漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 638

2025-01-13 06:06:47 | 貫之集

ちるときは うしといへども わすれつつ はなにこころの なほとまるかな

散るときは 憂しといへども 忘れつつ 花に心の なほとまるかな

 

散るときには憂うるけれど、それを忘れて、やはり花には心がとまるものであるなあ。

 

 散ってしまうときには寂しい思いにもなるけれど、それを忘れてやはり美しい花の開花を待ってしまう気持ち。桜が咲き、散る季節などを思うと、強い共感を覚えますね。
 この歌は、続千載和歌集(巻第二「春下」 第141番)に入集しており、そちらでは第二句が「うしとみれども」とされています。