【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

年の終わりに

2015-12-31 21:00:46 | 転載と私見
東京新聞転載
【私説・論説室から】


恩義は生きる時が来る
2015年12月23日

 ドイツの難民受け入れ現場を取材した。報じられてはいたが、これほどまでとは思わなかった。難民たちからの、ドイツに対する感謝と称賛だ。
 メルケル首相は、ハンガリーなどで冷たい仕打ちを受けていた難民の積極的受け入れを表明し、ドイツの市民らは、難民の世話を焼くため奔走している。
 シリア人男性難民は「メルケルは私たちのマザーだとみんな言っている。ドイツ人は誠実だ」と流ちょうな英語でまくし立てた。アフガニスタン男性難民は「自分たちの国には学校も教育システムもない。大統領は国に戻れと言うが、絶対に嫌だ」と語気を強めた。
 ドイツ人も難民に好意的な人ばかりではない。難民は今後、差別などで嫌な思いをすることもあるだろう。しかし、戦火を逃れ、つらい思いをしている時に助けてもらった恩義を、忘れることはないはずだ。
 難民の中からもテロリストや犯罪者が出てくるかもしれないが、不心得者に対してはまず、難民社会が怒りの声を上げるだろう。
 難民の世話をするドイツ人を手伝うため、通訳などを買って出る難民もいる。ドイツが危機に陥った時には、難民が力になってくれるに違いない。
 難民を受け入れる負担は重いが、今回のことでドイツは大きな力を得る、と確信した。              
(熊倉逸男)


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私見


ドイツは、義によって戦争国家から再建を前進させている。
日本は安倍政権によって、アメリカへの義理で再び戦争国家をめざしているとしか思えない。お話にならない。独裁政治は最後が悲劇的な結末になることを、高校世界史程度の知識なら若者たちでも知っている。

【孫崎享のつぶやき】及び小生の「私見」

2015-12-31 11:32:23 | 転載と私見
~孫崎享、かく語りき~

①孫崎享さんへのコメント・メッセージ

孫崎享様
私が先生を知ったのは、色平哲郎氏を通じてです。ご著作を拝読して、「孫崎享のつぶやき」メルマガを購読しております。それをフェイスブックのページ「国民的統一戦線への探求」とmixiのコミュニテイ『「孫崎享氏のつぶやき」に学ぶ』とに毎日、コメント「私見」をつけて転載させていただいております。重要な時には、ブログ「【現代と思想】~ジャーナリスト精神」にも掲載しております。

私のような支持者もおります。どうぞお体に気をつけて、来年もご指導をよろしくお願い申し上げます。先生のような思想家でもあり、社会科学者でもあり、「日刊ゲンダイ」のような大衆性もある重要なメディアに発信されているかたは現代日本には稀有であり、貴重な存在です。来年も私なりにまなび、少しでも周囲に発信しつづけます。
2015/12/31            櫻井 智志拝


②本文
【孫崎享のつぶやき】
《本年一番発信したかった事。日本史、真珠湾攻撃ほどの愚策はない。「少し頭を使えば破壊的な結果になる」、今原発再稼働、TPP,集団的自衛権、少し頭を使えば間違いだという事が解るではないか》
2015-12-31 07:312



本年一番発信したかった事。日本史、真珠湾攻撃ほどの愚策はない。「少し頭を使えば破壊的な結果になる」、今原発再稼働、TPP,集団的自衛権、少し頭を使えば間違いだという事が解るではないか



 私は本年『日米開戦の正体』を書いた。3万部位印刷された。期待したほど読まれなかった。今後も多分読まれることはないであろう。

 ただ次のものはぜひ知って欲しいと思う。この本の冒頭部分を記述する。

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何故今真珠湾攻撃を学びたいと思ったのか。真珠湾攻撃は日本歴史の最大の愚

挙です。世界の戦争を学んだ者なら、全ての人間が真珠湾攻撃は愚挙だという事に同意すると思います



 ジェフリー・レコード著『アメリカはいかにして日本を追い詰めたか』とい

う本があります。米国陸軍戦略研究所(U.S.Army War Collage, Strategic

Studies Institute)内のレポートの訳です。この本の評価は別として冒頭、米

国陸軍戦略研究所所長グラス・ラブレースの言葉が記載されています。

・日本が1941年に下した米国攻撃の決断は全く合理性に欠け、ほとんど自殺行為であったと考えられる。アメリカは日本の10倍の工業生産力を持っていた。もちろん日本がアメリカ本土を攻撃することは出来るものではない。そんな国と戦って日本は勝算があると考えたのだろうか。太平洋方面で我が国と戦えば負けることは解り切ったことだった。日本が我が国と戦うと決めた歴史的事実を一体どう説明したらよいであろうか。

・ディーン・アチソンは1941年には国務次官補であり経済担当をしていた。彼は真珠湾攻撃以前につぎを語っていた。

「我が国を攻撃すれば、日本にとって破壊的な結果になることは、少し頭を使えば、どんな日本人にでも解ることだ。」

 その通りと思います。日本の10倍の工業生産力を持った米国と戦争すれば、

「少し頭を使えば破壊的な結果になる」のです。

しかし、当時の国家の中枢の人は詭弁を使いました。「民主主義国家の米国は永い戦争に堪えられずに途中でやめる」という詭弁で、日本を破壊に導きました。

 日本は真珠湾攻撃に突入し、自らの選択で第二次大戦に入って行きました。

あらためて、戦争被害をみてみたいと思います。

山川出版社の『詳説日本史』には次の記述があります。

「空襲での被害は家屋の全焼が約221万戸、死者約26万人に達し、主要な生産施設が破壊されました」

「沖縄戦では日本軍の戦死者は5万5000名に達し、一般市民も10万人以上が戦没した」

 更に『資料太平洋戦争被害調査報告』(中村隆英編東大出版)は次のように記述しています。

「太平洋戦争における死者は厚生省の発表によると310万人余(内軍人軍属230万人、沖縄住民を含む在外邦人30万人、内地での戦災死亡者50万人)と考えられている。国富被害は総計約653億円」

 「全国の直接的物的被害額約486億円(仮に日銀の卸物価価格数の倍率でみると最近地で10兆円―1995年―、繊維業は敗戦時の設備能力は昭和16年の20-40%、化学工業は35-60%に縮小した)

 平成天皇もまた、2013年12月80歳の誕生日に際しての記者会見で「この戦争による日本人の犠牲者は約310万人と言われています」と発言されました。

 この被害を招いた契機は真珠湾攻撃です。ですから真珠湾攻撃は日本最大の愚策です。



 今日本は真珠湾攻撃という愚策に何故突き進んでいったかを学ぶ理由があるでしょうか。大いにあると思います。自民党政権で、原発、TPP,集団的自衛権など少し頭を使えば破壊的な結果になることは解ることです。それでもこの政策の推進に突き進んでいます。



 今真珠湾攻撃という日本歴史上最大の愚策に至った道を考察する必要があるのでしょうか。

真珠湾攻撃は1941年12月7日に起こった事件です。

 73年も前の出来事です。

 その時代を、今、振り返ることに意義があるでしょうか。

 私はあると思っています。

 今日、日本人の誰もが「真珠湾攻撃」は愚かしい行動であったと思っています。

 では何故、この愚かしい選択をしたのでしょう。

 考えてみると、「愚かしい選択」は、実は、今まさに日本が行おうとしていることではないでしょうか。

 今の日本の状況を見てみたいと思います。

2012年12月26日第2次安倍政権が成立しました。

 この政権は日本を新しい道へと導き始めます。

 安倍首相は「私は戦後レジームから脱却をして、(戦後)70年が経つなかで、今の世界の情勢に合わせて新しいみずみずしい日本を作っていきたい」と発言しています。

 でも一寸不思議なのです。

 戦後の日本は酷い国、大幅の修正を要する国だったのでしょうか。

 戦後、日本は平和国家として、そして経済の発展に努力をしました。長らく米国に次いで世界第二の経済大国にまでなりました。世界の歴史の中で奇蹟と思われる事態です。国内の社会制度も整い、世界でも有数の安全で暮らせる国でした。2014年5月15日日経新聞は「世界保健機関は15日、2014年版の「世界保健統計」を発表、12年の男女合わせた日本の平均寿命は84歳で、前年に続き首位を維持した」と報じました。「男女合わせた日本の平均寿命は世界一」と言われる国が何故、急に方向転換しなければならないでしょう。

よく「ふつうの国になる」という台詞が吐かれますが、何故これまでの日本の在り様を捨てなければならないのでしょうか。

BBCの調査で最も好ましい国で、2006年から2012年までに日本は4回も世界一位になっています。「戦後レジームから脱却」を掲げた安倍政権の下、日本は第5位に転落しました。

 日本が世界から評価されていた時に、何故「戦後レジームから脱却」を図らなければならないのでしょうか。

 この本を今、ざっと見ている人の中には自民党の支持者もいると思います。安倍首相の支持者もいると思います。

 でも、「どの政党を支持するか」、「どの政治家を支持するか」という議論をとりあえず横において、本当に今の選択が正しい選択なのでしょうか。

 2011年3月11日原発事故と言う戦後最大の事故を日本は経験しました。

何故事故が起こったか、十分な現場検証すら行なわれていません、

しかし、政府は着々と、再稼働の準備を整えています。本当に日本の未来を考えてのことでしょうか。

小泉元首相は講演で「安全神話が“嘘”だったことは大事故で判明した。“他の電源に比べて原発コストは安い”との論も“嘘どころか一番の『金くい虫』だ”と反論。“被害の賠償。廃炉までには40年─50年かかること。安全対策。作業員の確保。最終処分場確保にいたってはいまだにない”と述べ、推進論がこれらをコストに入れない“甘さ”を追求しました(2014年7月7日ロイター)。

