【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

【ことばのむこうに豊かな世界はあるのか (1)】

2017-08-30 23:20:52 | 政治・文化・社会評論
ことばのむこうに豊かな世界はあるのか (1)

                      櫻井 智志


ことばは、
政治的言語はただの命題や記号ではない。
ことばのむこうに豊かなイメージをともなういきいきとした意味や世界がある。

私は茨城県知事選挙に出馬した鶴田まこみさんの言葉に
いままでの政治家・政治屋にはないものを感じた。
鶴田さんの公的な演説しか聴いていないが、
それでも絶叫型の選挙運動家のことばとは異なる。
語りかけている。
目の前のひとりひとりに話しかけるように。
そして政党や政治団体が結集して支援した。

しかし鶴田まこみさんのことばは限られた範囲内でしか伝わっていなかった。
鶴田さんの温かみのある人間的なことばが伝わらなかったことに
痛烈な衝撃を受けた。

「野党と市民の共同」という政治家たちは
この命題にどのようななかみをイメージしているのだろうか

きょう仕事帰りにコンビニにならぶ「夕刊フジ」の見出しが眼にとまった
夕刊紙「日刊ゲンダイ」はデジタルネット購読しているので買わない
「夕刊フジ」も滅多に買うことはないし最近は全くない
見出しに東京新聞で副論説主幹の長谷川氏の新連載の告知があった

『・・いまや「偏向の正体」がネタになるほど、左派系マスコミはとち狂っている(笑)』

この一行に凝縮されている明確なリベラルな東京新聞とはきわめて異質な立場への転移だ。
東京新聞で菅官房長官に国民サイドから徹底した質問をおこない政府の横暴を明確にした女性記者
彼女はそのためにつらい立場に追い込まれ、ネットでも励ますサイトがある

日本の政治が中曽根康弘首相、小泉純一郎首相、安倍晋三首相の手中にある時期。
中曽根国鉄解体は、総評の最強単産解体による消滅により社会党の弱体化を実質化した
小泉「郵便局民営化」は悪しき公共事業の民営化による全国の公的生活手段や社会資本を変質させた
安倍政治は戦後日本の「民主化」を壊滅させた

彼ら自民党発の首相三馬鹿トリオは
日本社会の土性骨の骨を抜いてぐにゃぐにゃにしてしまった

対抗勢力も戦後社会党が国会の三分の一を占めることで改憲策動を阻止してきたけれど
中曽根康弘政治で瓦解した
日本共産党は1970年代には国会議席が40議席、50議席台になったがそれを超えてはいない
80年代からは山あり谷ありであるが、低迷した時期が長かった
福島原発事故発生という驚くべき不幸を味わった国民が起ち上がった
自然発生的に市民が起ち上がり、反原連など市民の蹶起は燎原の火のように全国に広がった
この時日本共産党は市民と協力して反原発運動の一翼を担った
危機的事態を主体的に自らのものとした共産党は以後国会や地方議会でも国民の支持を勝ち得た

茨城県知事選挙は、
4野党共同と市民の共闘で国政選挙や自治体首長選挙の流れをうけている
しかし民進党・社民党は個別に党員議員は強く支援を行っているが政党としての共闘には加わっていない
市民運動18年を継続し原発汚染地域の動物など家畜のいのちを救うNPOを担ってきた
弁護士の夫の支えもあり知事選に立候補した

保守的風土の茨城県の全県的政治戦だから即当選は難しい客観的情勢はあったろう

新潟県知事選挙と比較してみる
米山隆一候補を当選させた点で選挙参謀森裕子氏(自由党・それ以前も小沢一郎氏を支えてきた)の見事な指揮に思い当たる
茨城県知事選で
鶴田まこみ候補と推薦勢力をつなぎ、局面局面で指揮をした参謀はいただろう
けれど森裕子氏のような国会議員レベルの政治力
推薦共産、ということは6グループでも筆頭格が日本共産党ということか
広範な推薦グループをまとめ、局面で全体を指揮するような代議士レベルの参謀はどうなっていたのか

鶴田まこみ氏の「ことば」を選挙運動でにない、全県できめこまかく浸透させる小集会を路地裏から路地裏まで実態化させること
それはなされなかったろう
仙台市長選で野党共闘勝利のあと横浜市長選は民進党真山国会議員が参謀をつとめた。
真山氏の腹心の選挙プロが語った言葉が印象的だった
「真山氏は衆院選の時隅から隅まで歩き回った。しかし今回の市長選候補は殿様選挙。路地から路地へとは入っていない」。
40万台の2人の茨城県知事候補に比べて鶴田氏は20万票には届いていない。

9月の堺市長選は自民から共産までの共闘候補と日本維新の会の候補の一騎打ち。
10月22日には、三衆院補選と川崎市長選挙。
衆院補選は自民と民進は候補を決めている。
川崎市長選挙は前回自公を破った前県知事松沢成文代議士の直系福田氏が当選した。
今回は早くから立候補を表明ししかも自公も相乗りする。
8月30日段階で、野党側からは何の動きも市民には伝わっていない。

                              <未完>

【2017茨城県知事選挙結果へのひとつの視点】

2017-08-29 21:11:39 | 政治・文化・社会評論
2017茨城県知事選挙結果へのひとつの視点

             櫻井 智志

 茨城県知事選挙は、自民公明が推薦した大井川和彦氏が当選した。
▽大井川和彦(無所属・新)49万7361票
▽橋本 昌 (無所属・現)42万7743票
▽鶴田真子美(無所属・新)12万2013票


<構成>

①東京新聞【社説】新茨城県知事 「原発動かさず」尊重を

②社説を読んでの私見  櫻井智志(*本来は知事選を闘った各候補の政策・支援・結果得票の分析とその背景・今後の展望が必要である。社説読後の印象のみであることをお断りしておく。)

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東京新聞【社説】新茨城県知事 「原発動かさず」尊重を
2017年8月29日

 やはり原発再稼働反対の民意は重い。茨城県知事選を制した大井川和彦氏は胸に刻んでほしい。県民の命と暮らしを預かる責任者として原発とどう向き合うのか。「再稼働ありき」は許されない。

