https://news.goo.ne.jp/article/phpbiz/bizskills/phpbiz-20210305190100543.html2021/04/01 12:00PHPオンライン衆知
企業のコンサルティングで実績を上げてきた遠藤功氏は、雑談の中でこそ貴重な情報が得られると語る。ビジネスパーソンに必要とされる「質問力」とは。
「コンサルタントの質問力」と聞くと、鋭いナイフの刃のようなイメージがあるかもしれない。しかし、数々の企業のコンサルティングで実績を上げてきた遠藤功氏は、雑談のような雰囲気の中でこそ、貴重な情報を得られると言う。コンサルタントに限らず、すべてのビジネスパーソンにとって必要な質問力とは?
本稿では、「質問する時間が限られている場合」や「自分が聞きたいことが聞けていない時にすべきこと」など具体例と共に5つのポイントにまとめて同氏がアドバイスしている。
※本稿は『THE21』2021年4月号より一部抜粋・編集したものです。
取材・構成:林加愛
事前準備が不十分だと心を閉ざされる危険も
――コンサルタントに限らず、質問力はすべてのビジネスパーソンに必要なスキルだ。自信を持てない人は、何から始めればよいだろうか。
「質問力を高めるには、五つのポイントがあります。一つ目は、事前準備をしっかりとすること。良い質問をするには準備が9割と言ってもよいくらいです」
――なぜ、事前準備がそれほどまでに重要なのか。一つは、本番での時間のムダを防ぐためだ。
「限られた質問時間の中で、いかに有効な質問をするかが勝負。事前に調べればわかることを聞くのはムダですし、『そんなことも調べてないの?』と、相手に心を閉ざされる危険もあります」
――加えて、会話の内容がどう転んでも対応できるようにしておくという目的もある。
「経営トップに質問をする場合、インタビュー記事などがあれば、それを読んで考え方を知っておくのはもちろん、出身校や出身地、趣味などについても知っておけば、その話題が出たときに対応でき、信頼につなげることができます」
――事前準備が万全であることは、本番での自信にもなる。
「どんな話題にも対応できる準備をしておけば、怖気づかずに済みます。目上の人が相手でも気後れせず向き合えるでしょう」
「相手の話したいこと」に焦点を当てる
――二つ目のポイントとして遠藤氏が挙げるのは、「アクティブリスニング」だ。
「アクティブリスニングとは、すなわち、傾聴力。相手の話に興味があることを示しながら聞きましょう。それには、相槌のレパートリーをたくさん持っておくことです。
『はい』ばかり繰り返す平坦な相槌では、相手も話す気が起きません。『面白いですね』『大変でしたね』『そんなことがあったとは!』とバリエーション豊かに反応することで、相手が話しやすくなります」
――一つのトピックに対して、複数の質問をするのも、アクティブリスニングだ。
「大きな質問の中に、小さな質問を挟んでいくイメージです。最初の大きな質問に答えが返ってきたら、『それは、さぞ困られたのでは?』『どうやって切り抜けられたのですか?』というように、詳しく聞きます。
これは、必ずしも意味のある質問でなくても構いません。小さな質問の目的は、相手の話したい気持ちを喚起することにあるからです。
自分が聞きたいことばかりを聞かず、話の流れの中で、相手が何を話したいかを考えましょう。相手が話したいことは、相手の関心事や信条などを知っていれば、想像がつきやすい。ここでも、丹念な事前準備が活きてきます」
相手のスイッチが入る「質問の順番」とは?
――三つ目のポイントは、質問の順番を組み立てること。
「スタート地点では、相手のスイッチはオフの状態です。オンにするには、序盤で『相手が話したいこと』をじっくりと聞くこと。それから徐々に『こちらが聞きたいこと』に話題を移していきます。あらかじめそのストーリーを考えて、質問の順番を組み立てましょう」
――ただし、その予定はしばしば狂うものだ。
「『相手が話したいこと』が延々と続いて、『聞きたいこと』に近づけないことはよくあります。しかし、相手の話を遮って話題を変えてはいけません。必要な回り道だと考えて、焦らず耳を傾けましょう」
――とはいえ、時間には制限がある。聞きたいことを聞けずに話が終わるのを避けるには、どうすればいいのだろうか。
「相手が話題を変える瞬間をうまく捉えて質問を投げかける臨機応変さがあるといいですね。もしくは、『刑事コロンボ方式』。犯人と他愛もない会話をずっと交わしたあと、『最後にもう一つだけ』と言ってズバリと切り込むコロンボのように、大事な質問を最後にするのも有効です」
――ただし、この順番が好みに合わない相手もいるので注意が必要だ。
「忙しいから、最初からズバッと聞いてほしい、というタイプです。相手がそれに該当するかどうかは、第一印象から読み取るしかありません」
質問をしないのが究極の質問の達人!?
