【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

高致死率ウイルス初輸入へ 今夏にもエボラなど 感染研「了承」【転載と私見】

2019-05-31 20:07:58 | 転載と私見
2019年5月31日 東京新聞転載

・Ⅰ:東京新聞 高致死率ウイルス初輸入へ 今夏にもエボラなど 感染研「了承」(2019年5月31日 朝刊)

・Ⅱ:良心的科学者に見る感染研の未来     櫻井智志





Ⅰ:転載記事

写真:
学校や住宅地に隣接する国立感染症研究所村山庁舎=30日、東京都武蔵村山市で


 致死率の高い病原体を扱う施設の安全性を不安視する声は少なくない。実際、海外のBSL4施設では、危険なウイルスを使った実験で誤って感染した研究者が死亡する事故が起きている。三十日に同研究所村山庁舎で開かれた地元自治会などとの協議会でも、住民から「安全性に百パーセントの確証を持てない」と反対する意見も上がった。

 感染研が二〇一五年に公表した資料によると、〇四年にロシアの研究者がエボラウイルス感染のモルモットから採血する際に針刺し事故で感染し、死亡。〇九年にもドイツで針刺し事故があった。BSL4施設の整備を目指している長崎大によると、過去に少なくとも四カ国で六件の針刺し事故が確認されている。厚労省側は「これらは外部への漏えいに至っていない」と強調する。

 だが、感染研の元主任研究官で市民団体「バイオハザード予防市民センター」共同代表の新井秀雄さん(77)は「海外では誤って感染した人を施設内で治療する所が多い。日本のBSL4施設で事故があったら病院へ搬送することになっている。(海外で漏えいがないとしても)単純に参考にできない」と話す。

 この日の協議会を傍聴した地元の田中千恵さん(73)は、施設が特別支援学校や小学校に隣接し、住宅にも囲まれている点を不安視する。「事故が起きたら真っ先に危険にさらされるのは子どもたちではないか。それが一番心配」と話した。

 施設を巡っては、地元住民が将来的な移転を求めてきた経緯がある。協議会で「施設の移転が担保されていない状況で、輸入には賛成できない」と反対した雷塚自治会事務局長の須藤博さん(72)は終了後、報道陣の取材に「今日は報告を受けただけ。日本の技術革新は必要だが、住民の不安が起きないような場所でやるべきだ」と改めて早期移転を訴えた。


 国立感染症研究所は三十日、致死率の高いエボラ出血熱などを引き起こすウイルスを、国内に初めて輸入する方針を決めた。来年の東京五輪・パラリンピックを踏まえ、多様な国の人が集まり感染症が持ち込まれる可能性に対処するためという。ウイルスが運ばれる予定の東京都武蔵村山市の同研究所村山庁舎で同日行われた住民への地元説明会で、一部反対意見があったが、おおむね了承されたとしている。早ければ今夏にも輸入する方針。 (井上靖史、服部展和)

 同研究所には、二〇一五年に国内で唯一、致死率が最も高い感染症ウイルスを扱うことが許された「バイオセーフティーレベル(BSL)4」施設がある。病原体を輸入したり、所持するには厚生労働相の指定が必要なため、今後、感染症法に基づき、輸入と譲渡の指定を受ける手続きが進められる。

 輸入するのは、エボラ出血熱と南米出血熱、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病の原因ウイルス。いずれも国内に存在しないウイルスで、国内での感染症の報告例も一九八七年にあったラッサ熱の一例しかない。これまで計画的に輸入した例もないという。

 感染研によると、ウイルスは感染が疑われる患者の検査などに役立てる。昨年十一月に初めて方針を表明し、住民への説明会や見学会を重ねてきた。人為的ミスや災害による外部漏えいへの懸念について、感染研の脇田隆字所長は「安全対策、災害事故対策、避難対策を一層進め、情報開示にも努めたい」と述べた。



Ⅱ:私見

良心的科学者に見る感染研の未来  櫻井智志

 東京新聞記事の一節にこうある。
『、感染研の元主任研究官で市民団体「バイオハザード予防市民センター」共同代表の新井秀雄さん(77)は「海外では誤って感染した人を施設内で治療する所が多い。日本のBSL4施設で事故があったら病院へ搬送することになっている。(海外で漏えいがないとしても)単純に参考にできない」と話す。』

 新井秀雄氏は感染研の主任研究官だった。その新井さんが「自らの信条に嘘はつけません。」と言い切る。国家公務員で厚生省の国立感染症研究官として研究にずっと取り組んできた。定年まで3年。敬虔なクリスチャンでもある新井秀雄志氏は、新宿のど真ん中で大量に細菌やウイルスを扱う日本最大の病原体実験施設の危険性を内部から毅然と告発する。

 その経緯は新井秀雄著『科学者として』2000年11月に幻冬舎から出版されている。さらに映画『科学者として』(監督本田孝義氏)が東京のBOX東中野や大阪のシネ・ヌーヴオなどで同じ頃に全国上映された。
 最近、様々な伝染性の強い疾病が流行している。その危険性を十分に理解した市民たちが、科学者、住民たちとともに、住民への安全性を尊重しない感染研の実験強行の差し止めを要求する裁判闘争にたちあがった。東京地裁から、高裁、最高裁まで争われ、裁判は住民側の敗訴に終わった。
 だがこの裁判は広く日本の内外に問題の重大性を喚起した。原告団団長の芝田進午氏は地裁判決の年に、判決の直前に胆管がんでご逝去された。

