英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

二者択一

2009-03-10 12:48:40 | 日記
 二者択一は私にとっては鬼門です。
 と言っても、試験やクイズの○×問題ではなく、人生においての、のるかそるか、引くか進むかといった思い選択でもありません。

 私が弱いのは、家電の選択です。
①ビデオデッキのベータかVHS
②パーソナルコンピュータのフロッピーディスクの5インチか3.5インチか
③セガサターンかプレイステーションか
④DVD-RAMディスクを使用しているが、販売縮小傾向
⑤ブルーレイとHD DVD(HD DVDを購入したわけではなく、現在使用しているのが東芝のDVDレコーダーで、東芝がDVD市場から後退していくのは目に見えている
⑥その他、ファミリーコンピュータ・ディスクシステム、FMタウンズ、テレビデオなどレアな製品を購入している

 ①、③は勢力が拮抗していた時、②は3.5インチディスクが出始めの頃で、専門誌も「PCを買うなら5インチディスクタイプ」と太鼓判を押していました。


 どこかのメーカーさん、私のところに心付けを届けてくだされば、ライバル会社の製品を購入しますぞ。
コメント (4)
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『Q.E.D. 証明終了』 第9話「加奈のタイムカプセル」

2009-03-08 23:12:30 | ドラマ・映画
【あらすじ】(NHK番組ホームページより)
 可奈(高橋愛)が小学校3年の時に埋めたタイムカプセルが出てきた。掘り当てたのは探偵同好会の3人組(垣内彩未、広瀬斗史輝、渋谷謙人)。
 恐る恐る可奈が開けてみると、そこには宝物と思われる写真と野球の硬球とゲームソフトが入っていたのだが、その写真を撮ったことなどまるで思い出せない。ボールは誰かの宝物だった気もするが、なぜ可奈のものになったのかも思い出せないのだった。当時も同級生だった西丸(中山卓也)は、意味ありげに「よーく思い出した方がいい」という。
 手掛かりはボールに書かれた「中陵」の文字。探偵同好会の3人組が中陵野球部員の野辺(本間健大)を可奈の家まで連れてきて確かめるが、ボールは野辺のものではないという。想(中村蒼)が記憶をたどる手助けをして、写真に写った二人の少年のことを思い出すが、二人とも小学校の卒業アルバムには載っていなかった。ボールはもらったのではなく取り上げたのではないかと西丸が言い始める。
 大切だと思っていたものを、こんなに簡単に忘れてしまうものだろうか?と可奈は不安になっていくが…。
=====================================

 加奈が埋めたタイムカプセル(宝箱)の中身を巡る謎(記憶)が、徐々に明らかになっていく。しかも、加奈が中心となって記憶を手繰り寄せていく。想は助言するだけで、あまり頼りにならないが咲坂高校探偵同好会もいろいろ手助けしてくれる。
 なので、混迷しながら断片的に少女時代の想い出が明らかになっていくので、私(視聴者)も捜査に参加しているような感覚に陥る。そう、アドベンチャーゲームをしているような感じだ。

 それにしても、登場人物が多い回です。
 まず、探偵同好会(以後「探偵団」と表記)の3人。少しイラつくキャラであるけれども、ストーリーを勧めるには必要なキャラである。
 タイムカプセルに入っていた写真の6人。
 NHKの番組ホームページの当時の人物評によると、
水原可奈…勝気な性格は子供の頃から変わらない可奈。
梅宮衿子…可奈の知恵袋的存在。小3の頃から要領の良い子。
香坂まどか…可奈の親友。子供の頃からほんわか系。
西丸浩樹…可奈の幼なじみでクラスメイトの剣道部員。子供の頃からジャイアン系?
謎の少年A…写真前列左。可奈たちの小3の頃の同級生。
謎の少年B…写真前列中央。可奈たちの小3の頃の同級生。

 衿子とまどかは、親友の割には初回に出てきたぐらいで、ほとんど出番がなかったが、今回は少し活躍?
 西丸は、今回の鍵になる人物。カプセルに入っていたボールに記憶がない加奈に、「信じられない」と呆れ顔でなじるように言う。
 少年Aはめがねをかけた気弱そうな少年。誰も覚えていない。
 少年Bはサッカー少年。まどかたちは、よく覚えていた。最初の段階では、話題にならず。