 安倍晋三首相が求心力の回復を期した内閣改造後、初めての大型地方選として注目を集めた。原発立地自治体の首長選びという性格も、併せて前面に出た。だが、活発な論戦が交わされたとは言い難く、残念だ。

 元IT企業役員大井川氏は、自民、公明両党の推薦を得て、現職橋本昌氏と、共産党が推薦したNPO法人理事長鶴田真子美氏を破った。

 もっとも、民進党は自主投票に流れ、中央での与野党対決の構図は反映されなかった。地方での激しい保守分裂の様相は、かえって安倍政権への不信と憤怒の根深さを印象づけたのではないか。

 なにより大井川氏は、七選を目指した橋本氏の多選阻止を唱えるばかりで、橋本、鶴田両氏が打ち出した日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働に反対する姿勢に対して、真正面から応えようとはしなかった。

 地元の関心が殊に高い原発について、トップとしての立ち位置を明らかにしないのでは、再稼働を推し進める政権の「傀儡(かいらい)」と批判されても仕方あるまい。

 大井川氏は「民意を吸い上げながら、県民が納得できるような形で進めていきたい」と語る。ならば、その民意を見てみたい。

 共同通信が実施した投票所の出口調査では、再稼働に賛成の声は三割程度にとどまったのに対し、反対は七割近くを占めた。さらに、橋本、鶴田両氏を合わせた得票数は約五十五万票に達し、大井川氏のそれを上回った。

 大方の民意は慎重と見るのが自然ではないか。その重みをしっかりと心に留めねばならない。多くの県民にとって、政治経済的な利害得失を超えた切実な問題だ。

 国の原子力災害対策指針に基づき、広域避難計画づくりを義務づけられる原発から三十キロ圏内には十四市町村がふくまれ、全国最多の九十六万人が暮らす。大がかりな避難を想定せねばならないこと自体が、エネルギー源として不合理極まりない。

 しかも、東海第二は来年十一月に運転期限の四十年を迎える老朽原発だ。電力事業者の原電は最長二十年の延長運転を目指しているが、人間の営みと自然を守るために不可欠とは思われない。新知事にはそのことが問われるのだ。

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社説を読みながら感じた印象  

 さっそく九州電力は28日に玄海原発原発3号機を来年1月に再稼働、関西電力は来年1~3月に福井県大飯原発3号機、4号機に再稼働させると発表した。東海村第2原発自身が容認派の候補当選で再稼動が選挙前から織り込み済みの選挙だったのに。
 知事選を自民党の様子について少し触れたい。 


 自公候補大井川氏を当選させようとする自民党本部・国会議員団の意気込みは、並々ならぬ取り組みであった。これだけのエネルギーを国政の改善に向けてとりくんだら、もう少し今の惨憺たる実態よりはよかったろうに。

 しかし逆に考えれば、国家主義軍国主義憲法改悪にこれだけのエネルギーを注いだら、それも恐ろしい予感を感じる。
「岸田文雄」「野田聖子」「河野太郎」「小泉進次郎」「石破茂」、これらの安倍晋三氏とは距離感のある人物も、頭に「自民党の」とつくと豹変するものだ。彼らの個人としての主張などすべて埋没し、「自民党集団主義」は、いまの段階で愕然とする。

 自公両党の選挙対策幹部は、自公が結束すればこの力となると胸をはった。だが自公が離反した東京都議選でも、自民の惨敗に比べ公明は全員当選だった。

 自民・公明-公明・都ファー。この構図から、自民、公明、小池都知事グループがひとつの環を成して権力掌握の構図が見える。橋下徹勢力よりも小池百合子勢力のほうがしたたかで狡猾だ。橋下-小池連携はあるかわからないが、自民党がこれだけのちからを発揮したのは、やはりいつも自民党の背後でてこいれしてきたアメリカ政府・軍部の決して無視できない強権力の意思が透けて見える。


 なお、この社説の掲載された日の東京新聞朝刊に、社説が論じた茨城県に関わるつぎの記事が心をとらえた。

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  悲劇の東海村     鎌田 慧

 先週の土曜日。「東海村で『原発NO!』を叫ぼう 人間の鎖行動」に参加した。薄曇りだったからやや助かったが、それでも原発周辺だから木立のない炎天下、さすがに気分が悪くなった。

 東海第二原発は、来年で運転40年目、ボロ原発だ。あと20年間の操業をたくらんでいる。無謀というべき自殺行為、というか他殺行為だ。いまだ原発を「主力電源」と言い放つ内閣と取り巻き官僚たち、原子力規制委員会、日本原電は事故が起きたときどんな責任をとるつもりか。

 「ヒバクシャ」の悲惨を見捨てて「核兵器禁止条約」に背をむけた安倍内閣、「フクシマの悲劇」を繰り返さないと決意したドイツなど原発脱却諸国の叡智を迷惑顔に再稼働を進める政府。
 東海村は日本最初の原子炉が臨海に達した「原子力の村」であり、死者が出た最初の臨海事故が発生した村であり、最初に廃炉作業がはじまった村だ。最近では近くの大洗町の研究所で放射性物質が飛散、労働者が被ばくする事故が発生した。

 1950年代末、マスコミで喧伝された原子力栄光のトップランナーが真っ先に転倒した悲劇の村(その二番手が靑森県六ケ所村だ)である。

 茨城県知事選挙は、現職が*ようやく「再稼働反対」を主張したが、自公政権の執拗な「多選阻止」を掲げた攻撃によって敗退した。

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写真は鎌田慧さん。今回の記事とは無関係の写真です。

(注*現職が「再稼働反対」を選挙戦中にうちだしたのは、反原発政策を体系的に告示から問題提起した共産党含め市民と政党・団体の6グループ推薦の鶴田まこみ候補が立候補していたことが大きい。)




