【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

現代と絶望日本/「報道特集2018.8.25」

2018-08-25 22:31:41 | 政治・文化・社会評論

       櫻井 智志

写真 安藤昌益と狩野亨吉


 複数の原発事故を想定した大規模な訓練は、それなりに意義あることと思う。だが、原発事故は既に起きてしまった。南海大地震の危険性も指摘された現代に、「深層崩落」と地震と原発の日本。大げさでなくこの無謀な原発再稼働政策は、大規模訓練がレクイエムとさえなる・・福島原発の解決と救済に向けて、全力を日本「国家」は挙げるべき。
 官庁に障がい者が公表を大幅に下回る雇用状況。有名大学入試における「犯罪的」「非人道的」「違法な」実態は、日本の建前と本音の凄まじい乖離の実態をあからさまにした。封建的差別的日本社会は、国民の無意識的な深層心理にマグマのようにはびこっている。最近公然と差別と抑圧、恫喝と蹂躙の会話が公然と世間ではびこり、ヘイトスピーチでも国会でも、日本は汚染されている。この事実を心に刻み、逃げまい。向き合い闘うことが、生きている証のひとつだから。
 日本も諸外国も豪雨や氾濫などの異常気象が続く。日本ももう何年も前から亜熱帯の高温豪雨が指摘されている。地球温暖化に原因があり、二酸化炭素、フロンガス、核兵器は強い影響を及ぼしている。大気汚染や核兵器の禁止が国際世論のうねりだ。日米行政トップの無責任に私は怒りをもつ。



 長野県「滋野時報」の民衆自立のミニコミ。わずか90年前のこの営為が、特高によって抑圧され弾圧された。治安維持法は20年ほど。この法律と特高警察により70年近くも「滋野時報」は歴史に埋もれた。江戸中期の医者で「自然真営道」「統道真伝」の埋もれて忘れられた思想家安藤昌益は、明治に旧制一高校長だった狩野亨吉により発掘された。
 書いても発禁された書。消えた歴史。戦時中廃刊された「滋野時報」。敗戦後に、村民たちは新たな決意で事実上再刊を果たした。その言葉の輝かしい日本再建の志。あの輝きを二度と泥沼にうずめてはならない。
 安倍総理さえ戦争が終わって生まれた。戦争中の特高について知る人も激減している。新潟県にいた訓導寒川道夫氏は特高に連行された。拷問まがいの取り調べは、外から見えない体部を狙い暴行される。特高は女性容疑者に強姦などの性的暴行を加え女性の尊厳を辱め空虚な絶望を与えた。
 日本の特高の手法は、日本軍兵士だった朴韓国大統領によって、韓国の政治犯にも敷衍させられていった。特高は、日本警察史の恥ずべき汚点である。ナチスのゲシュタポとともに再現させてはならぬ。だが、A級戦犯岸信介らの復権とともに戦後も公安警察として公然と復活している。


 
 

しんぶん赤旗【教育のつどい フォーラム活発討論 憲法と子どもの権利大切に】を読む

2018-08-20 00:28:17 | 転載と私見

序文  櫻井智志


写真:信濃毎日新聞転載 長野市で開幕した教育研究全国集会の開会全体集会=17日

 全教など多数の市民団体が共同で、8月17日から長野市で始まった「教育のつどい2018」。17日夜には、子どもと教育について、憲法と子どもの権利条約の視点を大切にしながら、保護者や地域住民、教職員、教育関係者がともに語り合おうと、七つのテーマで「教育フォーラム」が開かれた。「しんぶん赤旗」デジタル版はその様子を詳細に伝え、どの会場も、パネリストの報告をもとに、活発な討論が続いたようだ。しんぶん赤旗が「教育のつどい」取材団を編成した記事を再構成して、教育に対する国民の熱意と取り組みを、以下に記す。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲはすべて編集部の力作を転載させていただいたものである。


【Ⅰ: 主権者教育】
2018年8月19日
 
《学校運営参加通して》

 フォーラム「憲法を生かす学校・地域をつくる生徒の取り組みと主権者教育」では、会場いっぱいの参加者が、生徒の学校運営や社会活動への参加を通した主権者教育の実践について議論しました。
 首都大学東京の宮下与兵衛特任教授が基調報告。いま世界で、アメリカのオキュパイ運動やイギリスの「反新自由主義」への支持の広がりなど「ゆるやかな結合」を特徴とする新しい社会運動がおこっていると指摘。権利について学ぶと同時に、学校運営や地域活動に「自分がかかわることで社会は変えられると実感することが今の主権者教育に問われている」と強調しました。
 討論では、有賀久雄さんが長野県松本市の高校で、選挙の模擬投票を通して出された「公共交通の充実」などの生徒たちの要求を、生徒たち自身が議論するなかで「地域にも求められている」として、市議会に請願して採択まで至った実践を報告しました。
 長野県内の小林恵一さん、和歌山県の横出加津彦さんが地域との結びつきのなかで、主権者意識を強めてきた経験を報告。地域の祭りへの参加、生徒自身による路上マナー向上への取り組み、高校生の意見を取り入れたまちづくりなど、交流と話し合いを重ねる中で“荒れた学校”とされていた学校が、地域の活力となり、生徒自身も成長する場になっていると語りました。
 宮下氏が、長野県下では、1970年代以降すべての高校で「平和宣言」が作られ、憲法学習、平和学習が取り組まれてきたと報告。長野県の辰野高校では生徒、保護者、学校による3者協議会によって校則の改善などや授業改善を実現してきた取り組みが語られました。会場からは3者協議会の実践にかかわった男性が「生徒は、押し付けたルールは守らないが、自分たちで決めたルールは守る」と実感を語りました。



【Ⅱ: 多様性と共生】
2018年8月19日

《「人材」ではなく人間》

 フォーラム「『こうあるべき』からの脱出~多様性と共生について考えよう~」には120人が参加。「こうあるべき」という規範にたいして、「人材」ではなく人間を育てる教育が何を大切にするのかが話し合われました。
 コーディネーターの人間環境大学の折出健二教授が、事実をふまえた思考をくぐっていない先入観のもつ危険性を指摘。「学校スタンダード」などにみられる「こうあるべき」をどう考えるかと問題提起しました。
 長野県の中学校教師の中沢照夫さんは、前任校の「学校スタンダード」について語りました。数人の「荒れた」生徒を「抑える」ためにあちらこちらで鳴り響く教師のどなり声。職員会議のたびに繰り返される「いっさいの例外を認めない」、仕事ができるか否かで評価され、教師たちがしだいに思考停止に陥っていく状況を語りました。
 愛知県の2人の私立高校生が、愛知県高校生フェスティバルの活動を紹介。東北や熊本などの被災地、戦争跡地を訪ねるスタディーツアーで人々と交流して学び、学んだことを発信することによってさらに学びを深めていく様子を生きいきと語りました。
 首都大学東京の杉田真衣准教授は、誰もが性の多様性を織りなす一員であり、性的少数者への差別は誰にとっても人ごとではないと指摘。日常のたわいない会話の中にある「こうあるべき」という価値観が差別の構造をつくっていると話しました。
 会場からは、「処分で生徒は変わらない」「教師たちにも意味がわからないルールを子どもたちに押し付けている。高校生の発言を聞いて、中学生フェスもやりたいと思った」「教師が『こうあるべき』から解放されることが大事」などの発言が続きました。


