【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

世の中は楽観も悲観も時が解明してゆく

2020-10-31 18:54:55 | 政治・文化・社会評論
❶首里城の再建。まだ幼い頃に映画『新諸国物語』シリーズ「紅孔雀」「オテナの塔」「笛吹童子」などを見た。うっすらと沖縄、朝鮮半島などアジアを広くイメージして観ていた。いま『鬼滅の刃』が長い休館のせいもあってか大量の観客が見たそうだ。子どもに広い視野と感性を育む作品は大事だ。

❷不法移民規制で、トランプはメキシコとの国境に塀をこしらえた。カナダとの国境さえ国境を閉ざす。すべてのひとの心をとざす「大統領」。トランプ・ドリームは、悪い幻想を見たかのような気持ちをもたせる。

❸夫の医師スティーヴン・パンズさんを亡くしたスザンヌさんは、つぎつぎに死んでいくアメリカの国民の苦悩を切々と訴える。トランプは「メデイアはコロナコロナと騒ぎ立てるが、コロナはもう収まる」という。しかし9.11で3000人が死んだ。3日ごとに3000人が死んでゆく事実を訴える国民もいる。スザンヌさんは、死は数字ではないという。22万人を超えるコロナ関連の死者を弔う墓の白い旗がたなびく。

❹選挙予想では、バイデン優勢。だがトランプがおこなっている分断は金平氏によれば憎悪や不信に変質していることを指摘。投票日以後の混乱も懸念される。

アメリカ大統領選まもない『報道特集』2020.10.24

2020-10-24 19:33:02 | 言論と政治
序:「直接現地に行ってみると、アメリカ国民の希望や怒り、悲しみが見えて有効です」金平キャスターのことばに、取材に期待しています。

➀愛子さまの大学登校の報道を見て、ふと思った。コロナを原因として、天皇ご夫妻の行動がかなり制限されている。知識人としても国際感覚豊かなご夫妻をコロナコロナで封じ込めている。背景をかんがえてみたい。

➁持続化給付金交付をひとつをとっても、日本社会の断面図がかいまみることができる。はっきりいえば、経済活動が腐朽した日本社会。日本経済は資本主義の原則からさえ逸脱していると感じた。持続化給付金への審査がずさんな実態であまくだり杜撰審査。唖然とする。

➂司会者の「人種問題について話してください」、
再三の要請を無視して
「ばかいってるんじゃない」。
馬鹿とは、物事を判断し処理するこころの働きがたりないこと、まさにトランプ氏そのものだ。

④警官に8分以上首を絞められ虐殺されたフロイドさん。この死を契機にBLMは急激にアメリカ社会に拡大。事態を憂う黒人夫妻は「トランプを落選させなければ」と静かに語る。

➄金平キャスターの訪米報告。大統領討論会は、支持率と投票と前回無関係と明らかにした。バイデンは最後に「私は分断している国民のすべてを代表するすべてのアメリカ国民の代表者でありたい」。日本の政治にはない生きた「言葉」がそこにある。


草の根は、どよめく2020.10.22news23

2020-10-22 23:40:48 | 言論と政治
❶リンカーンを殺しキング牧師を殺す。これがアメリカンデモクラシーの内実だ。トランプはニューフロンテイアの先住民虐殺の思想。だがリンカーンを選びキング牧師を支持した多くの民衆。このアメリカンデモクラシーはサンダーズや現代アメリカの抵抗者たちの思想だ。

❷「人間性と人格」は生成され、商品経済の発達と資本主義経済によって労働の搾取と共に疎外されていく。だが冷戦の末に社会主義国家が解体すると、「人間性と人格」の解放は社会構成体だけでなしうるのか。私たちは「解放」をめざしさらにあらゆる形態を探求する時機を迎えている。


❸社民、解党し立民に合流を断念 事実上の分裂も、党大会採決
2020年10月22日 (共同通信)
福島氏は議案が可決した場合について「今後も党首として頑張る」と共同通信の取材に答え、党に残る意向を表明した。
*社民が解体して合流しなくとも立民と共闘できる。