 写真に関してはもうひとり。後で話の焦点となるが、写真を撮った謎の人物。


 カプセルの中身には、古いはずれにの宝くじも。宝くじは父親のもの。謎には直接関係ないが、エピソードの味付けになっている。


 ボールについて調べると、かすかに「中陵」の文字(探偵団が発見)。
 で、同じ小学校出身で中陵高野球部の野辺が探偵団に引っ立てられる。しかし、ボールは野辺のものではなく、心当たりもないという。

 悩んでいる加奈に、想が「他にヒントになるものはないか」と助言。写真を見直し、衿子たちは、少年Bはサッカー少年の辛島くんで、辛島君に呼ばれて、夏休みの終わりに撮った写真であることを思い出す。(実は、事実と少し違う)

 その後、加奈は自分の卒業アルバムなどを調べ、めがねの少年は卒業アルバムにも、3年生の終わりのバス旅行の写真にも彼が写っていないことを発見する。
 そのことを、想に報告すると、現場の神社に行くよう助言。(まさに、アドベンチャーゲームだ)

 神社で、子どもたちが遊んでいるのをぼんやり見ていると、皆に置いてきぼりになりそうな子どもが「僕も連れてって」と叫ぶ。この言葉が、加奈の記憶を呼び起こす(かなり、ご都合主義)。
 その記憶は、その神社でのラジオ体操での記憶。ラジオ体操が今のところ皆勤で、後半分だという会話の後、夜に宝探し探検をやろうという話がまとまる。メンバーは加奈たち3人の女子と、西丸、それから辛島も誘う。そこへ、「僕も連れてって」とめがねの少年が声をかける。
 そこまで思い出したとき、想が声をかけ、回想は中断。

 ふたりで小学校を訪ね、当時から在籍していた現校長にめがね少年のことを尋ねる。
 先生は「おとなしくて目立たない子で新田君で、3年生の夏休みの終わりに転校していった」と話す。体育は得意じゃなかったらしい。ボールと新田君が結びつく感じがしない。

 そのことを、衿子たちに話す。そこで、想が「写真は誰が撮ったのか」と質問。
 衿子が記憶の糸がつながったと言って「辛島君のお兄さんよ」と証言。
 ここで、回想シーン。初めて、写真を撮った人物、お兄さんが登場。
 そして、写真を撮ったのが辛島兄弟なので、「新田君を呼んだのは辛島君ですよね」と、確認。その言葉に、加奈がボールをもらった直後がフラッシュバックされる。しかし、ボールをくれた人物ははっきり思い出せない。

 西丸に聞いてみようと話がまとまると、探偵団が西丸を引っ立ててくる。
「手間が省けましたね」という想の言葉は、まさにそう。
「このボールは、新田君がくれたの?」と問いただす加奈に、西丸はにやりと笑い
「宝探し探検をしようと言っていた場に、新田が「僕も連れてって」と頼んだ。勇気を振り絞って言った新田に対して、加奈は「(大事にしていた新田の)ボールをくれなきゃ仲間に入れてあげない」と言ったんだ」
と、言い放つ。

 さらに
「探検の最中、怖がってうずくまり「もう嫌だ」という新田に対し、置き去りにした加奈が「あんたのような弱虫に、あのボールは似合わない」と言い放たんだ」

 落ち込む加奈に、西丸は追い討ちをかけるように
「だから、思い出さないほうがいいって言ったんだ」と。
 西丸を睨みつける想。そして、
「なるほど。西丸君の話は全部嘘」と言い、その根拠を述べ始める。

①写真は夏休みの終わりに撮ったものだから、新田君に辛島君に呼ばれても来るはずがない
②写真を撮ったのは探検より前と反論する西丸に対し、「皆勤賞にあと半分」という会話から、夏休み半ば、衿子が宿題に頭を悩ませるずっと前と論拠を示し、西丸のお話は嘘と断言
③西丸がうそをついたわけは、カプセルに入っていたゲームソフトが10万円の買取価格がついていることを示す。そして、カプセルの中からゲームソフトがなくなっていることを確認
④西丸が加奈たちにボールに注意が向いている間に、ゲームソフトを抜き出し、その後もゲームに注意が向かないように、ボールについて思わせぶりな態度をとった。そして、宝物を埋め戻させるよう嫌な想い出をでっち上げたのだと追及