原発推進者でこれに反論した人はいたでしょうか。

2005年2月23日、石橋克彦神戸大学教授が衆議院予算委員会公聴会で次のように述べました。

「アメリカでは地震現象というのは、地震というのは原子力発電所にとって一番恐ろしい外的要因であるというふうに考えられております。地震の場合は複数の要因の故障といって、いろんなところが振動でやられるわけですから、それらが複合して、多重防護システムが働かなくなり、最悪の場合にはいわゆるシビアアクシデント、過酷事故という炉心溶融とか核暴走とかいうことにつながりかねない訳であります。」

 原発推進者でこれに反論した人はいたでしょうか。

 TPP(「環太平洋戦略的経済連携協定」)への参加問題では「参加しないと日本は世界の孤児になる」(米倉経団連会長)や「円高への抵抗力高めるために参加必要」(古賀連合会長)や「世界でもまれて競争力磨く志を再び」(2011年元旦日本経済新聞社説)のような論は聞かれたと思います。

 私は平成25年5月2日参議院予算委員会で、次の論を展開しました。

「TPPは日本の将来を決める大きな岐路です。

今日の外交問題で最も重要な課題であると言えます。

TPPにはさまざまな問題があるがISD条項は国家の主権を揺るがす重大課題

です。

・これまでの経済交渉は国家対国家でした。

 ISD条項によって、企業が国家を直接訴える。裁判では企業は巨額の資金を投入します。

 裁判の基本理念は経済活動で、受け入れ国の法律や制度で期待する利益が得られなかった時に訴えることが出来るというものです。

・健康、土地活用、政府調達、知的財産権、規制、税等広範な分野が対象になるとみられています。

皆さんに質問します。次のケースをどう考えるか 

 政府が企業に廃棄物処理施設許可を与えたが、有毒物資による近隣の村の飲料水汚染等で癌患者が多数発生する等、危険性が提訴され地方自治体が施設利用の不許可処分にした。

有害毒性の指摘がある添加物を持つガソリンの輸入を禁止した。

薬品は副作用があり、その調査を十分しなければならないが、新薬の特許申請に対して、臨床実験が十分でないとして、許可を与えなかった。(具体的に各々のケースで企業がISD条項で国家を訴え巨額の賠償金を獲得)

憲法は国会が最高機関としていますが、ISD条項はこの法律を裁くのです。

日本では最高裁の判決が最上位です。ISD条項はこの判決を裁くのです。」

こうした懸念に対してTPP推進派の人は答えていたでしょうか。

答えていないのです。

私の発言なんて大したことはありません。それでも、こうした論を発する私に、東京第16区選出の大西議員が衆議院総務委員会で私のTPP発言を「とんでもない発言」とレッテルを張り、NHK会長に「こうしたとんでもない発言をする人をNHKは出すのですか」と詰問している状況です。ついでに言えば大西議員はTPP反対で当選した議員です。

原発、TPP発言で言論人は次々締め上げられているのです。



 集団的自衛権の論議の中で、安倍首相は邦人保護を行う米軍を自衛隊が守らなければならないといいました。しかし、米国国務省は緊急事態で米国が外国人を救出することはないと述べています。



集団的自衛権で自衛隊を海外で戦闘できる組織にしようとしています。

イラク戦争やアフガニスタン戦争は明らかに失敗でしたが、どうしてこういう戦争に自衛隊が参加しなければならないのでしょうか。

 安倍首相は2014年5月15日の記者会見でパネルを使って、「今や海外に住む日本人は150万人、さらに年間1,800万人の日本人が海外に出かけていく時代です。その場所で突然紛争が起こることも考えられます。そこから逃げようとする日本人を、同盟国であり、能力を有する米国が救助、輸送しているとき、日本近海で攻撃があるかもしれない。このような場合でも日本自身が攻撃を受けていなければ、日本人が乗っているこの米国の船を日本の自衛隊は守ることができない」と説明しました。

 これを受けて、5月.19日付産経新聞は「7割が集団的自衛権を容認 日本人輸送の米艦船護衛73・1%が支持」と報じました。6月1日読売新聞は「邦人輸送の米艦防護 “賛成”75%」と報じました。

でも一寸考えてみてください。軍艦は戦うためにあります。有事では軍艦の最大目的は敵と戦う事です。この中、外国人の救出を行う余裕があるのでしょうか。

辻元清美氏は自分のブログで次のように報じました。

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本日6月11日、衆議院外務委員会で辻元清美が集団的自衛権について質問をし、次を明らかにしました。

・安倍総理が集団的自衛権行使の事例として繰り返す「戦争時に米輸送艦によって邦人が輸送された事例」は、過去に存在しないと、外務省は認めた。

・米国政府は他国の政府に対して「すべての外国政府は、自国民の避難についての計画を立て、また米国政府の手段に依存しないこと」を求めていることを、官房副長官は認めた。

****************************

更に、米国国務省のサイトで領事部の「旅行(TRAVEL)」という項目で避難に関するサイトで次を掲載しています。

問:「米国市民でない私の家族や友人はどうなるのか。貴方方は脱出を助けるのか」

答:「危機に於いて我々の優先は米国市民を助けることである。貴方方は米国政府が雇いあげたり、非商業輸送手段に、米国市民でない友人や家族を連れ込むことを期待すべきではない」

問:「避難時にどうして米軍軍用手段を使わないのか」

答:「ヘリコプターや米軍運搬手段や軍事エスコートがついた米国雇用輸送手段は現実と言うよりハリウッドの脚本である」

安倍首相が説明したように、日本人を米国の軍艦を避難させる、自衛隊がそれを守るというシナリオは成立していないのです。

安倍首相がパネルで説明した時、ちょっと待ってくれ、それはおかしい事だ」と大手メディアは問題提起したでしょうか。

しませんでした。

ではそういう声はなかったのでしょうか。よくよく見るとあったのです。

予想外の人が発言していました。大橋巨泉です。大橋巨泉は自分のことを「『巨泉は左だから』と片付けようとする人がいるけど、競馬やマージャンをテレビで推奨した男のどこが左だっていうんだよ」と言っています。

週刊現代6月7日号は「大橋巨泉の今週の遺言」で次を報じました。

「5月15日、安倍首相は記者会見、集団的自衛権の説明。紙芝居のようなパネル、その内容たるや、「大ウソ」や「スリカエ」に満ち、見ていて気持ちが悪くなった。率直な感想は、「この人は本当に悪い人だな」である。

日本人の母子らしい人が乗った米国の船を《防護できない》としたパネル。これを指しながら首相はいう。「紛争国から逃れようとしているお父さんやお母さん、おじいさんやおばあさん、子どもたち。彼らが乗る米国の船を今私たちは、守ることが出来ないのです」「この議論は国民の皆さま一人一人に関わる現実的な問題であります」だって。皆さん、こんな話聞いたことがありますか?米国の輸送船で紛争国から逃れた人など、かつて一人も居なかったはずだ」

首相よりも大橋巨泉の方が正しい発言をしている。この異常さにどれ位の人が気づいているでしょうか。



今安倍政権が「嘘と詭弁で政策を推進する」方針は真珠湾攻撃の決定の際と同じです。真珠湾では「民主主義国家の米国は長期の戦争に耐えられなくなる」という嘘の根拠に基づいて戦争に突入しました



集団的自衛権やTPP,原発などで安倍政権が行おうとしている方針は次の図式がなりたっています。

① 指導者が嘘や詭弁の説明をする、

② この嘘や詭弁で、本来は国民が望まない方向に政策を誘導する、

③ マスコミが調べれば嘘や詭弁であることが解るのにそれを検証せず、嘘、詭弁の拡散に努める

④ 国民はこの嘘や詭弁を信じ(信ずるふりをし)政策を容認する。

 これと同じ過程こそ、「真珠湾攻撃への道」の本質です。

 1945年8月15日トルーマン大統領は対日戦における空襲の効果について調査を命じます。

 調査委員会の定員は文官300名、将校350名、下士官500名です。大変な大部隊です。副委員長に「20世紀においてその著作が最も読まれた経済学者」と言われたガルブレイスが参加しています。

 この調査報告書は次のように記述しています。

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 開戦並びにフィリピン等に侵攻するという最終的決定は重要な地位にある全陸海軍指揮官並びに政府要人の完全なる意見の一致と積極的な承認によって定められたのである。実際に1941年10月までに行った次のごとき情勢判断に基づいている。

A 満州側面におけるロシアの脅威はドイツ軍のヨーロッパに於ける圧倒的勝利によって消滅した。

B 大英帝国は挽回することの出来ないほど守勢的立場にある、

C 米国およびその連合国が直ちに太平洋に展開しうる兵力、特に空軍兵力は十分に訓練さられ且動員さられた日本軍を阻止することが困難である。3,4か月の内に日本軍はビルマ、スマトラ、ジャワ等それから北にのびて千島に至る線で囲まれる全地域を占領しうるであろう

D ビルマ公路を切断された支那は孤立し和平を乞うであろう

E大英帝国の援助にやっきになり、更に真珠湾攻撃により痛撃を受けた米国は来るべき18カ月乃至2のうちには攻撃をとると十分なる兵力を動員しえない、この期間に円周防御線を堅固に構築し、且必要な前進飛行場並びに基地飛行場を建設することが可能となる。

Fこれら占領された強固な防御が戦争を継続する米国の決心をにぶらした反面、日本はポーキサイト、油等を獲得し、これらの物資を日本に輸出して加工し日本の生産並びに軍事機構を補給強化しうる

G民主主義国家としての米国の弱点は強烈に抵抗する日本の陸海軍人並びに飛行士によって与えられる大損害並びに連合国の脱落に直面しては全面的攻勢を維持することが出来ない。したがって米国は妥協して日本が最初に占領した地域の領有を許すであろう

********************************

 報告書のAからGをみてどう感じられたでしょうか。

 ほとんど皆、間違っています。

 しかし、「開戦並びにフィリピン等に侵攻するという最終的決定は重要な地位にある全陸海軍指揮官並びに政府要人の完全なる意見の一致と積極的な承認によって定められた」のです。