 これらを背景に、この東京都東村山市の感染研村山庁舎へのウイルス初輸入の大問題が位置している。



 

【転載】「地球平和憲章」広がれ 9条反映 市民団体が草案  非戦・非武装・非核・非暴力を追求【続編】

2019-05-30 20:29:50 | 転載
2019年5月30日東京新聞 夕刊

東京新聞写真:「地球平和憲章」草案のポイント

<国連憲章> 第2次世界大戦直後の1945年10月に発足した国連の基本事項を定めた条約で、前文と111条で構成。国連の目的や原則、総会や安全保障理事会の構成や任務、権限などを定める。平和的手段による紛争解決を掲げるが、安保理が平和への脅威や侵略行為を認めた場合、武力行使を含む強制措置を取ることができる。ある国が武力攻撃を受けた際、密接な関係にある国が反撃する集団的自衛権の行使も容認する。憲章改正には安保理常任理事国5カ国が拒否権を持つ。

【転載】「地球平和憲章」広がれ  9条反映 市民団体が草案  非戦・非武装・非核・非暴力を追求

2019-05-30 20:26:23 | 転載
2019年5月30日東京新聞 夕刊


 戦争放棄や戦力不保持をうたう憲法九条の理念を、世界に発信する市民グループ「9条地球憲章の会」が、九条の理念を反映させた「地球平和憲章」の草案をまとめた。「非戦、非武装、非核、非暴力」という理念に基づき、各国の軍隊を人道的な組織に再編することなどが柱。各国の市民にも同様の憲章づくりを呼び掛け、ゆくゆくは九条の理念に沿った国連憲章改正も夢に描いている。 (安藤美由紀)

写真:「地球平和憲章」草案について、パネルディスカッションする堀尾輝久東大名誉教授(左)ら=19日、東京都千代田区で(中西祥子撮影)


 同会は、憲法施行から七十年となる二〇一七年の三月、平和教育を専門とする堀尾輝久・東大名誉教授ら国内外の有識者、市民が発足させた。世界から戦争をなくすための憲章を、九条をモデルに、市民の手でつくることを目指した。日本を含む十七カ国の千人超が賛同者に名を連ねる。

 シンポジウムを開催するなど、国内外の有識者や市民から意見を聴き、二年以上をかけてまとめた草案はA4判、十九ページ。世界から戦争をなくすことは「人類最大の夢」とし、「あらゆる戦争を放棄し、あらゆる戦力も持たない九条は徹底的平和主義に立脚する」と高く評価している。

 内戦や対テロを含むすべての戦争を「絶対悪」と定義。「軍隊廃止は、あらゆる名目の戦争を防止する上で最良の方策」とした上で、各国の軍隊から「軍事的な部分」をなくし、災害支援や復興支援のための組織とするよう求める。他国を武力で守る集団的自衛権は認めないとした。

 人類は、核兵器や原発とは共存できないとも強調。非暴力で物事を解決する日本国憲法の思想を発展させるよう訴えている。

 先に東京都内で開いた総会で寄せられた意見に基づいて草案を修正し、同会の地球平和憲章として完成させる。英語などに翻訳し、ホームページに掲載する予定だ。

 堀尾さんらは、各国の賛同者にも、九条の理念を反映した地球平和憲章をつくってもらいたい考え。世界共通版の憲章もまとめた上で、各国の市民がそれぞれの政府に働き掛けて国連での採択を目指すことや、国連憲章の改正につなげることも期待する。現行の国連憲章は武力の保持や、集団的自衛権を認めている。

 堀尾さんは「九条は私たちの誓いであり、世界にとっても宝。各国の市民が学び合い、この精神を生かした憲章をまとめてほしい」と話している。(続く)

【日本歳時記2019.5.25『絶望の中の超大国アメリカの落陽』】~TBS報道特集~   櫻井 智志

2019-05-25 21:01:53 | 政治・文化・社会評論



トランプ大統領は「貿易と軍事」が議題とツイッターで明確に公言している。日本国民は「沖縄基地撤去と経済政策の公正化」だ。安倍首相は「アメリカ大統領の言うがまま」だろう。日本が国際社会から嗤われものとならぬよう、安易な放言はやめていただきたい。売国政治は日本沈没にしか導かない。トランプには当選するだけの支持者も多くいる。だが、数の次元ではなく、大統領としての、政治家としてのアメリカ国家を統治する品格と見識はどうだろうか。あまりに低劣、あまりに低俗自己実利本位だ。国賓として招かれ、「貿易はもっとフェアに」と呼びかけた。ソフトバンクの孫社長やトヨタ自動車の豊田社長に儀礼の挨拶を送っても二言目は商談の呼びかけだ。「貿易と軍事だ」と言いつつ、今回は新天皇即位のお祝と述べ、すぐに経済・貿易に戻る。トランプにとって言語は、駆け引きの記号でしかなく、論理的一貫性も言語的コミュニケーションの信義も希薄だ。

a

明日のゴルフは猛暑の中。たっぷり猛暑を体験して米日トップが拒否している地球温暖化協定が、いかに緊急を要するか、感じ取っていただきたい。ゴルフ中に地震が起きれば,こんな狭い領土に原発がひしめいて放射能も核燃料ごみも破滅的であることを想像していただきたい。