❹自民党の石破氏、派閥会長を辞任 次期総裁選の出馬明言せず
2020年10月22日 18時59分 (共同通信)
*まともな自民党員石破氏の今までの健闘を称える。


❺2020年10月22日(木)しんぶん赤旗
官邸のTV監視ここまで
出演者発言・ナレーション・見出し…詳細に
3月前半分 A4で700枚 本紙が記録入手
■常時監視番組
〔平日〕
TBS系「ひるおび!」「NEWS23」
日本系「ミヤネ屋」(読売テレビ制作)「スッキリ」
朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」「報道ステーション」
フジ系「とくダネ!」
〔土日〕
TBS系「サンデーモーニング」朝日系「サンデーステーション」
NHK「日曜特集」

❻星アンカーに賛成。あまり自民党を知らない。だが、石破茂、野田聖子、岸田文雄、田村憲久などまっとうな政治家もいる。その自民党が一強専制政治になったのは小選挙区制以後とくにひどい。小泉―安倍―菅と続く。源流に中曽根康弘が位置し、対極に石橋湛山、宇都宮徳馬がいる。

日本学術会議任命拒否問題に関する声明

2020-10-19 17:18:18 | 転載
(転送・転載歓迎)

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日本学術会議任命拒否問題に関する声明
https://nancis.org/2020/10/13/scj-statement/

2020年10月13日
市民社会スペースNGOアクションネットワーク(NANCiS)



 さる10月1日、日本学術会議が新会員として推薦した105名の研究者のうち6名が、菅義偉首相により任命されなかったことが明らかになった。すでに多くの法律家、学識者、学術団体が指摘しているように、このことは日本学術会議法(以下、同法)が規定する日本学術会議の趣旨、独立性、自律性を大きく損ない、かつての研究者による公選制から推薦に基づく任命制に改められた際の「形式的任命にすぎない」(1983年5月12日、参院文教委員会における中曽根康弘首相答弁)との政府解釈を踏み越える不当なものと言わざるを得ない。日本国憲法第23条が保障する「学問の自由」は研究者個々人の学術研究の自由のみならず、学術界全体の権力からの自由によって達成されるものであり、それを支える大学、研究機関、学会や科学アカデミーなどの学術団体の自治が幾多の苦難や努力により、伝統的・国際的に確立されてきたことからも、その重要性は明らかである。日本政府および菅義偉首相は、6名の任命拒否に至った経緯および理由を明確にするとともに、任命拒否の決定を改め、日本学術会議からの推薦どおり6名の任命を行うべきである。


 この問題に際し、菅義偉首相は10月5日に内閣記者会の幹事3社のみによる「グループインタビュー」に応じただけであり、その発言も「法律に基づいた任命をしている」「個別の人事に関することはコメントを控える」など理由を明確にしない一方、同法に定められた推薦制と日本学術会議による具体的な運用を「前例を踏襲してよいのか、考えてきた」と断じ、首相の任命権を通じて人事や運営に介入する意図をほのめかしている。こうした、理由を曖昧にしながら権力の行使や濫用をちらつかせたり実際に行うやり方は、当事者(今回は研究者や学術界)による反駁や抵抗の機会や効力を挫き、権力に対する必要以上の不安を生じさせ、萎縮や忖度を生んで自由を奪い、権力への追従をもたらすことにつながる。さらに今回、マスメディアやインターネット上で、ワイドショーのコメンテーターや匿名のネットユーザーだけでなく、一部のジャーナリストや学識者、著名人までが、ウソや誤解に基づく情報や問題の核心を意図的に逸らす論評を流布し、意図的に当事者を貶める言論状況をもたらしている。こうした政治・社会状況は、本会を構成する国際協力NGOが、開発独裁や権威主義体制を取る諸外国で体験してきたケースと酷似しており、単に一学術団体への政府の介入強化にとどまらず、研究者や学術界全体の「学問の自由」が奪われ、政府への協力を強いられる状況への「序曲」となることを強く恐れる。


 さらに、この問題は研究者や学術界にとどまるものではなく、広く「市民社会スペース」(=市民やNGO/NPO等が自由に表現、言論、活動できる社会スペース)の自由を脅かすものでもある。市民社会スペースの自由闊達な表現、言論、活動は、研究者の知見や研究者との協働によって根拠と実力を備え、社会的な影響力を増してきた。さらに、一般市民が権力に対峙する言論・活動をするとき、研究者の専門性と良心に基づく発言や行動は、権力に対する盾となり、一般市民を守り、勇気を与えてきた。このように、良識ある研究者や学術界の存在や言動は、市民社会スペースを守り、耕し、背骨を通す役割を果たすものである。それゆえに、研究者や学術界の自由が失われるとき、市民社会スペースの自由もまた脅かされ、萎縮への道をたどらざるをえない。