【Ⅲ: ゆたかな“学び”】
2018年8月19日

《新指導要領で学校は》

 フォーラム「子どもたちにゆたかな“学び”を―新学習指導要領で子どもと学校は?」には約240人が参加し、国による統制が強まる中、教師や保護者がつながって子どものための教育を進めることが話し合われました。
 新日本婦人の会長野支部の宮澤里恵さんは、学齢期の子を持つ新婦人の会員らから聞いた学校の実態について報告。授業時間が増え、子どもが楽しみにしていた遠足などの行事が減った、小学校でも期末テストが行われるなど子どもがテスト漬けになっているという声を紹介し、「『学力アップ』にばかり力を注ぐようになってしまい疑問」と語りました。
 小学校教師の高野毅さんは、「特別の教科・道徳」について、教科書に従った子どもの実態に即さない授業で、「本当に道徳的な判断力がつくのか」と批判、「子どもの実感と現実に根ざした実践を」とのべました。
 地域での子どもの遊びと学びのための活動している京都のNPO法人「チャレンジクラブ」の森賢悟さんは、放課後の子どもの様子や学校の成績に表れない学びをと取り組んでいることを紹介。高校教師の西村太志さんは、高校の新学習指導要領で新設される科目「公共」の問題に触れつつ、「社会科は暗記科目」と思われている現状を変えたい、そのためには教師の教材研究の時間と教育実践の自由が必要だと指摘しました。
 コーディネーターの梅原利夫・民主教育研究所代表は「人間をはぐくむ営みに『数値目標追求』方式はなじまない」とし、「教育の場に人間らしいいぶきを」と呼びかけました。
 討論では、ゆたかな“学び”とはなにか、それを子どもに保障するため教育への統制にどう対抗するかなどを語り合いました。


========================
「まとめにかえての私見」 櫻井智志
 教育科学研究会の全国大会が8月10~12日に、神奈川県川崎市の法政二高を会場に開催された。ずっと恒例となっている「後援」を、主催地の市教委は出していた。それは教育に関わる地方公務員の常識を示す。だが、いくつかのフォーラムのひとつで「憲法をめぐる動きと教育実践」をとりあげたものがあることに、外部から苦情が寄せられ、市教委は後援撤回を出した。
 名古屋市では、文科省事務次官という事務方トップの歴任者前川喜平氏の講演への自民党文教部会部長副部長が、市教委と講演を行った校長に文科省とともに不自然な介入を行い世論の批判を浴びた。
 これらの各地の事態の中で、この長野の研究集会とフォーラムは、保護者や地域住民、教職員、教育関係者らの協力した熱意の中で今日の教育課題を掘り下げるとともに、多くの市民の支えによって、集会を実りあるものとした。むろん教科研全国大会や前川喜平氏講演会も充実した意義深い成功を収めた。
 教育をめぐる困難な課題と軍事的国家的介入がずけずけと浸透し、空気を読むことや沈黙することが教育の世界に蔓延している。このフォーラムの成果は教育の論理に則してより専門的なアドバイスを得ているし、素朴な疑問や素人の鋭い感覚も大切にしている。極めて今日的意義をもつ集いである。ー了ー
======================== 

【沖縄から全国へむかう~2018・8・18報道特集~】

2018-08-18 21:41:17 | 政治・文化・社会評論


                櫻井 智志


 辺野古基地移転は、沖縄県だけの問題ではなく、日本全体の問題である。当時自民党県連幹事長の翁長雄志さんは基地問題を沖縄県民全体に覆いかぶさる苦難の課題として考えた。激烈な沖縄戦を経験した沖縄県民にとり、1972年の沖縄返還はニクソンー佐藤栄作米日トップの秘密協定により沖縄返還は空洞化した実質的な占領の延長でしかなかった。翁長さんが追求した課題は、日本の主権と民族独立の課題である。この課題は、政府が沖縄県とともに基地移転に動くのが本質としてあるべきものだろう。米軍基地問題で見えてきたものは政府と国民内部からの凄まじい差別と切り捨ての様相だ。
 自公側は早期から翁長氏への対抗馬を探していた。立候補をうかがう安里氏を制し、現役宜野湾市長擁立を決めた。反翁長側の選挙参謀格が「オール沖縄は選挙用」の発言は情けない。沖縄県民はつらさにめげず、歴史を生き抜いてきた。もう来月30日投票の選挙準備は、8月18日時点で翁長知事の後継候補者も決まっていないことからすれば、形勢は明らかに不利だ。
 沖縄県は今年統一地方選挙の年にあり、9月からも以下の選挙があり、とくに9月はなんと22の選挙がある。
=============================

(沖縄県選挙管理委員会参照)
9月2日投票
沖縄県本部町長選挙、議会選挙は沖縄県北谷町・沖縄県名護市・沖縄県沖縄市・沖縄県宜野湾市・沖縄県南城市・沖縄県石垣市

9月9日投票
首長選挙は沖縄県伊是名村長選挙・大宜味村長選挙、議会選挙は沖縄県東村・沖縄県大宜味村・沖縄県伊江村・沖縄県読谷村・沖縄県中城村・沖縄県西原町・沖縄県南風原町・沖縄県八重瀬町・沖縄県渡名喜村

9月16日投票
沖縄県うるま市議会選挙

9月30日
沖縄県知事選・沖縄県議補選うるま市選挙区、沖縄県議補選石垣市選挙区

さらに、市長選は、下記5つの選挙がある。
豊見城市長選挙 10月14日
那覇市長選挙 10月21日
渡嘉敷村長 10月28日
恩納村長選挙 未定1月以降
嘉手納町長選挙 未定2月以降
===========================

 突然の事態を迎えた知事選は、形勢は不利だ。けれど、それぞれの選挙を9月30日の知事選・県議選補選と収斂する選挙戦を展開すれば、「絶対に」勝てない選挙ではない。
翁長雄志氏は、「イデオロギーよりアイデンティティ」の画期的な発想の転回を提起した。それは本土ヤマトンチューの反権力側の内部抗争と主導権争いをも撃つ。
「オール沖縄」の思想は、9月知事選を超えてもなお持続されることを翁長氏は望み、沖縄県民はそれを実行してゆく。
 むしろ、沖縄から全国に継承されていくために全国の立憲野党がどれだけ協同に心を開いて闘うか否かだ。全国で「安倍総裁下自民党」を打破していけば、それは沖縄への強力な支援となって、沖縄米軍基地の日本国外退去を実現するちからとなる。





『転載』安倍首相が圧勝の情勢 石破氏はもう飛び出したらどうだ

2018-08-17 01:41:39 | 転載
『転載』安倍首相が圧勝の情勢 石破氏はもう飛び出したらどうだ
2018年8月16日日刊ゲンダイ転載



写真 その主張に反論の余地なし(C)日刊ゲンダイ

【Ⅰ:「二度とチャレンジできないように石破を叩き潰す」】

 安倍首相が3選を目指す9月の自民党総裁選を巡り、その周辺からはこうした不穏当な声が公然と上がっている。安倍政権は、誰でも何度でも再チャレンジできる社会を目指してきたのではなかったのか。

 事実上の一騎打ちとなった総裁選に出馬表明した石破茂元幹事長は、「正直、公正」をスローガンに掲げた。念頭にあるのは、言うまでもなく5年8カ月に及ぶデタラメだらけのアベ政治だ。「嘘つき、エコヒイキ」への批判である。自民党総裁選は実質、首相指名選挙だ。対抗馬から気恥ずかしいほどまっとうな対立軸を持ち出された現職首相が、かつていただろうか。

