけるものか、心配でした。
「母なる農村を守れ」「学問を討論のなかから」「農村では、演説するな、劇をやれ」。当時の私は先生のおっしゃること、よくわかりませんでした。その後、地域でもまれ、先生のこと、少しは理解できるようになったかもしれません。
「キラワレルコトヲオソレズ/ドロヲカブルコトヲオソレズ」
空襲下の東京から臼田に移って六十余年。親分肌の気配りで、一筋の道を突き進んだ先生の心意気と存在感を当地に感じます。思想によって集めた力を、いかに政治的に使うか。先生の孤独、困難もまた、これに尽きることでしょう。
宿題として残された「メディコポリス構想」(医療・福祉・教育などを連携し、若者の雇用を地域に確保する)実現にむけた新たな模索。
それは地域の民主化と医療の社会化を目指す運動です。私たち後輩医師は、暮らしと仕事、技術そして文化と平和を一貫して考え抜いた「若月学」を語り継いで参ります。
(佐久総合病院内科医 色平哲郎)
(逝去8月22日 若月俊一さん)


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