オバマの広島訪問をあやうくぶち壊しそうになった安倍晋三首相の軽挙
櫻井 智志
1 オバマ演説に対する沖縄県民の声
2 オバマ広島訪問をぶち壊しかけた安倍首相の軽挙
3 オバマ演説の問題点を指摘する日本の知識人の声
1 オバマ演説に対する沖縄県民の声
沖縄では、アメリカ海兵隊員だった男によって、若い女性が無惨に殺されて遺体遺棄という事件が発生した。公式には、その
男の容疑は「遺体遺棄」のみであり、現時点では殺戮については捜査中である。けれども、今までに子どもや少女までが強姦な
どの被害を受け続けてきた。沖縄県議会は、沖縄に滞在するアメリカ海兵隊の全面撤退を求める抗議決議案を可決した。沖縄県
自民党議員さえ抗議を決議する際に、反対せず退席という消極的姿勢を示した。公明党沖縄県議団は、抗議決議賛成に廻った。
さらに、辺野古基地建設を県外や国外に移転を要求する沖縄県民の声は、無視され続けて、一方的なアメリカ軍隊と日本の警
官隊に擁護され、基地建設の強行は作業を継続されている。岩国米軍基地に立ち寄って、激励のメッセージを送ったオバマ大統
領が、広島で核廃絶の素晴らしい演説を行っても、日常的に米軍による恐怖を感じている沖縄県民には、自らの被害を救うもの
とは直接的に関わらないことを絶賛するわけもないではないか。
宜野湾市にあるアメリカ軍普天間飛行場の隣接地で、「沖縄戦の図」を常設展示している佐喜真美術館・佐喜真道夫館長(6
9才)の発言を、東京新聞5月28日朝刊は総合版はこう伝えている。
「自ら見て感じることは良いこと」
「沖縄戦でも通常兵器で一坪に1トンの砲弾が降り注ぎ、九万人もの一般市民が原形をとどめないほどの死体となって死んだ。
しかも沖縄では今も米軍基地が集中し、事件・事故の被害が続き、戦争は終わっていないといえる。この現実もぜひ自ら感じ、
直視してほしい」
佐喜真館長の情理を尽くした発言は、沖縄県民の理性として傾聴に値する。
思い起こせば、自民党沖縄県連幹事長も歴任した翁長雄志沖縄県知事は、安倍政権の安倍首相・菅官房長官との対話を要請し
てもことごとくはねつけられ、アメリカに自ら渡り、アメリカの有力者に事態説明と米軍基地の弊害などを継続的に訴え続けて
きた。
オバマ訪日でも、大統領との面会と対談を強く要請していた。日本政府は、一地方自治体が国家間の交渉に関わるべきではな
い(菅官房長官)とはねつけた。日本政府が、仲介の労をとり、オバマ・翁長会談をわずかな時間でも実現していたなら、翁長
県知事や沖縄県民ばかりか、安倍晋三総理自身にとっても、大きなプラスとなったであろうに、残念ながら、安倍総理も安倍政
権にも、そのような深謀を思い巡らす高官は誰ひとりとしていなかったのが現実であった。
オバマ大統領の広島演説が、沖縄県民の心に充足を与えなかったのは、アメリカ軍産複合体の忠実なしもべでしかない安倍晋
三氏の狭い了見がもたらした国民的損失である。安倍首相の本音には、沖縄県民が日本国民の重要な一員であることへの強烈な
差別意識が占めているのであろうか。もしもそのような沖縄への差別意識など皆無だとするなら、安倍首相は重大な過失をおか
したとしか言えない。自民党総裁でもある安倍晋三氏の部下にあたる自民党神奈川県議会議員の小島某氏は、「沖縄で騒いでい
る基地の外の人々を私は基地外の人と呼ぶことにしている」と公的に発言し、地元神奈川県横浜市青葉区を中心に神奈川県では
強い反感が湧き、日本共産党神奈川県委員長の田母神悟氏は、共産党神奈川県の公式発言として、抗議声明を表明した。
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小島県議「基地外(きちがい)」発言に抗議する
2016年5月25日
日本共産党神奈川県委員会委員長 田母神 悟
自民党の小島健一県会議員(横浜市青葉区選出)が8日、都内の集会で基地反対派にたいし「基地外(きちがい)の方」と発