=======<了>========================

地上で見た戦争・空から見た爆撃~TBS報道特集2017/08/26~

2017-08-26 20:27:06 | 政治・文化・社会評論
地上で見た戦争・空から見た爆撃
~TBS報道特集2017/08/26~

            櫻井 智志



Ⅰ:
 空から落とされた一発の核兵器。地上のまちは阿鼻叫喚の地獄絵図となった。いつの世も爆撃機に搭乗している兵士にひとは同化して見る。けれど一発の爆弾ひとつで地上は廃土となる。アメリカはイラクに、ソ連はアフガンに。その侵略から破壊と共に「イスラム国」の誕生。原因はあまりにも明白。

 私たち日本の国民は、空から眺めている。モスル避難民の実際の画像を見て、破壊し尽くされた土地でも生活する避難民と子どもの眼。地上から現地を見た勇気あるフォトジャーナリストたち。虐殺されても、空から眺める政府は救出の家族や市民の声など一顧だにしなかった。「イスラム国」は子どもたちに「過激思想」に洗脳したという。

 「イスラム国」が致命的破壊攻撃で壊滅したというニュースとともに、国際的にあちこちでテロ破壊攻撃が広がっていった。国際社会の方向を憎悪でなく友愛において諸国は外交政策を再吟味すべきだ。

 孫崎亨氏は、ICBMを打ち落とせるなどとても速度が異なりあり得ないと述べている。内閣府の核攻撃などの際の避難のCMを見て呆れ、怒りを覚えた。義務教育機関の防災訓練のようなもので爆撃などとても対応できない。国民の意識や心理をコントロールする内閣府等を嗤う。




Ⅱ:
 イージス艦が世界のあちこちで責任者が処罰されるほどの重大問題の事故を発生させている。世界随一の軍部軍隊だけに、事故などは重要機密として閉ざされている。オスプレイの相次ぐ故障とあわせ、アメリカは、変わったのか。

 広島平和文化センター理事長を務めたスティーブン・リーパー氏は、戦争は戦争によって巨大な冨を儲ける軍事産業によってやむことはない、どちらの国家が良い悪いのレベルを超えている、とおっしゃった。兵器を更新し続けることが、戦争の種となる。

 稲田前防衛相の任務期間に、日本の自衛隊は軍事的精度を高めた。小野寺防衛相はスムーズに発言するが、内容はかなり危険な領域に踏みこんでいる。佐藤正久氏など自衛隊の幹部が相次いで国会議員となっている。第2次安倍政権となってから、とても大切な根本問題を低次元のやりとりで次々に国家の骨組みを変えている。一強他弱崩壊の今、ふりかえりの必要なとき。

茨城県知事選ノート2017/08/26 【第一部 日刊ゲンダイの記事転載】 【第二部  私見】

2017-08-26 02:40:23 | 政治・文化・社会評論
茨城県知事選ノート2017/08/26

                 櫻井 智志 

【第一部 日刊ゲンダイの記事転載】

《情勢調査真っ二つ 茨城県知事選は最終盤までデッドヒート》
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/212201/1
2017年8月25日



開票の茨城県知事選が「投票箱のフタを開けるまでわからない」(自民党関係者)という大接戦になっている。

 立候補は、
7選を目指す現職の橋本昌候補(71)、
自公が推薦する経産省出身の新人・大井川和彦候補(53)、
共産党推薦の新人・鶴田真子美候補(52)の3人。
事実上、橋本VS大井川の一騎打ちだが、政党やメディアの情勢調査の結果が真っ二つなのだ。

「自民党、NHK、朝日新聞の調査では大井川氏がややリード、共同通信や読売新聞の調査では橋本氏がやや優勢だったそうです。いずれも数ポイントのわずかの差。最後までどちらが勝つのか全く見当がつきません」(前出の自民党関係者)

 党を挙げて総力戦の自民は必死だ。これを落とせば、安倍内閣の支持率下落を受けた嫌なムードを10・22の衆院補選まで引っ張ることになりかねない。原発再稼働反対に舵を切った現職に勝たせるわけにもいかない。それで、25日は小泉進次郎氏、石破茂氏、岸田文雄氏の3人が選挙期間中2度目の茨城入りとなった。


「ここまでのデッドヒートだと、鶴田氏へ行くはずの『原発再稼働反対』の票が橋本氏へ回るかもしれません。実際、同様の構図だった一昨年の佐賀県知事選では、最終盤になって3番手の票が自公の対抗馬に流れ、自公候補が敗れました」(ジャーナリスト・横田一氏)

 茨城県民の審判は?

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【第二部  私見】

《茨城県知事選候補者は2人ではない、市民運動家鶴田まこみさんが軽んじられている》

櫻井智志


Ⅰ:
「共産党推薦の新人・鶴田真子美候補」は間違いではないがかなり不足している。これがセンセーショナルだけれど、「リテラ」に比べて大ざっぱな「日刊ゲンダイ」。正しくはこうである。
*茨城発の市民と野党の共闘実現
*私たちは無党派の鶴田候補を推薦します
①茨城一新会(小沢一郎後援会)②新社会党③つくば・市民ネットワーク④とりで生活者ネットワーク⑤日本共産党⑥緑の党グリーンズジャパン

Ⅱ:
つまり市民と野党の広範なかつてない大きな連合である。これを「共産党推薦」として拡散してから、NPOの市民運動十年超の鶴田まこみさんの市民選挙にかける願いも県民への浸透度も新聞予想にあるが各社ともに「浸透していない」と報道でも下がった。「共産党推薦」が悪いのではない。画期的な「市民+野党」共闘の、民進党や社民党も個別に応援しているから、4野党以上の空前の広がりが合わない。
新社会党、緑の党グリーンジャパン、自由党小沢一郎後援会の政党関係者の顔をつぶしている。
しかも市民政治団体の「つくば・市民ネットワーク」、「とりで生活者ネットワーク」の名前も塗りつぶしている。



Ⅲ:
このことに気づかず、小池晃書記局長は共産党No.2であるが、このひとは志位和夫委員長とは大きく異なる野党共闘観。
とても茨城で生まれた市民選挙の可能性をつぶした。いけまき選挙(北海道5区補選で共闘候補が自民二世を追い詰めたが、熊本大震災に貢献した自衛隊員の住宅地だけ極端に自民票が多く、僅差で落選。地震前は世論調査でも当選間違いなしだった)のさらに発展形態となり得た選挙を大きく変形させた。なにかあると共産党の顔として出てくるが、前任者の山下芳生氏や志位和夫委員長のような人格的控えめな謙虚さはない。

