2022年度A級順位戦8回戦(2023年2月1日)の結果は以下の通り
●藤井竜王(6勝2敗)-○永瀬王座(5勝3敗)
●斎藤八段(5勝3敗)-○広瀬八段(6勝2敗)
●菅井八段(5勝3敗)-○佐藤天九段(3勝5敗)
○豊島九段(5勝3敗)-●佐藤康九段(0勝8敗)
○稲葉八段(4勝4敗)-●糸谷八段(1勝7敗)
この結果、A級順位戦8回戦終了時の成績は
広瀬八段 6勝2敗(ランク5位) 最終局対戦相手 菅井
藤井竜王 6勝2敗(ランク9位) 最終局対戦相手 稲葉
斎藤八段 5勝3敗(ランク1位) 最終局対戦相手 永瀬
豊島九段 5勝3敗(ランク4位) 最終局対戦相手 佐藤天
永瀬王座 5勝3敗(ランク6位) 最終局対戦相手 斎藤
菅井八段 5勝3敗(ランク8位) 最終局対戦相手 広瀬
稲葉八段 4勝4敗(ランク10位) 最終局対戦相手 藤井
佐藤天九段3勝5敗(ランク3位) 最終局対戦相手 豊島
糸谷八段 1勝7敗(ランク2位) 最終局対戦相手 佐藤康
佐藤康九段0勝8敗(ランク8位) 最終局対戦相手 糸谷
糸谷八段の降級が決定(佐藤康九段の降級はすでに確定していた)。
挑戦権争いは、6勝2敗が広瀬八段と藤井竜王、5勝3敗が斎藤八段、豊島九段、永瀬王座、菅井八段で、挑戦権獲得の可能性を持つ棋士が6名と大混戦。
降級は同成績の場合はランク上位が優位となる(下位者の方が降級)が、挑戦権に関しては、1位タイならプレーオフが行われる。同成績が3人以上の場合は、パラマス方式となる。
最終局は5勝3敗同士の斎藤八段 - 永瀬王座 戦があり、この敗者は脱落するが、広瀬八段、藤井五冠が敗れ、豊島九段、菅井八段が勝った場合は、五人が6勝3敗の1位タイで並ぶことになる。
この場合、斎藤八段 - 永瀬王座の勝者が斎藤八段ならば、ランク下位より藤井、菅井、広瀬、豊島、斎藤の順になり、プレーオフ1回戦は菅井八段 - 藤井五冠となる。この勝者が広瀬八段と対局し、その勝者が…(以下省略)。
斎藤八段 - 永瀬王座の勝者が永瀬王座ならば、ランク下位より藤井、菅井、永瀬、広瀬、豊島の順となり、プレーオフ1回戦は菅井八段 - 藤井五冠で、その勝者が永瀬王座と……。
藤井五冠は最終局に敗れてプレーオフになった場合は、ランクが9位と低いので、五者同率の場合は4勝しなければ、挑戦権を獲得できない。(斎藤八段がプレーオフ進出の場合は1勝でよい)
広瀬八段、藤井五冠がともに敗れ、豊島九段が敗れた場合は四者プレーオフとなる(広瀬が敗れるということは、その対戦相手の菅井が勝つという事。さらに、斎藤 - 永瀬で必ずどちらかが6勝3敗となる。敗者は5勝4敗)
多人数によるプレーオフと言えば、2017年度A級順位戦(詳細はここ)。
稲葉陽八段、羽生善治竜王、広瀬章人八段、佐藤康光九段、久保利明王将、豊島将之八段が6勝4敗で並び、プレーオフ最終戦で羽生竜王(当時)-稲葉八段となり、羽生竜王が挑戦権を獲得している。
この期は、豊島八段が5連勝と独走の気配だったが、その後●●○●●と崩れ、ランクが10位だったので、一番下の山から戦うことになってしまった。それでも、久保王将、佐藤九段、広瀬八段を撃破し、もしかしたらと思ったが、羽生竜王に敗れてしまった。
個人的には、5者プレーオフで藤井五冠がプレーオフを勝ち上がっていくのを観たいが、広瀬、藤井がともに敗れるとは考えにくい。藤井-稲葉戦は、昨期のB級1組で稲葉が勝利しているとはいえ、やはり、藤井勝利の可能性が極めて高い(藤井五冠が先手)。広瀬-菅井戦も広瀬が勝つ可能性の方が若干高い。なので、広瀬八段と藤井五冠によるプレーオフが有力で、藤井五冠が単独1位ですんなり挑戦権獲得もありそうという状況だ
もし、最終局、先に藤井五冠が敗れた場合は、将棋ファンの広瀬八段への負の圧力は半端ないだろう。
【▲永瀬王座-△藤井五冠戦の簡単感想】
(部分図で申し訳ありません。運営サイドからクレームが来たことはありませんが、一応、念のため)
