英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

09将棋世界2月号(先々月号です)

2009-03-20 16:33:16 | 将棋
 今更、先々月号なの?という気もします。もたついたのは、竜王戦ショックというわけではありません。大逆転で竜王位を逃したのは、すごく悔しいのですが、そのことについて報じられている2月号を読むのには、それほど抵抗を感じませんでした。逆に、敗れた将棋を見極めようとする気持ちのほうが強かったです。
 それとは逆に、1月号はほとんど読むことができませんでした。3連勝の快進撃、その後の結果が分かっていると、すごく空しくて空しくて……。

 さて、2月号は渡辺竜王が永世竜王位の資格を獲得したという点では、歴史的な号でしたが、雑誌の内容としては、疑問符がたくさん残りました。

 まず、竜王戦第5局の谷川九段による観戦記(8ページ)。谷川九段らしくない切れのない解説だった。渡辺竜王の仕掛けの成否、羽生名人の受けは最善だったのかが、言及されておらず、いつの間にか、羽生名人が苦戦になっていた。
 また、最終盤で、羽生名人に飛車打ちが2箇所、角打ちも2箇所あり、受けに回る手もある。どの組み合わせで、どの順番で打つのが最善かが、非常に難解であると、しかし、それについての結論が書かれていない。結局、その後、角の王手に対する竜王の歩の中合いが絶妙手で、渡辺竜王が2勝目を上げている。


 次に、倉敷藤花戦第2局の吉村達也氏のドキュメント。女子高生がタイトル獲得というインパクト充分の出来事であるので、特集を組むのは理解できる。しかし、カラーグラビアで2ページ、池崎氏による観戦記が9ページ、そして、ドキュメントが12ページ、少しページを割きすぎの感がある。これなら、竜王戦第5局にもう少し紙面を割いてほしかった。
 で、ドキュメントの内容は、前日の対局場検分や前夜祭での両対局者の素顔や様子、里見女流の少女時代や家族との関わり、そして、対局場での主催者側、連盟の棋士たち、舞台裏で対局やネット中継を支える裏方たち、さらに、対局後のインタビューを絡めた里見女流の素顔など、詳細に語られている。
 確かに、舞台裏の苦労や両対局者の様子など、有用な情報だと思う。ただ、ページが多いせいなのか、あれもこれもという感じで、内容が散漫。他に観戦記があるので対局の様子はほとんど触れないように意識したのかもしれない。しかし、それが、主題であるはずではないのか?観戦記とダブルところがあっても、構わないし、かえって厚みが感じられるように思う。
 この吉村氏、名人戦の契約問題で騒動になったときも、やたらページを割いて、将棋世界誌で、詳細にその事情を述べている。かなり連盟寄りの内容だったと私は感じた。
 その印象があるせいで、私には、今回のドキュメントも、かなり連盟に気を使って書かれているように思えてしまう。

 それとは別に、最後のほうで、記者会見での彼女の様子を
「圧倒的な数の報道陣を前に、ひとり席に着いた里美香奈・新倉敷藤花の答える声は訥々(とつとつ)として、ときに消え入るようにかぼそく、部分的には聞き取れないほどであった」
 と書いている。
 確かに、すごい数の報道陣に、熱戦を終えたばかりで、新タイトル保持者という通常ではない場ではあるが、ここは多少厳しく、「聞き取れるような声で話すべき」という趣旨の文があってもいいのではないだろうか。


 『熱局探訪』(野月浩貴七段)は、もう少し、局数を絞るか、局面を絞ってほしい。1図面辺りの手数が長いので、読むのが大変。
 ページ左上の模様は、汚れと勘違いしてしまうので、なくしてほしい。


 『最強ソフトを遊んじゃおう!』(上田初美女流初段)
 内容は、普通のレビュー。わざわざ、女流棋士に書いてもらう意味を感じない内容だった。上田女流が対局した手ごたえや感想。できれば、ソフトの特徴や強さを表した局面を取り上げて解説するというような工夫があってもいいと思う。


 その他の、企画モノや自戦記、観戦記、講座などは、(ひとまとめにするのは申し訳ないが)非常に充実していて面白い。特に大平五段の自戦記は面白かった。
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『キイナ ~不可能犯罪捜査官』 最終話

2009-03-20 00:30:18 | ドラマ・映画
【あらすじ】(番組ホームページより)