 石破は「政治・行政の信頼回復100日プラン」を作り、年内の実行を宣言。「謙虚で正直で国民の思いに近い政治」「透明・公平・公正な政治、行政」「課題に正面から挑み決断する政治」の3点を「取り戻す」とまで訴えている。いずれもアベ政治によってこの国から奪われたものだ。森友学園にタダ同然で国有地が払い下げられた端緒は、時代錯誤の教育勅語に心酔する安倍夫妻だった。国家戦略特区を利用した獣医学部新設の恩恵にあずかったのは、安倍の“腹心の友”が理事長を務める加計学園だ。野党の疑惑追及から逃げる安倍を守るため、内閣人事局を通じて生殺与奪を握られた官僚が公文書を改ざん、偽証を繰り返し、民主主義の根幹を揺るがす事態に陥っている。だからこそ、多くの世論調査で「首相の説明に納得していない」が依然として7割を超え、内閣支持率は支持と不支持が5カ月連続で逆転。不支持の理由は「首相の人柄が信用できない」が断トツだ。

【Ⅱ:衆人環視の公開討論で徹底論戦】
 誰が言い出したのか、“外交の安倍”も嘘っぱちだ。トランプに「バイ・アメリカン」と詰め寄られて米国製兵器を爆買い。返す刀で貿易戦争を仕掛けられている。北方領土問題は1ミリとして動かず、ロシア主権下で共同経済活動が着々と進行。朝鮮半島の非核化に向けた史上初の米朝首脳会談をお膳立てしたのは、韓国の文在寅大統領だ。11年ぶりの南北首脳会談、米朝会談が決まると慌てて文在寅に口利きを頼んだのは安倍ではなかったか。金正恩朝鮮労働党委員長に「なぜ日本は直接言ってこないのか」とコケにされる安倍に、北朝鮮問題で何の助言ができるというのか。

 安倍3選の大義はない。際立つ国民世論との乖離、それに気づかぬ自称国民政党が辿る道はハッキリと見えている。

 政治評論家の本澤二郎氏は言う。

「総裁選直後に実施される沖縄県知事選は、安倍政権と対立した翁長知事の弔い合戦です。自民党が国政選挙並みに死に物狂いで戦っても、選挙の常識から考えて翁長知事の後継候補が勝つでしょう。安倍首相が3選しても、間もなくレームダック化する。来年の統一地方選でガタつき、参院選は敗北必至です。実体経済が少しも好転しない地方は、安倍首相の政治手法に不満を募らせている。国会議員の価値判断も詰まるところ、次の選挙でもバッジを着けられるかどうかです。官邸がいくら締め上げ、勝ち馬に乗れとあおっても、安倍首相と心中覚悟なのは一部の側近連中だけ。世論が“アベNO”を強く突き付ければ、地方票は堂々とアベ離れに動くでしょう」

 正直も公正もクソ食らえの口先首相を延命させる利点が、オトモダチ以外にあるのか。結論は分かり切っている。

【Ⅲ:「北朝鮮問題でトランプに助言できるのは安倍だけ」という大嘘】

 安倍圧勝情勢のグロテスクは自家培養なだけにタチが悪い。安倍のツルの一声で衆院議員引退後も続投する高村正彦副総裁が、共同通信のインタビューでこう持ち上げていた。

「首相を代える選択肢はない。外交能力は傑出し、アベノミクスもうまくいっている。子どもの貧困率は下がり、正社員に限っても有効求人倍率は1倍を超えた」

「各国首脳と良い関係を築き、調整能力も抜群だ。特にトランプ米大統領とは密接で、日米同盟はかつてないほど堅固だ。首相主導で安全保障法制を整備したからに他ならない。北朝鮮の核問題で米国に助言できる首脳は世界中で首相しかいない」

 アベノミクスはうまくいっているどころか、いつ破綻してもおかしくない状況だ。異次元緩和で金融機関は経営危機に陥り、5年経っても物価上昇率2%を達成できないまま黒田日銀は白旗。政策修正を余儀なくされた。GDP増加は算出方法変更によるカサ上げ、今年6月の名目賃金急上昇もサンプル変更によるものだ。

 子どもの貧困率も過去最悪の数値から約2ポイント上昇した程度で、正社員の有効求人倍率上昇は人口減少が招いた労働人口減少が要因である。

【Ⅳ:沖縄県知事選でレームダック化】

「政府が国民に信用されなければ何も始まらない。(今の政府は)エコヒイキがないだろうか、ということだ」

 石破の訴えは聞けば聞くほど至極もっともで、異論を挟む余地はおろか、反論の余地もないはずだ。にもかかわらず、いまだ正式な出馬表明すらしていない安倍を7派閥のうち5派閥が支持。国会議員票の7割を押さえたペテン首相が余裕の表情とは恐れ入る。我先にと悪の権力支持に走る醜悪集団、自民党派閥の無節操もしかりだ。

「出たら処遇はできないよ」と安倍に迫られ、出馬断念に追い込まれた岸田文雄政調会長は、「扉が閉まる前にようやっと駆け込んだ」「今頃になって何だ」「人事で徹底的に干せばいい」などと罵声を浴びせられている。安倍を支える麻生財務相は「〈話にならない〉と面と向かって文句を言った」とふんぞり返る始末だ。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は言う。

「石破さんは安倍首相の政権運営を真っ向から批判しています。総裁選び=首相選びなのですから、石破さんから公開討論を呼び掛け、正面からの議論を国民に見せるべきです。石破さんがこねくり回した議論に走らず、モリカケ問題にズバズバと斬り込めば、おのずと答えは浮かび上がる。安倍首相が応じなければ、相変わらず逃げ回っている印象が強まる。国会議員票も地方票も官邸から相当に締め付けられているとはいえ、無記名投票です。石破さんの言動次第で、動く余地はあるでしょう」

 真正面から戦ってもテコでも動かないようであれば、石破はもう自民党を飛び出したらどうか。この国の行く末を憂うのであれば、この政党に未来はないと見限る時である。

リテラ転載 『報道特集』が日本軍の戦犯証拠隠滅の実態を明らかに! 安倍政権の歴史修正主義と公文書改ざんの原点

2018-08-15 21:29:40 | 転載
リテラ転載
『報道特集』が日本軍の戦犯証拠隠滅の実態を明らかに! 安倍政権の歴史修正主義と公文書改ざんの原点
2018.08.15

写真:TBS公式HPより

【『報道特集』が日本軍の戦犯証拠隠滅の実態を明らかに】

 戦後73年が経ち、今年も8月15日を迎えた。今夏も各メディアで戦争を振り返る企画が組まれているが、8月11日に放送された『報道特集』(TBS)の「戦争と記録 大量焼却のワケ」はまさに、現在につながる問題を鋭くえぐった特集だった。

 第二次世界大戦における日本の加害事実や戦争責任について言及すると、歴史修正主義にまみれた安倍応援団やネトウヨは、アメリカやソ連の一方的な主張や資料に基づくでっちあげなどとがなり立てる。実際は日本兵の証言などもありそれ自体ウソなのだが、しかし日本の加害や戦争責任の全貌を見えづらくした要因は、日本にこそある。

 それは、敗戦直前、日本政府や軍が責任逃れのために戦時資料の焼却処分を行ったからだ。

 ポツダム宣言受諾後の8月14日に閣議決定された焼却命令は、東京だけではなく、地方にまでおよんだ。『報道特集』ではその一例として、広島県福山市に残されていた8月17日に焼却された書類を記したリストを紹介。そこには、徴兵関係や日中戦争に関する書類が焼却されたと記されており、また、番組では軍人名簿が焼かれたことで、恩給の給付に支障をきたした地方自治体があるとも紹介されていた。
『報道特集』は加えて、実際に焼却に携わった人からの証言も複数紹介している。

 まず、逓信省航空局で暗号を翻訳する業務についていた前沢正己氏は、上司の命令によりありとあらゆる資料を防空壕のなかに入れて焼却処分したと語る。それは電話帳まで燃やすという徹底ぶりで、焼却には2日ほどの時間をかけ、防空壕のなかの空気が足りなくなってなかなか燃えずに大変だったと振り返る。