 このようなことから、本会はこの問題を座視することなく、学問の自由、ひいては市民社会スペースの自由を脅かす危機の「一里塚」であると捉え、先の政府決定の明確な説明と、その撤回を求めるとともに、問題意識を共有する社会各層との連帯を強めていくものである。

以 上

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「平和への結集・市民の風」メーリングリストからの転載:
写真:PRESIDENNT On Line


 「#中曽根康弘はそれほどの偉人賢人か」

2020-10-17 20:14:13 | 社会・政治思想・歴史
写真は同じ選挙区で「上州福・中戦争」を競った福田赳夫氏


 戦後の日本を不沈空母化するような愚劣な方向にミスリードした風見鶏政治家。毅然と葬儀欠席した志位和夫日本共産党委員長、半旗掲揚を拒否した大学。逆方向で軍事大国を驀進した中曽根氏は機を見るに敏な軍事海洋国家の牽引車でしかない。


 欧州でコロナウイルスの第二波感染の波に備え、本腰を据えて取り組み始めた。日本は中途半端だ。政府が至らぬ処を医学者や現場が不眠不休で対応し続けてきた。必ずしも楽観できない。感染大国のアメリカは、トップがトランプでいる限り、コロナを鎮静化できるのだろうか?


 内閣に内調が発足する時日本版CIAとして識者は懸念を表明した。公安畑の人物を安倍・菅両政権は警察国家の色彩を強めてきた。日本から自由が奪われ政治への批判をつぎつぎに剥奪。ひとつひとつ「否!」と意思表示することが辛うじて後退しつつも「蜘蛛の糸」を保持している。油断できない。赤木雅子さんは、政府や官僚が喪失した戦後の民主主義の倫理とモラルを固持している。大学教授や大手マスコミの幹部は、赤木夫妻から真摯に民主主義の魂を学んでほしい。壮絶な夫妻の生きる過程には、どれだけ日本の民主主義が圧殺されているかを明確にひしひしと伝わってくる。


中曽根康弘も福田赳夫も自民党保守派だ。だが、福田赳夫は犬養蔵相のもとで大蔵省主計局長として、軍拡派の陸軍をおさえ軍縮につとめた。福田氏は安江良介氏と対談し、犬養蔵相が昭和維新軍人に暗殺されたときに、同家で潜んでいたと、語っている。中曽根氏は内務省で特高などの元締め。


 いまの自民党政府の森友加計汚職の対応も、中曽根内調創設以来一本の連鎖。のこのこ葬儀に参列し日の丸を掲げるような偉人賢人ではない。内調特高警察型政治は、中曽根氏に始まり安倍=菅政権に連なる。

現代日本と『報道特集』2020.10.10 櫻井智志

2020-10-10 18:53:52 | 随想


「#日本学術会議ウィキペデイア典拠」
1948年(昭和23年)7月 - 日本学術会議法公布
日本学術会議設立には連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が関与し、日本の物理学者である仁科芳雄と共に旧体制を刷新した。 
#日本学術会議歴代会長
亀山直人を会長、副会長は我妻栄、仁科芳雄で出発。
その後の会長は、茅誠司、和達清夫、朝永振一郎、江上不二夫、伏見康治、近藤次郎、伊藤正男、吉川弘之。黒川清。吉川弘之、伊東乾、鴨下重彦。 黒川清、金澤一郎、広渡清吾、大西隆、山極寿一、梶田隆章(現在)。


自民党総裁の選出そのものが、仮病とモリカケ、桜疑惑を隠蔽するための「石破潰し」「菅活かし」と伝えらえれるような談合をおこなう疑惑の菅首相。学術会議を詮索するような資格があるのか。あるテレビ朝日昼間の報道番組コメンターの大学教授は、いまは穏やかな日本学術会議を手なずけ、次にテレビ報道のコントロールを狙っていると発言した。聞いて共感を覚えた。