 白状する西丸が、「お前の仕打ちも似たようなものだ」と非難。
 ゲームソフトは新田が、宝探しのお礼にくれたものだった。
「勇気要ったと思うぜ、引っ込み思案の新田が。でも、おまえ、何一つ覚えてなかったんだからな」と、胸に突き刺さる言葉を。


 夜、想にお礼を言う加奈だが、「ボールをくれたのは誰か?」という疑問が残っていることに気がつく。
 「やっと気がついたんですか」と言い、卒業アルバムを見て、辛島が映っていないことを確認。そこへ、野辺が再登場(おお、そういや、こいつもいたっけ!)。
ボールの持ち主について思い出したから来たのだと(いいやつだなあ)。

 加奈たちの小学校出身で中陵で甲子園に出たのが辛島の兄であることが判明。辛島の転校の理由は、その兄が甲子園でエラーをしたせいで負けたのだと嫌がらせを受けたからだと。
「嫌な話だよ。(写真の辛島を見て)いい顔して笑っているなあ。辛いこと隠して、笑顔でお別れしたんだな」(ほんとに言いやつだな、野辺!)

 その話を聞いて、写真の場面のすべてを回想する。
写真を撮った後、探検のお礼にとゲームを渡す新田。それを見て、微笑む西丸(お前もほんとはいいヤツなんだな)。それから、大切なボールを投げてよこす辛島。笑顔で去っていく辛島に、「ありがとう、またね」といって手を振る加奈。

 辛島が写真を撮った意味。新田の勇気を振り絞った「仲間に入れて」と言ったこと、そしてお礼の気持ち。辛島のボールに込めた思い。
 少女時代の、甘酸っぱい思い出ですなあ!
 きっと、辛島も新田も、加奈のことが好きだったんだろうな。


 想い出を綺麗さっぱり忘れていた加奈、落ち込む、そして、落ち込む。

 そんな加奈を見て、想は宝くじの番号に託した父の思いを推測し話す。
「この宝箱には、水原さん(加奈)のことを想う気持ちがぎっしり詰まっています。
 宝物をくれる人は、自分を思い出して欲しくてプレゼントするわけじゃありません。宝物を上げる相手が元気一杯生きていってくれたらいいなとそう願っているんですよ。
 だから、水原さんは二人のことを忘れてなんかいません。新田君や辛島君が今の水原さんを見たら、きっと嬉しいと思います。あの頃のままの水原さんでいてくれて、ありがとうって。きっとそう言うと、僕は思います」

 無茶苦茶やさしいやないか!最初の頃の想とはえらい違いだ。
 心安らぎ、笑顔になる加奈。想の後姿を見送る加奈は、恋する乙女モード。うらやましいぜ、想! 




 登場人物(小学時代の子役もいるし)、思い出満載。すべての会話やシーンが、全く無駄なくつながっている。アドベンチャーゲーム的に、捜査、探索、推理し、ミスリードまである。
 また、宝箱を開けたとき、西丸がゲームソフトを抜き取ったらしいシーンも、手の部分だけ隠されていましたが、良く見るとその様子が分かるようなシーンになっている。
 そして、少女(少年)時代の甘酸っぱい思い出。こちらまで、胸がキュンとなりました。おもしろかったです。


 でも、そんな想い出を綺麗さっぱり忘れてしまってる加奈って、やっぱり……。
まあ、加奈が忘れないと、この話は成り立たないんだけど、作者としてもジレンマを感じたでしょうね。

 で、小学校の想い出ってどうなのかな。私は、友達全部をソラで思い出すのは無理だけど、写真を見れば思い出せる自信はある。
 エピソードは、自力で鮮明に思い出せるシーンが断片的にあります。あと、思い出せなくても、写真をがあれば思い出せると思うけれど、全部は無理かな。
 加奈の場合、宝箱に入れるほどほどだから、よほど大切な思い出と思ったはず。写真を見ても、思い出せないって、やっぱりひどいかも。でも、最終的に思い出したんだから、赤点ギリギリかな。