 キイナ(菅野美穂)は、通勤時間で人々が行き交う駅前で、「キャー」と言う悲鳴を聞く。見ると男が上半身を炎に包まれ、倒れるのが見えた。
 目撃者の証言によると、男の体から、突然、大きな炎が燃え出したと言うのだ。

 そんな折、真一郎(塚地武雅)の娘・莉子(森迫永依)から、同じクラスの友達が何日も無断欠席していると相談を受けた。欠席している友達が住んでいる風見団地には、幽霊が出るとの噂もあり、キイナとタケル(平岡祐太)は、早速、莉子と一緒に風見団地に行ってみる。
 すると、どの家も、新聞などが溜まっており、中に人の気配がまったくない。しかも、夜になったにもかかわらず団地内すべての家に灯が点いていないのだ。

 翌日、警察が調べると、団地の全ての住民が姿を消していることが分かった。行方不明者は、約300人。テレビ局には、『風見団地の人たちの命は預かった』との犯行声明が書かれた手紙が届けられ、テロや組織犯罪の可能性も取りざたされ、特別捜査本部が設置された。
 犯行声明の手紙に付着していた指紋から、差出人は、風見団地に住む、後藤栄一(八十田勇一)だと判明。後藤には、傷害の前科があり、住民の話しによると、かなりのトラブルメーカーだったのだ。

 早速、後藤を重要参考人として追跡がはじまった。しかし、キイナだけは後藤は犯人じゃないような気がして――。

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 最終回の不思議現象は「人体自然発火現象」と「集団神隠し」。
 人体発火現象は単にライターで火をつけただけ(笑)。集団神隠しはサブリミナル効果の利用でした。

 なんだかんだ言いながら、最終回まで見てしまったのは、キャラに魅力があったからなのでしょう。あと、話の筋が平易だったので、気楽に見れたということもあったと思います。

 しかし、「人体自然発火」と「集団神隠し」という、見た目が派手な現象を取り上げ、視聴率を稼ごうという魂胆が見え、事件のトリックや展開に、あまりにも無理が多すぎて、すごく残念でした。
 なので、今回は難癖を羅列するだけに留めます(きっちり、論証する気も起きません)。いろいろなブログを拝見しましたが、みんとさんの『掃き溜め日記~てれびな日々』が一番近い感想だと思いました。


・後藤を殺害するのに、何故、わざわざ「人体自然発火」という目立つ殺害方法をとったのか?逆に目立たせずに殺すべきだと思う
・燃焼促進剤ってなに?どうやって、後藤につけたの?
・普通、300人もの大人数が消息を絶ったら、1日で大騒ぎになるだろう
・今の時代、携帯電話にかける。消息不明にはならない。(難癖追加)
・真一郎の娘も、心配なら電話だけでなく直接会いに行くのではないか?キイナに頼る前に
・団地に電気が点いていないのは、キイナたちが帰るときでなく、普通、来た時に気づくのではないか
・地震で避難するのなら、何日も留守にする覚悟で避難するはず、食事の途中のように神隠しにあったような状態になるのはおかしい
・300人もの大人数が避難場所に集中するのを、その付近の住民は誰も不審に思わないのか
・ほとんど全員が、映画鑑賞に参加するのは異様だ。その時点で、既に洗脳されていたのかも
・三日も、あんなところにじっとしていたのか?トイレ、食事などはどうしたのか?
・ジーンズの縫い目にできるバーコード模様で、一枚一枚のジーンズを照合できるって、本当?立証できているの?
・動機が弱い。サブリミナルの実験はともかく、殺人をするくらいなら、自分でDVDをすり替えた方が良い
・真一郎の怪我、直りが遅くない?
・キイナは真一郎のどこに惚れたのか?
・キイナの超人的な記憶に頼り過ぎ
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早春桜2

2009-03-19 15:55:04 | 歳時
 例の桜、咲いていました。
 満開状態を知らないので、これがどのくらいか分かりませんが、「まんべんなく開いている」という印象です。残念ながら、デジタルカメラを持っていなかったので(不覚)、携帯電話で撮ったものです。携帯電話が新しいのならよかったのですが、3年前のものです。よく分からないと思いますが、相当咲いていました。

 写真の2~3倍咲いていると、イメージしてください。
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黄砂焼け?

