英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2022年度A級順位戦 最終局前のリーグ戦情勢と▲永瀬王座-△藤井五冠戦の簡単感想

2023-02-03 16:54:51 | 将棋
2022年度A級順位戦8回戦(2023年2月1日)の結果は以下の通り
●藤井竜王(6勝2敗)-○永瀬王座(5勝3敗)
●斎藤八段(5勝3敗)-○広瀬八段(6勝2敗)
●菅井八段(5勝3敗)-○佐藤天九段(3勝5敗)
○豊島九段(5勝3敗)-●佐藤康九段(0勝8敗)
○稲葉八段(4勝4敗)-●糸谷八段(1勝7敗)

この結果、A級順位戦8回戦終了時の成績
広瀬八段 6勝2敗(ランク5位) 最終局対戦相手 菅井
藤井竜王 6勝2敗(ランク9位) 最終局対戦相手 稲葉
斎藤八段 5勝3敗(ランク1位) 最終局対戦相手 永瀬
豊島九段 5勝3敗(ランク4位) 最終局対戦相手 佐藤天
永瀬王座 5勝3敗(ランク6位) 最終局対戦相手 斎藤
菅井八段 5勝3敗(ランク8位) 最終局対戦相手 広瀬
稲葉八段 4勝4敗(ランク10位) 最終局対戦相手 藤井
佐藤天九段3勝5敗(ランク3位) 最終局対戦相手 豊島
糸谷八段 1勝7敗(ランク2位) 最終局対戦相手 佐藤康
佐藤康九段0勝8敗(ランク8位) 最終局対戦相手 糸谷


 糸谷八段の降級が決定(佐藤康九段の降級はすでに確定していた)。
 挑戦権争いは、6勝2敗が広瀬八段と藤井竜王、5勝3敗が斎藤八段、豊島九段、永瀬王座、菅井八段で、挑戦権獲得の可能性を持つ棋士が6名と大混戦。
 降級は同成績の場合はランク上位が優位となる(下位者の方が降級)が、挑戦権に関しては、1位タイならプレーオフが行われる。同成績が3人以上の場合は、パラマス方式となる。
 最終局は5勝3敗同士の斎藤八段 - 永瀬王座 戦があり、この敗者は脱落するが、広瀬八段、藤井五冠が敗れ、豊島九段、菅井八段が勝った場合は、五人が6勝3敗の1位タイで並ぶことになる。
 この場合、斎藤八段 - 永瀬王座の勝者が斎藤八段ならば、ランク下位より藤井、菅井、広瀬、豊島、斎藤の順になり、プレーオフ1回戦は菅井八段 - 藤井五冠となる。この勝者が広瀬八段と対局し、その勝者が…(以下省略)。
 斎藤八段 - 永瀬王座の勝者が永瀬王座ならば、ランク下位より藤井、菅井、永瀬、広瀬、豊島の順となり、プレーオフ1回戦は菅井八段 - 藤井五冠で、その勝者が永瀬王座と……。
 藤井五冠は最終局に敗れてプレーオフになった場合は、ランクが9位と低いので、五者同率の場合は4勝しなければ、挑戦権を獲得できない。(斎藤八段がプレーオフ進出の場合は1勝でよい)
 広瀬八段、藤井五冠がともに敗れ、豊島九段が敗れた場合は四者プレーオフとなる(広瀬が敗れるということは、その対戦相手の菅井が勝つという事。さらに、斎藤 - 永瀬で必ずどちらかが6勝3敗となる。敗者は5勝4敗)


 多人数によるプレーオフと言えば、2017年度A級順位戦(詳細はここ)。
稲葉陽八段、羽生善治竜王、広瀬章人八段、佐藤康光九段、久保利明王将、豊島将之八段が6勝4敗で並び、プレーオフ最終戦で羽生竜王(当時)-稲葉八段となり、羽生竜王が挑戦権を獲得している。
 この期は、豊島八段が5連勝と独走の気配だったが、その後●●○●●と崩れ、ランクが10位だったので、一番下の山から戦うことになってしまった。それでも、久保王将、佐藤九段、広瀬八段を撃破し、もしかしたらと思ったが、羽生竜王に敗れてしまった。