B

警戒レベルの綿密化は良いことだ。これは災害発生時以降の情報。私は
❶地域工学・都市工学の環境サイドから現在の日本の国土がどうなっているか解明
❷問題改善の学問的検討
❸自治体や政府の防災対策実施。
この3つの側面からの根本的対応が必要と考える。災害を社会性から把握する。


C

古代エジプト王朝に迫害された民族をモーゼが先導し避難した。「モーゼの十戒」の頃だ。おいかけるエジプト軍をとどめるモーゼの奇蹟。現代南米からの民族移動と同じではないが。
芥川龍之の短編介『蜘蛛の糸』も似た印象をもつ。極楽から血の池におろされた一本の糸。犍陀多が糸が切ると自らも真っ逆様に。釈迦は哀しそうに見つめ立ち去る。


気づいたらこんな惨状 「令和」を覆う安倍・菅ファシズム(後半) 自由は突然、失われるのではなく、徐々に蝕まれる

2019-05-25 00:50:40 | 転載
日刊ゲンダイ巻頭特集 2019/05/24 17:0(木)

写真:暴走を止めよ(C)日刊ゲンダイ

 戦国時代、自分の力を全国の諸大名に誇示するため、朝廷の権威を最大限に政治利用したのが豊臣秀吉だった。忠誠を誓う者は重用し、歯向かう者は武力でねじ伏せる。後世に名を残した秀吉と人物の差は歴然としているとはいえ、安倍の政治手法もソックリだ。



「政治主導」の名のもと、内閣人事局を通じて幹部職員を牛耳り、霞が関をドーカツ。反発する官僚を次々とパージした結果、役所内はヒラメ役人の「忖度」が横行。モリカケ疑惑や統計不正問題で指摘された隠蔽、改ざん、捏造が当たり前の腐った組織に成り下がった。そうやって霞が関を屈服させた独裁権力の「刃」が向かった先は地方自治体。米軍普天間基地の名護市辺野古沖の移設工事に反対する沖縄県イジメは相変わらずだが、今、何が何でも血祭りに上げてやる、という政権の執念が透けて見える相手が大阪・泉佐野市だ。

 ふるさと納税の過度な返礼品が制度の趣旨にそぐわないとして、総務省は6月から、同市や静岡・小山町など4市町を、ふるさと納税による税控除の対象外にしたが、20日付の朝日新聞は舞台裏をこう報じていた。

〈ふるさと納税は、菅義偉官房長官が第1次安倍政権の総務相時代に提唱。(略)肝いりの政策だ〉〈菅さんの顔を潰すわけにはいかない〉



 制度設計にも問題があったのに、総務省は菅に「忖度」。政権に公然と歯向かう泉佐野市が許せないのだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

「今の官僚、行政組織は、公平公正も何もない。政権の顔色をひたすらうかがっているだけ。それがすっかり身についてしまった。選挙に勝つためなら何でも利用する『なりふり構わずファシズム』に役人が尻尾を振っている。異常な状況です」

■官僚と同様に忖度合戦している大新聞・テレビ

 もはや安倍・菅による「令和ファシズム」は霞が関だけではなくなりつつある。神奈川県の黒岩知事が自民党県連の集会で菅を「令和おじさん」と呼び、県連が黒岩に抗議文を出すという「言論封殺」ともいえる手法でひれ伏させた一件もその例だ。本来であればメディアがファシスト政権の暴走にストップをかける役割を担っているはずだが、大新聞・テレビは総じてベッタリ感はぬぐえない。とくに酷いのがNHKだ。

 新元号が公表された4月1日、安倍はNHKや民放をハシゴしたが、NHKでは夜の報道番組に冒頭から出演。令和に込めた気持ちを政策と絡めて視聴者に思い切り訴えかけていた。そうしたら、安倍政権に近しいとされるNHKエンタープライズ社長の板野裕爾氏が、NHK本体の専務理事に返り咲く役員人事が発表されたからアングリだ。


 芥川賞作家の中村文則氏は4日付の毎日新聞コラム〈書斎のつぶやき〉で、〈政権守る忠犬たち〉と題してこう書いていた。

〈政権は権力であり、そんな権力に対しては、基本的にマスコミは厳しい目を向けるのが少し前までは当然だった。でも今は及び腰で、一部の報道番組やワイドショーのスタッフ、新聞記者や文化人などには、政権を過度に擁護し続ける存在までいるようだ〉

〈なぜこうなってしまったのか。元々こびへつらうのが好きな人もいれば、マスコミの意義も捨て忖度(そんたく)しているみっともない人、政権をひたすら擁護することで、強者側に立つ快楽に酔っている人もいるだろう〉