――核心に近づいたら、こちらの仮説をぶつけて相手の反応を見る。これが第4のポイントだ。
「言葉だけではなく、顔色や表情、態度もチェックしましょう。言葉はYESで内心はNOということもあるからです。時には、相手自身も白黒がつけられない、グレーな反応になることもあります。
その場合は、相手がイメージを浮かべやすい質問をしましょう。『現状のサービスはどうですか?』と漠然と聞くのではなく、『こんなサービスがあったら嬉しいですか?』『○○円ならこのサービスを利用しますか?』などと聞けば、反応が具体的になります」
――最後の5ポイント目は、「雑談力」だ。
「良い質問は、例外なく雑談的。キャッチボール式の会話になっています。その逆が1問1答です。次の質問へと次々移ってしまっては、相手は楽しんで答えられません。相手を楽しませることこそが、質問力の決め手です。質問者に向かって話す時間が楽しく、快適であればあるほど、リアルな本音や大事な情報を話してくれるでしょう」
――その状態に入ったら、しめたもの。質問をしなくても相手が話してくれる状態を作るのが、究極の質問力だ。
「達人となると、もう質問さえしません。そこまで到達できるかどうかはともかく、質問者は『心を開かせる力』を問われているのです。全人格が試されるテーマと言っていいでしょう」
感想;
この記事を読んで、頭に浮かんだのは「立花隆さんはインタビューするとき、相手の著書を全て読まれて準備される」でした。
既に本や他のインタビュー記事にはない、新しいものを引き出そうとするには、相手を知ることだそうです。
「雑談力」、雑談の中に本音が潜んでいることがあるのでしょう。
医薬品製造所のGMP査察に行くと、できるだけ相手はしゃべらすようにしていました。
発言を促すような返しを行います。
その話の中で気になった点を尋ねるようにしていました。
企業のコンサルティングで実績を上げてきた遠藤功氏は、雑談の中でこそ貴重な情報が得られると語る。ビジネスパーソンに必要とされる「質問力」とは。
「コンサルタントの質問力」と聞くと、鋭いナイフの刃のようなイメージがあるかもしれない。しかし、数々の企業のコンサルティングで実績を上げてきた遠藤功氏は、雑談のような雰囲気の中でこそ、貴重な情報を得られると言う。コンサルタントに限らず、すべてのビジネスパーソンにとって必要な質問力とは?
本稿では、「質問する時間が限られている場合」や「自分が聞きたいことが聞けていない時にすべきこと」など具体例と共に5つのポイントにまとめて同氏がアドバイスしている。
※本稿は『THE21』2021年4月号より一部抜粋・編集したものです。
取材・構成:林加愛
事前準備が不十分だと心を閉ざされる危険も
――コンサルタントに限らず、質問力はすべてのビジネスパーソンに必要なスキルだ。自信を持てない人は、何から始めればよいだろうか。
「質問力を高めるには、五つのポイントがあります。一つ目は、事前準備をしっかりとすること。良い質問をするには準備が9割と言ってもよいくらいです」
――なぜ、事前準備がそれほどまでに重要なのか。一つは、本番での時間のムダを防ぐためだ。
「限られた質問時間の中で、いかに有効な質問をするかが勝負。事前に調べればわかることを聞くのはムダですし、『そんなことも調べてないの?』と、相手に心を閉ざされる危険もあります」
――加えて、会話の内容がどう転んでも対応できるようにしておくという目的もある。
「経営トップに質問をする場合、インタビュー記事などがあれば、それを読んで考え方を知っておくのはもちろん、出身校や出身地、趣味などについても知っておけば、その話題が出たときに対応でき、信頼につなげることができます」
――事前準備が万全であることは、本番での自信にもなる。
「どんな話題にも対応できる準備をしておけば、怖気づかずに済みます。目上の人が相手でも気後れせず向き合えるでしょう」
「相手の話したいこと」に焦点を当てる
――二つ目のポイントとして遠藤氏が挙げるのは、「アクティブリスニング」だ。
「アクティブリスニングとは、すなわち、傾聴力。相手の話に興味があることを示しながら聞きましょう。それには、相槌のレパートリーをたくさん持っておくことです。
『はい』ばかり繰り返す平坦な相槌では、相手も話す気が起きません。『面白いですね』『大変でしたね』『そんなことがあったとは!』とバリエーション豊かに反応することで、相手が話しやすくなります」
――一つのトピックに対して、複数の質問をするのも、アクティブリスニングだ。
「大きな質問の中に、小さな質問を挟んでいくイメージです。最初の大きな質問に答えが返ってきたら、『それは、さぞ困られたのでは?』『どうやって切り抜けられたのですか?』というように、詳しく聞きます。
これは、必ずしも意味のある質問でなくても構いません。小さな質問の目的は、相手の話したい気持ちを喚起することにあるからです。
自分が聞きたいことばかりを聞かず、話の流れの中で、相手が何を話したいかを考えましょう。相手が話したいことは、相手の関心事や信条などを知っていれば、想像がつきやすい。ここでも、丹念な事前準備が活きてきます」
相手のスイッチが入る「質問の順番」とは?