言した。 これは明らかに「基地『外』」とわざわざ強調することで、基地反対派を敵視し、誹謗・中傷する発言であり、断固
としてこの暴言に抗議する。
小島議員は、沖縄県祖国復帰44周年記念の日本民族団結靖国集会に出席し、「沖縄の基地の周りには、基地に反対だとか、オ
スプレイに反対だとか、毎日のように騒いでいる人たちがいる。基地の外にいる方ということで、基地「外」(強調)の方と(
会場、大いに笑い、拍手)いうふうに呼んでいる。神奈川県でも同様で、大変苦慮している」と発言した。
この発言は、国会でも取り上げられ、中谷元防衛大臣は、24日の衆院安全保障委員会で「詳細を承知していないが、『きちが
い』という用語は一般的に好ましくなく、使用すべきでないと考える」と答弁した。
小島県議の発言は、議員としての見識と良識が問われるものであり、ただちに撤回すべきある。
また、同県議は13日のフェイスブックで日本共産党を「暴力革命を遂行中」と誹謗・中傷した。
公安調査庁が多額の税金を使い、不当な「調査活動」をおこなっているにもかかわらず、「暴力革命」の「証拠」を何一つあ
げられなかったことは周知の事実である。天下の公党である日本共産党に対して、「暴力革命」という悪質なデマ宣伝をおこな
った小島県議にきびしく抗議するものである。
以上
----------------------------------------------
もしもこのような差別意識が、地方県議でも中央政府にもあるとするなら、いかにオバマ大統領が国際的に歴史的な名演説を
おこなったとしても、沖縄県民とアメリカ政府の間に巨大な障壁がたちふさがり、それを撤去しないかぎり、問題は解決しない
。
2 オバマ広島訪問をぶち壊しかけた安倍首相の軽挙
以下はwebで見つからないので、直接に東京新聞今朝の朝刊を視写したものである。
---------------------------------------
このままでは日本が望む形の訪問はできない-。二十五日夜、激怒したホワイトハウス高官が日本側に「警告」(外交筋)を
発した。広島訪問まで二日。日米間で調整を重ねてきたスケジュールが突如揺らいだ。
発端は同日夜、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に先だって開かれた日米首脳会談後の共同記者会見だった。安倍晋三首
相は無言で立つオバマ氏を横目に、沖縄の女性遺棄事件で「断固抗議」したと繰り返し強調。十分程度の予定だった会見は五十
分に延び、テレビでも生中継された。
複数の日米関係筋によると、オバマ氏に同行するホワイトハウス高官は、安倍首相がオパマ氏を「さらし者」にしたと憤った
。この高官は官邸関係者に「怒りをぶちまけた」という。
日本政府に動揺が走り、「オバマ氏は原爆資料館訪問を見送るのでは」(政府筋)と悲観する見方も広がった。被爆者との面
会についても、外務省筋はぎりぎりまで「絶対に実現できるとは言い切れない」と不安を口にしていた。(後略)
------------------------------------------
いつも「勝者」の立場に立とう としてきた日本国内閣総理大臣、自由民主党総裁アベシンゾー。
そのためには、オリンピック招致のためのIOC国際演説でも「福島原発の汚染水は完全にブロックした」と見え透いた嘘を首
相の立場で表明し、外国首脳に唖然とした驚きをもたらした。その後、オリンピック招致のために巨額の「リサーチ料」として
数億の賄賂を送った疑いで、フランス検察が公式表明して、外国では東京大会見送りの意見まで出ていると外電は発信している
。しかしJOCの竹田会長は国会で「なんら問題ない」とはねつけた。
G7の会議そのものについては、拙稿『G7と広島訪問における日米トップの政治哲学~安倍晋三の方便とオバマのこころざ
しの相違を垣間見て~』に記したので省略する。
日米「従属奴隷的」条約にしばられている、その相手国のトップオバマ大統領を無視して、安倍晋三自身さえよければよいと