 民主主義国家を装う安倍政権の忠犬と化し、その悪行に加担している大新聞・テレビを痛烈に皮肉る内容だったが、まさに正鵠を射ていた。ジャーナリストの横田一氏がこう言う。

「官僚組織と同様、大手メディア記者も『政権に嫌われたくない』『ネタが欲しい』『いい思いがしたい』と考えて忖度合戦している。アベノミクスの失敗など政権の問題点を指摘すればキリがない。しかし、報道は令和バンザイ一色なのだから、どうしようもありません」

 宮沢喜一元首相は、著書で〈われわれは将来に向かって自由の制限につながるかもしれないどんな兆候に対しても、厳しく管理する必要があります〉〈自由はある日突然、なくなるものではない。徐々に蝕まれ、気づいたときにはすべてが失われている〉と書いていたが、手遅れにならないよう、今こそ、この言葉を噛みしめるべきだ。

反ファシズム国民連合声明と転載【気づいたらこんな惨状 「令和」を覆う安倍・菅ファシズム】前半

2019-05-25 00:37:05 | 声明・転載記事


櫻井智志@反ファシズム国民連合@satoshitoday

【声明】2019.5.25

米日の国家国民間の平和や友好と
真逆なトランプと安倍晋三のゴルフ例会に
日本国あげての厳戒態勢で選挙めあてのお遊びを国賓とは。

安倍亡国外交と
軍拡経済自国主義路線のトランプにに
私達は、「No!」と意思を表明します。

反ファシズム国民連合



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日刊ゲ4ンダイ巻頭特集

気づいたらこんな惨状 「令和」を覆う安倍・菅ファシズム(前半)
2019/05/24 17:0(木)


写真:令和ファシズムタッグ(C)日刊ゲンダイ

〈安倍政権の国粋主義を象徴〉――。新元号「令和」が公表された際、こう報じた欧米メディアは少なくなかったが、戦前回帰の不穏なファシズムの空気が日本社会全体を覆い始めているのは間違いない。令和に入り、安倍政権による権力の暴走、乱用の兆候が随所に表れ始めているからだ。とりわけ、際立つのが「天皇の政治利用」だ。

 例えば、10月22日に行われる天皇即位を披露する「祝賀御列の儀」のパレード。オープンカーに乗った天皇・皇后が、皇居宮殿から赤坂御所までの4.6キロを30分間かけて進行するのだが、驚いたのは公表されたコースだ。普通に考えれば皇居から国道246号をそのまま進めばいいのに、なぜか自民党本部前を通るからだ。コースを決めたのは21日に開かれた政府の式典委員会だが、委員長を安倍首相が務め、一部報道では事前に決まっていたコースを同委が「変更」したというのだ。

〈天皇陛下の政治利用極まれりだ。なぜ宮内庁は黙っているのか〉
 式典コースについて、鳩山由紀夫元首相はツイッターで、こう疑問を呈していたが、ただでさえ、安倍政権は天皇に対する首相の国政報告「内奏」の写真を異例の即日公表し、野党から「天皇の政治利用」と批判を浴びている最中だ。その指摘を真摯に受け止めて反省するどころか、何ら悪びれる様子もなく、さらに「政治利用」のアクセルを踏み込んでいるのだから何をかいわんやだ。



■安倍政権の令和ファシズムは戦前より酷い

 安倍政権の政治利用のエピソードは、これだけじゃない。朝日新聞の高橋純子編集委員は、22日付のコラム〈多事奏論〉で、安倍が25日に国賓として来日するトランプ米大統領に対し、「新天皇即位(の行事)はスーパーボウルの100倍」などと語ったとされる報道を取り上げ、こう書いていた。


〈私は別に天皇を信奉する者ではないが、この報に触れた時はギョッとした。天皇に「値札」をつけない、政治的に利用しないことは、天皇を「国民統合の象徴」と位置付ける憲法を持つ国の、政治家の、最低限のルールだと考えるからである〉

 その最低限のルールすら平気の平左で踏みにじっているのが安倍であり、高橋編集委員はその言動に違和感や嫌悪感を覚え、批判的な視点で論じているのだが、そもそも新元号公表時にわざわざ首相会見を開き、政策や理念を主張したこと自体が天皇の政治利用以外の何ものでもない。それがどんどんエスカレートし、自身が改元の「主役」のように錯覚しているのだ。

 元参院議員の平野貞夫氏は「戦前、戦中でも、ここまで露骨な天皇の政治利用は見られなかった」と言い、こう続ける。

「戦前の日本でファシズム化が進むきっかけとなった満州事変は、明治憲法に違反した旧陸軍の内乱行為、いわゆる天皇の統帥権の干犯が引き金ですが、今の安倍政権も旧陸軍のように憲法の基本秩序を壊乱している。そうして旧陸軍と同様、自分たちのファシズムに天皇を引き込もうとしているとしか思えません。令和ファシズムというのか、こういった形の権力の暴走をこのまま許していると民主主義は間違いなく崩壊します」(続く)





