今までも書きましたが、話の核は良いのですが、主人公を輝かせようとしすぎて、ストーリーが歪んでしまっている感が強いです。
【ストーリー】(公式サイトより)
珠実(江角マキコ)は、夏休みをとって家族でキャンプへ行くことに。勤務医の高広(市川亀治郎)は、36時間の勤務明けで出掛ける予定だった。高広が勤務を終えて病院を出ようとしたとき、脳梗塞で意識不明の患者が搬送される。
患者は、梶田弘樹という少年。手の空いている医師がおらず、高広が緊急オペを行う。手術は成功したと思われたが、一週間後に弘樹は突然倒れて亡くなる。高広にも原因が分からず、遺族に病理解剖を勧めるものの、拒否される。珠実も遺族の説得にあたり、司法解剖を提案。しかし、司法解剖をするには警察に届け出る必要があり、それは高広が被疑者となってしまうことでもあった…。
この話の肝は、夫を被疑者扱いにしてまで、死因を追求しようとする主人公珠実の信念であろう。
そして、そこまでする理由とは
Ⅰ 死因を明らかにしないまま火葬してしまうと、今後永久にわだかまりを抱えたまま生きていかねばならなくなる。珠実は遺族にそういう思いをさせたくない。
Ⅱ 医学的に死因を解明しないと、今後また同様なケースを招く危険性がある
という訳で、今回の珠実の行動を私は支持したい。しかし、実の夫を被疑者扱いにするという決断はなかなかできない。
しかし、鉄の神経の持ち主ならともかく並みの医師なら、手術後、原因不明で死亡してしまったら、怖くてメスをもてなくなるのではないだろうか。夫の立場が悪くなるとはいえ、「手術にはミスはない」という言葉、夫婦の絆を信じ、告発するのが最善手としたい。
とは言え、こういった重大行為を、独断で実行してしまうのが珠実らしさであり、珠実の欠点でもある。
さて、こういった話の核は良かったと思うが、上記の珠実の信念(活躍)、そして、もう一人のヒロインの知佳(石原さとみ)の再解剖の英断(活躍)をさせるため、ストーリーが歪んでしまったのが、残念だった。
息子が手術は成功したと説明を受けたにもかかわらず、突然亡くなってしまいた両親が、病院を信用できないと病理解剖を拒むのは理解できる。しかし、しかし突然の死に疑問と怒りがあるのに、医療ミスで訴えようと動かないのは非常に不自然。
両親この不自然な動き(動かなさ)のうらには、珠実の「夫を被疑者にしてまで死因究明するという信念」を見せなければならないという事情があったからであろう。
さらに、死因が小脳梗塞などの寝たきりによって引き起こされた肺塞栓症(エコノミー症候群)と判明したが、珠実は「もともとの小脳梗塞の原因は何だったのかを解明しないと、遺族は納得しない」と主張。
しかし、病理学的には確かに小脳梗塞の原因を究明するという意味は大いに感じる。なのに名倉(稲垣吾郎)が再解剖をかたくなに拒否する理由がいまいち理解できない。必要なことだけ行うという自分の主義のためか?それとも珠実への対抗心のせいか?
その辺りがはっきりわからないので、名倉の拒否が知佳の活躍のためのお膳立てに思えてならない。
それはともかく、両親としては「手術が成功したのに、なぜ突然亡くなってしまったのか」の方が大問題であろう。
結局、サッカーの試合中に首をひねったのが原因だったことが判明し、その時にはたいしたことないように感じ放っておいた、また、その後も吐き気などの兆候があったのだが軽く考えていて、処置が早ければ手術せずに済んだということだった。でも、そもそも術後の段階で、翔脳梗塞の原因を考えるはず。ここまでそのことに触れないのは変。
結果、小脳梗塞の兆候を見逃したことを深く悔いることになってしまった。しかし、これって術後の処置の責任を転嫁してしまっただけなのでは?
小脳梗塞の原因が何であれ、手術、術後の処置に責任があるはずで、そこをちゃんとしていれば死に至らなかったはずと考えるのが普通のように思えるが、どうなんだろうか。
ドラマではエコノミー症候群をおこさないような処置をしていたので病院側には否はないとしていましたが、本当にそうなのか?と疑問に思うし、息子を亡くした両親なら余計そう思うのではないだろうか?