民進党が野党共闘で分裂したか。共産党側の謙虚な対応があったかどうかが問われている。市民選挙で「推薦共産党」としてしまう無神経さが、何回か野党共闘した前原誠司氏をして、共産党と同席せずと態度をかたくなにさせている。この問題に真剣に対応しないならば、共産党支持者は減らないが、今回のように民進党や社民党のような政党さえ共闘に加わらない事態は、実は深刻なことである。


Ⅳ:
低迷する日本共産党の党勢を拡大させたのは、福島原発で起きた大きな反原発運動。これは市民の自然発生的な動きだった。国会前の山本太郎氏や三宅洋平氏らと一緒に個人でいちはやく正義感で抗議行動を続けていた吉良佳子さん。この波に共闘するところから、地道な組織的活動をずっとおこなってきた日本共産党の内部的努力と流れに乗った政策的実践が、飛躍的な議会での勝利の連続へと発展していった。

私は今も日本共産党を支持している。けれど、疑問ははっきり表現することとした。
市民選挙の新たな芽を大切に育むことをきょうまで期待してきたが、現在の日本共産党は民進党代表選で前原氏が当選したときに、課題となることがすでに茨城県知事選で矛盾として噴出しているのに、少しも事態の深刻さに対応しないまま投票日を迎える。
茨城県の共産党員がすぐれた実践をおこなっているのに、それを生かし切れていない。

なぜ小池晃氏を批判しているか。それは都知事選にさかのぼる。政策協定もなにも結ばず、当時の民主党にふりまわされ、民主党共産党の幹部同士のやりとりだけで決めて、下から積み上げてきた宇都宮けんじ氏に、過去の二回の都知事選であれだけ候補に立ててきた宇都宮氏の顔をつぶして泥を塗った。その都知事選の候補出馬時のまともな総括さえなしていない。どこに党内民主主義があるのか。そして同じことを茨城県の知事選でも、他の政党団体の立場と実践をきちんと尊重していない。「共産党は闘っているぞ」のポーズはとるが、「市民+野党」の発展に見られる広範な統一行動選挙を実質つぶしている。選挙後に書いたのでは意味がない。


Ⅴ:
あえて厳しい提言を呈す次第である。
橋本、大井川の競り合いにうもれて鶴田候補惨敗となってからでは、間に合わない。橋本、大井川の激闘のはざまで、鶴田当選を勝ち取るチャンスは可能性ゼロではない。
私の「統一戦線論」志向は、学生時代からのものである。原田勝正教授に「ディミトロフの反ファシズム統一戦線」を学んでから40年以上問題意識だった。65才のいま、「鶴田まこみ@いのち輝くいばらきの会」の可能性に、まっとうな対応を尽くさず、なぜ両候補のあいまに埋もれて「鶴田候補は浸透していない」などと選挙戦初期から新聞予想に載るのか。そのことをジャーナリズムをもとに考えてきた結果、見えてきたのが記してきた事柄である。

<了>

「茨城県 県知事選挙 良心宣言 2017」

2017-08-24 08:43:23 | 政治・文化・社会評論
【茨城県 県知事選挙 良心宣言 2017】
2017/08/24

櫻井 智志


第一部  反原発の良心のもとにフル回転する鶴田まこみ候補

 水戸藩は御三家のひとつ。茨城は近世から名門。近現代、私の知る牛久沼の住井すゑさんの小説と評論。戦前から活躍した住井さんを平成版にしたら鶴田さん。茨城の地に、戦後初めての本格的市民選挙は今日もフル稼働。北海道5区から始まった池田まきさんの市民選挙を鶴田まこみさんが見事に発展させた。

 衆院の青森4区補選・愛媛3区補選・院新潟5区補選・川崎市長選、すべて10月10日告示、22日投開票。分裂した野党では当選は無理。民進党代表選の野党共闘論に注目。自民、民進は既に候補決定。「市民+野党」共闘の広範な共闘の茨城県知事選での鶴田まこみ候補の勝敗が、10月補選に大きな影響を与える。小泉進次郎筆頭副幹事長を選挙の顔とした自民党は、野党が準備できていない同10月22日に解散総選挙の動きも。茨城県知事選鶴田まこみ候補の善戦と勝利は、安倍政権の連続失政暴政に「県民・国民ファースト」意思表示の最適な方法だ。

 読売・産経・朝日・毎日・東京など新聞が茨城県知事選予測。選挙予想自体が選挙戦術。「橋本大井川競り合い、鶴田さんは浸透今ひとつ」。がっくりした県民の動きが鈍る、それが狙いの選挙力学。日常の国政や県政はなおざりで選挙の時だけ「国政なみ以上」。鶴田さんの演説に政治再生の心が宿る。橋本候補や大井川候補は、自民が基盤の親戚。だが鶴田まこみ候補は違う。選挙そのものが、新しい立憲民主主義運動であり、市民運動であり、市民と野党六つの政党・政治団体の新・統一戦線運動である。当選が目的だが、選挙戦そのものに重要な意義がある。茨城知事選後に、実りの土壌が形成されている。

 応援演説には、海渡雄一弁護士や桜井勝延南相馬市長などの反原発市民が意欲的に現地に入った。元運輸大臣・公明党元副委員長、二見伸明氏も公明党とは全く異なる立場で終始一貫して鶴田まこみ候補応援の陣頭に加わっている。日本共産党からは田村智子副委員長や小池晃書記局長なども応援の最初と後半押し上げに。紙智子参院議員は岩渕友参院議員と共に、参院選東北地区1人区で11人の野党共闘勝利に貢献した日本共産党議員。塩川鉄也衆院議員、塩村さえこ衆院議員は北関東選出。地元の共産党県議や市議も演説や下働きにも熱心に取り組む。六政党・団体が稼働。当選はさだかではないけれど、新潟茨城両県で原発に正面から対峙する知事の実現は、福島や全国に展望をもたらす。

