【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

日本の急速な反動化を懸念し濁流に流されながら抵抗の杭につかまろう

2018-02-26 23:22:40 | 政治・文化・社会評論
          櫻井 智志

①私ができる範囲の意思表示

②私に可能なアンチ・ファシズムの行為

③孤立を極端にひけらかさないけれど、個のできる自立の判断と開かれた連帯を

④遠くを見て失望するよりは目の前のささやかなことでも希望の喜びを確かにする

⑤寛容さ

【「JNN報道特集」つれづれぐさ2018/02/24】

2018-02-24 21:12:38 | 政治・文化・社会評論

                    櫻井 智志



 情けない話だ。沖縄で逸脱行為を連続している米軍は、靑森県ではよりによって燃料タンクを投棄。漁は台無しとなった。謝罪さえしない。これはもう・・・・アメリカ政府・軍部にとり日本が植民地として扱われている。暴君トランプ大統領に擦り寄る安倍自民党総理のだらしなさ。総理は、国民には横柄極まりない。世界最強の軍事国家は、極東も中東も、トランプという名の最高権力者によってとんでもない国際危機をもたらされている。北朝鮮、ではなく、日本がアメリカの属国のまま何でもしてしまう状態こそ、日本国家の国難である。安倍氏は、そう認識してはいず、眼中にいささかもないことが、いっそう致命的だ。



 働き方改革とは、財界による「働かせ方改革」だと野党政治家が言った。同感だ。裁量労働に伴うデータの恣意的な状態は、呆れるばかり。なんとしても安倍総理は、財界の意向のままに動き、労働三法をついに形骸化して、憲法の保障する労働権、生存権を葬り去る志向を感じる。恐ろしい企みだ。「データを撤回」ではなく「答弁を撤回」???
 厚労省、財務省となにをやっているのかと思う。官僚制の弊害と総理以下閣僚の癒着した奇怪な行政。国民不在の国政が延々と続くのならば、これでは「亡国」の戦時体制はすぐ近くにあるのではあるまいか!「現場で働く人間には自分から無理ですとは言えないのです」。過労死で娘さんを亡くしたご両親の言葉が痛切に響く。「安倍総理のことばはとても耳障りがいいのです」、に続く言葉だ。労働と「疎外された労働」の概念は19世紀のことだ。社会主義国解体の21世紀になった。労働権も生存権もわが日本ではそれらの存立の危機に陥っている。。



 子どもが母親から虐待され児童擁護施設。母親も子どもの頃に虐待されていた。児童擁護施設に避難し大学に通うまでに成長。だが学費などで中退せざるをえない若者が続く。軍事費増加に傾斜すると教育・福祉は切り捨てられていく。困難な中で関係者は必死の努力で支援。言葉が出ない。報道を見ながらふと考えていた。青森の成績優秀な若者が、秋葉原にて殺傷事件をおこす。横浜川崎などで少年による殺人事件。親が子を殺し、子が親族を殺す。若者たちの悲鳴なのではないか。「もう俺たちどうしようもないんだ」と。若者たちが自立の道を進めるような深く労りの手立てが。しょうたさんを見守り続ける高木さんのことば。深く納得し共感を覚える。このような言葉が国政の場でこころとして感ぜられるなら、過労死のNHK女性記者のご両親のような悲しみも減ったはず。国政がダメでも社会の一隅で支え合う営みに、私は肩を温かく叩かれる思いがする。まだ困難な社会問題に取り組んで解決への見通しをもつ余地はある。



感慨深い吉野源太郎氏の対談

2018-02-23 08:41:34 | 政治・文化・社会評論

                 櫻井 智志


 小学校四年の時に読んだ『君たちはどういきるか』。私にとり生涯もっとも感銘した愛読書である。吉野源三郎氏は、寡作で自らは編集者に徹した。吉野氏の著作はほとんど読んだ。