 個人的には、5者プレーオフで藤井五冠がプレーオフを勝ち上がっていくのを観たいが、広瀬、藤井がともに敗れるとは考えにくい。藤井-稲葉戦は、昨期のB級1組で稲葉が勝利しているとはいえ、やはり、藤井勝利の可能性が極めて高い(藤井五冠が先手)。広瀬-菅井戦も広瀬が勝つ可能性の方が若干高い。なので、広瀬八段と藤井五冠によるプレーオフが有力で、藤井五冠が単独1位ですんなり挑戦権獲得もありそうという状況だ
 もし、最終局、先に藤井五冠が敗れた場合は、将棋ファンの広瀬八段への負の圧力は半端ないだろう。

【▲永瀬王座-△藤井五冠戦の簡単感想】
(部分図で申し訳ありません。運営サイドからクレームが来たことはありませんが、一応、念のため)

 △8四飛……この飛車浮きに違和感。中継の解説によると、△7三桂の準備(予め桂頭を攻められる手に備えた)らしいが、後手陣への飛車の利き(守り)がなくなり、▲6六角や▲5一角の角打ちがヒットする恐れもある。実際、この手を見て▲3五歩と動く。ただし、▲3五歩に1分とほとんど考えていないので、△8四飛も主要候補手だったのだろう。実際、△8四飛で評価値もあまり下がらなかったようだ。


 部分図2の直前に、飛車と桂の取り合い(このやり取りは互角らしい)、その後の金取りを藤井五冠が放置して2筋にと金を作ったのが疑問で、さらに、△3七とと寄った手も良くなかったようで、永瀬王座が優勢となったようだ。
 △3七とでは△4五歩と桂を取った方が良かったようだが、桂を取っても▲3三とを利かされてしまうのがおもしろくなかったのかもしれない。(▲3三とに△同玉は▲5一角が痛い。8四飛型が響いている)
 と言っても、素人目には次の△4七とが厳しく見える。

 永瀬王座も△4七とと銀を取られる手を避けて▲5六銀としたが、私なら取りあえず▲3三桂成と取られる桂を先手で成桂に昇格させて胸を張るだろう。
 ▲5六銀以下△4九飛で部分図3。

 ここで、▲3三と。……こう指すものなのか。
 やはり、▲3三桂成△5二玉▲3四成桂と指したいところだ。取られる桂が成銀に昇格し、さらにその成桂で銀を取る……非常にうれしい展開で、何が不満で▲3三とを選ぶのだろう。
 思うに、桂を後手に取らせる1手と4四の空間が欲しかったのだろう。
 ▲3三桂成△5二玉▲3四成桂と進んだ変化図と▲3三と△5二玉▲3四との実戦の進行(部分図4)を比べてみると、

 それぞれの図から▲4四成桂、あるいは▲4四とと寄った局面を想定すると、部分図4からの4四と方がはるかに厳しい。よって、部分図4で後手は△4五歩と取らざるを得ない。(変化図より▲4四成桂の局面は放置できる)

 永瀬王座の事前準備(研究)は恐ろしく深いのだろう。午前中の消費時間(通計)はわずか3分。対する藤井五冠は藤井1時間37分。さらに、飛車桂交換の駒損を決行するところまでの消費時間(通計)も41分。藤井五冠は2時間12分。
 部分図4以降も、深い読みで難局を勝ち切った。一度だけ、若干形勢が近づいた局面もあったようだが、永瀬王座の解消と言って良いだろう。
 最終日がおもしろくなった。
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相棒 season21 第15話「薔薇と髭と菫たち」

2023-02-03 01:56:38 | ドラマ・映画
公園で鬼塚という著名なルポライターが死体で発見される(第一発見者は右京と亀山とヒロコママたち)。
鬼塚の手には、彼の妻・ノエル美智子のデビュー作があり、その本には、「すみれさんへ」と書き添えた美智子のサインがしてあった……