 では当時、AからGの結論になるのは当然のことだったのでしょうか。

 真珠湾攻撃の翌日ルーズベルト大統領は議会で対日宣戦を求める演説をしています。

「昨日、1941年12月7日という日は屈辱のもとに生きる日となるでしょう。この日にアメリカ合衆国は日本帝国の海・空軍の意図的な攻撃に突然さらされたのです。

 合衆国はかの国と平和的な状態にありました。そして日本の懇願のもと合衆国は、太平洋の平和維持を目指して日本政府及び天皇と交渉中であったのです。 (省略)

 陸海軍の最高指揮官として私は、国家防衛の為あらゆる手段を取るように命令を発しました。この措置は我々に対する攻撃がどのようなものであったかを全国民に常に思い出させることでしょう。

 この計画的な侵略を打ち負かす事にどれほど長い時間がかかろうとも、アメリカの民はその正義の力のもと、必ずや勝利を収めるでしょう。

 私は、我々はただ自国を護るだけではなく、このような形の危機が二度と我々を脅かす事のないようにしなければならないと主張致します。この主張を受けての議会と国民の意志は、もとより私は承知しております。」

 ルーズベルト大統領は「打ち負かす事にどれほど長い時間がかかろうとも、アメリカの民はその正義の力のもと、必ずや勝利を収めるでしょう」と言っています。「このような形の危機が二度と我々を脅かす事のないようにしなければならない」と言っています。

 こうした ルーズベルト大統領の発言は決して予想外のものではありません。当時の米国指導者層の発言をみれば、当然行う発言です。

 1941年8月ルーズベルト大統領とチャーチル首相が発表した太平洋憲章では、「“ナチ”の暴虐の最終的破壞の後」という文言が入っています。これはナチだけではなくて、3国同盟の日本も入ります。

しかし日本の評価は「民主主義国家としての米国の弱点は強烈に抵抗する日本の陸海軍人並びに飛行士によって与えられる大損害並びに連合国の脱落に直面しては全面的攻勢を維持することが出来ない。したがって米国は妥協して日本が最初に占領した地域の領有を許すであろうこと」と180度逆のことを述べています。

嘘なのです。

当時でも嘘であることが解るのです。

まさに「嘘だ」と解ることをあたかも事実のようにして推し進める、この体質が真珠湾攻撃に突き進んだ一番の問題と思います。

実はその現象は、正に、今の日本です。

集団的自衛権、TPP,、原発再稼働、消費税等に使っている論理と同じなのです。一番重要な論点を避ける。歪める。そしてありえない事実や、さして重要でない側面を強調し、本来執るべきでない政策を進める、それが今日の日本で強烈に復活しているのです。



 私達はどうして時の政権にやすやすと騙されるのでしょうか



 日本の指導者はどうして180度違うことを堂々と言えるのでしょう。

 そして国民はそれを唯々諾々と受け入れるのでしょう。

 最も明快にその回答を与えてくれたのが伊丹万作氏です。

伊丹万作氏は終戦のよく年1946年に「戦争責任者の問題」という論を発表しました。「騙される国民」を鋭く批判しました。

 主な論点を列挙します。

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・多くの人が、今度の戦争でだまされていたという。。おれがだましたのだといつた人間はまだ一人もいない。日本人全体が互にだましたりだまされたりしていた。

・新聞報道の愚劣さや、町会、隣組、警防団、婦人会といつたような民間の組織がいかに熱心にかつ自発的にだます側に協力していたか

・専横と圧制を支配者に許した国民の奴隷根性とも密接に繋がる

・我々は、いま政治的には一応解放された。しかしいままで、奴隷状態を存続せしめた責任を軍や警察や官僚にのみ負担させて、彼らの跳梁を許した自分たちの罪を真剣に反省しなかつたならば、日本の国民というものは永久に救われるときはないであろう。

・「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。

「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。

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 日本は今、伊丹万作氏がいう、「“だまされていた”といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう」という時代に入っています。日本は戦前に似通った時代に入っているのです。

 伊丹万作氏と言ってもご存じない方がおいでになると思います。

 伊丹万作氏は映画監督、脚本家で日本映画の代表作『無法松の一生』の脚本を書いています。

彼は1946年9月21日に亡くなっていますから、「戦争責任者の問題」遺書のようなものです。

 内閣総理大臣安倍晋三の発言は政治の世界とともに国内の不安定さを醸成している

2015-12-30 11:07:50 | 政治・文化・社会評論


   内閣総理大臣安倍晋三の発言は政治の世界とともに国内の不安定さを醸成している
                           櫻井 智志


言語の発生について、哲学者芝田進午氏は、「労働の組織的過程」(それは「労働の技術的過程」との統一としてとらえられていく)を重視している。言語は、人々が協業によって労働過程をより綿密で大規模に発達させることと言語の発生によって生成・発展されたとする。
しかし、安倍政権の総理は、「嘘・ごまかし・逆ギレ」「詭弁」によって粉飾された政治言語しか使えない。このことは、安倍晋三自民党総裁という閉じた集団内でなら、まだ嗤ってすませられるかも知れない。内閣総理大臣として国内の「最高?」権力者としての安倍晋三が使う言語は、国内の社会状態に直接影響を及ぼしている。その点で、孫崎享氏の下記の評論には刮目するものがある。



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【孫崎享のつぶやき】
リテラ『嘘、ごまかし、逆ギレ、開き直り…安倍首相「今年のトンデモ発言」ランキング』(抜粋)
2015-12-30 08:093



かつて、日本政治においては首相の発言には厳しいチェックがなされた。

 それは当然のことであろう。政治の最高責任を担う者には責任がある。

 しかし、安倍首相になって発言はあまりにもいい加減で嘘と詭弁に満ちている。それも原発や、集団的自衛権と言う重要な政策に関する発言である。

代表的なのは福島原発に関する発言である。ブエノスアイレスで開催された9月7日のIOC(国際オリンピック委員会)で委員の質問に対し

「結論から言うと、まったく問題ない。(ニュースの)ヘッドラインではなく事実をみてほしい。汚染水による影響は福島第一原発の港湾内の0・3平方キロメートル範囲内で完全にブロックされている。

 福島の近海で、私たちはモニタリングを行っている。その結果、数値は最大でも世界保健機関(WHO)の飲料水の水質ガイドラインの500分の1だ。これが事実だ。そして、我が国の食品や水の安全基準は、世界で最も厳しい。食品や水からの被曝(ひばく)量は、日本のどの地域でも、この基準の100分の1だ。

 健康問題については、今までも現在も将来も、まったく問題ない。完全に問題のないものにするために、抜本解決に向けたプログラムを私が責任をもって決定し、すでに着手している。」

 そして集団的自衛権の問題で、日本人の母子らしい人が乗った米国の船を《防護できない》としたパネル。これを指しながら首相はいう。「紛争国から逃れようとしているお父さんやお母さん、おじいさんやおばあさん、子どもたち。彼らが乗る米国の船を今私たちは、守ることが出来ないのです」「この議論は国民の皆さま一人一人に関わる現実的な問題であります」と言ったが、米国国務省ホームページでは、「 危機に於いて我々の優先は米国市民を助けることである。貴方方は米国政府が雇いあげたり非商業輸送手段に、米国市民でない友人や家族を連れ込むことを期待すべきではない」「ヘリコプターや米軍運搬手段や軍事エスコートがついた米国雇用輸送手段は現実と言うよりハリウッドの脚本である」と記述した。

 しかし、安倍政権になり、言論界は安倍首相の発言を批判することはない。

 大手メディアは安倍首相の発言を問題視して報ずることはほとんどない。

この中、リテラが『嘘、ごまかし、逆ギレ、開き直り…安倍首相「今年のトンデモ発言」ランキング』を掲載したので紹介する。(http://lite-ra.com/2015/12/post-1830.html

これを見れば、安倍首相が如何にいい加減な首相であるか、そしてそれをほとんど報じてない日本の大手新聞が如何に安倍広報メディア化しているかがわかる。

★1位

「我々が提出する法律についての説明はまったく正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」

(7月15日、衆院特別委員会で)

 堂々の1位は、やはりこれしかないだろう。権力を握った人間の強烈すぎる思い上がりが、ここまで見事に表現されている言葉は歴史を見わたしてもそうそうないはずだ。この「私は総理大臣なんですから」という一言で、わたしたちはこの国がどのような状態にあるのかを知ることができる。そう、総理大臣の意のままに法律がつくられ、疑義が呈されても聞く耳をもつつもりはない、とはっきり国民は突きつけられているのだ。これは安倍首相による明確な「独裁者」宣言である。

★2位

「我が軍の透明性を上げていくことにおいては、大きな成果を上げている」

(3月20日、参院予算委員会で)

その「歴史に謙虚」であることを自負する安倍首相の口からこぼれ出た言葉が、この思わず血の気が引く「我が軍」発言だ。言わずもがな自衛隊は軍隊とは認められていないし、軍の保持は憲法に反する。だが、どうやらこの人の頭のなかでは、すでに自衛隊は「我が軍」であるらしい。

★3位

「政治家は歴史に対して、謙虚でなければならない、というのが、私の信念であります」

(9月11日、ネット番組『櫻LIVE』生出演時に)

 北関東への記録的洪水が起こり多数の不明者の安否が気遣われていた夜、なんと安倍首相は自身の応援団である櫻井よしこと日本会議会長・田久保忠衛が出演するネット番組に生出演。そのなかで飛び出したのが、この発言だ。

★4位

「私の考え方をそこで述べることは言論の自由だ」

(3月3日、衆院予算委員会で)

 昨年末の衆院解散の当日に『NEWS23』(TBS)に生出演し、VTRの街頭インタビューに対して「これ、問題だ」と文句をつけた安倍首相。その後、自民党は在京キー局各社に「報道圧力」文書を送りつけたが、この『NEWS23』での発言を国会で問われた際、安倍首相はなんと「私の言論の自由」と言いつのったのだ。

 しかも信じられないのは、再度、国会で民主党・細野豪志議員から“為政者が番組への圧力を言論の自由と主張するのは人権の侵害だ”と反発を受けたときの返答だ。安倍首相はニヤニヤと笑いながら、ひと言「圧力と考える人なんて、私、世の中にいないと思いますよ」。さらに得意げにこう畳みかけた。