 氏のご子息が「吉野源太郎」氏であることは知っていたが、「文藝春秋」三月号ではじめて肉声に接する思いがした。貴重な機会を得ることができた。御尊父が吉野源太郎氏に遺した教え。


「記者に大事なのは、敵の言葉で語ることだ」。ご子息はこれを「批判する相手の言葉を使って客観的な真実の所在を語り、社会の問題点をえぐるような記事を書けという意味だと理解」なされた。

 私は今まで読売・朝日・毎日・東京の各新聞を購読してきたが、日本経済新聞を購読した事がなく、スタンドでたまに購読したに過ぎない。いわば岩波書店とは対極の日経新聞論説委員としてご活躍されていたのだ。遺訓をしっかりと自らのものとし たご子息の生き方も見事なものだ。

 池上彰氏も第一級のジャーナリストである。池上氏を相手として行われた対談は、吉野源三郎の生涯を見事に浮き彫りにしている。

 陸軍少尉の吉野源三郎氏は治安維持法違反で投獄され、厳しい軍事法廷に立たされる。その逸話も、吉野氏の人物像を明らかにしていて感銘深い。拷問で仲間を裏切りそうなことを危惧し自死を試みる。一命を救った軍医は、人格者で未来を見据え生きる希望を取り戻させる。

人間到たる処青山有り。




写真:毎日新聞社の吉野源三郎氏写真

「白井聡氏の前原誠司論」からは「反安倍政権の対抗勢力」は結集できない

2018-02-22 23:34:47 | 政治・文化・社会評論
2018/02/22
                        櫻井智志

第一部
 衆院選挙時に、突如生まれた「希望の党」政党ハプニング騒動は、背後にアメリカ軍産複合体によるジャパン・ハンドラーの謀略であろう。その点で若手の論客白井聡氏が執筆なさった評論『前原誠司氏の非凡』は、的確な論評と感じる。

 熟読しながらふと疑問を覚えた。前原氏の政治的特質の分析と把握には白井氏の鋭い指摘に唸るところが大きい。けれども、安倍晋三が政治家としての力量というよりも、小選挙区制度という民意と異なる議席数を土台として、駆け引きと策略によって党内をコントロールし、マスコミや大衆文化にも浸透し報道機関をアメとムチで籠絡しつつ、左翼やリベラリストとは異なる視点からの掌握術で長期政権をボロボロになりつつも持続しているのが現段階である。虚像によって統制されている国民が、事実に立脚して政治の主人公として政治を取り戻すにはどうしたらよいのか。日本共産党や立憲民主党等立憲野党が提唱している「市民と野党の共闘」は、根本的根源的な当面の最大の戦略と感じる。私には、民進党代表として野党共闘に加わり、東北七選挙区で統一候補当選に尽力した時の前原誠司氏を正当に評価すべきと思う。その前原氏が変化していった政治的変化の軌跡は、なぜ発生したのか。そのことを明らかにしなければ、同質の問題は人物を変えて、再び起こりうる。

 わかりやすく言おう。田中角栄、野中広務、小沢一郎、これらの諸氏を、左翼やリベラリストはどう理解し認識し、どう対応してきたのだろうか。いわずもがなであるが、三人とも自民党の総裁や首脳部を歴任した政治家であり、唯一小沢氏は四十歳代で自民党幹事長にまで上り詰めながら、離党して政界再編のために尽力した。さらに無罪と決定した事件でマスコミの餌食のようになり、日本共産党も厳しく批判を続けた。しかし、田中角栄は今までの政権の対米従属外交からアジアを重視した等距離外交への転換が、アメリカ支配層の逆鱗にふれて、ロッキード事件そのものが田中角栄失墜のための謀略だったという見解があらわれた。孫崎亨氏の『アメリカに潰された政治家たち』「第2章 田中角栄と小沢一郎はなぜ葬られたのか」(2012年 小学館刊)に代表される見解である。官僚制のまっただ中、外務省の国際情報局長や防衛大学校教授を歴任した体制派のエリートが、なぜそのような見解を公開したか。自民党だ、官僚だと決めつけてもどのような政治的見解を発言しているのかを謙虚に耳を傾けるべきだ。