する生まれついての幼児性は、重大な場面で、軍事同盟の相手国トップを黙殺したようなことをしでかす。ケネディ駐日大使を
はじめアメリカ政府関係者と日本の政府高官たちの水面下の必死の努力によって、表面ではなにごともなかったかのように、無
事広島訪問を終えた。オバマ大統領が「おとな」とすれば、安倍首相の段階は「幼児」レベルである。
このような幼稚な首相を、日本国のトップのままにしておくならば、いまの日米同盟すら最悪の状態に悪化することも十二分
に想定しうる。
3 オバマ演説の問題点を指摘する日本の知識人の声
「しんぶん赤旗」は以下のように伝えた。
-----------------------------------
① 広島の平和公園でのオバマ米大統領のスピーチに同席した日本被団協の坪井直(すなお)、岩佐幹三(みきそう)両代表委
員と田中煕巳(てるみ)事務局長は27日夕に原爆資料館内で記者会見しました。
スピーチ後のオバマ氏に言葉を交わした坪井さんは、「これからが大事です。任期中に何回も被爆地に来ていろんな被爆者と
会って、廃絶にがんばってください」と声をかけたとしました。
岩佐さんは、「人々の心に響く演説だった」と歓迎しました。
一方で、田中さんは「一方通行で残念だった。資料館もたった15分だった。スピーチ後に短時間でも話したかった。核兵器
禁止条約のために力をつくすと言ってほしかった」と話しました。
岩佐さんは、被爆国ながら核の傘にある日本政府の姿勢について、「『二度と被爆者をつくりません』という政治に変えない
といけない」と話しました。広島と長崎に原爆が投下された8月6日と9日を「平和祈念デー」にしてほしいし、核兵器廃絶を願う
国際平和デーにしてほしい、と話しました。
田中さんは、被爆者が高齢になるなか「本当に、生きているうちに核兵器廃絶を実現したい。被爆者の国際署名を大々的にす
すめたい」と語りました。
-----------------------------
② 日本共産党の志位和夫委員長は27日、党本部で、来日中のオバマ米大統領が原爆被爆地・広島市を訪問したことについて
記者団の質問に答えました。志位氏は、「現職のアメリカ大統領が広島を初めて訪問し、平和資料館を訪れ、追悼の献花を行
、追悼のスピーチを行って、被爆者の方々と言葉を交わしたことは、前向きの歴史的な一歩となる行動だったと思っています」
と述べました。
その上で志位氏は、「この前向きの一歩を『核兵器のない世界』の実現につなげるうえでは、核兵器の非人道性を正面から直
視し、核兵器禁止条約の国際交渉を開始するという具体的な行動を行う必要があります。それを私たちは強く求めていきたいと
思います」と強調。「そのためには、米国のこれまでの核兵器政策の転換が必要になってきます」と表明しました。
記者団から、オバマ氏から原爆投下についての謝罪がなかったことについての感想を問われた志位氏は、「多くの被爆者の方
々が謝罪を求めていたことは、当然の声だと私は思っています。ただ、『核兵器のない世界』への決意を実現するための具体的
行動を起こすことが一番肝心な点になってきます」との考えを示しました。
---------------------------------------------
毎日新聞は元広島市長の発言を伝えた。
-----------------------------
元広島市長の平岡敬氏(88)に聞く
オバマ大統領は再び「核兵器のない世界」に言及したが、手放しで喜んではいけない。米国が「原爆投下は正しかった」とい
う姿勢を崩していないからだ。原爆投下を正当化する限り、「核兵器をまた使ってもいい」となりかねない。私たちは広島の原
爆慰霊碑の前で「過ちは繰り返しませぬ」と誓ってきた。原爆を使った過ちを認めないのなら、何をしに広島に来たのかと言い
たい。
----------------------------------
