英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『警視庁捜査一課9係 season8』 第9話「殺しのネックレス」

2013-09-10 20:56:15 | ドラマ・映画
 2009年シリーズ(season4)辺りから、変質、劣化してきている『警視庁捜査一課9係』(詳しくは2013年9月6日記事)、今シリーズもその傾向が続き、イモ欽トリオが個々に出演した4話、6話、8話も事件関係者の心情や行動に不可解さを感じるものだった。
 他の話も9係のメンバーの魅力に助けられているだけで、事件の意外性を出すため、設定・心情、行動に無理が生じているストーリーが目立っていた。

 さて、今回取り上げる第9話「殺しのネックレス」は最終回前ということで、盛り上げ感を意識したストーリーとなっており、なんと、
  倫太郎 VS 9係
の構図となっていた。
 と言っても、ありきたりのストーリーで、記事末の「ストーリー」(あらすじ)を読んでいただければ、容易に想像がつくと思いますが、

1 主要人物、もしくは、その近親の者が罠に嵌められ、事件の容疑者に仕立てられる。
 今話では、主人公?浅輪刑事(井ノ原快彦)の上司・加納倫太郎(渡瀬恒彦)の娘・倫子(中越典子)が容疑者に仕立て上げられた。

2 その主要人物が自らの、あるいは近親者の疑いを晴らすため、単独行動を取る
 今話では、倫太郎が娘の無実を証明と娘の命を救うため、単独行動を取る。

3 2の結果、主要人物への疑いが深まり、メンバーは半信半疑になる
 今話では、倫子の容疑が深まり、倫太郎の行動も証拠隠滅を図っているように見えた。

4 クライマックスでは主要人物とメンバーが対峙、対決する。「ああ、やはり、主要人物がトチ狂ったのか」と思わせる展開を見せるが、土壇場でどんでん返しで無事解決。
 この場合、たいがい、実はメンバーも主要人物を信じており、真の解決に向けて動いたいる

 今話の場合も、例にもれず、どんでん返しで無事解決。

「その他の傾向」としては、その話に初めて登場する主要人物の上司や先輩や友人が、主要人物を罠に嵌めた張本人である


 ドラマを盛り上げるため、シリーズ終盤や最終回に用いられるパターン、別に用いるのはいいけれど、あまりにベタなので、驚き、呆れてしまった。
 だいいち、もう8年もこのメンバーでやって来て、信頼感は相当なはずだ。そう言えば、メンバーの交代がない(監察医の早瀬川(原沙知絵)が増えただけ)。周囲の脇役が消滅することはあった。
 上司が黒幕で警察が敵になる、容疑者の近親者として身動きが取れなくなる(拘束される)ということを考慮しての単独行動であったが、9係のメンバーが倫太郎に敵対するとは思えない。それに、真相を見極める目を持っており、真実を追求する心も持っている。
「もっと、信じてやれよ」と言いたい。

 9係のメンバーも煮え切らない演出だった。倫太郎が証拠隠滅などするはずがないと否定し、積極的に捜査に励むのが通常である。視聴者に倫太郎を疑わせるため、それに、クライマックスの大立ち回りを展開するためのお膳立てだったが、不自然極まりない展開だ。
 そして、クライマックス。
 真相に迫るため、犯人邸に乱入する倫太郎、それを阻止するため、倫太郎に飛び掛かる9係メンバー、それを振りほどく倫太郎だが、ついには抑え込まれ手錠を掛けられる。
 万事休す……と思いきや、悪徳上司が掌握していない警官隊が登場。倫太郎と通じていた小宮山志保(羽田美智子)が呼んだのだった。
 結局、9係のメンバーは事件に疑問を感じて、独自に事件を検証していたのだった(浅輪だけは仲間外れ)。

 じゃあ、あの大活劇は何だったの?
 それに、倫太郎に掛けられた手錠の鎖の部分を、鉈(手斧)で断裁するという盛り上げの演出も挿入だが、これも無駄。
 『水戸黄門』のお約束の殺陣シーンと考えればよいのかもしれないが、茶番としか思えなかった。


【ストーリー】番組サイトより
 倫子(中越典子)の前に自分が本当の父親だと名乗る男が現れた。ショックを受ける倫子に男は、近くのカフェで証拠を見せるから、と言って去っていく…。

 その男、風間(有薗芳記)の遺体が発見された。遺体を一目見た倫太郎(渡瀬恒彦)は表情を変えると、近くの短期契約マンションの一室へ。室内は争いがあったように乱れ、窓は開けっぱなしだ。どうやら風間はここから転落したらしい。倫太郎の素早い行動に驚く直樹(井ノ原快彦)に鑑識を呼ぶよう指示した倫太郎は、こっそりと倫子のネックレスを拾い、ポケットにしまいこむ。
 真澄(原沙知絵)の検死により風間は転落死であると断定。目撃者などの情報から女性と争って落ちた可能性が高い。風間は10年前に殺人を犯し、10日前に仮釈放になったばかり。無実を主張して控訴していたが、有罪のショックで一人娘が自殺。直後に控訴を取り下げ、服役していた。
 青柳(吹越満)と矢沢(田口浩正)は目撃者の事情聴取、志保(羽田美智子)と村瀬(津田寛治)は現場に残された靴の痕から靴屋をあたるが、直樹は単独行動をする倫太郎と連絡がとれず…。
 現場に残された靴の痕から、なんと倫子が浮上した。さらに目撃者の証言により作成された似顔絵も倫子に似ている…。
 直樹は風間が持っていた封書の差出人、沢田(窪塚俊介)を訪ねるが、沢田は風間を「石川」という女性が働く洋菓子店まで送ったという。

 そんななか、倫太郎を除く9係のメンバーが管理官の真山(矢島健一)によって集められた。真山は数々の証拠から倫子を風間殺害の最重要参考人と断定。単独で事件を捜査する倫太郎の行動を、娘を救うための証拠隠滅の可能性があるという。
 捜査の継続を禁じられた9係だが、このまま黙っているわけにはいかない。倫太郎の、倫子の疑いを晴らすため、志保らは倫太郎の行動を追跡、直樹は連絡がとれない倫子を探すのだが…。
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