 前原誠司氏は、松下政経塾出身の新自由主義の立場に立つ。菅直人氏と代表選を競って当選し、民主党代表の経験ももつ。選挙区の京都は、蜷川虎三知事のもとで自共二大政党が競っていた。京都の旧社会党はもともと社会党右派であったが、しだいにじり貧となっていく。
若手で民主党から当選した前原氏には周囲の期待が高まり、野党の代表格のひとりとなった。野党共闘が民進・自由・社会民主・共産の四党で成立した。北海道5区補選で池田まき候補を、演説カーに乗って応援演説した内のひとりとなった。野党共闘では、京都などほかの選挙区でも前原誠司氏は応援に臨んだ。民主党・民進党の野田佳彦代表の曖昧でいい加減な野党共闘対応とは大違いだ。共産党の小池晃議員や穀田恵二議員も前原氏の誠意を讃えた。詳細な経緯は、第二部・参考資料として後に掲げた白井聡氏の評論を読むと、よくわかる。

 私は政治家や政党の確執を知る度にずうっと考えていたことがある。とくに日本共産党で「除名」や「除籍」された政治家のことである。野坂参三・中野重治・石堂清倫・志賀義雄・古在由重。詳細な経過は省く。政党の規範となる規約に反することは、組織的な政党にとって、やむを得ない措置なのであろう。けれど、私は政治家を、政治的側面のみで判断しない。人間的・人格的側面からの判断を重視する。
政治主義のみの判断は時として決定的な蹉跌に連なる。政治家の人格についてよく見極めるべきと考えている。なぜか?政治主義判断では二元論となる。人格的人間的側面からの判断は二元論では収まりきれない。いわば多元論へ連なる。

 私は現実の日本共産党を、すべての政党の中では最も政党らしい近代的政党と一貫して評価している。けれど、それは最善かというと、次善であると思う。共産党の政治的展望と異なる政党や政治家に対して、政治的見解が生ずるのは当たり前のことだ。そのときに、相手の人間としての全体像、ひとがらや人格の良さがわかっていれば、政治的見解が異なってもコミュニケーションの余地は必ず生ずる。

 それは、たとえば前原誠司氏の政治的言動をすべて許容し言いなりになるというのとは異なる。安倍政権が崩壊寸前の政治的情勢で、ジャパンハンドラーとして小池百合子都知事が正面にでた「希望の党」は、対米隷属政権の延命に成功した。前原氏も小池氏の仲間としての蹶起だったろう。前原氏が極めて安倍政権延命に役立ったとする解釈に、私も同意する。

 にもかかわらず、白井聡氏の秀逸な分析に、あえて異を唱えるのは、日本の反共風土という困難な状況のもとにあるけれども、沖縄の「オール沖縄」の実例があることに示されている。政治家を単眼でなく、「政治家」として、「人格」として、併せて複眼で認識することは重要なことだ。翁長雄志沖縄県知事は、沖縄県自民党幹事長だった。翁長氏のもと、反基地反植民地主義の大義の一点で結集した。ひとえに翁長氏の人徳のなせるわざと考える。沖縄に行くまで志位和夫氏は、「オール沖縄」の発想に全面的に同意していたわけではなく、現地の情勢と対話を通して、変貌を遂げる。