△8四飛……この飛車浮きに違和感。中継の解説によると、△7三桂の準備(予め桂頭を攻められる手に備えた)らしいが、後手陣への飛車の利き(守り)がなくなり、▲6六角や▲5一角の角打ちがヒットする恐れもある。実際、この手を見て▲3五歩と動く。ただし、▲3五歩に1分とほとんど考えていないので、△8四飛も主要候補手だったのだろう。実際、△8四飛で評価値もあまり下がらなかったようだ。
部分図2の直前に、飛車と桂の取り合い(このやり取りは互角らしい)、その後の金取りを藤井五冠が放置して2筋にと金を作ったのが疑問で、さらに、△3七とと寄った手も良くなかったようで、永瀬王座が優勢となったようだ。
△3七とでは△4五歩と桂を取った方が良かったようだが、桂を取っても▲3三とを利かされてしまうのがおもしろくなかったのかもしれない。(▲3三とに△同玉は▲5一角が痛い。8四飛型が響いている)
と言っても、素人目には次の△4七とが厳しく見える。
永瀬王座も△4七とと銀を取られる手を避けて▲5六銀としたが、私なら取りあえず▲3三桂成と取られる桂を先手で成桂に昇格させて胸を張るだろう。
▲5六銀以下△4九飛で部分図3。
ここで、▲3三と。……こう指すものなのか。
やはり、▲3三桂成△5二玉▲3四成桂と指したいところだ。取られる桂が成銀に昇格し、さらにその成桂で銀を取る……非常にうれしい展開で、何が不満で▲3三とを選ぶのだろう。
思うに、桂を後手に取らせる1手と4四の空間が欲しかったのだろう。
▲3三桂成△5二玉▲3四成桂と進んだ変化図と▲3三と△5二玉▲3四との実戦の進行(部分図4)を比べてみると、
それぞれの図から▲4四成桂、あるいは▲4四とと寄った局面を想定すると、部分図4からの4四と方がはるかに厳しい。よって、部分図4で後手は△4五歩と取らざるを得ない。(変化図より▲4四成桂の局面は放置できる)
永瀬王座の事前準備(研究)は恐ろしく深いのだろう。午前中の消費時間(通計)はわずか3分。対する藤井五冠は藤井1時間37分。さらに、飛車桂交換の駒損を決行するところまでの消費時間(通計)も41分。藤井五冠は2時間12分。
部分図4以降も、深い読みで難局を勝ち切った。一度だけ、若干形勢が近づいた局面もあったようだが、永瀬王座の解消と言って良いだろう。
最終日がおもしろくなった。
●藤井竜王(6勝2敗)-○永瀬王座(5勝3敗)
●斎藤八段(5勝3敗)-○広瀬八段(6勝2敗)
●菅井八段(5勝3敗)-○佐藤天九段(3勝5敗)
○豊島九段(5勝3敗)-●佐藤康九段(0勝8敗)
○稲葉八段(4勝4敗)-●糸谷八段(1勝7敗)
この結果、A級順位戦8回戦終了時の成績は
広瀬八段 6勝2敗(ランク5位) 最終局対戦相手 菅井
藤井竜王 6勝2敗(ランク9位) 最終局対戦相手 稲葉
斎藤八段 5勝3敗(ランク1位) 最終局対戦相手 永瀬
豊島九段 5勝3敗(ランク4位) 最終局対戦相手 佐藤天
永瀬王座 5勝3敗(ランク6位) 最終局対戦相手 斎藤
菅井八段 5勝3敗(ランク8位) 最終局対戦相手 広瀬
稲葉八段 4勝4敗(ランク10位) 最終局対戦相手 藤井
佐藤天九段3勝5敗(ランク3位) 最終局対戦相手 豊島
糸谷八段 1勝7敗(ランク2位) 最終局対戦相手 佐藤康
佐藤康九段0勝8敗(ランク8位) 最終局対戦相手 糸谷
糸谷八段の降級が決定(佐藤康九段の降級はすでに確定していた)。
挑戦権争いは、6勝2敗が広瀬八段と藤井竜王、5勝3敗が斎藤八段、豊島九段、永瀬王座、菅井八段で、挑戦権獲得の可能性を持つ棋士が6名と大混戦。
降級は同成績の場合はランク上位が優位となる(下位者の方が降級)が、挑戦権に関しては、1位タイならプレーオフが行われる。同成績が3人以上の場合は、パラマス方式となる。
最終局は5勝3敗同士の斎藤八段 - 永瀬王座 戦があり、この敗者は脱落するが、広瀬八段、藤井五冠が敗れ、豊島九段、菅井八段が勝った場合は、五人が6勝3敗の1位タイで並ぶことになる。
この場合、斎藤八段 - 永瀬王座の勝者が斎藤八段ならば、ランク下位より藤井、菅井、広瀬、豊島、斎藤の順になり、プレーオフ1回戦は菅井八段 - 藤井五冠となる。この勝者が広瀬八段と対局し、その勝者が…(以下省略)。
斎藤八段 - 永瀬王座の勝者が永瀬王座ならば、ランク下位より藤井、菅井、永瀬、広瀬、豊島の順となり、プレーオフ1回戦は菅井八段 - 藤井五冠で、その勝者が永瀬王座と……。