【補足・訂正】
 加奈が想の後姿を見送るシーン、私の解釈不足がありました。
 想の言葉によって、笑顔を取り戻した加奈が、玄関先で想を見送る時、指で四角(カメラのフレーム)を作って、カシャッと声を出します(シャッター音)。そして、その撮った写真が加奈の胸に溶け込んでいきます。
 私、これを加奈の恋心が芽生えたシーンと誤解してしまいました。

 本編からのつながりを考えると、当然、想は加奈にとって大切なもの、大切な宝であって、それを写真に撮ってそれを加奈の胸、つまり加奈の宝箱にしまったと考えるのが妥当なようです。
 神代さん、コメント、ありがとうございました。
コメント (5)
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『キイナ ~不可能犯罪捜査官』第7話「書き換えられた記憶!!」

2009-03-06 23:55:10 | ドラマ・映画
【あらすじ】(番組ホームページより)

 捜査一課・主任の津田(金田明夫)の愛妻・真美子(宮崎美子)が、殺人未遂の現行犯で逮捕された。真美子は、投資会社を経営する田所祐二(三上市朗)を待ち伏せし、鉄パイプで撲りつけたのだ。キイナ(菅野美穂)の取調べに対し、真美子はリゾート開発に絡む架空の投資話で田所に多額の金を騙しとられ、憎くて憎くて、殺さなきゃ自分がどうにかなってしまいそうだった。と供述した。一方、入院中の田所は、真美子には会った事も顔を見たこともない、騙した覚えもない、被害者は自分の方だ。と証言した。

 二人の供述がまったく食い違い、困惑する捜査一課、辛そうな津田を気遣うキイナたちだったが、雅(沢村一樹)は、津田に捜査からはずれるように指示した。取調べを進めると、真美子は田所に招待され沖縄に視察旅行に出かけたと供述。現地で偶然遭遇した交通事故や、その日によって違うはずの朝食のメニューなど正確に話した。ところが、津田と娘は、その日、真美子は間違いなく東京の自宅にいたと言う。

 ますます困惑するキイナとタケル(平岡祐太)は、津田の自宅を訪ねた。津田は、真美子が沖縄に行っていないと言い切るには理由があると言う。実は、真美子は飛行機恐怖症で飛行機に乗ることができない。だから、今、心療内科のカウンセリングを受けている最中だったのだ。キイナたちは早速、その担当医の桐島貴子(荻野目慶子)の元を訪ねる。そして、津田にはもうひとつ引っかかる事があった、事件の夜、家の電話がワンコールだけ、同じ間隔で3回鳴った気がすると言う、キイナはそれが何かの合図ではないかと思い――。

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 被害者田所に沖縄視察旅行へ連れて行かれたと真美子(宮崎美子)は供述するが、家族によると、その日は間違いなく真美子は東京の自宅に居たと言う。

 今回の不可能犯罪のポイントは、一人の人物が同時刻に東京と沖縄に存在したということ(それ自体は犯罪ではないけれど)。
 で、まず、キイナが考えたのは
①瞬間移動(テレポーテーション)
②ドッペルゲンガー
であるが、これは言ってみただけ。

 捜査を進めるうちに心療内科医に行き当たり、彼女が催眠で真美子の記憶を書き換え、さらに、操って殺人(未遂)を行わせたのではないかと推測する。
 しかし、催眠で殺人など倫理に反することはできないというのが通説らしい。で、今回の不可能犯罪のポイントは「催眠で殺人を行わせることができるか」

 キイナの出した結論は「可能」。強迫観念を植え付けて犯行に至らしめた過去の例を挙げる。

 今回は殺人を犯しそうもない妻の犯行、つじつまの合わない供述(記憶)など、不可思議な現象と、事件の当事者となった捜査一課・主任の津田の心境。さらに津田を中心に、ベッパンと一課の関係の変化していくことにあったようだ。
 いつも不自然に感じる一課のベッパンに対する邪険な扱いがなかったため、ストーリー展開に無理がなかった。(不可思議現象については突っ込みどころはあるが、目くじらを立てるほどのものでもなさそう)