 今回、前原誠司氏の一連の言動には、白井聡氏と同様、肯定しているわけではない。問題は政治的言動に原則的に批判を行っても、なお相手の人間性と人格とを理解し交流していれば、次の契機はいつかあり得る。政治的言動の相違で相手の全存在を否定する、かつての連合赤軍内部崩壊事件のように、「贋左翼」と呼ぼうと左翼を称する集団が、追い詰められた極限状況のなかで仲間を次々に殺戮していった悪夢は、国民の深層意識に残存している。軍国主義の道を急速に転げ落ちていく安倍政権の領袖安倍晋三自民党総裁は、左翼やリベラリストの発想とは全く別の次元で国民を懐柔し影響を与え続けている。吉本隆明は、晩年にテレビにいちにち見入り、コムデギャルソンのファッションに関心をもった。テレビの芸能ワイドショーに出演し、日比谷野音で南こうせつらのコンサートに仕掛けられた飛び入りをして、「あの素晴らしい愛をもう一度」を歌う。このような大衆感覚が一定の社会層に国民受けすることもわきまえている安倍晋三は、日本国民の統治のすべを知らないわけではない。仲間内に受ける言葉で仲間内にエコーするコミュニケーションでは、効果は低い。敵の言葉で語りそれが鋭い敵への批判となっているような、そのような発想が大事な時期だ。(一旦終わり/つづく)




第二部==参考資料==

転載「京都新聞」2月14日夕刊
『前原誠司氏の非凡』
白井聡 京都精華大学人文学部専任講師(政治学・社会思想)

一片の悔いなし
 衆議院京都2区選出議員である前原誠司氏の発言が、話題を呼んでいる。安倍政権に大勝を許した昨年の総選挙での希望の党への合流について、「全く後悔していません」(産経新聞、1月20日)と語った。
 政治家の決断に対する評価は、短期間で決まるものではない。例えば、一時の敗北を甘受しても、筋を通すことによって後にはより多くのものを達成することはある。
 では、選挙前後から現在までの前原氏の言動に、選挙での負けを打ち消すような、価値あるものはあるだろうか。

魂は売らない
 いわく、「共産党に魂を売って惨敗するより、チャレンジしてよかった」。「合流には《非自民・非共産》の大きなかたまりを作る狙いがありました。民進党の《左旋回》はひどすぎた。日米安全保障条約の廃棄を掲げる共産党と政権選択選挙で協力することを、有権者にどう説明するんですか」。
 前原氏にとって、共産党を含む野党との共闘路線をとることは、「共産党に魂を売る」ことなのだそうだ。
 しかし、少なくとも昨年6月頃まで、前原氏は「魂を売る」路線を基本的に維持しており、全国の民進党関係者はその路線に従って選挙準備を進めていたのである。前原氏はそれを「どう説明する」のだろうか。
 なお、共産党は現在、日米安保条約の即時廃棄を主張していない。

魂の主張
 では、前原氏の「決して売れない魂」とは何なのであろうか。国民負担を増やしてでも福祉を充実させ社会不安を取り除くという路線を前原氏は強調しているが、福祉の充実という考え自体に他の野党は反対などしていなかったし、この政策は安倍政権によって現在模倣されつつある。
 すると残る主張は、「非自民・非共産」の大勢力をつくるということ以外にはない。この「大きなかたまり」には何もする能力も意思もないことは、菅・野田民主党政権によってすでに十分証明された。
 つまり、前原氏の魂の主張とは、「第二自民党をつくってお山の大将になり、何かの拍子に政権が転がり込まないかなぁ」ということだと推論される。

前原氏の実績
 有権者は、前原氏のこれまでの実績を虚心に振り返ってみるべきであろう。最初に民主党党首を務めた際には「偽メール事件」を発生させ(2006年)、永田寿康元議員は自殺した。外務大臣時代には、尖閣諸島沖中国漁船衝突事件の発生に際し、「日本の国内法に基づき粛々と対応する」との発言により「棚上げ合意」を一方的に破棄することで緊張を高めた挙句、超法規的措置に逃げた(2010年)。そして、民進党党首として、今回の振る舞いがあった。