 自民党応援隊の旗頭に立たされた小泉進次郎氏は小泉元総理の次男。自民党はあいつぐ国政選挙に自民党の顔として大量得票効果を見込んでいるという。進次郎氏ははっきりいって若い頃のシンタロー(石原慎太郎氏)が全国で二百万、三百万得票した力量はない。ただ石原氏よりは穏健で常識がある。安倍汚政を隠すため登用されるのは、小泉進次郎氏の立場を考えるとむごいことだ。なりふりかまわぬ自民党の背景には、第二部で掲げる日刊ゲンダイ巻頭特集記事がわかりやすく的確である。



茨城県知事選 良心宣言2017

            昭和亭魯迅

政治社会前進を求めて
力およばずして斃れることを辞さないが
力尽きずしてくじけることをこばむ

一党一派の独裁でなく 広範な ふつうのお母さんの眼で立候補した見識ある知識人

茨城県民は真の勇気ある良心を見捨てるか 

茨城県民の判断が日本の政治のゆくすえを握る


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第二部  「日刊ゲンダイ」【巻頭特集】転載

原発容認候補の応援に自民党総がかり 茨城県知事選の異様
2017年8月23日バックナンバー


 今週末の27日投開票の茨城県知事選に自民党が総力戦を仕掛けている。自公が推薦する経産省出身の新人、大井川和彦氏(53)の応援に大臣や党幹部を次々と送り込み、ラストサンデーの20日には人気者の小泉進次郎筆頭副幹事長が駆けつけるなど、国政選挙並みの態勢だ。

 自民党陣営は、7選を目指す現職の橋本昌氏(71)の多選批判に照準を定めているが、実はこの選挙の最大の争点は原発だ。東海村にある日本原子力発電東海第2原発は、2011年の東日本大震災で自動停止して以降、再稼働の前提となる適合性審査が続いている。運転開始から40年になる来年11月が運転期間延長の申請期限だが、最長20年の運転延長を認めるのかどうか。

 現地で取材を続けているジャーナリストの横田一氏が、選挙の構図をこう説明する。
「現職の橋本氏は告示日の第一声で『再稼働を認めない方向にかじを切りたい』と明言しました。
 その主張は政見放送でも流されています。共産党などが推薦する新人候補も再稼働反対と廃炉を主張している。一方、自公が推す新人は、3月の立候補表明の時は『住民の直接の意思表明という機会を与えてもいい』と口をすべらせたのですが、自民党に猛反対され、住民投票について発言しなくなりました。選挙戦でも再稼働にはほとんど触れていません。自民党の候補ですから中身はバリバリの原発推進派で、古い自民党そのものです」

 首長の反対で原発再稼働の道が閉ざされては困る。だからこそ、自民党は地方選である茨城県知事選にここまで力を入れているのだ。事実上、原発容認のための総がかり戦なのである。


■世界は脱原発に向かっている

「老朽化原発を動かすために、党を挙げて知事選にシャカリキになるなんて、正気の沙汰ではありません。福島原発事故の深刻さを見て、ドイツが2020年までに原発を全廃する方針を打ち出すなど、世界が脱原発に向かっている。世界一の原発依存国であるフランスでさえ、脱原発に踏み切ったのです。事故の当事国の日本は真っ先に脱原発を決めるのが普通なのに、なぜ原発にしがみつき再稼働に突き進んでいるのか。世界中が奇異の目で見ていますよ」(政治評論家・本澤二郎氏)

 フランスは2年前に脱原発の「エネルギー転換法」を成立させた。5月に誕生したマクロン政権の転換担当相は、国内の原発全58基のうち17基を25年までに閉鎖すると表明。フランス原発会社のアレバが事業難に陥っていることも脱原発の流れを加速させた。

 ドイツのシーメンスは11年に原発事業からの撤退を表明。米国のGEも原発から手を引いた。そして、東芝が高値で買収したウェスチングハウス(WH)は破算。ハイリスク・ローリターンな原発ビジネスは、世界中で成り立たなくなっている。
「そんなことはお構いなしで、安倍政権は原発再稼働に前のめりになり、原発輸出を成長戦略の柱に据えている。福島の事故を経てもなお、悪魔のエネルギーでカネもうけをしようなんて、マトモな人間の考えることではありません。脱原発を決めれば、自然エネルギーが日本の一大産業として発展するかもしれないのに、原発推進しか頭にない。だから、ゾンビ企業の東電も東芝も潰せない。“経産省政権”と呼ばれる安倍政権が続くかぎり、国民の多くが望む脱原発はできず、核のゴミの問題も先送りされる。この国の未来は真っ暗です」(本澤二郎氏=前出)

 日本を代表する名門企業の東芝が倒産の危機に瀕しているのも、原発事業が要因だ。「原子力ルネサンス」が叫ばれていた06年、経産省が「原子力立国計画」を策定。第1次安倍政権の時だ。この国策に乗っかる形で、東芝は原発ビジネスへの傾注を強めていく。手始めとして06年にWHを買収したことが転落の始まりだった。
 ちなみに、「原子力立国計画」を書いたのは、経産省の柳瀬唯夫審議官だという。当時は資源エネルギー庁の原子力政策課長だった。現在は加計学園問題のキーパーソンとして知られる。首相秘書官だった一昨年4月に今治市の企画課長らが官邸を訪れた際の面会相手ではないかと国会で追及され、「記憶にございません」を連発した。

 東芝が原発事業にのめり込むあまり、粉飾に手を染めた経緯は、大西康之氏の著書「東芝 原子力敗戦」に詳しい。

 その中で、東芝の無謀ともいえる経営判断に多大な影響を与えた人物として名指しされているのが、安倍首相の最側近といわれる今井尚哉首相秘書官である。

<今井は、アベノミクスを成立させるために、何が何でも原発パッケージ型輸出を実現したかったはずだ>
<今井にとって東芝は、阿吽の呼吸で無理を聞いてくれる便利な会社であり、三菱重工業や日立製作所よりずっと使い勝手が良かった。一方の東芝は今井という後ろ盾を得て、身の丈を超えたリスクテイクに走ってしまった>