藤井五冠は最終局に敗れてプレーオフになった場合は、ランクが9位と低いので、五者同率の場合は4勝しなければ、挑戦権を獲得できない。(斎藤八段がプレーオフ進出の場合は1勝でよい)
広瀬八段、藤井五冠がともに敗れ、豊島九段が敗れた場合は四者プレーオフとなる(広瀬が敗れるということは、その対戦相手の菅井が勝つという事。さらに、斎藤 - 永瀬で必ずどちらかが6勝3敗となる。敗者は5勝4敗)
多人数によるプレーオフと言えば、2017年度A級順位戦(詳細はここ)。
稲葉陽八段、羽生善治竜王、広瀬章人八段、佐藤康光九段、久保利明王将、豊島将之八段が6勝4敗で並び、プレーオフ最終戦で羽生竜王(当時)-稲葉八段となり、羽生竜王が挑戦権を獲得している。
この期は、豊島八段が5連勝と独走の気配だったが、その後●●○●●と崩れ、ランクが10位だったので、一番下の山から戦うことになってしまった。それでも、久保王将、佐藤九段、広瀬八段を撃破し、もしかしたらと思ったが、羽生竜王に敗れてしまった。
個人的には、5者プレーオフで藤井五冠がプレーオフを勝ち上がっていくのを観たいが、広瀬、藤井がともに敗れるとは考えにくい。藤井-稲葉戦は、昨期のB級1組で稲葉が勝利しているとはいえ、やはり、藤井勝利の可能性が極めて高い(藤井五冠が先手)。広瀬-菅井戦も広瀬が勝つ可能性の方が若干高い。なので、広瀬八段と藤井五冠によるプレーオフが有力で、藤井五冠が単独1位ですんなり挑戦権獲得もありそうという状況だ
もし、最終局、先に藤井五冠が敗れた場合は、将棋ファンの広瀬八段への負の圧力は半端ないだろう。
【▲永瀬王座-△藤井五冠戦の簡単感想】
(部分図で申し訳ありません。運営サイドからクレームが来たことはありませんが、一応、念のため)
△8四飛……この飛車浮きに違和感。中継の解説によると、△7三桂の準備(予め桂頭を攻められる手に備えた)らしいが、後手陣への飛車の利き(守り)がなくなり、▲6六角や▲5一角の角打ちがヒットする恐れもある。実際、この手を見て▲3五歩と動く。ただし、▲3五歩に1分とほとんど考えていないので、△8四飛も主要候補手だったのだろう。実際、△8四飛で評価値もあまり下がらなかったようだ。
部分図2の直前に、飛車と桂の取り合い(このやり取りは互角らしい)、その後の金取りを藤井五冠が放置して2筋にと金を作ったのが疑問で、さらに、△3七とと寄った手も良くなかったようで、永瀬王座が優勢となったようだ。
△3七とでは△4五歩と桂を取った方が良かったようだが、桂を取っても▲3三とを利かされてしまうのがおもしろくなかったのかもしれない。(▲3三とに△同玉は▲5一角が痛い。8四飛型が響いている)
と言っても、素人目には次の△4七とが厳しく見える。
永瀬王座も△4七とと銀を取られる手を避けて▲5六銀としたが、私なら取りあえず▲3三桂成と取られる桂を先手で成桂に昇格させて胸を張るだろう。
▲5六銀以下△4九飛で部分図3。
ここで、▲3三と。……こう指すものなのか。
やはり、▲3三桂成△5二玉▲3四成桂と指したいところだ。取られる桂が成銀に昇格し、さらにその成桂で銀を取る……非常にうれしい展開で、何が不満で▲3三とを選ぶのだろう。
思うに、桂を後手に取らせる1手と4四の空間が欲しかったのだろう。
▲3三桂成△5二玉▲3四成桂と進んだ変化図と▲3三と△5二玉▲3四との実戦の進行(部分図4)を比べてみると、
それぞれの図から▲4四成桂、あるいは▲4四とと寄った局面を想定すると、部分図4からの4四と方がはるかに厳しい。よって、部分図4で後手は△4五歩と取らざるを得ない。(変化図より▲4四成桂の局面は放置できる)
永瀬王座の事前準備(研究)は恐ろしく深いのだろう。午前中の消費時間(通計)はわずか3分。対する藤井五冠は藤井1時間37分。さらに、飛車桂交換の駒損を決行するところまでの消費時間(通計)も41分。藤井五冠は2時間12分。
部分図4以降も、深い読みで難局を勝ち切った。一度だけ、若干形勢が近づいた局面もあったようだが、永瀬王座の解消と言って良いだろう。
最終日がおもしろくなった。