 今回気になったのは、やはり催眠で倫理に反することをさせることができるかである。
 倫理観を考えると、信号無視をさせることはできないが、「信号機の赤は進め」という暗示を与えたらどうなるのだろう?
 泥棒や自殺は常識や舞台を勘違いさせることによって可能そうだが、流石に殺人はできないような気がする。強迫観念を植え付けても、普通の人間は留まるのではないだろうか。でも、このドラマのように恨みという感情、しかも、詐欺にあったことよりもっと大きな恨み、例えば、肉親が殺されたというような感情(記憶)を植え付けられたら、殺人行為に至るかもしれない。
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女流名人位戦決着

2009-03-05 20:28:18 | 将棋
 最終局にもつれ込んだ女流名人位戦、右四間飛車で攻勢を取り続けた後手清水女流王将が制して、復位を決めました。
 毎回袴で決める矢内女流名人を応援していた私にとっては残念な結果です。実は残念な理由はもうひとつあります。それは、清水女流の将棋の質。年々劣化してきていると感じています。
 もちろん、A級リーグで、千葉女流、里見倉敷藤花らを押しのけての挑戦権獲得、5番勝負で矢内女流名人に競り勝っての復位、さらに各棋戦での高勝率など、その実力はトップにいるべき実力であるのは間違いありません。
 問題なのは、その質なのです。私が清水女流の将棋の質について疑問を持つようになったのはかなり前のことです。
 将棋SNS、2007年7月19日、22日付けの日記で、次のように書いています。

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 清水女流王位は、長年中井六段とともに女流棋界を引っ張って来ており、第一人者である。背筋がぴんと伸びた立ち居振る舞いは非常に美しい。
 棋風は居飛車本格派の将棋で、妥協を許さない深い読みで、多少の危険も見切って鋭く切り込んでいく将棋‥‥だった?
 ここ数年は、なんだか違う。研究が行き届いた序盤は以前と変わらないが、無理をしないと言うか中盤は踏み込みが浅くなっているように思う。そのため、却って反撃に遭い、形勢を損じてしまうことが増えたようだ。
 そして、終盤の驚異的な頑張り。《そんな屈服的な受けをするの》と言うような手順も甘んじるのだ。そのうち、攻め疲れた相手の焦りや乱れを一気に突き逆転、という将棋を目にする。たまたま私が目にするだけかも知れず、普段は以前と変わらない将棋なのかもしれない。
 私が目にするのは、挑戦者決定戦とかタイトル戦なので、相手が強いのでたまたまそうなるのかもしれない」。

 ここ数年の清水女流王位の将棋の変化は、「長手数になれば実力のあるものが勝つ。つまり、指し手が増えれば弱いものの方が間違える回数が多い」という思想が根底にあると考えていた。
 しかし、今回の将棋は、「簡単に負けてはいけない」という棋士のプライドや勝利への執念を感じた。

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 文中で、「ここ数年」と表現しているので、清水将棋の質の変化はかなり前と考えられます。
 正直に言うと、上記の傾向はさらに顕著になってきているように思えます。
 戦法的には、右四間飛車戦法の多用。戦術的には、自陣に大駒を引き付けたり、持ち駒の金銀を自陣に打ちつけるといったような戦いを長引かせることが多い。
それは「受け切って勝つ」というようなものではなく、「とりあえず長引かせれば負けない」というような思想がうかがえます。長引けば対局相手が焦ったり、根負けして崩れることも多いです。「長手数になれば、実力のある方が勝つ」というという自信の表れなのでしょう。また、短時間の将棋が多いので、残り時間の関係で、読み切って綺麗に勝つのは危険ということもあるでしょう。