新たな戦前に抗する羅針盤

2019-05-19 17:23:05 | 転載と私見
【新聞視写】池内了著『代替わり狂騒曲 天皇の政治利用に注意』全文と私見
櫻井 智志

Ⅰ: 序
左翼政党も左派知識人も深く言明していない領域を科学者が勇気をもって表明した。
池内了さんの『代替わり天皇の政治利用に注意』だ。だが新聞記事はネット上の電子版には無い。1960年是前後からどの新聞社も新聞購読の利益を企業広告の収益金額が上回る。巨大資本が広告を拒否したら、新聞社の経営は危うくなるのが現状だ。ネット掲載に危険があり新聞社が警戒するのは当然だ。読者が背景を読みこむべきだろう。読者が新聞社と記者の健闘を受け止め、自らを受け手であると共に送り手として自覚するべき刻だ。


Ⅱ:【池内了氏『代替わり狂騒曲 天皇の政治利用に注意』】転載

 私は従来、このコラムでは社会的な事象で評論することを避け、専門の科学・技術に関わる地味だが重要な問題を論じるようにしてきた。しかし新元号の発表以来、この一か月余り続いてきた天皇の代替わり行事に絡む一言感想を記しておかねばならないと思って筆を執った次第である。

 「天皇制の歴史は、天皇の利用者の歴史」とは林達夫が『反語的精神』の中で述べた言葉だが、天皇が「現人神」から「日本国の象徴であり日本国民統合の総意に基く」(以上、日本国憲法第一条)となっても、やはり本質的には政府が天皇の最大の利用者であることを示したのが、今回の代替わり騒動であったと言えるのではないか。

 新元号の決定過程に安倍首相が介入し、国書である『万葉集』から選ばれたと解説まで加えてみせたパフォーマンスは、内閣総理大臣たる自分が人々の時間までも支配していることを国民に知らしめる意図を感じさせる。
前もって新天皇になる予定の皇太子に対して「令和」を採用すると宣言したのも、時間の支配者は天皇ではなく、この自分であることを認識させるためであったのだろう。そうして、国民に対し「平成の終わり、令和の始まり」を広く演出して、あたかも時代が大きく変わるかのように錯覚させた。

 実際、新聞やラジオやSNS(会員制交流サイト)など、すべての情報媒体は「平成の終わり」の大合唱をし、退位の「おことば」に感激して天皇の在位時代を「言祝(ことほ」ぐ)ことになった。災害地や激戦地などへの訪問を高く持ち上げ、退位する天皇夫妻の人柄の良さばかりに話題が集中し、天皇制についての議論は棚上げとなってしまった。天皇を利用して天皇制の議論をタブーにしたのである。

 続く「令和の始まり」を合言葉のようにして、新元号に新天皇、五年先には新札にすることまで早々と発表し、まさに「令和元年という新たな時代」に相応しく、「新憲法」になだれ込もうという魂胆が垣間見える。具体的には、新天皇即位後の朝見の儀における「おことば」に、安倍政権による天皇利用の奥の手が仕込まれている。前天皇の即位の際には「皆さんとともに日本国憲法を守り」とあったのが、今回は「国民に寄り添いながら、憲法にのっとり」にしていることだ。この「おことば」は即位の儀の前に閣議決定を経ることになっており、安倍政権がそこに改憲の意を込めているとも読み取れる。天皇は「憲法を守る」という約束ではなく、いかなる憲法となろうと、ただ「憲法にのっとり」統合の象徴となると表明したにすぎないのだから。

 そもそも、沖縄・辺野古の問題をはじめとして安倍首相は「寄り添う」という言葉を連発しながらまったく「寄り添う」姿勢を示さず、今やこの言葉は無意味な修飾語となっているのだが、「おことば」にも使われているのは首相好みの口癖なのだろう。

 安倍首相は、「憲法九条に自衛隊を認知する条項を付け加えるだけで何ら変化はない」と言うが、実力部隊の存在を憲法に明記するのだから、九条の第一項の戦争放棄と第二項の戦力不保持の条項が空文化してしまうことは明らかである。新たに売りだした「令和まんじゅう」は餡(あん)に新味を付け加えただけと宣伝するが、実はじわじわと全身に毒をひそかに仕込んでいるようなものである。


 私たちは、天皇の政治利用に対し厳しく監視しなければならないのではないか。

(いけうち・さとる=総合研究大学院大名誉教授)


Ⅲ:【私見】
新たな戦前に抗する羅針盤
              櫻井 智志


 昏い時間の流れの中で
 あなたは沈黙している
 いまいうべき時に

 歴史の偶然は
 思いも知れない突然と偶然からとびだすから
 視野は広く目を見開き
 危険な兆候に
 ひとつひとつ意思表示をしよう
 持続できる範囲で
 無理せずに