 戦争に関係する書類を燃やしていたのは、役所だけでなくメディアも同様だった。同盟通信の写真部に勤めていた渡辺清氏は、上司からの命令があり、日比谷公園で書類を焼却するよう言われたと証言している。ちなみに、焼却する理由について上司から説明はなかったという。

 終戦当時内務省の官僚だった故・奥野誠亮元法相は後年、公文書焼却の指示についてこう明かしている。
「ポツダム宣言は「戦犯の処罰」を書いていて、戦犯問題が起きるから、戦犯にかかわるような文書は全部焼いちまえ、となったんだ。会議では私が「証拠にされるような公文書は全部焼かせてしまおう」と言った。犯罪人を出さないためにね。会議を終え、公文書焼却の指令書を書いた」(読売新聞2015年8月11日)
 番組でも「戦犯処理されたら気の毒だから、犯罪人を出さないようにするために公文書を焼けと言った」と会見で語る奥野の映像を紹介している。

 ようするに、終戦直後に各所で急きょ書類が燃やされたのは、戦争責任の追及を免れるためであり、戦争犯罪に関する証拠を隠ぺいしようとする意図からだった(1946年1月3日にはGHQから復元命令を出されている)。

 ノンフィクション作家の保阪正康氏は番組内のVTRに出演し、終戦直後に行われた公文書の焼却は、自らの保身や責任逃れのために行われた「後世の人間に対する侮辱」とこう評価した。
「後世の人間に対して、この戦争を客観的に検証しろということの放棄。私たちの世代への侮辱だと私は思っています。次の世代への侮辱ですね。次の世代は、戦争について歴史的な検証をする必要がありますね。そこから逃げたわけですね。僕はこの罪のほうが大きいと思う」

【安倍政権の公文書改ざんと歴史修正主義は同根でつながっている】

 現在82歳で、戦争を知る世代の毒蝮三太夫氏も怒りを滲ませた。戦争に関する資料が隠ぺいされたことにより、子孫たちに正しい歴史を伝えることができなくなったからだ。
「戦争っていうのはこんなに悲惨で、こんなにむごいもので、狂ったように相手を殺すんだということをね、いま我々は言っていかないと。運が良かっただけですよ、知らなかったのは。自分の歴史というのを糧として生きてるんだもんね。だから、書き残すとか振り返るというのはとっても大事ですよね。それが正しくなければ、非常にゆがんだ報告が残るわけでしょ」

 まさに、この廃棄処分が歴史を歪め、歴史修正主義を生み出す温床となっている。実際は、日本軍の残虐な行為を証明する旧日本軍兵士の証言や、戦時記録も僅かに存在するが(たとえば、中曽根康弘や故・鹿内信隆元産経新聞社長の日本軍による慰安所運営に関する証言など)、公文書がほとんど残されていないのをいいことに、歴史修正主義者たちは「証拠がない」などと主張しているのだ。

 繰り返しになるが、日本の戦争責任や加害の実態の全貌を見えづらくしている最大の要因は、責任から逃れるために公文書という一級の第一次資料を破棄するという、日本のあまりに卑怯な行為だ。

 しかも、この都合の悪いものは捨ててしまえという卑怯なやり口は、現在にもつながっている。毒蝮氏は先の発言のあと、こう付け加えていた。
「改ざん。よくいま平気でやるような時代になった。怖いね」

 毒蝮氏が指摘している通り、安倍政権下の日本では、終戦前後の日本で行われたことと、そっくりな文書破棄や改ざんが次々と起きている。自衛隊の日報隠ぺいや森友学園に関する決裁文書の改ざんなど、公文書に関する前代未聞の不正行為が発覚している。

 また、終戦直後の日本と現在の日本とでは、上に立つ人間が自らの保身や責任逃れのために公的文書を不正に扱うという点以外にも、もうひとつ共通点がある。TBS報道局の金平茂紀氏は、実際に公的書類焼却の現場に立たされたのは、組織のなかでも下のほうにいた人間であったことを指摘しながらこのように語った。
「破棄に関わっていた人たちが自分たちのことを『下っ端、下っ端』って言ってたでしょ。上の人が下の人に対して汚いことを押し付けるという構造は、まったくいまと同じ構造だと思うんですよね。森友のときも自殺した人というのは、いちばん現場に近い人だったんですよね」

 公文書は言うまでもなく、為政者の私物などではなく市民の共有財産だ。それが改ざんされたり、破棄されるということは、同時代の社会の根幹を揺るがす問題であると同時に、さらに後の世代がのちに振り返って事実を検証することを阻害するものであり、これは人類史において多大な損害だ。そう考えると、安倍政権の公文書改ざんと歴史修正主義は根っこのところでつながっている。

 安倍政権によっていまも現在進行形で“歴史の改ざん”が行われているという事実。戦争責任から逃れるために戦争の記録を焼き捨てたという事実。この2つの事実を私たちはもっと重く受け止めるべきだろう。
(編集部)

転載「日刊ゲンダイ」 なぜ圧勝にこだわるのか? 後ろ暗い首相の“異様な総裁選”

2018-08-13 23:35:12 | 転載
転載「日刊ゲンダイ」
なぜ圧勝にこだわるのか? 後ろ暗い首相の“異様な総裁選”


2018年8月13日


「6年前に総裁選に出た時の志は微塵も変わることはない」。9月の自民党総裁選を巡り、11日、自民党山口県連の「安倍晋三内閣総理大臣を囲む会」に妻・昭恵氏と出席した安倍首相が事実上の出馬を宣言。これで、石破茂元幹事長との一騎打ちとなる構図がほぼ固まった。

 総裁選は国会議員票405票と党員・党友による地方票405票の計810票の奪い合いだ。安倍は、細田派(94人)や麻生派(59人)、岸田派(48人)、二階派(44人)など、大手派閥を中心に国会議員票の約7割を押さえ、2012年の総裁選で石破に大差をつけられた党員票の切り崩しに躍起になっている。

「安倍さんは、総裁選で石破さんに党員票で負けたことがよほど悔しかったらしく、今回は『何が何でも勝つ』と周囲にハッパをかけています。側近らも『単に勝つだけじゃダメ。圧勝しないといけない』と気勢を上げていますよ」(自民党参院議員)

 党員票固めを狙う安倍は「私と会いたい人がいたら誰とだって会う」と言い、公務の合間を縫って地方議員や党支持団体と頻繁に会合を重ねているが、首相としては「異例」の対応だろう。さらに「異例中の異例」と指摘されているのが、こうした会合の場に首相官邸や公邸を利用することが少なくないことだ。

 総裁選絡みの会合は公務でなく党務になるため、歴代総裁は「公私混同」を避けるために党本部や議員会館などを使ってきた。ところが、安倍は一切お構いなし。官邸執務室から地方組織や支持団体に電話をかけて支持を訴えている場面もあるというから、何をか言わんやだ。

■安倍自民の姿は分裂前の山口組と変わらない

「(総裁選に)出たら、処遇はできないよ。私を応援してくれる他の派閥に示しがつかない」。6月中旬、安倍は岸田政調会長と食事した際、こう言って総裁選不出馬を迫り、その直後、周囲には「戦った相手が分け前を得られないのは、戦国時代から続いていること」と言い放ったという。

 弓引くやつは絶対に許さない。まるでヤクザと同じだが、党内では安倍側近による総裁選の対抗馬潰しのドーカツや締め付けも当たり前のように行われているという。

 例えば、今も総裁選立候補に意欲を見せる野田聖子総務相に近い議員に対して「野田さんを推薦するという話があるが、傷がつきますよ」と脅したり、来夏の参院選で改選を迎える参院議員に「潮目が変わるかも」とスカシたり。朝日新聞の報道によると、公邸に招く地方議員は〈地元・山口以外は全て前回総裁選の地方票で石破氏と同数か下回った地域の議員〉というから、露骨な「石破潰し」だ。とてもじゃないが、同じ政策や理念を実現するために集まった政治集団の仲間に対する行動とは思えない。一体、どこが「平和」と「自由」を愛する政党なのか。内実は分裂する前の指定暴力団「山口組」と何ら変わらないではないか。立正大名誉教授・金子勝氏(憲法)がこう言う。

