英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2023王将戦第5局(2022年度) その2「 とてつもなく強い」(2日目概要)

2023-02-26 19:44:40 | 将棋
 第1日終了時点では望みが薄く、暗い気持ちで床に就いた。
 2日目午前中も想定通り羽生九段の飛車が追われる手順。しかも、お互いの着手が早く、終局までの道のりを淡々と歩んでいるように思えた。
 評価値もじわじわと差がついているようだ。ただ……

 第4図は藤井王将が決めにいった手。
 後手玉に迫りながら、金桂両取り!……しかし、取りを掛けた6五の桂は△7七桂不成で金を王手で取られる手がある。さすがに「やり過ぎだったかも」という藤井王将の感想があったが、それでも事前手クラスで、評価値も大差を維持していた。
 この踏み込みの強さが藤井王将の強さで、《やはり、藤井君は強いなあ》と実感した。

 でも、金を1枚ポロッと取れて、しかも、その桂が先手玉への足掛かりとなっている。評価値的には大差でも、藤井王将が1手でも間違えると、勝負は分からなくなる……そんな期待が出てきた。

 その後、藤井王将が厳しく迫るが、羽生九段もギリギリの受け手を繰り出す。そして、藤井王将に緩手が出て、先手の攻めが一息ついた。

 羽生九段、待望の反撃。
 藤井王将の玉頭に火の粉が掛かり、一気に緊迫の度が高くなった。玉が5七に引っ張り出される手段が生じたのが大きい。藤井王将の龍が6二の悪い位置にいて、△8四角と王手龍取りが掛かる筋が生じた。


 この局面が運命を分けた。
 控室でも有力とされていた△5七銀と打ち込むべきだった。以下▲同銀△同桂成▲同玉△8四角と指せば、後手の羽生九段に分のある将棋だったように思う。もちろん、これで勝ちかというと、そんな簡単にはいかないであろう。
 実戦は△5一銀打と受けに回ったが、ここで銀を手放したのが大きく、一気に形勢は藤井王将に傾いてしまった。
 一気に傾いたと言っても、そんな簡単なものではなく、いくつかの分岐点があって、それをクリアしなければならない。
羽生九段も、《ここは一旦、受けに回って、それから…》と考えたのだろう。しかし、それからの後がなかった……


 この将棋を観て、《羽生九段は恐ろしく強い》と改めて感じた。しかし、《藤井五冠はこの上もなく強かった》
 (その辺り、余力があれば書くつもりです)
コメント (2)
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