 右四間飛車は、男性棋士間ではあまり見られません。攻撃力はあるものの、単調な戦い方となり、攻めきるのは大変というのが定説のようです。にもかかわらず、清水女流が採用するのは、その攻撃力が清水女流の棋風にマッチしているのかもしれませんし、主導権を握りやすいのと、連載することによって右四間飛車に精通することで、さらに右四間飛車における将棋観が確立し、手馴れた指し方ができるという理由なのでしょう。
 しかし、対局者としては、相手の戦法を絞れるので、事前の研究ができるはずです。もともと、戦法としてはやや損な戦法なので、逆に優勢に持ち込めると思うのですが、そういう結果には至っていないようです。プロの将棋として観ると、残念な結果です。
 そう言えば、矢内女流も対振り飛車戦で、左美濃(銀冠)を連採しますが、あまりうまく言っていないようです。

 長引かす戦術についても、最善手ではないのですから、逆にそれに突け込めば戦果を上げられると思うのですが、清水女流の地力がそれを許さないようです。
 ただ、倉敷藤花戦、清水×里見戦の中盤で清水女流が自陣に金を打ち付けて粘りに出たのに対し、里見女流はそれに焦らず、その金を相手にせず、龍を見事に転回させて見事に勝利しています。清水女流の金打ちは、当面は負けない手ですが、戦力不足に陥る手でした。並みの女流なら、その頑強な抵抗に辟易して、ペースを崩すのですが、里見女流は冷静に握手の烙印を押したといえます。


 ここ2、3年、清水×千葉、清水×石橋、清水×矢内を観ていると、逆転の連続であったり、長手数の熱戦であったり、勝負的には面白いものの、将棋として観たときには、疑問符をつけざるを得ません。
 清水×千葉戦は、乱戦模様の泥仕合傾向でしたが、一本筋の通ったコクのある将棋だったような記憶があります。清水×石橋戦は、特に石橋女流が王位を獲得したシリーズは、女流棋士会分裂後の師弟戦ということもあり、余計な力が入ったのかもしれませんが、逆転逆転の大波乱の連続でした。

 私は、清水女流の実力は認めています。しかし、その将棋には魅力を感じていません。今後、誰が清水将棋を打ち破るのか、あるいは、清水女流名人の地力がそれを跳ね返すのか、あるいは、更なる変貌を遂げるのか、興味があります。
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将棋界の一番長い日

2009-03-03 20:59:41 | 将棋
【将棋ファンにとっては、私が今更告知するまでもありませんが、幸いにも、将棋を全く知らない方も、遊びに来てくださっているので、普及活動ということで】

 今日はA級順位戦(名人挑戦者決定リーグ)の最終局が行われます。
 名人挑戦者になるかどうかも大きいのですが、それにも増して、A級に残留できるか、陥落(2名)するかが、滅茶苦茶、大きいのです。
 A級に在籍するかどうかは、対局料にも影響しますが、それにも増して、一流棋士の証、ステイタスに関わってきます。

その様子がBS2で中継されています。
③▲郷田 真隆 九段(6-2)VS ⑤△木村 一基 八段(5-3)
⑧△佐藤 康光 NHK杯(5-3)VS ⑥▲藤井 猛  九段(4-4)
①▲森内 俊之 九段(4-4)VS ②△三浦 弘行 八段(3-5)
④△丸山 忠久 九段(4-4)VS ⑩▲深浦 康市 王位(3-5)
⑦▲谷川 浩司 九段(3-5)VS ⑨△鈴木 大介 八段(3-5)

丸数字は現順位(地位)です。

解説:渡辺 明竜王・山崎 隆之七段・勝又 清和六段 
聞き手:山田 久美女流三段
司 会:長野 亮アナウンサー

衛星第2テレビ
3月3日 午前9:45~11:54
    午後3:00~6:00
     午後11:00~午前2:00(3月3日深夜)

 将棋を全くご存じない方にとっては、全く興味が湧かないと思いますが、番組の変わり目、CMの間に、ちらりとだけのぞいて見てください。気が向いたらで、けっこうです。
 将棋を知らない娘ですが、昨年、陥落の危機に陥った佐藤棋王の鬼のような形相の姿に、目が離せず、午前1時まで見ていました。
 いつの間にか、山崎七段がイケメンだと目をつけているようです。今年は彼が解説なので、夕方、見ていました。
 ちなみに、山崎八段は、昨年の竜王戦の解説のとき、深浦王位と漫才のようなおもしろい解説をしていました。その様子は、当ブログでもご紹介しました。
コメント (4)
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NHK『Q.E.D. 証明終了』 第8回「罪と罰」