「改憲を成し遂げるには国会議員だけでなく、(国民投票で)世論の支持を集めなければならない。そのためには総裁選で圧倒的多数の票を得る必要があると考えているのでしょう。党内を独裁者のごとく締め付けているのは、そうした強い執念からでしょうが、裏返せば安倍首相という政治家の汚い本性が表れているとも言えます」

ヤクザまがいの恫喝で反安倍を抑え込むのは「アベ政治」失敗の表れ
「総裁3選後のレームダック(死に体)化を防ぐには、相手候補を壊滅させるくらいの圧勝しかない」。総裁選に向けて、安倍の周辺からこんな暴力団抗争まがいの発言が飛び出しているが、異様とも言えるほど、なりふり構わない戦いを繰り広げているのはワケがある。「圧勝」しないと来年の統一地方選、参院選はもちろん、安倍自身も求心力が維持できないと自覚しているからだろう。

 その理由はハッキリしている。首相自身が後ろ暗いからだ。それを自覚しているからこそ、総裁選では力を見せつける必要がある。圧勝して、「どうだ」とミソギにするつもりなのである。
 実際、時事通信の世論調査で、6カ月連続で不支持率が支持率を上回ったことからも分かる通り、国民の「アベ政治」に対する怒りは収まる気配はない。

 第2次安倍政権発足後の5年間を振り返ってみても、特定秘密保護法や安保法、TPP関連法、共謀罪、働き方改革法、カジノ法、参院定数6増法……など、世論調査で国民の約7割が反対の声を上げていた悪法を次々に強行採決してきた。言うまでもないが、議会制民主主義の基本は熟議だ。国民世論や少数政党の意見に耳を傾け、双方が納得するまで時間を費やし協議する。それが当たり前だが、「アベ政治」は違う。「丁寧に説明する」は口先だけで、野党の質問をはぐらかし、データの偽装も平気の平左。民主主義を破壊するような蛮行を繰り返してきたのである。

 そんな首相が究極の掟破りとして繰り出してきたのが総裁3選という習近平さながらの任期延長なのである。

■内政も経済も外交も口先ばかりで成果ナシ

 そのうえ、「モリカケ疑惑」や「陸自のイラク派遣日報問題」「財務省の文書改竄」と疑惑、不祥事を上げていけばきりがないのに、安倍を含めて閣僚は誰も責任を取らず、官僚もほとんどおとがめなし。これじゃあ、国民の不信、不満が高まるのは当然だが、それを封じ込めるために、自民党村の中で圧勝を誇示しようというケチな算段なのである。

 暴政は国会運営だけじゃない。内政も外交も綻びが覆い隠せなくなってきた。馬脚を現したのである。
 「経済の好循環を実現する」と大威張りで始めた「アベノミクス」はいつの間にか軌道修正。安倍とタッグを組んで「2年で物価目標2%」を掲げていた黒田日銀も結局、一度も2%を達成することなく事実上の敗北宣言を余儀なくされた。

「地球儀俯瞰」なんて言って、これまた大風呂敷を広げていた外交も、世界中にカネをばらまいただけ。「最優先の課題」だったはずの北朝鮮問題は、米朝中韓の「蚊帳の外」に置かれてお手上げ状態だし、北方領土問題もプーチン大統領に袖にされて終わった。こうして失政のバケの皮が剥がれるたびに「一億総活躍」や「女性活躍」、「人づくり改革」など、あやふやなキャッチフレーズを作って国民の目をゴマカシ、何かに取り組んでいるかのように装うのが安倍“詐欺政治”なのである。

 政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。 

「安倍首相や取り巻きは、御用メディアに『国会議員票は安倍圧勝』などと報じさせることで、地方票を取り込みたいと考えいるかもしれませんが、『アベ政治』の恩恵を何ら受けていない地方が『ハイ分かりました』とすんなり受け入れるはずがない。異例とも言える総裁選の締め付けは、安倍首相自身が『地方で支持されていない』と感じている焦りでもあり、それでヤクザまがいの恫喝で反安倍の動きを抑え込もうとしているのでしょう。そんな『アベ政治』をこの先も続けさせてはなりません」

「正直、公正」。石破が総裁選で掲げたキーワードだが、よくよく考えればこんな当たり前の政治姿勢が対立軸になること自体が異常だ。どんなに汚い手を使っても権力の座にしがみつこうとする安倍に、マトモな国民は戦慄だ。

リテラ転載『報ステ』政権批判潰しのチーフPは安倍応援団と“お友達”か!? 局上層部は株主総会で『徹の部屋』安倍ヨイショを擁護

2018-08-13 22:52:21 | 転載と私見
リテラ転載『報ステ』政権批判潰しのチーフPは安倍応援団と“お友達”か!? 局上層部は株主総会で『徹の部屋』安倍ヨイショを擁護
2018.08.12
構成(構成&転載責任&私見:櫻井智志)
1【『報ステ』政権批判潰しのチーフPは安倍応援団と“お友達”か】
2【イージス・アショアの配備問題も放送予定に含まれながら放送されず】
3【『報ステ』だけじゃない!親安倍一派によるテレ朝報道の骨抜き化が止まらない】
4【株主総会で「放送法違反」と追及されたAbemaTVの見城徹“安倍ヨイショ”】

写真:テレビ朝日公式HPより

1【『報ステ』政権批判潰しのチーフPは安倍応援団と“お友達”か】

 先日、本サイトで配信した『報道ステーション』(テレビ朝日)の“政権批判をしなくなった問題”を伝えた記事は、大きな反響を呼んだ。
 『報ステ』といえば、これまで、与党の乱暴な国会運営や政府肝いりの法案の危険性、さらには安倍首相やその周辺が推し進めている歴史修正主義などをたびたび批判。マスコミとして、権力の監視にしっかりと取り組む番組として知られていた。ところが、今年7月にチーフプロデューサーが交代してからというもの、そうした従来の政権批判や権力監視の報道がすっかりなりを潜め、当たり障りのないスポーツニュースなどをメインに扱うようになってしまったのだ。
 既報のとおり、そのチーフプロデューサーとは桐永洋氏。『報ステ』は従来、チーフが退くと内部から新チーフが昇格することが多く、それによって番組の基本方針を継承してきたとされるが、桐永氏は最近まで同局の朝の情報番組『グッド!モーニング』のチーフを務めており、いわば“外部”から『報ステ』に送り込まれたかたち。テレビ朝日編成局関係者によれば、「桐永さんは編成局の経験もあり、上層部のおぼえめでたい人物。早河洋会長の子飼いという指摘も一部にある」という。
 そんなことから、桐永氏の抜擢と骨抜きとなった番組制作の背景には、安倍首相とべったりの関係で有名なテレ朝・早河会長による“政権忖度”があったのではないかとささやかれている。
 しかも、桐永プロデューサーの政権批判放棄の姿勢はたんに早河会長にいわれて、というだけでなく、もっと積極的な意味合いがあるのかもしれない。
 というのも7月29日に本サイトが『報ステ』の報道姿勢の変容を伝えたあと、ネット上で、桐永氏と安倍政権周辺との関係を指摘する声が相次いだのだ。まずひとつめは、桐永氏が自身のFacebookに、自民党参院議員の丸川珠代元五輪担当相とのツーショット写真を掲載していたという指摘だった。丸川議員といえば、いうまでもなく、安倍首相の“喜び組”としてスピーカー的役割を担い、デマによる原発擁護や野党攻撃、忖度質問などで、しばしば非難を集めている側近議員。丸川議員はテレ朝の元アナウンサーで桐永氏とは同期入社だというが、わざわざツーショットを掲載していたとすれば、少なくともその政治姿勢に批判的ではないということだろう。
 さらにもうひとつ、桐永氏をめぐっては、信じがたい“SNS上の交友関係”も取りざたされている。あの準強姦事件を報じられた安倍官邸御用ジャーナリスト・山口敬之氏とFB上で「友達」になっていたという情報が拡散しているのだ。
 いずれもいまは桐永氏がFBを閲覧できない状態にしているため、真偽は確認することはできないが、以前のFBのスクショらしきものがネット上に出回っている。
 しかし、これだけの批判を浴びても、桐永氏は報道姿勢を変えるつもりはなさそうだ。たとえば7月30日、31日、8月1日も、例の自民党・杉田水脈衆院議員によるLGBTヘイトの問題をはじめとする政権に批判的なニュースを一切扱わなかった。いや、というよりも、政治報道自体がほとんどない状態で、甲子園や東京五輪などのスポーツ系の話題がメイン。言っておくが、これまでの骨太だった『報ステ』ならば、五輪について報じるにしても、酷暑問題などについての批判的な検証は欠かさなかったはずだ。