 湯川秀樹氏は、仁科芳雄門下で朝永振一郎氏らとともに自由な学風で、それが国際的な意義ある研究に繋がったと自伝に記している。学問の自由をかけがえのないものと考える田中優子法政大学総長や私が尊敬する元社会学部長の故芝田進午氏らは、菅義偉氏を嘆いていよう。


 安倍・菅政権は、日本社会から重要な国民の気風を貶めた。秘密裡に貴重な資料を破棄・隠蔽。街中で子どもや弱者を痛めつけるような光景が増えた。安倍菅両氏によって、日本の民主主義政治は終焉しつつある。だが両氏は自らの言動でどのような社会変貌が起きているかなど把握していない。


 北朝鮮の内情はなかなか知ることはできないので、番組報道は大事と思う。私は古代から朝鮮半島の歴史は自国以上に周辺の軍事国家に左右されてきた事実を正視せねばと思う。


菅首相の「日本学術会議」人事介入に非難殺到、三浦瑠麗までが批判! 政府見解に反する人事強行は黒川検事長定年延長と同じやり口 2020.10.02 06:50

2020-10-03 00:00:18 | 転載と私見
写真は官邸ホームページよりリテラ転載

構成
①序
➁中曽根元首相は「政府が行うのは形式的任命にすぎません」と答弁
➂黒川検事長問題を彷彿も、国会召集を一転して先延ばしして説明から逃げる菅首相
④私見

Ⅰ【序】
 日本学術会議が推薦した新会員候補の6人を菅義偉首相が任命しなかった“強権的人事”問題に、大きな批判が巻き起こっている。〈#日本学術会議への人事介入に抗議する〉というハッシュタグはトレンド入りし、13時現在で約18万ツイートされているのだ。

 当然の反応だ。本サイトでも昨日お伝えしたとおり、これは憲法で規定される「学問の自由」を踏みにじる行為にほかならない。しかも、任命されなかった6人は安保法制や共謀罪など安倍政権の政策に批判をおこなった学者であり、あきらかに恣意的な排除であることは明々白々だ。

 しかも、ネット上がざわついたのは、“排除”された学者のなかに、加藤陽子・東京大学大学院教授や宇野重規・東京大学教授という、「左派」でもない、そしてともに現在の歴史学・政治思想史を代表する人物が含まれていたことだ。

 たとえば、ライター・編集者で『グッとラック!』(TBS)火曜コメンテーターの望月優大氏は〈『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』の加藤陽子先生、『保守主義とは何か』の宇野重規先生、特段ラディカルでもない、真っ当に研究をされ、一般向けの著書も数多く書いてこられた研究者すら許容することができない。どこまで極化し、どこまで落ちるつもりなのか〉と指摘。あの三浦瑠麗氏でさえ、〈私の隣接分野からいえば宇野重規さん、加藤陽子さんは書き手としても優れた方だが、そもそも彼らの本など読んだこともないだろう人々が、何らかの記事をもとに名簿を浚い問題アリのチェックでも入れたのだろう〉と述べているほどだ。

 たしかに加藤氏は特定秘密保護法を批判し、宇野氏も安保法制に反対していた。だが、それは党派的な問題ではなく、まともな見識を持ち合わせていれば当然の態度だ。小説家の倉数茂氏は〈仮に加藤陽子や宇野重規を「左」とすると(ありえないけど)、中道ってどれくらいだろう。百田尚樹あたり?〉とつぶやいていたが、それほどトンデモな話なのだ。

 だが、今回の問題における最大の焦点は、政府が不当な人事介入により「学問の自由」を侵害していることであり、しかも菅首相が「任命しなかった」ことが、これまでの政府見解に反している、という点だ。

 加藤勝信官房長官は昨日の定例会見で「法律上、内閣総理大臣の所轄であり、会員の人事等を通じて一定の監督権を行使するっていうことは法律上可能となっております」と述べたが、これは日本学術会議法改正案が審議された1983年の政府国会答弁と食い違う。