「番組の人たちは、それぐらいで萎縮してしまう。そんな人たちなんですか? 情けないですね、それは。極めて情けない」

 圧力をかけている張本人が何を言うか、と思うが、さらに安倍首相はこうも言った。

「その後も私はテレビに出たときに、あのときのことを例として挙げられ、私は当該テレビのアナウンサーから非難された。それは当然非難してもいいですよ。当然、報道の自由ですし、言論の自由」

 この「当該アナウンサー」とは、現在、降板の危機にさらされている膳場貴子キャスターのことだ。本サイトでは何度も伝えているように、膳場キャスターの降板の裏には安倍政権からの強い圧力の存在があるといわれている。「報道の自由、言論の自由」と言いながらやっていることは真逆、報道の自由を踏みにじるあるまじき行為なのだ。つまり安倍首相は、「オレの言論の自由こそが最優先で守られるべき」と考えているのだろう。

 悪寒が走る話だが、現実はこの安倍思考のまま着実に動いている。現に先日、安倍首相に目の敵にされてきた古舘伊知郎が『報道ステーション』(テレビ朝日)から降板することを発表した。いよいよ「言論の自由」は、この男に独り占めされてしまうのかもしれない。

★5位

「『安倍は生意気なヤツだから今度殴ってやる』と言う不良が来て、いきなり前を歩くアソウさんに殴りかかった。私もアソウさんを守る。これは今度の法制でできる」

(7月7日、ニコニコ生放送『安倍さんがわかりやすくお答えします!平和安全法制のナゼ?ナニ?ドウシテ?』で)

 もう何を言っているのか、何を言いたいのかさっぱりわからない。安倍首相は安保法制を「ていねいに説明する」と何度も繰り返したものの、口から出てきたのはこの通り、無茶苦茶なたとえ話ばかりだった。

 なかでも国民が呆れかえったのは、フジテレビのニュース番組生出演時に披露した「アメリカの火事」というたとえ話だった。安倍首相は得意満面で“総理肝入り”の模型までスタジオに持ち込んだが、それを使って展開したのは、こんな話だった。

「アメリカの家が燃えて、横にある離れにも火が燃え移っても、日本は何もしない。でも、離れの火がぎゅーときて、日本の家が燃えたら日本の消防士がはじめて出てくるけど、これからは風向きでアメリカの離れの火が日本の家まで来そうなら、日本の消防士は道の上から離れの消火活動ができる。でも、アメリカの家までは行かない」

★6位

「ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」

(1月17日、日エジプト経済合同委員会でのスピーチで)

 すべては安倍首相の中東訪問、エジプトでのこの発言がきっかけだった。安倍首相はこのとき「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです」と、はっきり“難民支援ではなくIS打倒のため”と宣言。当然、この発言はISの逆鱗にふれ、湯川遥菜さんと後藤健二さんの殺害予告がなされてしまったのだ。

 しかも悪質なのは、このときすでに後藤さんがISに拘束されているという事実を官邸は掴んでいた、という点だ。

★7位

「早く質問しろよ!」

(5月28日、衆院特別委員会で辻元清美議員に向かって。機雷掃海のリスクについて指摘する辻元清美議員に「早く質問しろよ!」とイライラした調子で声を張り上げた。)

★8位

「戦争法案などといった無責任なレッテル貼りはまったくの誤りだ」

(5月14日、安保法案閣議決定後の記者会見で)

★9位

「難民受け入れは人口問題として申し上げれば、我々は移民を受け入れる前にやるべきことがある。それは女性や高齢者の活躍であり、出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手がある」

(9月30日、国連総会の一般討論演説後の記者会見で)

★10位

「第三の矢は的に届いていないとの批判を受けるが、私は大学時代、アーチェリー部だった。私の矢は必ず当たる」

(5月2日、ロサンゼルスでの日米交流関係者との昼食会で)



被害者の韓国人女性たちに謝罪の意思表明なくて、どこが誰に謝意が伝わるのか

2015-12-29 09:51:19 | 転載と私見
《「信なくば人立たず。」アメリカの介入で、心からでなく、うわべを取り繕う見せかけの外交は、いずれ破綻する。もしも文字通りに安倍政権が考えているのなら、歓迎したいが、異なる。被害者の韓国人女性たちに謝罪の意思表明なくて、どこが誰に謝意が伝わるのか。 櫻井 智志》




【孫崎享のつぶやき】
従軍慰安婦問題、急進展。日本、岸田外相「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」怒る右派。急展開は日韓を対中国強硬姿勢に利用しようとする米国の指示。
2015-12-29 07:581
従軍慰安婦問題は急展開した。29日朝日新聞は、「慰安婦問題日刊合意」、「政府の責任認定、首相おわび」「韓国が財団 日本から10億円」との見出しで報じている。
記事には「岸田文雄外相と韓国の尹炳世外相は28日、ソウル市内の韓国外交省で約1時間20分会談した。終了後、両氏は共同記者発表を開催。岸田氏は、慰安婦問題について「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」とし、“「日本政府は責任を痛感している”と語った。さらに、安倍首相が元慰安婦に対して“「心からおわびと反省の気持ちを表明する”と述べた。
 安倍政権は、中国、韓国と対峙することで国内世論を煽ってきた。
 その中で、「ネトウヨ」等を利用してきた。
 この人達の怒りは極めて大きい。
 代表的なものは桜チャンネルである。
【反日韓国】日韓合意絶対反対、明日、官邸前緊急抗議活動へ起て![桜H27/12/28]
Published on Dec 28, 2015
「本日共同記者会見で発表された、慰安婦問題に関する「日韓合意」には、最終決着を焦る余りに許容し得ない表現が盛り込まれていた。国民の中に、厳然とした批判があることを政府・外務省に突き付けるため、明日緊急に抗議行動を行うこととしました。年末のお忙しい中ではありますが、一人でも多くの方にご協力頂けますよう、呼び掛けさせて頂きます。」https://www.youtube.com/watch?v=iEfaZpVPBEE

 さらに「ネトウヨ」の発言が顕著である2ちゃんねるでは
「安部は慰安婦なんて無いってスタンスじゃなかったの?
金払うなよふざけんな」「売国安倍チョン政権」「安部を●せ!!!!!!!!!」「安部やっちまったな」「さすがに河野洋平以上の売国奴と言わざるを得ない」「売国奴安倍正体表す」「安倍辞めろ!!」「はい日本終った」「もうね、ばっかじゃねーの」「河野村山談話検証する!と息まいてたのは何だったのか」「この年の瀬になに不愉快な気分にならなあかんねんw 死ねよクソ政府w」等が続いている。(http://daily.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1451285377/)
 しかし、こうした展開は十分あり得た。
 安倍政権の特色は①対米隷属と②右翼のポーズの2つあるが、①と②が矛盾した時には、躊躇なく①をとる。それは、首相の靖国神社参拝の取りやめでも明らかである。
 私の28日ツイッターは次のとおりである。
「孫崎 享 @magosaki_ukeru · 24時間24時間前
慰安婦問題、何故今急に動き出したの。答え簡単です。米国の要請です。28日朝日「日韓が合意に至った場合、米政府は「歓迎声明」を出す方針。米国は日韓両政府に対し、合意に至った場合は最終的な妥結とするよう、水面下で強く求めていた。」米は対中戦略上日韓協力の必要を認識、双方に指示」。
 ここでは米国の反応中、米国に関する部分を見てみたい・
【1】28日付ニューヨーク・タイムズ紙
「米国は中国の東アジアにおける増大しつつある強硬な立場(assertiveness)と北朝鮮の核兵器開発に対抗するため、アジアの同盟国とともに共同の戦線を強化しようとする米国の努力を阻止するもの、論争を解決するよう、幾度となく日本と韓国に呼びかけてきた(The United States has repeatedly urged Japan and South Korea to resolve the dispute, a stumbling block in American efforts to strengthen a joint front with its Asian allies to better cope with China’s growing assertiveness in the region, as well as North Korea’s attempt to build a nuclear arsenal).
(2)28日ワシントン・ポスト
 この動きはワシントンで歓迎される。ワシントンは2つの最も近い同盟国の争いに懸念し、当惑してきた(The move will be welcomed in Washington, which has been both concerned and annoyed by the fighting between its two closest allies in Asia)
(3)AP(星条旗新聞転載)
 韓国と日本のより良好な関係はワシントンにとって優先であった。(Better relations between South Korea and Japan are a priority for Washington. The two countries together host about 80,000 U.S. troops and are members of now-stalled regional talks aimed at ending North Korea's nuclear ambitions in return for aid.)
(4)ウオールストリートジャーナル
「戦時問題は二か国の関係を悪化させ、ワシントンにとっての懸念であった(The wartime issue has long strained relations between the two neighbors and caused concern in Washington.)
(4)CFR 12月20日には掲載
標題「日韓関係を管理する(Managing Japan-South Korea Tensions)」http://www.cfr.org/…/managing-japan-south-korea-ten…/p37358…
 進行中の日韓の緊張の悪化は共同の事故対応計画と危機時における3か国協力を制限し、中国の勃興にたいする能力を減ずることで
東アジアでのワシントンの影響力を抑制してきた。
従来米国は日韓関係に協力に介入することに躊躇してきた。
米国政策当局には日韓のより緊密な関係を促進させるいくつかの選択肢を保有している。
(The ongoing, and in some areas worsening, tensions between Seoul and Tokyo constrain Washington's influence in East Asia by limiting joint contingency planning and trilateral coordination for crisis management as well as the ability to address the challenge of China's rise.
As North Korea expands its nuclear and missile capabilities and as China pushes to expand its influence in East Asia, often at the United States' expense, an increasing number of U.S. policy analysts are calling on the United States to shed its long-standing reluctance to intervene more forcefully in Japan-South Korean disputes despite the risks of doing so. U.S. policymakers have a number of options for facilitating closer bilateral cooperation between Tokyo and Seoul, as well as trilateral cooperation among Tokyo, Seoul, and Washington. Although more forceful intervention in Japan-South Korea relations carries risks to the United States, the costs of nonintervention are rising.
Mark Manyin is a specialist in Asian affairs at the U.S. Congressional Research Service)
.私は基本的に従軍慰安婦問題の解決を歓迎する。
しかし同時に、この解決は米国の日韓双方への介入で実現されたこと、そしてそれは日韓を対中国強硬姿勢への一環として利用しようとする米国の意図で動かされていることを理解する必要がある。