この非凡なる者
 それでも前原氏の名前に「誠」も入っているのだから、主観的にはすべて誠意を尽くした振る舞いだったのに違いない。そうだとすれば、昨年の総選挙で、「ずっと一緒にやってきた枝野さんと別れるのはきわめて残念」と言いながら、立憲民主党が候補者を立てた全選挙区で徹底対決する一方、公明党に対しては妥協的に戦った希望の党の選挙戦術には、常人には理解できない誠意が込められているのであろう。
 京都の有権者と京都財界を牽引してきた稲盛和夫氏らは、非凡な政治家を育て上げたものである。

日本報道界の見識《JNN報道特集》感想ノート

2018-02-17 20:17:43 | 政治・文化・社会評論

2018/02/17

                      櫻井 智志


(Ⅰ)オリンピック
 羽生選手のスケーティングは芸術のように素晴らしい。ただ、団体で羽生選手がいない間に、田中刑事選手や宇野昌磨選手が健闘して団体チームをフォローしたことは称賛に値する。大怪我から立ち直った羽生弓弦選手は感動を与えた。

(Ⅱ)大地震
 メキシコ7.2の大地震、先日の台湾の大地震。このような地震と原子力発電所は両立することはない。目先の利益で、壊滅的な破壊を負うことはあまりに悲しい人間のさがだ。福島原発の悲惨さを学ばぬ安倍政権の愚かしさは悲喜劇としか言いようが無い。


(Ⅲ)民族統一の悲願は遠いけれど
 平昌オリンピック開会式を中継で見て、韓国のオリンピック委員長のスピーチを聴いて感激した。開会式そのものが朝鮮の神話や古代史から、CGを取り入れコンピューター機器を駆使して技術の高さを感じた。何よりも韓国オリンピック委員長の挨拶の、しっかりした歴史観・世界観・人間観の思想的高さは、秀逸だった。同時に、北朝鮮の高官らと韓国の大統領らの、現状認識と今後の展望をもつ交流は、予想を超えて重要な貢献を果たした。日本の大手報道機関は「微笑み外交」「美女軍団」と部分的なセンセーショナリズムに終始した。民族が分断された国家(大韓民国・朝鮮民主主義人民共和国)は、超大国の代理として、戦後ずうっと奔放され、いまだ背後のソ連とアメリカの代理戦争である朝鮮戦争は、一時停戦のままの状態である。平和条約締結による正式な終戦の戦争終焉を終えてはいない。
 1950~60年代に、核兵器を持たぬ北朝鮮がアメリカに核兵器廃絶を要請した。だが北朝鮮の周囲は核大国と核大国支援下の国家群によって取り囲まれていた。そこから北朝鮮の核兵器開発が始まった。北朝鮮の軍事政策は、対極に活発な米韓日の軍事同盟戦争演習で取り囲まれてもいる。文在寅韓国大統領の決断は叡智を感じさせた。南北朝鮮が、一気には融和から統一へとはなるまい。米国ペンス副大統領は帰国後事態の進展に応じようとしている。トランプ大統領の意のままの安倍首相は「対話よりも圧力を」と平昌まで行きながら、情勢を見極められずオウム返しの口調。情けなくなる。南北の終戦問題は、日本にも重大な影響がある。軍拡日本こそ東アジアに危険な存在になりつつある。


(Ⅳ)若者たちと教育者たち
 国会混乱を脇目に見て、国民に影響ある戦争準備基盤は進行中。安倍政権の政策の結果、富裕層と貧民層の二極分化は、若者たちにしだいに兆候から実態として「経済的徴兵制」をもたらしている。社会文化から平和思想に関わる行事、講演会などを公的機関が断る例が増えている。そんな中でも若者たちはSealdsとその後継「未来への公共」など、自立的な個人が市民運動に結集し、柔軟で瑞々しい働き掛けの動きもある。「戦争体制」は国民が自然にそうなるわけではない。系統的組織的計画的な長年の「戦争推進」派の周到な取り組みによるものだ。国家主義的軍隊と人民的軍隊と二種類はない。日本の没個性主義下、軍隊そのものが戦争遂行集団、自衛隊も内部の差別構造や女性自衛隊員への強姦事件が隠蔽されつつ告発されている。