《鬼塚が“誰に”“何故”殺されたのか?》というのは当然の疑問だが、それよりも、《その本を、何故鬼塚が握っていたのか?》が大きな謎
・すみれとは誰なのか?
・鬼塚が死亡した公園に、妻の美智子もNPO法人の炊き出しボランティアで公園にいた。偶然?
・公園では半グレグループが暗躍していて(闇バイトの斡旋)、鬼塚はそれを調べていて、揉めていた
などが判明していく。
 その中で、大きなポイントとなる「すみれさん」の正体が判明
 シングルマザーで、パートを掛け持ちするも娘の給食費もままらなない状態。サインをもらった本も売り払わなければならなかったらしい。美智子の小説の主題である”この世界は美しく人生は喜びに満ちている”を大嘘だと文句を言いたいというほどの人生を歩んできた。
 公園には、炊き出しを受けるため時々来ていたようだ。


 ここで問題になるのは、《質屋に売ってしまった古本を、どうして鬼塚が手に入れたのか?(いくら有能なルポライターでも無理だろう)
 となると、“売り払った”というのは嘘で、すみれがその本を持って美智子に文句を言いに公園に行ったが、その前に、鬼塚に止められて、揉めた際に転倒して頭部を強打したのか?

 ところが、鬼塚の死因は心臓麻痺。殺人ではなかった。
 ただ、心臓麻痺を誘発する何かがあったのではないか?例えば、誰かに追いかけられたとか
……と右京は推理。

 さらに、NPO法人にいた気になるタートルネックの男性が、半グレグループとつながりがあったことが判明。タートルネックで半グレグループの証の入れ墨を隠していた。
 現在は半グレから抜けていたが、そのグループのリーダーから、目障りな鬼塚を脅すように指示され、事件(事故)当日、鬼塚が女性を追っかけるのを目撃し、後を追うが、見つけた時には死亡しており、取材メモなどを持ち去ったと白状

 そして、思わぬ事件解明のヒントが……ヒロコママが鬼塚からサインしてもらった本を見せる。右京は、そのサイン(筆跡)を見て、ひらめく!
 鬼塚が死亡時に握っていた本のサインは鬼塚が書いたものだった!
(デビュー当時にサインした本の行方は分からず。すみれの存在を知って、すみれのために別の本に鬼塚がサインした)

 そして、驚愕の事実が!
 鬼塚がノエル美智子で、美智子が鬼塚一誠だった!
 そう、二人の身体が入れ替わって…違う!
 デビュー前、女性というだけでルポライターとして認められなかった美智子、男性が少女小説を書くのを気味悪がられて受け入れてもらえなかった鬼塚。その互いの境遇を知った二人が役柄を入れ替えてデビューしたのだった


 デビュー当時のサイン会に小説を褒めてくれた少女を偶然見つけ(サイン会をしたのは美智子で、美智子があの時の少女だと気づいた)、美智子からすみれの事を聞いた。
 読者・ファンを偽り続けることはできないと思い、ノエル美智子の正体を告げ、詫びるため、(私の想像だが)すみれの言葉がうれしく励みになったことを伝えるため、そして、大切なメッセージを伝えるため、すみれに話しかけた。
 しかし、半グレに戸籍を売ろうとしていたすみれは、半グレから「鬼塚には注意しろ(関わるな)」と言われていて、逃げ出してしまった。すみれを追いかけた鬼塚は心臓麻痺!


 ……あらすじみたいになってしまった。(あらすじになった方が良いかも、時が経って記事を読み返すと、ストーリーが見えないことが多い。かなり頭を絞って記事を書いたというのに)


 鬼塚が握っていた本の謎が、鬼塚と美智子の驚愕の事実に起因していた……面白かった

 しかし、結末と言うか終わり方がモヤモヤ
 まず、「鬼塚誠一はすでに死んだ。彼のペンはもう何も暴けないでしょう」……このセリフが謎!
 この公園での半グレグループの悪事は暴くことはできそう。実際にルポを書いていたのは美智子だし。

 まあ、それはともかく、上記のセリフは、右京の「半グレについて所轄署に情報を提供したのは?」の問いに答えた言葉。
 そして、美智子の言葉を受けて、右京たちが問いかける。


「それが、あなたの本心でしょうか?
 あの夜、大塚誠一(鬼塚)さんがすみれさんに告げたかったのは、自分の正体だけではなかったと思いますよ」(右京)
「きっと、大切なメッセージを告げようとしたんですよ」(亀山)
「それが何なのか、あなたにはわかっているはずです。なぜなら、あなたと大塚誠一さんは、同じ世界を目指していたはずですから」(右京)

