英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

世界柔道2011 女子48キロ級 浅見×福見

2011-08-24 16:55:12 | スポーツ
 世界柔道2011女子48キロ級の決勝は、浅見×福見となった。
 昨年の決勝と同じ顔合わせで、「因縁の対決」と言って良いだろう。
 この時は、福見が2度の指導を受け、浅見の判定勝ちとなった。専門家や他の方々の目に同映ったかは分からないが、私はこの判定に疑問を感じずにいられなかった。(詳しくは昨年記事
 福見選手といえば、2002年の全日本選抜柔道体重別選手権で、対日本人選手12年間無敗だった谷良子(当時は田村姓)を破り、脚光を浴びた(この時の谷は怪我によるブランク明けの大会だった)
 その後も実力を伸ばし、2007年の全日本選抜柔道体重別選手権決勝で、谷を破っている。この時も谷は出産のため2年ぶりの復帰戦だったが、私は谷に匹敵、あるいは上回る実力を持っていたと考えている。
 谷はこの体重別選手権しか参加しておらず(出産により2年間不出場)、谷が実力を示していなかったにもかかわらず、谷の実績を重視した連盟は世界選手権代表に谷を選出した。
 谷と戦う場はこの体重別しか機会がなく、その唯一の機会で谷に勝利したにもかかわらず、代表になれないのなら、初めから他の選手が代表になる可能性はなかったと、非常に連盟の選考に疑問を持った記憶がある。
 この世界選手権では谷が優勝し、これが更なる疑問を呼ぶことになった。
 この翌年、北京オリンピック代表選考の重要な大会の選抜体重別戦で、谷は決勝で山岸絵美に敗れたにも関わらず、世界選手権優勝の実績を重視し代表に選ばれている。
 その実績を重視したという世界選手権の代表選考では、谷の実績を重視し選出しているのだから、谷がいる限り代表にはなれないということになる。

 谷の栄光の陰になってしまった悲運な選手の代表的存在の福見、山岸。福見も2009年の世界選手権でチャンピオンになっているとは言え、谷が政界に行き、これからと思ったら、新星浅見が台頭してきた。(私は、浅見は昨年いきなり現れたと思っていたが、2008年の代表選考会の準決勝で谷に指導で敗れていた)
 そんな背景の中、昨年の世界選手権(世界柔道…どちらが正式名称かはっきりしません)での疑問の残る判定負けだった。

 そんな悲運を背負ってきた福見にどうしても肩入れしてしまう私だが、昨年の世界選手権後の浅見を見ていると、これが強い。特に、上半身の鍛え上げ方は並ではないと感じ、決してフロックで世界チャンピオンでなったわけではないことが分かった。
 例によって、と言うか、いつも以上に前置きが長くなってしまった……。

 昨日の決勝は、浅見の快勝だと言えよう。
 浅見は、どんどん調子が上がってきたというような準決勝までの戦いぶり(本人もそう述べていた)
 対する福見は、動きにやや硬さが見られた。特に準決勝では、優勢を奪ったものの、後半は攻められるシーンが増え、最後には消極的にさえなっていた。
 決勝は常に浅見が先に攻め、福見がそれを返すという展開。浅見がとにかく積極的に攻め、福見の体がやや浮き上がるシーンが2度ほど見られた。さらに、時間が経っても浅見の攻勢が続き、福見は防戦一方になっていった。そこで、福見に指導が与えられるが、それでも福見のピッチは上がらない。下手をすると、もう一度指導を受け、判定負けの可能性も出てきたが、残り1分での指導だったので、そこまでには至らない雰囲気が漂っていたが、残り24秒、浅見の小内刈りが跳ぶ。
 ふわりと福見の体が浮くが、福見もこらえ、腹ばいで落ちる。「有効」までは至らない技の掛かり具合とも見られたが、「有効」の判定。残り10秒そこそこでは逆転の技も出せず、終了。浅見の快勝だった。

 技的には「有効」未満だったかもしれないが、「有効」に取られても仕方がない試合の流れだった。これが福見が互角以上に戦っていたら、「有効」にはならなかったように思える。

 試合終了後~表彰式と、福見は落胆・悔しさに表情が崩れそうになるのを必死で堪えていた。それがまた、痛々しかった。
 五輪代表には、まだまだ逆転の余地があるぞ。頑張れ、福見!
コメント
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