2009-03-01 21:14:36 | ドラマ・映画
 以前、『キイナ 不可能犯罪捜査官』で、『Q.E.D. 証明終了』がおもしろいとちらりと書きました。
 この『Q.E.D. 証明終了』ですが、最初、番組案内を見たときは、コメディタッチの軽い推理モノだと思いました。でも、実際見てみると、推理もかっちりしていて、その他に主人公二人の心のふれあいなどもきっちり描かれていて、非常に面白い。毎回ごとに推理以外のテーマも違っていて、それが、想(中村蒼)の冬の心の雪融けであったり、2時間サスペンスおたくの熱い想いだったり、青年の夢だったり、なかなか意欲的で、バラエティに富んでいる。

 今回(2月26日放送)は、演出トリックと水原警部(石黒賢)と娘・加奈(高橋愛)と想(中村蒼)の相互信頼が重要ポイントだった。

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【あらすじ】(番組ホームページより)
 
 可奈(高橋愛)は、期末テストを前にしても勉強する気がのらない。想(中村蒼)に喫茶店でスウィーツを食べようと誘う。そんなふたりを苦々しく見ていたのは、大学院生の千田川邦彦(北条隆博)。学費を稼ぐためにバイトに明け暮れても生活に困っている。「優秀な俺が、なんでこんなに金に困っているんだ」と不公平感を募らせていた。
 一方、水原警部(石黒賢)は、5件目の連続窃盗事件の捜査にあたっていた。被害者は、大学院生・千田川のアパート。犯行の手口は連続窃盗犯と同じだった。だがそれは、近所で連続窃盗事件が起きているのに便乗して完全犯行を試みようとする、千田川によるものだった。千田川が強盗を装って自分のアパートに忍び込み、被害者として名乗り出て、その後の犯行をうまくやろうとする計画だった。
 ところが数日後、千田川が盗みに入った家では、老人がすでに殺されていた。千田川は、引き出しの金を盗んで逃げる。水原警部(石黒賢)は、殺人の容疑者として千田川を追い詰めていくが、立件するには決定的な証拠がない。可奈と一緒に千田川に呼び出された想は、何気なく聞いた千田川の言葉から、一気に事件を解決する。
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 まず、このドラマのメーンである推理。

★水原警部の推理
・強盗殺人事件の現場で、千田川が現場に来ていて、「なにかやったんですか」と問いかける。この言葉に水原警部は違和感を感じる。

・千田川が自作自演で被害者を装った件に関して、他の連続窃盗事件とちがい金があるとは思えない大学院生を選んだのは妙だ。

・今までと違い、通帳やカードには手をつけていないのは変。

・事件後、千田川が一件のローンの返済をしている。金の入手手段を追及。

・殺人後、部屋を物色したと考えられるが、千田川の証言「叫び声を聞いたので、庭に入ると、犯人が逃げていくところだった」に不整合がある。(この時点で、追いつめられた千田川は、実は犯行時に付近にいたことを白状している)

・千田川といる時、わざと部下同士を衝突させ悲鳴を上げさせ、千田川の反応を試す。千田川は何の反応もしない。そのことで、千田川に「悲鳴を聞いても関心を示さないのですね」と追及。

 なかなか鋭い。正直言って、想の出番はなくてもいいのではないでしょうか?