2【イージス・アショアの配備問題も放送予定に含まれながら放送されず】

 さらに、7月30日には、陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」2基の配備費用について、防衛省が4664億円になるという見通しを発表したが、『報ステ』は、これまでイージス・アショアの配備問題を継続して特集してきたにもかかわらず、その日の放送ではまったく触れようともしなかった。なお、イージス・アショアについては「“地上イージス”配備候補地の今」という企画が、8月2日の放送予定に含まれていたが、9日現在になってもいまだ放送されていない。
 また、8月2日の放送では、他局の報道番組から一周遅れとも言うべきタイミングで、ようやく杉田議員のLGBTヘイト問題を扱ったが、じつはこの日は、自民党が「今後、十分に注意するよう指導した」などと公式見解を初めて発表した日。同日には安倍首相も「多様性を尊重するのは当然」などとコメントしている。
 ようするに、そうした自民党と安倍首相の“いいわけ”とセットにすることで、はじめて『報ステ』は番組内で取り上げたということらしい。事実、西日本豪雨災害をめぐる「赤坂自民亭」の問題を振り返っても、TBSなどがいち早く報じるなかで、『報ステ』だけは1週間後の7月17日になってようやく紹介したのだが、その日もやはり、安倍首相が同日の参院内閣委員会に出席して「いかなる事態にも対応できる万全の態勢で対応にあたってきた」と答弁したタイミングだった。こんどはテレ朝の報道局関係者が首を傾げて言う。
「杉田議員の件に関しては、現場からも『これはおかしいんじゃないのか』という声が漏れていると聞いています。現場のスタッフは7月27日の自民党前での抗議デモの模様をはじめ、関係者への取材もしっかり進めていたのですが、放送されたのがそれから1週間も後になった。普段は政府批判のデモをあまり取り上げようとしないNHKですら、デモ当日にその光景を報道していたにもかかわらず、です。上の“配慮”が働いたと思われてもしかたがない」(テレビ朝日政治部記者)
 もちろん、現場は懸命に抵抗を続けている。8月6日の広島の原爆記念日の放送では、小川彩佳アナは現地へ向かい被爆者たちを取材。核禁止条約をめぐる政府の姿勢について批判的なアプローチで、その取材の模様はかろうじて放送された。また、長崎の原爆記念日である8月9日の放送でも、スタッフが複数の被爆者にインタビューをし「なぜ首相は挨拶で核禁止条約に一言もふれないのか」「毎年同じようなことを言って、前進させようという気が少しも見られない」という日本政府、安倍首相への怒りの声を伝えた。

3【『報ステ』だけじゃない!親安倍一派によるテレ朝報道の骨抜き化が止まらない】
 だがそれでも、侵食するように『報ステ』の骨抜き化が進められているのは間違いない。事実、先日にはその広島で被爆者の声を取材した小川アナが番組を降板し、徳永有美アナに交代になることが発表された。小川アナは、古舘伊知郎がキャスターを務めていた時代、東日本大震災の直後から出演してきた番組の顔で、取材にも積極的に出かけ発言もリベラル。差別事件や政権の不正には厳しい発言もしていた。そんなところから、小川アナは現在の路線に抵抗を示した結果、とばされたのではないかという見方も流れている。 
 また、10月以降の金曜日の放送ではMCの富川悠太アナもお休みとなり、スポーツやカルチャーを中心にした内容に切り替えられるという。
「おそらく、テレ朝上層部は桐永氏が安倍政権に批判的でないでことを知っていて、チーフプロデューサーに抜擢したんでしょう。番組トップや報道のメインのスタッフを親安倍派にすげかえれば、いちいち圧力をかける必要はなくなる。テレ朝では今、そういう人事が進行しています」(テレビ朝日編成局社員)
 実際、先日のテレビ朝日の午前から午後にかけての情報番組『ワイド!スクランブル』でも、それを象徴する人事があった。露骨な安倍政権擁護を繰り返してきた“ネトウヨ局アナ”小松靖アナをメインキャスターに抜擢したのだ。
 しかも、早河会長ら上層部はもはや“政権への忖度”を隠さなくなってきている。たとえば、6月のテレビ朝日の株主総会の場でも、早河会長をはじめとする上層部が露骨に“アベ友擁護”を繰り出す一幕があった。
 それは、本サイトでも昨年報じた『徹の部屋』(AbemaTV)の問題について、株主から厳しい質問が飛んだときのこと。この問題をあらめて振り返っておくと、昨年の衆院選の公示日2日前の10月8日夜、テレ朝が出資しているインターネットテレビ・AbemaTVで、見城徹・幻冬舎社長がホストの番組『徹の部屋』に安倍首相が生出演。同番組で見城氏が「ずーっと安倍さんのファン」「日本の国は安倍さんじゃなきゃダメだ」「世界が外交においても認めている総理大臣は誰もいない」などとあまりに露骨なPRを展開したというものだ。

4【株主総会で「放送法違反」と追及されたAbemaTVの見城徹“安倍ヨイショ”】

 この問題ついては本サイトで詳しく取り上げてきた(http://lite-ra.com/2017/10/post-3528.html)が、今年6月のテレビ朝日株主総会のなかで、株主のひとりが同番組を「ひたすら安倍政権を礼賛する番組内容」「地上波なら間違いなく放送法違反」「公職選挙法に抵触しかねない番組」などと追及。AbemaTVにはテレ朝が40パーセント、サイバーエージェントが60パーセントを出資しており、同社の取締役会長に早河氏が就いていること、また、テレビ朝日の放送番組審議会の委員長を見城氏が、委員をサイバーエージェントの藤田晋社長が務めていることを念頭に、テレ朝側に対してAbemaTVの番組審査体制と見城・藤田両氏の放送番組審議会からの離脱の必要性を質したのだ。
 ところが、こうした指摘を受けた早河会長らテレ朝上層部の対応はけんもほろろ。むしろ、安倍首相の“オトモダチ”である見城氏らをかばい、歯が浮くような賞賛の言葉ばかりで、たとえば、報道局長の篠塚浩取締役が「基本的にAbemaTV社の判断での放送」と開き直れば、両角晃一取締役は「(見城氏と藤田氏は)大変豊富な事業経験とその高い見識から番組審議会で毎回貴重なご意見を頂戴している」などと持ち上げた。一方、ふたりの言葉を継いだ早河会長からは興味深い発言もあったという。
「早河会長は『徹の部屋』のヨイショ問題について『AbemaTVが自主的な放送ガイドラインを作っている』としたうえで、『テレビ朝日としても放送法を遵守する立場として、ガイドラインに関する情報をAbemaTVに渡している』と話していました」(テレビ朝日中堅社員)
 つまり、早河会長らテレ朝側は、選挙直前に露骨な安倍PR番組を垂れ流したAbemaTVに対し、その放送内容を事実上指導する立場にあるということを認めたのである。だとすれば、早河会長は一層、放送番組審議会委員長である見城氏の“暴走”を批判し、しかるべき処置をとらねばならないはずだろう。にもかかわらず、テレ朝側は総会で見城氏らをかばい、いまだに審議会という要職に置き続けているのだ。この総会での二枚舌こそ、今回の『報ステ』が政権批判をやらなくなった問題にも通じる、テレ朝上層部による安倍政権忖度のなによりの証左ではないのか。