刑事ドラマでよく使われるパターンに、最初、怪我をさせた容疑者が犯人と思われ(自身も犯人と思い込む)、実はその後に止めを刺した犯人がいたというパターン。殺人罪に問われるのは止めを刺した者のはず。何かうまくごまかされてしまったような気がする。
結局、私の嫌いなパターンの主役特権ドラマ、「江角マキコ劇場」に過ぎなかった気がする。
核の部分は良いだけに、非常に惜しい。
あと、個人的に気になるのは、知佳が珠実にシリアスな話をする場合、必要以上に抑揚を抑え、何か心に含んだような話し方になる点。もっと、普通に話せばいいのになと思う。
【ストーリー】(公式サイトより)
珠実(江角マキコ)は、夏休みをとって家族でキャンプへ行くことに。勤務医の高広(市川亀治郎)は、36時間の勤務明けで出掛ける予定だった。高広が勤務を終えて病院を出ようとしたとき、脳梗塞で意識不明の患者が搬送される。
患者は、梶田弘樹という少年。手の空いている医師がおらず、高広が緊急オペを行う。手術は成功したと思われたが、一週間後に弘樹は突然倒れて亡くなる。高広にも原因が分からず、遺族に病理解剖を勧めるものの、拒否される。珠実も遺族の説得にあたり、司法解剖を提案。しかし、司法解剖をするには警察に届け出る必要があり、それは高広が被疑者となってしまうことでもあった…。
この話の肝は、夫を被疑者扱いにしてまで、死因を追求しようとする主人公珠実の信念であろう。
そして、そこまでする理由とは
Ⅰ 死因を明らかにしないまま火葬してしまうと、今後永久にわだかまりを抱えたまま生きていかねばならなくなる。珠実は遺族にそういう思いをさせたくない。
Ⅱ 医学的に死因を解明しないと、今後また同様なケースを招く危険性がある
という訳で、今回の珠実の行動を私は支持したい。しかし、実の夫を被疑者扱いにするという決断はなかなかできない。
しかし、鉄の神経の持ち主ならともかく並みの医師なら、手術後、原因不明で死亡してしまったら、怖くてメスをもてなくなるのではないだろうか。夫の立場が悪くなるとはいえ、「手術にはミスはない」という言葉、夫婦の絆を信じ、告発するのが最善手としたい。
とは言え、こういった重大行為を、独断で実行してしまうのが珠実らしさであり、珠実の欠点でもある。
さて、こういった話の核は良かったと思うが、上記の珠実の信念(活躍)、そして、もう一人のヒロインの知佳(石原さとみ)の再解剖の英断(活躍)をさせるため、ストーリーが歪んでしまったのが、残念だった。
息子が手術は成功したと説明を受けたにもかかわらず、突然亡くなってしまいた両親が、病院を信用できないと病理解剖を拒むのは理解できる。しかし、しかし突然の死に疑問と怒りがあるのに、医療ミスで訴えようと動かないのは非常に不自然。
両親この不自然な動き(動かなさ)のうらには、珠実の「夫を被疑者にしてまで死因究明するという信念」を見せなければならないという事情があったからであろう。
さらに、死因が小脳梗塞などの寝たきりによって引き起こされた肺塞栓症(エコノミー症候群)と判明したが、珠実は「もともとの小脳梗塞の原因は何だったのかを解明しないと、遺族は納得しない」と主張。
しかし、病理学的には確かに小脳梗塞の原因を究明するという意味は大いに感じる。なのに名倉(稲垣吾郎)が再解剖をかたくなに拒否する理由がいまいち理解できない。必要なことだけ行うという自分の主義のためか?それとも珠実への対抗心のせいか?
その辺りがはっきりわからないので、名倉の拒否が知佳の活躍のためのお膳立てに思えてならない。
それはともかく、両親としては「手術が成功したのに、なぜ突然亡くなってしまったのか」の方が大問題であろう。
結局、サッカーの試合中に首をひねったのが原因だったことが判明し、その時にはたいしたことないように感じ放っておいた、また、その後も吐き気などの兆候があったのだが軽く考えていて、処置が早ければ手術せずに済んだということだった。でも、そもそも術後の段階で、翔脳梗塞の原因を考えるはず。ここまでそのことに触れないのは変。
結果、小脳梗塞の兆候を見逃したことを深く悔いることになってしまった。しかし、これって術後の処置の責任を転嫁してしまっただけなのでは?
小脳梗塞の原因が何であれ、手術、術後の処置に責任があるはずで、そこをちゃんとしていれば死に至らなかったはずと考えるのが普通のように思えるが、どうなんだろうか。
ドラマではエコノミー症候群をおこさないような処置をしていたので病院側には否はないとしていましたが、本当にそうなのか?と疑問に思うし、息子を亡くした両親なら余計そう思うのではないだろうか?
刑事ドラマでよく使われるパターンに、最初、怪我をさせた容疑者が犯人と思われ(自身も犯人と思い込む)、実はその後に止めを刺した犯人がいたというパターン。殺人罪に問われるのは止めを刺した者のはず。何かうまくごまかされてしまったような気がする。
結局、私の嫌いなパターンの主役特権ドラマ、「江角マキコ劇場」に過ぎなかった気がする。
核の部分は良いだけに、非常に惜しい。
あと、個人的に気になるのは、知佳が珠実にシリアスな話をする場合、必要以上に抑揚を抑え、何か心に含んだような話し方になる点。もっと、普通に話せばいいのになと思う。