英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

女流棋士誕生35周年記念パーティ⑪ 《終》

2009-07-03 15:49:25 | 将棋
 女流棋士の皆さんの見送りを受け会場を後にする。

 「安食さん、秒読み頑張ってください」と、安食女流に声を掛ける。
 相変わらずのピンとはずれな言葉だ。彼女は「秒読み」ではなく、「棋譜読み上げ」。しかも、本当に頑張ることは、将棋であろう。

 今回のパーティーについて、ひとこと。充分楽しめたが、料理をもう少し頑張って欲しかった、量だけでも。質を確かめる量がなかった。私の場合、料理は二の次で、棋士とのふれあいが目的だったので、それほど不満は残らなかったが。


 ともあれ、小暮さん、yutanpoさんと3人で、2次会へ。

 以前にも書いたが、小暮さんは、一昨年、福井の芦原での王位戦でお会いして、SMSの日記を見てくれて、わざわざ、「あの福井での方だったんですね」とコメントをくださったことがある。
 お会いしたと言っても、二言か三言、言葉を交わしただけである。なのに、会場でいろいろ気を配ってくださっただけでなく、2次会までご馳走してくれた。
小暮さんなじみの居酒屋?で、料理が切れることなく、あれこれ注文してくれた。すごく、おいしかった。
 いや、白状すると、味はよく覚えていない。というと、小暮さんはがっかりするかもしれない。何しろ、朝から、仕事、靴の破損、慣れない東京、新型インフルエンザ、パーティと怒涛のごとく押し寄せてくる緊張や興奮、味覚まで神経が回らなかった。
 でも、「おいしかった」という記憶は鮮明に残っている。好きな将棋が縁で知り合い、将棋を語り合う、楽しく、幸せなひと時だった。

 小暮氏は、人と人との縁を大切にし、その喜びを知っている男だ。特に今回は、私が遠い福井の地から、新型インフルエンザの脅威に決死の覚悟(おおげさ)で上京して来たことに対して、将棋を愛するものとして、歓待しなければ男が廃るという思いで、声を掛けずにいられなかったそうだ。熱い、篤い男だ。
 ありがたい。ほんとうに嬉しかった。

 yutanpo氏も、ブログで多少のやり取りがあったとはいえ、私のブログを読んで、千葉から駆けつけてくれた。ありがたい。

 世知辛い世の中で、すごくいい気分になった。


 小暮さんは、このように兄貴肌で、しかも、口が堅い。観戦記も指し手の変化など手を抜かない(他の将棋ライターの方がそうでないと言っているのではありません)。なので、棋士にも信頼が厚く、棋士も本音をさらす。
 あの夜、そういった話もいろいろ伺えた。

 えっ、「口が堅い」じゃあなかったの?
 と、突っ込みたくなったが、「口が堅い」ではなく「書かない」と言っていたのかもしれない。まあ、今回は、私へのサービスと私を信頼してくれて、いろいろ語ってくれたのだろう。

 だから、私も書かない。では、ここまで読んでくださった方は、納得できないでしょう。
 なので、小暮さんに了解を取って、一番、面白かった話をひとつだけ。

(小暮さんは、将棋界を混乱に陥れることでなければ、どんどん書いてくださいと言ってくれた。と書くと、そんな話も飛び出たのかと勘ぐられてしまいますが、「何を書いてもいい」という意味です)




 名人戦第3局、横歩取り8五飛戦法の5五に飛を振り、△4五桂の丸山新手を採用し進んだのが第1図。



 ここから、△5六同馬▲同歩△2五歩▲3六飛△5二玉(第2図)と進む。



 将棋世界7月号の観戦記(谷川九段)には
「△5六同馬からが未知の将棋となる。この手を予定していたので横歩取りに誘導したのだろうか。郷田は意外だったか、▲同歩に36分考えている。
 △5二玉が柔らかい手渡し。▲3四歩△3五歩▲3三歩成の決戦に備えている」
とある。

 まさに、羽生名人らしい柔らかい指し回し。「羽生新手」の評判はよかった。

 しかし、小暮さんは
《あの手順は、佐藤九段が自分の著書に記した手順と同じ。「羽生名人らしい柔らかな手順の新手」という評価は、佐藤九段にしてみれば、納得がいかないだろう》
と、思っていた。
 なので、佐藤九段に、その辺りの思いをたずねてみた。
 ところが、それに対する佐藤九段の言葉が、意外なものだった。



ええぇっ!本当ですか?


 佐藤九段は、自分がその変化手順を書き記していたことを、全く、忘れていたのだった。


 嘘みたいな話だ。

 佐藤九段とは友達になりたい。


 yutanpoさんの疑問も面白かった。

「NHK杯の女流枠、矢内女王が勝ち取ったけれど、矢内さんの対局の時、誰が司会や聞き手をするのだろう?」

 そういえば、そうだ。
 司会を矢内女王がするとしたら、自分で自分を紹介するのだろうか?
 自分で「矢内女王」とは言わないだろうが、言ったら面白い。でも、年度初めのトーナメント表の紹介の時、「矢内」と言っていたように思う。

 個人的には、解説部分は、局後撮り直して、矢内、山崎七段のコンビでやってほしい。



 長々と続いた『女流パーティ記』も、今日で終わりです。お付き合いくださったみなさま、ありがとうございました。

 女流棋士のみなさんも、お疲れ様でした。
 小暮さん、yutanpoさん、いい思い出になりました。本当にありがとう。
コメント (5)
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