ジャーナリストと国家権力との緊張関係は戦前からあった。問題は強靱な受け手の成熟にもある。

2015-12-28 15:13:32 | 政治・文化・社会評論
《いつの時代にもまともなことを民衆に知らせようとするジャーナリストは、権力の弾圧を受けた。戦前の桐生悠々、戦後の西山太吉。昨今のテレビ報道番組への政府からの圧力とテレビ側の過度の自主規制も大きな問題である。日刊ゲンダイの記事は、深く掘り下げて、こういう視点があったのだと参考となった。この記事で取り上げられていないNEWS23の岸井成格アンカーに対して、私は古館氏と岸井氏とは異質とうけとめている。岸井氏は毎日新聞社の主筆、いわばトップであった。それを三顧の礼で迎えたTBS経営陣の今後の岸井さん、膳場さんへの対応は、年が明けてこれからの趨勢を見守りたい。事実に即して、コメントしたいと考える。  櫻井智志》

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【日刊ゲンダイ】巻頭特集
古舘伊知郎が惜しまれるテレビ報道番組の惨状
2015年12月26日
「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスターが24日、来年3月末で辞めることを発表した。このニュースが注目されたのは、古舘といえば、一応、反権力、反安倍で「戦ってきたキャスター」というイメージがあったからだ。
「放送レポート」編集長の岩崎貞明氏は日刊スポーツで「圧力、逆風がある中で正面に立って体を張ったと思う」とコメントしていたが、そういう部分は確かにあった。とはいえ、こんな声もあるにはある。元NHKの政治記者の川崎泰資氏である。
「前任者の久米宏氏は『与党とマスコミが衝突するのは当たり前だ』と語り、腹が据わっていた。彼に比べると、古舘氏は底の浅さを感じましたね。口先だけでごまかしているイメージで、だから、最後はケンカにならなかったのでしょう」
“ケンカ”とは、こういうことだ。
「今年3月、報ステのコメンテーターだった元経産官僚の古賀茂明氏が『I am not ABE』発言で官邸からバッシングを受けて降板することを暴露しましたが、実はそのころから、古舘氏もセットで辞めさせろ、というムードができていたんです。官邸が政権に批判的な報ステを快く思っていなくて、それが上層部にも伝わっていたからでしょう。古賀氏の前に辛口コメンテーターだった朝日新聞の恵村順一郎論説委員が外され、古賀氏と同時期にこれまた『戦う』女性プロデューサーが異動になった。そのころから外堀が埋まっていて、来春の契約更新時の降板は“既定路線”だったのです。これに対して、古舘氏は『俺が頑張るからな』と直前まで周囲に語っていた。会見では自分の意思でやめるような言い方でしたが、現場にしてみれば、青天の霹靂で、そうは見えない。事実上のケンカ別れ、安倍官邸の顔色ばかりを気にしている上層部にバッサリ切られたということでしょう」(テレビ朝日関係者)
 だったら、古舘も古賀氏のようにケツをまくればいい。暴露でも何でもすりゃいいのに、そうはしなかった。わずかに「12年間のうっぷんがたまっている」とジャブを放った程度だ。
 かくて、安倍官邸の圧力にやたらと敏感な報道機関の自粛によって、また一人、キャスターが葬り去られたわけである。
 古舘のニュースキャスターとしての評価について、前出の川崎泰資氏は「それなりだったと思う」とこう言う。
「政治権力による言論弾圧の風潮が強まっているように感じる昨今ですから、よく頑張っているように見えたし、それなりに頑張っていたとは思います。でも、あれくらいは当たり前で、もっとやってもいい。古舘氏を惜しむ声があるのは、いかに日本のテレビ局のキャスターが牙を抜かれているのかの裏返し。そこに注目すべきですよ」
 いつのまにか、古舘が「最後の砦」のようになってしまった。そこが問題なのである。
かつて、TBSには「JNNニュースコープ」という番組があった。初代メーンキャスターは後に政治家に転身する田英夫氏。しかし、ベトナム戦争報道で切られた。表向きの理由は「北ベトナムをめぐる真実でない報道」だったが、反米的な報道姿勢に政府・与党が怒り、TBSに圧力をかけたからとされている。構図は古賀、古舘騒動ソックリだ。TBSでは今、これまた政権に批判的な「ニュース23」の岸井成格キャスターがやり玉に挙がっている。こちらも3月降板が確実視されている。
「田氏の例があるように政治がTV局に圧力をかけることはよくある。そのたびに誰かが更迭される。でも次にまた戦う人が控えていればいいんです。しかし、今はどのTV局も政権ベッタリでマトモな次がいなくなってしまった。そこがショックだし、由々しきことなのです」とは武蔵大教授の永田浩三氏。NHKで従軍慰安婦の問題を真正面から取り上げた元プロデューサーである。
 ちなみに田氏はクビになったあと、自民党の三木武夫らが「励ます会」を開いた。そこに自民党の良識があったが、今や、安倍の言論封鎖に誰も声を上げず、それどころか若手議員らが「もっと懲らしめろ」「広告を断てばいい」などと騒いだ。さすがに批判されたが、その首謀者がいつのまにか役職停止処分を解かれ復活している。それでも、TVはまったく批判しないのだから、なめられるわけである。なるほど、古舘“程度”でも「惜しまれる人材」になるのだろう。
報道バラエティーが与党のPR役をやっている
 もうひとつ、古舘降板劇の記者会見で気になったのは、古舘が報道番組と娯楽番組を分けて、報道番組は制約が多いことなどを指摘したことだ。
 そうか、今のテレビに報道番組があったのか。全部バラエティーかと思った。こんな皮肉も言いたくなる。見渡せば、報道バラエティー番組ばかりじゃないか。そうした番組ではもちろん、政権批判はしない。しないどころか、進んで政府与党のPR役を買って出る。
 安保法制の審議がたけなわだった今年9月、安倍は国会の特別委員会をサボって大阪へ直行。読売テレビの情報番組「そこまで言って委員会NP」の収録と「情報ライブ ミヤネ屋」の生放送に出演した。「そこまで」の司会は辛坊治郎、ミヤネ屋はもちろん、宮根誠司だ。
 当然、野党は問題視、自民党の鴻池祥肇・参院特別委委員長も「一国の首相としてどうか」と怒ったが、テレビ局はもみ手で安倍を迎え、一方的にしゃべらせた。今のテレビなんて、この程度なのである。TV局側は「あれは報道番組じゃない」などと言い訳するのだろうが、そんなのはTV側の理屈で、見ている方は区別がつかない。早い話、報道番組もバラエティーも一緒に見える。芸能人やお笑い芸人があふれ、ニュースもバラエティーもあったもんじゃないのだが、そこで素朴な疑問である。
 なぜ、テレビの報道番組はここまでフニャフニャになり骨抜きにされたのか。安倍の暴政といったって、放送法を変えられたわけじゃない。昔だって、政治の圧力はあったのだ。
「そもそも、政治的公平を定めた放送法4条はNHKの内規でした。選挙の際の政見放送をするときのルールで、それを放送法をつくるときに参考にしてもってきた。つまり、選挙の時の自主ルールなんですよ。それを権力側が振りかざし、気に入らない番組に圧力をかけたり、幹部を呼び出し事情聴取するなんて、ありえないことなのです。そんなことを許せば、TV局は自分で自分の首を絞めることになる。権力の横暴をチェックできずに暴走させれば、国民の不利益になるからです。はねのけなければウソなのです」(永田浩三氏=前出)
 それができないのは「それぞれの志の問題だろう」と前出の川崎泰資氏は言った。テレビ朝日では古賀騒動の後、福田俊男専務が自民党の情報通信戦略調査会に呼び出されたが、停波をチラつかせて脅した自民党に反発するどころか、「誤解が生じたら困るので、いい機会と捉えて出席した」なんて媚びていた。古舘報ステに対し、現場の政治記者の間には「あの番組のせいで取材がしにくい」なんて声もあったというから、オシマイだ。
 古舘を最後の骨太キャスターと呼ぶならそれで結構。とことん劣化したテレビ局にふさわしい話である。
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ジャーナリストと国家権力との緊張関係は戦前からあった。問題は強靱な受け手の成熟にもある。

2015-12-28 15:13:32 | 政治・文化・社会評論
《いつの時代にもまともなことを民衆に知らせようとするジャーナリストは、権力の弾圧を受けた。戦前の桐生悠々、戦後の西山太吉。昨今のテレビ報道番組への政府からの圧力とテレビ側の過度の自主規制も大きな問題である。日刊ゲンダイの記事は、深く掘り下げて、こういう視点があったのだと参考となった。この記事で取り上げられていないNEWS23の岸井成格アンカーに対して、私は古館氏と岸井氏とは異質とうけとめている。岸井氏は毎日新聞社の主筆、いわばトップであった。それを三顧の礼で迎えたTBS経営陣の今後の岸井さん、膳場さんへの対応は、年が明けてこれからの趨勢を見守りたい。事実に即して、コメントしたいと考える。  櫻井智志》