朝日新聞は、核軍縮議連で今回裏方でつとめた岸田外相の発言を伝えた。
-------------------------------
■岸田文雄・外相
核軍縮に向けた国際的な機運がしぼんでいると言われている中にあって、今回の(オバマ米大統領の広島)訪問は、唯一の核
兵器使用国と戦争被爆国の首脳が、核兵器のない世界に向け力強いメッセージを発信した。しぼんだ機運を再び盛り返す、まさ
に反転攻勢に転ずるきっかけになったものと考えています。
この訪問がゴールではありません。これから核兵器のない世界に向けて、政治家の立場から、具体的に、現実的で実践的な取
り組みを進めていかなければならないと思います。
「是非一緒に、取り組みましょう」という、(オバマ大統領と言葉を交わした被爆者の)91歳の坪井(直)さんから力強い
言葉がありました。我々も是非、一緒にがんばらなければいけない、強く思います。(27日、広島市で記者団に)
---------------------------
これらを読むと、オバマ演説を評価する一方、現実の核兵器の現状と核廃絶の運動の前進を願う願いが伝わってくる。私は、
オバマ大統領が退陣した八ヶ月後にアメリカの新しく大統領選に懸念をもつ。
政治家とは言えぬようなトランプも、アメリカ軍産複合体と密接なヒラリー・クリントンのどちらも、オバマほどの見識も核
時代の政治的信念も持っていない。
さらに、日本の安倍政権は、まもなく退陣せざるを得ないような段階を迎えよう。そして自公与党には、日本の政治をリード
しうるような政治家はいるのだろうか。
安倍政権、自公政権の打倒とそれに対して、広島・長崎・福島・沖縄の県民のこころと寄り添って日本を再建しうる具体的見
解と建設とが、オバマ大統領がのこした広島演説に対応する日本国民のいまの課題と考える。
櫻井 智志
1 オバマ演説に対する沖縄県民の声
2 オバマ広島訪問をぶち壊しかけた安倍首相の軽挙
3 オバマ演説の問題点を指摘する日本の知識人の声
1 オバマ演説に対する沖縄県民の声
沖縄では、アメリカ海兵隊員だった男によって、若い女性が無惨に殺されて遺体遺棄という事件が発生した。公式には、その
男の容疑は「遺体遺棄」のみであり、現時点では殺戮については捜査中である。けれども、今までに子どもや少女までが強姦な
どの被害を受け続けてきた。沖縄県議会は、沖縄に滞在するアメリカ海兵隊の全面撤退を求める抗議決議案を可決した。沖縄県
自民党議員さえ抗議を決議する際に、反対せず退席という消極的姿勢を示した。公明党沖縄県議団は、抗議決議賛成に廻った。
さらに、辺野古基地建設を県外や国外に移転を要求する沖縄県民の声は、無視され続けて、一方的なアメリカ軍隊と日本の警
官隊に擁護され、基地建設の強行は作業を継続されている。岩国米軍基地に立ち寄って、激励のメッセージを送ったオバマ大統
領が、広島で核廃絶の素晴らしい演説を行っても、日常的に米軍による恐怖を感じている沖縄県民には、自らの被害を救うもの
とは直接的に関わらないことを絶賛するわけもないではないか。
宜野湾市にあるアメリカ軍普天間飛行場の隣接地で、「沖縄戦の図」を常設展示している佐喜真美術館・佐喜真道夫館長(6
9才)の発言を、東京新聞5月28日朝刊は総合版はこう伝えている。
「自ら見て感じることは良いこと」
「沖縄戦でも通常兵器で一坪に1トンの砲弾が降り注ぎ、九万人もの一般市民が原形をとどめないほどの死体となって死んだ。
しかも沖縄では今も米軍基地が集中し、事件・事故の被害が続き、戦争は終わっていないといえる。この現実もぜひ自ら感じ、
直視してほしい」
佐喜真館長の情理を尽くした発言は、沖縄県民の理性として傾聴に値する。
思い起こせば、自民党沖縄県連幹事長も歴任した翁長雄志沖縄県知事は、安倍政権の安倍首相・菅官房長官との対話を要請し
てもことごとくはねつけられ、アメリカに自ら渡り、アメリカの有力者に事態説明と米軍基地の弊害などを継続的に訴え続けて