2009-03-18 20:26:47 | 歳時
 昨日ほどひどくはありませんが、今日も黄砂が来ました。

 夕焼けも黄色かったです。ああ、写真撮らなければ、と思ったのですが、ちょっと用事があったので、タイミングを逃しました。デジタルカメラを構えたときには、既に普通の?夕焼け。


 この写真の15分前は、もっと黄色くて、幻想的でした。どのくらい黄色かったかというと、このくらいです。加工しました、インチキです。


 で、それからもう少し経過して、山に夕日が沈むところです。慌てたので、少しぶれてしまいました。
 沈む夕日って、大きく見えますよね。普段100円玉ぐらいに見える太陽が、写真の時にはテニスボールぐらいに見えました。

 写真だと、それほどでないのが、これまた不思議です。
(下の写真は元画像で、上の写真は拡大したものです)
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菜の花

2009-03-18 00:45:40 | 歳時
 今週に入って、一気に春めいてきました。
 今日は、春の風物詩、黄砂が飛来してきました。山がかすんで見えました。視界は10㎞ぐらいでしょうか。車は泥だらけです。

 福井にしては気の早い菜の花が咲いていました。撮ったのは、先週の木曜日、12日です。通常の菜の花は、桜とほぼ同時期なので、3月末から4月中旬に咲いていると記憶しています。ここの菜の花だけ、異様に早いです。


 私は黄色い花が好きです。桜も好きですが。露草(青)やアヤメ(青、紫)も好きです。白い花もいいですね。結局、どの色の花もすきなのですが、黄色が特に好きなような気がします。
 幼稚園の頃、絵を書くとき、真っ先に黄色のクレヨンを取り出していた記憶があります。でも、男の子ですから、花を書くのには抵抗があります。花を書くという発想さえなかったかもしれません。
 で、何を書くか?それはもう太陽しかないです。右上の角を(なぜか左上の角には書く気が起きなかった)、黄色く扇形(4分の1の円)に塗りつぶし、輝いているのを表す点々をたくさん書いて、もう満足。
 いえ、満足してはいなかったです。ただ、実生活で黄色のものってなかなかありません。黄色に似たものを一生懸命考えて、無理やり絵に押し込めていたような覚えがあります。
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3文字略語

2009-03-16 16:55:10 | 日記
 『Q.E.D. 証明終了』を評価した記事を書きましたが、このタイトルもこの作品の本質をうまく表していて、しゃれています。

 「Q.E.D.」とは本来、ラテン語で「我証明せり」という言葉の略であるが、数学などで証明の文末に使われます。

 で、最近、というか、ここ十数年、どんどん増殖してきて、横文字の苦手な私は混乱して、勘違いして聞いていることがあるかもしれません。

 最近だと、ETC、AED、WBC、ATMなどをよく耳にします。
 遠い昔、学校ではIMF、WHOなどの国際機関の略を覚えさせられました。また、FBI、KGB、NBAなどの組織、NTT、NEC、YKKなどの会社名、BSE、PCBなどの専門用語や化学物質、その他ATC、BCG、ELT、USA、CPU、NTVなど、さまざまな分野で活躍しています。

 この略語、使う側にとっては非常に便利だと思います。しかし、受け手にとっては少々困惑してしまうことがあるのではないでしょうか?

 もちろん、日本語でも使用されます。国体、農協などは古くから例に挙げられていましたが、農協はJAに変わっていますね。
 早弁、朝シャン(例が古いなあ)、ええと、文科省、東大、経団連、就活、全教、全日空、プレクラ、パソコン、マザコン、テレ朝、自己中などなど。
 面白いのは「書き込む」→「書きこスル」。増えてるじゃん!

 確かに便利なのですが、自分本位、私的会話のような気がして、なるべく使わないようにしています。
 それに語感的にもきつくなります。私が一番顕著だなと思う言葉が「居飛車穴熊」→「イビアナ」です。これには、居飛車穴熊戦法が猛威を振るった時、かなり痛い目にあった経験から来ているのかも知れません。
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『Q.E.D 証明終了』 最終回「立証責任」

2009-03-14 23:24:29 | ドラマ・映画
【あらすじ】(番組ホームページより)
 もうすぐ春休み。可奈(高橋愛)たちの高校で、裁判員制度導入のための模擬裁判が行われることになった。クラスの代表として想(中村蒼)が裁判員に選ばれた。しかし想はMITの研究プロジェクトの誘いを受けてアメリカに帰ることになり、模擬裁判の日が最後の登校になるという。
 想が学校を辞めてしまうと知った可奈は、「燈馬君の人生なんだから。」とあっさり答えるが、本当は心穏やかではない。可奈も裁判員になり自分の頭だけで想と同じ答えが出せたら、想を止める権利が与えられるのだと衿子(ちかげ)に背中を押される。
 ある春休みの日、模擬裁判が始まった。裁判長(田村亮)は「有罪を立証しない限り、無罪である」と可奈たち裁判員にルールを説明し、ある強盗致傷事件の審理が進められる。借金を抱えた青年が女性を殴り、現金を奪ったというが、事件そのものを目撃した証人はいない。検察官(飯田基祐)と弁護士(原千晶)が証言をめぐって尋問するのを目の前にして、可奈はなんとか自分の力だけで結論を導こうとする。評決で無罪に手を上げる可奈。果たして想は!?