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【日刊ゲンダイ】巻頭特集
古舘伊知郎が惜しまれるテレビ報道番組の惨状
2015年12月26日
「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスターが24日、来年3月末で辞めることを発表した。このニュースが注目されたのは、古舘といえば、一応、反権力、反安倍で「戦ってきたキャスター」というイメージがあったからだ。
「放送レポート」編集長の岩崎貞明氏は日刊スポーツで「圧力、逆風がある中で正面に立って体を張ったと思う」とコメントしていたが、そういう部分は確かにあった。とはいえ、こんな声もあるにはある。元NHKの政治記者の川崎泰資氏である。
「前任者の久米宏氏は『与党とマスコミが衝突するのは当たり前だ』と語り、腹が据わっていた。彼に比べると、古舘氏は底の浅さを感じましたね。口先だけでごまかしているイメージで、だから、最後はケンカにならなかったのでしょう」
“ケンカ”とは、こういうことだ。
「今年3月、報ステのコメンテーターだった元経産官僚の古賀茂明氏が『I am not ABE』発言で官邸からバッシングを受けて降板することを暴露しましたが、実はそのころから、古舘氏もセットで辞めさせろ、というムードができていたんです。官邸が政権に批判的な報ステを快く思っていなくて、それが上層部にも伝わっていたからでしょう。古賀氏の前に辛口コメンテーターだった朝日新聞の恵村順一郎論説委員が外され、古賀氏と同時期にこれまた『戦う』女性プロデューサーが異動になった。そのころから外堀が埋まっていて、来春の契約更新時の降板は“既定路線”だったのです。これに対して、古舘氏は『俺が頑張るからな』と直前まで周囲に語っていた。会見では自分の意思でやめるような言い方でしたが、現場にしてみれば、青天の霹靂で、そうは見えない。事実上のケンカ別れ、安倍官邸の顔色ばかりを気にしている上層部にバッサリ切られたということでしょう」(テレビ朝日関係者)
 だったら、古舘も古賀氏のようにケツをまくればいい。暴露でも何でもすりゃいいのに、そうはしなかった。わずかに「12年間のうっぷんがたまっている」とジャブを放った程度だ。
 かくて、安倍官邸の圧力にやたらと敏感な報道機関の自粛によって、また一人、キャスターが葬り去られたわけである。
 古舘のニュースキャスターとしての評価について、前出の川崎泰資氏は「それなりだったと思う」とこう言う。
「政治権力による言論弾圧の風潮が強まっているように感じる昨今ですから、よく頑張っているように見えたし、それなりに頑張っていたとは思います。でも、あれくらいは当たり前で、もっとやってもいい。古舘氏を惜しむ声があるのは、いかに日本のテレビ局のキャスターが牙を抜かれているのかの裏返し。そこに注目すべきですよ」
 いつのまにか、古舘が「最後の砦」のようになってしまった。そこが問題なのである。
かつて、TBSには「JNNニュースコープ」という番組があった。初代メーンキャスターは後に政治家に転身する田英夫氏。しかし、ベトナム戦争報道で切られた。表向きの理由は「北ベトナムをめぐる真実でない報道」だったが、反米的な報道姿勢に政府・与党が怒り、TBSに圧力をかけたからとされている。構図は古賀、古舘騒動ソックリだ。TBSでは今、これまた政権に批判的な「ニュース23」の岸井成格キャスターがやり玉に挙がっている。こちらも3月降板が確実視されている。
「田氏の例があるように政治がTV局に圧力をかけることはよくある。そのたびに誰かが更迭される。でも次にまた戦う人が控えていればいいんです。しかし、今はどのTV局も政権ベッタリでマトモな次がいなくなってしまった。そこがショックだし、由々しきことなのです」とは武蔵大教授の永田浩三氏。NHKで従軍慰安婦の問題を真正面から取り上げた元プロデューサーである。
 ちなみに田氏はクビになったあと、自民党の三木武夫らが「励ます会」を開いた。そこに自民党の良識があったが、今や、安倍の言論封鎖に誰も声を上げず、それどころか若手議員らが「もっと懲らしめろ」「広告を断てばいい」などと騒いだ。さすがに批判されたが、その首謀者がいつのまにか役職停止処分を解かれ復活している。それでも、TVはまったく批判しないのだから、なめられるわけである。なるほど、古舘“程度”でも「惜しまれる人材」になるのだろう。
報道バラエティーが与党のPR役をやっている
 もうひとつ、古舘降板劇の記者会見で気になったのは、古舘が報道番組と娯楽番組を分けて、報道番組は制約が多いことなどを指摘したことだ。
 そうか、今のテレビに報道番組があったのか。全部バラエティーかと思った。こんな皮肉も言いたくなる。見渡せば、報道バラエティー番組ばかりじゃないか。そうした番組ではもちろん、政権批判はしない。しないどころか、進んで政府与党のPR役を買って出る。
 安保法制の審議がたけなわだった今年9月、安倍は国会の特別委員会をサボって大阪へ直行。読売テレビの情報番組「そこまで言って委員会NP」の収録と「情報ライブ ミヤネ屋」の生放送に出演した。「そこまで」の司会は辛坊治郎、ミヤネ屋はもちろん、宮根誠司だ。
 当然、野党は問題視、自民党の鴻池祥肇・参院特別委委員長も「一国の首相としてどうか」と怒ったが、テレビ局はもみ手で安倍を迎え、一方的にしゃべらせた。今のテレビなんて、この程度なのである。TV局側は「あれは報道番組じゃない」などと言い訳するのだろうが、そんなのはTV側の理屈で、見ている方は区別がつかない。早い話、報道番組もバラエティーも一緒に見える。芸能人やお笑い芸人があふれ、ニュースもバラエティーもあったもんじゃないのだが、そこで素朴な疑問である。
 なぜ、テレビの報道番組はここまでフニャフニャになり骨抜きにされたのか。安倍の暴政といったって、放送法を変えられたわけじゃない。昔だって、政治の圧力はあったのだ。
「そもそも、政治的公平を定めた放送法4条はNHKの内規でした。選挙の際の政見放送をするときのルールで、それを放送法をつくるときに参考にしてもってきた。つまり、選挙の時の自主ルールなんですよ。それを権力側が振りかざし、気に入らない番組に圧力をかけたり、幹部を呼び出し事情聴取するなんて、ありえないことなのです。そんなことを許せば、TV局は自分で自分の首を絞めることになる。権力の横暴をチェックできずに暴走させれば、国民の不利益になるからです。はねのけなければウソなのです」(永田浩三氏=前出)
 それができないのは「それぞれの志の問題だろう」と前出の川崎泰資氏は言った。テレビ朝日では古賀騒動の後、福田俊男専務が自民党の情報通信戦略調査会に呼び出されたが、停波をチラつかせて脅した自民党に反発するどころか、「誤解が生じたら困るので、いい機会と捉えて出席した」なんて媚びていた。古舘報ステに対し、現場の政治記者の間には「あの番組のせいで取材がしにくい」なんて声もあったというから、オシマイだ。
 古舘を最後の骨太キャスターと呼ぶならそれで結構。とことん劣化したテレビ局にふさわしい話である。
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大学教育における「教養」としての哲学や社会科学の意外な重要性

2015-12-28 09:18:25 | 政治・文化・社会評論
大学教育における社会科学と哲学などの一般教育の重要性
                    櫻井 智志

 文科省だったかその周辺からだったか、大学での人文科学・社会科学をなくし、理科系を充実させるべきと見解を出した。これはこの後に転載した孫崎享氏も述べていらっしゃるが、明白な重要問題をはらむ。
 大学での一、二年の一般教養を高校の学習と重複しているという見方もある。西洋教育史の碩学元東京教育大学教育学部長梅根悟氏や前中央大学教授中野光氏は、なぜ一般教育が必要なのかを「教養」概念の重要性として研究書に書いておられる。
 細分化された科学の細切れの知識でなく、個別科学を全体として総合的な知として位置づけられたものが、「哲学」であり「社会科学」である。もしも社会科学や哲学をカリキュラムからはずすことの弊害は、実施されたなら大きな禍根を残すことになるだろう。
 化血研に働く研究者たちは、インフルエンザワクチンの不正な製造や猛毒ポツリヌス菌の運搬などそれらを行うことに、どれだけ社会的影響や被害者への問題を自らが生きることとむすびつけて考えていただろうか。
 国立感染研は、実験に扱う細菌やウイルスがもしも外部の住宅密集地に漏れたならば、その甚大な被害について構想する見識をもっていただろうか。自然科学者が人間知としての哲学や社会科学についての「自ら考え判断する」思考や認識をもっていないとしたら、その弊害は重大な瑕疵を帯びる。
 以下の孫崎享氏の評論は、私がいま書いたこととまた別の視野から執筆している。アメリカの高等教育でのアプローチをぜひご覧いただければ幸いである。




【孫崎享のつぶやき】
大学教育で一般教育縮小は間違い。ハーバード大学医学大学院教授の「大学での一般教養教育は何故必要か」(抜粋)
2015-12-28 07:251


A:事実関係:ワシントン・ポスト紙掲載「ハーバード医学大学院教授が何故一般教養、哲学が必要かを説く(A Harvard Medical School professor makes the case for the liberal arts and philosophy)」

https://www.washingtonpost.com/news/grade-point/wp/2015/12/24/a-harvard-medical-school-professor-makes-the-case-for-the-liberal-arts-and-philosophy/

筆者はDavid Silbersweig、ハーバード大学医学大学院教授

・共和党大統領選討論会及びその後の声明で、ルビオ候補は哲学や米国高等教育の重要性を低く評価した(注:「溶接工の方が哲学者より金を儲けるとして職業訓練所の必要を強調した)。その時私はダートマス大学2年生の時、小さい頃からの知りあいの歯医者に行った時のことを思い出す。

 その時歯医者は「何を専攻しているか」と聞き、私が「哲学専攻」というと、「哲学でどうしようとしているのか」と聞いた。私はその時、「考える事」と答えた。

・歯医者には哲学は実用的でないように見えたが、哲学はその後私が行った全てに対しての方法論を与えてくれた。

・もし、カントの一段落を、その考え方や配列されている節を留意しながら読み切るなら、貴方は全てを考え抜くことが出来る。もし貴方が、議論に役立させる形で、仮説や上位の原則やを受け止め、抄録(abstract)と抜粋(extract)が出来るなら、無数の分野での問題点を見つけ、立ち向かわせることが出来る。

