英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

藤井-豊島戦を観て、感じたこと その2

2021-10-20 12:28:43 | 将棋
「藤井-豊島戦を観て、感じたこと その1」の続き
 今回は、“豊島-藤井、19番勝負”を振り返ってみたい(おそらく、1回では終了しないと思います)

王位戦 第1局

 互いに飛車で歩をかすめ取ったり、端歩を取り込んだりと、細かい折衝が続いたが、第1図では後手の豊島竜王がリードを奪っていたようだ。
 その後も、的確な指し手を続け、豊島竜王の完勝となった。

王位戦 第2局
 第2局も、一度交換した歩を△7五歩と打つなど、虚々実々の難解な将棋となった。

 △5四角と次に△7六歩の取り込みを狙った手に対し、▲6五歩と突きだしたのが第3図。△同角と取らせれば△7六歩に▲6六銀と角取りの先手でかわせる。(おそらく、この局面は先手の豊島竜王が有利)
 第4図は△5五銀右と角取りと出た手に▲2八角と引いたところ。ここで引くのなら、初めから2八から角を打てばいいのにと思うが、▲4六角と打った時は▲2四歩△同歩▲2四角の狙いもあった(この時はまだ3三に桂を跳ねていない)。とにかく、複雑、難解。
 角を引かされることになったが、次に▲5六歩がある。なので、藤井王位も行くしかない。4図以下△7六歩▲6六銀(▲7六銀もある)△8六歩と攻め込む。豊島竜王も▲8六同歩と応じず、▲5五銀と踏み込む。以下△8七歩成▲5四銀(第5図)△7八と、と猛烈な斬り合いとなった。


 第5図以下、△7八と▲同玉△8八金▲6八玉△8七飛成▲3四歩△5四歩▲3三歩成△同銀(第6図)。
 △8八金~△8七飛成と重い飛車の成り込みをしたかと思えば、自陣に手を戻したりと、藤井王位の玄妙な指し手。

 ……そして、ここで豊島竜王の▲5九玉が疑問手でて、形勢は互角に。この▲5九玉は早逃げの手筋で、それを視野に入れて進めてきたと思われるが、この場合は最善ではなかったようだ。
 この▲5九玉では、豊島竜王は▲7五角を読んでいたが、勝ちが見えなかったようだ。中継でも詳細な変化が記されていたが、難解(後手が勝ちになる変化も)。また、▲4五桂も検討されていたが、先手の勝ち方が分からなかったらしい。
 局後の検討では、「第6図での最善手は☗9一角成で、それなら後手のほうも意外に適当な順が難しかったようだ」と記されている。

 第6図以下▲5九玉△9九金▲4五桂△8九龍(第7図)。

 ここで豊島竜王は▲6九銀。この手が良くなく、怖いが▲4八玉とかわすのが最善だったようだ。
 合駒に銀を使ったため、後手玉を寄せ切るのに、戦力が足りなくなってしまったという。本譜の順でも寄せ切れそうに思われるが、若干足りなかったようだ。
 藤井王位は自玉の危険度を十分読み切り、きっちり勝ち切った(こう書くと簡単そうだが、至難の業である)

 この一局まで豊島竜王の7勝1敗だったが、風向きが変わった

「その3」へ続く

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