 しかし、千田川の小細工(反抗道具を近所のニートの家に隠す)により、捜査陣はそのニートが犯人であると確定しようとするが、水原警部だけは反対。部下の笹塚刑事が想に手を貸すように頼む。

★想の推理
・庭には被害者とお手伝いさんの足跡と犯人の足跡しか残っていない。しかし、千田川は悲鳴を聞いて庭に入ったと言う。それが本当なら、わざわざ窃盗犯と同じ
26センチの靴を履いて庭に入ったことになると追及。

・泥棒したことは認めるが、殺人はしていないと言う千田川。被害者をサンタのような爺さんと千田川が言ったことに対し
「うつぶせに倒れている被害者の顔を見ることはできない。ただ、あなたが被害者の顔を見る事ができた唯一の瞬間がある。それは、金を取ろうとして忍び込み、被害者と鉢合わせした、その瞬間だ」
 ついに、言い逃れに窮する千田川だった。


 しかし、事件後、殺された被害者を見て、「俺がやったんじゃない。連続窃盗犯がやったんだ」とうろたえる千田川を見ている視聴者は《あれ?殺人犯は別にいるんじゃないの》と思ったはず。
 実際、犯人と断定されたはずの千田川が殺人を認めず「俺はやっていない。やったのは連続窃盗犯だ」とわめくのを見て、想は驚愕の表情を見せる。
 これを見て視聴者は、《想の推理は間違っていたのか?》と思ったはず。実は私も。

 で、あちことのブログを読ませていただきました。
 これは、作者が『犯人が「俺は犯人じゃない!」と言い続け、読者がそれを信じて、犯人に同情したならしめたもの』という見る人を騙す為に作られた叙述トリックということらしいです。
 詳しくは、0時さんのブログ『カートゥン☆ワールド~漫画の世界~』「ドラマQ.E.D.~証明終了~」第8回の感想をお読みください。

 でも、反則ですよね。あの、殺人直後のシーン「オレじゃない。連続窃盗犯がやったんだ」と言っているんですよ。せめて「どうして?」とか「なぜ、こんなことに?」とか呟くのなら納得なのですが。
 今思えば、その後何度も「連続窃盗犯がやったんだ」と呟いていたのは、かえって怪しいと思うべきでした。
 この辺りの視聴者側の心理は、伊達さんの『伊達でございます!』NHK「Q.E.D. 証明終了」第8話:罪と罰 ~連続窃盗事件の怪しい被害者?で、詳細に書かれています。
《千田川邦彦は完全犯罪を遂げることは出来なかった…クローゼットに隠れてゴルフパターで被害者を襲ったのは実は千田川本人。彼はその記憶を完璧に封じ込めてしまい、自身の罪は現金の窃盗のみだと言い張ったのでした》《これは精神医学界では「抑圧された記憶」という仮説として知られています。普通は耐え難い経験をした犯罪被害者などが、その経験を思い出せないというような場合が多いのですが、今回は殺人を犯したことそのものが千田川には耐え難く、記憶を抑圧してしまったということだった》

 想の驚愕の表情は、理論では片付けられない人間の闇の部分を感じたからなのでしょう。

 ちなみに、製作側の意図は
 『笹塚刑事の捜査メモ8』で語られています。


 さて、私がこの回で一番面白いと感じたのは、想、加奈、水原警部の相互信頼。
① 加奈に竹刀で斬りつけるまねをされた時に、想がそれに乗って、やられた振りをするシーン。以前の想なら、無視するはず。
② 千田川が加奈に「お父さん(水原警部)に疑われて困っている」と訴えた時、「警部は、人をむやみに疑う人ではない。隠してることを警部に話したほうがいい」と言う。
③ ②のシーンで加奈は千田川におごらせたフルーツを無邪気に食べ続ける。これは、父親の仕事は間違いないし、娘が口を挟むべきではないという主張。
④ 現場検証に自分だけ立ち合わせてもらえなかったのは、娘が親の仕事に口を挟むことではないと納得していた。
⑤ 娘を現場検証に連れて行かなかったのは、犯人を捕まえることはその犯人の人生を決してしまうという重荷を背負わせたくなかったから
⑥ 想だけ立ち合わせたのは、想には⑤が受け止められると信頼していた。あと、犯人を逮捕することは、推理ゲームではなく⑤も背負わなくてはいけないことを教えたかったから。あえて仕事という言葉を出し「俺の仕事はここまでだ」と言い放つのも、そのためであろう

 と、まあ、知ったかぶりをしています。
 これは、くうふうさんの『見取り八段・実0段』【Q.E.D. 証明終了】第8話が、非常に参考になり、感銘を受けました。

 じつにおもしろかったです。
コメント (6)
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