 危機の予兆に
 豊かな抵抗とあたうる異議申し立て
 毅然と言おう

 黙ったまま飼い習わされていくなら
 いつか
がんじがらめに縛られ
 気がついたら
 何も言えなくなっている

 戦没学生の手記
きけ
 わだつみのこえ

 『人はのぞみを喪っても生きつづけてゆくのだ。

  手は泥にまみれ
  頭脳はただ忘却の日をつづけてゆくとも
  身内を流れるほのかな血のむくみをたのみ
  冬の草のように生きているのだ。

  同じ地点に異なる星を仰ぐ者の
  寂寥とそして精神の自由のみ
  俺が人間であったことを思い出させてくれるのだ。』

  私たちは
  現在
  ほんとうに精神の自由を実感しながら
  自由精神を保持しているだろうか

  戦時下に田辺利宏が堅持したような
  個性的な人間性と人格を
  ぎりぎりの非常線に居ても
  破壊されずに保守しているだろうか

  独裁者は
耳障りのよい言葉と
心理的マジックを携帯している
だがやがて自滅自壊して
権力没落の日が訪れる

その日が来るときまで
生きて生き続けること
自由精神の継承者として
次の世代へ


    -了―

【日本歳時記2019.5.18】~TBS報道特集  櫻井 智志

2019-05-18 22:12:19 | 政治・文化・社会評論




高齢者運転事故を教訓として、「過疎地や交通の手段をもてない高齢者の交通システム作りを」と提言。事故の報道のみでなく、事故をいかに社会システムとして防ぐかを深く考えた「報道特集」だ。



自民党宏池会は、護憲の保守本流(田中秀征氏)だ。だが「加藤紘一氏の乱」以降、谷垣専一氏は総裁として健闘。宏池会岸田氏は安倍内閣に融解して殆ど素存在感ゼロ。安倍総裁に自分の反対意思も表明できないで、総裁になってもピノキオ流の操り。自己保身のみでは総理の契機は訪れない。




高齢者の運転による交通事故3点。

❶被害者の心と生活費の暮らしぶりへの対策は社会的問題。

❷日本各地の交通網年齢構成などをもとに、年々増加する個々の高齢者の交通手段を、自治体や国家の対策政策で早急に検討具体化を。
 
❸企業は高齢者運転に見合った自動車技術開発を。




国立長寿医療研究センターの研究は画期的だ。「運転するひとはしない人よりも、痴ほう症になるひとが40%少ない」。その事実と具体的運用の間には、「媒介項」が必要であるが、偏見には一定の意味をもつ。取材した膳場キャスターの「見た目と運転技術とは別」という指摘には同感だ。




無期懲役囚は相当重い犯罪と思う。
だが冤罪の人々の存在も忘れまい。老境に入った人々は重い疾病に罹患しやすい。
「罪と罰」は、それ自体が思想であり、世間のひらかれた地域化と行政の人間さの課題へ連なる。

刑期を終えた人々の矯正生活施設管理に、刑務官を退職した祖父夫婦が「有隣会」管理人を務めていた。
食事も宿泊も含め、昼間は勤めに出る。
穏やかなひとが多く、争いごとも目立たず小学生の私は昔泊まりに行った。
人々の偏見とは無縁な生き方を見ていたことが、私の人生観に良き影響を与えてくれた。


【転載】リテラ 「北方領土を戦争で取り返す」発言の丸山穂高衆院議員だけじゃない、維新はネトウヨの巣窟だ!

2019-05-14 21:52:57 | 転載と私見
2019.05.14 12:50

(写真のみ記事と異なる小生の選んだ写真)


 またもや維新議員のトンデモ発言だ。日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、北方領土をめぐる「ビザなし交流」の日本側訪問団に同行した際、「戦争しないとどうしようもない」などの発言をした。

 報道によれば、丸山議員は11日夜、ロシア側住人と日本側住人との「ビザなし交流」の友好の家で、訪問団の大塚小彌太団長が記者から取材を受けていたところへ、このように割って入った。

丸山議員「団長は戦争でこの島(北方四島)を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」
大塚団長「戦争なんて言葉は使いたくないです」
丸山議員「でも取り返せないですよね」
大塚団長「いや、戦争はするべきではない」
丸山議員「戦争しないとどうしようもなくないですか」


 言葉を失いかけるが、一応、つっこんでおこう。丸山議員は「戦争で北方四島を取り返す」と軽々しく言う。では、自衛隊員が奇襲をかけ、島々で生活する民間人を殺して制圧するというのか。それとも、主権をかけてロシアに宣戦布告し、全面戦争でも始めるのか。ロシアの反撃と報復、国際社会からの制裁はどのように想定しているのか。いずれにせよ、多くの血が流される。むろん、憲法違反でもある。

 そもそも「ビザなし交流」は、日本側とロシア側の住民同士の対話と相互理解によって、領土問題の平和的解決を目的とした取り組み。そこに、「戦争で島を取り返す」「戦争しないとどうしようもない」としゃしゃり出てきた丸山議員は、はっきり言ってどうかしているとしか思えない。

 日本テレビの報道によると、丸山議員はその後「基本的に酒をたくさんの飲んでいた」などと釈明し、謝罪した。丸山議員は2016年にも、都内で飲食した後、トラブルになった男性の手を噛むという不祥事をしでかしたことがある。当時、丸山議員はツイッターで〈猛省と自重の決意の証として自主的に、禁酒宣誓書を今井幹事長へ提出してまいりました。あらゆるトラブルを予防するため、今後の議員在職中において公私一切酒を口に致しません〉(2016年1月13日)と投稿していた。