 戦争末期、知覧の基地から若者たちが特攻隊として飛びたっていった。自分はわずかな時差により、一足あとで敗戦を迎え、死ぬことなく戦後を迎えた。ペスタロッチ賞を受けた和光学園長丸木正臣先生は、戦後を二度と若者たちが戦場へむかって死ぬことのないよう、平和の感性を育む教育に心血を注いだ。日本教育史学会や日本教育学会などの会長を務め、同じペスタロッチ賞の中野光名誉教授も丸木正臣氏と同じ教育を、桐朋学園小学校、金沢大学、和光大学、立教大学、中央大学で実践なさった。この世代には山﨑昌甫静岡大学教授、海老原慈善東京学芸大学教授らもいて、熱心に実践なされた。丸木先生とお二人はいまは鬼籍に入られた。合掌。

このくにの民主主義のかたち

2018-02-08 09:50:49 | 
【このくにの民主主義のかたち】

             櫻井 智志




雪深い町の町議選
大都会の選挙も
国会議員選挙並みの規模で大事

しかし
反共と偏見が隅々まで伝わりやすい
過疎地や町村の自治体選挙こそ
草の根から
このくにの民主主義のかたちを決める

国政の傾きとみに激しさのなかにあって
候補も応援者も何度も何度も
有権者の胸に展望を示し東奔西走して
ついに当選をかちとる
14人中13人は政権与党の自民12人公明1人

草の根で闘い抜く
町村議選挙はかけがえのない闘いのベース
これが
重要選挙なのだ






【立山町議会議員選挙(2018年1月28日投票)】
富山県立山町富山県中新川郡にある町
面積は307.29平方キロメートル
総人口は25,961人

立山町議会議員選挙(2018年1月28日投票)得票数順
沢井 峰子公明 現
窪田 一誠自民
平井 久秋自民 新
佐藤 康弘自民 現
坂井 立朗自民 現
髪口 清隆自民
伊東 幸一自民
内山 昭自民
村田 昭自民 現
荻生 義明自民 新
岡田 健治自民 現
後藤 智文共産 現
村上 紀義自民 現
石田 孝夫自民 現
以上当選

広島 秀一自民 現
坂田 均無所属 新

2018沖縄県名護市長選開票の結果と展望

2018-02-05 09:04:18 | 政治・文化・社会評論
 櫻井智志

Ⅰ:
○渡具知 武豊 
20,389票    得票率54.6%
●稲嶺 進 推薦 
16,931票    得票率45.4%

Ⅱ:
闘いは、敗北した
けれど、続いている。
この僅差の敗北は 毎回の沖縄選挙イヤーの教訓としてうけとめ
翁長雄志県知事選勝利へ 確実な出発を始めよう


Ⅲ:
 稲嶺名護市長が敗北した。
しかし本当に敗北したのは日本国民だ。
「オール沖縄」を率いた翁長県知事のもと、国政も自治体選挙も勝利し続けた。
 けれど、本土では安倍独裁政権を倒せなかった。
沖縄は勝利し続け、報いのない現実に飽き、ついに今回の敗北に繋がった。
デマと辺野古隠しの安倍政権サイド。
 参院選、統一地方選で本土が勝利しない限り、自覚した沖縄の民意は報われない。

2018名護市長選を考え深める六つの章~沖縄県民の民意を反映しない国政~

2018-02-03 20:47:04 | 政治・文化・社会評論

                     櫻井 智志

(*「JNN-TBS報道特集」(2018/02/03)番組が小生の思考を活性化してくださったことに感謝申し上げます。)