 バックには今井秘書官と官邸がついている。そういう甘えと驕りが、東芝を採算の合わない原発事業の拡大に走らせた。その結果、5兆円企業が倒産の淵に追い込まれたわけだが、過去に例を見ない規模の粉飾が明らかになっても、債務超過の実態が白日の下にさらされても、東芝は潰れない。国策企業だからだ。

<東芝に消滅されては、政府も困る。経産省は福島の事故を経てもなお、「原発推進」の方針を堅持しており、原発の再稼働を急いでいる。再稼働すれば、核燃料の供給や定期点検を担う企業が必要になる。東芝はその筆頭格なのである。東芝を見殺しにすることは、原発推進の旗を降ろすことにつながりかねない>


■失政のツケは国民に押し付けられる
「東芝 原子力敗戦」には、こうも書いてある。

<官僚は犯罪や不祥事を除けば、どんな失敗をしても個人の名前で責任を問われることがない。「国のため」と言いながら無責任に大きな絵を描き、失敗のつけは企業や国民に押し付ける>
<東芝という百四十年の歴史を持ち、十九万人の雇用を抱える名門企業を吹き飛ばしたのは、紛れもなく「原発輸出」という「国策」である>

 東芝の粉飾経営陣の責任は免れないが、国策の犠牲者という側面もあるということだ。経産省を盲信し、官邸の意向に翻弄された。
 脱原発という世界の潮流から取り残され、負けが見えていても経産省が亡国のエネルギー政策を死守するのは、原発が大きな利権だからだ。自分たちが推し進めた原発立国が失敗だったと認めたくないという勝手な事情もあるだろう。それが国策としてまかり通り、失政を認めず、意地で遂行する無責任体質は、太平洋戦争のインパール作戦に通じるものがある。

 考えてみれば、安倍政権で経産官僚が跋扈するようになってから、ロクなことがない。シャープも東電も東芝もボロボロになった。経産省が主導して産業革新機構が2000億円を出資したジャパンディスプレイも暗礁に乗り上げている。日本の産業は衰退の一途だ。結局、アベノミクスの目玉だった原発パッケージ型輸出だって、ひとつも実現していない。


 そういう亡国官僚に操られた政権が、原発推進のために茨城県知事選に全力投球しているのだ。「たかが県知事選」と傍観できない理由がここにある。
「官邸主導で経産省出身者を担いだことで、自民党の狙いはハッキリしています。多選批判で原発を争点から隠し、とにかく勝ってしまえば、再稼働もなんとかなると考えている。いつもの姑息なやり方です。有権者が本当の争点に気づいて踏みとどまらないと、原発再稼働の流れが止まらなくなる。そのツケは国民に押し付けられるのです」(横田一氏=前出)


 原発推進の闇は深い。茨城県知事選は安倍政治の破滅の縮図だ。ここで自民党を惨敗させなきゃウソである。

======<了>===========


第一部:日刊ゲンダイ・河野外相なぜ認めた 森友疑惑キーパーソンが海外“高飛び” 第二部:谷査恵子氏の異例の抜擢栄転~安倍首相と内閣府暴走の仕掛け~

2017-08-16 10:09:46 | 政治・文化・社会評論
【日刊ゲンダイ記事の深層探求】
第一部:日刊ゲンダイ・河野外相なぜ認めた 森友疑惑キーパーソンが海外“高飛び”
第二部:谷査恵子氏の異例の抜擢栄転~安倍首相と内閣府暴走の仕掛け~


                    櫻井 智志

第一部:日刊ゲンダイ・河野外相なぜ認めた 森友疑惑キーパーソンが海外“高飛び”
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/211485
 
 森友疑惑で渦中の人となった総理夫人付秘書官・谷査恵子氏の在イタリア大使館への栄転という異常人事を許した河野太郎外相。大臣という「アメ」を与えられ、すっかり牙をぬかれてしまったようです。

本文転載
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 “忖度しない男”も牙を抜かれてしまったのか――。

 今月3日に行われた内閣改造で外務大臣に任命された河野太郎氏。自民党の原発推進政策に公然と異を唱え、南スーダンPKOの日報隠蔽問題も追及してきた。ところが、外相という「アメ」を与えられた途端、鳴りを潜めてしまったようだ。

 森友疑惑で“渦中の人”となった総理夫人付秘書官・谷査恵子氏の在イタリア日本大使館勤務という“栄転”を認めてしまった。谷氏は、経産省のノンキャリア官僚ながら安倍首相の妻・昭恵氏を秘書としてサポート。何より、大阪地検特捜部に詐欺容疑で逮捕された籠池泰典前理事長と財務省をつないだ「口利き役」という、疑惑のキーパーソンだ。

 外務省はそんな重要人物を出向先として迎え入れ、谷氏は晴れて6日付で1等書記官に着任した。これ以上、野党とマスコミが追及できないように、事実上、海外に逃がした形だ。なぜこんな人事がまかり通るのか。政治評論家の山口朝雄氏がこう言う。

「常識的に考えれば、ノンキャリの官僚が在イタリア大使館へ栄転する人事はあり得ない。特別な人事を行うことで、政権に協力すれば褒美として出世させると官僚に見せつけたのも同然です。河野太郎氏も、外務大臣に“大栄転”したことで、官邸に歯向かえなくなっているのではないか。もともと、安倍首相が河野氏と野田聖子氏を入閣させたのは、自分と考え方の違う人間を閣内に入れることで、国民に対して謙虚な姿をアピールするためです。河野氏は、まんまと安倍首相の演出に一役買ってしまった。谷さんの人事をストップさせていれば、国民の河野外相に対する評価は跳ね上がったはずです」

 谷氏以外に、海外に出向したキーパーソンとして挙げられるのが、防衛省の前統合幕僚監部参事官付国外運用班長の小川修子氏だ。小川氏は、南スーダンPKOの日報隠蔽問題で実務レベルの責任者だったが、現在、在中国大使館の1等書記官を務めている。