きた。
オバマ訪日でも、大統領との面会と対談を強く要請していた。日本政府は、一地方自治体が国家間の交渉に関わるべきではな
い(菅官房長官)とはねつけた。日本政府が、仲介の労をとり、オバマ・翁長会談をわずかな時間でも実現していたなら、翁長
県知事や沖縄県民ばかりか、安倍晋三総理自身にとっても、大きなプラスとなったであろうに、残念ながら、安倍総理も安倍政
権にも、そのような深謀を思い巡らす高官は誰ひとりとしていなかったのが現実であった。
オバマ大統領の広島演説が、沖縄県民の心に充足を与えなかったのは、アメリカ軍産複合体の忠実なしもべでしかない安倍晋
三氏の狭い了見がもたらした国民的損失である。安倍首相の本音には、沖縄県民が日本国民の重要な一員であることへの強烈な
差別意識が占めているのであろうか。もしもそのような沖縄への差別意識など皆無だとするなら、安倍首相は重大な過失をおか
したとしか言えない。自民党総裁でもある安倍晋三氏の部下にあたる自民党神奈川県議会議員の小島某氏は、「沖縄で騒いでい
る基地の外の人々を私は基地外の人と呼ぶことにしている」と公的に発言し、地元神奈川県横浜市青葉区を中心に神奈川県では
強い反感が湧き、日本共産党神奈川県委員長の田母神悟氏は、共産党神奈川県の公式発言として、抗議声明を表明した。
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小島県議「基地外(きちがい)」発言に抗議する
2016年5月25日
日本共産党神奈川県委員会委員長 田母神 悟
自民党の小島健一県会議員(横浜市青葉区選出)が8日、都内の集会で基地反対派にたいし「基地外(きちがい)の方」と発
言した。 これは明らかに「基地『外』」とわざわざ強調することで、基地反対派を敵視し、誹謗・中傷する発言であり、断固
としてこの暴言に抗議する。
小島議員は、沖縄県祖国復帰44周年記念の日本民族団結靖国集会に出席し、「沖縄の基地の周りには、基地に反対だとか、オ
スプレイに反対だとか、毎日のように騒いでいる人たちがいる。基地の外にいる方ということで、基地「外」(強調)の方と(
会場、大いに笑い、拍手)いうふうに呼んでいる。神奈川県でも同様で、大変苦慮している」と発言した。
この発言は、国会でも取り上げられ、中谷元防衛大臣は、24日の衆院安全保障委員会で「詳細を承知していないが、『きちが
い』という用語は一般的に好ましくなく、使用すべきでないと考える」と答弁した。
小島県議の発言は、議員としての見識と良識が問われるものであり、ただちに撤回すべきある。
また、同県議は13日のフェイスブックで日本共産党を「暴力革命を遂行中」と誹謗・中傷した。
公安調査庁が多額の税金を使い、不当な「調査活動」をおこなっているにもかかわらず、「暴力革命」の「証拠」を何一つあ
げられなかったことは周知の事実である。天下の公党である日本共産党に対して、「暴力革命」という悪質なデマ宣伝をおこな
った小島県議にきびしく抗議するものである。
以上
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もしもこのような差別意識が、地方県議でも中央政府にもあるとするなら、いかにオバマ大統領が国際的に歴史的な名演説を
おこなったとしても、沖縄県民とアメリカ政府の間に巨大な障壁がたちふさがり、それを撤去しないかぎり、問題は解決しない
。
2 オバマ広島訪問をぶち壊しかけた安倍首相の軽挙
以下はwebで見つからないので、直接に東京新聞今朝の朝刊を視写したものである。
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このままでは日本が望む形の訪問はできない-。二十五日夜、激怒したホワイトハウス高官が日本側に「警告」(外交筋)を
発した。広島訪問まで二日。日米間で調整を重ねてきたスケジュールが突如揺らいだ。