 哲学はいかに継続して自分に与え続ける贈り物であったか。

歯医者には非実用的とみられたかもしれないが、哲学はその後私が携わったすべてに方法論を知らせ、与えてくれた。

・哲学は私の哲学から医学の道で数えられない方法で私を助けてくれたし、この点はルビオや私の歯医者などが多くの誤解を持っていることを示している。

(その後、東洋哲学、脳の研究に言及)

・学位取得後英国で訓練する機会を得た。多くの異なる国の人々と働き、考えた。そしてそこで、一般教養教育を持たない者は如何に優秀でも狭い視野しか持っていないことを発見した。彼らの教育は職業的であった。(新しい分野の切り開きには異なる分野の人々の協力の有益さに言及)



B:問題点

・現在経済製品は恐ろしい勢いで新しいものに変わっている。

・旧来的な職業訓練的教育で身につけた技術は古くなる。
 旧来的なものを以下に効率よく作るかでは競争に生き残れない。
・新しい情勢変化に適合していくことが、何時の時代よりも望まれる。

・新技術は、各種分野の複合体として出てくる。

・各種分野を統括して見渡せる能力がなければ経済競争に勝てない。

・一般教育はまさにその力を養う。

・日本の大学における専門重視の教育は多分時代の求めるもとと、逆方向に進んでいるとみられる。


裁判所と大手マスコミを籠絡・弾圧したとんでもない短命政府

2015-12-26 11:29:22 | 政治・文化・社会評論
   裁判所と大手マスコミを籠絡・弾圧したとんでもない短命政府


福井地裁の逆転再稼働判決の背後には、政府の露骨な支配・干渉による裁判官人事の独裁があった。それを支えているのは、裁判官の原発産業天下りの甘い蜜にむらがるさもしい一部裁判官の堕落であった。この国のとんでもないあちこちで起きている不可思議の裏に安倍政権と取り巻きの日本人のどうにも呆れるほどの超強硬的独裁圧政がある。フランス・ルイ14世に立ち上がったパリの民衆は、ギロチン台で独裁を打倒した。まさに歴史の亡霊がヨーロッパから極東に時空を超えて出現した。長く圧政に慣れた日本国民は、おとなしく言論による反対行動をおこなっている。日本史においては、過酷な農民搾取に対する土一揆、百姓一揆、農民一揆、キリシタン弾圧にたちあがった長崎島原の乱、乱世に怒った大塩平八郎の乱、東北で立ち上がってシャクシャインの義挙、安藤昌益に連なる農民のレジスタンスなどがあったし、明治以後も自由民権運動、米騒動、社会主義運動、労働運動が続き、戦時下で大弾圧されたあとも、戦後には2.1ゼネスト計画、労働争議、「来なかったのは戦艦だけ」と言われた東宝争議・読売争議、1960年安保闘争と脈々と続いている。
この独裁政権は、すでに国連の人権機関から目を付けられている。国内では安倍のアメとムチのマスコミ対策で、料亭接待による各社幹部や論説トップの籠絡と安倍を批判するものは徹底的に粉砕してマスコミから追放する対マスコミファシズムが荒れ狂っている。
裁判所、マスコミ、こうしたとんでもない独裁政治は、アジアでも日本とわずかな国家だけである。  櫻井智志



【孫崎享のつぶやき】
福井地検、異例の仮処分取り消し。「高浜原発再稼動容認の裏に裁判所と原子力ムラの癒着! 原発推進判決出した裁判官が原発産業に天下りの実態」(リテラ転載)
2015-12-26 08:122



A:125日リテラ報道抜粋「高浜原発再稼動容認の裏に裁判所と原子力ムラの癒着! 原発推進判決出した裁判官が原発産業に天下りの実態」

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12月24日、福井地裁は高浜原発再稼働の差し止めを命じた仮処分決定を取り消し、再稼働に向け大きな一歩を歩み始めた。この訴訟に関しては今年4月14日、同裁判所において「新規制基準に適合したとしても安全性は認められない」などとして再稼働しないよう命じる仮処分が出され、それを不服として関西電力側が異議を申し立てていたもの。つまり、今回の福井地裁の決定は関西電力側の主張が通ってしまったということでもある。

 だが、この差し止め仮処分取り消しの背景には、裁判所の露骨な“原発推進人事”があった。4月の高浜原発再稼働差し止めの仮処分を決定したのは福井地裁の樋口英明裁判長(当時)のことだ。

 樋口裁判長は、「10年足らずの間に各地の原発で5回にわたって想定を超える地震が起きたのに、高浜原発では起きないというのは楽観的な見通しに過ぎない」と指摘し、福島第一原発事故後に定められた原子力規制委員の新基準についても「緩やかにすぎ、合理性を欠く」と判断。政府の原発政策に根本から異議を唱える決定だった。

 ところが、裁判所はこの樋口裁判長を原発裁判にかかわらせないような人事を発令する。

 きっかけは樋口裁判長が、1年半前の14年5月、大飯原発の運転差し止め訴訟で原発の運転を認めない決定を下したことだった。その後、樋口裁判長が高浜原発の運転差し止め仮処分を担当することになると、裁判所は2015年4月1日付で、樋口裁判長を、名古屋家裁に異動させることを決定したのだ。

「彼ほどのベテランなら通常高裁に異動してもおかしくないはずですが、家裁への異動になってしまった。関係者の間では、懲罰人事、今後、原発訴訟に関わらせないようにするための“左遷”だと囁かれました」(司法記者)

 高浜原発の差し止め仮処分申請については、樋口裁判長が裁判所法28条に基づく「職務代行辞令」を利用して、名古屋地裁への異動後も引き続き審議を担当、再稼働を差し止める仮処分を決定したが、恣意的な異動命令に屈さない、裁判官としての人生をかけた大仕事だったと言える。

 だが、その樋口裁判長もさすがに、今回の異議申し立ての審議には関わることはできなかった。裁判所の“原発推進人事”は見事に功を奏し、新たに赴任した林潤裁判長によって、高浜原発の再稼動差し止めは覆された。

 しかも、今回決定が下されたのは高浜原発だけではない。同じく12月24日、福井地裁の林潤裁判長は、大飯原発の3、4号機を再稼働しないよう求めた住民の申し立てについても退けた。樋口裁判長が下した決定について控訴審で審理が継続されている中でのことである。ようは外堀を埋めたわけであり、これで高浜、大飯の2つの原発が再稼働されることがほぼ決定的となった。

 もちろん、こうした人事を使った原発後押し判決の背後には、政府の意向がある。

「司法の独立なんていうのは建前にすぎなくて、今回に限らず、法務省は権力側に都合の悪い判決を出した裁判官に報復のような人事をするんです。例えば刑事事件で無罪判決を出したり、行政訴訟で住民側を勝訴させた裁判官は必ずと言っていいほど地方の支部や家庭裁判所に異動させられる。今回のケースもまさにそれに当たるでしょう」(司法関係者)

 しかも信じられないことに、裁判所には直接、電力会社や原子力産業との癒着構造があるのだという。

 その典型的な例を「週刊金曜日」2011年6月3日号でジャーナリスト三宅勝久氏がレポートしている。記事によれば1992年、伊方原発と福島原発設置許可取り消しを求めた裁判で「国の設置許可に違法性はない」と電力会社側に沿った判決を下した味村治氏(故人)が、退官後の98年、原発メーカーでもある東芝の社外監査役に天下りしていたという。

 味村氏は東京高検検事長や内閣法制局長官を歴任し、最高裁判事となった人物で、いわば司法のエリート中のエリート。しかも味村氏の「原発は安全」との味村判決が、その後の原発建設ラッシュを後押しする結果となった。

 原発企業に天下ったのは味村氏だけではない。同じく三宅氏のレポート(「週刊金曜日」2011年10月7日号)でも司法関係者の原発企業天下りが紹介されている。

・野崎幸雄(元名古屋高裁長官) 北海道電力社外監査役

・清水湛(元東京地検検事、広島高裁長官) 東芝社外取締役

・小杉丈夫(元大阪地裁判事補) 東芝社外取締役

・筧栄一(元東京高検検事長) 東芝社外監査役・取締役

・上田操(元大審院判事) 三菱電機監査役

・村山弘義(元東京高検検事長) 三菱電機社外監査役・取締役

・田代有嗣(元東京高検検事) 三菱電機社外監査役

・土肥孝治(元検事総長) 関西電力社外監査役

ようするに、樋口裁判長とは真逆に、原発容認の決定を下したりなどすれば、裁判官たちには天下りというご褒美があるということらしい。これでは、司法の独立どころか、裁判官や検事までが原発企業の利益共同体、原発ムラの一員だったということではないか。

 そう考えると今回の高浜、大飯原発再稼働容認の決定は何ら不思議ではない。ほとんどの裁判官の頭の中にあるのは、下手な判決を出して政府ににらまれ、左遷されたくないという思いと、自分が得られる地位や経済的な恩恵だけなのだ。

“福島の教訓”などどこ吹く風で、再び原発大国への道を進んでいく安倍政権と、それを止めるどころか、自らも原発利権漬けになっている裁判所──。この国の腐敗はもはや末期的だ。

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B:評価

 今次判決は樋口裁判長の詳細な危険性指摘に対して、「最新の科学・技術的知識に基づく地震対策を定め、安全上重要な施設には特に高度な耐震性の確保も求めた内容には合理性がある」として、「最新の知識」が何であるかを示すことなく、単なる言葉遊び的な表現で仮処分決定を覆した。

 日本では裁判所は最早、三権分立の一つではなく、統治機構の一つの道具となっている。

 その構図を支える装置として高級裁判官の天下りがある。

 残念ながら、司法関係者の原発企業天下りの実態は週刊金曜日」2011年10月7日号と古いものであるが、多分現在もこの構図に大きい変化がないのではないか。




報道への安倍政権からの規制強化の中、自粛するテレビ局。事実をまともに論じることのできない「大」新聞社

2015-12-24 19:33:15 | 政治・文化・社会評論
報道への安倍政権からの規制強化の中、自粛するテレビ局。事実をまともに論じることのできない「大」新聞社の腰抜けスタンスを孫崎享氏は一刀両断する。     櫻井 智志