 谷氏の“高飛び”をストップしなかった河野外相の責任は重い。

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第二部:谷査恵子氏の異例の抜擢栄転~安倍首相と内閣府暴走の仕掛け~

 同じ問題を今朝のテレビ朝日羽鳥信一モーニングショーでも取り上げていた。ゲストの火曜日コメンテーター住田裕子さん(検察庁キャリア・現在)の言に納得した。
 谷さんがイタリアに行くことは前々から公然の秘密だったようだ。噂にのぼると逆に控えるのが今までの政府の常識なのに、あえてそれを実行したのが事情通たちにはサプライズだったようだ。

 さらに、住田裕子さんとレギュラーコメンテーター玉川徹さんのご発言を聞く内に驚く事実が浮かび上がってきた。
今回の人事は外務省人事ではない。経産省人事なのだ。もともと谷査恵子さんは経産省から総理夫人秘書官に派遣されたノンキャリア組。しかも外務省管轄のイタリア日本大使館の一等秘書官への異例な栄転出世。経産省のノンキャリア組が外国大使館の一等書記官になることはあまりあり得ないルート。お二人の話で、今回の人事は経産相と官邸トップの総理たちの強い意向がある。とても新米の外相ひとりで決定できる管轄下の人事ではない。

 国会答弁で終始隠蔽加担かと疑われる答弁に終始した財務省財務局長が、国税局長に異例の抜擢栄転。しかしなぜか新国税局長はいまだに記者会見さえおこなっていない。
 また、総理の疑惑を閉会中の国会審査で、自民党の代表として前半冷静で理詰めの追及をおこない、後半安倍総理をかばう情の雄弁の弁護をおこなった小野寺氏は、改造人事で防衛相に抜擢された。
 こうして見てくると、安倍晋三首相とは、徹底したアメトムチの二面作戦で人心を籠絡する才に異様に長けていて、そのことがわずか前までの自民党内「一強他弱」力学を支えていたと見ることができよう。

 今回の谷査恵子氏の度はずれた栄転は、視点を変えれば、安倍晋三・昭恵ご夫妻の森本疑惑検証が後からなされないように、国外に飛ばして疑惑封じを完璧なものとした、というふうにも見ることができると私は考える。

 河野太郎外相を批判した日刊ゲンダイの視点を大切なものと思う。けれども、事実認定でやや異なるのではないかと思った。
文科省と森友疑惑・加計疑惑のことでも思ったが、内閣府が人事を握る改悪で、官僚制度そのものをより悪化させた。内閣府の人事独裁が政府の行政をいっそう歪め、それは決して終わることなくいまも続いている。

2017茨城県知事選、橋本知事の「再稼働認めね」発言の波紋と背景

2017-08-15 22:57:35 | 政治・文化・社会評論
2017茨城県知事選、橋本知事の「再稼働認めね」発言の波紋と背景
~明確に新しい形態と段階に入った「市民+野党」共闘の市民選挙~


2017/08/15「敗戦確定と平和再建」記念日に
                       櫻井 智志


webには見当たらないので視写する。
東京新聞は5月14日二面で山下葉月記者の署名入り記事によってこう記した。

茨城知事選
橋本知事「再稼働認めぬ」
東海村長不快感
推薦の方針転換

【要約と私見】
要約:七選を目指す現職の橋本昌氏が再稼働反対の姿勢を示した。 東海村の山田修村長は13日に「橋本氏と原子力政策の考え方は違う」と不快感を示し、橋本氏を含めたいずれの候補も支援しない考えを示した。
 山田村長は「どの市町村も避難計画づくりに取り組んでいるのに、橋本氏の姿勢はそれをないがしろにした発言だ」とした。

私見:インターネット保守系サイトでは、橋本県政を支持するいままでの多くの団体や連合などによって、結局八選をはたすとする予想が見れる。できるだけ「波風」たたず、大手マスコミを通じて茨城県知事選を争点を隠し、そのまま投票日にもちこめば、低投票率で橋本当選を実現するだろうとする見方もある。
 では、橋本知事の「東海第二原発 再稼働反対」の姿勢転換は何を意味するのか?私は、共産党、新社会党、緑の党グリーンズジャパン、自由党小沢一郎氏の後援会である茨城一新会、つくば・市民ネットワーク、とりで生活者ネットワークの六政党・政治団体など、多くの脱原発の市民団体や政党の広範な【東海第二原発 再稼働反対】のうねりが現地で大きなものとなっていること、橋本知事も本音はともかく、公約の転換をはなければ、選挙戦を戦えないという政治判断があってのことと推測する。
 実は、東京都議選、仙台市長選と連敗し、横浜市長選を民進党の分断で勝利した自民党本部は、横浜市を地盤とする菅義偉内閣官房長官が直接腹心の選挙参謀を現地に送り込んでいるそうだ(「日刊ゲンダイ」参照)。思い切った現職知事の政策転換は、それだけの見通しをもってのことだ。無所属の橋本知事も自公公認の候補も、ともに当選したら自民党路線でしか動かない。
 社民党も党首福島瑞穂さんのパートナー海渡弁護士は、鶴田まこみさん立候補以来の選挙参謀格だし、地元の社民党のかたも応援演説にらたっている。代表選で大変な民進党にも、鶴田まこみ候補の母体「いのち輝くいばらきの会」はおだやかであたたかく支援を呼びかけている。「鶴田まこみ @ いのち輝くいばらきの会‏ @makomitsurutter」さんがリツイートしたツイートに以下の秀逸なツイートがある。


haru.sf 鶴田まこみ絶賛応援中!‏ @SfHarry2 8 時間8 時間前
【8/27投票 #茨城県知事選 #鶴田まこみ 】
おぉ!😳皆さん!社民党・福島みずほさんのご主人、海渡雄一弁護士が、応援に駆け付けて下さいました〜!オール茨城に後一歩✌️😆『自主投票』の民進さんも遠慮しないで😄是非是非“自主的・個人的”に来て、鶴田まこみに『この指とまれ!』