 こうした事実を鑑みても、やはり『報ステ』に起こっている“異変”は、早河会長率いるテレビ朝日全体の“安倍ファミリー化”の延長線上にあると思わざるをえない。古賀茂明事件や古舘降板事件など、これまで『報ステ』は様々な政治的圧力にさらされながらもギリギリのところで耐え、視聴者からその報道スタンスが高く評価されてきたが、いよいよ、限界まで押しつぶされるということなのだろう。
 いずれにしても、このままでは「『報道ステーション』は死んだ」と言わざるをえない。この流れを食い止めるためには、視聴者ひとりひとりが番組とテレ朝に、まっとうな報道姿勢を求める声を大にしていくしかない。


(編集部)
=====
私見:進歩的文化人の代名詞のように朝日新聞の名前が使われてきた。事実そのような記者や報道人は朝日グループにいた。それを憂う村上義雄や本多勝一は別のメデイア媒体をつくった。いま報道の朝日は、大きく舵を切替得るのか。リテラ編集部が訴えるように「この流れを食い止めるためには、視聴者ひとりひとりが番組とテレ朝に、まっとうな報道姿勢を求める声を大にしていくしかない。」。

翁長雄志氏のメッセージ~『報道特集』2018年8月11日~

2018-08-11 19:24:15 | 政治・文化・社会評論
翁長雄志氏のメッセージ~『報道特集』2018年8月11日~


              櫻井 智志

写真:琉球新報転載
  沖縄の辺野古移設の大会に参加した皆さんが翁長さんの遺志を受け継ぐ様子。深く胸に刻まれる思いがした。子どもからお年寄りまで沖縄県民の苦悩をひしと受けとめ発する言葉は真心に満ちている。翁長さんの次男那覇市議会議員翁長雄治さんの挨拶も率直で誠実である。この戦いは決して負けない。条理に則っている。


 私は中越戦争や天安門事件から中国に疑問をもっている。しかし外交会議で鳩山元首相は出席したが、現政府は?菅義偉官房長官は翁長知事の葬儀に参列した。安倍総理は参加しなかった。トップと集団の関わり方でオウム真理教の組織と類似している。道理ある批判がない。民主主義と無縁だ。

 ゲストの毒蝮三太夫さん。石井伊吉という本名で『ウルトラマン』シリーズにも出演している。TBSラジオで大沢悠里氏や永六輔氏のDJのコーナーをずっと街頭から放送されていた。庶民の肉声を届けてくれた。戦争で苦労した人々の癒しと伝承。貴重な放送人である。活字や公的言語で制約された向こう側に庶民の本音の理性が息づいている。。


 巧妙な国民教化、上層部の機密処理と秘密廃棄。1940年代の映像と歴史の振り返りを見ていて、2018年の驚くほどの近似。権力を批判する人間は、ジャンルを問わず干されていく。いま政権の専制に無言で隷従するなら2018→1944に逆進する。反独裁総裁の石破茂氏を応援する。


  公文書廃棄。戦争末期とモリカケ疑惑。政治的指導者は、こんなことをやっていて、日本は亡国に至らぬか?!私たちがあなどるほど、ファシズムもナチズムも軍国主義も遠いところにはない。身近に国を破滅させる罠は存在する。

「オール沖縄」声上げ続け 怒りの翁長氏、県民率い

2018-08-10 20:27:50 | 転載
「オール沖縄」声上げ続け 怒りの翁長氏、県民率い
2018年8月9日 東京新聞朝刊転載

知事公舎の庭にあるガジュマルの木の前で、琉歌を刻んだ石碑(左手前)について語る翁長雄志知事=1月1日、那覇市で

<評伝> 「辺野古に新基地をつくらせない」。翁長雄志氏はその一点で沖縄の保守と革新の両陣営を結び付け、二〇一四年十一月の沖縄県知事選で前職を十万票の大差で破り、第七代県知事に就任した。自民党出身の保守政治家ながら「イデオロギーよりアイデンティティー」「オール沖縄」を訴え、辺野古移設を進める政府に立ち向かった。今年七月には、前知事の埋め立て承認撤回を表明。最後まで新基地建設反対の先頭に立った。
 昨年九月から今年二月末まで、沖縄の地元紙「琉球新報」に出向し、翁長県政を間近で取材した。その半年間も米軍機の不時着炎上や、小学校へのヘリ窓落下など、米軍による事件・事故が相次いだ。翁長氏は米軍側に「県民は疲れ果てて、何ら信用できない。とても良き隣人とは言えない」と抗議。日米両政府に対して声を上げ続けても一向に変わらない現実に怒り、あきれ、それでも諦めることなく、沖縄を代表して声を上げ続けてきた。
 五十四歳で胃がんとなり胃の全摘手術を受けた。知事就任後に刊行した著書「戦う民意」では「政治的に死んでも肉体的に滅んでも、沖縄を代表して言いたいことを言おう」と宣言していた。
 ことしの元旦、那覇市の知事公舎へあいさつに行くと、愛する孫らとともに出迎え、庭にあるガジュマルの木を見せてくれた。両手を広げても抱えきれない太い幹。木の前には、知事が自ら発注したという、琉歌が刻まれた石板があった。「芯や天冠みてぃ、枝や國廣ぎ、根や地の底に、果ていん無らむ」
 広く枝や根を張るとの意味。しかし枝を伸ばすべき空には米軍機が飛び、根を張るはずの県土には米軍専用施設が集中し、新基地も造られようとしている。
 六月二十三日の沖縄「慰霊の日」追悼式では、がん治療の影響で頭髪のない、痩せた姿で会場を見据え、平和宣言を読み上げた。「辺野古に新基地を造らせないという私の決意は県民とともにあり、これからもみじんも揺らぐことはありません」。会場から大きな拍手や指笛が送られた。
 翁長氏が民意とともに人生を懸けて、子や孫のためにつくり上げようとした沖縄の姿。その決意は県民の心に受け継がれている。 (村上一樹、写真も)

転載:溢れる安倍圧勝報道 大メディアが「続投後押し」の異様

2018-08-08 05:34:22 | 転載
【溢れれる安倍圧勝報道 大メディアが「続投後押し」の異様】
2018年8月7日日刊ゲンダイ
①溢れる安倍圧勝報道 大メディアが「続投後押し」
②勝ち馬に乗れと言わんばかりの同調圧力報道
③狭量首相にかしずき戦わない堕落組織
④陰湿な「いじめ」に震え上がる情けなさ


