英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『将棋世界』6月号③

2009-07-12 23:03:03 | 将棋
★「会心の構想で初戴冠」棋王戦第5局 観戦記 伊藤能五段

 久保八段の名局でした。初タイトル奪取を決めた一局ということもあって、久保新棋王にとっては忘れられない将棋になるでしょう。
 伊藤五段の観戦記も、分かりやすかったです。まず、手の評価や局面分析を述べたあと、その理由や詳細を付け加えています。一局を通してのポイントの絞り方も適切で、大平五段と並ぶ書き手だと思いました。


 何と言っても、伊藤五段が「1人時間差の角」と小見出しに付けたほどの、久保八段の角打ちからの構想が素晴らしかった。

(その指し手の巧妙さを観戦記で分かりやすく書かれていて、それを引用すべきなですが、長くなるので抜粋して説明します)



 △3三角(第1図)は、先手玉が8八ではなく7八にいるので脅威を感じる手ではない。とりあえず先手からの▲2四歩を防いだだけの凡手に映る。
 佐藤はその角をめがけて、▲3六歩△9二香▲3七桂と右桂を活用する。
 ところが、久保はそこでスッと△4二角(第2図)と引く。久保の狙いは端攻めにあったのだ。



 第1図の△3三角ですぐに△4二角と打つと、▲5二銀という手がある。△5二同飛は▲4一角の飛車金両取り。△8一飛は▲5四角で、いずれも後手がまずい。
 ところが、第2図で▲5二銀は△同飛▲4一角△6二飛▲3二角成に△1五角が馬桂両取りで後手が良くなる。


 だそうで、
「まるで1人時間差攻撃のような角の動き」と評している。佐藤棋王にも「▲3六歩~▲3七桂が自然なようで問題でしたか」と言わしめている。一本取られた感じだ。

 しかし、佐藤棋王も簡単には土俵を割らない。意地の張り合いのような派手な応酬を見せる。
 第2図以下、▲6六銀△9五歩▲同歩△9一飛▲9六銀(第3図)



△9七銀(第4図)



▲7五歩△9五香▲同銀△同飛▲8六角(第5図)



△同銀不成▲9五香△9六角(第6図)と進む。




 第5図では久保八段優勢だが、佐藤棋王も猛烈に追い込み、形勢混沌かと言われる局面まで持ち込む。が、久保八段も踏み止まり、最後に佐藤棋王に痛恨の桂打ちの悪手が出て、久保八段の初タイトルの獲得となっている。
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『MR.BRAIN』 最終回「終幕~さらば愛しの変人脳科学者!!最後の脳トレは笑顔活用法」

2009-07-12 14:52:30 | ドラマ・映画
 最終話のテーマは「笑み(笑い)」と「誘導」でした。

 九十九(木村拓哉)を鼻で笑った北里(上川隆也)に、人を殺したら笑えなくなると説得し、ダミーのライフルで警察を誘導した手口を、ダミーの携帯電話でやり返し、北里がすっきりした表情で自然に笑うという終末。よかったです。
 犯行声明に相当する血のバツ印に、強烈な犯人の意思が込められているのは評価できる。
 面白かったです。


 ですが、多少の疑問点、突っ込みが残ります。些細なことなので、興味ある方は読んでみてください。

①北里の協力者(手下?)は、九十九を縛った後、どこへ消えたの?

②衆議院議員・尾崎をタイムリミットを決めて殺さず監禁したのはなぜ?
 同様に当時の担当裁判官だった津田も殺さず拉致しようとしたのはなぜ?
 自分の無実や警察の汚さを証明することより、復習するのが目的だったようなので、北里の犯行には矛盾がある。
 警察をあざ笑うことも目的だったようなので、それはそれでいいのかもしれない。

③飴の連絡方法は、時間と手間がかかるだけで、合理的だとは思えない。

④何者か(九十九)の気配を感じた北里だが、そのまま犯行を実行した。
 飴をすり替えられずに黄色(注意)だった場合、注意って、どうしたらいいの?

⑤武井刑事(市川海老蔵)が、津田への復讐を実行したことを知ったとき、狼狽し悔しがっていたが、黄色の合図なら普通実行するのでは?

⑥科警研の連中、九十九に影響され過ぎ

⑦当時の事件の担当者である尾崎の息子・伸一郎(鈴木一真)が、北里の骨髄に適合するというのは、奇跡的な確率である。そのうえ、北里は100万分の1というDNA鑑定の誤差で冤罪になっているし。
 それにしても、鈴木一真さん、こういう怪しいけれど犯人じゃないというパターンが多いなあ。
コメント (2)
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