 いまだ投票日までに変動や突発事もあり得る。けれど、「市民+野党」の共闘は、明確に新しい形態と段階の市民選挙に入っている。

いま茨城県民が燃えている~2017年8月27日(日)知事選投票決戦~

2017-08-09 16:29:31 | 政治・文化・社会評論
    いま茨城県民が燃えている
~2017年8月27日(日)知事選投票決戦~


                      櫻井 智志



 候補のひとり鶴田 真子美さんは、日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働に明確に反対を表明している。「脱原発弁護団全国連絡会」の海渡雄一共同代表、「脱原発をめざす首長会議」世話人の村上達也・前東海村長、三上元・前静岡県湖西市長らが応援している。


 共産党、新社会党、緑の党グリーンズジャパン、茨城一新会(小沢一郎・自由党代表の後援会)、つくば・市民ネットワーク、とりで生活者ネットワークが推薦。鶴田さんの支援組織「いのち輝くいばらきの会」によると、民進、社民両党にも推薦を依頼している。



 福島原発事故で、県内に放射性物質が大量に飛散。つくば市や守谷市では部分的に放射線量が高い場所が見つかり、母親らが立ち上がり、役所に除染を求める動きが広がった。脱原発を願う母親らの受け皿を目指す鶴田さんの七月決起集会で、子連れの母親らの姿も見られた。



 推薦六団体のうち、新潟知事選で、原発再稼働に慎重姿勢の野党共闘候補として勝利した米山隆一知事もメッセージを寄せた。民進は自主投票。新潟でも完全な野党結集ではなく蓮舫代表個人が終盤戦に応援に駆けつけた。社民は「協力できることは協力する」という立場だ。



 鶴田候補以外では、橋本 昌茨城県知事 (現職)と大井川 和彦候補(自公推薦)の候補二人。保守分裂。橋本知事は多選批判を受け、五選目の選挙以降、政党からの推薦を受けていない。市町村議、県建設業協会、JAグループや県医師連盟、連合茨城などが支えている。

【ヒロシマ原爆投下前夜の日に】~《TBS報道特集ウオッチング2017/08/05》~

2017-08-05 18:57:42 | 政治・文化・社会評論
【ヒロシマ原爆投下前夜の日に】
~《TBS報道特集ウオッチング2017/08/05》~


           櫻井 智志

写真:戦前大蔵官僚・戦後首相 福田赳夫氏


Ⅰ:核兵器禁止条約
   
核兵器禁止条約は画期的な取り組みとなっている。人類の危機意識の高まりの中で、核兵器を2箇所に投下され、福島原発事故のある日本政府の否定的な姿勢は、世界から不信と不審をもたれている。オバマ氏を広島に招いた安倍首相の演説は、あの時だけか?演説が毎回空っぽだ。



Ⅱ:横田基地の急速な「軍事拠点化」
 東京新聞は、横田基地が「軍事拠点化」していると2日に報道している。敵を襲うパラシュート降下訓練の常態化。トラブルに見舞われた韓国空軍機の緊急着陸。背景に米軍再編に伴う日米司令部の一体化がある。在京マスコミはその実態を殆ど伝えず、地元住民は苛立っている。



Ⅲ:桂歌丸さん・仲代達矢さんの証言の重み
 桂歌丸さんの歴史の証言に、落語の奥深さを感じた。「今の政治家は腹でも頭でもなく口先だけでうわべだけを喋っている」。成る程と共感。無名塾を開いた俳優仲代達矢さんも、東京大空襲の焼け野原の生き証人。戦争を知らない政治家達が政権閣僚全員を占める今、自覚あれ!



Ⅳ:福田康夫もと総理の箴言
『福田元首相、安倍政権を批判 「国家の破滅近づく」』と新聞が一斉に伝えた。福田康夫氏の父親福田赳夫氏は、戦前大蔵省で高橋是清蔵相を支え陸軍担当主計官だった。陸軍軍拡をおさえ退けた高橋蔵相は、2.26事件で暗殺された。福田康夫氏は福田赳夫氏の秘書だった。(この事実は安江良介氏が何度か紹介している。たとえば安江良介『同時代を見る眼』「同時代としての50年」[惜別・福田赳夫さん]p293(岩波書店1988年刊)



Ⅴ:憲法9条誕生正史
 憲法9条が米軍の意見に幣原喜重郎大臣が朱書きして、日米合作という高柳信三憲法調査会の見解。国会で「押しつけ憲法だ」ととんでもないフェイクニュースを発言した岸信介。あの祖父にしてこの孫あり。A級戦犯が極東情勢の激変に伴い、GHQは釈放した。これが岐路だ。

政治家比較人間学入門以前~小池百合子氏と野田聖子氏~

2017-08-02 21:32:01 | 政治・文化・社会評論
小池百合子氏と野田聖子氏2017

          櫻井 智志



Ⅰ:卓越したふたりの保守政治家


小池百合子氏と野田聖子氏。2人を遠くから見ていると、力量がありしっかりと政治に取り組む政治家は、大変なことと想う。第2次政権の安倍首相の支持率低落のさなかに内閣入りが噂される野田聖子議員。1年をたとうとしている小池百合子都知事。140字以内で、2人をそれぞれ所感をこの後に述べる。



Ⅱ:小池百合子都知事の国政展望

衆院議員の頃と都知事当選後の今。小池都知事は発進力に優れている。自分を印象づける独創的才能は抜群だが、具体的な内容は1年たっても見えない。むしろ人々を惹き付けて、国政の「受け皿」とマスコミに言わせている。国政に手を伸ばしたら、衆院議員の小池氏を調べれば何をするか方向性はわかるだろう。




Ⅲ:野田聖子議員入閣濃厚のベクトル


野田聖子議員。一強多弱の時、安倍候補に対立して立候補を決意したが、党内の逆風で辞めた。小泉内閣郵政選挙に異を唱え、冷や飯を食う。テレビで子育ての様子に感銘した。難病で困難な中での温み。弱者への人としての心が野田氏の信念ある政治行動の源だろう。内閣に入れば本意と逆の行動もあり得る。