――三つ目のポイントは、質問の順番を組み立てること。
「スタート地点では、相手のスイッチはオフの状態です。オンにするには、序盤で『相手が話したいこと』をじっくりと聞くこと。それから徐々に『こちらが聞きたいこと』に話題を移していきます。あらかじめそのストーリーを考えて、質問の順番を組み立てましょう」
――ただし、その予定はしばしば狂うものだ。
「『相手が話したいこと』が延々と続いて、『聞きたいこと』に近づけないことはよくあります。しかし、相手の話を遮って話題を変えてはいけません。必要な回り道だと考えて、焦らず耳を傾けましょう」
――とはいえ、時間には制限がある。聞きたいことを聞けずに話が終わるのを避けるには、どうすればいいのだろうか。
「相手が話題を変える瞬間をうまく捉えて質問を投げかける臨機応変さがあるといいですね。もしくは、『刑事コロンボ方式』。犯人と他愛もない会話をずっと交わしたあと、『最後にもう一つだけ』と言ってズバリと切り込むコロンボのように、大事な質問を最後にするのも有効です」
――ただし、この順番が好みに合わない相手もいるので注意が必要だ。
「忙しいから、最初からズバッと聞いてほしい、というタイプです。相手がそれに該当するかどうかは、第一印象から読み取るしかありません」
質問をしないのが究極の質問の達人!?
――核心に近づいたら、こちらの仮説をぶつけて相手の反応を見る。これが第4のポイントだ。
「言葉だけではなく、顔色や表情、態度もチェックしましょう。言葉はYESで内心はNOということもあるからです。時には、相手自身も白黒がつけられない、グレーな反応になることもあります。
その場合は、相手がイメージを浮かべやすい質問をしましょう。『現状のサービスはどうですか?』と漠然と聞くのではなく、『こんなサービスがあったら嬉しいですか?』『○○円ならこのサービスを利用しますか?』などと聞けば、反応が具体的になります」
――最後の5ポイント目は、「雑談力」だ。
「良い質問は、例外なく雑談的。キャッチボール式の会話になっています。その逆が1問1答です。次の質問へと次々移ってしまっては、相手は楽しんで答えられません。相手を楽しませることこそが、質問力の決め手です。質問者に向かって話す時間が楽しく、快適であればあるほど、リアルな本音や大事な情報を話してくれるでしょう」
――その状態に入ったら、しめたもの。質問をしなくても相手が話してくれる状態を作るのが、究極の質問力だ。
「達人となると、もう質問さえしません。そこまで到達できるかどうかはともかく、質問者は『心を開かせる力』を問われているのです。全人格が試されるテーマと言っていいでしょう」
感想;
この記事を読んで、頭に浮かんだのは「立花隆さんはインタビューするとき、相手の著書を全て読まれて準備される」でした。
既に本や他のインタビュー記事にはない、新しいものを引き出そうとするには、相手を知ることだそうです。
「雑談力」、雑談の中に本音が潜んでいることがあるのでしょう。
医薬品製造所のGMP査察に行くと、できるだけ相手はしゃべらすようにしていました。
発言を促すような返しを行います。
その話の中で気になった点を尋ねるようにしていました。
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