 ==================================

 最終回は裁判員制度の模擬裁判と、想がアメリカに帰ることになり、揺れる二人の気持ちがテーマ。

 模擬裁判は面白かったです。

★裁判員制度のルール(裁判のルールと言った方がいいかもしれません)
(模擬裁判が始まる前に裁判長が説明した)
1.被告人は有罪判決が下るまで無罪と考える〔無罪推定の原則〕
2.被告人の有罪を証明する全責任は検察側にある(被告人は無罪であることを証明する必要はない)
3.有罪とするには「合理的疑いを挟まぬ証明がなされればよい」。(被告人が犯罪を行ったのは、まず間違いないと自分自身確信することができ、他の者もそう思うだろうなあと思える程度の証明)

裁判中に説明
4.黙秘権…質問に被告が答えたことは、被告にとって有利にも不利にもなるので、質問に答えない権利がある

★冒頭陳述 検察官

Ⅰ 被告の経済状況。鹿児島より上京後、コンビニ店員、ホストなど7度職を変え、収入が安定していない上、故郷の音楽仲間と再会し、バンドを組むことになり、ローンにてギターを購入、35万の借金があった。

Ⅱ 事件の状況。被害者を殴り、現金の入った銀行の封筒を奪おうともみ合いになる。通報で駆けつけた警察官が公園で被告人を発見、犯人と背格好が似ていたため職務質問をしたら、突然逃走した。捉えてみると、盗まれた銀行の封筒入りの現金15万円を持っていた

Ⅲ 被告人は身勝手な理由で、罪もない被害者を傷つけ、お金を奪った

★冒頭陳述 弁護人

 動機の否定。被告人は自分のやりたいことを探すため、いろんな職に就いて頑張ってきた。今回、夢だった音楽を再びやろうと決心した。そんな矢先に犯罪など犯すとは思えない

 盗まれたお金を持っていたのは、道に落ちていたお金を拾っただけ

 被告人は無実だ

★証人尋問

1.木下(学生)の証言
 部屋でインターネットをしていると、鹿児島なまりで「放せ、ババア!放せちゆうちょっとが」と男性の声が聞こえた。被告人の声だった。

[弁護人の質問]
・似た声は多い。外から聞こえてきた声を、被告人の声と断言できるのか?
・被害者の写真を見せ、この美しい女性を見て、「ババア」と言うか?
・女性の悲鳴を聞かないのはおかしい

2.井端(保険外交員)の証言
 午後5時ごろ、銀行前で様子のおかしい被告人を目撃した。

[検察官の主張]
・銀行の防犯カメラにはATMに並ぶ証人の姿と、その3人前に被害者が写っていた。被告人は被害者がお金を下ろしたのを確認し、あとをつけた計画的な犯行

[弁護人の主張」
・配置図を使って、被告人が座っていた銀行前の位置からでは、ATMコーナーは見えない。さらに、どの防犯カメラにも被告人が銀行内に入っている姿は認められない。被告人は、銀行の外にいて、被害者がお金を下ろしたのか、預けたのか、何をしていたのかは分からなかった

3.被告人の証言
・携帯電話は停められていたが、固定電話がある。家賃は滞納していたが、大家が待つといってくれていた。借金も少しずつ返していた。

[弁護人の主張]
・ローンがある(借金がある)だけで、犯罪者扱いするのはおかしい

[検察官の反論]
・携帯電話や家賃の他にも、お金がないと困ることはいくらでもある。
・お金を拾っただけなのに、警官から逃げたのはおかしい。「以前つかまったことがあるので信じてもらえないと思った」という被告人に対して、犯人に背格好も声も似た人物が、たまたま大金を拾ったというのは、(疑わしくて)信じるものはいないだろう