Ⅱ【中曽根元首相は「政府が行うのは形式的任命にすぎません」と答弁】

 実際、1983年5月12日の参院文教委員会では、日本学術会議の新会員の選定を公選から推薦にし、その推薦に基づいて総理大臣による任命制をとるとする改正案について、手塚康夫・内閣官房総務審議官(当時)は「私どもは、実質的に総理大臣の任命で会員の任命を左右するということは考えておりません」と答弁。さらに、高岡完治・内閣官房参事官(当時)も「内閣総理大臣が形式的な発令行為を行うというふうにこの条文を私どもは解釈」「内閣法制局におきます法律案の審査のときにおきまして十分その点は詰めたところ」と答弁している。さらに、当時の中曽根康弘首相も、こうはっきりと述べていたのだ。

「学会やらあるいは学術集団から推薦に基づいて行われるので、政府が行うのは形式的任命にすぎません」

「実態は各学会なり学術集団が推薦権を握っているようなもので、政府の行為は形式的行為」

 現に、この改正案が可決された際の附帯決議では〈内閣総理大臣が会員の任命をする際には、日本学術会議側の推薦に基づくという法の趣旨を踏まえて行うこと〉とある。つまり、政府見解では総理による任命は「形式的行為」でしかなく、日本学術会議からの推薦を任命拒否することは、明確に「法の趣旨」に反しているのである。

 しかし、内閣府と内閣法制局が参加した本日の野党合同ヒアリングでは、新たな事実が判明した。というのも、「任命拒否」をめぐっては、2018年に内閣府は内閣法制局に対し法解釈について問い合わせをおこない、菅政権発足直前の先月9月2日ごろにも内閣府は内閣法制局に2018年の法解釈について口頭で確認をおこなったというのだ。

 これが事実ならば、安倍政権時代から日本学術会議からの推薦者を任命せずに拒否する策を練っていたということになる。実際、日本学術会議は2017年3月にも軍事研究を否定した過去の声明を継承するとした新声明を出すなど、軍学共同を進める安倍政権に釘を刺していた。同年秋におこなわれた改選で安倍首相は任命を拒否することはなかったが、実際には政策に疑義を唱える日本学術会議への報復のため、人事による萎縮を狙い任命拒否できる方法を探っていたのだろう。

 となると、重要なのは2018年におこなわれたという法解釈の中身だが、野党合同ヒアリングで「解釈変更したのか」と問われても、内閣府や内閣法制局側は「まさに義務的に任命されなければならないということではないというふうに解釈している」などと明言を避け、今回の任命拒否は「解釈の変更ではない」と強弁。2018年に作成されたという法解釈にかんする文書も「確認中」だと繰り返して提出されることはなかった。

Ⅲ【黒川検事長問題を彷彿も、国会召集を一転して先延ばしして説明から逃げる菅首相】

 黒川弘務・東京高検検事長の定年延長問題でも後付けで「解釈変更した」などと言い出したが、今回も同じような辻褄合わせをおこなうつもりなのか、それとも解釈を変更するにはあまりにも無理があるため「適法だ」で強引に押し通す気なのか──。ともかく、重大な違法性が指摘されるこの問題について、早急な国会審議が求められるのは言うまでもない。

 しかし、この騒ぎの最中、なんと菅首相はさらに国会召集を先延ばしにするというのだ。

 臨時国会の開催については、9月30日の与野党国対会談では10月23日に召集する方向で調整されていたのだが、菅首相が今月中旬からベトナムとインドネシアを訪問する外遊日程を理由に、自民党側は昨日1日、一転して「26日召集」と方針転換したのだ。

 そもそも、菅首相はいまだ国民に向けた所信表明演説もおこなっておらず、所信表明が就任から約40日後になるというのは異常事態であり、それをすっ飛ばして外遊に出かけるとは国民・国会軽視も甚だしい。この決定の背景には外遊に出かけることで「やってる感」アピールをしたいという姑息な思惑もあるのだろうが、同時に、任命拒否問題が騒ぎになることを見越し、少しでも国会論戦を先延ばしにしようとしたのではないか。

 しかも、菅首相の動きにはほかにも怪しい点がある。じつは菅首相は昨日の午後、官邸からわざわざ議員会館に赴き、安倍前首相と面談をおこなっているのだ。このタイミングからして、日本学術会議への報復という「安倍政権の継承」を、あるいは今後の対応や方針を報告していても不思議ではないだろう。