発端は同日夜、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に先だって開かれた日米首脳会談後の共同記者会見だった。安倍晋三首
相は無言で立つオバマ氏を横目に、沖縄の女性遺棄事件で「断固抗議」したと繰り返し強調。十分程度の予定だった会見は五十
分に延び、テレビでも生中継された。
複数の日米関係筋によると、オバマ氏に同行するホワイトハウス高官は、安倍首相がオパマ氏を「さらし者」にしたと憤った
。この高官は官邸関係者に「怒りをぶちまけた」という。
日本政府に動揺が走り、「オバマ氏は原爆資料館訪問を見送るのでは」(政府筋)と悲観する見方も広がった。被爆者との面
会についても、外務省筋はぎりぎりまで「絶対に実現できるとは言い切れない」と不安を口にしていた。(後略)
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いつも「勝者」の立場に立とう としてきた日本国内閣総理大臣、自由民主党総裁アベシンゾー。
そのためには、オリンピック招致のためのIOC国際演説でも「福島原発の汚染水は完全にブロックした」と見え透いた嘘を首
相の立場で表明し、外国首脳に唖然とした驚きをもたらした。その後、オリンピック招致のために巨額の「リサーチ料」として
数億の賄賂を送った疑いで、フランス検察が公式表明して、外国では東京大会見送りの意見まで出ていると外電は発信している
。しかしJOCの竹田会長は国会で「なんら問題ない」とはねつけた。
G7の会議そのものについては、拙稿『G7と広島訪問における日米トップの政治哲学~安倍晋三の方便とオバマのこころざ
しの相違を垣間見て~』に記したので省略する。
日米「従属奴隷的」条約にしばられている、その相手国のトップオバマ大統領を無視して、安倍晋三自身さえよければよいと
する生まれついての幼児性は、重大な場面で、軍事同盟の相手国トップを黙殺したようなことをしでかす。ケネディ駐日大使を
はじめアメリカ政府関係者と日本の政府高官たちの水面下の必死の努力によって、表面ではなにごともなかったかのように、無
事広島訪問を終えた。オバマ大統領が「おとな」とすれば、安倍首相の段階は「幼児」レベルである。
このような幼稚な首相を、日本国のトップのままにしておくならば、いまの日米同盟すら最悪の状態に悪化することも十二分
に想定しうる。
3 オバマ演説の問題点を指摘する日本の知識人の声
「しんぶん赤旗」は以下のように伝えた。
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① 広島の平和公園でのオバマ米大統領のスピーチに同席した日本被団協の坪井直(すなお)、岩佐幹三(みきそう)両代表委
員と田中煕巳(てるみ)事務局長は27日夕に原爆資料館内で記者会見しました。
スピーチ後のオバマ氏に言葉を交わした坪井さんは、「これからが大事です。任期中に何回も被爆地に来ていろんな被爆者と
会って、廃絶にがんばってください」と声をかけたとしました。
岩佐さんは、「人々の心に響く演説だった」と歓迎しました。
一方で、田中さんは「一方通行で残念だった。資料館もたった15分だった。スピーチ後に短時間でも話したかった。核兵器
禁止条約のために力をつくすと言ってほしかった」と話しました。
岩佐さんは、被爆国ながら核の傘にある日本政府の姿勢について、「『二度と被爆者をつくりません』という政治に変えない
といけない」と話しました。広島と長崎に原爆が投下された8月6日と9日を「平和祈念デー」にしてほしいし、核兵器廃絶を願う
国際平和デーにしてほしい、と話しました。
田中さんは、被爆者が高齢になるなか「本当に、生きているうちに核兵器廃絶を実現したい。被爆者の国際署名を大々的にす
すめたい」と語りました。
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② 日本共産党の志位和夫委員長は27日、党本部で、来日中のオバマ米大統領が原爆被爆地・広島市を訪問したことについて