★論告求刑
[検察官の被告人の有罪立証の根拠]
① 被告人は動機があった (冒頭陳述のⅠ)
② 銀行前で被告人が目撃されている (証人尋問2)
③ 犯行現場での犯人の背格好、声、鹿児島なまり (冒頭陳述Ⅱ 証人尋問1)
④ 警察官から逃走し、盗まれた封筒入りの現金を持っていた(冒頭陳述2)

 被告人が犯人であることは、疑いようのない事実だ。懲役6年を求刑する。

[弁護人の最終弁論]
⑤ 悲鳴は聞いていないのに、証人は本当に犯人の声を聞いたのか(証人尋問1)
⑥ 銀行で被害者がお金を下ろしていたとどうやって知ったのか(証人尋問2)
⑦ 警察官から逃げたのは、以前つかまったことがあるから(被告人の証言)

 検察側の論拠は、「合理的疑いを挟まぬ証明」には至っていない。無罪である。

★評議
モルダー「有罪。なんとなく」
シルキー「無罪。音楽をやるやつに悪い奴はいない」
ホームズ「有罪。銀行にいたこと、背格好が似ていること、お金を持っていたこと。これらは状況証拠に過ぎないが、これだけ証拠が積み重なれば、合理的な証明と言える」
クイーン「無罪。有力な証拠と言えるのは、警察官から逃げたことと、お金を持っていたことだけ。これらの状況証拠2つだけでは、無実の一般市民を刑務所に送るのと同じ」
加奈「無罪。夢をつかもうと、これからと思ったときに、強盗なんかしない」
想「とても際どい立証だと思う」

★評決
有罪4人…モルダー、ホームズ、副?裁判長、裁判長  (想は手を上げかけるが下ろす)
無罪5人…クイーン、シルキー、副?裁判長、加奈、想(迷った末)

 評決……無罪


 放課後?想は裁判長に尋ねられる。
「実際の裁判でも、自分が担当して、有罪の判決を下している。また、今まで3回の模擬裁判でも有罪になった。判決には自信があり、自分の心証は完全に有罪。しかし、君(想)は、私の判断に強い関心を示し、君自身は確信を持って無罪にした。なぜか?」


 想は「検察が大事な立証をしていないからだ」

Q1 なぜ、目撃者は被害者の悲鳴を聞いていないのか?
Q2 なぜ、被告人は銀行の中に入らなかったのか?
Q3 なぜ、犯人は被害者のことをババアと呼んだのか?


★想の推理
検察は被害者と被告人が顔見知りであることを見落としていた

A1 顔見知りだったから、被告人が近づいても悲鳴を上げなかった。
A2 給料日を知っていた
A3 ホスト時代に知り合っていて、表沙汰にはできない関係だった。
   陰では被害者のことを「しつこいババアだ」と言っていたのかもしれない


「判決はまちがっていなかった。しかし、(合理的疑いを挟まぬ証明がされていないので)、僕は有罪だとは言えない」

裁判長「なぜ、その話を評議の時にしなかったのか?少なくとも、有罪に手を上げるべきではなかったか」

想「それはダメだ。立証責任はすべて検察だけにある。裁判官および裁判員は提示された証拠のみで判断する。裁判の鉄則です」


 確かにそうかもしれません。でも、評議の場で自分の意見(推理)を言うのはいいと思うのですが。提示された証拠や証言をもとに、無罪か有罪を判断するのですから、現に、想も提示された情報だけで推理したのですから。

 まあ、これは、作者(主人公)のポリシーですから、私が口を挟むことではないんでしょうね。


 この裁判で、疑問に思ったことは、模擬裁判の場に被害者が立たなかった。被害者の証言がなかった。
 これは、被害者が証言席に立つと、被害者と被告人の関係が露わになる可能性が高いからでしょう。


 さて、今回のもう一つのテーマ「ふたりの気持ち」です。
 評決の時、想が悩みに悩んだのは、加奈が「無罪」を主張したので、「有罪」と判断したが加奈の意見を尊重しようかどうか迷ったのかと思ったのですが、全くの的外れでした。

 判断は想と同じでしたが、内容がまったく違うので、想に「アメリカに帰らないらで」とは言えず、「頑張ってね」と言う加奈はいじらしいですね。

 翌日(想が帰る日)、父が言う
・大好きな剣道の稽古をしない
・夕べから何も食べない
・レストランの誘いを断る
・花見にも行かない
・仲の良い想の見送りにいかなかった