 今回、菅首相が任命しなかった加藤陽子・東京大大学院教授は、NHKの取材に対し、こんなコメントを寄せている。

「内閣総理大臣が学術会議の決定を経た推薦名簿の一部を拒否するという、前例のない決定の背景を説明できる協議文書や決裁文書は存在しているのでしょうか。この決定の経緯を知りたいと思います」
「総理大臣官邸において従来通り、そのまま承認しようとの動きをもし最終盤の確認段階で止めた政治主体がいるのだとすれば、それは、『任命』に関して、裁量権の範囲を超えたものです」

 学問の自由を侵害し、“排除”によって萎縮させようという見せしめを平気でおこなう菅首相。徹底した追及が必要だ。

(リテラ編集部)


Ⅳ【私見】
読みながら、特に印象的な箇所を転載したい。

❶たとえば、ライター・編集者で『グッとラック!』(TBS)火曜コメンテーターの望月優大氏は〈『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』の加藤陽子先生、『保守主義とは何か』の宇野重規先生、特段ラディカルでもない、真っ当に研究をされ、一般向けの著書も数多く書いてこられた研究者すら許容することができない。どこまで極化し、どこまで落ちるつもりなのか〉と指摘。あの三浦瑠麗氏でさえ、〈私の隣接分野からいえば宇野重規さん、加藤陽子さんは書き手としても優れた方だが、そもそも彼らの本など読んだこともないだろう人々が、何らかの記事をもとに名簿を浚い問題アリのチェックでも入れたのだろう〉と述べているほどだ。


❷今回の問題における最大の焦点は、政府が不当な人事介入により「学問の自由」を侵害していることであり、しかも菅首相が「任命しなかった」ことが、これまでの政府見解に反している、という点だ。加藤勝信官房長官は昨日の定例会見で「法律上、内閣総理大臣の所轄であり、会員の人事等を通じて一定の監督権を行使するっていうことは法律上可能となっております」と述べたが、これは日本学術会議法改正案が審議された1983年の政府国会答弁と食い違う。

❸日本学術会議は2017年3月にも軍事研究を否定した過去の声明を継承するとした新声明を出すなど、軍学共同を進める安倍政権に釘を刺していた。同年秋におこなわれた改選で安倍首相は任命を拒否することはなかったが、実際には政策に疑義を唱える日本学術会議への報復のため、人事による萎縮を狙い任命拒否できる方法を探っていたのだろう。

❹そもそも、菅首相はいまだ国民に向けた所信表明演説もおこなっておらず、所信表明が就任から約40日後になるというのは異常事態であり、それをすっ飛ばして外遊に出かけるとは国民・国会軽視も甚だしい。この決定の背景には外遊に出かけることで「やってる感」アピールをしたいという姑息な思惑もあるのだろうが、同時に、任命拒否問題が騒ぎになることを見越し、少しでも国会論戦を先延ばしにしようとしたのではないか。しかも、菅首相の動きにはほかにも怪しい点がある。じつは菅首相は昨日の午後、官邸か菅わざわざ議員会館に赴き、安倍前首相と面談をおこなっているのだ。このタイミングからして、日本学術会議への報復という「安倍政権の継承」を、あるいは今後の対応や方針を報告していても不思議ではないだろう。

❺今回、菅首相が任命しなかった加藤陽子・東京大大学院教授は、NHKの取材に対し、こんなコメントを寄せている。
「内閣総理大臣が学術会議の決定を経た推薦名簿の一部を拒否するという、前例のない決定の背景を説明できる協議文書や決裁文書は存在しているのでしょうか。この決定の経緯を知りたいと思います」
「総理大臣官邸において従来通り、そのまま承認しようとの動きをもし最終盤の確認段階で止めた政治主体がいるのだとすれば、それは、『任命』に関して、裁量権の範囲を超えたものです」

『まとめとして』
もはや分析してあれこれ言うほどの内容があるのだろうか?安倍政権の継承とは、安倍晋三氏がキングメーカーとなって菅義偉氏をマリオネットのように操ろうとする政権に堕す怖れがある。私は菅首相の方向に注目していたが、菅氏の良さを発揮する前にアベノボウレイを背負って自壊するか、強硬な独裁政治を突っ走るか。どちらかという憂鬱な結論へと進んだ。<了>