記者団の質問に答えました。志位氏は、「現職のアメリカ大統領が広島を初めて訪問し、平和資料館を訪れ、追悼の献花を行
、追悼のスピーチを行って、被爆者の方々と言葉を交わしたことは、前向きの歴史的な一歩となる行動だったと思っています」
と述べました。
その上で志位氏は、「この前向きの一歩を『核兵器のない世界』の実現につなげるうえでは、核兵器の非人道性を正面から直
視し、核兵器禁止条約の国際交渉を開始するという具体的な行動を行う必要があります。それを私たちは強く求めていきたいと
思います」と強調。「そのためには、米国のこれまでの核兵器政策の転換が必要になってきます」と表明しました。
記者団から、オバマ氏から原爆投下についての謝罪がなかったことについての感想を問われた志位氏は、「多くの被爆者の方
々が謝罪を求めていたことは、当然の声だと私は思っています。ただ、『核兵器のない世界』への決意を実現するための具体的
行動を起こすことが一番肝心な点になってきます」との考えを示しました。
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毎日新聞は元広島市長の発言を伝えた。
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元広島市長の平岡敬氏(88)に聞く
オバマ大統領は再び「核兵器のない世界」に言及したが、手放しで喜んではいけない。米国が「原爆投下は正しかった」とい
う姿勢を崩していないからだ。原爆投下を正当化する限り、「核兵器をまた使ってもいい」となりかねない。私たちは広島の原
爆慰霊碑の前で「過ちは繰り返しませぬ」と誓ってきた。原爆を使った過ちを認めないのなら、何をしに広島に来たのかと言い
たい。
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朝日新聞は、核軍縮議連で今回裏方でつとめた岸田外相の発言を伝えた。
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■岸田文雄・外相
核軍縮に向けた国際的な機運がしぼんでいると言われている中にあって、今回の(オバマ米大統領の広島)訪問は、唯一の核
兵器使用国と戦争被爆国の首脳が、核兵器のない世界に向け力強いメッセージを発信した。しぼんだ機運を再び盛り返す、まさ
に反転攻勢に転ずるきっかけになったものと考えています。
この訪問がゴールではありません。これから核兵器のない世界に向けて、政治家の立場から、具体的に、現実的で実践的な取
り組みを進めていかなければならないと思います。
「是非一緒に、取り組みましょう」という、(オバマ大統領と言葉を交わした被爆者の)91歳の坪井(直)さんから力強い
言葉がありました。我々も是非、一緒にがんばらなければいけない、強く思います。(27日、広島市で記者団に)
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これらを読むと、オバマ演説を評価する一方、現実の核兵器の現状と核廃絶の運動の前進を願う願いが伝わってくる。私は、
オバマ大統領が退陣した八ヶ月後にアメリカの新しく大統領選に懸念をもつ。
政治家とは言えぬようなトランプも、アメリカ軍産複合体と密接なヒラリー・クリントンのどちらも、オバマほどの見識も核
時代の政治的信念も持っていない。
さらに、日本の安倍政権は、まもなく退陣せざるを得ないような段階を迎えよう。そして自公与党には、日本の政治をリード
しうるような政治家はいるのだろうか。
安倍政権、自公政権の打倒とそれに対して、広島・長崎・福島・沖縄の県民のこころと寄り添って日本を再建しうる具体的見
解と建設とが、オバマ大統領がのこした広島演説に対応する日本国民のいまの課題と考える。