英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『八重の桜』 第39話 「私たちの子ども」 【追記、追記2あり】

2013-09-29 21:31:18 | ドラマ・映画
(先週でレビューは最後のはずでしたが)
解ける(ほどける)心
 薩摩出身のリツは、八重が会津の者と知り、かたくなに拒む。
 最初は「朝敵の会津」として嫌っていたのかと思ったが、戊辰戦争の際、父を会津で亡くした。しかも、“女の鉄砲撃ち”に撃たれたとのこと。
 結核で倒れたリツを必死に看病し、リツの心もほどけていく……このシーンは良かった。非常に良かった(今回のレビューを書く要因)。残り回数が少ないせいか、打ち解けるのが早すぎだとは思ったが。

 しかし、会津戦争終結から10年、リツの身の上を知り、初めて自分の犯した罪に気付くというのはどうかと思う。シーン的には、このリツを看病する時が最適だと思うが、人生として考えた場合は、あまりにも遅すぎる。
 前話の西南戦争の際にも感じたが、「朝敵と扱われてしまった会津の無念さ薩摩・長州への恨みを八重が心の整理をしていない」点と同様に、今回初めて「戦とは言え、人の命を奪うことの罪」について、八重が初めて向き合うという不自然さを感じた。
 会津戦争での八重の諸々の心の傷を、ドラマの進行に合わせて解消していくことに、私はどうしても抵抗を感じてしまう。


【追記】
 前話において、西南戦争勃発を聞いた八重が、「日本人同士が、また銃を撃ちあうなんて」と戦争することの愚かさを嘆いていましたが、そこに至るには、本人の行為(鉄砲で人を撃った)を顧みていなければなりません。
 コメント欄で、かみしろさんが
「なんだかカリキュラムを消化する感じで、あまり葛藤している風に見えないですよね。
人間一通りのことが終わった後は、大体葛藤を経て原点を再確認したり元の地点に戻ってきたりするうちに、螺旋階段を登るように少しずつしか進めないものなんですが、そういう感じがしないです」
と仰いましたが、うまい表現でその通りだと思います。

【追記2】
 リツは架空の人物らしいです。
 また、史実では八重は薩摩出身者を冷遇したとあります。
 わざわざ架空の人物を出して、八重を美化するのに、嫌気を感じた。
 肉親を八重に撃たれたという架空の人物を出すなら、もっと早い時点で登場させて、八重に戦の罪と向き合わせてほしかったです。



★番組サイトの解説(以下の青字の部分)は違うと思う
同じ痛みを持つ者として…
戦争で父と弟を失った八重。同志社女学校にやってきた薩摩出身の女学生・リツもまた、同じく会津戦争で肉親を亡くしていて…。怒りと悲しみを抱えながら生きる彼女に、八重が伝えた思いとは?


 八重自身もドラマの中で、リツと自分は違う。リツは薩摩にいたというだけで普通の人、自分は鉄砲を撃って人の命を奪った。しかも、リツの父の命を奪っていた。
 親の仇を「同じ痛みを持つ者として」としてしまわれたら、激怒であろう。


 この番組サイトの製作者は細心の注意を払わない(無神経)とよく感じる。

【ストーリー】番組サイトより
 八重(綾瀬はるか)と襄(オダギリジョー)の念願がかない、女子教育の場となる同志社女学校が誕生した。しかし開校後まもなく、リツ(大後寿々花)という名の薩摩出身の女学生が結核にかかってしまう。
 八重はリツを自分の家に移して献身的に看病をするが、10年前の会津戦争で父を亡くしたリツは八重をかたくなに拒む。八重は自分の過去を責めて落ち込むが、あきらめずにリツを看護し続ける。その結果、2人は互いの心の内をさらけ出し合って打ち解け、リツの容体も安定していく。
 一方、覚馬(西島秀俊)は同志社女学校の新校舎の土地を手に入れるため、京都府顧問の職を退任。新しい学校づくりへ向けて、襄たちと共に動き出す。
コメント (6)
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『京都地検の女』 最終話(9月5日放送)

2013-09-29 16:29:33 | ドラマ・映画
 9月10日に、『警視庁捜査一課9係 season8』 第9話「殺しのネックレス」を書いた。
2009年シーズンから変質してきて、第9話を取り上げて批判した記事であるが、それと同様な傾向にあるのが、『京都地検の女』である。
 今更感が強いが、今シーズン(昨シーズンと言ったほうが良いかも)「3大残念サスペンス」として、上述の『警視庁捜査一課9係 season8』、『消えたタンカー』と並べて評しないと、私の精神衛生上、よろしくないので、記させていただきます。

 番組サイトのあらすじで、「衝撃のラストが待ち受ける…!」とあるが、「衝撃」を演出するのが目的となってしまっていた。

どういう衝撃だったかと言うと……
・あやが腹部を刺された
・刑事部部長の高原(蟹江敬三)の息子・荻原良(松尾敏伸)が詐欺を行った。しかも、良はかつてあやのもとで司法修習した経験があった。

 あや、高原ともに大ピンチ。良の詐欺に関しては、高原は立場上の危機、父親としての苦悩。あやにとっても良は愛弟子のようなもので、最終回らしい題材である。
 しかし、あやが刺された件と良の事件とは全く無関係。
 さらに、父親への憧憬が強くて司法を志したうえ、あやの下で「あやの精神」を学んだはずの良が、借金を抱えただけで犯罪に走るなんて、高原とあやが今まで積み上げてきたものは一体何だったのか?


 今シリーズは、成増刑事(寺島進)の娘の成増友子(前田亜季)がレギュラーに加わった。
 アメリカに留学していたが突然帰国。なぜか、実家に戻らずあやの家に居候。理由は、寺を継げという成増の意向と司法に進みたい自分の意志が合致しないからというもの。ふつうそれだけで、他人の家に転がり込むものだろうか?自立し司法を志す割には、短絡的すぎる。
 成増家にいるより、何か理由ありであやの家にいる方が、前田亜紀の存在価値を高め、ドラマ的に面白いからなのだろう。
 その煽りを食ったのが、あやの娘・りん(脇沢佳奈)。長らく娘として出演しており、昨シーズンは念願の教師となったが、突然結婚し、鶴丸家から追い出され?てしまった。

 昨シーズンから登場した検察事務官の井森幸三郎役の大杉漣も勿体ない使われ方だ。
 登場当時は、それなりの存在感が示されたが、最近はあやの暴走に振り回されるだけである。


【ストーリー】番組サイトより
 連日、残業で徹夜続きの鶴丸あや(名取裕子)は、取り調べでもミスを連発。事務官の井森(大杉漣)が心配するほど、疲労困憊していた。
 一方、京都地検刑事部部長の高原(蟹江敬三)は、取り立て屋の河村(榊英雄)から、息子で弁護士の荻原良(松尾敏伸)がよからぬビジネスに関わっているというウワサがあると聞く。良は別れた妻に引き取られたため、高原とは長らく別れて暮らしてきたが、父親への憧憬が強く司法の道を志し、かつてあやのもとで司法修習した経験があった。現在は弁護士として独り立ちしていたが、何らかの原因で多額の借金を背負ったため、危険なビジネスに関わるようになったという。久しぶりに息子と電話で話した高原は、「鶴丸って俺のブッ殺したい奴の中に入ってる」という良の衝撃的な言葉に驚く。
 そんなある雨の夜、帰宅途中のあやが何者かに腹部を刺される事件が発生…! あやは殉職してしまうのか…!? はたして犯人は…!? いよいよ最終話、衝撃のラストが待ち受ける…!
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