「これだけ状況証拠がそろえば「合理的疑いを挟まぬ証明」なされていると思うぞ」

 おお!なかなか粋な指摘ですね。



 いつも一緒にいた屋上で涙を流す加奈。
 そこへいないはずの想が声をかける。

「やっと分かったんです。僕はお花見がしたくて日本に来たんだって。
 お花見って、花の一つ一つを見るわけじゃないでしょう。形のない全体があって、それがあるだけで楽しくなる。
 水原さんといると、毎日がお花見みたいなものなんです。この学校でお花見をすることに決めました。卒業するまでずっと」

 加奈が笑顔になる。

 その時、ガラスが割れる音が、
「事件よ、燈馬くん」
 加奈が、燈馬の腕をぎゅっとつかみ、引っ張っていく……【終り】


 いやいや、素敵なラストシーンでした。
 想が、加奈を花見に例えてました。一つ一つの細かいところを見るのではなく、それらをひっくるめた加奈が好きなんだ。加奈といると楽しいという告白でしたね。

 素敵なコンビでしたね。推理も面白かったです。
 続編を期待します。番組の掲示板に書き込まなくては!



【補足】
 この模擬裁判の題材は、無罪か有罪か(無実か犯人か)、どちらにでも取れるようなシナリオを作ったものだと思っていました。それで、被告人が無実かどうかを真剣に考えず、無罪とするか、有罪とするかのほうに関心が行ってしまいました。
 とは言え、想の感じた疑問を流してしまいました。一瞬、変だなと思ったのですが、不覚でした。


 私が、あの模擬裁判の裁判員だったら、どう裁定するでしょうか。
 被害者が給料を下ろした銀行の前にいたこと、被害者が襲われた付近にいてお金を拾ったこと、このふたつが両方起こるのは、「偶然」という範囲を超えているので、「犯人」だと推定します。
 しかし、裁判員として裁定を下すとしたら、それだけでは有罪であると立証できたとは言えないので「無罪」とします。

 想も言っていましたが、検察には「立証責任」があります。そもそも、あれぐらいの状況証拠で、立件するのは無理があります。私が検察(警察)の立場なら、想の疑問について、もっと突き詰めますし、被告人が現場付近の公園になぜいたのかや、被告人の銀行からの足取りを調べます。
 そもそも、「ババア」という言葉は、実際にそういう風貌でないのなら、顔見知りだったと推量するのは容易だと思います。


 裁判の場は、(ドラマなので見る限りなので本当のことは知りませんが)残念ながら「真実を明らかにする場」ではないようです。
 弁護士は被告人の罪を軽くすることや無罪を勝ち取ることに全力を尽くします。
 検察官も求刑を確定しようとするだけです。
 そして、裁判官も、弁護士、検察官の示した論証をもとに、どう判決を下すのが妥当かを考えるだけのようです。

 真実を明らかにすることまで求めるのは、無理なんでしょうね(無理なのでしょうか)。
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『キイナ ~不可能犯罪捜査官~』第8話「死者からのメッセージ」

2009-03-13 18:03:52 | ドラマ・映画
 結局、全話、見てしまいそうです。いろいろ難癖つけましたが、不思議な魅力があるのでしょうね。キイナのキャラクターに魅力があった…かも。
 ここ2、3回、ベッパンに対する一課の認識が変わってきていて、捜査がスムーズになってきています。個人的には、その方がドラマが見やすい…とか。

 多少の突っ込みどころはありますが、個人的には許容範囲です。過去、一番ひどいと感じたのは『7人の女弁護士』(主演 釈由美子)。裁判で検察の結論をひっくり返すのがメインの筋なので、それを成り立たせるために、警察(検察)の捜査がザルになっていました。警察側からクレームがつかないのかなと思ったほどでした。

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【あらすじ】(番組ホームページより)
 雅(沢村一樹)が、トンネルで女性の幽霊を見たという話で、キイナ(菅野美穂)たち捜査一課は盛り上がっていた。しかも、その女性が15年前に雅が担当した失踪事件の“被害者・宮内真理子”だと言う。当時の現場の状況や血痕の量から見て、真理子が殺されたのは間違いなかった。しかし、真理子の死体は今だ見つからず、犯人も特定されていない。雅は事件発生以来、15年間ずっとこの事件を一人で追っていたのだ。
 そんな中、山中で女の変死体が発見された。その死体がなんと宮内真理子だったのだ。真理子の死体は事件から15年も経過したにもかかわらず、美しく、まるで生きているような姿だった。