名護市長選の結果は沖縄県の政治と国政にも大きな影響を与える。基地で米軍の事故は相次いでいる。前市議とぐち氏が、稲嶺市長の対立候補として出馬、前回の自民に加えて公明党維新の会が推薦しているとぐち候補は、沖縄の基地問題や辺野古移転から極力避けた選挙運動を進めてきた。菅官房長官、自民党幹事長、続々と政権閣僚や自民党幹部の大物たちが名護市にかけつける。三原順子や小泉進次郎らの人気者も。彼ら国会議員の応援でもゴミ箱など辺野古移転とは離れた応援演説に終始している。




政府から米軍関連の交付金を打ち切られても、稲嶺市長は名護市政の充実にうちこんできた。街頭演説会には、野党の党首や国会議員が相次いで応援。小沢一郎、志位和夫、福島瑞穂、糸数慶子、小池晃・・・壮観だ。とぐち陣営は、稲嶺市政で経済が停滞したと訴え、基地問題は語らずに、市民生活の向上には政府の援助がないと進まないと露骨に安倍政権との癒着を打ち出す。



公明党はとぐち候補支援に転換。人気政治家や自民党閣僚が次々に駆けつけた。しかし、小泉進次郎の応援は「日々の生活論争が大事」と言いつつ、辺野古移転には全く語らない。稲嶺氏は「沖縄のひとをどんな状況でも信じたい」と語った。最終日に二度目の応援にやってきた小泉進次郎は選挙必勝の切り札に使われている。小泉親子のもつ人気の様子の内実を憂える。頭はよくキレルが、進次郎人気はバブルのもの。彼が自ら切り出したものは皆無。他人の言を上手に後から雄弁で利用している。政治家でなく政治タレントだ。その政治タレントが、自民党で安倍晋三総裁をはるかに上回る大衆的人気をもっている。自民党も落ちぶれたものだ。



普天間第二小の体育授業の子どもたちにわずか数十メートルの距離に落下。普天間第2幼稚園、小学校のすぐ近くに米軍基地がある。普天間第二小の避難訓練が続く。教育長は現地にもおもむき対応を進める。保護者は登下校自体に不安を訴える。本来国際的に、軍事基地には、周囲の住民や公的施設と利用者の安全を守るために、「クリアゾーン」が設定されている。普天間飛行場には、米国で適用されるクリアゾーンと異なるクリアゾーンだ。公共施設や住宅地などまで含められている。危険な実態となっている。防衛省は「確たることをつかんでいないので、公言できない」。沖縄の基地負担とどう向かうか。首相は「辺野古への移転が実現すれば危険は格段に除去される」としか言わない、言えない。



志位和夫議員の代表質問中に、松本文明内閣府副大臣は「何人死んだか」とヤジを飛ばし、安倍首相も職務を辞任させた。名護市では「基地に賛成ではないが、生活を豊かに」「なぜ沖縄だけがこんなに基地による困難を負わせ続けられるのか」、住民は暮らしと生命の危機に苦難を負っている。とぐち候補は基地をぼかすことで、自公で圧倒しようとしている。金平キャスターは4年前よりも激烈な闘いと実感、困惑しているのは沖縄県民だけでなく、国民全員と語った。




このような国政は、安倍一強(独裁)政治に由来している。自民党は小選挙区で75%の当選。得票は48%。小選挙区制がもたらしたものを番組は追求する。政界の登竜門と言われる松下政経塾は、激変している。政治家を志望する塾生はへり、政治希望も国政から地方政治に志望変化。小選挙区が原因。1994年の「政治改革4法」で小選挙区に。利益誘導、政治とカネに対して政治改革を求める動き。小選挙区制で行われた選挙は八回。対決型選挙は政治家の質を変えた。中選挙区制下と異なり、現在のような問題状況がうまれた。政治家としてのたくましさは脆弱なものになった。公約は全て政党が用意。党内議論は低調。中選挙区制時代には、ボトルアップ型政治だったものが小選挙区制が始まってから、トップダウン政治に変わってきた。このような政治変化が、沖縄県民の民意を無視した自民党安倍晋三総裁率いる安倍自公政権の継続の元凶なのである。