英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『すべてがFになる』 第1話&第2話「冷たい密室と博士たち」

2014-10-30 23:51:10 | ドラマ・映画
 かなり以前に、友人から「これは面白いという自信がある」と勧められ読み、若干悔しかったが「確かに面白かった」と感想を述べた記憶がある。
 しかし、≪面白かった≫という感触だけしか残っておらず、恥ずかしながらストーリーはほとんど覚えていない(さすがに「F」の意味は覚えているが)。ただ、天才・真賀田四季と萌絵とのやり取りはうっすらと覚えており、四季にまつわるエンディングが衝撃的に面白かったという感触(やはり感触、具体的には覚えていない)が残っている(1996年に発行。実はもっと以前だと思っていた)。

 巷では、酷評しているブログレビューが目立つ。確かに残念な要素も散見され、きっぱりと否定できないというのが正直なところだ。
 私としては、細かいところはさておいて、間賀田四季に関するエピソードをしっかり描いてほしいと思っている。冒頭の萌絵と四季の会話は雰囲気は出ていたが、四季の上から目線の態度が鼻についた。早見あかりさんが、そういった天才気質を上手く演じていたと言えるが、体格的に読書後(中)の繊細なイメージと離れていたのが不満に感じたのかもしれない。

★巷の酷評を検証
「冗長感、引き伸ばし感が強かった」
 1番の原因は、2回に分けたこと。
 さらに、複雑で強引(サプライズと偽って、被害者のふたりにも協力させる)なトリックだったので、うまく要点を整理しないと、視聴者がついていけなくなるのだが、探偵役の犀川と萌絵が天才という設定で、凡人の視点がない為、事象の整理ができなかった。萌絵も頭の回転が速いので、視聴者がじっくりと考えるところをすらすら進んでしまった。
 2回に分けるのなら、最初に萌絵が提示したトリックを考えるまでの過程を時間を掛けた方が良かった。後編の間延びの為、トリック解明も焦点がぼけてしまった。
 フェイクのトリックをじっくり見せることで、≪なぜ、ふたりは防寒服を脱いだのか?≫≪車にウエディングドレスが置いてあったのはなぜか?≫≪なぜ、意義のない密室だったのか≫等のポイントや事件を時間的空間的要素を、視聴者に整理させることができたはずだ。

 本で読む場合は、読者が何度もポイントに戻って考えを整理できるし、進行も自分の都合(マイペース)で読み進め考えるので、展開についていく間も意思も生じる利点がある。テレビは視聴者が楽するので、却って、ミステリーモノは見せ方に工夫が必要である。


 失踪した増田がミイラ化して発見のエピソードは不要だったかも。さらに間延び感を増長させた。彼の死の真相(閉じ込められたのか)もはっきりしなかった。殺されたのなら、彼のPCはその時点で処分されてしまったはずだ。そもそも、PCどのような事実が隠されていたのだろうか?
 それに、失踪の際の研究室での暴れ方もおかしい。敵意は丹羽だけに向けるのが通常だろう。
 

 間延び感が強くなってしまった要素に、刑事と萌絵のやり取り、萌絵の少女時代のエピソードが挿入されたことがある。これらのエピソードがもう少し、萌絵の魅力を感じさせるものなら意味もあったが、萌絵の行動が、単に好奇心旺盛な女の子ぐらいにしか描けてなかったのが残念。
 ラスト近くでも、彼女が乗り込んでこなかったら、里佳が飛び降りることもなかったような気がする。
 この際、天才ならではの変な論理・思考・行動とか、思考レベルが高くて冷たさを感じさせるが、犀川に対しては少女になってしまうといった所謂“ツンデレ”だったら面白いのに…



「犯人の心情・行動に納得できない」
 丹羽はともかく、「増田にレイプのことを漏らした」ことが、珠子を殺害動機というが、殺人の動機としてはかなり弱い。犀川は「彼女に悪気がなかった」と言うが、珠子が増田が好きで、嫉妬や計算から漏らしたというのなら納得できる。

