漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 331

2024-03-12 05:47:26 | 貫之集

網代に紅葉の散り入りて流るるところに、人おほかり

ふたたびや もみぢばはちる けふみれば あじろにこそは おちはてにけれ

ふたたびや もみぢ葉は散る 今日見れば 網代にこそは 落ちはてにけれ

 

網代に散った紅葉が流れてたまっているところに、人がたくさんいる

川に散り落ちたもみじの葉を今日見ると、川を流れて網代に溜まっている。この網代から再び流れて散ってしまうのであろうか。

 

 一旦網代で止まった紅葉がまたそこから流れて行くことを、「再び散る」と捉えて詠んだところが貫之の機智ですね。