Ⅰ:■溢れれる安倍圧勝報道 大メディアが「続投後押し」

クソ暑い中、目を疑う報道が相次いでいる。例えば5日付の日経新聞。ASEAN地域フォーラムの参加国が集う夕食会で、河野外相が北朝鮮の李容浩外相と接触したのを受け、〈安倍晋三首相が意欲を示す金正恩委員長との会談へ半歩進んだ〉と評価していた。

 日朝外相の接触は1年ぶり。第三国を通じた北との外務省ルートは機能せず、今回の接触は「出たとこ勝負」。何とか握手こそ交わしたものの、両者はホンの短時間、立ち話をしただけ。確認できたのは、北の対話意思がゼロではない程度。〈日朝会談へ半歩〉と見出しを掲げた日経の編集センスを疑うが、この記事に喜ぶのは日経の読者ではない。安倍首相だ。

 早速、安倍は6日、広島市の平和記念式典後の会見で、「日本側の基本的考えを改めて伝えた」と接触の“成果”を強調。「最後は私自身が金正恩委員長と向き合い、何よりも重要な拉致問題を解決し、新しい日朝関係を築いていかなければならない」と豪語した。

 安倍のオツムの中は、来月の自民党総裁選でいっぱい。拉致問題解決に向け世論に期待をもたせるだけで「総裁3選」の追い風となる。よって日朝会談実現の可否よりも「やっている感」さえ伝わればいい。日経の「半歩前進」報道は、安倍のヨコシマな思惑をアシストするようなものだ。

Ⅱ:■勝ち馬に乗れと言わんばかりの同調圧力報道

 6日付1面トップで〈首相、議員票7割固める〉と報じた読売新聞をはじめ、大マスコミがこぞって総裁選の安倍圧勝の票読みをタレ流しているのも、鼻白む。まだ誰も出馬を表明していないのに、しきりと安倍圧勝ムードを報じるのは、議員票と同数が配分される地方票を握る党員たちに「勝ち馬に乗れ」と言わんばかり。安倍圧勝になだれを打つバンドワゴン効果をあおっているのに等しい。元NHKプロデューサーで武蔵大教授の永田浩三氏(メディア社会学)はこう言った。

「大手メディアは圧勝票読み報道で、二階幹事長や菅官房長官の裏の動向を伝えても、肝心の安倍首相のことは、まるで伝えようとしません。アベノミクスの異次元緩和は限界に近づき、北朝鮮情勢を巡る孤立化も深まっています。経済も外交も行き詰まり、その上、体調も良さそうに見えない。いわゆる“安倍チルドレン”によるマイノリティー排除を容認するような発言も相次いでいます。もろもろ終わりが見えている首相が、放っておけば総裁3選を果たし、続投を許すことになってしまう。この国にとって、それでいいのかという視点に立った報道があまりにも少なすぎます」

 多くの世論調査でも「支持」と「不支持」は、5カ月連続の逆転。不支持の理由は「首相の人柄が信用できない」が断トツだ。なのに国会議員の7割が安倍3選を支持する自民党と、その異常さに疑問を挟まず、無批判にタレ流す大マスコミ。世論とかけ離れた安倍礼賛は、まったく一緒だ。まるで日本の大マスコミは安倍3選を望んでいるかのようだ。

Ⅲ:■狭量首相にかしずき戦わない堕落組織

 安保法制定や防衛予算激増による米軍の下請け化。憲法順守義務など屁とも思わない違憲法案の強行採決ラッシュ。常軌を逸した人事権乱用で忖度官僚を輩出した霞が関の恐怖支配。モリカケ疑惑解明は棚上げ。国会答弁ははぐらかしの連続。公文書改ざんの政治責任を誰ひとり取らない……。誰の目にもこの政権の危険性は自明だ。

 安倍は西日本豪雨から1カ月が過ぎても、自民党の各県議団との懇親にかまけ、復旧に向けた補正予算を組もうとしない。臨時国会の召集に応じれば、野党に赤坂自民亭の一件などを追及される。安倍は総裁選前のイメージダウン回避のため、被災者をないがしろにしているのだ。

 こんな愚かな首相の続投をメディアはなぜ、望むのか。5年半に及ぶ政権側の恫喝に屈し、忖度どころか、完全に飼い慣らされたかのようだ。

 思えば、安倍が集団的自衛権行使容認の解釈改憲に邁進していた2014年ごろが分水嶺だった。この頃から安倍側近の萩生田光一衆院議員らが、政権の意に沿わない報道に目を光らせ、放送法4条の「政治的公平」を武器に各局の官邸キャップを呼び出し、難クセをつけていたという。

 14年夏の慰安婦検証で朝日新聞が大揺れの最中、原発事故の吉田昌郎所長の調書内容が、ライバル紙の産経新聞にリークされた。政権中枢しか知り得ない情報が漏れた経緯は今も謎だが、朝日は吉田調書に関する誤報を認めざるを得ず、窮地に立たされた。

 同年秋の総選挙でTBS系「NEWS23」のアベノミクス批判の街頭VTRに安倍が「皆さん(人を)選んでおられる」とブチ切れると、すかさず自民党は在京キー局に中立な選挙報道を求める“圧力文書”を送付。翌15年には「I am not ABE」騒動で古賀茂明氏が「報道ステーション」(テレ朝系)を降板。次に目をつけられたのが、NEWS23キャスターだった岸井成格氏だ。安倍応援団の文化人らに、名指しで糾弾する全面意見広告を掲載された揚げ句、ついには番組降板に追い込まれたのだ。

Ⅳ:■陰湿な「いじめ」に震え上がる情けなさ

 この5年半、嫌というほど見せつけられた狭量首相一派の「逆らうやつは許さない」という陰湿な手法。その執拗さにメディアの現場が疲弊する中、経営トップや編集幹部は安倍と会食を重ねて“ネタ”をもらう浅ましさ。メディア幹部が政権に競ってかしずくようになり、ちょっとでも政権に異を唱えるコメンテーターはすぐに消えてしまう。その結果、今や中立を装った逃げ腰キャスターであふれている。前出の永田浩三氏が言う。

「今のメディアは、いじめの対象になりたくない子供たちと同じ。あまりにも長く異常な状況が続いたことで、必要以上に政権側に萎縮し、他社よりも“とがった”報道を控えるようになってしまった。テレビ朝日の女性社員が、財務次官からのセクハラ被害を自社番組で報道できなかったのが象徴的で、もはや大手メディアは政権と戦わない組織と化しています。だから我が身を守るため、彼女は週刊誌に情報提供するしかなかったのです。NHKも自発的に“加計ありき”のスクープを握り潰しました。社会部記者が文科省の現役職員と会い、内部文書という“ブツ”を入手し、前川喜平前次官の単独インタビューも撮ったのに、今なお放送されていません。いじめを恐れ、政権との対峙を避けるメディアは、権力監視の牙を抜かれたも同然です」

 ここまでメディアが堕落すれば、菅官房長官の定例会見も大本営発表と化す。岸田政調会長が総裁選不出馬表明の前日、「首相と会って話した」と説明しても、菅が「会談した事実はない」と否定すれば、メディアを通じて菅発言が“事実”となる。いくらクロでもシロになりかねない恐怖は、大マスコミが大本営の“直属機関”に成り下がった証拠である。

「大マスコミは軒並み、2年後の東京五輪のスポンサーに名を連ねています。営利目的で数十億円も出資した以上、五輪に水を差す報道は自粛し、政権との一体化はますます進む。安倍政権が狙う国威発揚に進んで協力し、“お上に逆らうな”の同調圧力はさらに強まる恐れがある。今の大新聞・TVの惨憺たるありさまを見ると、政権と共にオリンピックという究極の“パンとサーカス”を巧みに利用し、この国を全体主義に染めかねません」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)

 日本の大マスコミが安倍3選を望む限り、この国は後戻りできない地点をもうすぐ踏み越えることになる。