 さらによく分からないのは父親の木熊。娘の殺意を知り止めるどころか、綿密な殺人計画を練る。日本が誇る研究者コンビというが、浅はか過ぎる。


★このドラマだけではないのだが…
 前編のラストで、萌絵が絶体絶命になるが、その直後の予告編で萌絵がピンピンしているシーンを流すのはどうかと思う。


【ささいな突っ込み】
 父の自殺を他殺に見せかけるため、死体発見のシーンを犀川に目撃させたが、あの悲鳴、タイミング良すぎ。1~2分おきぐらいに悲鳴を上げ続けていたのだろうか?


 面白い要素が多くあり、密室モノは好きなので、期待したい。


【ストーリー】
『前編』
 神南大学工学部建築学科3年の西之園萌絵(武井咲)は、同学科の准教授の犀川創平(綾野剛)に、ある報告をした。“もっとも神に近い人間”と犀川も絶賛する天才プログラマーの真賀田四季(早見あかり)に、面会して来たというのだ。四季は、事情により幽閉されているが、萌絵は、県知事の叔母に頼んで面会にこぎつけた。
 犀川がそれをうらやんでいると、助教の国枝桃子(水沢エレナ)がやって来る。犀川は国枝に、これから同大学の極地環境研究センターに出かけると話す。犀川に好意を持つ萌絵は、一緒に付いて行く。
 ふたりを迎えた工学部土木工学科准教授の喜多北斗(小澤征悦)の案内で、萌絵と犀川はマイナス20度の低温実験室を見学する。その後、萌絵の先輩の服部珠子(吉谷彩子)に誘われ、ふたりは実験終了の打ち上げに参加。そこには、土木工学科教授の木熊京介(平田満)や助教の市ノ瀬里佳(市川由衣)を始め、複数の学生もいた。
 打ち上げは始まったが、なんと実験室の隣室で珠子が、さらにその隣室で丹羽健二郎(菊田大輔)が殺害されていた。
 駆けつけた警察により、喜多らは事情を聞かれる。萌絵と犀川もそこにいたが、刑事の鵜飼大介(戸次重幸)によって帰宅を許される。驚く現場の刑事に鵜飼は、萌絵が県警本部長の西之園捷輔(吉田鋼太郎)の姪だと明かす。すると、突然萌絵が、犯人の逃走経路について話し始め…。

『後編』
 何者かにより低温実験室に閉じ込められた萌絵(武井咲)は、犀川(綾野剛)に救助され一命を取り留める。集中治療室に運ばれた萌絵の元へ、叔父の捷輔(吉田鋼太郎)がやってくる。捷輔は犀川に、萌絵が事件のことを調べているのは、犀川に認められたいからだろう、と話した。
 翌朝、一般病棟に移った萌絵のそばには犀川がいた。犀川は萌絵に、犯人の目星が付いているだろう、誰だと思うか、と聞く。萌絵は、犀川の推察と同じだと答え、自分の代わりにそれを確かめて来てほしいと頼む。
 同じ頃、極地環境研究センターに里佳(市川由衣)が出勤して来る。早い出勤に驚く守衛に里佳は、出張先から直接戻ったのだ、と明かした。
 その頃、研究センターに着いた犀川は、悲鳴を聞いて建物に駆け込む。実験室付近の階段の下に木熊(平田満)が倒れていて、隣では里佳が震えていた。
 現場に到着した刑事の鵜飼(戸次重幸)は、同じ場所から4つも遺体が出るとは狂っている、とため息をもらす。犀川は、そんな鵜飼から情報を収集し考察を重ねる。さらに、喜多(小澤征悦)に亡くなった増田のパソコンに残された「shika」というフォルダについて聞くと、喜多は、誰かの登録名では、と答える。
 研究室に戻った犀川は、桃子(水沢エレナ)から、犀川のパソコンのセキュリティーが何者かによって破られていたことを聞く。やがて犀川は誰かにメールを打つ。手法はすべて自明――、と書き始めた相手は、shikaだった
コメント (2)
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