 しかしながら、今回の発言は、酔っているかとか以前の問題だろう。むしろ酒が入っていたからこそ「戦争しないとどうしようもない」とあまりに軽々しく口をついたのではないか。ようは、この輩が常日頃から考えている本音にほかなるまい。

 そもそも丸山議員といえば、知る人ぞ知るネトウヨ議員。ネトウヨ御用達のネット番組『報道特注』の元メンバーであり、Twitterでも「帰化履歴を公表しろ」というようなヘイトまがいの発言や、露骨な安倍政権援護のリベラル派バッシングを繰り返してきた。そのタカ派気取りでネトウヨ気質丸出しの姿は、まさに、野党でありながら安倍政権にすり寄る「ゆ」党と揶揄される維新を象徴するような議員と言える。



【衆院に立候補した橋下徹の元秘書の講演会を在特会元幹部の団体が主催】

 今回の「戦争しないとどうしようもない」発言は、そんな愚か者による最も頭の悪い発言だが、もちろん、これは丸山議員個人だけの問題ではないだろう。周知の通り、維新の会は自民党と比肩するネトウヨ議員の巣窟と言っていい。

 その代表格が“暴言王”などと呼ばれて悦に入っている足立康史衆院議員だ。周知のように「アホ」「バカ」「死ね」が口癖で品性下劣そのもの。たとえば、加計学園問題では、朝日新聞の記事にリンクを貼るかたちで、〈朝日新聞、死ね。〉とツイート。また、森友学園問題では、辻元清美議員が豊中市に補助金を出させたなど、ネトウヨの間で流通していたデマをテレビで垂れ流し、街頭演説でも「森友問題は辻元のヤラセ」などと喧伝した。もっとひどかったのが、立憲民主党の蓮舫参議院議員(当時は民進党)の二重国籍問題のときだ。足立議員は、“蓮舫代表の言動は中国の回し者”とTwitterに投稿したあげく〈国籍のことを言うのはポリコレに反するので本当は控えたいのですが、ストレスたまると午後の地元活動に影響するので書いてしまいます〉などと「ストレス発散」でヘイトスピーチをバラまくことを自ら宣言してしまったのである。



 地元・大阪ではもっと露骨だ。2017年の衆議院選挙には、橋下徹氏の大阪市長時代の元秘書である奥下剛光氏が維新から立候補したが、その直前、ヘイト団体・在特会の元関西支部長である増木重夫氏が事務局長をつとめる団体が奥下氏を応援する講演会を開催しようとしていたことが発覚した。講演自体は取材の動きを知った奥下氏がキャンセルしたが、会には辻淳子・大阪市議ら維新の地方議員が参加していた。

 大阪では、こうしたかたちで維新とネトウヨ・ヘイト勢力の融合が進んでいるのだが、それ以前に政治家としての資質が問われる言動をする府議、市議が多数いる。維新所属または当時所属していた議員の不祥事をいくつか挙げてみるとこんな感じだ。

 経営していた整骨院で療養費をだまし取り詐欺罪で実刑判決をくらう市議、忘年会帰りに泥酔してタクシー内で暴れる府議、女子中学生らを集会に勝手に誘ってLINEで無視されると「ただで済まさない」「身元を特定している」などと恫喝する府議、宴席で女性市議の胸を触る写真が報じられ「触診です」と苦しい言い訳の市議、その女性市議の足の匂いを嗅ぐ市議、飲酒運転でひき逃げする市議(有罪)……。



【橋下徹が「自民党と協力して憲法改正のほうに突入していく」と宣言】

 そうしたことを踏まえれば、今回、丸山議員がぶちかました「戦争しないとどうしようもない」発言は、彼自身の問題というよりも、こうした人物に公認を与えている維新という政党のグロテスクな正体を象徴するものと考えたほうがいいだろう。

 しかも、看過できないのが、このネトウヨかチンピラが入り込んだ政党が、ヨダレを垂らしながら自民党との連立政権を狙っているという事実だ。いまも維新に多大な影響力をもつ橋下氏は、大阪W選挙で勝利した翌日に出演した『とくダネ!』(フジテレビ、4月8日放送)で「公明党を壊滅させる」と宣言。「そうすると、日本の政治構造も大きく変わります。自民党との協力がね、公明党じゃなくてもしかすると維新となって、憲法改正のほうに突入していく」とまで言い切っていた。



 一方、大阪では維新のプレッシャーに負けた公明党が「大阪都構想」を決める住民投票への協力を約束、強く反目していた自民大阪府連も住民投票の実施容認の方針を決めた。中央政界で、改憲をめぐって、同じような動きが起きる可能性は非常に高い。

 その意味でもやはり、維新の丸山議員の問題発言は、大阪での限定的な人気しかない「ゆ」党の妄言として片付けるべきではない。繰り返すが、現実問題として、維新は安倍政権を支える存在なのだ。領土問題でナショナリズムを煽りながら、自衛隊を名実共に軍隊化しようとしている安倍首相と、「戦争しないとどうしようもない」なる言葉が飛び出す維新の結託がもたらすものは、何か。言うまでもないだろう。