 早速、捜査を開始したキイナたちは、遺体発見現場が有名な心霊スポットで、15年前から幽霊が出るとの噂が流れ始めたと聞きつけた。現場の山の所有者は代議士でもある桑島泰蔵(宍戸錠)。雅によると泰蔵の息子の常男(袴田吉彦)は、なんと、当時真理子の恋人だったという。
 まもなく、真理子の爪から、犯人のものと思われる皮膚の一部が検出された。犯人に襲われた真理子は、最後の力を振り絞り相手の身体を引っかいていたのだ。この皮膚片のDNA鑑定をすれば、犯人と特定できると見て、常男に重要参考人として任意同行を求めて――。

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【あらすじの続き】
 DNAの鑑定は犯人と常男は一致せず、捜査は暗礁に乗り上げたと思われたが、
「死体発見現場付近で、夜中にうろつく男がいる」という話から、犯人が何か手がかりを残していて、それを回収しに来ているのではと推理。
 一課総出で、現場を捜索。古い時計を発見。
 ここで、キイナの恐るべき記憶力を発揮。常男の父泰蔵がその時計をはめている写真を思い出す。
 犯人は泰蔵だった。真理子に常男との手切れ金を渡すが断られた泰蔵が真理子につかみかかり、もみ合った際、地面に頭を打ちつけ死に至らしめたのが真相だった。

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 今回の不思議現象とキイナの見解は

①15年前に殺され埋められた死体が、美しくまるで生きているような姿だったこと
 これは屍蝋化現象(死体が水分の多い土の中など空気が遮断された場所に長期間おかれると脂肪分が蝋燭のような成分に変わりしだいに硬くなり石膏のようになる)もの

②心霊スポットでの怪奇現象の目撃
 心霊スポットになる場所は、断層などによる磁気の乱れが人間の脳(側頭葉)にも影響を与え、心霊スポットという心理的作用と相まって、幻覚を見せる


 今回、キイナは不思議現象をすべてを科学的な見地から断定していません。真理子の死体が屍蝋化したこと、雅が見た真理子の姿(幽霊?)を、真理子からのメッセージだったのではないかと解釈しています。
 よく、こういったストーリーで、科学的に解明しておいて、ラストで不思議現象を見せて、やはり怪奇現象だったの?と視聴者に思わせる技法が使われることがあります。こういった小細工よりは、はるかに今回のキイナの方がいいと思います。

 さて、今回の難癖です。

Ⅰ 死体が発見された時、現場検証したはずで、その時に腕時計は見つかるはず

Ⅱ 死体発見現場には他にゴミのようなものが少なかった。落とした時計が15年もの間、現場に残っているのは不自然(立ち入り禁止だった性かもしれない)

Ⅲ 犯人と常男のDNAが一致しなかったとしているが、犯人とは親子なので、「似ている」という判定が出なかったのだろうか


 今回、雅の抱え込んでいた事件が解決しました。初回から引っ張っていたわりには、あっさりとした事件でした。野次馬的には拍子抜けでしたが、好きな話でした(殺人事件なので、好きというのは不謹慎…かも)。
 
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将棋と性差

2009-03-12 20:34:08 | 将棋
 今日の記事は、『スポ魂net Blog』のしん太さんのブログの『横浜国際女子駅伝2009』のコメント欄で、夕焼けさんに話題をふられたので、それについて、コメントを入れようとしたのですが、例によって長くなってしまったので、こちらに記事として載せることにしました。


 現在、将棋において男女の実力差は、相当の開きがあります。
 その要因は2つ。
 ①競技人口の違い。これは、将棋に限ったことではなく、母集団が大きければ、最高点は高くなり、高得点を上げる個体の数も多くなります。
 ②将棋の持つゲーム的特性というか、思考方法が男性向きであるという可能性。

 ①が大きな要因であるのは間違いないでしょう。ただ、現在の男女の実力差が、①だけによるものか、②も大きく関与しているのかは、はっきりと立証されていません。

 ②について考えてみる前に、「夕焼け氏理論」ですが、男性的な駒、女性的駒という考え方は面白いですね。女性的な駒というか、女性的な柔らかい動きをするのは、角と銀だけでしょうか。飛車、金、香は男性的ですね。桂馬は障害物を飛び越えるという特殊な駒なので、性を超越している感じがしますが、後戻りできないという点では、男性的でしょうか。歩は未分化、玉は両性という気がします。
 どちらかといえば、男性的な動きの駒が多いので、男性に向いているのかもしれませんね。
 夕焼けさんのおっしゃっているブログは知りませんが、駒を点数化して、形勢判断を説明したのは、谷川九段だったと思います。(他の方も、されているのかもしれませんが)