 NHKテレビ「クローズアップ現代」への弾圧、TBSテレビ「NEWS23」へのキャスター攻撃のさなかに、テレビ朝日「報道ステーション」キャスターの古館伊知郎さんが三月で降板という知らせが電撃的に伝わった。
 「報道ステーション」では先にコメンテーター古賀正明氏の降板が強制的になされている。今回の報道で、TBSに近い毎日新聞はまともな報道をしている。しかし、テレビ朝日と系列関係にある朝日新聞の報道に孫崎享氏は強く批判している。読売新聞と読売巨人の広報である日本テレビを私はほとんど見ていない。みやねや、のような官制報道など人気番組「笑点」のなかで政府批判を洒落のめす落語家の足元にも及ばない。巨人戦は見てても接戦で盛り上がっても平気で時間が来れば打ち切る局。新聞、テレビの大手マスコミの体制翼賛化はとどまるところを知らない。
 TBS、毎日新聞がまだまともな報道を行おうとしている。私は日刊ゲンダイや東京新聞・中日新聞以外の新聞はあまり読まなくなった。「NEWS23」や「報道特集」は現在では少ない良識的報道番組だ。それを持続するか否か、テレビ局会社の上層部の判断は、このくにの将来を左右する大切な決断となろう。
 報道各社の上層部と夜に料亭などで宴席をしょっちゅうもっては、アメをしゃぶらせる安倍総理。新聞社は企業から広告を出さなくすればつぶれる、と本音を吐いた自民党首脳。もはや日本の政治とマスコミとの爛れきった腐った実態は、知らない国民をますます大政翼賛会に追い込んでいる。
 振り返れば、1972年の沖縄返還協定の時に日米密約を暴いた毎日新聞社西山太吉記者を、政府とマスコミ各社は個人的問題にすりかえて貶めた。ここが決定的な歴史的分岐点となった。この時に、沖縄と日本の主権に関わる奴隷的地位にとどめおくこととして、マスコミと野党が政府を徹底的に批判して国民的運動として展開していれば、いまほどのひどいアメリカ軍と日本マスコミの実態は変わっていたであろう。(了-以下孫崎評論参照)






【孫崎享のつぶやき】
情けない朝日、読売。古舘氏降板の報道に、「本人の申し出」の面だけ。政府・自民党の圧力の憶測をどう見ているのか、何故そのことに言及できないか。
2015-12-24 13:557


A:事実関係

1:朝日新聞(WEB版)「「報道ステーション」古舘キャスター降板へ 来年3月」

「テレビ朝日系のニュース番組「報道ステーション」(月~金曜、午後9時54分~)の古舘伊知郎キャスター(61)が、契約終了に伴い来年3月で降板することになった。テレビ朝日が24日、発表した。番組は継続するが、後任は決まっていないという。

 番組は、久米宏さんがキャスターだった「ニュースステーション」の後継として2004年4月に始まり、古舘さんは当初から12年にわたってメインキャスターを務めた。同局によると、本人から「新しいジャンルにも挑戦したい」などと申し入れがあったという。23日までの放送回数は2960回、平均視聴率は13・2%だった。」

2:読売新聞(WEB版)古舘氏「報ステ」3月に降板…新ジャンルに挑戦テレビ朝日は2「4日、平日夜の「報道ステーション」でメインキャスターを務める古舘伊知郎さん(61)が、来年3月31日で番組を降板すると発表した。同局広報部によると、「新しいジャンルにも挑戦したい」と古舘さんから申し出があったという。 古舘さんは同局アナウンサー出身で、フリーに転身後、2004年4月の番組開始当初から出演していた。来年4月以降も番組は継続し、後任の出演者は「調整中」としている」

3:毎日新聞(WEB版)

「古舘さん降板 .「なぜ」広がる驚き 局の姿勢に疑問も」

「名キャスターとされた久米宏さんの後を受けて11年8カ月余り。テレビ朝日の夜の看板報道番組「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスターの来年春での退任が24日、明らかになった。放送に詳しい人たちは、年内最後の放送翌日に飛び込んだ突然の降板話に首をひねった。」

B:評価

・一人のキャスターが、「新しいジャンルにも挑戦したい」という事だけだったら、ニュースにはならない。

・報道関係者であれば、報道の仕方に今日、テレビ、新聞に様々な圧力がかかっていることは承知であろう。だから、今度の降板もその一環であり、だから報道する意義があるのであろう。

・毎日新聞は少なくとも見出しで、「なぜ」広がる驚き 局の姿勢に疑問も」と問題であることを提示した。どれ位突っ込んでいるかはWEB版では見えない。

・それを朝日、読売はあたかも、、本人の「新しいジャンルにも挑戦したい」という問題だけであるかの如く、報じている。降板させたれたら、本人はこれまでの仕事がないわけだから、「新しいジャンルにも挑戦したい」というのは当然だろう。しかし、何故、その道の選択になったかを見るべきだ。

・読売新聞の、「同局広報部によると、「新しいジャンルにも挑戦したい」と古舘さんから申し出があったという」という程度で紙面を作るなら、新聞と名乗るのを止めて、「政府・企業広報紙」と名乗って、公式発表だけ掲載したらどうか。

・安倍首相周辺および自民党が、自分達の望まない報道をしたら報道関係に圧力をかけることは、報道関係は当然承知しているし、一般の人々にもそれとなく伝わってきている。
・少なくとも今回の古舘氏交番の話は突然起こったわけではない。長く降板への圧力が官邸などからかかってきたと報道されてきた。ここが降板劇の核心であろう。この核心に全くふれずに、そして原因が「本人から新しいジャンルにも挑戦したい」などと申し入れがあったという」形で説明して事足りたとするなら、もう報道機関と言う資格はないのでないか。。

・各新聞・テレビは自社に対して圧力がかかって自分達が屈したことは恥ずかしくて報道できないのは解る。だったらせめて他者関係の圧力ぐらいは真剣に取材して、圧力の現状を報ずる位の姿勢はとれないのか。。

孫崎享氏、参院選挙区野党統一への応援歌

2015-12-24 18:43:50 | 転載と私見
【孫崎享のつぶやき】
野党が参院選初の統一候補 まず熊本、憲法無視し、改憲意図の安倍氏思惑を阻止するにはリベラルの統一候補が何としても必要だ、山形是非舟山候補で統一を
2015-12-24 07:352



A事実関係 23日(WEB)日経新聞

民主、共産、維新、社民各党は23日、来夏参院選の熊本選挙区(改選定数1)に、新人で弁護士の阿部広美氏(49)を無所属で擁立すると発表した。事実上の野党統一候補として、与党と一騎打ちの構図をつくる。無所属での出馬で政党色を薄め、安全保障関連法への反対を旗印に政権への批判票を幅広く取り込みたい考えだ。

 阿部氏は会見で「今の政治では弱者が切り捨てられる。安保関連法は国民の命まで切り捨てようとしている」と立候補の理由を語った。熊本での野党統一候補は、共産党が新人候補の擁立を取り下げることで実現する。政党だけでなく、市民団体も巻き込んだ緩やかな協力関係を結ぶことで与党候補に対峙する。

 23日は石川選挙区(改選定数1)でも、新人で弁護士の柴田未来氏(45)が会見し、無所属での出馬を表明した。

 参院選はこれまで改選定数1の1人区での勝敗が全体の流れを決定づけてきた。来年夏の参院選では1人区が1つ増えて32選挙区となる。野党統一候補をめぐっては、熊本や石川のほか、山形、新潟、合区となる鳥取・島根など各選挙区で一本化を模索している。


B:評価

・現在の安倍政権は安保法制で明確な憲法違反を行い、更には参議院選挙で勝利し、憲法改定を意図している。

・こうした中リベラル・グループが、小選挙区で統一候補を出す必要がある。安全保障関連法に反対して国会前で抗議してきた学生団体「SEALDs(シールズ)」などの5団体が20日、来年の参院選に向けて野党統一候補を支援する「市民連合」を設立し、東京都内で記者会見した。来年4月の衆院北海道5区補選でも野党候補を応援するという。

設立されたのは、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」。「SEALDs」「学者の会」「ママの会」など5団体の有志が中心。ほかの団体にも参加を呼びかける。


全国32の1人区で候補者を絞り込むよう野党に働きかける。安保法の廃止や集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回といった基本方針に賛同する候補者を推薦し、選挙応援などをする。独自候補は擁立しない。

・現在次の選挙区で模索が検討されている。

 北海道5区―補選

 山形

(山形選挙区(改選数1)には、元参院議員舟山康江氏(49)が無所属での立候補を表明し、民主、社民両党が推薦する見込み。民主党県連会長の近藤洋介衆院議員(比例東北)はこれまで、共産党との連携について「政党間の話で共産党と話し合うとなれば(県連は)窓口になろうか」と話し、党本部主導の調整を前提にする意向を示していた。

 岡田氏は「山形選挙区は間違いなく重点区になる」とも話した。

 共産党は村山地区准地区委員石山浩行氏(34)の擁立を発表したが、県委員会は取り下げを視野に野党共闘に積極的な姿勢を示す。―河北新報
 

私自身舟山候補と面識があり是非実現してほしい。




 新潟

 石川

 鳥取・島根

 熊本

・今後民主党が、連立に柔軟になり、野党間の協力を円滑に進めることを期待したい。

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私見
 よくぞ共産党はここまで忍耐強く共闘にとり組んできたと思う。ここまで国民連合政府を構想した共闘が実現にむけて進行ているのは、略称「市民連合」に連なる五団体の意欲があったからだろう。党内に大きな幅がある民主党を束ねている岡田代表も、安保国会以来よく統率力とリーダーシップを発揮している。自公おおさか維新の与党系政党の様々な圧力、中傷、策略などが渦巻いていく。衆参同時選挙を自民党はちらつかせているが、国民の反応はどうか。平和勢力に期待したい。自らもその営みに資するできる範囲の行動を実行したい。