(編集部)

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【私見】
戦時下の「自由精神」の継承とは
              櫻井 智志


 昏い時間の流れの中で
 あなたは沈黙している
 いまいうべき時に

 先のことを
 眼前の絞られた
 定められたおきまりの定石に
 枠内で精力を費やす

 歴史のハプニングは
 思いも知れない突然と偶然からとびだす
 だから視野は広く目を見開き
 危険な兆候に
 ひとつひとつ意思表示をしよう
 できる範囲で
 無理せずに

 大局を見忘れず
 危機の予兆に
 豊かな抵抗と
 あたうる異議申し立ては
 毅然と言おう

 その言明も沈黙するなら
 いつかがんじがらめに縛られ
 気がついたら
 何も言えなくなっている

 きけ
 わだつみのこえ

 『人はのぞみを喪っても生きつづけてゆくのだ。

  手は泥にまみれ
  頭脳はただ忘却の日をつづけてゆくとも
  身内を流れるほのかな血のむくみをたのみ
  冬の草のように生きているのだ。

  同じ地点に異なる星を仰ぐ者の
  寂寥とそして精神の自由のみ
  俺が人間であったことを思い出させてくれるのだ。』

  私たちは
  現在時点において
  ほんとうに精神の自由を実感しながら
  自由精神を言動に展開しているだろうか

  戦時下に田辺利宏が堅持したぎりぎりの
  個性的な人間性と人格を
  破壊されずに保守しているだろうか

    -了ー

【日本歳時記2019.5.11】~TBS報道特集~   櫻井 智志

2019-05-12 13:47:15 | 政治・文化・社会評論
Ⅰ:北朝鮮と報道

制裁下の北朝鮮国民の暮らしの様子を、リアルな報道によって見た。こう思う。
様々な政治や外交や社会のありようを、善悪二元論のみでは割り切れない世界がそこにある。

 ロシア国内で、最近スターリンを支持したり賛美するなどの動きがある。フルシチョフ報告までスターリンは、ソ連と国際共産主義運動で権威として君臨していた。戦時中や戦後にスターリン下で行われた政治が、実相として暴かれ権威は失墜して、日本の社会科学でもスターリンはレーニンのロシア革命を歪曲した政治家として把握されている。最近のロシア国内の動きは、スターリンの別の側面を別の視点から把握したと考える。

 北朝鮮の金委員長も、経済の国内疲弊を克服するために努力している。諸国の外交による経済規制はじかに食糧が底をつきかけた生活困難として立ち合わせている。北朝鮮が、かつて周囲の核保有国諸国に核兵器廃絶を訴えたこと、諸国は無視したことで、北朝鮮は核兵器開発を始めた。そのような歴史をふまえると、北朝鮮を○か×ではとらえきれない。批判すべきというのではない。北の全体像との関連で個々の政治的できごとを把握する必要が生まれてくる。

私たちに現実をイメージする想像力を培う報道と潜在的に偏見と敵がい心を無意識に植え付ける「報道」もある。私たちに、日本の現状がリアルに届いているか。
そこに報道ジャーナリズムの最大の意義がある。今回の北朝鮮報道のような姿勢こそ、外交を考えるうえでも重要と認識した。最近ある放送局のテレビ報道から、コメンテータ-の大谷明宏氏が消えた。大谷氏は黒田清氏の愛弟子である。黒田氏は読売新聞大阪本社で社会部長を務め、東京本社の渡邉恒雄氏と社長の座を争い社を去った。「黒田清ジャーナル」で黒田氏は報道人の王道を啓蒙し、深めた。そこでの弟子である大谷明宏氏。大谷氏がテレビ画面から消え、ますますその局の報道没体制化が悪化している。

「積極的平和主義」「平和安全保障法」などの実態と離れた「記号」言語を、安倍首相の意のまま垂れ流すテレビ報道番組は、果たして報道といえるのか。



Ⅱ:久連子鶏・古代踊り

久連子鶏の絶滅。日本の自然も地域も過疎や住民が減りなくなっていく。私たちが学校教育で教えられた知識の外側に、無名の集落の文化や暮らしや生物が、調和して系<システム>を保持されてきたのではないか。明治に旧制一高の校長を務めた狩野亨吉が、安藤昌益を発掘した。江戸時代に青森県内で医者だった安藤昌益は、一揆などなんらかの関わりで時代の表に出ることを封じられ、ずっとこの画期的思想家は同時代の人々に無名のままだった。古代踊りの取材は、民衆史の可能性と同時に消滅の危機とを教えてくれる。

久連子鶏を育て、絶滅を防ぐ人々の営みの営み。古代踊りの神楽を学校の教師も加わり、復活。親鳥が子育てに慣れていないためひな鳥が死亡という清水キャスターの報告。熊本五家荘の祭りの継承を支えるかたがたの高齢化。それだけこの取り組みは困難さを伴うことを知ったが、この報道を見ながら、心が温かくなった。