 さて、将棋の特性が男女どちらに向いているかですが、
(再び)その前に、男女の脳の特性について述べてみたいと思います。これは、NHKの特集番組、『女と男』を参考にしています。
 女性は男性に比べて脳梁(脳幹だったかもしれません)が太いので、右脳と左脳の情報交換量が大きいので、男性に比べて「ながら作業」が得意です。
 それから、言語能力・コミュニケーション能力に長けています。さらに、記憶するのも得意だそうです。


 男性は、空間把握能力に長けているらしいです。(もっと、男性の長所があったかもしれません)

 これらの特性は、遠い過去、狩猟時代、男性は狩りに励み、女性は畑を耕して、集団生活を営んでいた。この長い蓄積によって、男女の脳の特性が生まれたとのことです。

 行動の特徴としては、悩みなどを相談する場合、男性は一直線に解決法を見つけようとします。女性は、現状を話してその困った状況を分かってもらいたいのだそうです。
 数学の解き方にしても、男性は「ここはこの公式を使って、こういうやり方で」と指示した方が良く、女性は「このやり方もあるし、こういうやり方もあります。好きなほうでやっていいわよ」と進めた方が効果的らしいです。
 ビジネスにおいては、商談相手が男性の場合、上役を同行させ、このプロジェクトには我が社は力を入れていますという姿勢を示すのが効果的です(権威に弱い男)。
 女性が商談相手の場合は、実行スタッフを多く連れて行き、こういう方向で進めましょうか、それともこちらの方向で進めましょうか」と持ち込んだほうが効果的とのことです。

 さらに興味深かったのは、ある程度知的考察が必要な問題を解く場合、男女では使う脳の部位が異なるらしいです。しかも、思考方法は違うのに、その成果(得点)は、男女ほぼ同じなのです。
 このことだけを取り上げると、将棋においても、男女互角になるはずですが、そうではないと思います。

 その根拠は

Ⅰ 男性は空間把握力に優れていること。吸う手先の局面を思い浮かべるのには、この能力は大きく関わってくると思います

Ⅱ 男性は結論を求める。女性はその過程が大切。
  私は、将棋は勝ち負けよりは、その過程(内容)が大切だと思いますが、勝負においては、結論を求めるという本能がある男性のほうが、より効率的に手が読めるのではないかと考えます。

Ⅲ 狩猟時代、危険と隣りあわせだった男性は、危機に面した時に、最大の能力を発揮する必要があった。だから、将棋において、難局を迎えた場合、男性のほうがその対応がうまくできるのではないか

Ⅳ 将棋は、あるいは勝負は、相手に情けをかけてはいけない。女性は優しいので、向いていない

 などが考えられます。


と、つらつらと自慢げに書き連ねましたが、すべて私の憶測ですので、信用しないでください。
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名古屋国際女子マラソン2009

2009-03-11 09:50:11 | スポーツ
 藤永選手と新谷選手以外、見所のないレースでした。

 藤永選手は、レースをあきらめない頑張りと体幹のぶれない走りは評価できます(上から目線ですみません)。
 新谷選手の果敢な走りも若さがあって良かったです。

 でも、あの気象条件(気温も程よく、風もない)で、他のマラソンだと第2集団のペースであろう先頭集団は4人。他の選手は全くついていかず、2分ほど離れてしまいました。第2集団の選手達は、あの遅いペースが予定だったのでしょうか?人それぞれ、目標タイムは違うと思いますが、あの先頭集団のペースであの気象条件で、あの人数になるのは不可解です。
 画面や数字からでは計り知れない負の要素があったのでしょうか?白雪選手の後退も不思議ですし、新谷選手のスパートも予定通りだったはず。
 しかし、スパート自体が無理をしているように見えました。タイム的には予定通りでしたが、それに反して、想定以上に消耗していたのでしょう。
 レース経験が豊富なら、スパートを自重したかもしれません。これをトラウマとせず、いい経験を積んだと考えて、今後のレースに活かして欲しいです。

 藤永選手は頑張りましたが、かなり幸運な優勝だったと思います。有力選手が少なく、遅いペースになった。中盤、遅れ出した時、先頭集団のペースも落ちた。後続集団も消極的だった。
 この優勝が、起爆剤となって、彼女の素質が一気に花開くことを願います。
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