(場面は変わって、公園で美智子がすみれに本を渡す)
「夫が…ノエル美智子があなたに伝えたかったのは……
 『この世界は美しく、人生は喜びに満ちている』


 ……その思いを私は鬼塚一誠として、世の中に伝えていきたいの。
 困窮する人々の…その声を現場から私と一緒にすくい上げてほしい。
 この社会の何が間違っていて、何をどうすれば、正すことができるのか?
 私の仕事、手伝ってもらえないかしら。
 人生の困難も、人生の希望も、どちらも知っているあなただからこそ、頼みたいの」




 『この世界は美しく、人生は喜びに満ちている』という鬼塚(ノエル美智子)が言いたかったメッセージを継げたところで終わった方がいいと思う。
 その後の《仕事を手つだってほしい》云々は変。強引に“いい話”で締めたかったのだろうか?
 美智子から渡された本に書かれた本当のノエル美智子のサインを見て、サイン会に行った頃の気持ちを思い出す……で良い。


アナザーストーリーとして、
 《すみれの娘が持っていた美智子の小説を読んで、気持を奮い立たせて右京たちに半グレグループの悪事を告発する》
というのもありかもしれない


【楽しめたいろいろな小ネタ】
・ヒロコママが亀山に仕掛けたドッキリ作戦
・冷凍して凶器に使われたイカを食べてしまったトラウマで、料理に出されたイカに箸をつけられなかった亀山
・居酒屋でスーツ姿の刑事部長と参事官
・刑事部長の物まねをする芹沢(←上手い)と出雲(←下手くそ)

【私の余計なお世話的な疑問や心配】
・出版業界は、《女にはルポライターは無理》《男が少女小説を書くのは変》という固定概念で、真の作品の価値を見損なう古い体質なのか?
・手のほくろの特徴が印象的だったとはいえ、数十年(20年くらい?)経てば随分用紙の印象が変わっているはず。思い出して気づくものなのだろうか?
・美智子が炊き出しのボランティアをしている公園に、すみれが訪れるのは、かなりの偶然
・表向き“鬼塚一誠”が亡くなった後、どういう形態で活動を続けるのだろうか?
・炊き出しに使われていたプラ丼(発泡スチロール)が小さい


第1話「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」(初回SP)
第2話「ペルソナ・ノン・グラータ~二重の陰謀」
第3話「逃亡者 亀山薫」
第4話「最後の晩餐」
第5話「眠る爆弾」
第6話「笑う死体」
第7話「砂の記憶」
第8話「コイノイタミ」
第9話「丑三つのキョウコ」
第10話「黒いコートの女」
元日SP第11話「大金塊」
第12話「他人連れ」
第13話「椿二輪」
第14話「まばたきの叫び」

【ストーリー】(番組サイトより)
薫とヒロコの再会が事件を呼ぶ! 
作家夫妻が抱える危険な秘密とは


 薫(寺脇康文)は、海外渡航前から顔馴染みだったゲイバーのママ・ヒロコ(深沢敦)と再会。ところが、その矢先、公園で男性の遺体を発見する。男性は鬼塚という著名なルポライターで、妻はノエル美智子(大島さと子)というペンネームで少女向け小説を手掛ける人気作家だった。鬼塚の手には、なぜか美智子のデビュー作が握られており、何らかのダイイングメッセージとも思われた。
 事件に興味を持った右京(水谷豊)が、美智子から事情を聞くと、鬼塚が死亡した晩、彼女も同じ公園で炊き出しのボランティアをしていたことが判明。鬼塚は、そこに集まった生活困窮者を取材中、何らかのトラブルに巻き込まれたのか?
 そんな中、ヒロコが聞き捨てならない情報をもたらす。困窮者を食い物にしていた半グレ集団が、鬼塚を脅していたというのだ。

有名記者の死は、事故か、殺人か…!?
遺体はなぜ妻の小説を手にしていたのか?
現代社会の深き闇に特命係が切り込む!

ゲスト:大島さと子 深沢敦

脚本:岩下悠子 
監督:内片輝
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